JP2009185635A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の排気浄化システムにおいて、NOx触媒における浄化能力の回復効率の向上と白煙の発生の抑制とを両立させることのできる技術を提供する。
【解決手段】HC添加量Qadとバイパス側分流比Rbpとを夫々の目標値(目標HC添加量Qadt、目標バイパス側分流比Rbpt)としてHC添加制御を行う場合にNSRスリップHC量Qslip及びCCO酸化可能HC量Qposを推定する。そして、NSRスリップHC量QslipとCCO酸化可能HC量Qposとの大小関係に基づき、目標HC添加量Qadt及び目標バイパス側分流比Rbptのうち少なくとも何れか一方を補正する。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。
内燃機関、特に希薄燃焼を行う内燃機関から排出される排気中の窒素酸化物(NOx)を浄化する吸蔵還元型NOx触媒(以下、単に「NOx触媒」という。)を具備した排気浄化システムが公知である。このNOx触媒は、流入する排気の空燃比がリーンのときにNOxを吸蔵し、流入する排気の空燃比がリッチであって且つ還元成分(例えば、燃料等)が存在する場合に吸蔵しているNOxを還元する。
NOx触媒におけるNOx吸蔵量、SOx吸蔵量が増加するとNOx触媒の浄化能力が低下するため、NOx触媒よりも上流を流れる排気に燃料の未燃成分(以下、単に「HC」という)を添加するHC添加制御を実行し、同触媒に流入する排気の空燃比(以下、「流入排気空燃比」という。)を低下させることで、浄化能力の回復処理(NOx還元処理、SOx被毒回復処理等)が行われる。なお、HC添加制御に係るHCの排気への添加は、NOx触媒よりも上流の排気通路に配置されるHC添加弁から排気中へHCを噴射することによって行うことができる。
HC添加制御によってNOx触媒に流入したHCの一部はNOx触媒で反応せず下流にすり抜ける場合がある(以下、このHCを「スリップHC」という)。そして、このスリップHCが過剰になると白煙が発生する虞がある。そこで、排気通路におけるNOx触媒より更に下流側に酸化触媒を配置し、スリップHCを酸化触媒で浄化する技術が提案されている。
しかし、NOx触媒の浄化能力の回復処理に係るHC添加制御の実行時には、流入排気空燃比がリッチ空燃比まで低下するため、HCを酸化させるための酸素が欠乏し、スリップHCを十分に浄化することが困難となる場合がある。
これに対して、特許文献1に開示の排気浄化システムは、一端がHC添加弁よりも上流側の排気通路に接続され他端がNOx触媒と酸化触媒との間の排気通路に接続されるバイパス通路と、バイパス通路を流れる排気の流量(以下、「バイパス流量」という)を調整するバイパス弁とを備える。このシステムでは、NOx触媒の浄化能力を回復するときには、該浄化能力を回復しないときと比較してNOx触媒に流入する排気の流量が減少するようにバイパス弁の開度が制御される。
特開2007−154773号公報 特開2006−233894号公報 特開2005−90253号公報 特開2005−83351号公報 特開2004−324566号公報
HC添加制御を実行する際にバイパス流量を増加させると、NOx触媒に流入する排気の流量が低下するので流入排気空燃比をよりリッチ側にすることができる。言い換えると、NOx触媒に流入する排気のリッチ度合いを高めることができる。また、NOx触媒を通過する排気の体積速度(SV)が低下することで流入排気空燃比がリッチ空燃比に維持される期間(以下、「リッチ期間」という)を延長することができる。上記のように、リ
ッチ度合いを高め、リッチ期間を長くすることでNOx、SOx等とHCとの酸化還元反応を促進することができる。また、バイパス通路を介して酸素濃度の比較的高い排気を酸化触媒に流入させることが可能となり、酸化触媒に対してスリップHCの酸化に必要な酸素を供給することができる。
しかしながら、HC添加制御の実行時にNOx触媒に流入する排気のリッチ度合いを過度に高め、或いはリッチ期間を過度に延長させると以下の課題が生じ得る。すなわち、NOx触媒に流入する排気のリッチ度合いが高まると該NOx触媒に供給される酸素が欠乏し、NOx触媒におけるHCと酸素との反応性が悪化する場合がある。この場合には、NOxやSOxとHCとの反応性は高まるもののトータルとしてスリップHC量が増加する場合がある。また、バイパス通路を介して酸化触媒に流入する排気は、NOx触媒を経由して酸化触媒に流入する排気に比べて低温であるため、バイパス流量を増加させ過ぎると酸化触媒の床温が低下することでHCの酸化能が低下する場合がある。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関の排気浄化システムにおいて、NOx触媒における浄化能力の回復効率の向上と白煙の発生の抑制とを両立させることのできる技術を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る内燃機関の排気浄化システムは、以下の手段を採用した。
すなわち、内燃機関の排気通路に設けられた吸蔵還元型NOx触媒と、
前記吸蔵還元型NOx触媒よりも下流側の排気通路に設けられ、酸化能を有する後段触媒と、
前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流側の排気通路に設けられ、排気中にHCを添加するHC添加弁と、
一端が前記HC添加弁よりも上流側の排気通路に接続され他端が前記吸蔵還元型NOx触媒と前記後段触媒との間の排気通路に接続されるバイパス通路と、
前記内燃機関から排出される排気の全流量に対するバイパス通路を流れる排気の流量の比であるバイパス側分流比を変更可能な分流比変更手段と、
を備え、
前記吸蔵還元型NOx触媒の浄化能力を回復するときに、浄化能力を回復しないときと比較して前記バイパス側分流比を増加させた状態で前記HC添加弁によるHC添加制御が実行される内燃機関の排気浄化システムにおいて、
前記HC添加弁のHC添加量と前記バイパス側分流比の増加量とを夫々の目標値である目標HC添加量と目標分流比増加量としてHC添加制御を行う際の、前記吸蔵還元型NOx触媒をすり抜けるHCスリップ量と前記後段触媒におけるHC酸化可能量とを推定する推定手段と、
前記HCスリップ量の推定値と前記HC酸化可能量の推定値との大小関係に基づき、前記目標HC添加量及び前記目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を補正する補正手段と、
を更に備えることを特徴とする。
上記構成においては、HC添加制御を行う際にはバイパス側分流比が増加されるので、NOx触媒に流入する排気のリッチ度合いが高まり且つリッチ期間が長くなるので、NOx触媒における浄化能力の回復効率の向上を図ることができる。浄化能力の回復効率とは、HC添加弁から添加されるHCのうち、NOx触媒の回復処理の為に消費される(反応する)HCの量を、上記添加される全HC量で除した値として定義することができる。
本発明におけるバイパス通路は、排気通路におけるHC添加弁よりも上流側を流れる排気の一部を酸化触媒に導く。従って、HC添加弁からHCが添加されているときであっても、バイパス通路を介して酸素濃度の比較的高い排気が後段触媒に供給される。
しかしながら、HC添加制御を行う際の目標HC添加量と目標分流比増加量とを適切に設定しないと、HC酸化可能量に対してHCスリップ量が過剰になることで白煙が生じたり、逆にHCスリップ量に対してHC酸化可能量が過剰になることで浄化能力の回復効率が悪化する虞がある。
そこで、本発明では、HC添加量とバイパス側分流比の増加量とを、目標HC添加量と目標分流比増加量とにしてHC添加制御を行う際の、HCスリップ量及びHC酸化可能量が推定される。なお、HC酸化可能量は、HC添加制御の実行時に後段触媒において酸化可能なHC量であり、HCスリップ量はHC添加弁に添加されたHCのうちNOx触媒をすり抜ける(スリップする)HCの量である。
ここで、HCスリップ量及びHC酸化可能量の推定について説明する。まず、HCスリップ量は、目標HC添加量及び目標バイパス増加量の他、内燃機関から排出される排気の全流量、NOx触媒の床温等によって影響を受ける。従って、HCスリップ量は上記パラメータの状態に基づいて推定することができる。
バイパス側分流比が等しい場合、内燃機関から排出される排気の全流量が多いほどNOx触媒を通過する排気の流量が多くなるため、HCスリップ量が多くなる。従って、内燃機関から排出される排気の全流量が多いほどHCスリップ量がより大きくなるように該HCスリップ量を推定することができる。
また、NOx触媒に流入する排気のリッチ度合いが高いほど、あるいはリッチ期間が長いほど、HCがNOx触媒をすり抜けやすくなる。また、排気のリッチ度合いはHC添加量の増大に伴って高まり、リッチ期間はバイパス側分流比の増大に伴って長くなる。従って、目標HC添加量が多いほど、或いは目標分流比増加量が大きいほど、HCスリップ量がより大きくなるように該HCスリップ量を推定することができる。
また、NOx触媒の床温が高い場合に比べて低い場合の方がNOx触媒の活性が低くなるため、HCがNOx触媒をすり抜け易くなる。そこで、HC添加制御を実行する際のNOx触媒の床温が高いほど、HCスリップ量がより大きくなるように該HCスリップ量を推定することができる。
一方、HC酸化可能量は、目標HC添加量及び目標分流比増加量の他、後段触媒に供給される酸素量、後段触媒の床温等によって影響を受ける。従って、HC酸化可能量は上記パラメータに基づいて推定されても良い。
ここで、後段触媒に流入する排気に含まれる酸素量が多い場合には、酸素量が少ない場合に比べて後段触媒においてより多くのスリップHCを酸化できる。ここで、バイパス通路を通過する排気の酸素濃度が高いほど、或いはバイパス側分流比が大きいほど、後段触媒に供給される酸素量を増加させることができる。従って、本発明においては、バイパス通路を通過する排気の酸素濃度が高いほど、或いは目標分流比増加量が多いほど、HC酸化可能量が大きくなるように該HC酸化可能量を推定することができる。
また、後段触媒の床温が低い場合に比べて高い場合の方がHCの酸化能が高まる。そこで、後段触媒の床温が高いほどHC酸化可能量が大きくなるように該HC酸化可能量を推定することができる。NOx触媒を介して後段触媒に流入する排気はバイパス通路を介し
て後段触媒に流入する排気よりも高温となる。前者はNOx触媒におけるHCの反応熱によって昇温するからである。更に、NOx触媒におけるHCの反応熱は、HC添加量が多いほど増大する。従って、目標分流比増加量が多いほど、或いは目標HC添加量が多いほど上記後段触媒の床温を高温側に推定することで、HC酸化可能量を精度良く推定できる。
次に、HCスリップ量の推定値とHC酸化可能量の推定値との大小関係について考える。HC酸化可能量の推定値に対してHCスリップ量の推定値が過多となる場合には、浄化能力の回復効率は高くなるものの、大気中に放出されるHC量が多くなって白煙が生じてしまう。そこで、この場合には浄化能力の回復効率が過度に低下しない範囲で目標空燃比をリーン側に補正し、補正後の目標空燃比に応じて目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも一方を補正する必要がある。
一方、HCスリップ量の推定値に対してHC酸化可能量の推定値が過多となる場合には、白煙の発生が生じる虞はないものの浄化能力の回復効率が低下してしまう。従って、この場合には白煙の発生を抑制できる範囲で目標空燃比をリッチ側に補正し、補正後の目標空燃比に応じて目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも一方を補正する必要がある。
そこで、本発明では、HCスリップ量の推定値とHC酸化可能量の推定値との大小関係に基づき、目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を補正することで、浄化能力の回復効率の向上と白煙の発生の抑制とを両立させることとした。
本発明においては、HC酸化可能量の推定値に対してHCスリップ量の推定値が過多となる場合に、補正手段は目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を減量補正すると好適である。例えば、目標HC添加量を減量補正する場合には、NOx触媒に流入する排気のリッチ度合いが低下するため、HCスリップ量を減少させることができる。
また、目標分流比増加量を減量補正する場合には、NOx触媒を流通する排気の流量が増加するため、NOx触媒に流入する排気のリッチ度合いが低くなると共にリッチ期間も短くなる。従って、HCスリップ量を減少させることができる。また、この場合には高温の排気が後段触媒に対してより多く流入するため、後段触媒がより高温となることでHCの酸化能が向上し、HC酸化可能量を増加させることができる。
このように、HCスリップ量の推定値とHC酸化可能量の推定値とを対比した結果、HC酸化可能量の推定値に対してHCスリップ量の推定値が過多となる場合には、上記減量補正を行うことによって大気中に放出されるHC量を低減し、白煙の発生を確実に抑制することができる。
一方、HCスリップ量の推定値に対してHC酸化可能量の推定値が過多となる場合には、補正手段は目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を増量補正すると好適である。
例えば、目標HC添加量を増量補正することで、NOx触媒に流入する排気のリッチ度合いが高まり、NOx触媒に対する浄化能力の回復効率を高めることができる。また、目標分流比増加量を増量補正することで、上記排気のリッチ度合いが高まり且つリッチ期間も長くなるので、NOx触媒に対する浄化能力の回復効率を高めることができる。これによれば、HC添加制御の実行時における浄化能力の回復効率の向上と白煙の発生の抑制とを両立させることができる。
また、本発明においては、HCスリップ量の推定値からHC酸化可能量の推定値を減じた値(以下、「HC放出量」という)が第一閾値より大きい場合に、補正手段は目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を減量補正すると好適である。
上記の第一閾値は、未浄化のまま大気中に放出されるHC量(HC放出量)の許容値であって、HCスリップ量からHC酸化可能量を減じた値がこの値を超えると白煙が生じてしまうと判断される。本発明では、HC放出量が第一閾値を超えている場合には該HC放出量が第一閾値以内となるように目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方が減量補正される。これにより、HC添加制御の実行時に白煙の発生を確実に抑制することができる。また、HC放出量が第一閾値以内である場合には、白煙の発生が起こらないと判断されることで上記減量補正が行われない。これによれば、上記減量補正が過度に頻繁に行われることを抑制することができる。
また、本発明においては、HC放出量が第一閾値より大きい場合であって、後段触媒の床温が基準温度より低い場合に、補正手段は目標分流比増加量のみを減量補正することが好ましい。基準温度とは、後段触媒の酸化能が十分高いと判断できる温度であり、予め実験的に定めておいても良い。具体的には、例えば後段触媒の活性温度に所定のマージンを加えた温度としても良い。
後段触媒の床温が基準温度より低い場合には、同触媒の酸化能を高めるべく該後段触媒を昇温させる必要がある。ここで、目標HC添加量の減量補正を行う場合と、目標分流比増加量の減量補正を行う場合とを比較する。目標HC添加量の減量補正を行うと、HC添加弁から添加されたHCのNOx触媒における反応熱が少なくなって後段触媒の床温が低下してしまう。
そこで、HC放出量が第一閾値より大きい場合であって、後段触媒の床温が基準温度より低い場合には、目標HC添加量の減量補正を禁止し、目標分流比増加量のみを減量補正することとした。このように、目標分流比増加量を減量補正すると、後段触媒に対する温度の低い排気の流入量が少なくなり、後段触媒を昇温できるという作用効果を奏する。なお、後段触媒の床温が基準温度以上である場合には、例えば目標HC添加量の減量補正を行うことでHC添加制御に係るHCの添加量を節約することができる。
また、本発明においては、HC酸化可能量の推定値からHCスリップ量の推定値を減じた値(以下、「HC余裕量」という)が第二閾値よりも大きい場合に、補正手段は目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を増量補正すると好適である。
上記の第二閾値は、HC余裕量が充分に大きいと判断できるときの閾値である。HC余裕量が第二閾値よりも大きい場合には、HCスリップ量が増加し、或いはHC酸化可能量が減少しても白煙が発生しないと判断される。また、HC余裕量が第二閾値よりも大きい場合には浄化能力の回復効率の低下が懸念され、浄化能力の回復効率を更に向上させるべきと判断される。
本発明では、HC余裕量が第二閾値を超えている場合には該HC余裕量が第二閾値以内となるように目標HC添加量及び目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方が増量補正される。従って、HC添加制御の実行時に浄化能力の回復効率を確実に向上させることができる。また、HC余裕量が第二閾値以内である場合には、浄化能力の回復効率を良好に維持できると判断されることで上記増量補正は行われない。これによれば、当該増量補正が過度に頻繁に行われることを抑制できる。
また、本発明においては、HC余裕量が第二閾値より大きい場合であって、後段触媒の床温が基準温度以上である場合に、補正手段は目標分流比増加量のみを増量補正することが好ましい。後段触媒の床温が基準温度以上であれば後段触媒の酸化能が十分高いと判断される。この場合には目標分流比増加量の増量補正が行われ、後段触媒の床温が多少低くなっても白煙が発生する虞がないと判断される。そこで、後段触媒の床温が基準温度以上である場合には、目標HC添加量の増量補正を禁止し目標分流比増加量のみを増量補正することとした。これにより、HC添加制御に係るHCを節約することができる。
また、本発明において、HC余裕量が第二閾値よりも大きい場合であって、NOx触媒の床温が第二基準温度以上である場合に、補正手段はHC添加量の目標値のみを増量補正することが好ましい。第二基準温度は、NOx触媒の床温が過度に高い状態にあり、床温がこの温度を超えるとNOx触媒に熱劣化が生じる虞があると判断される下限温度である。
ここで、HC添加量の目標値を増量補正する場合と、目標分流比増加量を増量補正する場合とにおいて、NOx触媒の床温に及ぼす影響の違いについて着目する。前者の場合は、流入排気空燃比がリッチ空燃比に属する領域(以下、「リッチ領域」ともいう)は増大するが、流入排気空燃比がリーン空燃比に属する領域(以下、「リーン領域」ともいう)は殆ど増大しない。
一方、後者の場合はNOx触媒を通過する排気の体積速度が低下するため、リッチ領域の増大に加えリーン領域も増大する。ここで、流入排気空燃比がリーン領域に属するときには、NOx触媒に対して酸素過剰の排気が供給されるため、HC添加弁から添加されたHCが同触媒上で反応し易くなる。従って、NOx触媒の床温が過度に高い状態の場合に、目標分流比増加量を増量補正してしまうとNOx触媒が熱劣化し易くなってしまう。
これに対して、本発明では、HC余裕量が第二閾値よりも大きい場合であって、NOx触媒の床温が第二基準温度以上である場合に、目標分流比増加量の増量補正が禁止され目標HC添加量のみが増量補正されるので、NOx触媒の熱劣化を抑制することができる。
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
本発明にあっては、内燃機関の排気浄化システムにおいて、NOx触媒における浄化能力の回復効率の向上と白煙の発生の抑制とを両立させることができる
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施例に係る内燃機関1とその排気系の概略構成を示した図である。図1に示す内燃機関1は、水冷式の4サイクル・ディーゼルエンジンであり、該内燃機関1には吸気通路2および排気通路3が接続されている。この吸気通路2の途中には、該吸気通路2内を流通する吸気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ5が設けられている。このエアフローメータ5により、内燃機関1の吸入空気量が測定される。
一方、排気通路3の途中には、吸蔵還元型NOx触媒(以下、「NOx触媒」という)6が備えられている。NOx触媒6は、流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の酸素濃度が低下し且つ還元成分(例えば、燃料等)が存在するときは吸蔵していたNOxを還元する機能を有する。このNOx触媒6は、排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタに担持されていてもよい。
さらに、本実施例では、NOx触媒6よりも上流側の排気通路3を流通する排気中にNOxの還元剤たる燃料(軽油)の未燃成分(以下、「HC」という)を添加するHC添加弁7を備えている。ここで、HC添加弁7は、後述するECU20からの信号により開弁してHCを排気中に添加する。
NOx触媒6よりも下流側の排気通路3には、後段触媒としての酸化触媒8が備えられている。また、本実施例では、排気通路3を流れる排気にNOx触媒6をバイパスさせて該排気を酸化触媒8へと導くバイパス通路9が設けられている。このバイパス通路9の一端は燃料添加弁7よりも上流側の排気通路3に接続され、他端はNOx触媒6と酸化触媒8との間の排気通路3に接続される。さらにバイパス通路9には、該バイパス通路9を流通する排気の流路断面積を変更可能なバイパス弁10が配置されている。
また、排気通路3におけるHC添加弁7とNOx触媒6の間には、該NOx触媒6に流入する排気の温度に応じた電気信号を出力する温度センサ11が配設されている。また、内燃機関1には、該内燃機関1の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁13が備えられている。
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU20が併設されている。このECU20は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
また、ECU20には、上記センサの他、運転者によるアクセルペダル14の踏み込み量に応じた電気信号を出力し機関負荷を検出可能なアクセル開度センサ15及び機関回転数を検出するクランクポジションセンサ16が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU20に入力される。
一方、ECU20には、燃料噴射弁13、HC添加弁7が電気配線を介して接続され、該ECU20によりこれらの開閉時期が制御される。また、バイパス弁10もECU20に電気配線を介して接続されており、その開度がECU20によって制御されることで、内燃機関1から排出される排気の全流量に対するバイパス通路9を流通する排気流量の比(以下、「バイパス側分流比」という)Rbpが制御される。本実施例においてはバイパス弁10が本発明における分流比変更手段に相当する。
バイパス弁10の開度(以下、「バイパス開度」という)Dbpとバイパス側分流比Rbpとの関係は、バイパス開度Dbpが大きいほどバイパス側分流比Rbpが大きくなり、バイパス開度Dbpが「全閉」のときにバイパス側分流比Rbpが0となる。
そして、バイパス側分流比Rbpを増加させることで、増加させる前に比べてバイパス通路9を流通する排気の流量(以下、「バイパス側流量」という)Gbpが増加し、NOx触媒6を流通する排気の流量(以下、「NSR側流量」という)Gnsrが減少する。逆に、バイパス側分流比Rbpを減少させることで、該バイパス側分流比Rbpを減少させる前に比べてバイパス側流量Gbpが減少し、NSR側流量Gnsrが増加する。
次に、本実施例のSOx被毒回復処理について説明する。NOx触媒6には、排気中のNOxのほかSOxが吸蔵されて堆積するため、SOx吸蔵量が増加するとNOxの吸蔵能力が低下してしまう。そのため、NOx触媒6に吸蔵されているSOxを離脱させるSOx被毒回復処理がECU20によって実施される。
SOx被毒回復処理においては、HC添加弁7から間欠的にHCを添加させることでNOx触媒6に流入する排気の空燃比(以下、「流入排気空燃比」という)A/Fを目標空燃比A/Ft(本実施例においてはリッチ空燃比)に向けてリッチとする、HC添加制御が行われる。そして、HC添加弁7が添加したHCの一部をNOx触媒6の酸化能によって酸化させることでNOx触媒6の床温(以下、「NSR床温」という)THnsrを上昇させ、残りのHCの一部をSOxと反応させることでNOx触媒6からSOxを離脱させる。
ここで、NOx触媒6において酸化されなかったHCは、排気と共に該NOx触媒6をすり抜ける場合がある。このようにNOx触媒6をすり抜けたHC(以下、「NSRスリップHC」という)は、下流側に配置される酸化触媒8に排気と共に流入し、該酸化触媒8の酸化機能によって浄化(酸化)される。なお、本実施例におけるHC添加制御はSOx被毒回復処理を実施する際の他NOx触媒6に吸蔵されたNOxを還元させるときにも行われる。
次に、HC添加制御を実行する際のバイパス側分流比Rbpに係る基本制御について説明する。先ず、HC添加制御が実行されないときにはバイパス開度Dbpが「全閉」に制御されることでバイパス側分流比Rbpが0に保持される。つまり、内燃機関1からの全ての排気はNOx触媒6を通過してから大気中に放出されるため、排気中のNOxをNOx触媒6によって吸蔵させることができる。
一方、HC添加制御を実行するときは、ECU20がバイパス弁10を開弁させることでバイパス側分流比Rbpを増加させる。すなわち、SOx被毒回復処理を実施するときに、同処理を実施しないときと比較してバイパス側分流比Rbpを増加させた状態でHC添加制御を実行する。
ここで、HC添加制御の実行時における流入排気空燃比A/F、HC添加弁7からのHC添加量Qad、バイパス側分流比Rbpの関係について説明する。上述の通り、SOx被毒回復処理に係るHC添加制御では流入排気空燃比A/Fをリッチ空燃比まで低下させる必要がある。排気の空燃比( Air-Fuel Ratio )は空気/燃料の重量比で定義されるため、NSR側流量Gnsrが同じ条件であればHC添加量Qadが多いほど流入排気空燃比A/Fがより低くなる(よりリッチとなる)。また、HC添加量Qadが同じ条件であればバイパス側分流比Rbpが大きいほどNSR側流量Gnsrが小さくなるため、流入排気空燃比A/Fがより低くなる(よりリッチとなる)。
図2は、HC添加制御におけるHC添加量Qadが等しく、バイパス側分流比Rbpが相違する場合の流入排気空燃比A/Fの変化を例示した図である。図中の実線はバイパス側分流比Rbpが大きい場合を表し、破線はバイパス側分流比Rbpが小さい場合を表す。なお、図中の縦軸に示す符号A/Fbは、内燃機関1から排出される排気の空燃比(以下、「ベース空燃比」)を示したものである。
実線は、破線に比べてバイパス側分流比Rbpが大きいためHC添加制御の実行時におけるNSR側流量Gnsrがより少なくなる。その結果、バイパス側分流比Rbpの大きい実線の方がNOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いが高まる(流入排気空燃比A/Fがよりリッチ側の空燃比まで低下する)ので、SOx被毒の回復効率を高めることがで
きる。SOx被毒の回復効率とは、HC添加弁7から添加されるHCのうちSOxと反応するHCの量を、添加される全HC量で除した値と定義することができる。
また、NSR側流量Gnsrが減少することで、NOx触媒6を通過する排気の空間速度(SV)が低下し、流入排気空燃比A/Fがリッチ空燃比に維持される期間(以下、「リッチ期間」という)が長くなる。その結果、NOx触媒6におけるHCとSOxとの反応時間が長くなり、NOx触媒6からより多くのSOxを離脱させることができる。
また、HC添加制御の実行時において、バイパス通路9を介して酸化触媒8に流入する排気の酸素濃度は、NOx触媒6を通過して酸化触媒8に流入する排気の酸素濃度に比べて高い。従って、バイパス側分流比Rbpを大きくしてバイパス側流量Gbpと増やすことによって、NSRスリップHCの酸化に必要な酸素を酸化触媒8へと供給することができる。
しかし、HC添加制御に際してバイパス側分流比Rbpを単に増加させた場合、以下の理由により酸化触媒8をすり抜けた未浄化のHCが大気中へと多量に放出されてしまう虞がある。すなわち、NOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いが高まるとNOx触媒に供給される酸素量が欠乏し、NSRスリップHCの量(以下、「NSRスリップHC量」という)Qslipが増加してしまう。これは、下流側の酸化触媒8によって酸化(浄化)すべきHC量が増加することになる。
また、バイパス通路9を介して酸化触媒8に流入する排気の温度は、NOx触媒6を介して酸化触媒8に流入する排気の温度と比較して低い。従って、バイパス側流量Gbpが多くなると酸化触媒8の床温(以下、「CCO床温」という)THccoが低下し易くなり、酸化触媒8が酸化できるHC量(以下、「CCO酸化可能HC量」という)Qposが低下する場合がある。そして、NSRスリップHC量QslipがCCO酸化可能HC量Qposを超えてしまうと大気中にHCが放出されてしまい、その放出量が増大すると白煙の発生を招いてしまう。
一方、SOx被毒の回復効率を高める観点からは、白煙の発生を抑制できる範囲において、NOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いを可及的に高め、且つリッチ期間を可及的に長くすることが好ましい。
そこで、本実施例に係るHC添加制御では、NSRスリップHC量QslipとCCO酸化可能HC量Qposとの大小関係に基づきHC添加量Qad及びバイパス側分流比Rbpを制御することで、SOx被毒の回復効率の向上と白煙の発生の抑制とを両立させることとした。
SOx被毒回復処理を行う際のHC添加制御について、図3を参照して説明する。図3は、HC添加制御に係るメインルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンはECU20内のROMに記憶されたプログラムであり内燃機関1の稼動中は所定期間毎に該ECU20によって実行される。本実施例においては本ルーチンを実行するECU20が本発明における推定手段、補正手段に相当する。
本ルーチンが実行されると、まずステップS101においては、NOx触媒6に対するSOx被毒回復要求が出されているかどうかが判定される。ここで、SOx被毒回復要求は内燃機関1の運転履歴に基づいて出される。例えば、前回のSOx被毒回復処理の終了後からの車両の走行距離の積算値や、燃料噴射弁13による燃料噴射量の積算値に基づいてNOx触媒6へのSOx吸蔵量を推定し、該SOx吸蔵量が規定値を超えた場合に上記要求が出されても良い。
本ステップにおいてSOx被毒回復要求が出されていると判定(肯定判定)された場合、ステップS102に進む。一方、否定判定された場合には本ルーチンを一旦終了する。
ステップS102では、各センサの出力信号が読み込まれ、内燃機関1の運転状態が検出される。具体的には、エアフローメータ5の出力信号から内燃機関1の吸入空気量が測定され、アクセル開度センサ15の出力信号から機関負荷が検出される。そして、吸入空気量と機関負荷とに基づき、燃料噴射量13により噴射される燃料噴射量が演算され、ベース空燃比A/Fbが推定される。また、本ステップでは、クランクポジションセンサ16の出力信号に基づいて内燃機関1から排出される排気の全流量Gaが検出される。また、温度センサ11の出力信号が読み込まれ、内燃機関1から排出されている排気温度THgasが検出される。
なお、燃料噴射弁13からの燃料噴射量は、ECU20が燃料噴射弁13に対して出力する指令信号を読み込むことで求められても良い。また、ベース空燃比A/Fbは、排気通路3におけるバイパス通路9の分岐部よりも上流側に配置される空燃比センサを設置し、該空燃比センサの出力値に基づいて推定することもできる。
ステップS103では、ステップS102で求められたベース空燃比A/Fb及び排気の全流量Ga、並びに予め設定される目標空燃比A/F(リッチ空燃比)に基づき、HC添加量Qad及びバイパス側分流比Rbpの夫々の目標値(夫々、目標HC添加量Qadt、目標バイパス側分流比Rbptとする)が設定される。目標HC添加量Qadtと目標バイパス側分流比Rbptとの組み合わせは、ベース空燃比A/Fb、目標空燃比A/F、排気の全流量Gaとの関係が格納されたECU20のROM内に記憶されたマップに基づき、内燃機関1の運転状態に適合する値として導出される。なお、本実施例においてHC添加制御が実行されないときのバイパス側分流比Rbpは0である。従って、本実施例においては目標バイパス側分流比Rbptが本発明における目標分流比増加量に相当する。
ステップS104では、HC添加量Qadとバイパス側分流比Rbpとを、ステップS103で設定した目標値(目標HC添加量Qadt、目標バイパス側分流比Rbpt)としてHC添加制御を実行する場合のNSRスリップHC量Qslipが推定される。
ここで、NSR側流量Gnsrが多い場合には少ない場合に比べて、HC添加弁7から添加されたHCがNOx触媒6をすり抜け易くなる。ここで、バイパス側分流比Rbpが等しい条件下で比較すると、排気の全流量Gaが多いほどNSR側流量Gnsrも多くなる。そこで、本ステップでは、ステップS102で検出された排気の全流量Gaが多いほど、NSRスリップHC量Qslipの推定値が大きくなる。
また、NOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いが高いほど、リッチ期間が長いほど、NSRスリップHC量Qslipが多くなる。ここで、排気のリッチ度合いはHC添加量Qadが多くなるに従って高まる。また、リッチ期間は、バイパス側分流比Rbpが大きいほど長くなる。そこで、本ステップでは、ステップS103で設定された目標HC添加量Qadtが多いほど、目標バイパス側分流比Rbptが大きいほど、NSRスリップHC量Qslipの推定値が大きくなる。
更に、NSR床温THnsrが低い場合には、高い場合と比較してNOx触媒6の活性が低くなるため、NSRスリップHC量Qslipが多くなる。そこで、本ステップでは、ステップS102で検出された排気温度THgasに基づいてNSR床温THnsrが推定される。そして、推定されたNSR床温THnsrが低いほどNSRスリップHC量
Qslipの推定値が大きくなる。本ステップの処理が終了するとステップS105に進む。
ステップS105では、HC添加量Qadとバイパス側分流比Rbpとを、ステップS103で設定した目標値(目標HC添加量Qadt、目標バイパス側分流比Rbpt)とした場合のCCO酸化可能HC量Qposが推定される。
ここで、CCO床温THccoが低い場合に比べて高い場合の方が酸化触媒8の酸化能が高まるため、CCO酸化可能HC量Qposが多くなる。そこで、本ステップでは、NSRスリップHCが酸化触媒8に流入するときのCCO床温THccoが推定され、該CCO床温THccoが高いほどCCO酸化可能HC量Qposが多くなるように推定される。
なお、本実施例においてCCO床温THccoは、他の条件が同じ場合には排気温度THgasが高いほど高温側に推定される。更に、排気温度THgasや排気の全流量Gaが等しい場合、バイパス側分流比Rbp、HC添加量Qadが相違することでCCO床温THccoは変化するため、これらの影響を考慮してCCO床温THccoを推定することとした。
バイパス側分流比Rbpが大きいほどバイパス側流量Gbpが多くなり、NSR側流量Gnsrが少なくなる。また、バイパス通路9を介して酸化触媒8に流入する排気の温度は、NOx触媒6におけるHCの反応熱によって昇温してから流入する排気の温度よりも低い。以上より、本ステップにおいては目標バイパス側分流比Rbptが大きいほどCCO床温THccoを高温側に推定し、目標バイパス側分流比Rbptが小さいほど低温側に推定することとした。
さらに、上記HCの反応熱はHC添加量Qadが多いほど大きくなる。従って、目標HC添加量Qadtが多いほどCCO床温THccoは高温側に推定される。CCO床温THccoは、例えば(1)式で算出することができる。
THcco=THgas×Rbp+(THgas+α)×(1−Rbp)・・・(1)
α:HCの発熱量
次に、酸化触媒8に流入する排気に含まれる酸素量について着目する。NSRスリップHCの酸化反応は上記排気に含まれる酸素量が多い方が促進する。ここで、排気の全流量Ga及びバイパス通路9を通過する排気の酸素濃度が等しい場合には、バイパス側分流比Rbpが大きいほど酸化触媒8に供給される酸素量が多くなる。また、排気の全流量Ga及びバイパス側分流比Rbpが等しい場合には、バイパス通路9を通過する排気の酸素濃度が高いほど酸化触媒8に供給される酸素量が多くなる。
そこで、本ステップではベース空燃比A/Fbからバイパス通路9を通過する排気の酸素濃度が推定される。そして、推定された排気の酸素濃度が高いほど、目標バイパス側分流比Rbptが大きいほど、酸化触媒8に流入する排気に含まれる酸素量が多いと判断されるため、CCO酸化可能HC量Qposがより多くなるように推定される。
なお、本実施例においては、排気の全流量Ga、ベース空燃比A/Fb、バイパス側分流比Rbp、上記酸素量の関係を予め実験的に求めておき、これらの関係が格納されたマップをECU20のROM内に記憶しておく。そして、排気の全流量Ga、ベース空燃比A/Fb、目標バイパス側分流比Rbptをパラメータとして上記マップにアクセスすることで酸化触媒8に供給される酸素量を推定することができる。本ステップの処理が終了するとステップS106に進む。
ステップS106では、ステップS104及びステップS105にて推定されたNSRスリップHC量Qslip及びCCO酸化可能HC量Qposの大小関係が比較される。具体的には、NSRスリップHC量QslipがCCO酸化可能HC量Qposより多いか否かが判定される。本ステップにおいて肯定判定(Qslip>Qpos)された場合には、ステップS107に進む。一方、否定判定(Qslip≦Qpos)された場合には、ステップS108に進む。
ステップS107では、目標空燃比A/Ftをリーン側に補正すべきか否かが判断される。すなわち、本ステップではNSRスリップHC量QslipからCCO酸化可能HC量Qposを減じた値(以下、「HC放出量Qem」という(Qem=Qslip−Qpos))が白煙限界値Qemthより大きいか否かが判定される。ここで、白煙限界値Qemthとは、未浄化のまま大気中に放出されるHC量が過剰となって白煙が生じると判断されるHC放出量Qemの下限値である。白煙限界値Qemthは予め実験的に求めておくことができる。本実施例においては白煙限界値Qemthが本発明における第一閾値に相当する。
本ステップにおいて肯定判定(Qem>Qemth)された場合には、目標HC添加量Qadt及び目標バイパス側分流比Rbptを現状の設定値としてHC添加制御を実行してしまうと白煙が発生すると判断され、ステップS109に進むことでリーン側補正制御が実行される。ステップS109で行われるリーン側補正制御については後述する。一方、否定判定(Qem≦Qemth)された場合には、このままHC添加制御を実行しても白煙が発生する虞がないと判断され、ステップS111に進む。
また、ステップS108では、目標空燃比A/Ftをリッチ側に補正すべきか否かが判断される。すなわち、本ステップではCCO酸化可能HC量QposからNSRスリップHC量Qslipを減じた値(以下、「HC余裕量Qem2」という(Qem2=Qpos−Qslip))が基準HC余裕量Qemth2より大きいか否かが判定される。
ここで、基準HC余裕量Qemth2とは、NSRスリップHC量Qslipが更に増加し、或いはCCO酸化可能HC量Qposが減少しても当面は白煙が発生する虞が生じないと判断できるHC余裕量の下限値であり、予め実験的に求めておくことができる。また、本実施例において、HC余裕量Qem2が基準HC余裕量Qemth2よりも大きい場合にはSOx被毒の回復効率の低下が懸念され、該回復効率を更に向上させるべきであると判断される。
本ステップにおいて肯定判定(Qem2>Qemth2)された場合には、目標空燃比A/Ftを現状の設定値よりも更にリッチ側に変更しても白煙が発生しないと判断され、ステップS110に進むことでリッチ側補正制御が行われる。ステップS110で行われるリッチ側補正制御については後述する。一方、否定判定(Qem2≦Qemth2)された場合には、現状の目標HC添加量Qadt及び目標バイパス側分流比Rbptに係る設定が適切であると判断され、ステップS111に進む。
ステップS111では、HC添加制御が実行される。すなわち、ECU20からバイパス弁10及びHC添加弁7に指令が出され、これらが開弁される。その際、バイパス開度Dbpは、バイパス側分流比RbpをステップS103で設定された目標バイパス側分流比Rbptに一致するように制御される。また、HC添加弁7から添加されるHC添加量Qadは、ステップS103で設定された目標HC添加量Qadtに一致するように開弁時間が制御される。
次に、ステップS109におけるリーン側補正制御、及びステップS110におけるリッチ側補正制御について説明する。図4は、メインルーチンのステップS109において割り込み実行されるリーン側補正サブルーチンを示したフローチャートである。
リーン側補正サブルーチンが実行されると、先ずステップS201において、目標空燃比A/Ftが理論空燃比以下となる(リーン空燃比とならない)範囲内でリーン側に補正される。補正後の目標空燃比を補正後目標空燃比A/Ftaと称する。ここで、目標空燃比A/Ftの補正量は予め定めておくことができ、一定量であっても良い。また、ステップS106において算出されたHC放出量Qem(Qslip−Qpos)が大きいほど目標空燃比A/Ftの補正量を大きくしても良い。
続くステップS202では、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように目標HC添加量Qadtが減量補正される。そして、本ステップの処理が終了すると、本サブルーチンを一旦抜け、図3に示すメインルーチンのステップS104に戻り、該ステップS104以降の処理が行われる。
ステップS104では、リーン側補正サブルーチンのステップS202で減少させられた後の目標HC添加量Qadtが採用され、NSRスリップHC量Qslipが推定される。すなわち、目標HC添加量Qadtが減量補正されることでNOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いが低下するため、次に推定されるNSRスリップHC量Qslipは前回の推定値よりも少なくなる。従って、次にステップS107の処理が行われる際に否定判定(Qem≦Qemth)され易くなる。
また、再び肯定判定(Qem>Qemth)されたとしても、ステップS109における目標空燃比A/Ftのリーン側補正制御が繰り返されることで、ステップS107において否定判定(Qem≦Qemth)されるような値として目標HC添加量Qadtを設定することができる。
次に、ステップS110において行われるリッチ側補正制御について説明する。図5は、メインルーチンのステップS110において割り込み実行されるリッチ側補正サブルーチンを示したフローチャートである。リッチ側補正サブルーチンが実行されると、先ずステップS301において、目標空燃比A/Ftがリッチ側に補正される。この補正量は一定量であっても良いし、ステップS108で算出されたHC余裕量Qem2(Qpos−Qslip)が大きいほど該補正量を大きくしても良い。
続くステップS302では、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaに一致するように目標HC添加量Qadtが増量補正される。本ステップの処理が終了すると、本サブルーチンを一旦抜け、図3に示すメインルーチンのステップS104に戻り、該ステップS104以降の処理が行われる。
すなわち、ステップS104では、リッチ側補正サブルーチンのステップS302で増量補正された後の目標HC添加量Qadtが採用され、NSRスリップHC量Qslipが推定される。すなわち、目標HC添加量Qadtが減量補正されることでNOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いが高まるため、次に推定されるNSRスリップHC量Qslipは前回の推定値よりも多くなる。
そして、ステップS108の処理において否定判定(Qem2≦Qemth2)された場合には、ステップS111に進むことでHC添加制御が実行される。また、再び肯定判定(Qem2>Qemth2)された場合には、ステップS110における目標空燃比A/Ftのリッチ側補正制御が繰り返されることで、ステップS108において否定判定(
Qem2≦Qemth2)されるような値として目標HC添加量Qadtを設定することができる。
以上のように、本実施例におけるHC添加制御によれば、SOx被毒回復要求が出されるときの内燃機関1の運転状態に応じて、NSRスリップHC量Qslip及びCCO酸化可能HC量Qposを精度良く推定することができる。また、これら推定値の大小関係に基づき目標HC添加量Qadt及び目標バイパス側分流比Rbptを補正することで、SOx被毒の回復効率の向上と白煙の発生の抑制とを両立することができる。
すなわち、CCO酸化可能HC量Qposの推定値に対してNSRスリップHC量Qslipの推定値が過多となる場合には、目標空燃比A/Ftをリーン側に補正することで、SOxの還元効率を良好に維持しつつHC放出量Qemを低減することができる。また、NSRスリップHC量Qslipの推定値に対してCCO酸化可能HC量Qposの推定値が過多となる場合には、目標空燃比A/Ftをリッチ側に補正することで、白煙の発生を抑制しつつSOx被毒の回復効率を高めることができる。
なお、本実施例では、SOx被毒回復処理にかかるHC添加制御が実行されないときのバイパス側分流比Rbpが0に保持される場合を例示したが、これに限定される趣旨ではない。HC添加制御が実行されないときにバイパス弁10が開弁されても良い。
また、本実施例におけるバイパス弁10は、バイパス通路9に設置されていなくても良い。すなわち、排気の全流量Gaに対するバイパス通路9を流れる排気の流量の比を変更可能であれば、その他の形態や配置位置を採用することができる。例えば、排気通路3におけるバイパス通路9の分岐部や合流部に上記バイパス弁10を設けても良い。
次に、本実施の形態における実施例2について説明する。なお、本実施例に係る内燃機関1及びその排気系は実施例1と同一であり、その説明は省略する。本実施例では、図3で説明したメインルーチンで実行されるリーン側補正制御(ステップS109)、及びリッチ側補正制御(ステップS110)において、目標HC添加量Qadtを補正する代わりに目標バイパス側分流比Rbptを補正する点で実施例1と相違する。
図6は、メインルーチンのステップS109において割り込み実行される第二のリーン側補正サブルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンにおいて、図4で説明したステップと同一内容の処理が行われる場合には、同一の符号を付すことで説明を省略する。本ルーチンが実行されると、既述のステップS201の処理が実行され、目標空燃比A/Ftが理論空燃比以下となる(リーン空燃比とならない)範囲内でリーン側に補正される。
続くステップS402では、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように目標バイパス側分流比Rbptが減量補正される。そして、本ステップの処理が終了すると本サブルーチンを一旦抜け、図3に示したメインルーチンのステップS104に進む。
上記ステップS402において目標バイパス側分流比Rbptが減量補正されると、NOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いが低下する。また、リッチ期間もより短くなる。その結果、図3のメインルーチンのステップS104で推定されるNSRスリップHC量Qslipの推定値が減少する。
また、目標バイパス側分流比Rbptが減量補正されることで、高温の排気が酸化触媒
8に対してより多く流入するようになる。これにより、CCO床温THccoが昇温することで酸化触媒8の酸化能が向上する。その結果、図3のメインルーチンのステップS105におけるCCO酸化可能HC量Qposの推定値が増加する。
従って、CCO酸化可能HC量Qposに対してNSRスリップHC量Qslipが過多となる場合には、本サブルーチンを実行することによって好適にHC放出量Qemを低減することができる。従って、白煙の発生を確実に抑制することができる。
なお、本サブルーチンのS402においては、目標バイパス側分流比Rbptを減量補正しているが、これに加えて目標HC添加量Qadtの減量補正を行うこともできる。つまり、ステップS201にて目標空燃比A/Ftが補正されるときの補正量に応じて、目標バイパス側分流比Rbpt及び目標HC添加量Qadtを減量補正しても良い。
図7は、メインルーチンのステップS110において割り込み実行される第二のリッチ側補正サブルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンにおいて、図5で説明したステップと同一内容の処理が行われる場合には、同一の符号を付すことで説明を省略する。本ルーチンが実行されると、既述のステップS301の処理が実行され、目標空燃比A/Ftがリッチ側に補正される。
続くステップS502では、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように目標バイパス側分流比Rbptが増量補正される。そして、本ステップの処理が終了すると本サブルーチンを一旦抜け、図3に示したメインルーチンのステップS104に進む。
上記ステップS502では、図6のリーン側補正サブルーチンにおけるステップS402とは逆に目標バイパス側分流比Rbptが増量補正されるため、NOx触媒6に流入する排気のリッチ度合いを高め、且つリッチ期間を延長することができる。従って、NSRスリップHC量Qslipに対してCCO酸化可能HC量Qposが過多となる場合には、本サブルーチンを実行することによってSOx被毒の回復効率を好適に高めることができる。
なお、上記サブルーチンのステップS502においては、目標バイパス側分流比Rbptを増量補正しているが、これに加えて目標HC添加量Qadtの増量補正を行うこともできる。つまり、ステップS201にて目標空燃比A/Ftがリッチ側に補正されるときの補正量に応じて、目標バイパス側分流比Rbpt及び目標HC添加量Qadtを増量補正しても良い。
次に、本実施の形態における実施例3について説明する。なお、本実施例に係る内燃機関1及びその排気系は実施例1と同一であり、その説明は省略する。本実施例のリーン側補正制御では、CCO床温THccoに基づき目標HC添加量Qadtと目標バイパス側分流比Rbptとの何れについて減量補正を行うかを選択する。また、リッチ側補正制御においては、NSR床温THnsr及びCCO床温THccoに基づき、目標HC添加量Qadtと目標バイパス側分流比Rbptとの何れについて減量補正を行うかを選択する。
図8は、メインルーチンのステップS109において割り込み実行される第三のリーン側補正サブルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンが実行されると、既述のステップS201の処理が実行され、目標空燃比A/Ftが理論空燃比以下となる(リーン空燃比とならない)範囲内でリーン側に補正される。本ステップの処理が終了するとス
テップS602に進む。
ステップS602では、メインルーチンのステップS105にて推定されたCCO床温THccoが読み込まれ、該CCO床温THccoが基準温度THbより低いか否かが判定される。ここで、基準温度THbとは、酸化触媒8の酸化能が十分高いと判断できる温度であって予め実験的に定めておく。基準温度THbは、例えば、酸化触媒8の活性温度に所定のマージンを加えた温度(例えば、500℃乃至600℃)としても良い。
本ステップにおいて、肯定判定された場合(THcco<THb)には、CCO床温THccoが低下した場合にCCO酸化可能HC量Qposが過度に少なくなる虞があると判断され、ステップS603に進む。ステップS603では、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように目標バイパス側分流比Rbptが減量補正される。本ステップの処理の終了後は本サブルーチンを一旦抜け、メインルーチンのステップS104に進む。
一方、ステップS602において否定判定された場合(THcco≧THb)には、酸化触媒8の酸化能が十分に高く、積極的にCCO床温THccoを上昇させる必要がないと判断され、ステップS604に進む。そして、ステップS604では、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように目標HC添加量Qadtが減量補正される。本ステップの処理の終了後は本サブルーチンを一旦抜け、メインルーチンのステップS104に進む。
本制御によれば、CCO床温THccoが低い場合には、目標バイパス側分流比Rbptの減量補正を行うことでCCO床温THccoを積極的に上昇させることができる。また、CCO床温THccoが高い場合には、目標HC添加量Qadtの減量補正を行うことでHC添加制御に係るHCの添加量を節約することができる。
なお、本サブルーチンのS604においては、目標HC添加量Qadtを減量補正しているが、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように該目標HC添加量Qadtの減量補正と目標バイパス側分流比Rbptの減量補正とを併せて実行しても良い。
ここで、図9は、メインルーチンのステップS110において割り込み実行される第三のリッチ側補正サブルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンが実行されると、既述のステップS301の処理が実行され、目標空燃比A/Ftがリッチ側に補正される。本ステップの処理が終了するとステップS702に進む。
ステップS702では、メインルーチンのステップS104にて推定されたNSR床温THnsrが読み込まれ、該NSR床温THnsrが基準OT温度THb2以上であるか否かが判定される。この基準OT温度THb2は、NSR床温THnsrが過度に高い状態にあり、該NSR床温THnsrがこの温度を超えるとNOx触媒6に熱劣化等が生じる虞があると判断される下限温度である。基準OT温度THb2は予め実験的に求めておくことができる。本実施例においては基準OT温度THb2が本発明における第二基準温度に相当する。
ここで、目標HC添加量Qadtを増量補正する場合と目標バイパス側分流比Rbptを増量補正する場合とにおいて、NSR床温THnsrに及ぼす影響について図10を参照して説明する。図10は、HC添加制御における目標空燃比A/Ftを補正後目標空燃比A/Ftaとした場合の流入排気空燃比A/Fの変化を示した図である。(a)は、目標HC添加量Qadtを増量補正した場合における流入排気空燃比A/Fの変化(L1)
を示した図である。(b)は、目標バイパス側分流比Rbptを増量補正した場合における流入排気空燃比A/Fの変化(L2)を示した図である。また、各図中に示した破線L3は、目標空燃比A/FtをメインルーチンのステップS103で定めた設定値(リッチ側に補正する前の目標値であり、図中符号A/Ftbにて示す)とした場合の流入排気空燃比A/Fの変化を表す。
図10(a)に示すように、L3に対して目標HC添加量Qadtの多いL1は、流入排気空燃比A/Fがリッチ空燃比に属する領域(以下、「リッチ領域Arich」という)がL3よりも大きくなるが、流入排気空燃比A/Fがリーン空燃比に属する領域(以下、「リーン領域Alean」という)は略等しくなる(リーン領域を縦ハッチングにて表す)。
一方、図10(b)に示すように、L3に対して目標バイパス側分流比Rbptの大きいL2は、NSR側流量Gnsrの減少に伴いNOx触媒8を通過する排気の体積速度が低くなる。従って、L2はL3に比べてリッチ領域Arich及びリーン領域Aleanが大きくなる(L2におけるリーン領域とL3におけるリーン領域Aleanとの差(符号ΔAlean)を図中に斜めハッチングで示す)。
流入排気空燃比A/Fがリーン領域Aleanに属するときには、NOx触媒6に対して酸素過剰の排気が流入する。その結果、HC添加制御にかかるリーン領域Aleanがより増大するほどNSR床温THnsrが上昇し易い。つまり、目標HC添加量Qadtを増量補正する場合(L1)に比べて、目標バイパス側分流比Rbptを増量補正する場合(L2)の方が、HC添加制御の実行に際してNSR床温THnsrが上昇され易くなる。
そこで、本実施例では、HC添加制御を実行する際のNSR床温THnsrが過度に高い場合には、目標バイパス側分流比Rbptの増量補正を禁止し、その代わりに目標HC添加量Qadtを増量補正することとした。具体的には、ステップS702において肯定判定された場合(THnsr≧THb2)にはステップS703に進む。一方、否定判定された場合(THnsr<THb2)にはステップS704に進む。
ステップS703では、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaに一致するように目標HC添加量Qadtが増量補正される。これにより、目標バイパス側分流比Rbptを増量補正する場合に比べてNSR床温THnsrの上昇を抑制できるので、NOx触媒6の熱劣化を抑制できる。本ステップの処理が終了すると、本サブルーチンを一旦抜け、図3に示すメインルーチンのステップS104以降の処理が行われる。
ステップS704では、メインルーチンのステップS105にて推定されたCCO床温THccoが読み込まれ、該CCO床温THccoが基準温度THb以上であるか否かが判定される。肯定判定された場合(THcco≧THb)には、バイパス側分流比Rbpの増加によってCCO床温THccoが多少低下しても酸化触媒8の酸化能が過度に低下する虞がない。従って、この場合にはステップS705に進み、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように目標バイパス側分流比Rbptが増量補正される。これによって、HC添加制御にかかるHC添加量の節約を図ることができる。そして、本ステップの処理が終了すると、本サブルーチンを一旦抜け、図3に示すメインルーチンのステップS104以降の処理が行われる。
ステップS704において否定判定された場合(THcco<THb)には、CCO床温THccoを積極的に上昇させる必要があると判断される。この場合にはステップS706に進み、目標HC添加量Qadtが増量補正される。そして、本ステップの処理が終
了すると、本サブルーチンを一旦抜け、図3に示すメインルーチンのステップS104以降の処理が行われる。なお、ステップS706においては、目標HC添加量Qadtの増量補正のみを行っているが、流入排気空燃比A/Fが補正後目標空燃比A/Ftaとなるように該目標HC添加量Qadtの増量補正と目標バイパス側分流比Rbptの減量補正とを併せて実行しても良い。
本制御によれば、CCO床温THccoに応じて、目標バイパス側分流比Rbptの増量補正を行うべきかを選択し、HC添加制御にかかるHC添加量の節約を図ることができる。また、NSR床温THnsrが過度に高い場合には、目標バイパス側分流比Rbptの増量補正が禁止されるので、NOx触媒6に熱劣化等が生じることを確実に抑制することができる。
なお、実施例1乃至3においては、NOx触媒6の浄化能力の回復処理の一例としてSOx被毒回復処理を例として本発明の実施形態について説明したが、NOx触媒6に吸蔵されたNOxを還元させるNOx還元処理を行う場合に本発明を適用しても良い。
実施例1における内燃機関と、その排気系の概略構成を示した図である。 HC添加制御におけるHC添加量Qadが等しく、バイパス側分流比Rbpが相違する場合の流入排気空燃比A/Fの変化を例示した図である。 HC添加制御に係るメインルーチンを示したフローチャートである。 リーン側補正サブルーチンを示したフローチャートである。 リッチ側補正サブルーチンを示したフローチャートである。 第二のリーン側補正サブルーチンを示したフローチャートである。 第二のリッチ側補正サブルーチンを示したフローチャートである。 第三のリーン側補正サブルーチンを示したフローチャートである。 第三のリッチ側補正サブルーチンを示したフローチャートである。 HC添加制御における目標空燃比A/Ftを補正後目標空燃比A/Ftaとした場合の流入排気空燃比A/Fの変化を示した図である。(a)は、目標HC添加量Qadtを増量補正した場合における流入排気空燃比A/Fの変化を示した図である。(b)は、目標バイパス側分流比Rbptを増量補正した場合における流入排気空燃比A/Fの変化を示した図である。
符号の説明
1・・・内燃機関
2・・・吸気通路
3・・・排気通路
5・・・エアフローメータ
6・・・吸蔵還元型NOx触媒
7・・・HC添加弁
8・・・酸化触媒
9・・・バイパス通路
10・・バイパス弁
11・・温度センサ
13・・燃料噴射弁
20・・ECU

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた吸蔵還元型NOx触媒と、
    前記吸蔵還元型NOx触媒よりも下流側の排気通路に設けられ、酸化能を有する後段触媒と、
    前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流側の排気通路に設けられ、排気中にHCを添加するHC添加弁と、
    一端が前記HC添加弁よりも上流側の排気通路に接続され他端が前記吸蔵還元型NOx触媒と前記後段触媒との間の排気通路に接続されるバイパス通路と、
    前記内燃機関から排出される排気の全流量に対するバイパス通路を流れる排気の流量の比であるバイパス側分流比を変更可能な分流比変更手段と、
    を備え、
    前記吸蔵還元型NOx触媒の浄化能力を回復するときに、浄化能力を回復しないときと比較して前記バイパス側分流比を増加させた状態で前記HC添加弁によるHC添加制御が実行される内燃機関の排気浄化システムにおいて、
    前記HC添加弁のHC添加量と前記バイパス側分流比の増加量とを夫々の目標値である目標HC添加量と目標分流比増加量としてHC添加制御を行う際の、前記吸蔵還元型NOx触媒をすり抜けるHCスリップ量と前記後段触媒におけるHC酸化可能量とを推定する推定手段と、
    前記HCスリップ量の推定値と前記HC酸化可能量の推定値との大小関係に基づき、前記目標HC添加量及び前記目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を補正する補正手段と、
    を更に備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記HCスリップ量の推定値から前記HC酸化可能量の推定値を減じた値が第一閾値より大きい場合に、前記補正手段は前記目標HC添加量及び前記目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を減量補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  3. 前記後段触媒の床温が基準温度より低い場合に、前記補正手段は前記目標分流比増加量のみを減量補正することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  4. 前記HC酸化可能量の推定値から前記HCスリップ量の推定値を減じた値が第二閾値よりも大きい場合に、前記補正手段は前記目標HC添加量及び前記目標分流比増加量のうち少なくとも何れか一方を増量補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  5. 前記後段触媒の床温が基準温度以上である場合に、前記補正手段は前記目標分流比増加量のみを増量補正することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  6. 前記吸蔵還元型NOx触媒の床温が第二基準温度以上である場合に、前記補正手段は前記目標HC添加量のみを増量補正することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化システム。
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JP2013053584A (ja) * 2011-09-05 2013-03-21 Mitsubishi Motors Corp 内燃機関の排気浄化装置

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