JP2009185399A - 未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法を提供する。
【解決手段】クラフトパルプ未晒洗浄工程において、ノニオン性ポリエステルを添加することを特徴とする未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法。
【選択図】なし
【解決手段】クラフトパルプ未晒洗浄工程において、ノニオン性ポリエステルを添加することを特徴とする未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、未晒洗浄ろ液の発泡を抑制する方法に関するものであり、詳しくは、クラフトパルプ未晒洗浄工程において、ノニオン性ポリエステルを添加することを特徴とする未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法に関するものである。
木材チップ及びその他繊維原料を水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムを主成分とする蒸解薬液によって高温で蒸解することをクラフト蒸解と言い、クラフト蒸解によって得られたパルプをクラフトパルプと言う。
クラフト蒸解薬液の廃液を黒液と言い、蒸解後のパルプから黒液を洗い落とす工程を未晒洗浄工程と言う。
未晒洗浄工程では、真空式フィルタ洗浄機、加圧式フィルタ洗浄機、プレス洗浄機及びディフューザー洗浄機等の各種洗浄装置を用いた向流多段洗浄によって洗浄が行われる。このようにしてパルプから洗い落とした黒液は未晒洗浄ろ液として系内を循環し、最終的には回収ボイラーへと送られる。
未晒洗浄ろ液中には蒸解薬液のアルカリ分、蒸解によってパルプ原料から流出した有機分が含まれる。有機分としては脂肪酸石鹸、樹脂酸石鹸、クラフトリグニン及び低分子化した炭水化物等が挙げられる。
このうち脂肪酸石鹸や樹脂酸石鹸は高い界面活性能を有するため、未晒洗浄ろ液を発泡させ未晒洗浄工程の操業に悪影響を及ぼす。
未晒洗浄工程において現在主流となっている発泡対策は消泡剤の添加である(例えば、特許文献1〜2参照)。量の多少に関わらず、未晒洗浄工程においてはほとんどの場合消泡剤が添加されている。
未晒洗浄工程において用いられる消泡剤には大きく分けて二つの種類がある。ひとつは鉱物油系消泡剤で、これは脂肪酸アミドや疎水性シリカを活性分として鉱物油中に微細な状態に分散させたものである。パラフィン系もしくはナフテン系のオイルが鉱物油として一般に用いられている。もうひとつはシリコーン系消泡剤で、これはシリコーンオイルと疎水性シリカの複合物であり、一般に界面活性剤と水を加えて乳化したものが用いられる。
消泡剤による効果には限界があり、ある添加量以上加えても効果が頭打ちとなる点が存在する。それでも発泡が収まらない場合は、未晒洗浄工程の処理量を下げる等の減産措置をとらざるを得ず、大きな損失が発生する。また、消泡剤の過剰添加がピッチトラブルを誘発することや、真空式フィルタ洗浄機の真空度を低下させ洗浄効率の低下を招くこともしばしば問題となる。
消泡剤の作用機構には破泡、抑泡、脱泡の3種類がある。これらはいずれも界面活性物質ミセルによって形成される泡膜に対する作用である。このように消泡剤の添加はその作用機構から言って対症療法的な発泡対策であり、その効果には自ずと限界がある。
未晒洗浄ろ液の発泡挙動は未晒洗浄ろ液中に存在する各種成分のコロイド化学的状態と深く関係している。例えば、特許文献3には黒液に中性コロイド物質を添加し、樹脂酸石鹸及び脂肪酸石鹸のミセルを液晶に転移させることによって発泡を低減する方法が開示されている。本発明におけるノニオン性ポリエステルの添加もこれと同様の機構によって発泡を抑制すると考えられる。この発泡抑制機構は、未晒洗浄ろ液中の発泡原因物質の状態を根本から変化させるものであり、従来の消泡剤による発泡抑制機構とは全く異なる種類のものである。
特開平10−165711号公報
特開平10−266084号公報
国際公開第2005/075730号パンフレット
本発明は、未晒洗浄ろ液の発泡を抑制する方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、未晒洗浄ろ液の発泡を抑制する方法について鋭意検討を重ねた結果、クラフトパルプ未晒洗浄工程において、ノニオン性ポリエステルを添加することによって、未晒洗浄ろ液の発泡を抑制できることを見出し本発明に至った。
本発明の未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法によれば、クラフトパルプ未晒洗浄工程において、ノニオン性ポリエステルを添加することによって、未晒洗浄ろ液の発泡抑制効果を従来よりも高めることができる。
本発明は、クラフトパルプ未晒洗浄工程において、ノニオン性ポリエステルを添加することを特徴とする未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法である。
以下に本発明の具体例を示すが、本発明は以下の具体例に限定されない。
本発明の未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法に用いるノニオン性ポリエステルとは、その化学構造中にイオン性基を持たないポリエステルのことである。ポリエステルを構成する多価カルボン酸及びアルコールの種類に特に制限はなく、カルボン酸及びアルコールはそれぞれ脂肪族であっても芳香族であっても良いが、芳香族酸とポリアルキレングリコールの組み合わせが好ましく、下記一般式1のようなポリエステルがより好ましい。
一般式1において、Arはアリール基を表し、R1及びR2は炭素数2〜4のアルキレン基を表す。R1及びR2を構成するアルキレン基は同じでも、異なっていても良い。l及びnは1〜20、より好ましくは5〜15である。また、mは1〜20、より好ましくは3〜10である。一般式1のうち、Arはベンゼン環でR1及びR2がエチレン基であるものが好適である。
本発明に用いられるノニオン性ポリエステルの添加量に特に制限はないが、未晒洗浄ろ液質量に対して5〜5000ppm程度であり、10〜1000ppm添加することが好ましい。
本発明における未晒洗浄工程への消泡剤添加の有無に関して特に制限はないが、液晶状態に転移しきれない界面活性物質ミセルによる発泡を抑制するために、シリコーン系消泡剤を未晒洗浄ろ液質量に対して10〜1000ppm添加することが好ましい。
本発明に用いられるノニオン性ポリエステルの添加方法に特に制限はないが、ノニオン性ポリエステルが未晒洗浄ろ液中に良好に溶解または分散するように、ノニオン性ポリエステルを水に溶解または分散し、濃度10〜30質量%の状態で添加することが好ましい。
本発明に用いられるクラフトパルプの未晒洗浄ろ液に特に制限はないが、針葉樹あるいは広葉樹をクラフト蒸解して得られた未晒洗浄ろ液が好ましい。
本発明に用いられるクラフトパルプの未晒洗浄ろ液を得るために行われるクラフト蒸解の方法に特に制限はなく、クラフト蒸解後のパルプのカッパー価が針葉樹パルプの場合15〜35、広葉樹パルプの場合10〜25に収まるように蒸解温度、蒸解時間、液比、アルカリ添加率等の条件を適宜調整して構わない。蒸解装置についても特に制限はなく、連続式蒸解釜を用いても良いしバッチ式蒸解釜を用いても良い。蒸解薬液についても特に制限はなく、アントラキノン、水素化ホウ素ナトリウム等のパルプ収率向上剤を添加しても良いし、蒸解薬液中の硫化ナトリウムをポリサルファイドに酸化変換しても良い。
本発明における未晒洗浄工程の洗浄装置とその段数に特に制限はないが、洗浄効率と回収ボイラーへの黒液送り濃度を適切な値に保つために、真空式フィルタ洗浄機、加圧式フィルタ洗浄機、プレス洗浄機及びディフューザー洗浄機を適宜組み合わせて3〜6段の向流多段洗浄を行うことが好ましい。
本発明に用いられるノニオン性ポリエステルの添加場所に特に制限はないが、未晒洗浄系の洗浄ろ液全体にノニオン性ポリエステルが行き渡るように、洗浄初段及び二段目以降のどこかに添加し、添加箇所を二箇所以上とすることが好ましい。また、洗浄ろ液のタンクから洗浄ろ液を送るポンプのサクションに添加することが更に好ましい。
以下に実施例を挙げるが、本発明はこの実施例によりなんら限定されない。
実施例1
アカマツ:スギ=7:3の混合チップをバッチ式蒸解釜を用いて、蒸解時間1時間35分、蒸解温度165℃、HF1200の条件でクラフト蒸解し、未晒洗浄工程へ投入した。未晒洗浄工程は6台の洗浄装置によって構成される向流多段洗浄である。前から5段目の洗浄装置が加圧式フィルタ洗浄機で、残りの5台は全て真空式フィルタ洗浄機である。前から4段目と5段目の間には酸素脱リグニン装置が設けられている。
1段目の洗浄機入口のパルプスラリー、1段目の洗浄ろ液タンク及び5段目の洗浄ろ液に、洗浄ろ液質量に対して150ppmのシリコーン系消泡剤を添加した。未晒洗浄3段目の洗浄ろ液を1L採取し、下記化学式2で示されるノニオン性ポリエステルを洗浄ろ液質量に対して1000ppm添加した。流量5000mL/分の滝落とし式循環型発泡性測定装置を用いて、循環開始2分後の泡高さ増加分を測定し、未晒洗浄3段目における洗浄ろ液の発泡性を評価した。
アカマツ:スギ=7:3の混合チップをバッチ式蒸解釜を用いて、蒸解時間1時間35分、蒸解温度165℃、HF1200の条件でクラフト蒸解し、未晒洗浄工程へ投入した。未晒洗浄工程は6台の洗浄装置によって構成される向流多段洗浄である。前から5段目の洗浄装置が加圧式フィルタ洗浄機で、残りの5台は全て真空式フィルタ洗浄機である。前から4段目と5段目の間には酸素脱リグニン装置が設けられている。
1段目の洗浄機入口のパルプスラリー、1段目の洗浄ろ液タンク及び5段目の洗浄ろ液に、洗浄ろ液質量に対して150ppmのシリコーン系消泡剤を添加した。未晒洗浄3段目の洗浄ろ液を1L採取し、下記化学式2で示されるノニオン性ポリエステルを洗浄ろ液質量に対して1000ppm添加した。流量5000mL/分の滝落とし式循環型発泡性測定装置を用いて、循環開始2分後の泡高さ増加分を測定し、未晒洗浄3段目における洗浄ろ液の発泡性を評価した。
比較例1
ノニオン性ポリエステルを添加しなかった他は実施例1と同様にして発泡性を評価した。
ノニオン性ポリエステルを添加しなかった他は実施例1と同様にして発泡性を評価した。
比較例2
ノニオン性ポリエステルを添加せず、シリコーン系消泡剤を300ppm添加した他は実施例1と同様にして発泡性を評価した。
ノニオン性ポリエステルを添加せず、シリコーン系消泡剤を300ppm添加した他は実施例1と同様にして発泡性を評価した。
上記表1における実施例と比較例から明らかなように、ノニオン性ポリエステルを添加した方が洗浄ろ液の発泡性は低い値を示した。
ノニオン性ポリエステルを添加することによって、未晒洗浄ろ液の発泡抑制効果を従来よりも高めることができた。
Claims (2)
- クラフトパルプ未晒洗浄工程において、ノニオン性ポリエステルを添加することを特徴とする未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法。
- 上記ノニオン性ポリエステルが芳香族酸とポリアルキレングリコールからなることを特徴とする請求項1記載の未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法。
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JP2008023985A JP2009185399A (ja) | 2008-02-04 | 2008-02-04 | 未晒洗浄ろ液の発泡抑制方法 |
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