JP2009186508A - 光学顕微鏡の長焦点深度観察方法と光学顕微鏡 - Google Patents

光学顕微鏡の長焦点深度観察方法と光学顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】異なる深さのある物体または光軸方向に距離がある複数の物体を同時に観察し、かつ、観察する全体像を同時観察すると共に、見てすぐに直感的に理解できる特性を保持し、かつ、経済性にも優れた光学顕微鏡を得ることにあり、特に、例えば、蛍光色素を結合した生体物質の立体形態を解明し、その挙動を解析してたんぱく質の性質を明らかにすること。
【解決手段】レンズの球面収差を利用して大きい焦点深度を得る光学系により、異なる深さにある物体または光軸方向に距離のある物体を同一平面上に結像させて同時観察するようにした光学顕微鏡の長焦点深度観察方法であり、また、顕微鏡とカメラ等の結像面との間の光学系に例えば、複数枚(4枚)の焦点距離の異なるレンズを配置して大きい焦点深度を得るようにした光学顕微鏡である。
【選択図】図4

Description

本発明は、光学顕微鏡の長焦点深度観察方向と光学顕微鏡に関し、特に、大きい焦点深度を得ることにより、光学顕微鏡観察において、同時刻に深さの異なる観察試料の位置情報を得るようにしたものであり、例えば、たんぱく質などの生体物質の立体形態やその挙動を解明するために好適な観察方法とその光学顕微鏡に関する。
一般に、この種の光学顕微鏡は、試料の焦点が合った面の縦横の情報である2次元像を得るものであるが、高さ方向の像も得るための必要性から、高さ方向の像を得る方法が開発されて、かつ提案されている。
通常の光学顕微鏡は、最高性能を発揮するものであっても、その開口数は、1.4(倍率は100×)であり、その焦点深度は、約0.3μと非常に浅いために、高さ方向の情報が得られないのが実状である。そこで、光学的な手法で分解能を維持しながら焦点深度を深くして試料の縦横の情報と高さ方向の情報である3次元構造を観察する手法が、以下に示すように従来より開発され、実用化されている。
まず、挙げられる一般的な3次元構造を観察する手法として、電子画像処理方法が知られている(参考までに特許文献1参照)。この処理方法は、高さ方向の各面を電子像にして蓄積しておき、ある一定の高さ情報が蓄積されたところで、それを同時に表示装置に立体的に表示する観察方法である。
また、光軸方向に距離がある複数の被撮像面を撮像する装置として、特許文献2が提案されている。これは、光軸からレンズを適宜除くことにより被撮像面を撮影し検査する方法である。この特許文献2に示された手法によると、撮像素子を備えた光学系において、撮影対象物の上方に障害物があっても、障害物からの反射光を十分にぼけさせ、かつ、撮影対象物からの反射光を許容ぼけの範囲内として撮影を可能とする手法が知られている。
非特許文献1では、対物レンズを動かすことにより、試料面での焦点が合う高さを経時的に変化させて高さ方向にスキャンされた複数の画像を得る手法が知られている。
特開平8−304043号公報 特開2006−177730号公報 Tomonobu M.Watanabe and Hideo Higuchi,Stepwise Movements in Vesicle Transport of HER2 by Moter Proteins in Living Cells,Biophysical Journal,Volume92,Issue 11,June 2007 p.4109-4120(米国発行)
特許文献1などに示されている前記電子画像処理方法は、精巧なアルコリズムが必要であるばかりでなく、リアルタイムで画像を観察できるものでもなく、高価な装置であるため、装置を容易に入手できるものではない。
特許文献2は、障害物の焦点をぼけさせて光軸から抜き、反対に撮影対象物に対しては許容範囲内のぼけに収めて撮影をしているが、これでは同軸上の軸方向に一定の距離のある物体を撮影することは不可能であり、例えば、半導体デバイスの表面で構成部品が、上下に重なる場合に観察できるが、異なる深さのある被観察物体を同一平面状に同時に観察できる技術ではない。
また、非特許文献1は、対物レンズを移動させて試料を撮影するものであり、同時刻の高さの異なる部分を観察することはできない。また対物レンズを移動させて観察するので、時間部分解能が制限されるばかりでなく、同じ瞬間の高さが異なる物体の動きなどを捉えることは不可能である。
本発明は、従来の課題点に鑑みて鋭意研究の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、異なる深さのある物体または光軸方向に距離がある複数の物体を同時に観察し、かつ、観察する全体像を同時観察すると共に、特に、見てすぐに直感的に理解できる特性を保持した顕微鏡で、かつ、経済性にも優れた光学顕微鏡を得ることにあり、また、例えば、蛍光色素を結合した微小管(繊維状たんぱく質)などの生体物質の立体形態を解明し、その挙動を解析してたんぱく質などの生体物質の性質を明らかにすることにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、観察物体をジャストピント位置前後でも形状を確認できるように焦点深度を深くするため、レンズの球面収差を利用して大きい焦点深度を得る光学系により、異なる深さにある物体または光軸方向に距離のある物体を同一平面上に結像させて同時観察するようにした光学顕微鏡の長焦点深度観察方法である。
請求項2に係る発明は、光学系に球面収差の大きいレンズを少なくとも1つ設けて球面収差による焦点深度を大きくした観察方法である。
請求項3に係る発明は、光学系の焦点距離を変えて焦点深度を大きくした光学顕微鏡の長焦点深度観察方法である。
請求項4に係る発明は、顕微鏡の外部に二組以上のレンズをリレーさせることにより、当該顕微鏡の総合倍率を変えることなく大きい焦点深度を得るようにした光学顕微鏡の長焦点深度観察方法である。
請求項5に係る発明は、顕微鏡とカメラ、接眼レンズその他のリレーレンズ等の結像面との間の光学系に複数枚(例えば4枚)の焦点距離の異なるレンズを配置して大きい焦点深度を得るようにした光学顕微鏡の長焦点深度観察方法である。
請求項6に係る発明は、光学系に絞りを挿入して、直接寄与しない背景光を遮断して結像性能を良好にした光学顕微鏡の長焦点深度観察方法である。
請求項7に係る発明は、光学顕微鏡の分解能不可である物体に蛍光色素を結合させて発光・蛍光物体として観察する光学顕微鏡の長焦点深度観察方法である。
請求項8に係る発明は、物体は、たんぱく質や核酸或は膜などの生体物質である光学顕微鏡の長焦点深度観察方法である。
請求項9に係る発明は、顕微鏡の外部に少なくとも二組の焦点距離の異なるレンズをリレーさせて設置し、レンズの球面収差による焦点深度を大きくして異なる深さにある物体または光軸方向に距離がある物体を同一平面に結像させて同時に観察できるようにした光学顕微鏡である。
請求項10に係る発明は、顕微鏡と結像面の間に複数枚(例えば4枚)の焦点距離の異なるレンズを設置して大きい焦点深度を得るようにした光学顕微鏡である。
請求項11に係る発明は、分解能不可である物体に蛍光色素を結合させて発光・蛍光物体として観察するようにした光学顕微鏡である。
請求項12に係る発明は、分解能不可である物体は、蛍光色素を結合させたたんぱく質や核酸或は膜などの生体物質である。
請求項1に係る発明によると、異なる深さのある物体又は光軸方向に距離がある物体を同時に観察でき、光学顕微鏡の特性を保持した状態で生体物質などの物体を観察することが可能となり、また、高さ方向の焦点が合う幅を通常の結像法より長くすることができ、例えば、ある条件では通常の30〜50倍である高さ10μm程度の高さ幅の3次元射影像を得ることができ、また観察時にレンズ等を動かす必要がないので、時間分解能は光学系に制限を受けることがなく、その結果、同じ瞬間に高さの違うものの3次元情報を得ることができる。したがって、例えば、蛍光色素を結合した微小管(繊維状たんぱく質)等の生体物質の立体形態を解明し、その挙動を解析することができる。
請求項2及び3に係る発明によると、焦点深度を大きくすることができるので、試料の高さ方向の映像を同一平面上に撮像することが、しかも、その映像は同時刻のものである光学顕微鏡に好適である。
請求項4に係る発明によると、顕微鏡本体の総合倍率が他のレンズをリレーさせることにより、倍率を変えることなく物体観察が可能な長焦点深度観察方法である。
請求項5に係る発明によると、焦点距離の異なる例えば4枚のレンズを用いることにより、開口数が増減するので、焦点深度の深さを制御でき、もって、大きい焦点深度を得ることが可能となり、これにより、光軸方向に沿って高さのある試料を撮像して観察することが可能な光学顕微鏡の長焦点深度観察方法を提案することができる。
請求項6に係る発明によると、光学系に絞りを挿入して直接寄与しない光線を除外することにより、背景光が遮断され、撮像された映像の輪郭線がはっきりと確認でき、より正確に観察物体を観察することが可能となり、しかも、開口数も適宜に制御できる。
請求項7に係る発明によると、例えば、蛍光顕微鏡にも適用可能で、光学系の顕微鏡の分解能不可である物体を観察可能とした光学顕微鏡の長焦点深度観察方法であり、請求項8に係る発明によると、繊維状たんぱく質等の生体物質の立体形態が解明でき、しかも、その挙動を解析することができるため、観察物体であるたんぱく質などの生体物質の性質を明確にすることができる。また、たんぱく質以外に、拡散や膜などに応用すると、同じ瞬間において、下方の膜表面と上方の膜表面または膜内部の様子を同時に観察でき、使用価値の高い光学顕微鏡を得ることができる。
請求項9、10に係る発明によると、市販のレンズを数枚適宜位置に設置するだけで観察が可能となり、簡易な操作で、同一面上に同時刻の試料を観察することができ、また、レンズを制御するような高額な従来の装置と比較すると、コストの面でも有利で、しかも、使いやすい光学顕微鏡を提案することができる。
請求項11,12に係る発明によると、観察物体に蛍光色素を結合させて発光・蛍光物体として観察することができ、特に、蛍光色素を結合させた繊維状たんぱく質等の生体物質の立体形態が解明でき、しかも、光学顕微鏡により同一平面に径時的に観察物体の挙動を解析することができ、したがって、たんぱく質等の生体物質の性質を明確にすることが可能となる。
以下に、本発明における光学顕微鏡の長焦点深度観察方法とその光学顕微鏡の好ましい実施形態を特定するため、球面収差の大きいレンズを用いて、異なる深さのある物体を同一平面に結像させる例を図面に基づいて説明する。
まず、球面収差の概要について説明すると、図1(ア)には収差がない理想的なレンズ1,2を用いた場合を示している。この場合、0に位置にある物体の像は点Aに結像する。一方、図1(イ)には、レンズ3の右側に球面収差の大きいレンズ4を用いている例を示した。同図において、0の位置にある物体は球面収差によりA、B、Cのいかなる深さにも結像する。この場合、A〜C側が観察者(カメラ等)のときは、距離が焦点深度に相当し、0が観察者側の時には、A〜C間を被写界深度に相当する。
次に、焦点深度について説明する。図1(イ)の右側のレンズ4に、球面収差が大きい単レンズを用いた場合の詳細を図2に示す。同図において、右側の球面の中心をPとし、集光点QのPからの距離Dを求める。このときDの変化量が焦点深度(または被写界深度)を決める。

sinθ=h/R (1)
sinθ=nsinθ (2)
D=X1+X2=h×(1/tanθ+1/tan(θ)) (3)

(nとnはそれぞれ空間とレンズの屈折率)

となる。ここで半径Rと単レンズの焦点距離f(単レンズ)は

f(単)=R/n-1 (4)

の関係がある。式(1)〜(4)より、距離Dは単レンズの種類(焦点距離又は半径)に依存し、同時に左側のレンズ3を通過した光線の幅hに依存した幅を持つ。最大高さは

h=fleft×NA (5)

(fleftは図1(イ)の左側のレンズ3の焦点距離、NAは同レンズの開口数)

で決まり、これによりDの最小値が求められる。Dの最大値は簡単には決められないが、Dはhが0に近ずくと極めて大きくなり、実際にはhの幅が小さいときは光束を通過する光量も小さいので、hが小さいと像として検出できない。Dの最大値はPから出る光量やレンズ間を通過する光束の半径方向における強度分布、またQでの光検出感度のより決まる。
以上のことから、観察物体をジャストピント位置前後でも形態が確認できるように焦点深度を深くするため、上記のレンズの球面収差を利用して、例えば、従来の10倍以上の焦点深度を得ることにより、光学顕微鏡観察において、同時刻に深さの異なる位置にある観察試料の3次元位置情報を得ることができるようにしている。
また、図1(イ)に示すように球面収差の存在する部分は、物体位置0からの情報の一部は存在するので結像した像を得ることができる。点をレンズを通して結像すると、レンズが無収差であっても回折現象の為にある面積を有する円形として結像する。これは中心の光の強度が最も強く中心から離れると極端に減衰する強度分布性質を持ち、レンズ径に残存収差があれば強度は減衰して、収差が無ければ強度はますことになる。
2点物体をレンズ径で結像させると、重なりがずれた2つの強度分布をなすが、この強度分布が接近して、ある程度2点として見分けるところをその光学系の分解能とし、これは光学系の開口数と残存する収差に依存する。本発明は、分解能不可な物体であるたんぱく質等の生体物質であるから、そのままでは観察ができないため、試料に蛍光剤(蛍光色素)を結合して励起光で励起し、例えば、微小管(繊維状たんぱく質)などの生体物質を発光させて発光体として観察できるようにしており、分解不可である観察物体であっても物体は、発光・蛍光物体としてその存在を明確に観察でき、光学顕微鏡に適用すると、極めてその使用価値が高い。なお、本例における蛍光色素は、蛍光体等も含まれ、また、観察対象としては、たんぱく質以外にも、核酸(DNA,RNA)や膜などの生体物質も包含され、この場合、細胞観察に応用した場合は、膜表面だけではなく、細胞内部で光軸方向に距離がある物体にも応用可能である。
光学系の一部を取り出して、球面収差を発生させた光学系を構成し、球面収差の発生量に対応して合焦点をずらして高さ方向の3次元情報を得る。
また、図3において、球面収差が大きいレンズ4を用いることにより、同図における実線に示すように点A〜Cから発した光をカメラの一点0に集光することにより大きい被写界深度を得ている。しかし、点Aから発した光は点線に示すように点0にも届き背景光となる。同様に点Cから発した光は0にも届き背景光となり、撮影対象物をぼやかしてしまう。そこで、絞り9を、図3に示す位置に設置することにより背景光の主成分である光を遮断するように構成して、シグナルノイズ比を上げることができる。
図3は、2枚のレンズ3,4を用いた単純な場合を示しており、光軸から離れた位置の光を遮断したい場合は、本例における絞り9が有効である。その他、複数のレンズを組み合わせた結果、ある位置で背景光の主成分が主にレンズの中心を通る場合は、光が中心だけを透過しまいNDフィルタ等を用いることもできる。この場合、その位置にミラーを設置し、中心だけを透過させない方法も有効である。なお、光軸との距離に応じて連続的に(あるいは段階的に)光の透過率を変化させて、得られる像のS/N等を最適化する方法もある。
本発明において、球面収差を利用して大きな焦点深度を得る光学系について、光学顕微鏡の外部に二組以上のレンズをリレーさせることにより、顕微鏡の総合倍率を変えることなく大きい焦点深度を得るようにした光学顕微鏡の観察方法であり、図4に示した実施例は、光学顕微鏡5とカメラ8との光軸方向の間に4枚の焦点距離の異なるレンズを配置して大きい焦点深度を得るようにした一例である。この場合、光学系の焦点距離を変えるため、レンズを適宜変えることにより、焦点深度を深くすることができ、したがって、焦点深度の深さを広げたり、縮小したりすることにより適宜に制御可能である。
図4において、5は、結像レンズ6と対物レンズ7等を有する通常の光学顕微鏡であり、この光学顕微鏡5の内部のレンズ構成はそのままであり、外部にレンズL1、L2、L3、L4を4枚設置して、焦点深度を変える構造を示している。この構造体を顕微鏡に設置することにより、軸方向に高さを持つ試料の同時刻の挙動を同一平面上に表わすことが可能になる。
図4に示したレンズの焦点距離は一例であり、焦点距離の違うレンズを用いることにより最終的な系の焦点深度(被写界深度)を変えることができる。すなわち、レンズLの焦点距離fを適宜に組み合わせることにより焦点深度を変えることが可能となる。
本例において、光学顕微鏡5の内部に配置されている対物レンズ7の倍率と同じ倍率を得るようにレンズL1乃至L4を組み合わせている。なお、本例では、単純化のため、LとL4、L2とL3のそれぞれが同じ焦点距離を持つレンズを用いている。
本例は、同一倍率を得るために、対称形のレンズを配置しているが、必要ならば、非対称形にレンズを配置して倍率を変えても観察できることは勿論である。
一般に、光学顕微鏡5の対物レンズ7と結像レンズ6は球面収差が極めて小さくなるように設計されている。また、レンズL1〜4においては、それぞれのレンズの配置と焦点距離により、L1とL4では球面収差が小さく、L2とL3は球面収差が大きくなっている。レンズの種類もこの傾向をより大きくするように選ぶことができるので、系の焦点深度・被写界深度はL2とL3の球面収差に依存する。
実際の観察においては、同時に観察でき得る試料の高さの違いが重要なので、被写界深度を評価する必要があるが、対物レンズのレンズ構成を知ることができないので、系全体の被写界深度を計算で厳密に求めることは不可能である。ここでは実験により得られた被写界深度を示す。また、本例のように、顕微鏡とカメラの間にレンズを配置する場合以外に、カメラの前にレンズを設置すると、カメラの光学系に応用することになる。
使用顕微鏡:オリンパス株式会社製
対物レンズ:×100、NA1.4
L1、L4:アクロマクティレンズ、f=200mm
L2、L3:球面平凸レンズ、f=20mm
観察 試料:200nm蛍光ビーズ
被写界深度:〜20μm(対物レンズを動かし続けたときに試料が見え続けた深さ)

なお、通常の顕微鏡観察方法において,対物レンズ×100、NA1.4を用いた場合の焦点深度は、0、1〜0、2μmである。
図5及び図6は、本発明における蛍光顕微鏡を用いた長焦点深度法(1)と蛍光顕微鏡を用いた通常の観察方法(2)により得られた蛍光像A,B,Cの比較を示す。同図において、水溶液中で、蛍光色素を結合させた微小管(直径25nmの繊維状たんぱく質)10を100倍の対物レンズ12を用いて観察したものであり、図6の(1)、(2)に写っているのは同じ微小管10であり、ここでの焦点深度はおよそ8μmである。
通常の観察法によると、試料たんぱく質を点A〜Cのそれぞれの深度でしか観察することができない。そのため撮像した画像は図6(1)に示すように、観察対象物の一部分しか撮影することはできない。しかし、本発明に係かる観察方法によると、大きい焦点深度で、被写界深度が深い為に点A〜Cに焦点を合わせることが可能となり、それぞれの点で結像した画像を、図6(2)に示しように一枚の画像として表わすことができる。さらに、この画像は、同時刻において観察されたたんぱく質10であるので、たんぱく質10を同時刻で全体像を観察することができる。
本発明は、たんぱく質の観察において球面収差を利用した光学系の観察方法について説明したが、核酸(DNA,RNA)や膜などの生体物質に応用可能であり、この場合、同じ瞬間において、下方の膜表面と上方の膜表面または細胞内部で光軸方向に距離がある物体の様子を同時に観察可能であり、また、本発明の原理を応用すると、光学顕微鏡に限られず、望遠鏡やカメラ等の光学系に適用することができる。
図1(ア)は、球面収差のないレンズを用いた場合の説明図であり、図1(イ)は、本発明の光学顕微鏡観察を示すもので、一方のレンズに球面収差が大きいレンズを用いた球面収差の概要を説明する説明図である。 図1(イ)における球面収差が大きい場合の詳細を説明した説明図である。 本発明における光学顕微鏡の長焦点深度観察方法に絞りを用いた説明図である。 本発明における光学顕微鏡の長焦点深度観察方法にレンズを複数枚(4枚)用いた一例を示した説明図である。 本発明と通常の焦点面とを対比して、たんぱく質を観察する場合の焦点深度を示す説明図である。 図6(1)は、蛍光色素と結合させたたんぱく質を通常の方法で観察した場合の蛍光像であり、また、図6(2)は、本発明の長焦点深度観察方法で観察した同様の試料の蛍光像である。
符号の説明
4 球面収差の大きいレンズ
5 光学顕微鏡
6 結像レンズ
7 対物レンズ
8 カメラ
9 絞り
10 繊維状たんぱく質(蛍光色素を結合させた生体物質)
11 ガラス
12 対物レンズ
L1〜L4 外部レンズ

Claims (12)

  1. レンズの球面収差を利用して大きい焦点深度を得る光学系により、異なる深さにある物体または光軸方向に距離がある物体を同一平面に結像させて同時に観察できるようにしたことを特徴とする光学顕微鏡の長焦点深度観察方法。
  2. 前記光学系に球面収差の大きいレンズを少なくとも1つ設けて球面収差による焦点深度を大きくした請求項1に記載の光学顕微鏡の長焦点深度観察方法。
  3. 前記光学系の焦点距離を変えて焦点深度を大きくした請求項1に記載の光学顕微鏡の長焦点深度観察方法。
  4. 顕微鏡の外部に二組以上のレンズをリレーさせることにより、当該顕微鏡の総合倍率を変えることなく大きい焦点深度を得るようにした請求項1に記載の光学顕微鏡の長焦点深度観察方法。
  5. 前記顕微鏡とカメラ等の結像面との間の光学系に複数枚の焦点距離の異なるレンズを配置して大きい焦点深度を得るようにした請求項4に記載の光学顕微鏡の長焦点深度観察方法。
  6. 上記の光学系に絞りを挿入して、直接寄与しない背景光を遮断して結像性能を良好にした請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学顕微鏡の長焦点深度観察方法。
  7. 光学顕微鏡の分解能不可である物体に蛍光色素を結合させて発光・蛍光物体として観察する請求項1乃至6のいずれかに記載の光学顕微鏡の長焦点深度観察方法。
  8. 前記物体は、たんぱく質や核酸或は膜などの生体物質である請求項7に記載の光学顕微鏡の長焦点深度観察方法
  9. 顕微鏡の外部に少なくとも二組の焦点距離の異なるレンズをリレーさせて設置し、レンズの球面収差による焦点深度を大きくして異なる深さにある物体または光軸方向に距離がある物体を同一平面に結像させて同時に観察できるようにしたことを特徴とする光学顕微鏡。
  10. 前記顕微鏡とカメラ等の結像面との間に複数枚の焦点距離の異なるレンズを設置して大きい焦点深度を得るようにした請求項9に記載の光学顕微鏡。
  11. 請求項9または請求項10において、分解能不可である物体に蛍光色素を結合させて発光・蛍光物体として観察するようにした光学顕微鏡。
  12. 請求項11に記載の分解能不可である物体は、蛍光色素を結合させたたんぱく質や核酸或は膜等の生体物質である光学顕微鏡。
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