折端同士を重ねてトレイに重畳積載した複数部のシート束の山(=先のシート山)の、開放端に、次のシート山の折端が重なるよう積載する。そうすると、シート山とシート山とがずれて位置するだけなので、特許文献1が従来技術とした段落〔0293〕および図面〔図62〕の手法のように一枚一枚ずらした姿勢で置くための、積載枚数に応じた極端に長いフットプリントのトレイは必要ない。さらに、折端の潰れ具合によって積載姿勢が大きく変わるような状態を避けることもできる。また、シート山を作ってから移動させつつ崩すことによって、シート束1つ1つをずらして置いていくよりもきれいに、1つ1つがずれた姿勢で積載することができる。
〔1〕シートについての定義
以下、図1を用いて、本明細書における用語の定義を説明する。
〔1−1〕シート
図1(a)および図1(b)のように、シートSの中央付近を折り線101として折り目をつけて、一方のシート面を内に(向かい合わせに)、他方を外になるようにすることを「中折り」とする。内となる(向かい合わせになる)シート面をシート内面103、外となる(背中合わせになる)シート面をシート外面104とする。また、シート外面104で接地するほうをシート外下面とする。
中折りの折り目に沿った方向を「シートSの幅方向」、中折りの折り目に沿った方向のシートSの長さを「シートSの幅」、とする。また、中折りの折り目に直交する方向を「シートSの長手方向」、中折りの折り目に直交する方向のシートSの長さを「シートSの長さ」、とする。
シートSの任意の位置に折り目をつけて、一方のシート面を内に、他方のシート面を外になるようにすることを単に「折り」とする。
中折りを施した後のシートを示す図1(b)の、左側の辺すなわち折り目側の外側の辺ことを折端105、右側の辺すなわち開く側の辺を開放端106とする。また、折端105と開放端106とをつなぐ両端辺を側端とし、折端105を前と考えて図1(b)の手前側の側端を左側端115、奥側の側端を右側端116とする。
同じく折りを施した後のシートを示す図1(c)で、折り目の左右の部分を、ページ111と112とする。ページの両面の各々を、ページ面107、108、109および110とする。ここではページ面110が上外側、ページ面109が上内側、ページ面108が下内側、ページ面107が下外側、の面である。上側ページであるページ111は、ページ面107と108とを表裏の面として有する。下側ページ112は、ページ面109と110とを表裏の面として有する。
図1(d)はいわゆる「Z折り」と呼ばれる折りかたを施されたシートを示す図である。これらの図で示すZ折りシートは、上側ページの中央付近を折り線として折端に平行に折り目をつけたものである。
中折りされたシートとは形状が異なるが、これも図の左側の辺すなわち中折り目側の外側の辺ことを折端113とし、右端の辺すなわち嵩張っていない側の辺を開放端114とする。
折りを施されたシートの下外側のページ面を平面に置いたときに、その平面に垂直な方向にシートが有する高さを、「シートの高さ」とする。折りを施されたシートの、高さが最大になる位置付近を膨らみ部分、シートの上下内面同士が接している部分を「潰れ部分」とする。
〔1−2〕シート束
図2(a)のシートS1、S2、S3・・・のように、折られず重ねた複数のシートのことをまとめて「シート束T」という。また、折られたシートの内面に、折られた他のシートの外面が向かい合わせになるよう入れ込まれた状態の複数のシートひとまとまりのことも、まとめてシート束Tという。
〔1−3〕シート山
図3(a)のように、下のシートSの折端の上に隣のシートSの折端側を重ねて積んだ複数のシート束を、まとめてシート山Pとする。
図3(b)のように、Z折りされた複数のシートSの折端側を略同じ方向へ向けて重ねて積んだひとまとまりもまとめてシート山Pと呼ぶ。
図3(c)と(d)のように、シート束Tの折端側を略同じ方向へ向けて重ねて積んだひとまとまりも、まとめてシート山Pと呼ぶ。
なお、シート山についても、折端が重畳されている側のことを折端(側)、開放端が重畳されている側のことを開放端(側)と呼ぶこととする。
〔2〕実施の形態
折端同士を重ねてトレイに重畳積載した複数部のシート束の山(=先のシート山)の、開放端に、次のシート山の折端が重なるよう積載する形態について以下説明する。
シート山とシート山とがずれて位置するだけなので、特許文献1が従来技術とした段落〔0293〕および図面〔図62〕の手法のように一枚一枚ずらした姿勢で置くための、積載枚数に応じた極端に長いフットプリントのトレイは必要ない。さらに、折端の潰れ具合によって積載姿勢が大きく変わるようなことも避けることができる。
そのためには、次に載置するシート束を、先のシート山に対して相対的にずれた位置におく必要がある。その手法としては、先のシート山をずらす(移動させる)手法や、次のシート束を置く位置をずらす手法などが考えられるが、以下、前者について具体的に述べていく。
図4を用いながら、この手法を詳述する。
図4(a)は、ベッド201(下面支持手段)へ順に重ねて置かれたシート束202、203、204が為すシート山206を示す。ここではベッド201の移動を見取りやすいよう、置かれるシート束がベッド201の載置面方向に有する速度を落してベッド201上に止めるガード205を設けたものを図示したが、シート束がそのような速度を持たなければガードは不要である。
ここで説明する手法では、ベッド201へシート束を与える元の位置を変えないこととする。これは、例えばベッド201へシート束を供給する口の位置が一定であるような状況に相当する。
ベッド201にある程度の高さ(枚数や束数などをパラメータとしてもよい)のシート山206が築かれたら、図4(b)のように、そのシート山206を折端のほうへずらす。このずらしは、図4のようにベッド201ごと移動させることでもよいし、ベッド201は移動させずベッド201に対して相対的にシート山を移動させることでもよい。
ずらす距離は、シート山206の長さより短くする。シート山206の長さは、シート束202、203、204の積み具合によって若干変わるが、およそシート束単体の長さと考えてよい。
ずらす距離をおおよそシート束の長さの三分の一以上にすれば、ずらしたシート山のふくらみ部分に次のシート束の折端が載らないようにできる。
シート山206を移動させた後に、シート束202をベッド201へ与えた元の位置と同じ位置から、シート束207をベッド201へ与える。すると図4(c)のように、シート束207の折端はシート山206の膨らみ部分を避けた位置に載る。
シート束208を与える位置もシート束207を与えた位置と同じ位置なので、シート束207があるところへシート山209が築かれることになる。
その結果、シート山の開放端に次のシート山の折端が重なるよう積載された状態が実現される。
また、図4に示したのは、シート山が崩れずにシート山が移動するモードであるが、シート山を為しているシート束同士の摩擦が小さい場合は、図5(a)のように形成したシート山をその折端が向いている方向へ移動させると、図5(b)のようにシート山を為していたシート束群が、上のシート束ほど慣性によって移動が遅れるためにずれて、シート束それぞれが下のシート束の潰れ部分に乗った姿勢となる。このようにシート山がきれいに崩れたのであれば、当然その後にさらにシート束をきれいに積載していくことができる。このようなモードを現れさせられると、移動の後はシート山の安定性を懸念する必要がなくなる、すなわちシート束群を安定した姿勢に保持することができる。
〔2−1〕先のシート山をずらす手法の実施形態1
図6を用いて、本手法の実施形態としてのシート積載装置310の構成を説明する。
シート積載装置310は、排出口300、外壁301、ベッド302(下面支持手段)、搬送路303、排出センサ304、ガード305、ラックギヤ306、ピニオンギヤ307、モータ308、ボタン309、載置センサ311および制御部312を備える。
排出口300は、例えばシート折り機などといった装置の外壁301に開いている。排出口300は、折りが施されたシートやシート束を、折端を先頭にしてベッド302へ排出する。排出口300は、搬送路303と接続する。
排出センサ304は、排出口300の、搬送路303と接続する側にある。排出センサ304は、排出口300から排出するシートやシート束の数を数えるためのセンサである。
ベッド302は、排出口300よりも下方にある。ベッド302の上面は、排出口300から排出されるシートやシート束を載置するための載置面である。ベッド302は排出口300がシート束を排出する方向へ水平に、外壁301から進退する。
ガード305は、排出口300から排出されるシート束を、ベッド302からオーバーランしないよう止める。ガード305は、シート束の折端と接する面が、ベッド302が外壁301へ退いたときに外壁301からシート束の長さ程度離れた位置になるような位置にあり、ベッド302と進退を共にする。
ベッド302の進退は、ベッド302の下面にあるラックギヤ306にかみ合うピニオンギヤ307を、モータ308が回すことによって行われる。
ボタン309は、ベッド302の載置面にシート束が載っていないときには載置面から突出していて、載置面に載るシート束に押さえつけられて載置面へ引っ込む。載置センサ311はボタン309が載置面から突出しているか載置面へ引っ込んでいるかを検出する。
制御部312は排出センサ304や載置センサ309の検出結果に基づいてモータ308を回す。制御部312は、排出口300から排出されるシート束の数をカウントする。制御部312は、排出センサ304でシート束を検出するたびにカウントをインクリメントし、カウントが3になると時間を置いてからモータ308を回してベッド302を進ませる。
制御部312は載置センサ309が、ボタン309が載置面へ引っ込んでいる状態から載置面から突出している状態へ遷移したことを検出すると、カウントを0に戻しかつモータ308を回してベッド302を退かせる。
図7乃至図12、および図15のフローチャートを用いて、シート積載装置310の動作を説明する。
図7は、中折りされたシート束のシート山がひと山できあがるまでの、シート積載装置310の概略を示す断面図である。
図7は、1つ目のシート束T1が搬送路303にある時の状態を示す図である。排出口300直前にある排出センサ304の前にシート束T1がさしかかると、制御部312がカウントルーチンの実行を開始する(ステップ350)。
図8は、1つ目のシート束T1がベッド302の載置面に載っている時の状態を示す図である。載置面に載ったシート束T1によって、ボタン309が載置面へ引っ込められる。ボタン309が載置面へ引っ込められている状態で次のシート束が排出口300直前にある排出センサ304の前にさしかかると(ステップ351のYes)、制御部312はカウントを一旦クリアせずにインクリメントして保持する(ステップ353)。
ボタン309が載置面へ引っ込められていない状態で次のシート束が排出口300直前にある排出センサ304の前にさしかかると(ステップ351のNo)、制御部312はカウントを一旦クリアして(0に戻して:ステップ352)から、インクリメントして保持する(ステップ353)。図7から図8に移行した時点でカウントは1となる。
図9は、2つ目のシート束T2と3つ目のシート束T3とが順にベッド302へ排出された直後の状態を示す図である。シート束T1の上にシート束T2とシート束T3が積まれて、1つめのシート山ができあがっている。シート束T1によってボタン309が載置面へ引っ込められている状態で、排出センサ304の前をシート束T2とT3が通り過ぎたので、制御部312がカウントを2度インクリメントして、この時点でカウントが3になっている。
カウントが3より小さい(閾値より小さい:ステップ354のNo)ときには、ベッド302を進ませずにカウントルーチンを終了する。カウントが3になった(閾値になった:ステップ354のYes)時から予め定められた時間を置いてから、図10に示すようにモータ308を回してベッド302を、排出口300から1つめのシート山が遠ざかるよう、ベッド302をS1の折端の向きに進ませる(ステップ355)。
予め定められた時間はおおよそ、4つ目のシート束T4が排出されるよりも早く、且つ3つ目のシート束T3が2つ目のシート束T2の上に積まれて落ち着くまでの長さとすればよい。3つ目のシート束T3を排出してから4つ目のシート束T4を排出するまでの時間を長くする(つまりシート束の排出間隔を変える)ことができるのであれば、シート束T4の排出時期を遅らせて、ベッド302が移動する時間を確保してもよい。
ベッド302を進ませる距離は、シート束の長さの3分の1程度から3分の2程度までもよい。もし、扱うシート束のコシが弱くて、折られたシート束の膨らみ部分が小さい場合は、ベッド302を進ませる距離はシート束の長さの3分の1以上に限らずもっと短くてもよい。要するに、次のシート山の膨らみ部分が、前のシート山の膨らみ部分と重なってしまい不安定にならない程度の距離ならよい。前のシート山の上に次のシート山が載っていないときに膨らみ部分となっていた部分が、次のシート山に載られて変形して潰れ部分となるのであれば、その変形する長さを見越して、ベッド302を進ませる距離を短く設定すればよい。
ただし、コシが強いシート束の山だと、膨らみ部分の上に次のシート束を載せるとバウンドしてしまい山崩れが起きることがあるので、次のシート山による前のシート山の潰れを期待した距離設計には若干の注意が必要である。当然、厚いシート束やコシが強いシート束などである場合はベッド302を進ませる距離を長くとり、薄いシート束やコシが弱いシート束などである場合はベッド302を進ませる距離を短くとる、といった、シート種類に応じた制御を行ってもよい。
図11は、4つ目のシート束T4と5つ目のシート束T5とが順にベッド302へ排出された直後の状態を示す図である。1つめのシート山の潰れ部分の上に、シート束T4とシート束T5とを含む2つめのシート山の折端が載っている。図11に示された状態の時点では、制御部312のカウントは5である。
1つめのシート山の潰れ部分が低いとはいっても、若干の厚みはあり、そこに折端を載せたかたちで支持される2つめのシート山は、折端が高く開放端が低い姿勢とならざるを得ず、1つめのシート山が安定する最大枚数と2つめのシート山が安定する最大枚数とは異なることもあり得る。そこで、1つめのシート山が含むシート束の数よりも2つめのシート山が含むシート束の数が少ない時点で、シート束の排出を止めるように設計してもよい。
また、この実施形態では2山めまでしか積まない形態しか説明しないが、2山めの潰れ部分に3つめのシート山をその折端が載るよう載置していく、n山めの潰れ部分にn+1山めの折端が載るよう載置していく、といった設計も可能であることはいうまでもない。
図12は、シート山をベッド302から取り除いた後の状態を示す図である。ボタン309が載置面へ引っ込んでいる状態から載置面から突出している状態へ遷移したあとなので、制御部312はカウントを0に戻す。また制御部312は、モータ308を回してベッド302を退かせる。
ベッド302は、図7の位置へと退かせればよい。しかし、例えばシート山を除去する前に、その直後に排出する新たなシート束の長さがこれまで排出したシート束の長さよりも長いことが分かるのであれば、図7の位置まで退かせず、新たなシート束の長さがベッド302に収まる距離までしか退かせないようにしたり、あるいは全く退かせないようにしたりしてもよい。
なお、シート山1つ分のシート束数は、2つや3つに限らずもっと多くてもよいし、逆に少なくてもよい。また、ベッド302を進退させる構造は、ラックアンドピニオンに限るものではなく、ウォームギヤ方式にしてもよく、その他どのような駆動方式を採用してもよい。
また、図10と図11に示したのは、シート山が崩れずにガード305と共に移動するモードであるが、シート山を為しているシート束同士の摩擦が小さい場合は、図13および図14のようにシート山を為していたシート束群がずれて、シート束それぞれが下のシート束の潰れ部分に乗った姿勢となる。このようなモードを現れさせられると、ガード305の移動の後はシート山の安定性を懸念する必要がなくなる、すなわちベッド303上でシート束群を安定した姿勢に保持することができる。
さらに図16や図17のように、ベッド302を、排出口303に近い側が高くなるよう傾斜させて配置させてもよい。こうすると、ベッド303のフットプリントは小さくなる。載置されるシート束群は、一番下のシート束はガード305によって折端が支持され、それより上に載るシート束はひとつ下のシート束の膨らみ部分によって滑落が防止されて、結果的にきれいに将棋倒し的に並んだ姿勢となる。さらに、載置されたシート束群は、ベッド303の傾斜によって傾斜の下方へ適度に圧されるので、ベッド303が水平である場合よりもひとつひとつのシート束の載置状態が飛躍的に安定するばかりか、載置可能束数もさらに増加する。
特許文献2が開示する技術は、傾斜面を落下してくるシートに対して束規制手段が水平面上を進退するだけなので、シート束群を並べていくと列の途中で載置姿勢が変わってしまいシート束の滑落が妨げることがないので、上記のような効果は得られない。
〔2−2〕先のシート山をずらす手法の実施形態2
実施の形態2として、シート山の重さを利用してシート山をずらす形態を説明するが、その前により理解が容易になるよう、シート束ひとつひとつを各々の重さでずらしていく手法について説明する。
〔2−2−1〕シート束の重さでずらす手法の基本的説明
図18を用いて、シート束の重さでガードを移動させる構造のシート積載装置400の構成を説明する。
シート積載装置400は、排出口401、外壁402、ベッド403(下面支持手段)、搬送路404、ガード405およびバネ406を備える。
排出口401は、例えばシート折り機などといった装置の外壁402に開いている。排出口401は、折りが施されたシートやシート束を、折端を先頭にしてベッド403へ排出する。排出口401は搬送路404と接続している。
ベッド403は、排出口401よりも下方にあり、排出口401に近い側が高く遠い側が低くなるよう上面が傾斜している。
ガード405は、ベッド403の斜面を滑り落ちようとするシート束の折端と接する。ガード405はベッド403の上面の傾斜に沿って平行移動する。ガード405の幅は、シート束の折端の幅方向中央から両側へ、ハガキサイズの短辺の半分程度ずつの長さである。
ここでは図19のように、ガード405を、ベッド403と平行な面を有しガード405と同じ幅であるベースプレート407と移動を共にするように接続しているよう描く。ベースプレート407のように、ガード405の移動方向に長さを有する構造物に、その方向にローラ408および409を離して並べて配置することは、ガード405の移動姿勢や移動のスムースさを保つことに対して有効である。ベースプレート407はローラ408および409を介してスロープ412に支持される。ローラ408および409は、スロープ412の傾斜方向に沿って破線で示された路を転動する。ベースプレート407はローラ408のおかげでスロープ412に沿ってスムースに移動することができる。
ベッドカバー413は、スロープ412の斜面の、ベースプレート407に覆われる部分以外を覆う。ベッドカバー413の上面の、スロープ412の斜面からの高さはおおよそ、スロープ412の斜面からベースプレート407の上面までの高さと同じである。ベッドカバー413はスロープ412へ固定される。
またベースプレート407は、スロープ412の斜面に垂直な回転軸まわりに回転するローラ410および411を有する。ローラ410および411は、ベッドカバー413が有する、スロープ412の斜面に垂直なガイド壁に当接して転動する。ガイド壁がローラ410および411とを支持し、ベースプレート407がスロープ412の斜面上の移動すべき方向以外の方向へずれるのを防ぐ。
図19のようにガード405の中央に上下方向に伸びる溝415を設けると、シート束折辺上の2点を溝415の両脇で支えることができ、シート束の積載状態の安定をさらに期待できる。また、ガード405とシート束折辺との間に指を入れたり爪をひっかけたりすることができるようになり、シート束の除去が一層容易になる。
もちろんガード405の構成はこれに限るものではなく、図20のように、ベースプレート407に代えてビーム414をガード405に取り付けてこれにローラ408乃至411を取り付けてもよい。図20ではビーム414がベッドカバー413の下に隠れ、ガード405がスロープ412の斜面に沿って下降すると露出する。
バネ406は、ガード405を外壁402のほうへ付勢する。ガード405は、ベッド403の上面に載置されたシート束の重みでベッド403の傾斜の下方へ押される。
ガード405は、ベッド403の上面に載置されたシート束の数が多いほど、ベッド403の傾斜の下方へ、外壁402から遠く離れる。
図21乃至図23を用いて、シート積載装置400の動作を説明する。
図21は、1つ目のシート束T1が搬送路404にある時の状態を示す図である。この時点で、ガード405はバネ406の力によって排出口401のほうへ引き付けられており、ガード405が採り得る位置のうち排出口401へ最も近い位置にある。
図22は、1つ目のシート束T1がベッド403の載置面に載っている時の状態を示す図である。載置面に載ったシート束T1の重さによって、ガード405がベッド403の斜面に沿う方向の下方へ押され、バネ406が伸ばされて、ガード405が斜面に沿う方向の下方へ変位する。
図23は、1つ目のシート束T1から5つ目のシート束T5までが順にベッド403へ排出された直後の状態を示す図である。載置面に載ったシート束が多いほど、それらの重さでバネ406が伸ばされて、ガード405の斜面に沿う方向の下方への変位量が増える。つまり、ガード405と外壁402との間の距離が伸びて、そこへ互いにずらして重ねて置けるシート束数が増える。シートサイズが大きくなれば、シート1枚の重さも大きくなるので、1枚に対するバネ406の伸び量も増えて、ガード405と外壁402との間の距離もより長くなる。
ガード405と外壁402との間の距離が多少長くて、排出口401から排出されたシート束が直接、既に排出されたシート束の上に載らなくても問題ない。なぜならば、シート束はベッド403の傾斜を滑り落ちるからである。ベッド403の傾斜角度を適性に設計することによって、滑り落ちるシート束は、先に排出されたシート束の膨らみ部分へ乗り上げようとすることで減速されて、直接ガード405へ衝突しない。そして、先に排出されたシート束の潰れ部分に、後に排出されたシート束の膨らみ部分が載るよう重なった姿勢になる。ベッド403の傾斜角度が大きすぎると、先に排出されたシート束の潰れ部分を、後に排出されたシート束が乗り越えてしまい、ずらし積載が実現しない。したがって、ベッド403の傾斜角度は、先に排出されたシート束の潰れ部分に、膨らみ部分が載るよう重なった姿勢で後に排出されたシート束が停止する程度に、設計されるべきである。
〔2−2−2〕シート山の重さでずらす手法の例
シート山の重さを利用してシート山をずらす形態を説明する。
図24に示すシート積載装置500は、図18のシート積載装置400が備える排出口401、外壁402、ベッド403、搬送路404、ガード405およびバネ406にそれぞれ相当する、排出口501、外壁502、ベッド503、搬送路504、ガード505およびバネ506を備える。そしてシート積載装置500はさらに、磁石507と鉄板508を備える。
ただし、ここではバネ506はあまり強いものでなくてよく、ガード505をベッド503の傾斜の上方へ引き付ける程度の力が生み出せればよい。
ガード505の可動範囲は、シート束折端と接するガード505の面が外壁501からベッド503の斜面に沿った方向にシート束の長さ程度離れた位置から、シート束の長さの3分の1程度乃至3分の2程度まで離れた位置まで、とすればよい。もし、扱うシート束のコシが弱くて、折られたシート束の膨らみ部分が小さい場合は、シート束の長さの3分の1以上程度とは限らずもっと短くてもよい。要するに、次のシート山の膨らみ部分が、前のシート山の膨らみ部分と重なってしまい不安定にならない程度の距離ならよいのである。前のシート山の上に次のシート山が載っていないときに膨らみ部分となっていた部分が、次のシート山に載られて変形して潰れ部分となるのであれば、その変形する長さを見越して、ガード505を進ませる距離を短く設定すればよい。
ただし、コシが強いシート束の山だと、膨らみ部分の上に次のシート束を載せるとバウンドしてしまい山崩れが起きることがあるので、次のシート山による前のシート山の潰れを期待した距離設計には若干の注意が必要である。
磁石507はガード505に固定されている。鉄板508はベッド503に固定されている。磁石507はその磁力で鉄板508を吸引し、ベッド503の上面に載置されたシート束の重みがある程度になるまでは、ガード505がベッド503の傾斜の下方へ下がるのを妨げる。また、磁石507が鉄板508を吸引する力は、ベッド503の上面に載置されたシート束の重みがある程度を超えると、ガード505がベッド503の傾斜の下方へ下がろうとする力に抗いきれなくなる。つまり、ベッド503の上面に載置されたシート束がある程度の量を超えると、ガード505がベッド503の傾斜の下方へ一気に下がることになる。
図25乃至図28を用いて、シート積載装置500の動作を説明する。
図25は、1つ目のシート束T1が搬送路504にある時の状態を示す図である。この時点で、磁石507の吸引力とバネ506の力とがガード505を排出口501のほうへ引き付けて保持しており、ガード505は採り得る位置のうち排出口501へ最も近い位置にある。
図26は、1つ目のシート束T1と2つ目のシート束T2が順にベッド503の載置面へ載った後の状態を示す図である。載置面に載ったシート束T1およびT2の重さに、磁石507の吸引力とバネ506の力とが耐えて、この時点ではガード505の位置が変わっていない。そのため、シート束T1の上にシート束T2が載ってシート山ができあがっていく。
図27は、シート束T1とT2とを含むシート山の上に3つ目のシート束T3が排出された後の状態を示す図である。シート山にシート束T3が載ると、3束のシート束の重さに磁石507の吸引力とバネ506の力とが耐えきれなくなり、シート束T1とT2とT3を含むシート山もろともガード505が下がり始め、このシート山の開放端に次のシート束の折端が重なるようになる。
このように、シート山が出来あがってから、そのシート山の開放端にこの後排出されるシート束の折端が重なる位置へ移動させることによって、このシート山の開放端にこのあと次のシート山の折端が重なるよう積載する準備ができる。図28は、シート山をずらした後に排出されたシート束T4とT5を含む次のシート山の折端が、先のシート山の開放端に重なって載置されている状態を示すものである。
2つのシート山をベッド503から取り除けば、バネ506の力によってガード505が図25に示した位置へ戻る。
なお、図27におけるガード505の下がり始めに、例えば最大可動位置まで下がりきってしまってもよいし、そこまで下がりきらず途中までで止めるように設計してもよい。どちらにするかは、例えばバネ506のバネ強さを、前者であれば弱く、後者であれば強く、設計すればよい。
また、図27と図28に示したのは、シート山が崩れずにガード505と共にベッド503の斜面に沿って下降するモードであるが、シート山を為しているシート束同士の摩擦が小さい場合は、図29のようにシート山を為していたシート束群がずれて、シート束それぞれが下のシート束の潰れ部分に乗った姿勢となる。その後、図30に示すように、シート山をずらした後に排出されるシート束T4とT5のそれぞれの折端が、先のシート束の開放端に重なって載置される。このようなモードを現れさせられると、ガード505の移動の後はシート山の安定性を懸念する必要がなくなる、すなわちベッド503上でシート束群を安定した姿勢に保持することができる。
また、磁石507を電磁石とし、図6等を用いて説明したシート積載装置310の排出センサ304、ボタン309、載置センサ311を設け、さらに制御部312に行わせる図15に示したカウントルーチンのステップ355を電磁石の磁力の解除(当然、ステップ355を実行する前は電磁石の磁力を発揮させる)としてもよい。もちろん、電磁石の磁力を発揮させると係止が解除されるような係止機構によってガード505を係止しておくような構成にすることは、いわゆる当業者にとっては容易に置換しうることである。
〔2−2−3〕シート山の重さでずらす手法の変形例1
図31に示すシート積載装置600は、図24のシート積載装置500が備える排出口501、外壁502、ベッド503、搬送路504、ガード505、バネ506、磁石507および鉄板508にそれぞれ相当する、排出口601、外壁602、ベッド603、搬送路604、ガード605、バネ606、磁石607および鉄板608を備える。
この例のガード605のベースプレート609は、ガード605が支持するシート束の折端に沿う方向を峰とする丘を有する。図32(a)はその側面図である。ガード605のシート束折端と接する面から峰までの、ガード605移動方向の距離Lpは、シート束の長さの半分以下とするとよい。もし、排出口601から複数種類のシートサイズのシート束が排出されるのであればそのうち最大のシートサイズのシート束の長さの半分以下とすればよい。
この、ガード605のシート束折端と接する面から峰までの間に、最初に載置されるシート束の膨らみ部分が収まる。本例の峰はベースプレート609の幅方向にその全幅にわたって続く。もちろん、本例とは違った、例えば幅方向にその全幅にわたって続かず複数の頂を持つかたちでもよい。要するに、シート束の下面を支持する箇所にガード605が支持するシート束の折端に直交する方向からみて頂を有する形状であればよい。
峰の、斜面に沿う方向でいう下方側(谷側:すなわちLpの区間)の面は、斜面に沿う方向でいう上方側(山側)の面よりも傾斜がきつい(急である)。丘の谷側の斜面がベッド603の傾斜よりきついので、ガード605と為す谷に向かってシート束の折端がより落ちやすい。そのため、シート束の折端がガード605に当接した姿勢で停止する確率がより高くなり、シート束がより安定しやすい。
峰が、最初に載置されるシート束の折端付近が着地する位置よりも排出口601に近い側にあると、ガード605と為す谷に向かってシート束の折端がさらに落ちやすい。逆に峰が、最初に載置されるシート束の折端付近が着地する位置よりも、排出口601から遠い側にあると、排出口601から排出されたシート束の速度が峰の山側の抵抗で減速されてしまい、排出口601から排出されたシート束の折端付近が着地する地点よりも、シート束の折端がガード605に当接しない姿勢で停止する可能性が高くなってしまう。そうならないよう、排出口601から排出するシート束に与える速度を遅くしすぎないように設計することが重要である。
丘は、最初に載置されるシート束の上外面が上に凸な姿勢あるいは平らな姿勢となるよう十分な高さを有する。もちろん、図32(b)のように丘をさらに高くして2番目に載置されるシート束の上外面までも上に凸な姿勢あるいは平らな姿勢とさせてもよいし、さらに多くのシート束を重ねた後にもそのシート束群のうち最上部に置かれたシート束の上外面までも上に凸な姿勢あるいは平らな姿勢とさせるほど高くしてもよい。これは、載置されているシート束の膨らみ部分に次のシート束がひっ掛かってその折端がガード605に当接する前に停止してしまうのを避けるためである。
丘の山側の面は、図32(c)のようにベッド603の上面に対して交差する形状としてもよい。そうするとシート束を、その開放端側の両角がよりベッド603に近い姿勢とすることができる。その結果、ベースプレート609よりも幅広いベッド603に開放端側の両角が支持されるので、シート束がさらに安定する。
もちろん、図32(d)や図32(e)のように、丘の山側の端部を、ベッド603の上面よりも上にしてもよい。そうするとシート束の開放端側の両角がベッド603に触れることを避けられ、シート束とベッド603との間の摩擦が、ガード605と共にシート束が移動することを妨げてしまうのを防止することができる。
図33乃至図36を用いてシート積載装置600の動作を説明する。
図33は、1つ目のシート束T1が搬送路604にある時の状態を示す図である。この時点で、磁石607の吸引力とバネ606の力とがガード605を排出口601のほうへ引き付けて保持しており、ガード605は採り得る位置のうち排出口601へ最も近い位置にある。
図34は、1つ目のシート束T1と2つ目のシート束T2と3つ目のシート束T3とが順にベッド603の載置面へ載った後の状態を示す図である。載置面に載った3つのシート束の重さに、磁石607の吸引力とバネ606の力とが耐えて、この時点ではガード605の位置が変わっていない。そのため、シート束T1の上にシート束T2およびシート束T3が載ってシート山が出来あがっていく。ベースプレート609が有する丘があることによって、シート束T2の上外面が上に凸な姿勢となっているため、その上のシート束T3がより安定し、その結果シート山全体がより安定しやすい。
図35は、シート束T1とシート束T2とシート束T3とを含むシート山の上に4つ目のシート束T4が排出された後の状態を示す図である。シート山にシート束T4が載ると、4束のシート束の重さに磁石607の吸引力とバネ606の力とが耐えきれなくなり、シート束T1、T2、T3およびT4を含むシート山もろともガード605が下がり始め、このシート山の開放端に次のシート束の折端が重なるようになる。図27のシート束T3の反りと比べると、図35のシート束T3の反りのほうが小さいことから、ベースプレート609に丘を設けたほうがシート山がより安定することが理解できる。
このように、シート山が出来あがってから、そのシート山の開放端にこの後排出されるシート束の折端が重なる位置へ移動させることによって、このシート山の開放端にこのあと次のシート山の折端が重なるよう積載する準備ができる。図36は、シート山をずらした後に排出されたシート束T5、T6、T7を含む次のシート山の折端が、先のシート山の開放端に重なって載置されている状態を示す図である。
2つのシート山をベッド603から取り除けば、バネ606の力によってガード605が図33に示した位置へ戻る。
なお、図35と図36に示したのは、シート山が崩れずにガード605と共にベッド603の斜面に沿って下降するモードであるが、シート山を為しているシート束同士の摩擦が小さい場合は、図37のようにシート山を為していたシート束群がずれて、シート束それぞれが下のシート束の潰れ部分に乗った姿勢となる。その後、図38に示すように、シート山をずらした後に排出されるシート束T4とT5のそれぞれの折端が、先のシート束の開放端に重なって載置される。このようなモードを現れさせられると、ガード605の移動の後はシート山の安定性を懸念する必要がなくなる、すなわちベッド603上でシート束群を安定した姿勢に保持することができる。
〔2−2−4〕シート山の重さでずらす手法の変形例2
図39に示すシート積載装置700は、図31のシート積載装置600が備える排出口601、外壁602、ベッド603、搬送路604およびバネ606にそれぞれ相当する、排出口701、外壁702、ベッド703、搬送路704およびバネ706を備える。
また、シート積載装置700は、図31のシート積載装置600が備えるのとは異なる構成のガード705を備える。そしてシート積載装置700はさらに、図40に示すシート積載装置700のガード705の透視図のように、ストッパ707とレバー707とレバーアーム709を備える。
この例のガード705は、ガード705が支持するシート束の折端に沿う方向の中央部に、その方向を軸として回動するレバー707を有する。
レバー707は、ガード705が支え得るシート山の高さよりも高い位置まで伸びていて、ガード705の上端よりもシート山が高くなると、そのシート山の最上部のシート束が滑り落ちる運動によって押されて回動し、ガード705のシート束の折端と接する面よりも凹んだ姿勢となる。レバー707の上端付近は、ガード705のシート束の折端と接する面よりも凹んだ姿勢となったときに、レバー707を押したシート束が、ガード705のシート束の折端と接する面を過ぎてしまいシート山が不安定な形状になってしまわないよう、ガード705のシート束の折端と接する面側に突き出るよう屈折した形状となっている。
レバー707の下端は、ベッド703の傾斜の上方へと伸びるレバーアーム709に接続している。レバーアーム709の、ベッド703の傾斜に沿う方向の上方先端付近が、ベッド703に固定されたストッパ708にひっかかる。レバー707の上端付近が、シート山の最上部のシート束によって押されて回動しガード705のシート束の折端と接する面よりも凹んだ姿勢となると、レバーアーム709の上方先端がストッパ708から外れる。
たとえばこのように設計すれば、ベッド703の上面に載置されたシート束がある程度の高さを超えると、ガード705がベッド703の傾斜の下方へ一気に下がるようにすることができる。
図41乃至図44を用いて、シート積載装置700の動作を説明する。
図41は、1つ目のシート束T1が搬送路704にある時の状態を示す図である。この時点ではレバーアーム709が、ベッド703に固定されたストッパ708にひっ掛かっていて、ガード705は採り得る位置のうち排出口701へ最も近い位置に保持されている。
図42は、1つ目のシート束T1と2つ目のシート束T2が順にベッド703の載置面へ載った後の状態を示す図である。載置面に載ったシート束T1およびT2の重さによってガード705が斜面の下方へ移動するのを、ストッパ708にひっ掛かっているレバーアーム709が防いでいる。したがってこの時点ではガード705の位置が変わっていない。そのため、このあとシート束T1およびT2の上にさらにシート束が載っていく。
図43は、シート束T1とT2とを含むシート山の上に3つ目のシート束T3が排出された後の状態を示す図である。既にシート束T1とT2とを含むシート山は高くなっており、その上に載るシート束T3は、ガード705より高い位置を滑り落ちてレバー707を押す。するとレバー707と共に回動するレバーアーム709がストッパ708から外れる。レバーアーム709とストッパ708との係止によって支持されていたガード705は、その支持を失って、シート束T1とT2とT3を含むシート山もろとも下がり始め、このシート山の開放端に次のシート束の折端が重なるようになる。
このように、シート山が出来あがってから、そのシート山の開放端にこの後排出されるシート束の折端が重なる位置へ移動させることによって、このシート山の開放端にこのあと次のシート山の折端が重なるよう積載する準備ができる。図44は、シート山をずらした後に排出されたシート束T4とT5とT6を含む次のシート山の折端が、先のシート山の開放端に重なって載置されている状態を示すものである。
2つのシート山をベッド703から取り除けば、バネ706の力によってガード705が図41に示した位置へ戻る。
なお、図43と図44に示したのは、シート山が崩れずにガード705と共にベッド703の斜面に沿って下降するモードであるが、シート山を為しているシート束同士の摩擦が小さい場合は、図45のようにシート山を為していたシート束群がずれて、シート束それぞれが下のシート束の潰れ部分に乗った姿勢となる。その後、図46に示すように、シート山をずらした後に排出されるシート束T4、T5、T6のそれぞれの折端が、先のシート束の開放端に重なって載置される。このようなモードを現れさせられると、ガード705の移動の後はシート山の安定性を懸念する必要がなくなる、すなわちベッド703上でシート束群を安定した姿勢に保持することができる。
〔2−2−5〕シート山の高さでずらす手法の変形例3
図47に示すシート積載装置800は、図31のシート積載装置600が備える排出口601、外壁602、ベッド603、搬送路604およびバネ606にそれぞれ相当する、排出口801、外壁802、ベッド803、搬送路804およびバネ806を備える。
また、シート積載装置800は、ストッパアーム807と、タング(緩衝部材)812と、図48に示すように、図31のシート積載装置600が備えるのとは異なる構成のガード805とを備える。
この例のガード805の上辺の、ガード805が支持するシート束の折端に沿う方向の中央部は、その左右の部分よりも高い、突起808になっている。以下、ガード805の上端は突起808の上端でなく、突起808より低い、突起808の左右の部分とする。
その突起808を外壁802へ係止するのがストッパアーム807である。ストッパアーム807の根元は外壁802に固定されたサポート810に支持される軸809まわりに回動する。ストッパアーム807は下面が開放された空間を抱くバスタブ形状に成形されている。ストッパアーム807の先端内側の、ガード805が支持するシート束の折端に沿う方向の中央部に、フック状のリブ811が成形されている。
ストッパアーム807の、リブ811の左右の壁は、リブ811の切り欠き部分を埋めたようなシルエットである。この左右の壁は、リブ811が突起808に掛かっているときに突起808の左右を覆い、ストッパアーム807が左右方向へずれるのを防ぐ。またこの左右の壁は、リブ811が突起808に掛かっているときに、ストッパアーム807の根元から突起808へ近づくにつれてベッド803の傾斜した上面に近づいていくシルエットを有する。
ガード805の上端よりもシート山が高くなると、そのシート山の最上部へと滑り落ちてくる次のシート束が、ストッパアーム807の、ベッド803の上面から遠い根元のほうからスムースに、シート山とストッパアーム807との間に入っていく。ストッパアーム807の左右の壁が、ストッパアーム807の根元から突起808へ近づくにつれてベッド803の傾斜した上面に近づいていくシルエットを有するので、その間はシート束の進行方向へだんだんと狭くなっていく。そのため、その間を進んでいくシート束の膨らみ部分がストッパアーム807を押し上げて、リブ811を突起808から外す。
たとえばこのように設計すれば、ベッド803の上面に載置されたシート束がある程度の高さを超えると、ガード805がベッド803の傾斜の下方へ一気に下がるようにすることができる。
さらに、ストッパアーム807の左右の壁は、リブ811が突起808に掛かっているときに、ストッパアーム807の先端から突起808へ近づくにつれてベッド803の傾斜した上面に近づいていくシルエットを有する。つまり、ガード805がバネ806によって引き上げられる向きに対して、ストッパアーム807の先端付近が正の迎え角を有するのである。そのおかげで、ベッド803に載置されたシート山が取り除かれてガード805が待機位置へ復帰するときにガード805がストッパアーム807の先端付近を押し上げる。そしてガード805がさらに上昇すると、リブ811が突起808に掛かる。
タング812は、排出口801から排出されるシート束の進行方向に対して迎え角を有し、当たるシート束の勢いを殺して、シート束がストッパアーム807の下辺に直接に衝突するのを防ぐ。
この例のタング812は、ストッパアーム807が回動する軸809まわりに回動する。タング812は、バスタブ形状のストッパアーム807が抱く空間を出入りするよう回動する。タング812は、下に凸な弧を有している。この弧の部分が、バスタブ形状のストッパアーム807の下辺から下へはみ出し、弧の排出口801に面する面が、排出口801から排出されるシート束の進行方向に対して迎え角を有する面を為す。バネ813が突っ張って、タング812を、ストッパアーム807から押し出している。
図49および図64を用いて、シート積載装置800の動作を説明する。
図49は、1つ目のシート束T1が搬送路804にある時の状態を示す図である。この時点では、ストッパアーム807が、突起808にひっ掛かっていて、ガード805は採り得る位置のうち排出口801へ最も近い位置に保持されている。
図50は、1つ目のシート束T1が排出口801から排出される時の状態を示す図である。シート束T1がタング812に当たって、タング812を上へ押し上げる。その反動でシート束T1の勢いが弱まる。その結果、シート束T1が落下してもベッド803上でばたつくことが減る。
図51は、1つ目のシート束T1と2つ目のシート束T2と3つ目のシート束T3とが順にベッド803の載置面へ載った後の状態を示す図である。載置面に載ったシート束T1、T2およびT3の重さによってガード805が斜面の下方へ移動するのを、突起808にひっ掛かっているストッパアーム807が防いでいる。したがって、この時点ではガード805の位置が変わっていない。そのため、このあとシート束T1、T2およびT3の上にさらにシート束が載っていく。
図52は、シート束T1とT2とT3とを含むシート山の上へ4つ目のシート束T4が排出口801から排出される時の状態を示す図である。シート束T4がタング812に当たって、タング812を上へ押し上げる。その反動でシート束T4の勢いが弱まる。その結果、シート束T4が落下してもシート山上でばたつくことが減る。
図53は、シート束T1とT2とT3を含むシート山の上に4つ目のシート束T4が排出された後の状態を示す図である。既にシート山は高くなっており、その上に載るシート束T4はガード805より高い位置を滑り落ちてストッパアーム807を押し上げる。するとストッパアーム807が突起808から外れる。ストッパアーム807と突起808との係止によって支持されていたガード805は、その支持を失って、シート束T1、T2、T3およびT4を含むシート山もろとも下がり始め、このシート山の開放端に次のシート束の折端が重なるようになる。
このように、シート山が出来あがってから、そのシート山の開放端にこの後排出されるシート束の折端が重なる位置へ移動させることによって、この後このシート山の開放端に次のシート山の折端が重なるよう積載する準備ができる。図54は、シート山をずらした後に排出されたシート束T5とT6とT7を含む次のシート山の折端が、先のシート山の開放端に重なって載置されている状態を示すものである。
2つのシート山をベッド803から取り除けば、バネ806の力によってガード805が図49に示した位置へ戻る。
なお、図53と図54に示したのは、シート山が崩れずにガード805と共にベッド803の斜面に沿って下降するモードであるが、シート山を為しているシート束同士の摩擦が小さい場合は、図55のようにシート山を為していたシート束群がずれて、シート束それぞれが下のシート束の潰れ部分に乗った姿勢となる。また、この後さらに図56のように、シート山をずらした後に排出されたシート束T5とT6を含む次のシート山の折端が、先のシート山の開放端に重なって載置されていく。このようなモードを現れさせられると、ガード805の移動の後はシート山の安定性を懸念する必要がなくなる、すなわちベッド803上でシート束群を安定した姿勢に保持することができる。
〔2−2−6〕シート山の高さでずらす手法の変形例4
図57に示すシート積載装置900は、図57のシート積載装置800が備える排出口801、外壁802、ベッド803、搬送路804、バネ806、サポート810、タング812およびバネ813にそれぞれ相当する、排出口901、外壁902、ベッド903、搬送路904、バネ906、サポート910、タング912およびバネ913を備える。
また、シート積載装置900は、アッパーアーム907と、フォアアーム908と、図47のシート積載装置800が備えるのとは異なる構成のガード905とを備える。
アッパーアーム907の根元は、外壁902に固定されたサポート910に支持される軸909まわりに回動する。アッパーアーム907は、下面が開放された空間を抱くバスタブ形状に成形されている。タング912は、バスタブ形状のアッパーアーム907が抱く空間を出入りするよう回動する。
アッパーアーム907は、その先端付近に軸914を支持する。この軸914回りに、フォアアーム908が回動する。アッパーアーム907が支持する軸914は、この軸914とサポート910が支持する軸909とを結ぶ直線をベッド903の上面に対して平行にしたときに、ベッド903の上面に垂直な方向において、ガード905に接続しているベースプレート915の上端より下で、且つガード905が採り得る位置のうち排出口901へ最も近い位置にあるときのベースプレート915の峰よりも上の区間の上方にある。
アッパーアーム907の軸909側の端面には、軸909を中心とした円弧から突き出た突起917がある。この突起917がサポート910の天井にひっ掛かることによって、軸909と軸914とを結ぶ直線がベッド903の斜面に対して平行な状態よりも軸914側が近づく方向に回動することが防止される。
シート積載装置900の、ガード905の移動方向に平行な鉛直面断面図である図58にも示すように、ガード905が接続しているベースプレート915は、ガード905が支持するシート束の折端に沿う方向を峰とする丘を有する。この丘の山側の面の、峰に沿う方向における中央部は、窪んでいる。窪みの底は、ガード905の移動方向に対してほぼ平行な床面となっている。窪みの峰側の端は、ガード905の移動方向に対して切り立った崖のようになっている。
この窪みに、アッパーアーム907が支持する軸914から垂れたフォアアーム908の下端が嵌る。フォアアーム908の下端がベッド903の傾斜方向の上方へ上がるよう、フォアアーム908は軸914まわりに付勢されている。一方、その付勢力によってフォアアーム908の下端がベッド903の傾斜方向の上方へ上がり過ぎないように、アッパーアーム907の上側の壁にひっかかる突起916が、フォアアーム908の軸914を中心とする円弧面から突き出ている。付勢力によってフォアアーム908の下端がベッド903の傾斜方向の上方へ上がり過ぎた状態とは、例えばフォアアーム908の下端がベースプレート915の山側の斜面より上に巻き上がった状態、すなわちフォアアーム908の下端とベースプレート915との間にシート束が入り込んでしまうような隙間ができた状態である。
フォアアーム908は、シート束が積載されていないときには、一点鎖線で示す姿勢P1を採っていて、窪みの峰側の端の崖から離間して崖との摩擦による磨耗を避けている。
フォアアーム908は、峰の山側に積載されたシート束によって、排出口901に面する面(裏面)を押されて、ガード905に面する面(おもて面)が窪みの峰側の端の崖に当接する。もちろん、峰の山側に積載されたシート束によって押されて崖に当たるときに生じる音が気になるのであれば、シート束が積載されていない時にも崖と当接するよう設計してもよいし、崖に緩衝材を付随させてもよい。
フォアアーム908は、ガード905が採り得る位置のうち排出口901へ最も近い位置にあるときのベースプレート915の崖に先端が接する姿勢においては、その裏面が、ガード905の移動方向に対して垂直、あるいは垂直よりもややガード905側に倒れた角度であることが望ましい。さらに言えば、峰の山側に積載されたシート束の重みによってガード905の裏面が押されてベースプレート915が下降していってフォアアーム908の下端が崖から外れるまさにそのときに、フォアアーム908の裏面が、ガード905の移動方向に対して垂直であることがより望ましい。しかしながら、必ずしもこの角度にこだわる必要はない。
フォアアーム908の裏面によって堰き止められるシート束の長さが小さい場合に、シート束の折端と開放端との落差があまりに大きいと、開放端が開いてしまうことがある。しかし、ベースプレート915に丘を設けることによって、その丘の山側の斜面がベッド903の傾斜角度よりも緩い傾斜になってシート束の折端と開放端との落差を小さくさせられるので、シート束の上側のページが持ち上がるのを抑制することができる。
図59乃至図65を用いて、シート積載装置900の動作を説明する。
図59は、1つ目のシート束T1が搬送路904にある時の状態を示す図である。この時点では、アッパーアーム907の軸909と軸914とを結ぶ直線がベッド903の斜面に対して平行な状態にあり、フォアアーム908が、ベースプレート915の丘の崖にひっかかっている。また、ガード905はバネ906の力によって、採り得る位置のうち排出口901へ最も近い位置に保持されている。
図60は、1つ目のシート束T1と2つ目のシート束T2と3つ目のシート束T3とが、順にベッド903の載置面へ載った後の状態を示す図である。ベースプレート915の崖にひっ掛かっているフォアアーム908の裏面にシート束T1、T2およびT3それぞれの折端が当接する。
シート束T1の折端が当接する位置は軸914から遠いので、シート束T1がベッド903の載置面へ載ったときのガード905の下降距離は大きい。しかし、シート束T2の折端が当接する位置は軸914へより近いので、シート束T2がフォアアーム908へ軸914まわりに与えるモーメントはより小さく、それによるガード905の下降距離はより小さい。また、シート束T3の折端が当接する位置は軸914へさらに近いので、シート束T3がフォアアーム908へ軸914まわりに与えるモーメントはさらに小さく、それによるガード905の下降距離はさらに小さい。つまり、シート束を乗せるほど、1シート束毎のガード905の下降量が小さくなっていくことになる。シート山が高くなるほどその上にシート束を乗せると不安定になりがちであるが、このようにシート束を乗せるほど1シート束毎のガード905の下降量を小さくしていくことによって、ガード905の下降に伴うシート山の移動のせいでシート山がくずれてしまうのを避けることができる。
載置面に載ったシート束T1、T2およびT3の重さによって軸914まわりに回転させられたフォアアーム908が、ひっかかっている崖を押すので、ガード905が斜面の下方へ移動するが、いまだフォアアーム908は崖から外れない。そのため、このあとシート束T1、T2およびT3の上にさらにシート束が載っていく。
図61は、シート束T1とT2とT3とを含むシート山の上に4つ目のシート束T4が排出された後の状態を示す図である。既にシート山は高くなっており、その上に載るシート束T4はシート山の上を滑り落ちてアッパーアーム907を押し上げる。するとアッパーアーム907の上昇に引っ張られてフォアアーム908がベースプレート915の崖から外れる。
この図61ではシート束T4がアッパーアーム907を押し上げるモードを示したが、フォアアーム908が崖から外れるモードはそれだけではない。フォアアーム908は、例えば、シート山に乗った次のシート束の重さによってガード905が、ベッド903の斜面の下方へ移動して、崖の上端から軸914までの長さが十分に長くなってしまえば、崖から外れる。
図62は、フォアアーム908がベースプレート915の崖から外れた後の状態を示す図、図63はさらにその後の状態を示す図である。フォアアーム908によって支持されていたシート山が滑り落ちて、ガード905に当たる。ガード905は、シート山の重さをすべて受けることになりさらに下方へ下降する。
このように、シート山が出来あがってから、そのシート山の開放端にこの後排出されるシート束の折端が重なる位置へ移動させることによって、この後このシート山の開放端に次のシート山の折端が重なるよう積載する準備ができる。図64は、シート山をずらした後に排出されたシート束T5とT6とT7を含む次のシート山の折端が、先のシート山の開放端に重なって載置されている状態を示すものである。
2つのシート山をベッド903から取り除けば、図65のように、軸914まわりに加えられている付勢力によってフォアアーム908が排出口901のほうへ巻き上げられ、且つガード905がベッド903の傾斜の上方へ引き上げられて、図59に示した位置へ戻る。
なお、図62、図63および図64に示したのは、シート山が崩れずにガード905と共にベッド903の斜面に沿って下降するモードであるが、シート山を為しているシート束同士の摩擦が小さい場合は、図66のようにシート山を為していたシート束群がずれて、シート束それぞれが下のシート束の潰れ部分に乗った姿勢となる。
また、この後さらに図67のように、シート山をずらした後に排出されたシート束T5とT6とT7を含む次のシート山の折端が、先のシート山の開放端に重なって載置されていく。これは、シート山の上部のシート束がフォアアーム908を摩擦によって引きずって制動されるかたちとなる本実施例においては、より現れやすいモードである。このようなモードを現れさせられると、ガード905の移動の後はシート山の安定性を懸念する必要がなくなる、すなわちベッド903上でシート束群を安定した姿勢に保持することができる。
ところで、フォアアーム908の下端が、ベッド903の傾斜方向の上方へ上がるよう、フォアアーム908は軸914まわりに付勢されているが、この付勢力が弱い場合は、2つのシート山をベッド903から取り除いても、フォアアーム908がベースプレート915の峰の谷側の面を登りきれずに、図59に示した位置へ戻れない事態が生じる。
これを避けるために、図68に示すフラップ950のように、ベースプレート915の峰の谷側の面の、フォアアーム908がひっ掛かってしまう部分を下方へ沈み込ませるような構造にしてもよい。
図69は、シート積載装置900の変形例の分解図である。ガード905は、同じ幅であるベースプレート907に接続している。ガード905とベースプレート907とが、スロープ952の、ベッド903と平行な面に沿って移動するシャシー957に載る。シャシー957は、ローラ958および959を介してスロープ952に支持される。ローラ958および959は、スロープ952の傾斜方向に沿って破線で示された路を転動する。シャシー957は、ローラ958および959があることにより、スロープ952に沿ってスムースに移動することができる。
スロープ952の傾斜方向に沿って破線で示された路は、ローラカバー954に覆われる。ローラカバー954の天井とスロープ952の斜面との間に、ローラローラ958および959が入る。ローラカバー954の、スロープ952の傾斜方向における上端と下端は、ローラ958と959の転動可能範囲を規制するための壁になっている。
また、シャシー957は、スロープ952の斜面に垂直な回転軸まわりに回転するローラ960および961を有する。ローラカバー954は、スロープ952の斜面に対して立った、傾斜方向に沿う方向に長手方向を有するガイド壁を有する。ローラ960および961は、このガイド壁に当接して転動する。ガイド壁がローラ960および961を支持し、シャシー957がスロープ952の斜面上の移動すべき方向以外の方向へずれるのを防ぐ。
ベッドカバー953は、スロープ952の斜面の、ガード905とベースプレート907とに覆われる部分以外を覆う。ベッドカバー953の上面の、スロープ952の斜面からの高さは、スロープ952の斜面からベースプレート907の峰までの高さより低い。ベッドカバー953は、スロープ952へ固定される。
フラップ950は、シャシー957に回動自在に支持される。ベースプレート907は、フラップ950やシートセンサ965に重なる部分が切り欠かれている。シートセンサ965は、スロープ952に支点が支持されていて、力点は、ベースプレート905にシートが載っていない時にはベースプレート905のシート支持面よりも上に出ている。シートセンサ965の力点は、ベースプレート905に載ったシートに押されてベースプレート905に潜る。
シート積載装置900の、ガード905の移動方向に平行な鉛直面断面図である図70に示すように、ベースプレート915の丘の山側の面の、峰に沿う方向における中央部は窪んでいる。窪みの底は、ガード905の移動方向に対してほぼ平行な床面となっている。窪みの峰側の端の崖が、フラップ950の自由端となっている。
フラップ950は、シャシー957に固定されたステー963に支持される軸962まわりに回動する。一点鎖線で示す円弧軌道940は、ガード905が採り得る位置のうち排出口901へ最も近い位置にある状態であって且つアッパーアーム907が支持する軸914とサポート910が支持する軸909とを結ぶ直線をベッド903の上面に対して平行にした状態(つまり、図59と同様に、シートがベースプレート915に載っていない状態)で、アッパーアーム907を動かさずに軸914まわりに回動させたフォアアーム908の下端が描く軌道である。軸962は、ガード905の移動方向においては、円弧軌道940がベースプレート915の丘の谷側の斜面と交差する位置P2よりも下方にある。また、ガード905の移動方向に対して垂直な方向おいても、軸962は位置P2よりも下方にある。
シートがベースプレート915に載っていない状態では、フラップ950の上面板が、ほぼ丘の谷側の斜面に一致した面として位置する。フラップ950をその状態とするために、バネ964が、フラップ950の上面板の下面とシャシー957との間で突っ張る。一方、フラップ950の上面板が丘の谷側の斜面から飛び出てしまわないように、フラップ950は、フラップ950の上面板がほぼ丘の谷側の斜面に一致した面として位置する状態でシャシー957に当接するストッパを有する。
図71に示すように、円弧軌道940のフォアアーム908の下端が位置P2から、崖にフォアアーム908のおもて面がひっ掛かるまでの区間では、フォアアーム908の下端に押されてフラップ950が軸962まわりに回動されて円弧軌道940上から退避する。そのため、フォアアーム908がベースプレート915の峰の谷側の面を登りきれずに図59に示した位置へ戻れない事態は避けられる。フォアアーム908のおもて面が崖に当接する位置までフォアアーム908が巻き上げられると、バネ964の付勢力によってフラップ950の上面板が跳ね上がって崖となる。
〔3〕シート折処理装置としての具体例
図72に、本発明の利用の一例としての製本システム4000外観を示す。製本システム4000は、画像読取装置3000と、画像形成装置2000と、シート折処理装置1000とを備える。一般に、画像形成装置9の操作部9がある側をフロント側と呼び、その反対側をリヤ側と呼ぶ。
図73に、製本システム4000の大まかな断面図を示す。
画像形成装置2000の上部に設置された画像読み取り装置3000が、原稿の画像を読み取る。
画像形成装置2000は、その上部前面側に、画像形成モード、シート後処理モードを選択して設定し、画像読み取り装置3000に原稿の画像の読み取りを開始させるためのボタン等を有する操作部9を有する。
さらに画像形成装置2000は、回転する像担持体1の周囲に、帯電手段2、像露光手段3、現像手段4、転写手段5A、除電手段5B、分離爪5C、およびクリーニング手段6を配置した画像形成部を有し、帯電手段2によって像担持体1の表面に一様帯電を行った後に、画像読み取り装置3000が原稿から読み取った画像データに基づいて像露光手段3がレーザビームによる露光走査を行って潜像を形成し、該潜像を現像手段4により現像して像担持体1の表面にトナー像を形成する。
一方、シート収納手段7Aから供給されたシートは転写位置へと送られる。転写位置において転写手段5Aにより前記トナー像がシート上に転写される。その後に、シートは除電手段5Bにより裏面の電荷が消去され、分離爪5Cにより像担持体1から分離され、中間搬送部7Bにより搬送され、引き続き定着手段8により加熱定着され、排出部7Cから排出される。
シートの両面に画像形成を行う場合には、定着手段8により加熱定着されたシートを、搬送路切り替え板7Dにより通常の排出通路から分岐し、反転搬送部7Eにおいてスイッチバックして表裏反転した後、排出部7Cから排出される。排出部7Cから排出されたシートは、後処理装置FSに送り込まれる。
一方、像担持体1の画像処理後の表面は、分離爪5Cの下流においてクリーニング手段6により表面に残留している現像剤が除去され、次の画像形成に備える。
シート折処理装置1000は、排出部7Cから排出されたシートを入口ローラ対30で受け入れて中間ローラ対32に渡す。中間ローラ対32は、そのシートを出口ローラ対34に渡す。出口ローラ対34は、そのシートを、傾斜した載置面を有する立位トレイ36へ、その傾斜の上方にシートの先行端を向けて出す。
立位トレイ36の下方にはスタッカ38が待機していて、立位トレイ36の傾斜上方からスイッチバックして落下してきたシートの下端を受け止める。
シート束にステイプルする場合は、シート束のステイプルされるべき位置(およそート束の上下方向中央)が、立位トレイ36の傾斜上方に位置するステイプラ40に面する位置でスタッカ38が待機する。
ステイプラ40がシート束にステイプルした後に、シート束の折り目がつけられるべき位置(おおよそート束の上下方向中央であり、ステイプル針が打ち込まれた位置)が、ブレード42の前に来るまでスタッカ38が下降する。
シート束の折り目がつけられるべき位置がブレード42の前まで来ると、シート束の上下端に対して平行なブレード42の先端が、シート束が折られた後に内面となるべき面を押す。
ブレード42の先端の進行方向の先には、折ローラ対44のニップ部がある。折ローラ対44はそのニップ部へ、ブレード42に押されたシート束の、ブレード42が当接しているのとは反対側の面(シート束が折られた後に外面となるべき面)を巻き込んで、シート束に折り目を形成する。
折ローラ対44のニップ部から出てきたシート束の折端は、折増し機構46によってなぞられる。
折増し機構46に折端がなぞられたシート束は、排出ローラ対48に引かれて、シート積載装置へと載置されていく。ここではシート積載装置をシート積載装置900として記載するが、それに限らず、上記に説明した数々の形態やそれらを複合した形態、あるいはそれらに含まれる種々の技術思想を用いたバリエーションを利用することができる。
ところで本例では、中間ローラ対32、出口ローラ対34、立位トレイ36の一部、スタッカ38、ステイプラ40、ブレード42、折ローラ対44、折増し機構46、および排出ローラ対48が、インナーフレーム50に支持され、折ユニット52として、アウターフレーム54の外へと取り出すことができるように記載されている。
図74に、アウターフレーム54からインナーフレーム50を引き出した状態のシート折処理装置1000を示す。
インナーフレーム50は、フロント側からリヤ側へとのびるレール58に沿って移動する。レール58も、アウターフレーム54の底部にありアウターフレーム54に固定されたフロアプレート62に、フロント側からリヤ側へと、レール58自身の長手方向に移動可能に支持される。
シート折処理装置1000は、フロント側にドア56を有し、このドア56を開くと、インナーフレーム50をレール58に沿って真っ直ぐに移動させてアウターフレーム54の外へ取り出すことができるようになる。これにより、シート折処理装置1000の内で詰まってしまったシートを容易に除去することができる。
インナーフレーム50には、シート折処理装置1000の全体の制御をつかさどる制御ユニット60が載っている。インナーフレーム50をアウターフレーム54から取り出すだけで制御ユニット60を触れるようになるので、例えばファームウェアアップデートなどの制御ユニット60のメンテナンスが非常に容易である。制御ユニット60は、図75に示すように、シートセンサ980の力点がベースプレート905のシート支持面よりも上に出ている状態であれば「ベースプレート905にシートが載っていない」と判断し、シートセンサ980の力点がベースプレート905に潜っている状態であれば「ベースプレート905にシートが載っている」と判断する。
制御ユニット60がインナーフレーム50に載っていて、シートセンサ980がアウターフレーム54に載っている。インナーフレーム50とアウターフレーム54とが上述のように相対的に移動するので、両者を電気的に接続するためのハーネスの取り回しが困難であるという問題がある。
そのような問題を、本例では以下のようにして解決している。
図76に、アウターフレーム54からインナーフレーム50を引き出した状態のシート折処理装置1000の下部の一部透視図を示す。シートセンサ980を回動自在に支持するメカニカルセンサユニット64が、フロアプレート62に固定される。シートセンサ980の動きを電気信号へ変換する電気センサユニット66が、インナーフレーム50に固定される。インナーフレーム50がレール58に沿ってフロント側からリヤ側へ真っ直ぐに移動してアウターフレーム54に収まると、メカニカルセンサユニット64と電気センサユニット66は、メカニカルセンサユニット64の動作を電気センサユニット66が検出できる位置関係になる。
図77は、メカニカルセンサユニット64と電気センサユニット66とが近接した位置にある時の状態を示す図である。メカニカルセンサユニット64の上位置決め軸68は、電気センサユニット66の上位置決め穴70に入る。下位置決め軸72は、下位置決め穴74に入る。
メカニカルセンサユニット64は、固定ネジ76と78によってフロアプレート62に固定される。メカニカルセンサユニット64の固定ネジ76と78が通る穴は長穴になっており、固定ネジ76と78のフロアプレート62へのねじつけを緩めると、図中に矢印80で示した方向へずらすことができる。矢印80で示した方向は、フロント側からリヤ側への方向と直交する水平方向である。
電気センサユニット66は、固定ネジ82によってインナーフレーム50に固定される。電気センサユニット66の固定ネジ82が通る穴は長穴になっており、固定ネジ82のインナーフレーム50へのねじつけを緩めると、図中に矢印84で示した方向へずらすことができる。矢印84で示した方向は、鉛直方向である。
図78に、電気センサユニット66をリヤ側から見た斜視図を示す。
図77で固定ネジ82によってインナーフレーム50に固定されているのが、固定基板86である。固定基板86には、半ネジ88および90がねじ付けられている。
可動基板92は、半ネジ88と90の首より大きく頭より小さい直径の穴を有し、この穴に半ネジ88と90の首が貫通する。可動基板92は、固定基板86から半ネジ88と90の首の長さの区間を移動することができる。可動基板92は、フォトインタラプタの受光部96と発光部98とをその基準平面に支持する。受光部96と発光部98とは互いに離間した位置にあり、両者の間に遮蔽物があるかないかを判別する。フォトインタラプタの受光部96と発光部98とよりも基準平面よりも先端が高くなるよう、基準平面に支柱94が立っている。
図79に電気センサユニット66を、フロント側に対して左側面側から見た図を示す。
電気センサユニット66の固定ネジ82が通る穴552は、鉛直方向が長手方向である長穴になっており、固定ネジ82のインナーフレーム50へのねじつけを緩めると、図中の鉛直方向へずらすことができる。半ネジ88と90の首が差し込まれた螺旋バネ554と556が、可動基板92と固定基板86との間で突っ張っている。支柱94がメカニカルセンサユニット64に当たって押されると、可動基板92が固定基板86のほうへ押されて近づく。これに対して螺旋バネ554と556が突っ張っているので、メカニカルセンサユニット64に対して可動基板92が不意に接離するような事態を避けることができる。
支柱94がメカニカルセンサユニット64に当接している状態では、メカニカルセンサユニット64と支柱94との接触平面とフォトインタラプタの受光部96および発光部98との間には隙間ができ、直接当たらない。さらに、支柱94の高さは、メカニカルセンサユニット64が有する後述する遮蔽版が、受光部96と発光部98との間にできる谷間の底に当たらないようにもなっている。
図80にメカニカルセンサユニット64を、リヤ側から見た図を示す。
図77で固定ネジ76と78によってフロアプレート62に固定されているのが、固定基板558である。上位置決め軸68と下位置決め軸72とは端部がおねじになっていて、その端部が固定基板558にねじ付けられている。
固定基板558には、円弧状のスリット576が開いている。この円弧は回動軸562を中心としている。スリット576は、フォトインタラプタの受光部96と発光部98との間に重なる。回動軸562まわりに遮蔽版560が回動する。遮蔽版560の一端は回動軸562にほぼ平行になるよう折り曲げられてスリット576内へ挿入されている(つまり図80では紙面奥側へ折り曲げられている)。遮蔽版560のスリット576へ挿入されている部分は、スリット576内をスムースに移動できるよう、回動軸562を中心とした円弧の形状である。遮蔽版560のスリット576へ挿入されている部分は、スリット576を突き抜けてフォトインタラプタの受光部96と発光部98との間を出たり入ったりする。
遮蔽版560は、回動軸562が通された螺旋バネ572によって図80における時計回りの向きに付勢されている。螺旋バネ572の一端は、固定基板558から図80における紙面手前側へ折り曲げられたステー574にひっ掛かる。螺旋バネ572の他端は遮蔽版560に引っ掛かる。遮蔽版560の他端は軸564を支持する。軸564はアーム570の一端を回動自在に支持する。アームの570の他端は軸568を回動自在に支持する。軸568はシートセンサ980に支持される。シートセンサ980は、固定基板558が支持する軸566に回動自在に支持される。
シートセンサ980の力点がベースプレート905のシート支持面よりも上に出ている状態では、螺旋バネ572の付勢力によって遮蔽版560の一端のスリット576に挿入されている部分が受光部96と発光部98との間を出た状態となる。螺旋バネ572の付勢力によって遮蔽版560の他端の軸564がアーム570を引き、アーム570が軸568を引くので、軸566まわりにシートセンサ980が引き上げられた状態となる。
一方、シートセンサ980の力点がベースプレート905のシート支持面よりも下に沈んでいる状態では、シートセンサ980が軸566まわりに回動して軸568がアーム570を引き、アーム570が遮蔽版560の他端の軸564を引き、螺旋バネ572の付勢力に反して、遮蔽版560の一端のスリット576に挿入されている部分が受光部96と発光部98との間に入り発光部98が発する光を受光部96に対して遮蔽した状態となる。
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した技術的範囲を逸脱しない範囲において種々に変更し変形して実施することができる。