JP2009180443A - 空気調和機の室外ユニットのケーシング構造 - Google Patents

空気調和機の室外ユニットのケーシング構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単な構成でコーナー部からの水の侵入を防止することができる室外ユニットのケーシング構造を提供する。
【解決手段】 胴部6とその上縁部の小径フランジ20との間の段差部18に天板7の周縁フランジ22を外嵌載置する構造において、胴部6は、ブランク材を曲げ加工して形成するが、そのときの胴部6のコーナー部に位置する小径フランジ20には、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴24を形成し、この部分の剛性を下げる。このとき、小径フランジの高さは他の部位と同じであり、シール材も小さなもので済む。
【選択図】 図4

Description

本発明は、空気調和機の室外ユニットのケーシング構造に関するものである。
空気調和機の室外ユニットとして、特許文献1には、基板の底板部とこの底板部に連続して底板部の周囲に略垂直に起立して設けられたフランジ部に、フランジ部上方側へ開放となる形状の切欠部を有するようにし、塑性加工によるフランジ形成時のフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を切欠形状部で開放して緩和させ、フランジ形成抵抗を軽減させる技術が開示されている。
特開2005−76953号公報
ところで、特許文献1に開示されたフランジ形成抵抗を軽減する技術は、室外ユニットのケーシングの胴部形成技術に応用することができる。すなわち、ケーシングの角筒型の胴部の上端部に胴部補強用の段差部を形成し、その内縁に水返し用の小径フランジを折り曲げ形成し、前記段差部に天板の周縁フランジを外嵌載置する構造の場合、胴部上端の段差部および小径フランジを有するブランク材を曲げ加工する際に、コーナー部を形成する小径フランジに切欠を形成してフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減することができる。
従来の例を図7から図10を用いて説明する。図7は室外ユニットの天板と背面板とを取り外した状態で背面側から見た室外ユニットの斜視図、図8はケーシングの胴部側面板をプレス成形するためのブランク材の正面図、図9は図8の側面図、図10は胴部側面板を示す斜視図である。ここで、ブランク材とは、曲げや絞りなどのプレス加工・成形を施されるための製品外形をもつ板材のことをいう。
図7〜図10に示すように、室外ユニットは、箱状のケーシング101と、その内部に室外熱交換器102、圧縮機(図示略)、送風ファン(図示略)が内装される。ケーシング101は、底板部103と、角筒状の胴部104と、胴部の上面開放部を覆う天板(図示せず)とから箱状に形成される。胴部104は、前面板106、背面板(図示せず)、左右の側面板107,108から角筒型に形成される。
左右の側面板107,108では、そのブランク材108Aにおいて、上端部に胴部補強用の段差部110を形成し、その内縁に垂直方向に折り曲げて水返し用の小径フランジ111を形成している。この段差部110には図示しない天板の周縁フランジが外嵌載置される。胴部上端の段差部110および小径フランジ111は、側面板107、108を曲げ加工する前のブランク材108Aの段階で既に形成されている。
そのため、ブランク材108Aの曲げ加工時において、胴部のR角部(コーナー部)には、曲げ加工時に、フランジ長手方向(胴部周方向)には圧縮方向の材料内応力が発生し、歪やシワ(皺)が発生し、座屈するおそれもある。
そこで、従来は、胴部のR角部(コーナー部)の小径フランジ111に上端部を切り欠いた切欠113を形成し、この切欠113によりフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を開放して緩和させていた。
しかし、この切欠113の存在は、小径フランジ111の本来の機能である水返し機能を損なうことになる。切欠113の存在により、フランジの高さが低くなるため、この部分から水が内部に侵入し易くなる。また、水の侵入を防ぐには、切欠113部分に大きなシール材を貼り合わせなければならず、コーナー部の構造の改善が望まれるところである。
本発明は、上記に鑑み、簡単な構成でコーナー部からの水の侵入を防止することができるケーシング構造、特に、空気調和機の室外ユニットのケーシング構造の提供を目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、上面開放の胴部とその上縁部の小径フランジとの間に段差部が形成され、該段差部に天板の周縁フランジが外嵌載置されてなるケーシング構造において、前記胴部は板状部材(ブランク材)を曲げ加工して形成され、前記胴部のコーナー部に位置する小径フランジに、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴が形成されたことを特徴とする。
上記構成によると、応力緩和用穴までのフランジ高さが低くなるため、この部分の剛性を下げることができる。一方、コーナー部のフランジ高さは、他の部位と同じ高さの小径フランジを保ちながら、ブランク材を曲げ加工することができる。さらに、シール材は応力緩和用穴部分のみ貼ればよいので、少ないシール材で済む。
このような構造のケーシングは、種々の機器のケーシング構造に適用することができるが、特に、分離型空気調和機の室外ユニットのケーシング構造に適用すれば、屋外における防水性能を十分確保した室外ユニットを提供することができる。
ここで、応力緩和用穴は、各コーナー部において、その形状や個数については特に限定されるものではないが、小径フランジの長手方向に長いスリット状に形成すれば、本来フランジ長手方向にかかる圧縮方向の応力を緩和することができる。スリット長さは、ブランク材の板厚や材料自体の強度によって種々の大きさに設定される。
また、小径フランジ部には、少なくとも応力緩和用穴がシール材によりシールされる。これにより、応力緩和用穴から水が内部に侵入するのを防止することができ、小径フランジ本来の水返し機能を発揮することができる。なお、シール材は、テープ状のものに限らず、充填材であってもよい。
本発明によると、ケーシングの胴部のコーナー部上端に位置する小径フランジに、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴が形成されているので、コーナー部のフランジ高さを他の部位と同じ高さに保ちながら曲げ加工を行うことができる。
図1は本発明に係る空気調和機の室外ユニットを正面側からみた斜視図、図2は同じく室外ユニットの背面板を取り外した状態で背面側からみた斜視図、図3は室外ユニットの胴部形成用の側面板のブランク材を示す正面図、図4は同じく曲げ加工を施した側面板の斜視図、図5は図4の要部拡大図、図6は曲げ加工を施した側面板に天板を嵌合載置した状態を内部からみた斜視図である。
室外ユニット1は、箱状のケーシング2と、その内部に室外熱交換器3、圧縮機(図示略)、送風ファン4が内装される。ケーシング2は、底板部5と、胴部6と、胴部6の上面開放部を覆う天板7とから箱状に形成される。胴部6は、前面板8、背面板(図示せず)、左右の側面板10,11から角筒型に形成される。
前面板8は、左右両端側がコーナー部を持つ形状となっており、上方からみてコ字形にプレス成形されている。前面板8には、送風ファン4の前面を覆うグリッド12が設けられている。図示しないが、背面板も室外熱交換器3の背面側を覆うためグリッド状に形成されている。
左右の側面板10,11は、金属製のブランク材を上方からみてL字形にプレス成形して得られる。左右の側面板10,11は、その端部同士を前面板、背面板と接合して角筒状の胴部6を形成する。左側面板10は、室外熱交換器3の周囲を覆うため、グリッド状に形成され、外気を室外熱交換器に取り入れ易くしている。また、上部には把手14が取り付けられる。
右側面板11は、背面側にグリッド15が形成され、中央上部に把手取付用穴16が形成され、さらに、前側には電気配線引出し用の開口17が形成される。また、側面板10、11には、その上端部において、胴部補強用の段差部18が形成され、その内縁に水返し用の小径フランジ20が垂直方向に折り曲げ形成されている。
段差部18には天板7の周縁フランジ22が外嵌載置される。段差部18の幅は、天板7の周縁フランジ22を載置するためのもので、かつ胴部6の剛性を確保するものであるから、少なくとも周縁フランジ22の板厚以上の幅で形成されるのが好ましい。
小径フランジ20の高さは、水の侵入を阻止することができる高さに設定される。この小径フランジ20には、天板7の周縁フランジ22をビス止めするビス穴23が形成される。さらに、側面板10,11のコーナー部に位置する小径フランジ20には、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴24が形成されている。
応力緩和用穴24は、小径フランジ20の高さ方向でほぼ中央位置に形成され、剛性を低下させるように機能する。また、応力緩和用穴24は、小径フランジ20の長手方向に長いスリット状に形成される。スリット長さは、ブランク材11Aの板厚や材料自体の強度によって設定される。本実施の形態では、図4および図5に示すように、側面板を構成するブランク材11Aの曲げ加工は、コーナー部においてR状に形成されているので、スリット長さはR状のコーナー部の一端から他端までの長さに設定されている。
また、小径フランジ20の応力緩和用穴24は、テープ状のシール材26によりシールされる。
なお、側面板10、11の胴部上端の段差部18および小径フランジ20は、側面板を曲げ加工する前のブランク材11Aの段階で既にプレス成形されている。
天板7は、板状の天板部7aと、その全周囲から下方向に垂設された周縁フランジ22とを備えている。周縁フランジ22は、天板部7aと別体で成形し、天板部7aの周囲に接合してもよい。また、周縁フランジ22は天板部7aと一体的に折り曲げ形成してもよい。この周縁フランジ22は、胴部6の小径フランジ20に外嵌され、その先端が段差部18に載置される。
上記構成において、胴部6のコーナー部に位置する小径フランジ20に、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴24が形成されているので、応力緩和用穴までのフランジ高さが低くなり、この部分の剛性を下げることができる。したがって、ブランク材11Aから側面板11に曲げ加工する際、コーナー部のR部において小径フランジ20の長手方向で圧縮方向の材料内応力を緩和することができ、コーナー部でのシワや変形を防止することができる。
成形された側面板10,11のコーナー部の応力緩和用穴24にはシール材26を貼り付け、穴26からの水の侵入を阻止する。
曲げ加工により成形した側面板10、11と前面板8及び背面板を接合し、角筒状の胴部6を成形する。次に、胴部6の小径フランジ20に天板7の周縁フランジ22を外嵌し、周縁フランジ22の先端を段差部18に載置し、周縁フランジ22をビスにより小径フランジ20に固定して箱状のケーシング2を完成する。
このように、ケーシング2の胴部6のコーナー部上端に位置する小径フランジ20に、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴24が形成されているので、コーナー部のフランジ高さを他の部位と同じ高さに保ちながら曲げ加工を行うことができ、さらに、応力緩和用穴24のみシールすればよいので、従来のように切欠を設けた場合に比べて少ないシール材で済ませることができる。
また、切欠にシール材を貼り付けた場合、シール材が撓んでいたりすると、天板を取り付ける際にシール材が引っかかって、シール材が折れ曲がったり、傷ついたりして、防水性能が損なわれる可能性がある。本発明では、応力緩和用穴24の内面側にシール材を貼り付けるので、天板がシール材に引っかかる可能性が少なく、良好な防水性能を確保しやすくなる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では、空気調和機の室外ユニットのケーシング構造について説明したが、これに限らず、他の機種のケーシング構造にも本発明を適用することができる。
また、胴部6において、背面板はなくてもよい。つまり、図2において、胴部6は、前面板8、左右の側面板10,11から構成され、背面側が開放した略C字形のものであってもよい。また、角筒型の胴部としては、上記実施形態のように、前面板、左右側面板および背面板から構成されたもの以外に、左右の側面板が背面側で一体化されて上方からみて略C字形に形成されたものと、前面板とが接合されたものであってもよい。
さらに、左右の側面板10,11は、上記実施形態では、上方からみてL字型にプレス成形、前面板8はコ字型にプレス成形されているが、左右の側面板10,11をコ字型に形成し、前面板8を平板状に形成する構成であってもよい。
本発明に係る空気調和機の室外ユニットを正面側からみた斜視図 同じく室外ユニットの背面板を取り外した状態で背面側からみた斜視図 室外ユニットの胴部形成用の平板状の側面板を示す正面図 同じく曲げ加工を施した側面板の斜視図 図4の要部拡大図 曲げ加工を施した側面板に天板を嵌合載置した状態を内部からみた斜視図 室外ユニットの天板と背面板とを取り外した状態で背面側から見た室外ユニットの斜視図 ケーシングの胴部を形成する平板状の側面板を示す図 図8の側面図 側面板を曲げ加工して角型の胴部を形成した状態を示す斜視図
符号の説明
1 室外ユニット
2 ケーシング
3 室外熱交換器
4 送風ファン
5 底板部
6 胴部
7 天板
7a 天板部
8 前面板
10、11 側面板
11A ブランク材
12 グリッド
14 把手
15 グリッド
16 把手取付用穴
17 電気配線引出し用の開口
20 小径フランジ
22 周縁フランジ
23 ビス穴
24 応力緩和用穴
26 シール材

Claims (4)

  1. 上面開放の胴部とその上縁部の小径フランジとの間に段差部が形成され、該段差部に天板の周縁フランジが外嵌載置されてなるケーシング構造において、前記胴部は板状部材を曲げ加工して形成され、前記胴部のコーナー部に位置する小径フランジに、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴が形成されたことを特徴とするケーシング構造。
  2. 空気調和機の室外ユニットのケーシング構造において、ケーシングが、上面開放の胴部とその上縁部の小径フランジとの間に段差部が形成され、該段差部に上方から天板の周縁フランジが嵌合載置されて箱状に形成されてなる空気調和機の室外ユニットにおいて、前記胴部は板状部材を曲げ加工して形成され、前記胴部のコーナー部に位置する小径フランジに、曲げ加工時にフランジ長手方向に働く圧縮方向の材料内応力を軽減するための応力緩和用穴が形成されたことを特徴とする空気調和機の室外ユニットのケーシング構造。
  3. 前記応力緩和用穴は、小径フランジの長手方向に長くスリット状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のケーシング構造。
  4. 前記小径フランジ部には、少なくとも応力緩和用穴がシール材によりシールされたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のケーシング構造。
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