JP2009189220A - アクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性が高く、長期間安定した運動をさせることができるアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体を提供する。
【解決手段】電解質層の両側に形成された電極層から少なくともなるアクチュエータであって、該アクチュエータは電圧を印加すると変形する変形駆動部と電圧を印加しても変形しないか又は変形駆動部と比べて変形量が少ない低変形駆動部とを有し、該低変形駆動部の有効厚さと前記変形駆動部の有効厚さとが異なり、前記低変形駆動部の一部または全部が部材又は基材に接合されているアクチュエータ。
【選択図】図1
【解決手段】電解質層の両側に形成された電極層から少なくともなるアクチュエータであって、該アクチュエータは電圧を印加すると変形する変形駆動部と電圧を印加しても変形しないか又は変形駆動部と比べて変形量が少ない低変形駆動部とを有し、該低変形駆動部の有効厚さと前記変形駆動部の有効厚さとが異なり、前記低変形駆動部の一部または全部が部材又は基材に接合されているアクチュエータ。
【選択図】図1
Description
本発明はアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体に関し、電極層と電解質層とを有するアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体に関する。
特定のイオン導電性高分子は電圧を印加すると、内部のイオンや溶媒が電場に応答して移動し、部分的に体積変動が生じて収縮・膨張し、変形することが知られている。例えば、高分子電解質膜に化学めっき法等により電極を付し、これに電圧を印加すると高分子電解質膜が変形する。電極及び電解質の体積変動の量は材料の選定にもよるが、上記の変形により電極を付した長尺の電解質膜を略「くの字形」に曲げることができる。この高分子膜が屈曲する性質を利用した素子が提案されている(特許文献1〜5、非特許文献1参照)。
ところで、低電圧で駆動し多様な動作をするソフトアクチュエータの開発が望まれている。これにより、例えば人体やその各器官に直接触れる手術デバイス及び福祉機器をはじめ、パーソナルロボットの人工筋肉とすることが期待されている。こうした要求に応えるためには、十分な強度及び耐久性を維持しながら大きく屈曲し、できれば生物的に柔らかく動作するものが望まれる。
本発明は、耐久性が高く、長期間安定した運動をさせることができるアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体の提供を目的とする。また、本発明は、上記高耐久性を有し、しかも軽量でシンプルな構造とすることができ、低電圧で駆動しエネルギー消費を抑えることができるアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体の提供を目的とする。さらにまた本発明は、上述の優れた性能を維持し、特有の変形形状により複雑かつ多様な運動をさせることができるアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体の提供を目的とする。
上記の課題は以下の手段により解決された。
(1)電解質層の両側に形成された電極層から少なくともなるアクチュエータであって、該アクチュエータは電圧を印加すると変形する変形駆動部と電圧を印加しても変形しないか又は変形駆動部と比べて変形量が少ない低変形駆動部とを有し、該低変形駆動部の有効厚さと前記変形駆動部の有効厚さとが異なり、前記低変形駆動部の一部または全部が部材又は基材に接合されていることを特徴とするアクチュエータ。
(2)前記低変形駆動部と前記変形駆動部とが連続していることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
(3)前記低変形駆動部はアクチュエータ内部及び/又は外部で発生した力を受け前記部材又は基材との接合面近傍に発生する応力集中を緩和することを特徴とする(1)又は(2)に記載のアクチュエータ。
(4)前記低変形駆動部が、電極層間にイオン伝導性を阻害する材料を挟むことで構成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(5)前記有効厚さが異なるよう、前記変形駆動部と低変形駆動部との(i)全体の厚さが互いに異なるようにした、(ii)電極層の厚さと電解質層の厚さとの総和が互いに異なるようにした、あるいは(iii)電極層の厚さと電解質層の厚さと前記両者の間に介在するイオン伝導性を阻害する材料の厚さとの総和が互いに異なるようにしたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(6)前記変形駆動部の一部に前記電解質層の両側の前記電極層の厚みが互いに異なる変形調節部を設け、該変形調節部は、外部で発生した力を受け、前記変形駆動部が電圧極性との関係で屈曲変形する方向とは反対の曲率を有するように屈曲変形することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(7)前記低変形駆動部において前記電解質層の両側の前記電極層の積層数を互いに異ならせ、前記各電極層に印加する電圧を調節して、該低変形駆動部の変形量を抑えたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(8)前記低変形駆動部が高剛性材料を有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(9)前記低変形駆動部が電解質層外側に延在する電極層で構成されることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載のアクチュエータが、該アクチュエータの前記低変形駆動部で前記基材に連設され、各アクチュエータの自由端部が略同一方向に向けられたアクチュエータ構造体。
(11)前記アクチュエータの自由端部に被回動部材が接合され、各アクチュエータを屈曲変形させて前記被回動部材を回動させる(10)に記載のアクチュエータ構造体。
(12)(1)〜(9)のいずれか1項に記載のアクチュエータの前記電解質層と前記電極層との積層面に対し垂直の方向に該アクチュエータを積層したことを特徴とするアクチュエータ構造体。
(1)電解質層の両側に形成された電極層から少なくともなるアクチュエータであって、該アクチュエータは電圧を印加すると変形する変形駆動部と電圧を印加しても変形しないか又は変形駆動部と比べて変形量が少ない低変形駆動部とを有し、該低変形駆動部の有効厚さと前記変形駆動部の有効厚さとが異なり、前記低変形駆動部の一部または全部が部材又は基材に接合されていることを特徴とするアクチュエータ。
(2)前記低変形駆動部と前記変形駆動部とが連続していることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
(3)前記低変形駆動部はアクチュエータ内部及び/又は外部で発生した力を受け前記部材又は基材との接合面近傍に発生する応力集中を緩和することを特徴とする(1)又は(2)に記載のアクチュエータ。
(4)前記低変形駆動部が、電極層間にイオン伝導性を阻害する材料を挟むことで構成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(5)前記有効厚さが異なるよう、前記変形駆動部と低変形駆動部との(i)全体の厚さが互いに異なるようにした、(ii)電極層の厚さと電解質層の厚さとの総和が互いに異なるようにした、あるいは(iii)電極層の厚さと電解質層の厚さと前記両者の間に介在するイオン伝導性を阻害する材料の厚さとの総和が互いに異なるようにしたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(6)前記変形駆動部の一部に前記電解質層の両側の前記電極層の厚みが互いに異なる変形調節部を設け、該変形調節部は、外部で発生した力を受け、前記変形駆動部が電圧極性との関係で屈曲変形する方向とは反対の曲率を有するように屈曲変形することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(7)前記低変形駆動部において前記電解質層の両側の前記電極層の積層数を互いに異ならせ、前記各電極層に印加する電圧を調節して、該低変形駆動部の変形量を抑えたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(8)前記低変形駆動部が高剛性材料を有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(9)前記低変形駆動部が電解質層外側に延在する電極層で構成されることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載のアクチュエータが、該アクチュエータの前記低変形駆動部で前記基材に連設され、各アクチュエータの自由端部が略同一方向に向けられたアクチュエータ構造体。
(11)前記アクチュエータの自由端部に被回動部材が接合され、各アクチュエータを屈曲変形させて前記被回動部材を回動させる(10)に記載のアクチュエータ構造体。
(12)(1)〜(9)のいずれか1項に記載のアクチュエータの前記電解質層と前記電極層との積層面に対し垂直の方向に該アクチュエータを積層したことを特徴とするアクチュエータ構造体。
本発明のアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体は、耐久性が高く、長期間安定した運動をさせることができるという優れた作用効果を奏する。また、本発明のアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体は、上記の高耐久性を有するにもかかわらず、軽量でシンプルな構造とすることができ、低電圧で駆動しエネルギー消費を抑えたものとすることができる。さらにまた本発明のアクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体は、上述の優れた性能を維持しながら、効率かつ精度良く製造することができ、特有の変形形状により複雑かつ多様な運動をさせることができるという優れた作用効果を奏する。
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの一実施形態(本実施形態1)を模式的に示す斜視図である。本実施形態1のアクチュエータ10は、2つの電極層1(1a、1b)を有し、両電極層の間に電界質層2が配設されている。ここで電極層1は端子(図示せず)により電圧が印加され、電解質層2が酸性電解質からなり、電極層1aが陽極、電極層1bが陰極とされている。これにより本実施形態1においては、電圧印加により陽極電極層1a側に凹になるように変形する(ただし電解質層2として塩基性電解質を用いれば逆に陽極電極層1a側に凸になるよう変形させることができる。)。図1は、アクチュエータが陽極電極層1a側に凹形状に屈曲したときの状態を実線で示しており、一点鎖線で示した形状iは電圧が印加されておらず非屈曲時の形状である。
図1は、本発明のアクチュエータの一実施形態(本実施形態1)を模式的に示す斜視図である。本実施形態1のアクチュエータ10は、2つの電極層1(1a、1b)を有し、両電極層の間に電界質層2が配設されている。ここで電極層1は端子(図示せず)により電圧が印加され、電解質層2が酸性電解質からなり、電極層1aが陽極、電極層1bが陰極とされている。これにより本実施形態1においては、電圧印加により陽極電極層1a側に凹になるように変形する(ただし電解質層2として塩基性電解質を用いれば逆に陽極電極層1a側に凸になるよう変形させることができる。)。図1は、アクチュエータが陽極電極層1a側に凹形状に屈曲したときの状態を実線で示しており、一点鎖線で示した形状iは電圧が印加されておらず非屈曲時の形状である。
本実施形態1のアクチュエータは、アクチュエータに電圧を印加したときの変形量が抑制(もしくは抑止)された低変形駆動部(接合端部)5及び変形駆動部8(非接合端部6、中央部7)に機能的に区分される。ここで、「低変形駆動部」と「変形駆動部」の具体的な変形量は特に限定されないが、電圧印加前後で低変形駆動部5の形状変化量が変形駆動部8より小さければよく、駆動力を全く発生せずに変形しない場合も低変形駆動部5に含まれる。例えば、変形駆動部の曲率半径を10mm以上とし、低変形駆動部の曲率半径を1mm以下とすることが好ましい。低変形駆動部5及び変形駆動部8の形状やアクチュエータにおける体積比率や位置は図示した形態のものに限定されない。さらに、1つのアクチュエータに低変形駆動部5及び変形駆動部8が複数含まれていてもよい。
本実施形態1において低変形駆動部5は、基材3の表面(所定の面)3aに接合され固定されており、アクチュエータの変形駆動部8が屈曲動作をしても、実質的に変形したり基材から剥離したりしないようにされ、アクチュエータを支える機能を担っている。本実施形態1のアクチュエータ10において、低変形駆動部5には、電極層1a及び電解質層2が配されておらず、電極層1bのみが電解質層2の一方の端部の外側方に延ばされた状態とされている。このように、低変形駆動部5においては電解質層2を挟んで両側の電極層1a及び1bの厚さが異なるようにされており、この低変形駆動部5の電極層の外側面において基材3の表面3aに接合固定されている。すなわち、低変形駆動部5と変形駆動部8との厚みが互いに異なり、このような厚みの差は電解質層の両側の電極層の厚さを異にする場合だけでなく、本実施形態1のように片方の電極層1bを存在させないことでもなしうる。
本発明のアクチュエータにおいては、変形駆動部と低変形駆動部との有効厚さが異なる。本発明において「変形駆動部と低変形駆動部との有効厚さが異なる」とは変形駆動部と低変形駆動部との変形量が異なるように、両部の(i)全体の厚さが互いに異なるようにした、(ii)電極層の厚さと電解質層の厚さとの総和が互いに異なるようにした、あるいは(iii)電極層の厚さと電解質層の厚さと前記両者の間に介在するイオン伝導性を阻害する材料の厚さとの総和が互いに異なるようにしたことをいう。上記(i)〜(iii)のいずれかの条件を満たし変形駆動部と低変形駆動部との変形量が異なるが、外形的に厚さを同じくしたものは、上記有効厚さが異なることに含まれる。本実施形態において低変形駆動部5と変形駆動部8との厚さの差は特に限定されないが、1μm〜300μmとすることが好ましく、1μm〜20μmとすることがより好ましい。
上記有効厚さを異ならせる実施態様として、条件(i)〜(iii)のいずれにおいて異なるようにしても、複数の条件において異なるようにしてもよい。条件(i)又は(ii)において有効厚さが異なることが好ましく、条件(i)において有効厚さが異なることがより好ましい。
上記有効厚さを異ならせる実施態様として、条件(i)〜(iii)のいずれにおいて異なるようにしても、複数の条件において異なるようにしてもよい。条件(i)又は(ii)において有効厚さが異なることが好ましく、条件(i)において有効厚さが異なることがより好ましい。
本発明のアクチュエータは、その少なくとも一部が基材又は部材に接合されている。本発明において「接合」とは、基材又は部材の所定の接合面に直接アクチュエータの一部が接合された状態のみならず、上記接合面とアクチュエータの間に他の部材等を介在させて接合した状態を含む。
通常アクチュエータのような動的に変形する部材を定形の基材に固定すると、変形時に変形部材の素材自体が伸び縮みし、この変形を繰り返し行えば徐々に固定部分の接合構造が破壊されていく。例えば、変形部材と定形の基材とを所定の接着剤により固定したとしても、変形の繰り返しにより接着剤と基材との間に亀裂が入り、やがて機能しなくなることがある。
これに対し、上記のように本実施形態1のアクチュエータは、電解質層2を挟んで対峙する両電極層1の厚さが異なる低変形駆動部5で基材3に接合固定されたため、アクチュエータの固定部分及びこの周辺で発生する応力及び歪が大幅に緩和され、上記の亀裂破壊等が生じにくく、極めて高い耐久性を発揮しうる。すなわち、アクチュエータ10に電圧を印加し作動させると、変形駆動部8が力を発生するが、低変形駆動部5自体は変形せず表面3a近傍における応力及び歪の集中が避けられ、良好な接合状態が維持される。したがって本実施形態1のアクチュエータ10を基材3に接着剤等で接合固定したときにも、長時間にわたり安定したアクチュエータの動作を維持する接合固定状態が維持される。
これに対し、上記のように本実施形態1のアクチュエータは、電解質層2を挟んで対峙する両電極層1の厚さが異なる低変形駆動部5で基材3に接合固定されたため、アクチュエータの固定部分及びこの周辺で発生する応力及び歪が大幅に緩和され、上記の亀裂破壊等が生じにくく、極めて高い耐久性を発揮しうる。すなわち、アクチュエータ10に電圧を印加し作動させると、変形駆動部8が力を発生するが、低変形駆動部5自体は変形せず表面3a近傍における応力及び歪の集中が避けられ、良好な接合状態が維持される。したがって本実施形態1のアクチュエータ10を基材3に接着剤等で接合固定したときにも、長時間にわたり安定したアクチュエータの動作を維持する接合固定状態が維持される。
この作用機序を人体の関節組織にたとえていうと、アクチュエータ10の変形駆動部8が筋肉にあたり、基材3が骨にあたり、低変形駆動部5が腱の機能を果たす。すなわち本実施形態1においては、腱をなす低変形駆動部5を介して変形駆動部8と基材3とを接合したため、あたかも人体の関節の動きのように、長期にわたり安定かつしなやかな運動性が持続される。なお、このような作用は、後述する実施形態3及びその変形態様のように固定された基材ではなく、稼動部材等の所定の部材に低変形屈曲部5を接合したときにも同様である。
本実施形態1のアクチュエータ10においては、特に基材3とアクチュエータ10とが接合された部分の境界にあたる基部4における耐久性が改善される。この基部4は特にアクチュエータ10が屈曲運動することにより局部歪及び局部応力が集中し、接着剤等による接合形態の場合、特に接着層の亀裂破壊等の起点となりやすい部分である。これに対して本実施形態1のアクチュエータ10は、上述したように低変形駆動部5の変形が抑えられたため、上記の局部歪及び局部応力を大幅に低減し、亀裂破壊等の起点を造らない。その結果、極めて高い耐久性が実現される。なお、本実施形態1において低変形駆動部5は力を発生しない形態とされているが、変形駆動部と機能的に区別される範囲で、力を発生し自ら変形する形態としてもよい。
本実施形態において、低変形駆動部5が、前記電極層と前記電解質層との間にイオン伝導性を阻害する部材を挟持していてもよい。ここでイオン伝導性を阻害する部材としては、例えば高分子フィルム膜等が挙げられる。また低変形駆動部5が、高剛性材料を貼り合わせてなるものであってもよい。ここで高剛性材料としては例えばポリイミドシート(製品名 カプトン 会社名 東レデュポン)が挙げられる。
本実施形態1における電極層1を構成する材料は特に限定されないが、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ及び/又は炭素材料(例えばカーボンブラック、グラファイト材料)を含有する電極層1とすることが、電極層としたときの高い強度及び剛性が得られる点で好ましい。これにより、本実施形態1のようにアクチュエータの電極層1a及び電解質層2の一部が取り除かれ延ばされた電極層1bのみによりアクチュエータの駆動部8を支えることができ、アクチュエータの低変形駆動部5をあたかも腱のように機能させることができる。このような機能的な形態のアクチュエータしうる点で、従来のめっき法により電極形成したIPMC(Ionic Polymer−Metal Composite:イオン導電性高分子・貴金属接合体)に対し、上述したカーボンナノファイバータイプのアクチュエータとすることが好ましい。また、カーボンナノファイバータイプのアクチュエータは従来のめっき法により作成したIPMCに比較して発生力が強いため、特に本発明による局部歪や局部応力の緩和効果が高い。これらのアクチュエータは従来のめっき法により作成したIPMCに比較して発生力が強いため、特に本発明による局部歪や局部応力の緩和効果が高い。
カーボンナノファイバーを用いた電極層を形成する材料は、具体的には以下のようにして調製することができる。カーボンナノファイバー(CNF)とイオン性液体(IL)を混合し、乳鉢を用いて練り合わせることにより、ゲル化させる。次いで、ILが疎水性の場合には疎水性溶媒のみに、あるいは、ILが親水性の場合には疎水性溶媒および親水性溶媒の混合溶媒に、ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF))とともにCNFゲルを分散させて、電極層形成用分散液を調製することができる。
イオン性液体(IL)として具体的には、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4)、ブチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BM
IBF4)、4級アンモニウムカチオン・テトラフルオロボレート塩(広栄化学社製、A
−3(商品名))、4級アンモニウムカチオン・(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[(CF3SO2)2N−]塩(広栄化学社製、A−4(商品名))が挙げられる。ここで、A−3、A−4のカチオンの構造は、[N(CH3)(CH3)(C2H5)(C2H4OC2H4OCH3)]+である。
IBF4)、4級アンモニウムカチオン・テトラフルオロボレート塩(広栄化学社製、A
−3(商品名))、4級アンモニウムカチオン・(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[(CF3SO2)2N−]塩(広栄化学社製、A−4(商品名))が挙げられる。ここで、A−3、A−4のカチオンの構造は、[N(CH3)(CH3)(C2H5)(C2H4OC2H4OCH3)]+である。
カーボンナノファイバー(CNF)として具体的には、群栄化学株式会社製「ACNF
25(商品名)」(比表面積2500m2/g)が挙げられる。
25(商品名)」(比表面積2500m2/g)が挙げられる。
上記材料によるデバイスの作製方法として具体的には、カーボンナノファイバー、イオン性液体、ポリマー、および溶媒からなる分散液、ならびに、イオン性液体、ポリマーおよび溶媒からなる溶液を、キャスト、塗布、印刷、押し出し、または射出し、乾燥して積層することにより、電極層およびイオン伝導層を形成することができる。さらに具体的に、例えば電極層、イオン伝導層、電極層の順に、キャストを行い、室温で一昼夜溶媒を乾燥させ、次いで、真空乾燥を行い、アクチュエータ素子を得ることができる。
上記の電解質層に用いられる材料は特に限定されず、例えばイオン導電性高分子膜でよいが、なかでもイオン導電性高分子膜であることが好ましい。イオン導電性高分子膜をなす高分子電解質ゲルとしては、フッ素系イオン交換樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基・カルボシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。このような樹脂としては、例えば、パーフルオロスルホン酸樹脂(商品名「Nafion」、DuPont社製)、パーフルオロカルボン酸(商品名「フレミオン」、旭硝子社製)、ACIPLEX(商品名:旭化成工業社製)、NEOSEPTA(商品名:トクヤマ社製)を用いることができる。容易に入手できる点では、DuPont社製のNafion(商品名)が好ましい。あるいはフッ素樹脂にイオン液体と有機溶剤とを混ぜ合わせてキャスト溶液を作成後、基材にキャストして乾燥して製膜したものを利用しても良い。この際のフッ素樹脂には例えば、アルケマ社製のカイナーフレックス(商品名)、有機溶剤にはメチルペンタノンと炭酸プロピレンとの混合液を用いることが可能である。
またイオン交換樹脂として陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂のいずれも使用することができ、それらを組み合わせて用いてもよい。陽イオン交換樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸、スルホン基やカルボキシル基をもつフッ素系イオン交換樹脂等が挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、アンモニウム基を含んだフッ素系イオン交換樹脂等が挙げられる。
従来の上記めっき法によるIPMCを用いたアクチュエータでは、電極間をつなぐ微細なリード線や電解質膜に孔を穿けて電気的接続をとる構造などでは、複雑になり生産効率が十分ではないことがある。また成形しうるデバイス形状が限定されてしまうことがある。さらには不用意に電極間がショートしてしまい運動を長時間継続できなくなることもある。これに対し、上述したカーボンナノファイバータイプのアクチュエータは、低変形駆動部を作成する機構を作りこむことが容易であり、上述したように片側の電極層を3層構造部を配したり(本実施形態2)、電極層1層のみの構造部を配したり(本実施形態1)することができる。
これに対し、本実施形態1のアクチュエータデバイス10はシンプルな積層構造の膨張率の異なる複数の電極を備えているデバイスであるため、工業的な規模で大量に生産する際や、後述するような複雑にデバイスを集積してアクチュエータ構造体とするときにも、効率的にしかも寸法精度良く作製することができる。特に本実施形態1のアクチュエータデバイス10は上述のような不具合なく、良好な生産性を実現することができ、また集積化による設計自由度が高い。さらに、電極を過度に複雑に切り込むなどの加工も必要とせず、バリの発生等による電極間のショートの問題も解決しうる。
本実施形態1のデバイス10において、電極層1の厚さは特に限定されないが、カーボンファイバーからなる板状電極層とする場合、例えば10〜1000μmとすることが好ましく、100〜500μmとすることがより好ましい。電解質層2の厚さはとくに限定されず、通常電解質層として用いる材料を考慮すると、1〜100μmとすることが好ましく、10〜50μmとすることがより好ましい。本実施形態1のアクチュエータ10は長尺にされているが、この寸法は特に限定されない。小型デバイスとする場合には長手方向の長さを1〜10mm程度とすることが実際的であり、大型デバイスとするときには10〜100mm程度としてもよい。また、マイクロマシンとするような場合には、さらにアクチュエータを微細化してもよい。
本実施形態1のアクチュエータ10においては、2つの電極層1a及び1bの間に電解質層2が配設された形態を有するが、電極層1と電解質層2との間又は電極層1の外側に特定の機能層を設けてもよい。また電極層1a、電極層1b、及び/又は電解質層2を2層以上にしてもよく、その他、電極層1及び電解質層2を長手方向ないし幅方向において適宜に分割してもよい。このことは、後述する実施形態2〜5についても同様である。また、本実施形態において低変形駆動部5と変形駆動部8とは一箇所ずつ配されているが、それぞれ二箇所以上配されていてもよく、両者が交互に多数連続した状態であってもよい。
図2は、本発明の別の実施形態としてのアクチュエータ(本実施形態2)を模式的に示す斜視図である。同図においては、電圧印加前に直線状(一点鎖線で示した形状i)であった長尺のアクチュエータに電圧を印加し、アクチュエータ20が屈曲した状態を示している。本実施形態2のアクチュエータ20においては、基材3の表面3aに接合されている側から見て、電極層1c、電界質層2b、電極層1b、電解質層2a、電気層1aの順で積層された5層構造とされている。ただし、この5層の積層部分は、低変形駆動部11のみであり、変形駆動部8(中央部7、非接合端部6)においては、電極層1c、電解質層2b、及び電極層1bの3層構造とされている。これにより、アクチュエータ20における低変形性駆動部5の曲げ剛性が高まり、アクチュエータの変形駆動部8を屈曲させたときにも、低変形駆動部の変形が抑えられる。その結果、アクチュエータ20と基材3との接合部分である表面3aの近傍や基部4における亀裂破壊等が低減され、耐久性が向上する。
本実施形態2のアクチュエータ20においては、さらに電解質2として酸性高分子電解質を用い、電極層1bと、電極層1cとに電圧を印加して屈曲させることが望ましい。例えば、電極層1bに対して電極層1cに+2.5Vと−2.5Vとを交互に印加することが望ましい。このとき、上述した腱としての機能を高めるため低変形駆動部11に駆動力を発生させないよう、上部外側の2枚の電極層1a及び1bの面積を等しくした上で、電極層1bを基準として電極層1aとに電極層1cとに等しい大きさで反対の電圧を印加することが好ましい。これにより、低変形駆動部5における駆動力の総和を0にすることができる。
図3は、本発明のさらに別の実施形態としてのアクチュエータ(本実施形態3)を模式的に示す正面図である。同図においては、電圧印加前に直線状(一点鎖線で示した形状i)であった長尺のアクチュエータ30に電圧を印加するとともに、外部駆動力発生手段11から外部力を加え、アクチュエータ30が略Ω状の屈曲した状態を示している。本実施形態のアクチュエータ30は長尺にされ、電極層1a及び1bとの間に電解質層2を有し、電極層1aのみ一方の端部において長手方向に延ばされている。この電極層1aが延ばされ、電解質層2及び電極層1bが配されていない部分が低変形駆動部5とされている。低変形駆動部5の先端は外部駆動力発生手段の内部の動力機構の稼動部表面11bに接合されており、該外部駆動力発生手段11はその底面11aで移動しないように固定されている。アクチュエータ30の他方の端部はコの字型の固定部材12に接続され、該固定部材の底面12aは壁面に固定され移動しないようにされている。なお、外部駆動力発生手段は通常のモータ、クランク、カム機構等を搭載することにより構成することができ、所定の方向に所定の力を発生させるものであれば特に限定されない。
本実施形態3においては、さらに、アクチュエータ30に、変形調節部13(13a、13b、13c)が設けられている。変形調節部13a及び13bは電極層1aをこの部分のみ薄くし、電解質層2を挟んで両側の電極層1a及び1bの厚みが異なるようにされている。また、変形調節部13cにおいては、電極層1b側が薄くされ、同様に電解質層2を挟んで両側の電極層1a及び1bの厚みが異なるようにされている。そして本実施形態3のアクチュエータ30は電解質層2が酸性電解質で構成され、電極層1aが陰極とされ、電極層1bが陽極とされた態様として示されている。
ここでアクチュエータ30に電圧を印加すると、アクチュエータ30の変形駆動部8はその全域にわたって陰極側(電極層1b)に凸になるように変形駆動する。そして、本実施形態3においては、さらに、外部駆動力発生手段11からs方向に変形させる力が加えられる。このs方向に働く力は、腱のように機能する低変形駆動部5を介して、アクチュエータの変形駆動部8を長手方向に圧縮する力として作用する。このs方向に働く力と、上述した変形駆動部8自身が陰極側に凸に屈曲しようとする力とが協働し、さらに本実施形態3において設けられた変形調節部13が相互に作用して、略Ω字状に変形する。これによりアクチュエータの中ほどをr方向に突き出すような、本実施形態3に特有の運動形態が実現される。
変形調節部13a及び13bは、アクチュエータの変形駆動部8が曲がろうとする陰極に凸となる方向とは逆の、陽極側の電極層1aが薄くなるようにされている。これにより、変形駆動部8の駆動力の作用が抑えられる。他方、外部駆動力発生手段からはs方向の力が加えられており、この外部力が特に大きく上記変形調節部13a及び13bに働くこととなる。本実施形態3においては、変形調節部13a及び13bに働くアクチュエータが発生する変形駆動部8において陰極側に凸に曲がろうとする力が、方向sの外部力に相殺され、さらにはこの外部力がより大きく作用する。
これに対し、変形調節部13cは、アクチュエータの変形駆動部8が変形しようとする方向、つまり陰極側に凸になろうとする力を助長する形状にされている。すなわち、電解質層2を挟んで陰極になる電解質層1bを薄くし、この部分の曲げ剛性を低くしたため、この部分で陰極側に凸形状に屈曲しやすくされている。本実施形態3においては、さらにs方向の外部力が加わり、変形調節部13cで鋭角に屈曲する。上記のように、変形調節部13a及び13bが変形駆動部8が本来曲がろうとする陰極側に凸となる方向とは逆に、一方で変形調節部13cは陰極側に深く凸に屈曲し、アクチュエータ全体として略Ω字形状の特有の運動形態が実現されている。このとき、腱の作用をする低変形駆動部5が方向sの外部力及び変形駆動部8が発生する力を受けながら、両者による局部的な応力及び歪の集中を緩和し、アクチュエータの耐久性を維持する。
変形調節部の形態は、上述したように片側の電極層の厚さが異なるものとしてもよいが、その他、電解質層におけるイオン伝導性を低下ないし抑止しうる高分子フィルム膜等を電極層及び電解質層の間に配設してもよい。
なお本実施形態3においては、その変形態様として駆動力発生手段11を底面11aで固定せずに、被稼動部材にみたて、固定部材12の部分を脚部としてこれを昇降するデバイスとしてもよい。このとき方向sに発生する力は被稼動部材の質量であり、これにより上述したのと同様にΩ形状に変化して屈曲運動する。このときにも低変形駆動部5が腱として作用し高い耐久性を示すことは上述の実施態様と同様である。
なお本実施形態3においては、その変形態様として駆動力発生手段11を底面11aで固定せずに、被稼動部材にみたて、固定部材12の部分を脚部としてこれを昇降するデバイスとしてもよい。このとき方向sに発生する力は被稼動部材の質量であり、これにより上述したのと同様にΩ形状に変化して屈曲運動する。このときにも低変形駆動部5が腱として作用し高い耐久性を示すことは上述の実施態様と同様である。
図4は本発明のアクチュエータ構造体の一実施形態(本実施形態4)を一部切欠して模式的に示した斜視図である。本実施形態のアクチュエータ構造体40は、前記の本実施形態1の長尺のアクチュエータ10が基材に格子状に複数配設されている。該長尺アクチュエータ10の長手方向の一方の端部は低変形駆動部5とされており、該低変形駆動部で基材3に接合固定されており、端子(図示せず)により電極層1a及び1bに電圧が印加されるように取り付けられている。アクチュエータ10の他方の端部は変形駆動部8を含む非固定端とされ、各アクチュエータ間で変形駆動部8の端部(自由端部)が略同一方向に配向するようにされている。なお、図示したものは、電圧を印加してアクチュエータ10が屈曲した状態を示しており、電圧の印加を解けば、アクチュエータ10を起立した状態に戻すことができる。このとき各アクチュエータ10に対して独立に電圧のOn/Offないしは電圧の大きさを調節する、制御機構を備えたものとしてもよい。
このようにすることで、例えば、多数の海草が海中でたなびくような運動をさせることができる。これを例えば搬送装置とすることができ、変形駆動部側の端部に被移動物を乗せ、特定の方向に送り出すことができる。あるいは微生物の繊毛運動のようにアクチュエータ10を動作させ、変形駆動部8側の端部を地面の方に向けて、自走するデバイスとすることができる。なお、上記駆動部8に屈曲調節部(本実施形態3参照)を設けて、上述した被移動物を移動させる際に、この質量を外部力として作用させることができる。これにより、変形駆動部8が有する屈曲極性とは反転に屈曲させることができ、多様な運動をアクチュエータ10にさせて、所望の方向や所望の速度で被移動物を送り出すことができる。このときにも、腱の作用をする低変形駆動部5が基材との接合固定により発生するアクチュエータの内部応力及び歪を、接合固定した部分に集中させずに緩和し、アクチュエータの高い耐久性を維持する。また、このようなデバイスでは、各素子を接合する接合機構や、また各素子へ電気信号や電圧信号を伝達する配線機構を複数備える必要がある。本発明によれば、低変形部を有しており、これらの機構を低変形部で一つあるいは複数にまとめることが容易なため、これらの機構を容易に構成することが可能となる。さらに、本実施形態のアクチュエータへ外力を加えて変形させると変形量に応じた電圧が発生するが、そこで発生した電圧を検出することで、接触センサーとして機能させることも可能となる。さらに、本アクチュエータへ外力を加えて変形させると変形量に応じた電圧が発生する。そこで、発生した電圧を検出することで、接触センサーとして機能させることも可能となる。
図5は本発明のアクチュエータ構造体の一実施形態(本実施形態5)を一部切欠して模式的に示した斜視図である。本実施形態のアクチュエータ構造体50は、前記の長尺アクチュエータ10が基材3に2つ配設され、被回動部材15に接合されている。この長尺アクチュエータ10の長手方向の一方の端部は低変形駆動部5とされ、該低変形駆動部11において基材3に固定されており、他方の端部(自由端部)は前記被回動部材15に接合されている。ここで各アクチュエータ10に電圧を印加し変形駆動部8を方向qに向けてお辞儀をするように屈曲変形させて、前記被回動部材15を方向pに向けて回転させることができる。その後、電圧の印加を解く又は逆極性の電圧を印加して、アクチュエータ10が起立するように図示した形状に戻し、被回動部材15を方向pと逆方向に回転させることができる。このようにして、被回動部材15を可逆的に回動させることができる。
被回動部材15が硬い材質のものであれば、アクチュエータ10と回動部材15との間にヒンジ等を取り付けて、変形位相の相違を調節するようにしてもよい。被回動部材15が柔らかい材質のものであれば、アクチュエータ10の変形位相に合わせて、被回動部材15が撓みながら回動し追従する。被回動部材を例えば反射板などにすることで、カメラの絞りなどに適用することができる。また、変形駆動部8に変形調節部(本実施形態3参照)を設けて、複雑かつ多様な運動をさせることができ、様々なデバイスに組み込んで利用することができる。
さらに複数のアクチュエータを積層したアクチュエータ構造体(本実施形態6)とすることもできる(図6参照)。このとき2枚の電極に挟まれた電解質からなるアクチュエータを一ユニットとした際に、複数のユニット(α、β、γ)を互いに同方向に変形するように積層することで発生力を増大させることができる。本実施形態6においては、各アクチュエータユニット間に絶縁フィルム14を介在させており、これにより各ユニット間のショートを回避することができる。そして、これらのユニットの外側方に延在する電極層を低変形駆動部5としており、この低変形駆動部5を介して同一電位の電極端子18を複雑な配線構造を要さずに接続することが実現される。そして、この低変形駆動部5に部材17をその所定の面17aで接合して作動させることができる。このとき、部材17を稼動可能とし変形駆動部8の中央tを固定すれば、電圧の印加により、両翼をなす低変形駆動部5が羽撃くように動作する。逆に、部材17を固定部材(基材)とすれば(ただし、アクチュエータの運動に必要な限度で移動ないし変形可能としてもよい。)、屈伸しながらアクチュエータ構造体60の中央部tが昇降するように動作する。
本実施態様6のアクチュエータ構造体においては、変形量を加算する組み合わせと変形量を減算する組み合わせとのいずれの構造としてもよい。具体的には2つのアクチュエータを積層して、一方のアクチュエータと他方のアクチュエータとで同じ方向に電圧を印加すると加算する組み合わせとなり、また逆の方向に電圧を印加すると減算する組み合わせとしうる。ここで、減算する組み合わせを低変形駆動部としうる。健として有効であるのは低変形駆動部であり、基材等に接合するのを低変形駆動部(減算の組み合わせ)とすることが好ましい。
1、1a、1b、1c 電極層
2、 2a、2b 電解質層
3 基材
4 基部
5 低変形駆動部(接合端部)
6 非接合端部
7 中央部
8 変形駆動部
10、20、30 アクチュエータ
11 外部駆動力発生手段
12 固定部材
13 変形調節部
14 絶縁フィルム
15 被回動部材
16 被回動部材とアクチュエータとの接合固定部
17 稼動可能もしくは固定された部材
18 電極端子(配線)
40、50、60 アクチュエータ構造体
2、 2a、2b 電解質層
3 基材
4 基部
5 低変形駆動部(接合端部)
6 非接合端部
7 中央部
8 変形駆動部
10、20、30 アクチュエータ
11 外部駆動力発生手段
12 固定部材
13 変形調節部
14 絶縁フィルム
15 被回動部材
16 被回動部材とアクチュエータとの接合固定部
17 稼動可能もしくは固定された部材
18 電極端子(配線)
40、50、60 アクチュエータ構造体
Claims (12)
- 電解質層の両側に形成された電極層から少なくともなるアクチュエータであって、該アクチュエータは電圧を印加すると変形する変形駆動部と電圧を印加しても変形しないか又は変形駆動部と比べて変形量が少ない低変形駆動部とを有し、該低変形駆動部の有効厚さと前記変形駆動部の有効厚さとが異なり、前記低変形駆動部の一部または全部が部材又は基材に接合されていることを特徴とするアクチュエータ。
- 前記低変形駆動部と前記変形駆動部とが連続していることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記低変形駆動部はアクチュエータ内部及び/又は外部で発生した力を受け前記部材又は基材との接合面近傍に発生する応力集中を緩和することを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
- 前記低変形駆動部が、電極層間にイオン伝導性を阻害する材料を挟むことで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
- 前記有効厚さが異なるよう、前記変形駆動部と低変形駆動部との(i)全体の厚さが互いに異なるようにした、(ii)電極層の厚さと電解質層の厚さとの総和が互いに異なるようにした、あるいは(iii)電極層の厚さと電解質層の厚さと前記両者の間に介在するイオン伝導性を阻害する材料の厚さとの総和が互いに異なるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
- 前記変形駆動部の一部に前記電解質層の両側の前記電極層の厚みが互いに異なる変形調節部を設け、該変形調節部は、外部で発生した力を受け、前記変形駆動部が電圧極性との関係で屈曲変形する方向とは反対の曲率を有するように屈曲変形することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
- 前記低変形駆動部において前記電解質層の両側の前記電極層の積層数を互いに異ならせ、前記各電極層に印加する電圧を調節して、該低変形駆動部の変形量を抑えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
- 前記低変形駆動部が高剛性材料を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
- 前記低変形駆動部が電解質層外側に延在する電極層で構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクチュエータが、該アクチュエータの前記低変形駆動部で前記基材に連設され、各アクチュエータの自由端部が略同一方向に向けられたアクチュエータ構造体。
- 前記アクチュエータの自由端部に被回動部材が接合され、各アクチュエータを屈曲変形させて前記被回動部材を回動させる請求項10に記載のアクチュエータ構造体。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクチュエータの前記電解質層と前記電極層との積層面に対し垂直の方向に該アクチュエータを積層したことを特徴とするアクチュエータ構造体。
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JP2008029783A JP2009189220A (ja) | 2008-02-08 | 2008-02-08 | アクチュエータ及びこれを用いたアクチュエータ構造体 |
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