JP2009184318A - 液体収容体 - Google Patents

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猛 岩室
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仁俊 木村
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Abstract

【課題】液体収容袋体を構成する可撓性シートの材質にかかわらず、最終的な液体残留量を低減できる液体収容体を提供する。
【解決手段】液体収容体1は、一対の可撓性シート12の周縁がシールされて袋状に形成された液体収容袋体10と、一対の可撓性シート12間に保持され、液体収容袋体10内に収容した液体を液体消費装置に導出するための液体導出部材11とを有する。この液体収容体1は、一対の側面部13のうち少なくとも一方の側面部に、下辺シール部15bと後辺シール部15cとに沿わせたL字状の補強部材20を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、可撓性シートで構成され、液体消費装置に供給されるべき液体を内部に収容した液体収容体に関する。
従来、液体消費装置に供給されるべき液体を内部に収容し、その液体を前記液体消費装置に供給する液体導出部材(307)を有し、互いに対向し周辺同士が直接シールされた一対の可撓性シートからなる側面部が上下に向く状態で前記液体消費装置に装着される液体収容体(306)が知られている(例えば特許文献1の図23および図2)。
このような液体収容体は、内部のインクが消費されるにつれて前記側面部同士の間隔が小さくなって行き、最終的には側面部同士が密着することとなる。
この際、側面部同士が前記液体導出部材に対して最も離れた部位(後部)から順次液体導出部材(前部)へ向かって密着していけば、収容体内に最終的に残留するインクは、非常に少なくなる。この状態は好ましい状態である。
しかしながら、実際には、側面部同士が後部から前部へ向かって順に密着して行くとは限らず、前部と後部との間の部位が先に密着してしまうという事態がしばしば生じる。このような事態が生じると、密着した部位がインクの流れを阻害し、密着部位の後部がいわば閉塞状態となってインクが残留しやすくなるという問題が生じる。
これに対し、特許文献2には、液体収容体の側面部に膨出部(61)を形成してインク流路(62)を確保する技術が開示されている。
この技術によれば、前部と後部との間の部位が先に密着したとしても、膨出部(61)により確保されたインク流路(62)を通じてインクが流れるので、最終的に収容体内に残留するインクの量は少なくなる。
しかし、この特許文献2の技術では、収容体を構成する可撓性シートの材質によっては、膨出部を作ることが困難であるという問題がある。
また、膨出部を作る工程は、大幅なコストアップにつながるという問題もある。
特開2003−341100号公報 特開2001−328272号公報
そこで、本発明の目的は、上記の問題を解決し、収容体を構成する可撓性シートの材質にかかわらず、最終的な液体残留量を低減できる液体収容体を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る液体収容体は、
一対の可撓性シートの周縁がシールされて袋状に形成された液体収容袋体と、
前記一対の可撓性シート間に保持され、前記液体収容袋体内に収容した液体を液体消費装置に導出するための液体導出部材と、
を有し、
前記液体収容袋体は、
前記液体導出部材が装着される前辺シール部と、
前記前辺シール部とは反対側の一辺に沿った後辺シール部と、
前記液体消費装置に液体を導出する使用時に下辺となる下辺シール部と、
前記前辺シール部、前記後辺シール部及び前記下辺シール部に囲まれた一対の側面部と、
を少なくとも含み、
前記一対の側面部のうち少なくとも一方の側面部には、前記下辺シール部及び前記後辺シール部に沿ってL字状に設けられた、該側面部の剛性を高める補強部材を有することを特徴とする。
このような液体収容体によれば、前記一対の側面部のうち少なくとも一方の側面部に該側面部の剛性を向上させるシートまたは板状体等からなる補強部材が配置されているので、この補強部材が貼り付けられた部位の剛性が向上する。その結果として、補強部材により補強された側面部は対向する側面部に対して局所的に密着しにくくなる。つまり、補強部材が貼り付けられた部位の剛性が向上する結果として、該部位の平坦性が維持される保形性が向上し、側面部同士が局所的に密着しなくなる。従って、液体収容袋体内では、液体残量がなくなるまで液体の流路が確保し続けられる。このような作用は、液体収容袋体を構成する可撓性シートの材質にかかわらず得られ、従来よりも柔軟なシートを用いて液体収容袋体を形成しても良い。
そして、この発明における補強部材は、側面部における下辺シール部及び後辺シール部に沿わせているので、重力作用により液体が残留しやすい下辺シール部と、液体導出時の最下流領域である後辺シール部との付近に、液体が残存することを防止できる。
したがって、この発明によれば、上記特許文献2と異なり、収容体を構成する可撓性シートの材質にかかわらず、最終的な液体残留量を低減させることができる。
本発明の一態様では、前記補強部材は、前記少なくとも一方の側面部の角部領域であって、前記下辺シール部の上縁と前記後辺シール部の前縁とがなす角を2分する線を含む前記角部領域を補強することができる。この角部領域は、液体の重力が作用し、かつ、液体導出部材から最も離れた最下流領域であるため液体が最も残留しやすい領域である。この角部領域にて液体の流路を確保することで、残存する液体を低減できる効果が大きい。
ここで、補強部材と下辺シール部との間隔をC1とし、補強部材と後辺シール部との間隔をC2とする。間隔C1,C2はともに無いほうが好ましいが、補強部材を例えば貼り付け等によって多少の間隔が生ずることは否めない。この際、この間隔C1内において側面部に皺が発生しない程度の間隔C1とすることが好ましい。また、この間隔C1の領域は、液体収容袋体内の液体容量に依存して側面部が自由に膨らむ変形領域として確保される。また、補強部材と後辺シール部との間の間隔を間隔C2とする。また、前記後辺シール部と前記補強部材との間の間隔C2は、前記下辺シール部と前記補強部材のとの間の間隔C1よりも小さくすることができる。こうすると、上述した角部領域を補強部材により補強することができる。
望ましくは、前記補強部材の前部は、液体収容体において前記液体導出部材がシールされる前辺シール部の後縁から離間させる。
液体収容体において、前記液体導出部材がシールされる前辺のシール部後縁近くにおける収容体内部は、前記液体導出部材に近い部位であるため、液体が液体導出部材へと流れやすい。
したがって、この部位には、補強部材を設ける必要がないと同時に、逆に、補強部材を設けると、側面部同士が密着しにくくなって、最終的に該部位に液体が残留しやすくなってしまう。
そこで、前記補強部材の前部を、液体収容体において前記液体導出部材がシールされる前辺シール部の後縁から離間させることで、液体導出部材に近い部位における液体の残留を防止することができる。
この場合、さらに望ましくは、前記補強部材の前部は、前記前辺のシール部後縁と、前記下辺のシール部上縁とがなす角を2分する線よりも後方に位置させる。
液体収容体に液体を充填すると、収容体は膨らむこととなるが、液体収容袋体の角部における膨らみ線は、前記前辺シール部の後縁と、前記下辺シール部の上縁とがなす角を2分する線に略一致する。
したがって、液体収容袋体の前部かつ下部において、上記膨らみ線の近くに補強部材が設けられると、側面部同士が密着しにくくなって、最終的に該部位に液体が残留しやすくなってしまう。
そこで、本発明の一態様では、前記補強部材の前部を、前記前辺シール部の後縁と前記下辺シール部の上縁とがなす角を2分する線よりも後方に位置させることができる。これにより、上記膨らみ線の近くにおける液体の残留を防止することができる。
さらに本発明の一態様では、前記前辺シール部と前記補強部材との間の間隔C3は、前記下辺シール部と前記補強部材との間隔C1よりも大きくすることができる。これにより、上述した膨らみ線の近くにおける液体の残留を防止することができる。
また、本発明の一態様では、前記補強部材は、前記下辺シール部に沿った水平部材と、前記後辺シール部に沿った垂直部材とを含んでL字状に形成され、前記水平部材の上縁は、前記液体導出部材の装着高さ位置よりも前記下辺シール部側に向う下方に配置することができる。
液体収容体においては、液体が消費されるにつれて、収容体内の液体は上記液体導出部材よりも下方へと位置することとなるから、上記液体導出部材よりも下方において、上述した閉塞状態が生じると、最終的な残留インク量が増大することとなる。
これに対し、水平部材を上記液体導出部材よりも下方に設けることで、上記閉塞状態が生じることによる弊害が大きな部位において流路を確保して、最終的な残留液体量を低減させることができる。
また、本発明の一態様では、前記一対の可撓性シートの各々は、少なくとも三層を含み、前記少なくとも三層中で熱溶着性に優れた合成樹脂の最内層と、前記少なくとも三層中でガスバリア性に優れた金属の中間層と、前記少なくとも三層中で耐衝撃性に優れた合成樹脂の最外層とからなる柔軟性シートとすることができる。
このようにすると、可撓性シートが柔軟性に優れている分、液体収容体が液体導出時に収縮しやすくなるため、液体を導出しやすくなる。
しかし一方では、その分、側面部同士が密着しやすくなり、上述した閉塞状態が生じやすくなる。
これに対し、本発明の一態様によれば、可撓性シートを柔軟性に優れたものにしたとしても、上述した構造により、閉塞状態が生じ難くすることができる。
また、本発明は、収容体が、周辺同士が直接シールされたピロータイプでかつ非加圧タイプの収容体である場合に、特に有効である。特に非加圧タイプの場合、液体は吸引されて導出されるので、液体収容袋体の周囲を加圧する場合に比べて、液体導出力が場所によって異なり、液体導出部材から離れた位置での液体残留が問題視されることが多いからである。
以下、本発明に係る液体収容体の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
図1(a)〜図1(c)は、本発明に係る液体収容体の一実施の形態を示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図、図1(c)は可撓性シートの層構造を示す断面図である。
図1(a)〜図1(c)に示すように、この液体収容体1は、一対の可撓性シート12,12の周縁がシールされて袋状に形成された液体収容袋体10と、この一対の可撓性シート12,12間に保持され、液体収容袋体10の内部に収容された液体を液体消費装置(図3参照)に導出する液体導出部材11を有する。液体収容袋体10は、互いに対向し周辺同士がシール(15)された一対の可撓性シート12,12からなる一対の側面部13を有する。
なお、図1(b)は、液体収容体1を液体消費装置に接続して液体を導出する際の液体収容体1の配置を示しており、以下の説明では図1(b)の状態を基準として上下の関係を定義している。
また、液体収容袋体10は、液体導出部材11が装着される前辺シール部15aと、液体消費装置に液体を導出する使用時(図1(b)の状態)に下辺となる下辺シール部15bと、前辺シール部15aとは反対側の一辺に沿った後辺シール部15cと、を少なくとも含む。本実施形態では、下辺シール部15bとは反対側の一辺に沿った上辺シール部15dを有しており、矩形である一対の可撓性シート12,12の四辺に沿って周縁部をシールして、液体収容袋体10を形成している。
そして、一対の側面部13とは、前辺シール部15a、下辺シール部15b、後辺シール部15c及び上辺シール部15dに囲まれた領域を意味する。
本実施形態では、一対の側面部13のうちの少なくとも一方、例えば一方の側面部13には、下辺シール部15b及び後辺シール部15cに沿って、該側面部13の剛性を高めるL字状の補強部材20が配置されている。この補強部材20は下辺シール部15bの上縁15b1に沿わせ、かつ該下辺シール部の上縁15b1に近接させて、かつ後辺シール部15cに沿わせて、側面部13に例えば両面テープなどで貼り付けてある。この補強部材20により、液体収容袋体10の側面部13のうち、特に下方側と後方側の剛性を共に向上させている。補強部材20の材質としては、補強効果のあるシートまたは板状体などであればよく、例えば液体収容体1を識別するためのバーコード等のIDを付したシートを、補強部材320として兼用することもできる。
なお、この実施の形態の液体収容体1は、液体消費装置である例えばインクジェットプリンタに供給されるべきインクを内部に収容したインクパックである。
また、この実施の形態の液体収容体1は、一対の側面部13の周辺同士を直接シールしたピロータイプの収容体とした。本実施形態は、一対の側面部13の周辺同士のうち、上下辺や後にガゼット(マチ)を介して間接的にシールしたいわゆるガゼットタイプの収容体よりも、ピロータイプの収容体に好適である。
可撓性シート12は、図1(c)に示すように、三層構造である。この三層中で耐衝撃性に優れたPETやナイロン等からなる最外層12aと、三層中でガスバリア性に優れたアルミニウム等からなる中間層12bと、三層中で耐インク性、熱溶着性ともに優れたポリエチレン等からなる最内層12cとからなる3層構造のシートとする。ただし、少なくとも三層を有するものであれば、さらに他の層を追加して四層以上としてもよい。
液体収容体1を構成するための袋体10は、一対の可撓性シート12を、その内層12cが対向するように配置し、前辺シール部15aの中央領域に液体導出部材11を配置し、一対の可撓性シート12の縁部をヒートシールすると同時に、液体導出部材11を前辺シール部15aにヒートシールすることにより得られる。
この実施の形態における可撓性シート12は、具体的には、厚さ15μmのナイロンからなる外層12aと、厚さ9μmのアルミニウムシートからなる中間層12bと、厚さ60μmのポリエチレンからなる内層12cとからなる3層構造のシートとする。総厚は、84μmである。ただし、これらの材質及び厚さ寸法は一例であり、他の材質または厚さ寸法の可撓性シートを用いても良い。
一方、特許文献2に記載された従来のインクパックをなす可撓性シートは、例えば、厚さ38μmのポリエステルからなる外層と、厚さ12μmのアルミニウムシートからなる中間層と、厚さ25μmのナイロンからなる第2中間層と、厚さ100μmのポリエチレンからなる内層とからなる4層構造のシートであり、総厚は、175μmである。
以上のように、この実施の形態における可撓性シート12の総厚は、従来の可撓性シートの総厚の約半分であり、従来に比べて柔軟性に優れていることが分かる。
次に、L字状の補強部材20の取り付け位置について説明する。図1(b)に示すように、本実施形態の補強部材20は、水平部材20aと垂直部材20bとに分離され、これらでL字が形成されるように貼付される。これに限らず、水平部材20aと垂直部材20bとが一体化された補強部材20であってもよい。
補強部材20(水平部材20a)の下縁23と、下辺シール部15bの上縁15b1との間隔C1は無いほうが好ましいが、この間隔C1内において側面部13に皺が発生しない程度の間隔C1とする。また、この間隔C1の領域は、液体収容袋体10内の液体容量に依存して側面部13が自由に膨らむ変形領域として確保される。
補強部材20(水平部材20a)の前部21は、液体収容体1において液体導出部材11がシールされる前辺シール部15aの後縁15a1から離間させる。つまり、水平部材20aの前部21と前辺シール部15aの後縁15a1との間には、間隔C3が設けられ、C3>C1に設定される。
また、補強部材20(水平部材20a)の前部21は、前辺シール部15の後縁15a1と、下辺シール部15bの上縁15b1とがなす角を2分する側面部13上の線Aよりも、後辺シール部15c側に向う後方に位置させる。
補強部材20の水平部材20aの上縁25は、図1(b)に示す使用時での上下方向に関し、液体導出部材11の装着高さ位置よりも、下辺シール部15bに向う下方に設ける。より詳しくは、水平部材20aの上縁25は液体導出部材11の中心線11aよりも下方に設ける。
補強部材20のうちの水平部材20aと垂直部材20bの各後端24と、後辺シール部15cとの間の間隔C2も無いほうが好ましく、極力小さくしている。この間隔C2は、上述した間隔C1,C3と比較して、C2<C1<C3に設定されている。このようにすると、補強部材20は、少なくとも、下辺シール部15bの上縁15b1と、後辺シール部15cの前縁15c1とがなす角を2分する線A(図1(b)にて破線で示す)を含む側面部13上の角部16をカバーするように設けることができる。なお、垂直部材10bの最上端22は、液体導出部材11より上方に配置してもよい。
図2は、本発明の比較例に係る液体収容体を示す正面図である。
この比較例が上述した実施の形態と異なる点は、補強部材20のうちの水平部材20aを、下辺のシール部15bにのみ沿って設けた点にあり、本実施形態と比較した時の作用・効果の相違については後述する。
<使用例>
以上のような液体収容袋体(インクパック)10は、図1に示した状態でインクジェットプリンタに装着して使用することも可能であるが、通常は、上記特許文献1の図23に示されていると同様、インクカートリッジをなすケースに収納して使用する。
図3は上記インクカートリッジを用いたインクジェットプリンタの第1例を示す概略図である。
上記インクカートリッジ30はプリンタ40のカートリッジ装着部に装着され、その際、インクパック10の液体導出部材11に対し、プリンタ40が備えるインク供給針41が挿入される。
インクパック10内のインクは、インク供給針41からインク供給路42を通じて記録ヘッド(インクジェットヘッド)43に供給される。インクは、インクパック10と記録ヘッド43との間の水頭差により、インクパック10から記録ヘッド43へと供給される。
すなわち、このインクパック(液体収容袋体)10は、非加圧タイプの収容体である。
図示のようにインクパック10と記録ヘッド43との間にダンパ44は設けられているが、圧力調整弁(減圧弁)が設けられていない場合は、水頭差供給のための圧力が直接記録ヘッド43に加わらないようにする必要がある。
そこで、この第1例では、インク供給路42にサブタンク(インクパックタイプの可撓性袋)45を設け、その上流側に補給バルブ46を設け、下流側に供給バルブ47を設けた。
インクをインクパック10からサブタンク45に補給する場合は、補給バルブ46を開く(供給バルブ47は閉じておく)。
補給が終了した後、補給バルブ46を閉じ、供給バルブ47を開いてサブタンク45内のインクを記録ヘッド43へ供給する。すなわち、サブタンク45は、小容量のインクカートリッジのような役割を果たす。
このように構成すると、圧力調整弁(減圧弁)を設けなくても、水頭差供給のための圧力が直接記録ヘッド43に加わらないようにすることができる。
なお、キャップ50は記録ヘッド43がホームポジションにある時に、記録ヘッド43のノズル面を覆うものであり、吸引ポンプ51は記録ヘッド43のノズルが目詰まりしたときに前記キャップを通じてノズルからインクを強制的に吸引して目詰まりを解消する。廃インク吸収材52は吸引ポンプ51からの廃インクを吸収する。
図4は上記インクカートリッジを用いたインクジェットプリンタの第2例を示す概略図である。
この第2例が、上述した第1例と異なる点は、インクパック10と記録ヘッド43との間に圧力調整弁(減圧弁)48を設けて、水頭差供給による圧力が直接記録ヘッド43に加わらないようにし、サブタンク45および前記バルブ46,47を不要とした点にある。
なお、サブタンク45およびバルブ46,47は設けても弊害はなく、サブタンク45を設けることで、サブタンク45を利用してインクの残量検出を行うようにすることもできる。
以上説明したような本実施形態に係る液体収容体1によれば、次のような作用効果が得られる。
(a)この液体収容体1は、液体消費装置40に供給されるべき液体を内部に収容し、その液体を液体消費装置40に供給する液体導出部材11を有し、互いに対向し周辺同士が直接または間接的にシールされた一対の可撓性シート12からなる側面部13が図1(b)に示すように実質的に垂直に立てられた状態で液体消費装置に装着される収容体である。この収容体1は、一対の側面部13のうち少なくとも一方の側面部13にて、下辺シール部15bと後辺シール部15cとに沿わせ、該側面部13の剛性を向上させるL字状の補強部材20を貼り付けて構成した。従って、この補強部材20が貼り付けられた部位の剛性が向上する結果として、該部位は対向する側面部13に対して密着しにくくなる。側面部13同士が密着しなければ、該部位には、液体の流路が形成される。
特に、補強部材20を、下辺シール部15bと後辺シール部15cとに沿うL字状に設けることで、該L字状部分に対応する領域における液体の残留を低減させることができる。つまり、重力が作用して液体が残留しやすい下辺シール部15bの近傍や、液体導出部材11から最も離れていることで液体が残留しやすい後辺シール部15cの近傍でも、液体が全て導出される最後まで液体通路を確保できる。
図2に示す比較例と本実施形態とを比較すると、図2に示す比較例では重力が作用して液体が残留しやすい下辺シール部15bの近傍の液体が残留するのは防止できるが、液体導出部材11から最も離れていることで液体が残留しやすい後辺シール部15cの近傍に液体が残留してしまうことは防止できない。よって、液体収容袋体10内の液体を全て導出するには、図1(a)〜図1(c)に示す本実施形態の方が優れている。
(c)補強部材20は、側面部13における下辺のシール部上縁15b1に沿わせ、かつ該シール部上縁15b1に近接させて貼り付けたので、液体収容体1の底部前後方向に沿って液体の流路を確保しながら、図1(b)の間隔C1の領域を、液体収容袋体10内の液体容量に依存させて追従変形しやすい領域として確保できる。
また、液体収容袋体10において、最終的に液体が残留しやすい部位は、図1(b)に示す角部16である。補強部材20は、少なくとも、下辺シール部15bと後辺シール部15cとがなす角部16をカバーするように設けたので、角部16の前方において上述した閉塞状態が生じるのを防止し、角部16に液体が残留するのを防止することができる。
液体収容体1においては、最終的に、上記角部16、すなわち、液体収容袋体10の後部かつ下部に液体が残留することが多い。
これに対し、後辺シール部15cと補強部材20との間の間隔C2を、下辺シール部15bと補強部材20との間の間隔C1よりも小さくした(C2<C1)。これにより、補強部材20は、少なくとも、前記角部16をカバーするように設けることができる。よって、角部16において上述した閉塞状態が生じるのを防止し、角部16に液体が残留するのを防止することができる。
次いで残留しやすい部位は、上記角部16を含むL字状の縦部分、すなわち、後辺シール部15cに沿う部分である。
そこで、補強部材20の垂直部材20bを後辺シール部15cに沿って設けることにより、液体導出部材11からもっともはなれた部位での液体の残留を低減させることができる。
したがって、この液体収容体1によれば、液体収容袋体10を構成する可撓性シート12の材質にかかわらず、最終的な液体残留量を低減させることができる。
しかも、上記従来技術2と異なり、膨出部を作る工程を必要としないので、大幅なコストアップを避けることもできる。
(d)補強部材20の前部21は、液体収容体において液体導出部材11がシールされる前辺シール部15aの後縁15a1から離間(間隔C3)させたので、液体導出部材11に近い部位17における液体の残留を防止することができる。特に本実施形態では、前辺シール部15aと補強部材20の前縁21との間の間隔C3は、下辺シール部15bと補強部材20の下縁23との間隔C1よりも大きくなるように、間隔C3を広げている(C3>C1>C2)。
液体収容体1において、液体導出部材11がシールされる前辺シール部15aの後縁15a1近くにおける収容体内部は、液体導出部材11に近い部位であるため、元々液体が液体導出部材11へと流れやすいからである。
したがって、この部位17には、補強部材20を設ける必要がないと同時に、逆に、補強部材20を設けると、側面部13同士が密着しにくくなって、最終的に該部位17に液体が残留しやすくなってしまう。
これに対し、補強部材20の前部21を、液体収容体において液体導出部材11がシールされる前辺シール部15aの後縁15a1から離間させることで、液体導出部材11に近い部位17における液体の残留を防止することができる。
(e)補強部材20の前部21は、前記前辺のシール部後縁15a1と、下辺のシール部上縁15b1とがなす角を2分する線Aよりも後方に位置させたので、線Aの近くにおける液体の残留を防止することができる。
液体収容体1に液体を充填すると、液体収容袋体10は膨らむこととなるが、収容体角部における膨らみ線A’は、液体収容体1の前部かつ下部においては前辺のシール部後縁15a1と、下辺のシール部上縁15b1とがなす角を2分する線Aに略一致する。
したがって、収容体の前部かつ下部において、上記膨らみ線A’の近くに補強部材20が設けられると、側面部13同士が密着しにくくなって、最終的に該部位に液体が残留しやすくなってしまう。
これに対し、補強部材20の前部21を、前辺シール部15aの後縁15a1と、下辺シール部15bの上縁15b1とがなす角を2分する線Aよりも後方に位置させることにより、液体収容体1の前部かつ下部における上記膨らみ線A’の近くにおけるインクの残留を防止することができる。
(f)補強部材20は、上下方向に関し、上記液体導出部材11よりも下方に設けたので、最終的な残留インク量を低減させることができる。
液体収容体1においては、液体が消費されるにつれて、収容体内の液体は液体導出部材11よりも下方へと位置することとなるから、液体導出部材11よりも下方において、前述した閉塞状態が生じると、最終的な残留インク量が増大することとなる。
これに対し、補強部材20を、上下方向に関し、液体導出部材11よりも下方に設けることで、上記閉塞状態が生じることによる弊害が大きな部位(すなわち液体導出部材11よりも下方の部位)における閉塞状態を防止し、最終的な残留インク量を低減させることができる。
(g)可撓性シート12は、少なくとも三層を含み、この三層中で熱溶着性に優れた合成樹脂の最内層と、三層中でガスバリア性に優れた金属の中間層と、三層中で耐衝撃性に優れた合成樹脂の最外層とからなる柔軟性シートとしたので、可撓性シートが柔軟性に優れている分、液体導出時に液体収容袋体10が収縮しやすくなる。このため、液体が導出されやすくなる。
しかし一方では、その分、側面部13同士が密着しやすくなり、上述した閉塞状態が生じやすくなる。
これに対し、この液体収容体1によれば、可撓性シート12を柔軟性に優れたものにしたとしても、上述した構造により、閉塞状態が生じ難くすることができる。
以上の通りであるから、この液体収容体1は、液体収容袋体10が、周辺同士が直接シールされたピロータイプでかつ非加圧タイプの収容体である場合に、特に有効である。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
また、本発明の液体収容体の用途は、インクジェット記録装置のインクカートリッジに限らない。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体消費装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。
液体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロデスペンサ等が挙げられる。
また、本発明において、液体とは、液体消費装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル、水その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物を溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインクや、液晶等が挙げられる。ここで、インクとは、一般的な水生インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
本発明に係る液体収容体の一実施の形態を示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図、図1(c)は可撓性シートの層構造を示す断面図。 本発明の比較例に係る液体収容体を示す正面図。 液体消費装置の第1例を示す概略図。 液体消費装置の第2例を示す概略図。
符号の説明
1:液体収容体、10:液体収容袋体、11:液体導出部材、12:可撓性シート、12a外層、12b:中間層、12c:内層、13:側面部、15:シール部、15a:前辺シール部、15b:下辺シール部、15c:後辺シール部、16:角部、20:補強部材、20a:水平部材、20b:垂直部材、21:前部、40:液体消費装置

Claims (6)

  1. 一対の可撓性シートの周縁がシールされて袋状に形成された液体収容袋体と、
    前記一対の可撓性シート間に保持され、前記液体収容袋体内に収容した液体を液体消費装置に導出するための液体導出部材と、
    を有し、
    前記液体収容袋体は、
    前記液体導出部材が装着される前辺シール部と、
    前記前辺シール部とは反対側の一辺に沿った後辺シール部と、
    前記液体消費装置に液体を導出する使用時に下辺となる下辺シール部と、
    前記前辺シール部、前記後辺シール部及び前記下辺シール部に囲まれた一対の側面部と、
    を少なくとも含み、
    前記一対の側面部のうち少なくとも一方の側面部には、前記下辺シール部及び前記後辺シール部に沿ってL字状に設けられた、該側面部の剛性を高める補強部材を有することを特徴とする液体収容体。
  2. 請求項1において、
    前記補強部材は、前記少なくとも一方の側面部の角部領域であって、前記下辺シール部の上縁と前記後辺シール部の前縁とがなす角を2分する線を含む前記角部領域を補強することを特徴とする液体収容体。
  3. 請求項1または2において、
    前記補強部材の前縁は、前記前辺シール部の後縁と前記下辺シール部の上縁とがなす角を2分する線よりも、前記後辺シール部側に向う後方に位置させたことを特徴とする液体収容体。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記補強部材は、前記下辺シール部に沿った水平部材と、前記後辺シール部に沿った垂直部材とを含んでL字状に形成され、
    前記水平部材の上縁は、前記液体導出部材の装着高さ位置よりも前記下辺シール部側に向う下方に配置されていることを特徴とする液体収容体。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記一対の可撓性シートの各々は、少なくとも三層を含み、前記少なくとも三層中で熱溶着性に優れた合成樹脂の最内層と、前記少なくとも三層中でガスバリア性に優れた中間層と、前記少なくとも三層中で耐衝撃性に優れた合成樹脂の最外層とを含む柔軟性シートとしたことを特徴とする液体収容体。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記液体収容袋体は、周辺同士が直接シールされたピロータイプでかつ非加圧タイプの袋体であることを特徴とする液体収容体。
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