JP2009188599A - 多重モード圧電フィルタとその周波数調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1及び第2の多重モード圧電フィルタ1、2は、圧電基板5と、圧電基板5の一方の主面上に近接配置した複数の分割電極10、11と、圧電基板5の他の主面上に全ての前記分割電極10、11と対向して配置された共通電極12と、を備え、多重モード圧電フィルタ1の共通電極12の面積と、第2の多重モード圧電フィルタ2の共通電極12の面積とが異なるようにした。
【選択図】図1
Description
図10は、従来の縦続接続型二重モード圧電フィルタの構成を示す概略図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は一方の二重モード圧電フィルタのQ−Qにおける断面図である。
第1の二重モード圧電フィルタMCF1は、圧電基板51の一方の主面上に電極52、53を所定の間隔を隔して配置し、他方の主面上に電極52、53と対向して電極54を配設し、電極52、53、54から圧電基板51の端部にそれぞれリード電極(引き出し電極)52a、53a、54aを延在して構成される。縦続接続型二重モード圧電フィルタ50は、減衰傾度を急峻にし、保証減衰量を大きくするため、図10(a)に示すように、第1の二重モード圧電フィルタMCF1と、この第1の二重モード圧電フィルタMCF1と同様に構成した第2の二重モード圧電フィルタMCF2と、を縦続接続して構成される。
図11は中心周波数を49.950MHzに設定した縦続接続型二重モード圧電フィルタのフィルタ特性図である。
設計パラメータが同一の二重モード圧電フィルタを縦続接続して圧電フィルタを構成すると、スプリアスの生じる周波数領域が重なるため、図11に示すように、中心周波数f0の高域側の周波数領域A(f0+300kHz〜f0+1MHz)にインハーモニック・オーバートンに起因する大きなスプリアスが発生するという問題があった。
図12は縦続接続型二重モード圧電フィルタの他の構成を示す概略図であり、同図(a)は平面図、同図(b)はQ−Qにおける断面図である。
この図12に示す縦続接続型二重モード圧電フィルタは、圧電基板61の一方の主面上にZ’軸方向に沿って電極62、63を近接配置すると共に、電極62、63対向して他方の主面上に電極64を配設し、電極62、63、64からそれぞれ圧電基板61の端部に向けてリード電極62a、63a、64aを延在して、第1の二重モード圧電フィルタMCF1を形成する。
更に、同一圧電基板61上で第1の二重モード圧電フィルタMCF1と音響結合を避ける距離をおいて、X軸方向に沿って電極65、66を近接配置し、この電極65、66対向して電極67を配設し、電極65、66、67からそれぞれ圧電基板61の端部に向けてリード電極65a、66a、67aを延在して、第2の二重モード圧電フィルタMCF2を形成する。第1及び第2の二重モード圧電フィルタMCF1、MCF2それぞれのリード電極63a、65aを、圧電基板61上に形成したリード電極にて接続すると共に、リード電極64a、67aを接地し、リード電極62a、66aに適当なインピーダンスを接続することにより、縦続接続型フィルタを構成する。このように伝搬方向が互いに直交する第1及び第2の二重モード圧電フィルタMCF1、MCF2を縦続接続することにより、それぞれのスプリアスの生ずる周波数が異なり、重なり合うことが避けられるので、保証減衰量を大きくすることが可能であると開示されている。
また、別々の圧電基板上にZ’軸に沿って電極を配置した第1の二重モード圧電フィルタMCF1と、X軸方向に沿って電極を配設した第2の二重モード圧電フィルタMCF2と、を形成し、電気的に縦続接続して圧電フィルタを構成することは可能である。
しかし、Z’軸伝搬モードの弾性定数と、X軸伝搬モードの弾性定数とでは弾性常数が異なるため、X軸方向伝搬の第2の二重モード圧電フィルタMCF2では、Z’軸伝搬の第1の二重モード圧電フィルタMCF1の電極間間隙に比べ、間隙が広がり、第2の二重モード圧電フィルタMCF2の形状が大きくなるという問題と、電極形成用のマスクが共用できないという問題があった。
また、中心周波数が50MHzと高周波になると、Z’軸、X軸それぞれの伝搬の二重モード圧電フィルタのスプリアスが近接し、特許文献1に開示されているような効果が期待できないという問題があった。
本発明は上記の問題を解決さるためになされたもので、中心周波数の高域側に生ずるスプリアスを抑えた縦続接続型多重モード圧電フィルタと、その周波数調整方法を提供することにある。
図1は本発明の実施形態に係る縦続接続型二重モード圧電フィルタの形態を示す概略図であり、(a)(c)は平面図、(b)(d)はそれぞれ(a)(c)の断面図である。第1の多重モード圧電フィルタ1は、圧電基板5と、該圧電基板5の一方の主面上に近接配置した複数の電極(以下、「分割電極」と称す)10、11と、圧電基板5の他の主面上に全ての前記分割電極10、11と対向して配置された電極(以下、「共通電極」と称す)12と、を備えている。
分割電極10、11及び共通電極12から圧電基板5の端部に向けてリード電極(引き出し電極)10a、11a及び12aを延在する。同様に、第2の多重モード圧電フィルタ2は、圧電基板6と、該圧電基板6の一方の主面上に近接配置した複数の電極(分割電極)13、14と、圧電基板6の他の主面上に分割電極13、14と対向して配置された電極(共通電極)15と、を備えている。分割電極13、14及び共通電極15から圧電基板6の端部に向けてリード電極(引き出し電極)13a、14a及び15aを延在する。
第1の多重モード圧電フィルタ1のリード電極11aと、第2の多重モード圧電フィルタ2のリード電極13aと、を電気的に接続すると共に、共通電極12、15からそれぞれ延在するリード電極12a、15aを接地し、リード電極10a、14aの一方を入力電極、他方を出力電極として、リード電極10a及び14aの各々に適当な終端インピーダンスを接続して、縦続接続型圧電フィルタを構成する。
ここで圧電基板の1つである水晶基板について簡単に説明する。水晶結晶は三方晶系に属し、Z軸(光学軸)、Y軸(機械軸)、X軸(電気軸)が互いに直交し、Z軸は3回対称軸、X軸は2回対称軸である。Y軸に垂直な水晶基板をY板と称し、Y板をX軸の回りにθ°回転させた水晶基板の1つがATカット水晶基板であり、θは35°15′程度である。この際、回転によりZ軸はZ’軸、Y軸はY’軸に変わり、X軸は変わらないのでそのままである。
図2に示す破線は、裏面側の分割電極10、11及び13、14と、リード電極10a、11a及び13a、14aと、パッド電極10b、11b及び13b、14bを示している。12b及び15bはそれぞれ共通電極12、15のパッド電極である。パッド電極10b、11b、12b、13b、14b及び15bは、導電性接着剤(図示せず)を介してパッケージの端子電極(図示せず)と電気的に接続される。パッケージの上部周縁に形成したシールリング21に蓋部材(図示せず)を、例えばシーム溶接等の手段にて溶接し、縦続接続型圧電フィルタを気密封止する。なお、共通電極12、15を上にしてパッケージに実装するのは、多重モード圧電フィルタ1、2の共通電極12、15に対してそれぞれ周波数調整を行うからである。
多重モード圧電フィルタ1のパラメータとして、分割電極10(11)の形状寸法を0.248×0.5mm、電極間間隙を0.425mm、共通電極12の形状寸法を1.0×0.58mmに設定した。多重モード圧電フィルタ2のパラメータとして、分割電極13(14)の形状寸法を0.248×0.5mm、電極間間隙を0.425mm、共通電極15の形状寸法を1.34×1.4mmに設定した。多重モード圧電フィルタ1を例にして多重モード圧電共振子(2端子共振子)の接続を説明すると、リード電極11aと12a(又は10a、12a)とを接続した端子と、リード電極10a(又は11a)の端子と、で2端子共振子を構成する。
図3に示す実線が多重モード圧電フィルタ1の周波数特性で、破線が多重モード圧電フィルタ2の周波数特性である。図3から明らかなように、中心周波数49.949MHzの高域側のインハーモニック・モードに起因するスプリアスは、多重モード圧電フィルタ1では1a、1b等であり、多重モード圧電フィルタ2では2a、2b、2c等でそれぞれのスプリアスの周波数は重ならないことが分かる。
図4においてBで示す周波数領域(f0+300MHz〜f0+1MHz)のスプリアスレベルは、78dB程度である。同じパラメータの多重モード圧電フィルタを縦続接続して構成した従来の圧電フィルタのフィルタ特性は、図11に示すような周波数特性となり、Aで示す周波数領域(f0+300MHz〜f0+1MHz)のスプリアスレベルは55dB程度である。これら2つの図より本実施形態の縦続接続型二重モード圧電フィルタは、スプリアスレベルが23dBと大幅に改善されることが明らかとなった。
その結果、第1の多重モード圧電フィルタ1の電極10、11及び12と、第2の多重モード圧電フィルタ2の電極13、14及び15と、を同一の膜厚で形成しても、第2の多重モード圧電フィルタ2の閉じ込め効果は、第1の多重モード圧電フィルタ1のそれの半分程度となり、高次インハーモニック・モードと主振動(対称モード)との周波数間隔は、第1の多重モード圧電フィルタ1のそれに比べて狭くなる。
この結果、第1及び第2の多重モード圧電フィルタ1、2の高次インハーモニック・モードがずれて重ならないようになり、スプリアスレベルが大幅に改善される。
分割電極10、11及び共通電極12から圧電基板9の端部に向けてリード電極10a、11a及び12aを延在する。同様に、第2の多重モード圧電フィルタ2は、同一の圧電基板9の一方の主面の図中中央より右方寄りに近接配置した複数の分割電極13、14と、圧電基板9の他の主面上に分割電極13、14と対向して配置された共通電極15と、を備えている。分割電極13、14及び共通電極15から圧電基板9の端部に向けてリード電極13a、14a及び15aを延在する。
第1の多重モード圧電フィルタ1のリード電極11aと、第2の多重モード圧電フィルタ2のリード電極13aと、を圧電基板9上に形成したリード電極で接続すると共に、共通電極12、15からそれぞれ延在するリード電極12a、15aをそれぞれ接地し、リード電極10a、14aの一方を入力電極とし、他方を出力電極として、リード電極10a及び14aの各々に適当な終端インピーダンスを接続して、縦続接続型圧電フィルタ4を構成する。なお、リード電極11aと13aとの接続部から延在するリード電極16は、多重モード圧電フィルタ1、2の周波数を測定する際に必要な端子である。
図7に示した第2の実施形態の縦続接続型圧電フィルタ4は、平板状の圧電基板9に形成した場合を説明したが、図6に示した逆メサ構造の圧電基板7に第2の実施形態の縦続接続型圧電フィルタ4を構成してもよい。
第2の実施形態の圧電フィルタの特徴は同一基板上に2つの多重モード圧電フィルタを構成するので、圧電基板の形状寸法が小さくなり、ひいてはフィルタの形状を小型化することができるという効果がある。
また、以上の説明では2対の電極を近接配置して構成した多重モード圧電フィルタ(二重モード圧電フィルタ)について説明いしたが、3対の電極を近接配置した多重モード圧電フィルタ(三重モード圧電フィルタ)についても同様に適用できる。
図13(a)(b)(c)の左側の図は、周波数調整マスク(微調整マスク)の開口部70a、71a、72aを示す平面図であり、分割電極52、53、共通電極54の外形を細い破線で示す。右側の図は分割電極52、53、圧電基板51、共通電極54及び微調整マスク70、71、72の断面図であり、周波数調整は共通電極の側から行う。
図13(a)に示す微調整マスク70は、分割電極52、53、共通電極54とほぼ同じ形状の開口部70aを持つ微調整マスクであり、このマスク70を用いて周波数を調整すると、対称モード、反対称モードはその周波数間隔を保ちつつ周波数が共に低下する。
図13(b)に示す微調整マスク71は分割電極52、53の形状に比べて小さい開口部71aを有し、該開口部71aは分割電極52、53の間隙寄りに位置する。分割電極52と共通電極54との2端子から測定する第1の周波数f1と、分割電極53と共通電極54との2端子から測定する第2の周波数f2と、をほぼ等しくなるように微調整するためのマスクである。
また、図13(c)に示す微調整マスク72は分割電極52、53の形状に比べて小さい開口部72aを有し、この開口部72aは分割電極の両外端寄りに位置する。微調整マスク72を用いて周波数を調整すると、多重モード圧電フィルタの結合係数を小さくすることができる。
図8は、本実施形態に係る多重モード圧電フィルタの周波数調整方法を説明する図である。図8(a)(b)(c)の左側の図は、周波数調整マスク(微調整マスク)20、21及び22のそれぞれの開口部20a、21a及び22aを示す平面図であり、分割電極10、11及び共通電極12の外形を細い破線で示す。右側の図は分割電極10、11、圧電基板5、共通電極12及び微調整マスク20、21、22の断面図であり、周波数調整は共通電極12の側から行う。
図8(a)に示す微調整マスク20は、分割電極10、11、共通電極12より十分に大きい形状(即ち、共通電極12の2倍以上、好ましくは3倍以上の面積)の開口部20aを持つ微調整マスクであり、このマスク20を用いて周波数を調整すると、対称モード、反対称モードはその周波数間隔を保ちつつ周波数が共に低下する。
図8(b)に示す微調整マスク21は、分割電極10、11の形状とほぼ等しい形状の開口部21aを有し、該開口部21aは分割電極の両外端寄りに位置し、一部は分割電極10、11の外形からはみ出すような形状である。
図8(c)に示す微調整マスク22は、分割電極10、11の形状に比べて、分割電極10、11の間隙方向と平行する方向の寸法は、分割電極10、11の寸法より大きく、間隙方向と直交する方向の寸法は分割電極10の寸法より小さく、分割電極10、11の両外端に位置し、一部は分割電極10、11からはみ出すような形状である。微調整マスク22を用いて周波数を調整すると、多重モード圧電フィルタの結合係数を小さくすることができる。
また、以上の説明では2対の電極を近接配置して構成した多重モード圧電フィルタ(二重モード圧電フィルタ)の周波数調整法について説明いしたが、3対の電極を近接配置した多重モード圧電フィルタ(三重モード圧電フィルタ)についても同様に適用できる。
Claims (5)
- 圧電基板と、該圧電基板の一方の主面上に近接配置した複数の分割電極と、前記圧電基板の他の主面上に全ての前記分割電極と対向して配置した共通電極と、を備えた少なくとも第1及び第2の圧電フィルタを縦続接続して構成される多重モード圧電フィルタであって、
前記第1の圧電フィルタの共通電極の面積と、前記第2の圧電フィルタの共通電極の面積とが異なることを特徴とする多重モード圧電フィルタ。 - 前記第1の圧電フィルタの共通電極は、全ての前記分割電極と対向可能な最小面積であり、前記第2の圧電フィルタの共通電極は、前記第1の圧電フィルタの共通電極より十分大きい面積であることを特徴とする請求項1に記載の多重モード圧電フィルタ。
- 前記圧電基板は、薄肉の振動部と、該振動部の周縁に形成した厚肉の環状囲繞部を有する逆メサ構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多重モード圧電フィルタ。
- 圧電基板上に音響結合を避ける距離を置いて前記第1及び第2の圧電フィルタを配置し、前記圧電基板上に配設したリード電極にて縦続接続したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の多重モード圧電フィルタ。
- 請求項1乃至請求項4の何れかの多重モード圧電フィルタの周波数調整方法であって、
対称モード周波数と反対称モード周波数との周波数間隔を保ちつつ、該2つの周波数を低下させるため、前記分割電極より十分に大きな形状の開口部を有する微調整マスクを用いる工程と、
前記分割電極の一方の電極と共通電極と間で共振する第1の周波数と、前記分割電極の他方の電極と共通電極との間で共振する第2の周波数とを略等しくするため、前記分割電極と同程度の形状で分割電極の両外端からはみ出すような開口部を有する微調整マスクを用いる工程と、
前記対称モード周波数と前記反対称モード周波数との周波数間隔を狭めるため、前記分割電極の間隙方向の寸法が分割電極のそれより大きく、間隙と直交する方向の寸法が分割電極の一方の電極の寸法より小さく、且つ、前記分割電極の両外端からはみ出すような開口部を有する微調整マスクを用いる工程と、を含むことを特徴とする多重モード圧電フィルタの周波数調整方法。
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