JP2009178152A - ポリアミノ酸合成酵素とそれをコードする遺伝子 - Google Patents

ポリアミノ酸合成酵素とそれをコードする遺伝子 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアミノ酸を効率よく製造する方法の提供。
【解決手段】リボソーム非依存的ペプチド合成酵素(NRPS)様式でアミノ酸の重合を触媒する酵素、および該酵素をコードする特定の塩基配列からなるポリヌクレオチド。ポリアミノ酸合成酵素が、ポリリジン合成酵素である、ポリヌクレオチド。該ポリヌクレオチドを含有する、組換えベクター。該組換えベクターを含む形質転換体。該形質転換体を用いる、ポリアミノ酸合成酵素の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規ポリアミノ酸合成酵素とそれをコードする遺伝子に関する。
ポリアミノ酸を合成する方法としては、従来から化学合成によるもの、酵素的に合成す
るもの等が知られている。
近年、社会的貢献度の高い様々な生理活性ペプチドが見出されている。これらペプチド
の合成法として化学合成法と酵素合成法がある。後者では有害な薬品を使用せず製造でき
、環境負荷などの問題点も克服可能で、低コスト化も期待できる。
酵素的にポリアミノ酸を合成する方法の1つとして、アスパラギン酸骨格とアルギニン
側鎖からなる非タンパク質アミノ酸ポリマーであるシアノフィシン(multi-L-arginyl-po
ly(L-aspartic acid))を酵素的に合成する方法が知られている(非特許文献1、非特
許文献2)。また、ポリ−γ−グルタミン酸を酵素的に合成する方法も報告されている(
非特許文献3)。
しかし、これらポリアミノ酸の酵素合成は複合酵素系の触媒作用によって達成されるた
め、制御が難しく、工業生産への応用はなされていない。また、シアノフィシン、ポリ−
γ−グルタミン酸の酵素合成を除くと、トリペプチド以上の鎖長の長いペプチドまたはアミノ酸ホモポリマーを酵素的に合成できた例は無い。
さらに、抗菌性ポリアミノ酸ε−ポリ−L−リジンの生合成については、微生物発酵法
によるものが報告されている(非特許文献4)。
Eur.J.Biochem.267,5561−5570(2000) APPL.ENVIRON.MICROBIOL.Vol.67,No.5,May 2001,p.2176−2182 APPL.ENVIRON.MICROBIOL.Vol.70,No.7,July 2004,p.4249−4255 Agric.Biol.Chem.Vol.45,1981,p.2497−2502
このような状況下で、より長鎖の任意アミノ酸ペプチドあるいはアミノ酸類縁体ホモポ
リマーを効率よく製造する方法が求められている。
本発明者らは、このような要求に応えるため鋭意研究を重ねた結果、L−リジンの重合
を触媒するリボソーム非依存的ペプチド合成酵素(NRPS)を見出した。
したがって、本発明は、以下に示すポリアミノ酸合成酵素、それをコードするポリヌク
レオチド、該ポリヌクレオチドを含有するベクター、該ポリアミノ酸合成酵素の製造方法
、該ポリアミノ酸合成酵素を使用するポリアミノ酸の製造方法、該ポリヌクレオチドの部
分配列を含むプライマー、該ポリヌクレオチドもしくはその相補配列にハイブリダイズし
得るプローブ、該酵素に対する抗体、該プライマーもしくはプローブもしくは該抗体を使
用するポリアミノ酸合成酵素のスクリーニング方法等を提供する。
(1)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌク
レオチド配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
コードするヌクレオチド配列、
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
(iv)配列番号1のヌクレオチド配列、
(v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
ドするヌクレオチド配列、または
(vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
(1a)(i)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基の欠失
、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵
素をコードするヌクレオチド配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からな
るポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、または
(iii)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列に高ストリンジ
ェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素
をコードするヌクレオチド配列、
のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
(2)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌク
レオチド配列、または
(ii)配列番号1のヌクレオチド配列、
のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
(3)上記ポリアミノ酸合成酵素が、ポリリジン合成酵素である、上記(1)または(2
)に記載のポリヌクレオチド。
(4)DNAまたはRNAである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリヌクレオ
チド。
(5)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応
触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
らなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列
、または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
一性を有するアミノ酸配列からなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
コードするヌクレオチド配列、
(iv)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
(v)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレ
オチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る
、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、また

(vi)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と65%以上の
同一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオ
チド配列、
のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
(5a)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において1もし
くは数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配
列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と80%以上の同一
性を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
または
(iii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と相補的なヌ
クレオチド配列に高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズ
し得る、ポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
(6)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応
触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、または
(ii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
(7)DNAまたはRNAである、上記(5)または(6)に記載のポリヌクレオチド。
(8)(i)配列番号2のアミノ酸配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含む、ポリアミノ酸合成酵素。
(8a)(i)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基の欠失
、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(ii)配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含む、ポリアミノ酸合成酵素。
(9)ポリリジン合成酵素である、上記(8)に記載のポリアミノ酸合成酵素。
(10)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、
または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含む縮合反応触媒ドメイン。
(10a)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において1も
しくは数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸
配列、または
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と80%以上の同一
性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含む縮合反応触媒ドメイン。
(11)上記(10)に記載の縮合反応触媒ドメインを含むポリアミノ酸合成酵素。
(12)ポリリジン合成酵素である、上記(11)に記載のポリアミノ酸合成酵素。
(13)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌ
クレオチド配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
コードするヌクレオチド配列、
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
(iv)配列番号1のヌクレオチド配列、
(v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
ドするヌクレオチド配列、または
(vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
のいずれかを含有する、組換えベクター。
(13a)(i)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基の欠
失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成
酵素をコードするヌクレオチド配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からな
るポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、または
(iii)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列に高ストリンジ
ェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素
をコードするヌクレオチド配列、
のいずれかを含有する、組換えベクター。
(14)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌ
クレオチド配列、または
(ii)配列番号1のヌクレオチド配列、
のいずれかを含有する、組換えベクター。
(15)上記ポリアミノ酸合成酵素が、ポリリジン合成酵素である、上記(13)または
(14)に記載の組換えベクター。
(16)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反
応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
らなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列
、または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
一性を有するアミノ酸配列からなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
コードするヌクレオチド配列、
(iv)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
(v)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレ
オチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る
、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、また

(vi)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と65%以上の
同一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオ
チド配列、
のいずれかを含有する、組換えベクター。
(16a)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において1も
しくは数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸
配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と80%以上の同一
性を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
または
(iii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と相補的なヌ
クレオチド配列に高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズ
し得る、ポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
のいずれかを含有する、組換えベクター。
(17)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反
応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、または
(ii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
のいずれかを含有する、組換えベクター。
(18)上記(13)、(15)、または(16)に記載の組換えベクターを含む形質転
換体。
(19)上記(14)または(17)に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(20)上記(13)、(15)、もしくは(16)のいずれかに記載の組換えベクター
または上記(18)に記載の形質転換体を用いる、ポリアミノ酸合成酵素の製造方法。
(21)上記(14)もしくは(17)に記載の組換えベクターまたは上記(19)に記
載の形質転換体を用いる、ポリアミノ酸合成酵素の製造方法。
(22)(i)配列番号2のアミノ酸配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
、ポリアミノ酸の製造方法。
(22a)(i)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基の欠
失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(ii)配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
、ポリアミノ酸の製造方法。
(23)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、
または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
、ポリアミノ酸の製造方法。
(23a)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において1も
しくは数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸
配列、または
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と80%以上の同一
性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
、ポリアミノ酸の製造方法。
(24)上記ポリアミノ酸が、ポリリジンである、上記(22)または(23)に記載の
方法。
(25)上記ポリリジンが、ε−ポリ−L−リジンである、上記(24)に記載の方法。
(26)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌ
クレオチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iv)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
ドするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
(vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
らなるプライマー。
(26a)(i)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基の欠
失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成
酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からな
るポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
(iii)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列に高ストリンジ
ェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素
をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
らなるプライマー。
(27)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反
応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相
補配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
らなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列も
しくはその相補配列、
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の
同一性を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補
配列、
(v)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオ
チド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、
縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくは
その相補配列、または
(vi)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と65%以上の同
一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチ
ド配列もしくはその相補配列、
のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
らなるプライマー。
(27a)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において1も
しくは数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸
配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列

(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と80%以上の同一
性を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列も
しくはその相補配列、または
(iii)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌク
レオチド配列に高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし
得る、ポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
らなるプライマー。
(28)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌ
クレオチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応
触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補
配列、または
(iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補
配列、
のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチド
からなるプライマー。
(29)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌ
クレオチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列
(iv)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
ドするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
(vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
クレオチドプローブ。
(29a)(i)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸残基の欠
失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成
酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からな
るポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
(iii)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列に高ストリンジ
ェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素
をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかのヌクレオチド配列に高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で
ハイブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリ
ヌクレオチドプローブ。
(30)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反
応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相
補配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
らなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列も
しくはその相補配列、
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
一性を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコ
ードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列
(iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補
配列、
(v)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオ
チド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、
縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくは
その相補配列、または
(vi)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と65%以上の同
一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチ
ド配列もしくはその相補配列、
のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
クレオチドプローブ。
(30a)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において1も
しくは数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸
配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列

(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と80%以上の同一
性を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列も
しくはその相補配列、または
(iii)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌク
レオチド配列に高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし
得る、ポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかのヌクレオチド配列に高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で
ハイブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリ
ヌクレオチドプローブ。
(31)(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌ
クレオチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応
触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補
配列、または
(iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補配
列、
のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
クレオチドプローブ。
(32)(i)配列番号2のアミノ酸配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素に特異的に結合する、抗体。
(33)(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、
または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含む縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインまたは該ドメインを含
むポリアミノ酸合成酵素に特異的に結合する、抗体。
(34)上記(26)〜(28)のいずれかに記載のプライマーを使用する、ポリアミノ
酸合成酵素をコードするポリヌクレオチドのスクリーニング方法。
(35)さらに上記(29)〜(31)のいずれかに記載のプローブを使用する、上記(
34)に記載のスクリーニング方法。
(36)上記(32)または(33)に記載の抗体を使用する、ポリアミノ酸合成酵素の
スクリーニング方法。
本発明によりポリアミノ酸(例:ε−ポリ−L−リジン)を酵素的に合成することがき
る。酵素的合成法は、微生物発酵法や化学合成法よりも省エネルギーであり、望ましくな
い副反応も抑えられるため、高純度のポリアミノ酸を製造することが可能であるという利
点がある。さらに、シアノフィシン、ポリ−γ−グルタミン酸を含む微生物により生産さ
れるペプチドやポリアミノ酸の多くは、複合酵素系の触媒作用で生合成されるため、酵素
的工業生産は難しいが、本発明のポリアミノ酸合成酵素は、単一のチオテンプレート型リ
ボソーム非依存的ペプチド合成酵素(NRPS)であるため、制御が容易で酵素的工業生
産に適している、という利点がある。
斯くして、本発明は、従来よりもさらに効率よくポリアミノ酸を製造する方法を提供す
ることができる。さらに、本発明のポリヌクレオチド含有組換えベクターおよび形質転換
体を使用することで、様々な有用ポリアミノ酸生合成への応用が可能である。
本発明者らは、ε−ポリ−L−リジン生産菌ストレプトミセス・アルブラス(Stre
ptomyces albulus)IFO14147株から膜結合型のε−ポリ−L−
リジン生合成酵素を単離精製し、そのアミノ酸配列(配列番号2)およびそれをコードす
る遺伝子の塩基配列(配列番号1)を決定した。本発明のε−ポリ−L−リジン生合成酵
素のアミノ酸配列およびDNA配列を、NCBI配列データベースで相同性検索すると、
アミノ酸配列では最も高いもので54.1%同一(77.3%類似)、DNA配列では最も高いも
ので64.2%同一、局部的(重要ドメイン(470位〜795位)の領域)において80%以上同
一)のものが存在した。
本発明の1つの実施形態では、ポリリジン生合成酵素およびそれをコードする遺伝子が
提供される。また、本発明の酵素は、NRPSとしてはこれまでに知られていない唯一の
膜酵素である。したがって、本発明のさらなる実施形態では、膜結合型のNRPSが提供
される。
これまでに、医薬へも応用可能な生理活性を有する微生物生産ペプチドが多数見出され
ており、これらペプチドの多くは、非リボソーム型ペプチド合成酵素(NRPS, non-riboso
mal peptide synthetase)と呼ばれる多モジュール複合酵素の触媒作用により生合成され
る。
NRPSはアミノ酸の活性化を触媒するアデニレーションドメイン(A-Domain)、ペプ
チジルキャリヤードメイン又はチオレーションドメイン(PCP-Domain)と呼ばれるアミノ
酸あるいはペプチド中間体分子を結合するドメイン、そして基質の縮合を触媒するコンデ
ンセーションドメイン(C-Domain)、生合成の最終ステップであるペプチドの環状化やNR
PSからのペプチドの遊離に関与するチオエステラーゼドメイン(TE-Domain)からなるモ
ジュールを基本単位として構成されている(図1)。チオレーションドメインにはアミノ
酸や中間体を結合するための補助因子である4’-ホスホパンテテイン(P-pant)アームが
結合している(不図示)。モジュールにはさらにエピメリ化やメチル化などペプチドの修
飾に係わるドメインが付加されている場合もある。
NRPSの各ドメインにはペプチド合成酵素に共通して保存されている領域が複数あり
、例えば、ミクロシスチン生合成遺伝子は、これらの塩基配列情報をもとにPCR増幅によ
り得られた断片をプローブとしてクローニングされている。
本発明のポリリジン生合成酵素においても、データベース、例えばCDD(Conserved
Domain Database:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cdd.shtml/)などの類
似のドメイン構造をもつタンパク質との構造比較から機能予測する解析ツールを用いて解
析すると、多くのNRPS同様にN末端にはA-Domain、ペプチド中間体分子を結合するPCP-Dom
ainの存在が確認された。しかしながら、C末端側約700アミノ酸残基は、従来のいず
れのC-DomainやTE-Domainとも全く相同性の無い新規(未知)ドメインであることが明ら
かとなった。また、従来のNRPSは多モジュール複合酵素であるが、本酵素の構造はド
メイン構造解析及び酵素精製の結果から、単一モジュール単一酵素であることが強く示唆
された。このように本発明の酵素においては、単一モジュールのみでポリアミノ酸合成が
達成されることから、C末端側700アミノ酸残基の新規ドメインは、「繰り返し縮合反
応」を触媒すると考えられる。したがって、本発明の1つの実施形態では、上記C末端側
の約700アミノ酸残基を含むポリリジン生合成酵素が提供される。
さらに、従来のNRPSは何れも細胞質(可溶性画分)に局在するが、本酵素はNRP
Sとしてはこれまでに知られていない唯一の膜酵素であり、膜結合(膜貫通)領域もC末
端新規ドメインに存在すると考えられた。そこで、アミノ酸配列から膜タンパク質などの
二次構造の予測を行う解析ツールを用いて、本発明の酵素のC末端新規ドメインを更に詳
細に解析した。SOSUI(http://bp.nuap.nagoya-u.ac.jp/sosui/)によれば、予想された
とおりC末端新規ドメインには6箇所の膜貫通領域と推定される領域が確認され、「繰り返
し縮合反応」を触媒すると考えられる新規ドメインは3つのサブドメインIC1、IC2
及びIC3−Domainから構成される可能性が示唆された(図1Bおよび図2)。し
たがって、本発明の別の実施形態では、上記3つのサブドメインのいずれかを含むポリリ
ジン生合成酵素が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.本発明のポリアミノ酸合成酵素およびそれをコードするポリヌクレオチド
本発明は、ポリアミノ酸合成酵素およびそれをコードする遺伝子を提供する。具体的に
は、本発明は、(i)配列番号2のアミノ酸配列、(ii)配列番号2のアミノ酸配列に
おいて少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有す
るアミノ酸配列、または(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有
するアミノ酸配列、のいずれかを含む、ポリアミノ酸合成酵素を提供する。
本発明はまた、(i)配列番号2のアミノ酸配列、(ii)配列番号2のアミノ酸配列
において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有
するアミノ酸配列、または(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を
有するアミノ酸配列、のいずれかからなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチ
ド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
本発明はまた、(i)配列番号1のヌクレオチド配列、(ii)配列番号1のヌクレオ
チド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件
下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、また
は(iii)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ
酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、のいずれかを含む、ポリヌクレオチドを提供
する。
好ましい実施形態において、上記ポリアミノ酸合成酵素は、ポリリジン合成酵素であり
、さらに好ましくは、ε−ポリ−L−リジン合成酵素である。上記ポリヌクレオチドは、
DNAまたはRNAであり得、好ましくは、DNAである。
また、本明細書中、「本発明のポリアミノ酸合成酵素」という場合、(i)配列番号2
のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素のみならず、配列番号2のアミノ酸配列と
高い相同性を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素、例えば、(ii)配列
番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、およ
び/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素、および(iii
)配列番号2のアミノ酸配列と高い(例:約60%以上の)同一性を有するアミノ酸配列
からなるポリアミノ酸合成酵素も含むものとする。また、ポリアミノ酸合成酵素の酵素活
性は、例えば、川合らの方法(Biochem Biophys Res Commun. 2003 Nov 21;311(3):635-4
0)などによって測定および/または確認することができる。
「配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿
入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素」の例と
しては、配列番号2のアミノ酸配列において、例えば、1〜50個、1〜40個、1〜3
9個、1〜38個、1〜37個、1〜36個、1〜35個、1〜34個、1〜33個、1
〜32個、1〜31個、1〜30個、1〜29個、1〜28個、1〜27個、1〜26個
、1〜25個、1〜24個、1〜23個、1〜22個、1〜21個、1〜20個、1〜1
9個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1
〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数
個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿
入および/または付加されたアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素が挙げられる。
上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加の数は、一般的には小さい程好
ましい。
「配列番号2のアミノ酸配列と高い同一性を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸
合成酵素」の例としては、配列番号2のアミノ酸配列と約60%以上、65%以上、70
%以上、75%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、
85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以
上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98
%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以
上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.
9%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素が挙げられる。上
記同一性の数値は一般的に大きい程好ましい。なお、本明細書中、用語「同一性(ide
ntity)」と「相同性(homology)」とは区別して用いるものとする。例え
ば、アミノ酸配列間のホモロジー(相同性)をいう場合、同じ性質を持つアミノ酸(グル
タミン酸とアスパラギン酸など)はひとつのグループとして扱うが、同一性を考える場合
は区別される。すなわち、同一性は一致性をさす。
本明細書中、ヌクレオチド配列について「ハイブリダイズする」とは、ヌクレオチド配
列同士の相補性が高い場合、二本鎖を形成することをいう。通常、二本鎖は、互いの核酸
が相補的になるように設計されているが、必要に応じて(例えば、核酸を検出に使用する
場合は、その目的上、問題が生じない範囲において)、その核酸中に、1または数個(例
えば、2〜3個)のミスマッチを含んでいてもよい。存在してもよいミスマッチの数は、
例えば、要求される検出精度、ヌクレオチド配列(または塩基配列もしくは核酸(配列)
もしくはポリヌクレオチド)の長さに応じて変化し得る。なお、ヌクレオチド配列と、そ
れがハイブリダイズする相手のヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーション条件を適宜
変更することにより、ミスマッチが存在する場合を排除したり、許容できるミスマッチの
数を調整したりすることができることは当業者に周知である。
ハイブリダイゼーションの方法としては、コロニーハイブリダイゼーション法、プラー
クハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることが
できる(例えば、Molecular Cloning 3rd Ed.、Curren
t Protocols in Molecular Biology, John W
iley & Sons 1987−1997を参照)。
本明細書中、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、低ストリンジ
ェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよ
い。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.
5%(w/v)SDS、50%(w/v)ホルムアミド、32℃の条件である。また、「
中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(
w/v)SDS、50%(w/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジ
ェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SD
S、50%(w/v)ホルムアミド、50℃の条件である。これらの条件において、温度
を上げるほど高い同一性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、核酸の濃度
、核酸の長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこ
れら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えば、Alkpho
s Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社
製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識し
たプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.
1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたポリ
ヌクレオチドを検出することができる。
所望のヌクレオチド配列(例えば、配列番号1のヌクレオチド配列)に「ストリンジェ
ントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得るヌクレオチド配列」の例と
しては、FASTA、BLASTなどの相同性(または同一性)検索ソフトウェアにより
、デフォルトのパラメーターを用いて計算したときに、該所望のヌクレオチド配列と約6
0%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、81%以上、82%以上
、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%
以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、9
6%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、9
9.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、9
9.8%以上、99.9%以上の同一性を有するヌクレオチド配列をあげることができる
なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴ
リズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87,
2264−2268, 1990; Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 90, 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴ
リズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(
Altschul SF, et al: J Mol Biol 215: 403,
1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例え
ばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用い
てアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、word
length=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場
合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いことができる。
2.本発明のポリアミノ酸合成酵素のC末端ドメインおよびそれをコードするポリヌクレ
オチド
従来のNRPSは多モジュール複合酵素の触媒作用でペプチド又はポリアミノ酸を重合
するが、本発明のポリアミノ酸合成酵素は、ドメイン構造解析及び酵素精製の結果から、
単一モジュール単一酵素であることが強く示唆される(図1AおよびBを参照)。本発明
のポリアミノ酸合成酵素においては、単一モジュールのみでポリアミノ酸合成が達成され
ることから、本発明のC末端側約700アミノ酸残基の新規ドメインは、「繰り返し縮合
反応」を触媒すると考えられる。また、CDDなどのタンパク質構造解析ツールを用いて
解析した結果、上記C末端ドメインには、3つのサブドメインとそれらの境界に6回の膜
貫通領域が存在することが推定された(図1Bを参照)。
したがって、本発明はまた、別の実施形態において、本発明のポリアミノ酸合成酵素の
C末端側約700アミノ酸残基を含有するC末端ドメイン(以下、「縮合反応触媒ドメイ
ン」と呼ぶ。)、および縮合反応触媒ドメインを含むポリアミノ酸合成酵素、ならびに該
ドメインおよび該酵素をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチドを提供する。なお、
本明細書中で単に「縮合反応触媒ドメイン」という場合、ポリアミノ酸合成酵素の縮合反
応触媒ドメインを意味するものとする。
本発明の縮合反応触媒ドメインは、代表的には、図2A−Dおよび図3A−Dに示され
るように、配列番号2で表される本発明のε−ポリ−L−リジン合成酵素のアミノ酸配列
のほぼ611位〜1319位に相当するアミノ酸配列(塩基配列においては1831位〜
3957位)を含むポリペプチドからなる機能的ドメインであり、そのアミノ酸配列およ
びそれをコードする塩基配列は、それぞれ配列番号13および配列番号12で表される。
また、このドメインを構成する3つのより小さいドメイン(IC1、IC2及びIC3−
Domain)は、代表的には、それぞれ配列番号2で表される本発明のε−ポリ−L−
リジン合成酵素のアミノ酸配列のほぼ676位〜847位、914位〜1083位、およ
び1147位〜1299位のアミノ酸配列の領域に相当する(塩基配列においては、それ
ぞれ2026位〜2541位、2740位〜3249位、および3439位〜3897位
)。これら3つのサブドメインのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号15、17、および
19で表され、これらのアミノ酸配列をコードする塩基配列はそれぞれ配列番号14、1
6、および18で表される。
本明細書中、「本発明の縮合反応触媒ドメイン」という場合、(i)配列番号13のア
ミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインのみならず、配列番号13のアミノ酸配列と高
い相同性を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメイン、例えば、(ii)配列番
号13のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、およ
び/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメイン、および(iii
)配列番号13のアミノ酸配列と高い(例:約60%以上の)同一性を有するアミノ酸配
列からなる縮合反応触媒ドメインも含むものとする。
また、本明細書中、「本発明の(縮合反応触媒ドメインの)サブドメイン」という場合
、(i)配列番号15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる(縮合反応触媒ドメ
インの)サブドメインのみならず、配列番号15、17、もしくは19のアミノ酸配列と
高い相同性を有するアミノ酸配列からなる(縮合反応触媒ドメインの)サブドメイン、例
えば、(ii)配列番号15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも1
個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列から
なる(縮合反応触媒ドメインの)サブドメイン、および(iii)配列番号15、17、
もしくは19のアミノ酸配列と高い(例:約60%以上の)同一性を有するアミノ酸配列
からなる(縮合反応触媒ドメインの)サブドメインも含むものとする。
したがって、本発明はまた、(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ
酸配列、(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少な
くとも1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸
配列、または(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60
%以上の同一性を有するアミノ酸配列、のいずれかを含む縮合反応触媒ドメインもしくは
そのサブドメイン、および該ドメインを含むポリアミノ酸合成酵素を提供する。なお、縮
合反応が起きているか否かは、例えば、LC−MS/MSなどで重合物(酵素反応生成物
)を検出することによって確認することができる。
本発明はまた、(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、(i
i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも1個の
アミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同一
性を有するアミノ酸配列、のいずれかからなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブド
メイン、または該ドメインを含むポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列を
含むポリヌクレオチドを提供する。
本発明はまた、(i)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
(ii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレ
オチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る
、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、また
は(iii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と65%以上
の同一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレ
オチド配列、のいずれかを含むポリヌクレオチドを提供する。
「配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも1個の
アミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなる
縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインまたは該ドメインを含むポリアミノ酸合
成酵素」の例としては、配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列におい
て、例えば、1〜50個、1〜40個、1〜39個、1〜38個、1〜37個、1〜36
個、1〜35個、1〜34個、1〜33個、1〜32個、1〜31個、1〜30個、1〜
29個、1〜28個、1〜27個、1〜26個、1〜25個、1〜24個、1〜23個、
1〜22個、1〜21個、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16
個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜
9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1
〜2個、1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインまたは該ドメインを含むポリア
ミノ酸合成酵素が挙げられる。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加
の数は、一般的には小さい程好ましい。
「配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と高い同一性を有するアミ
ノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインまたは該ドメインを含
むポリアミノ酸合成酵素」の例としては、配列番号13、15、17、もしくは19のア
ミノ酸配列と約60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、81%
以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、8
8%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上
、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、9
9.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、9
9.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の同一性を有するアミノ酸配列か
らなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインまたは該ドメインを含むポリアミ
ノ酸合成酵素が挙げられる。上記同一性の数値は一般的に大きい程好ましい。なお、本明
細書中、用語「同一性(identity)」と「相同性(homology)」とは区
別して用いるものとする。例えば、アミノ酸配列間のホモロジー(相同性)をいう場合、
同じ性質を持つアミノ酸(グルタミン酸とアスパラギン酸など)はひとつのグループとし
て扱うが、同一性を考える場合は区別される。すなわち、同一性は一致性をさす。
「配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列にストリンジェントなハ
イブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得るヌクレオチド配列」の例としては、
FASTA、BLASTなどの相同性(または同一性)検索ソフトウェアにより、デフォ
ルトのパラメーターを用いて計算したときに、該所望のヌクレオチド配列と約60%以上
、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%
以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、9
0%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上
、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%
以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%
以上、99.9%以上の同一性を有するヌクレオチド配列をあげることができる。
3.本発明の組換えベクター、形質転換体、およびそれらを用いるポリアミノ酸合成酵素
の製造方法
本発明はまた、本発明のポリアミノ酸合成酵素をコードするポリヌクレオチドを挿入物
として含有する組換えベクターに関する。具体的には、本発明は、(i)配列番号2のア
ミノ酸配列、(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基
の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または(iii)配
列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、のいずれかからな
るポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列を含有する、組換えベクターを提
供する。
さらに本発明は、(i)配列番号1のヌクレオチド配列、(ii)配列番号1のヌクレ
オチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条
件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、ま
たは(iii)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミ
ノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、のいずれかからなるポリヌクレオチドを含
有する、組換えベクターを提供する。
さらに本発明は、本発明の縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードす
るポリヌクレオチドまたは該縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを含むポリ
アミノ酸合成酵素をコードするポリヌクレオチドを挿入物として含有する組換えベクター
に関する。具体的には、本発明は、(i)配列番号13、15、17、もしくは19のア
ミノ酸配列、(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において
少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミ
ノ酸配列、または(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と
60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、のいずれかからなる縮合反応触媒ドメインも
しくはそのサブドメインをコードするポリヌクレオチドまたは該縮合反応触媒ドメインも
しくはそのサブドメインを含むポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列を含
有する、組換えベクターを提供する。
さらに本発明は、(i)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列、
(ii)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオ
チド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、
縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、または
(iii)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と65%以上の同
一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチ
ド配列、のいずれかからなるポリヌクレオチドを含有する、組換えベクターを提供する。
本発明の好ましい態様において、組換えベクターは、その挿入物を発現させ得る組換え
発現ベクターである。そのような組換えベクターは、当該技術分野における公知の任意の
方法で作製することができる。
本発明において、本発明のポリアミノ酸合成酵素を発現させるために用いるベクターに
は、無細胞発現系(インビトロ トランスクリプション−トランスレーション)に、およ
び宿主細胞、例えば大腸菌、酵母または動物培養細胞を用いるタンパク質発現系に適する
ベクターとすることができ、そのようなベクターは市販されているかまたは公知のベクタ
ーから容易に作製することができる。例えば、インビトロトランスレーションおよび動物
培養細胞における発現に用いるベクターは、ヒトサイトメガロウイルスのimmeadiate-ear
ly エンハンサー/プロモター領域を組込み、その下流域にT7のプロモター配列/マル
チクローニング部位を有するpTargetTベクターやSV40エンハンサーとSV4
0のearlyプロモターを有するpSIベクター(プロメガ社)、pBK−CMV、C
MV−Script、pCMV−TagおよびpBK−RSV(ストラタジーン社)など
である。また、大腸菌、酵母などの微生物宿主における発現に適するベクターは、例えば
大腸菌系のT7のプロモターを有するpETシリーズベクター発現システム(例えばpE
T3a,pET27b(+)やpET28a(+);ノバジェン社)、および酵母系にお
いてはアルコールオキシダーゼのプロモターを有するピチア発現系ベクターpICシリー
ズベクター(例えばpPIC9KやPIC3.5K;インビトロゲン社)などである。
また、精製のためのペプチド配列としては、当該技術分野にて用いられているペプチド
配列とすることができるが、例えば、ヒスチジン残基が4個以上、好ましくは6個以上連
続したヒスチジンタグ配列、モノクローナル抗体への結合能を持つエピトープタグ配列、
グルタチオンS−トランストランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインまたはプ
ロテインAをコードする配列などが包含される。これらペプチド配列をコードするDNA
を挿入物として含有するベクターは市販されている。例えば、大腸菌、酵母などの微生物
宿主に用いるベクターは、大腸菌系のT7のプロモターを有し、ヒスチジン残基を10個
をアミノ末端に融合発現ベクター(例えばpET16b;ノバジェン社)、ヒスチジン残
基を6個をアミノ末端に有する発現ベクター(例えばpHB6;ロッシュダイアグノスチ
ィック社、pTrc−Hisシリーズベクター;インビトロゲン社、pHATベクターシ
リーズ;クローンテック社)などである。動物培養細胞における発現に用いるベクターは
、ヒスチジン残基6個をアミノ末端に融合発現するベクター(例えば、pHM6やpVM
6;ロッシュダイアグノスチィック社)の使用が可能である。昆虫培養細胞系ではバキュ
ロウイルス系のヒスチジン残基6個をアミノ末端に融合発現するベクター(例えば、pB
acPAK−Hisベクター;クローンテック社)。また、グルタチオンS−トランスフェ
ラーゼと融合発現するpGEXシリーズベクター(ファルマシア)、プロテインAを発現
するpRIT2またはpEZZ18ベクター(ファルマシア)が使用可能である。
本発明のポリアミノ酸合成酵素を製造するためのインビトロトランスレーションは、公
知の方法、例えばSpirin, A.S., et.al., Science 242: 1162-1164(1988年)および Patna
ik, R. & Swartz, J.M. Biotechniques 24: 862-868(1998年)に記載の方法で実施するこ
とができ、市販のインビトロトランスレーションキット(例えば、TNT−インビトロト
ランスクリプション−トランスレーションキット、プロメガ社製)を用いてもよい。
本発明または、上述の組換えベクターで形質転換した形質転換体(例えば、宿主細胞(
例:微生物(大腸菌、酵母など))および動物培養細胞(昆虫培養細胞、哺乳類培養細胞
(例:CHO細胞、COS7細胞)))に関する。
本発明はまた、上記本発明の組換えベクターまたは上記本発明の形質転換体を用いるポ
リアミノ酸合成酵素の製造方法に関する。本発明のポリアミノ酸合成酵素の製造方法は、
例えば、本発明の組換え発現ベクターを用いてインビトロトランスクリプション−トラン
スレーションを実施することからなる。あるいは、上記組換え発現ベクターで形質転換し
た宿主細胞を培養し、所望のタンパク質を単離することからなる。
本発明のポリアミノ酸合成酵素の製造方法において、発現させたタンパク質は、宿主細
胞の培養後、その培地からまたは菌体の可溶性または不溶性画分から単離することができ
る。
本発明のポリアミノ酸合成酵素の製造方法において、発現させたタンパク質は公知の方
法により単離・精製されるが、その精製法としては公知の任意の方法から適宜選択するこ
とができる。例えば、本発明のポリアミノ酸合成酵素が上述した精製のためのペプチド配
列を包含する場合、これを用いて精製するのが好ましい。具体的には、ヒスチジンタグ配
列にはニッケルキレートアフィニティークロマト法、S−トランストランスフェラーゼの
グルタチオンへの結合ドメインにはグルタチオン結合ゲルによるアフィニティークロマト
法、プロテインAまたは他のタンパク質の配列の場合には抗体アフィニティークロマト法
を用いることができる。
4.本発明のポリアミノ酸製造方法
本発明はまた、本発明のポリアミノ酸の製造方法に関する。具体的には、本発明は、
(i)配列番号2のアミノ酸配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、
置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
、ポリアミノ酸の製造方法を提供する。
本発明はまた、
(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくと
も1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列
、または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の
同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
、ポリアミノ酸の製造方法を提供する。
好ましくは、上記ポリアミノ酸は、ポリリジンであり、より好ましくは、ε−ポリ−L
−リジンである。
本発明のポリアミノ酸の製造方法は、上記ポリアミノ酸合成酵素を利用して、その存在
下に、アミノ酸を反応させることにより実施される。ここで、反応させるアミノ酸として
は、代表的には、L−リジンを例示できるが、これのみに限定されず、例えば、L-リジ
ンエチルエステル、L-リジンメチルエステル(生成物は共にε−ポリ−L−リジン)等
も本発明のアミノ酸合成酵素によるポリアミノ酸合成に使用し得る。また、D−リジン、
DL−5−ヒドロキシ−リジン、Nε−メチル−L−リジン、L−リジン−ヒドロキサム
酸、S−(2−アミノエチル)−L−システイン、O−(2−アミノエチル)−L−セリ
ン、DL-トランス-2,6-ジアミノ-4-ヘキサン酸等も本発明のポリアミノ酸の製造方法にお
いて使用できる可能性がある。
本発明のポリアミノ酸合成方法における上記酵素によるアミノ酸の重合反応は、反応の
至適pH、7〜9付近であるのが好ましい。
本発明のポリアミノ酸合成酵素の添加配合量は、特に限定はない。一般に本発明のポリ
アミノ酸合成酵素の添加配合量は、原料アミノ酸1gから数時間(例:2〜5時間)の反
応で重合物を得るためには、通常約1万単位以上、好ましくは約2万〜4万単位の範囲、
より好ましくは、約3万単位から選択されるのが望ましい。また上記反応の温度は、酵素
が作用できる限り特に限定はされず、例えば15℃程度の低温でも反応は進行するが、酵
素が効率よく、かつ安定に作用することを前提として、通常約20〜40℃程度の温度で
行われるのが望ましい。反応時間は用いるアミノ酸の濃度、酵素添加量等に応じて適宜決
定できるが、通常0.5〜5時間程度、長くとも24時間以内とするのが適当である。
このようにして得られたポリアミノ酸は、典型的には、重合度3〜100mer、平均
分子量403〜21835である。好ましくは、重合度は4〜50mer、より好ましくは、4〜
20merであり、平均分子量は、好ましくは、531〜6427、より好ましくは、531〜2581
である。
本発明によって得られるポリアミノ酸は、抗菌剤等として使用することができ、トイレ
タリー用品、化粧品、飼料添加物、医薬、農薬、食品添加物、電子材料等の様々な用途に
使用することができる。
5.本発明のプライマーおよびプローブならびにこれらを用いたスクリーニング方法
本発明のポリヌクレオチド(DNA)の部分断片は、例えば、これをプローブ、または
PCRプライマーとして用いることにより、本発明のポリアミノ酸合成酵素またはそれを
コードするポリヌクレオチドの相同体をスクリーニングするために使用することができる
したがって、本発明は、
(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレ
オチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、
置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素
をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列か
らなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iv)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェン
トなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコ
ードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
(vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ
酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
らなるプライマーも提供する。
また、本発明は、
(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触
媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配
列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくと
も1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列
からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列
もしくはその相補配列、
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の
同一性を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相
補配列、
(v)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレ
オチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る
、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしく
はその相補配列、または
(vi)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と65%以上の
同一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオ
チド配列もしくはその相補配列、
のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
らなるプライマーも提供する。
本発明はまた、
(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレ
オチド配列もしくはその相補配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、
置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素
をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列か
らなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列
(iv)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
(v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェン
トなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコ
ードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
(vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ
酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
クレオチドプローブを提供する。
本発明はまた、
(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触
媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配
列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくと
も1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列
からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列
もしくはその相補配列、
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の
同一性を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列
(iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相
補配列、
(v)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレ
オチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る
、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしく
はその相補配列、または
(vi)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と65%以上の
同一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオ
チド配列もしくはその相補配列、
のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
クレオチドプローブを提供する。
本発明はまた、上記のプライマーを使用する、ポリアミノ酸合成酵素をコードするポリ
ヌクレオチドのスクリーニング方法を提供する。好ましくは、該スクリーニング方法は、
さらに上記のプローブを使用する。
本発明のプライマーまたはプローブは、具体的には、例えば検体中の本発明のポリアミ
ノ酸合成酵素の相同体の存在を、上記プライマーおよび/またはプローブを用いたノーザ
ンハイブリダイゼーションや半定量的なリバースPCR(Sourvinos,G.et
al.,Oncogene,18,4968,(1999))により解析したり、ある
いは検体中の本発明のポリアミノ酸合成酵素をコードする遺伝子の変異の有無や、変異の
位置をPCR−SSCP法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,86,
2766,(1989))等で検知することに用いることができる。
プライマーまたはプローブの大きさは、上記解析または検知が可能な長さであれば特に
制限されないが、通常、プライマーとしては約10〜100、より好ましくは、約15〜
80、より好ましくは、約20〜60、最も好ましくは、約20〜40ヌクレオチド長の
長さのものが用いられ、プローブとしては、例えば、約10〜1000、約15〜150
0、好ましくは、約20〜1000、より好ましくは、約30〜800、より好ましくは
、約50〜700、さらに好ましくは約100〜500、最も好ましくは、約200〜5
00ヌクレオチド長のものが用いられ得る。
本発明のプライマーが用いられる増幅法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR; Saiki et
al.,1988)、リガーゼ連鎖反応(LCR; Landgren et al.,1988; Wu & Wallace,198
9; Barany,1991)、核酸配列をベースとする増幅(NASBA; Guatelli et al.,1990
; Compton,1991)、転写をベースとする増幅システム(TAS; Kwoh et al.,1989)、
鎖置換増幅(SDA; Duck,1990; Walker et al.,1992)またはQβレプリカーゼによ
る増幅(Lizardi et al.,1988; Lomeli et al.,1989)、プライマー伸長を用いて核酸
分子を増幅させるための他の適切な方法等であり得る。増幅の間、増幅産生物は、好都合
には、標識プライマーを用いるかまたは標識ヌクレオチドを取り込むことによって標識す
ることができる。標識は、同位体(32P、35Sなど)であってもまたは非同位体(ビ
オチン、ジゴキシゲニンなど)であってもよい。増幅反応は、20〜70回、好都合には
、25〜45回繰り返す。
6.本発明の抗体
本発明はまた、抗原として本発明のポリアミノ酸合成酵素またはその断片を抗原として
作製され、かつ該抗原と特異的に結合する抗体、例えばポリクローナル抗体またはモノク
ローナル抗体に関する。具体的には、本発明は、
(i)配列番号2のアミノ酸配列、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
(iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素に特異的に結合する、抗体を提供する。
本発明はまた、
(i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
(ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、
または
(iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
一性を有するアミノ酸配列、
のいずれかを含む縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインまたは該ドメインを含
むポリアミノ酸合成酵素に特異的に結合する、抗体を提供する。
本発明のポリアミノ酸合成酵素に特異的に結合する抗体は、本発明のポリアミノ酸合成
酵素を抗原として用い、当業者に公知の抗体(または抗血清)製造法に従って製造するこ
とができる。抗原として、抽出した天然のタンパク質、組換えタンパク質、これらのタン
パク質の部分的分解物、または本発明のポリアミノ酸合成酵素のアミノ酸配列に基づく合
成ペプチドを用いることができる。そのような抗原は、例えば、配列番号2に示されるア
ミノ酸配列の少なくとも5個の連続したアミノ酸配列、好ましくは10〜15アミノ酸残
基からなるポリペプチドである。本発明の抗体は、常法(例えば、Harlow, E. &Lane, D,
in Antibodies-Laboratory manual Cold Spring Harbor LaboratoryPress., pp53-138 (
1988年))に従って作製することができる。
本発明の抗体は、本発明のポリアミノ酸合成酵素、ならびに該タンパク質と配列相同性
のある他のポリアミノ酸合成酵素の検出および検索に使用することができる。本発明のス
クリーニング方法によれば、分類上に近種ポリアミノ酸合成酵素を容易に取得することが
可能である。
上述のスクリーニング方法は、例えば他のポリアミノ酸合成酵素を包含している他の生
物もしくはその組織の粗抽出物を試料として、本発明の抗体が結合するタンパク質を検出
・検索することからなる。そのような検出手段としては、例えばイムノブロット、イムノ
アフィ二ティクロマトグラフィーを挙げることができる。また、他のポリアミノ酸合成酵
素を包含している他の生物もしくはその組織のDNAライブラリーについて、本発明の抗
体を用いてエクスプレッション クローニング(Sambrook, J., Fritsch,E.F., & Maniati
s,T., Molecular Cloning − a Laboratory Mannual, second edition. Cold Spring Har
bor Laboratory Press. pp12.3-12.44 (1989年))を実施して、新規なポリアミノ酸合成
酵素をコードするDNAを直接得ることができる。
以下では、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されない。
実施例1 ε-ポリ-L-リジン生産菌ストレプトミセス・アルブラス(Streptomyces alb
ulus)IFO14147株からのε-ポリ-L-リジン生合成酵素の精製及び酵素科学的性質検討
(1)ε-ポリ-L-リジン生産株ストレプトミセス・アルブラスIFO14147株の培養
本菌の培養はM3G培地(グルコース5%、酵母エキス0.5%、硫酸アンモニウム1%、K2HPO4
0.08%、KH2PO4 0.136%、MgSO4・7H2O 0.05%、ZnSO4・7H2O 0.004%、FeSO4・7H2O 0.003%
(pH 6.8))で行なった。30℃で20時間好気的に培養して得た100mlの前培養液を2
Lの培地に加え、3L容ジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ社製)を使用して30℃、5
00rpm、通気量2.5L/minで好気的に培養した。菌体の増殖に伴って培養液のpHは徐々に低
下したため、ε-ポリ-L-リジン生産に適したpH4.2に達した時点から10%アンモニア水を
添加して培養液pHを4.2に維持した。32時間培養後、培養液から遠心分離により菌体を回
収した。収量は湿重量で約240gであった。
(2)ε-ポリ-L-リジン生産株ストレプトミセス・アルブラスIFO14147株からのε-ポリ-L
-リジン生合成酵素の精製
全ての精製工程は4℃、又は氷上で行なった。湿重量75gの菌体を150mlの100mMトリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、20%(w/v) グリセロール、0.2M NaCl、2mM ED
TA、5mM DTTからなる緩衝液A(pH8.0)に懸濁し、超音波処理により菌体を破砕した。
処理液を10,000g、20分間遠心分離して残渣を除き、粗酵素液を調製した。これを160,00
0gで1h超遠心分離(ベックマンコールター社製)し、沈殿を細胞膜画分として回収した
。得られた細胞膜画分は30mlの100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、20(w/
v)% グリセロール、1.0M NaCl、5mM DTTからなる緩衝液B(pH8.0)に懸濁、超音波
処理した後、同様に超遠心分離により回収し、塩洗浄細胞膜画分とした。塩洗浄細胞膜画
分を30mlの100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、30%(w/v) グリセロール
、1% (w/v) NP-40(IGEPAL CA-630、MP-Biomedicals社製)、5mM DTTからなる緩衝液C
(pH8.6)に懸濁、同様に超音波処理、超遠心分離し、得られた上清をε-ポリ-L-リジン
生合成酵素を含むNP-40可溶化細胞膜画分とした。
NP-40可溶化細胞膜画分を50mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、30%(w/v
) グリセロール、0.4% (w/v) NP-40、2mM DTTからなる緩衝液D(pH8.6)で平衡化し
たDEAE TOYOPEARL 650Mカラム(2.5x10cm、東ソー社製)に吸着させた。カラムを同緩
衝液で洗浄後、NaCl濃度勾配法(0〜0.3M)により酵素を溶出した。活性画分を回収し、0
.1M酢酸溶液によりpH8.2に調整後、緩衝液D(pH8.2)で平衡化したAF-Blue TOYOPEARL
650Mカラム(1.5x6.5cm、東ソー社製)に吸着させた。カラムを同緩衝液で洗浄後、NaC
l濃度勾配法(0〜2M)により酵素を溶出した。活性画分を集め、限外ろ過(YM-50、アミ
コン社製)により濃縮した後、0.2M NaClを含む緩衝液D(pH8.2)で平衡化したSephacr
yl S-300 HRカラム(1.5x45cm、アマシャムバイオサイエンス社製)に添加し、同緩衝
液により流速0.15ml/minで溶出した。以上の操作によって精製ε-ポリ-L-リジン生合成
酵素2.9mgを調製できた。この精製酵素標品はSDS-ポリアクリルアミド電気泳動におい
て均一であった。ε−ポリ−L−リジン生合成酵素の精製収率を下記の表1に示す。
また、ε−ポリ−L−リジン生合成酵素の精製過程における各画分のSDS−PAGE
分析の結果を図4に示す。
(3)ε-ポリ-L-リジン生合成酵素の酵素科学的性質検討
精製酵素標品を用いて酵素科学的性質検討を行なった。
ε-ポリ-L-リジン生合成活性の測定は、川合らの方法(Biochem Biophys Res Commun.
2003 Nov 21;311(3):635-40)を改良した方法で行なった。92.5 kBq/ml L-[U-14C]リジン
(アマシャムバイオサイエンス社製)を含む1mM L-リジン、5mM MgCl2、 5mM ATP、 1
mM DTT、20%(w/v) グリセロール、0.2% (w/v) NP-40、100 mM TAPS-NaOH緩衝液(pH8.5)及
び酵素を含む反応液(40μl)を30℃でインキュベートした。反応液の10μlを直径2.1
cmのガラス繊維ろ紙(ワットマン社製)にスポットし、直ちに氷冷した5%(w/v)トリク
ロロ酢酸 - 0.25%(w/v)タングステン酸ナトリウム溶液に浸した。20分間静置した後、5
分間穏やかに振とうした。フィルターを再度同溶液中で5分間振とう後、エタノールでリ
ンスし、乾燥させた。フィルターに結合した放射能量を液体シンチレーションカウンター
(アロカ社製)で測定した。この反応条件で1秒間に1pmolのL-リジンをε-ポリ-L-リジン
に取り込む酵素量を1ユニットと定めた。比活性はタンパク質1mgあたりのユニットとし
た。なお、タンパク質の定量は、ブラッドフォード法により行なった。検量線は、牛血清
アルブミン(和光純薬社製)を用いて作成した。
L-リジン及びその他のアミノ酸のアデニル化活性は、ATP-PPi交換反応により測定した
。1mM L-リジン又はその他のアミノ酸、5mM MgCl2、5mM ATP、1mM DTT、20%(w/v) グリ
セロール、0.2% (w/v) NP-40、0.2mM 2リン酸ナトリウム、51.8 kBq/ml [32P]2リン酸ナ
トリウム、100 mM TAPS-NaOH緩衝液(pH8.5)及び酵素を含む反応液(40μl)を30℃でイ
ンキュベートした。1.2% (w/v) 活性炭、0.1M 2リン酸ナトリウム及び 0.35M過塩素酸を
含む溶液1.0mlを加えて反応を停止した。活性炭を純水で洗浄した後、活性炭に結合し
た放射能量を液体シンチレーションカウンター(アロカ社製)で測定した。
酵素合成されたε-ポリ-L-リジンの重合度分析及び定量は、次の条件でHPLCにより行な
った。検量線はチッソ製ε-ポリ-L-リジンを用いて作成した。
カラム: ODS-80Ts (4.6 x 250 mm、東ソー社製)
溶媒A: 10mM リン酸二水素ナトリウム、10mM オクタンスルホン酸ナトリウム、100
mM 過塩素酸ナトリウム
溶媒B: 溶媒A + 60%アセトニトリル
グラジエント: 42%溶媒B(0min)→65%溶媒B(45min)
流速: 0.8ml/min
検出: 210nm
ε-ポリ-L-リジン生合成反応において生成するATP分解物の分析は、次の条件でHPLCに
より行なった。
カラム: ODS-80Ts (4.6 x 250 mm、東ソー社製)
溶媒A: 20mM リン酸二水素ナトリウム、5mM テトラブチルアンモニウムブロミド
溶媒B: 溶媒A + 60%メタノール
グラジエント: 35%溶媒B(0min)→100%溶媒B(30min)
流速: 0.7ml/min
検出: 260nm
酵素合成されたε-ポリ-L-リジンのLC-ESI-MS/MS分析は、次の条件で行なった。
HPLC装置: Agilent 1200 (Agilent社製)
カラム:Develosil Praqueous-AR-5(2.0 x 150 mm、野村化学社製)
溶媒A: 0.1% ヘプタフルオロ酪酸
溶媒B: 0.1% ヘプタフルオロ酪酸 +アセトニトリル
グラジエント: 10%溶媒B(0〜5min)→45%溶媒B(45min)
流速: 0.4ml/min
検出: 210nm
質量分析装置: esquire 4000(Bruker社製)
イオン化モード:ポジティブモード
酵素合成ε-ポリ-L-リジンの結合様式の確認は、次の方法で行なった。15mlの酵素反
応液(25℃、16h)から次の条件でHPLCによりε-ポリ-L-リジンを精製し(約0.8mg)
、凍結乾燥した。
カラム: ODS-80Ts (4.6 x 250 mm、東ソー社製)
溶媒A: 0.1% トリフルオロ酢酸
溶媒B: 0.1% トリフルオロ酢酸 + アセトニトリル
グラジエント: 0%溶媒B(0-10min)→30%溶媒B(30min)
流速: 0.7ml/min
検出: 210nm
これを島ら(Agric. Biol. Chem. 1981 45:2503-2508)の方法に従い、ジニトロフェニル
化(DNP化)した。DNP化ε-ポリ-L-リジンは6N HCl中で100℃、20h加水分解し、次の条
件の薄層クロマトグラフィーにより分析した。
薄層板:シリカゲル60TLCプレート(メルク社製)
展開溶媒:ブタノール、酢酸、ピリジン、水(4:1:1:2)
発色:ニンヒドリン
まず、精製酵素標品22μgを用いて酵素反応(0.5ml)を行い、生成物をESI-LC-MS/M
Sにて解析した。発酵で得られるε-ポリ-L-リジンは30mer中心の重合度分布であるのに対
し、酵素合成されたε-ポリ-L-リジンは14又は15mer中心の重合度分布を示したが、LCに
おける保持時間、MSスペクトル、MS/MSフラグメンテーションパターンの何れもε-ポリ-L
-リジン標準品の部分加水分解物と一致した(図5および図6)。また、薄層クロマトグ
ラフィーによる分析において、DNP化した酵素合成ε-ポリ-L-リジンを塩酸加水分解する
ことにより、ε-ポリ-L-リジン標準品と同じくNα-2,4-DNP-L-リジンが生じたことから、
酵素反応産物がL-リジンのε−アミノ基とα-カルボキシル基が結合したイソペプチド、
すなわちε-ポリ-L-リジンであることが示され(図7)、本酵素がε-ポリ-L-リジン生合
成酵素であることが確認された。なお、ε-ポリ-L-リジンは、下記の構造を有する。
次に、HPLCにて酵素反応生成物を解析したところ、反応時間依存的なε-ポリ-L-リジン
の増加が確認されが、生成するε-ポリ-L-リジンの重合度は反応時間に依存せず、常に一
定の分布を示した。また、ATPは反応に伴ってAMPへ変換され、L-リジンのアデニル化活性
も認められた。これらのことから、γ-ポリグルタミン酸(Appl Environ Microbiol. 200
4 Jul;70(7):4249-55)やシアノフィシンの生合成酵素(Appl Environ Microbiol. 2001
May;67(5):2176-82)がリガーゼ様式で基質アミノ酸を重合するのに対して、本酵素がチ
オテンプレート型リボソーム非依存的ペプチド合成酵素(NRPS)様式でL-リジンを重合す
ることが強く示唆された。
更に本酵素の酵素科学的性質を詳細に検討したところ、本酵素は次の性質を有している
ことが明らかとなった。
1)合成反応の至適pH:pH8.5
2)合成反応至適温度:25〜30℃
3)温度安定性: 30℃における活性半減期は180分、35℃では80分、40℃では19分であっ
た。(0.2M NaClを含む緩衝液D(pH8.2))
4)金属イオン要求性:活性発現には2価カチオンの添加が必須である。5mM Mg2+および
5mM Mn2+の添加で最大活性を示す。Ca2+の添加でもわずかに活性化。
5)基質特異性: L-リジン以外に、D-リジン、DL-5−ヒドロキシリジンなど図8に示すL
-リジンのアナログ体をアデニル化。
6)ヌクレオチド特異性:ATP特異的。GTP、UTP、CTPでは基質アミノ酸は活性化されない

7)サブユニット分子量:還元条件下でのSDS-ポリアクリルアミド電気泳動により、約13
0kDaと算出される(図4)。
8)分子量:ゲルろ過クロマトグラフィー(Sephacryl S-300 HR、アマシャム-バイオ
サイエンス社製)により約270kDaと算出される。
上記7)、8)の結果から本酵素はホモダイマーであると推定された。
実施例2 ε-ポリ-L-リジン生合成酵素遺伝子のクローニング
(1)ε-ポリ-L-リジン生合成酵素のアミノ酸配列解析
アミノ酸配列はLC-MS/MSにより解析した。ε-ポリ-L-リジン生合成酵素をSDS-ポリアク
リルアミド電気泳動により分画し、CBB-R250で染色後、ε-ポリ-L-リジン生合成酵素のバ
ンドを切り出した。試料ゲル片にトリプシンを含むトリス緩衝液(pH8.0)を加え、35℃
、20時間ゲル内消化した。ゲル片から抽出したトリプシン消化ペプチド溶液をLC-MS/MS分
析に供した。LC-MS/MS分析は次の条件で行なった。
HPLC装置:MAGIC 2002 nano LC system (Michrom Bioresources社製)
カラム:Magic C18 column (0.1×50mm,Michrom Bioresources社製)
溶媒A: 0.1%ギ酸 + 2%アセトニトリル
溶媒B: 0.1%ギ酸 + 90%アセトニトリル
グラジエント:10%溶媒B(0〜1min)→50%溶媒B(21min)
流速:250〜300nl/min
質量分析装置:Q-Tof 2(Waters Micromass社製)
イオン化モード:ポジティブモード
得られたMS/MSデータをMassLynxソフトウェア(Waters Micromass社製)でデノボシー
クエンス解析した結果、3ペプチドのアミノ酸配列MAGAAWPAPAWQRSR(配列番号3)、(I/L
)E(I/L)GE(I/L)DAA(I/L)AA(I/L)PGVR(配列番号4)およびA(I/L)AGT(I/L)KPGAYPR(配列
番号5)を得た。
(2)ε-ポリ-L-リジン生合成酵素遺伝子の取得
ストレプトミセス・アルブラスIFO14147株をスクロース103g/L、トリプトン10g/L、
イーストエキス5g/L、NaCl 5g/Lからなる培地100mlに植菌し、30℃で24時間振盪培養し
た。この培養液から遠心分離により菌体を回収し、常法に従い染色体DNAを調製した。ま
た、決定したε-ポリ-L-リジン生合成酵素の内部アミノ酸配列(peptide 1;N-A(I/L)AG
T(I/L)KPGAYPR-C(配列番号6), peptide 2;N-MAGAAWPAPAWQRSR-C(配列番号7))を
基に次の4種類のプライマーを設計した。
pr-pp1F; 5'-AC(C/G)(A/C)T(C/G)AAGCC(C/G)GG(C/G)GC(C/G)TACCC-3'(配列番号8)
pr-pp2R; 5'-CTGCCA(G/C)GC(G/C)GG(G/C)GC(G/C)GGCCA(G/C)GC-3'(配列番号9)
pr-pp2F; 5'-GC(C/G)TGGCC(C/G)GC(C/G)CC(C/G)GC(C/G)TGGCA-3'(配列番号10)
pr-pp1R; 5'-GGGTA(G/C)GC(G/C)CC(G/C)GGCTT(G/C)A(T/G)(G/C)GT -3'(配列番号11)
これらプライマーと染色体DNAを鋳型としたPCRを行ったところ、pr-pp1F/pr-pp2Rの組
み合わせで約500bpの特異的な増幅断片を得た。この増幅断片をプラスミドpGEMT-easyに
クローニングし、このクローニングした断片をECL標識キット(GEヘルスケアバイオサイ
エンス社製)を用いて標識した。標識した遺伝子断片をプローブとして用い、本菌株の染
色体DNAから作製したコスミドライブラリー(Supercos I, STRATAGENE社)に対してスク
リーニングを行い、さらに、本プローブがハイブリダイズするKpnI 6.0kb断片を得た。こ
の断片をプラスミドpTSR193(参考文献、Actinomycetologica (2006)Vol.20, p.35-41)
にサブクローニングし、塩基配列を決定した。
実施例3 ε-ポリ-L-リジンの酵素的生産
2mM L-リジン、5mM MgCl2、 5mM ATP、 1mM DTT、20% グリセロール、 0.2% (w/v) NP-
40、100 mM TAPS-NaOH 緩衝液(pH8.5)及び約10μgの精製酵素標品を含む反応液(200μ
l)を1.5ml容マイクロチューブに入れ、25℃で120分間インキュベートした。反応開始
20,40,80,120分後、実施例1に記載の方法で生成したε-ポリ-L-リジンを定量した結果を
表2に示した。
実施例4 リジンアナログ体とL-リジンから構成されるヘテロポリアミノ酸の酵素的生

2mM 基質アミノ酸(L-リジンとアナログ体を任意比で混合)、5mM MgCl2、 5mM ATP、
1mM DTT、20% グリセロール、 0.2% (w/v) NP-40、100 mM TAPS-NaOH 緩衝液(pH8.5)及び
約10μgの精製酵素標品を含む反応液(200μl)を1.5ml容マイクロチューブに入れ、
25℃でインキュベートした。4時間後、実施例1に記載の方法で生成したポリアミノ酸を
ESI-LC-MS分析した。
図9はその結果を示す。DL−5−ヒドロキシリジン(図9D)、S−(2−アミノエチ
ル)−L−システイン(図9C)、O−(2−アミノエチル)−L−セリン(図9B)等、本
酵素によりアデニル化されるアナログ体を基質として添加した場合に、一定頻度でポリリ
ジン分子中にアナログ体が取り込まれたヘテロポリアミノ酸が得られた。
実施例5 リジンアナログ体とL-リジンから構成されるヘテロポリアミノ酸の微生物生

実施例4に記載の要領で、ε-ポリ-L-リジン分子中にアナログ体が取り込まれたヘテロ
ポリアミノ酸を酵素的に合成可能であるが、S−(2−アミノエチル)−L−システイン
を含むヘテロポリアミノ酸においては、ε-ポリ-L-リジン生産菌であるストレプトマイセ
ス・アルブラス(Streptomyces albulus)菌体そのものを用いても、より簡便に生産する
ことができる。
M3G培地(実施例1)で30℃/36時間培養して得たストレプトマイセス・アルブラス(Str
eptomyces albulus)菌体を100mM クエン酸緩衝液(pH4.2)で2回洗菌した。100mlの培養
液から得た洗浄菌体を50mlの5% グルコース、1% 硫酸アンモニウム、8mM S−(2−
アミノエチル)−L−システイン、16mM L-スレオニン(これら両アミノ酸の濃度は、M
9最少培地における本菌に対する最少生育阻止濃度、すなわちL-リジン生合成の鍵酵素で
あるアスパルトキナーゼ阻害最少濃度に相当)及び任意量のL−リジンを含む100mM クエ
ン酸緩衝液(pH4.2)から成る菌体反応液に懸濁し、30℃/48時間振とう培養した。培養終了
後、遠心分離により回収した培養上清中に含まれるポリアミノ酸を実施例1(段落[00
90])記載の方法でLC-MS分析した。図10に示すように、酵素反応のみならず、
生菌を用いた場合にも、一定頻度でポリリジン分子中にS−(2−アミノエチル)−L−
システインが取り込まれたヘテロポリアミノ酸が得られた。
S−(2−アミノエチル)−L−システイン以外のアナログ体においても、ε-ポリ-L-
リジン生合成酵素によりアデニル化されるものに関しては、本菌に対する最少生育阻止濃
度相当量を含む菌体反応液を用いることでヘテロポリアミノ酸を微生物生産できる可能性
が高い。
実施例6 ε−ポリ−L−リジン生合成酵素遺伝子の破壊
ε-ポリ-L-リジン生合成遺伝子の破壊用プラスミドを構築するために、次の2種類のプ
ライマーを設計し、生産菌であるストレプトミセス・アルブラス(Streptomyces albulus
)IFO14147株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。
e-PL_NRPS_F; 5'-GGGGGATCCTCGTCGCCCCTTCTCGAATCG-3'(配列番号20)
e-PL_NRPS_R; 5'-ACCAAGCTTTCACGCGGCCGCACCTCCCTC-3'(配列番号21)
増幅したPCR産物(約4kbp)を制限酵素BamHIおよびHindIIIで消化し、ネオマイシン耐
性遺伝子を有するプラスミドpLAE003にクローニングした。構築したプラスミドのε-ポリ
-L-リジン生合成遺伝子内に、アプラマイシン耐性遺伝子[aac(3)IV]を含むトランスポゾ
ンを挿入し(参考文献、Actinomycetologica, 20, 35-41, 2006)、破壊用のプラスミド
(pLAEnrps-apr)を構築した。pLAEnrps-aprを大腸菌E. coli S17-1に導入し、さらにス
トレプトミセス・アルブラスとの接合によって、pLAEnrps-aprをストレプトミセス・アル
ブラスに導入した(参考文献、Journal of Bioscience and Bioengineering, 99, 636-64
1, 2005)。得られた導入株のプロトプラストを調製し(参考文献、Journal of Bioscien
ce and Bioengineering, 99, 636-641, 2005)、プロトプラスト再生培地(参考文献、Jo
urnal of Bioscience and Bioengineering, 99, 636-641, 2005)に塗布した。再生して
きた菌株から、ネオマイシン感受性を示し、かつ、アプラマイシン耐性を示す遺伝子破壊
候補株を取得した(図11A)。得られた候補株から染色体DNAを調製し、制限酵素KpnI
で消化後、アガロース電気泳動を行った。電気泳動後のアガロースゲルをナイロンメンブ
レンに転写し、ε-ポリ-L-リジン生合成遺伝子をプローブとして用いたゲノミックサザン
ハイブリダイゼーション(CDP-star, GE Healthcare)にてε-ポリ-L-リジン生合成遺伝
子が破壊されている株を選抜した。その結果、一株(PL-nrps::aac(3)IV)を得た(図1
1B)。得られた破壊株を生産培地にて培養し、ε-ポリ-L-リジンの生産性をHPLC(実施
例1)にて確認したところ、ε-ポリ-L-リジン生産性が欠失しており(図11C)、取得
した遺伝子がε-ポリ-L-リジン生合成遺伝子であることを確認した。
実施例7 ストレプトミセス・ノルセイ(Streptomyces noursei)NBRC15452株由来ε-ポ
リ-L-リジン生合成遺伝子の取得
ε-ポリ-L-リジン生産菌であるストレプトマイセス・アルブラス(Streptomyces albul
us)のみならず、近縁のストレプトミセス・ノルセイ(Streptomyces noursei)において
もε-ポリ-L-リジンを生産することが既に知られている(特開平1−187090参照)
。そこでストレプトミセス・ノルセイ(Streptomyces noursei)からもε-ポリ-L-リジン
生合成遺伝子の取得を試みた。
PCRにより増幅したストレプトマイセス・アルブラス(Streptomyces albulus)のε-ポ
リ-L-リジン生合成遺伝子ORF断片(実施例6参照)をGEヘルスケアバイオサイエンス社製
のECL標識キットを用いて標識した。標識した遺伝子断片をプローブとして用い、実施例
1(段落[0099]-[0101])に従い構築したストレプトミセス・ノルセイ(Streptomyce
s noursei)NBRC15452株の染色体DNAコスミドライブラリー(Supercos I, STRATAGENE社
)に対してスクリーニングを行い、本プローブがハイブリダイズするKpnI 6.5kb断片を得
た。この断片をプラスミドpGEM7Z(promega)にサブクローニングし、塩基配列(配列番
号22)を決定した。さらにそれに対応するアミノ酸配列(配列番号23)を決定した。
本遺伝子に関しては、既に取得済みのストレプトマイセス・アルブラス(Streptomyces
albulus)由来のε-ポリ-L-リジン生合成酵素との相同性は、塩基配列レベルで92.7%、
アミノ酸配列レベルで93.0%と非常に高く、またドメイン構成など構造上の特徴も極めて
良く一致することから、本遺伝子についてもε-ポリ-L-リジン生合成酵素をコードしてい
る可能性が高い。
ポリアミノ酸の酵素的合成法は、微生物発酵法や化学合成法よりも省エネルギーであり
、望ましくない副反応も抑えられるため高純度のポリアミノ酸を製造することができる。
本発明によって製造される各種アミノ酸のポリマーは、抗菌剤等として使用することがで
き、トイレタリー用品、化粧品、飼料添加物、医薬、農薬、食品添加物、電子材料等の様
々な用途に使用することができる。さらに、本発明のポリヌクレオチド含有組換えベクタ
ーおよび形質転換体を使用することで、様々な有用ポリアミノ酸生合成への応用が期待で
きる。
(A)従来のNRPSの多モジュール構造;(B)本発明の一実施形態におけるポリアミノ酸合成酵素の単一モジュール構造をそれぞれ模式的に表した図である。 本発明のポリアミノ酸合成酵素のC末端側に位置する縮合反応触媒ドメインおよびそのサブドメインのアミノ酸配列を示す。図中「tmr」は膜貫通領域を意味する。 本発明のポリアミノ酸合成酵素のC末端側に位置する縮合反応触媒ドメインのサブドメインのDNA配列を示す。 本発明のポリアミノ酸合成酵素のC末端側に位置する縮合反応触媒ドメインのDNA配列を示す。図中「tmr」は膜貫通領域を意味する。 本発明のε−ポリ−L−リジン生合成酵素の精製過程における各画分のSDS−PAGE分析の結果を示す写真である。レーン1および11:分子量マーカー(リコンビナントタンパク質、バイオラッド社)、レーン2:粗酵素液、レーン3: 可溶性画分、 レーン4:細胞膜画分、 レーン5: 塩可溶化画分、レーン6:塩洗浄細胞膜画分、レーン7:NP-40 可溶化画分、 レーン8: DEAE TOYOPEARLカラムからの溶出画分、レーン9:AF-Blue TOYOPEARLカラムからの溶出画分、レーン10: Sephacryl S-300カラムからの溶出画分。 (A)酵素反応液中のε−ポリ−L−リジンをHPLCで分析した結果を示すグラフである。(B)ε−ポリ−L−リジン標準品を用いて検量線を作成し、図5(A)の結果から算出した反応液中のε−ポリ−L−リジン濃度を示すグラフである。 (A)液体クロマトグラフィー(LC)による分離パターンを示すグラフである。(B)ε−ポリ−L−リジン標準品塩酸加水分解物14merの質量分析結果を示すグラフである。(C)酵素合成ε−ポリ−L−リジン14merの質量分析結果を示すグラフである。 DNP化ε−ポリ−L−リジン塩酸加水分解物の薄層クロマトグラフィー分析の結果を示すグラフである。レーン 1:L-リジン、レーン2:α-ポリ-L-リジン(和光純薬製)のDNP化物を塩酸加水分解して生じたもの、レーン3:ε-ポリ-L-リジン標準品(チッソ製)のDNP化物を塩酸加水分解して生じたもの、レーン4: 酵素合成ε-ポリ-L-リジンのDNP化物を塩酸加水分解して生じたもの、レーン 5: Nα-2,4-DNP-L-リジン、レーン 6: Nε-2,4-DNP-L-リジン。 本発明のアミノ酸合成酵素のアミノ酸活性化(アデニル化)反応における基質特異性を示すグラフである。L−リジンに対する活性を100%として相対活性で示した。なお、L−Ala、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Phe、L−Pro、L−Trp、L−Met、Gly、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Gln、L−Asn、L−Tyr、L−Arg、L−His、L−Asp、L−Gluは何れもアデニル化されなかった。 L-リジンとアナログ体の混合物を基質とした酵素反応により生成したポリアミノ酸をESI-LC-MS分析した結果を示す。(A)はL−リジンのみを基質とした反応により得られたポリアミノ酸(ε−ポリ−L−リジン)、(B)は1.8mM O−(2−アミノエチル)−L−セリンと0.2mM L−リジンの混合物を基質とした反応により得られたポリアミノ酸、(C)は1.8mM S−(2−アミノエチル)−L−システインと0.2mM L−リジンの混合物を基質とした反応により得られたポリアミノ酸、(D)は1.6mM DL−5−ヒドロキシリジンと0.4mM L−リジンの混合物を基質とした反応により得られたポリアミノ酸のLCにおける分画パターン及び質量分析結果を示すグラフである。 菌体反応により生成したポリアミノ酸をESI-LC-MS分析した結果を示す。(A)は1.6mM L−リジンを含む菌体反応液から得られたポリアミノ酸のLCにおける分画パターン及び質量分析結果を、(B)は0.4mM L−リジンを含む菌体反応液から得られたポリアミノ酸のLCにおける分画パターン及び質量分析結果を示すグラフである。 ε−ポリ−L−リジン生合成酵素遺伝子の破壊方法及びその影響を示す図である。(A)は、破壊用プラスミドpLAEnrps-aprを用いた遺伝子破壊株の作製手順を模式的に示す。(B)ゲノミックサザンハイブリダイゼーションにより、ε-ポリ-L-リジン生合成遺伝子の破壊を確認した図である。(C)は、得られた破壊株を生産培地にて培養し、ε−ポリ−L−リジンの生産性をHPLCを用いて確認した結果を示す。

Claims (36)

  1. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列、
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
    換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
    コードするヌクレオチド配列、
    (iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
    なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
    (iv)配列番号1のヌクレオチド配列、
    (v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
    なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
    ドするヌクレオチド配列、または
    (vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
    合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
    のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
  2. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列、または
    (ii)配列番号1のヌクレオチド配列、
    のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
  3. 前記ポリアミノ酸合成酵素が、ポリリジン合成酵素である、請求項1または2に記載の
    ポリヌクレオチド。
  4. DNAまたはRNAである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
  5. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触媒
    ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、
    (ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
    1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
    らなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列
    、または
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
    一性を有するアミノ酸配列からなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
    コードするヌクレオチド配列、
    (iv)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
    (v)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレ
    オチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る
    、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、また

    (vi)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と65%以上の
    同一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオ
    チド配列、
    のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
  6. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触媒
    ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、または
    (ii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
    のいずれかを含む、ポリヌクレオチド。
  7. DNAまたはRNAである、請求項5または6に記載のポリヌクレオチド。
  8. (i)配列番号2のアミノ酸配列、
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
    換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
    (iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
    のいずれかを含む、ポリアミノ酸合成酵素。
  9. ポリリジン合成酵素である、請求項8に記載のポリアミノ酸合成酵素。
  10. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
    (ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
    1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、
    または
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
    一性を有するアミノ酸配列、
    のいずれかを含む縮合反応触媒ドメイン。
  11. 請求項10に記載の縮合反応触媒ドメインを含むポリアミノ酸合成酵素。
  12. ポリリジン合成酵素である、請求項11に記載のポリアミノ酸合成酵素。
  13. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列、
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
    換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
    コードするヌクレオチド配列、
    (iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
    なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
    (iv)配列番号1のヌクレオチド配列、
    (v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
    なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
    ドするヌクレオチド配列、または
    (vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
    合成酵素をコードするヌクレオチド配列、
    のいずれかを含有する、組換えベクター。
  14. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列、または
    (ii)配列番号1のヌクレオチド配列、
    のいずれかを含有する、組換えベクター。
  15. 前記ポリアミノ酸合成酵素が、ポリリジン合成酵素である、請求項13または14に記
    載の組換えベクター。
  16. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触媒
    ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、
    (ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
    1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
    らなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列
    、または
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
    一性を有するアミノ酸配列からなる、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
    コードするヌクレオチド配列、
    (iv)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
    (v)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレ
    オチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る
    、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、また

    (vi)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列と65%以上の
    同一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオ
    チド配列、
    のいずれかを含有する、組換えベクター。
  17. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触媒
    ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列、または
    (ii)配列番号12、14、16、もしくは18のヌクレオチド配列、
    のいずれかを含有する、組換えベクター。
  18. 請求項13、15、または16に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  19. 請求項14または17に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  20. 請求項13、15、もしくは16のいずれかに記載の組換えベクターまたは請求項18
    に記載の形質転換体を用いる、ポリアミノ酸合成酵素の製造方法。
  21. 請求項14もしくは17に記載の組換えベクターまたは請求項19に記載の形質転換体
    を用いる、ポリアミノ酸合成酵素の製造方法。
  22. (i)配列番号2のアミノ酸配列、
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
    換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
    (iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
    のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
    、ポリアミノ酸の製造方法。
  23. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
    (ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
    1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、
    または
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
    一性を有するアミノ酸配列、
    のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素を用いてポリアミノ酸を合成する工程を包含する
    、ポリアミノ酸の製造方法。
  24. 前記ポリアミノ酸が、ポリリジンである、請求項22または23に記載の方法。
  25. 前記ポリリジンが、ε−ポリ−L−リジンである、請求項24に記載の方法。
  26. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列もしくはその相補配列、
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
    換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
    コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
    なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (iv)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
    なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
    ドするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
    (vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
    合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
    らなるプライマー。
  27. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触媒
    ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列

    (ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
    1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
    らなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列も
    しくはその相補配列、
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の
    同一性を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインを
    コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補
    配列、
    (v)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオ
    チド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、
    縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくは
    その相補配列、または
    (vi)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と65%以上の同
    一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチ
    ド配列もしくはその相補配列、
    のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドか
    らなるプライマー。
  28. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列もしくはその相補配列、
    (ii)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応
    触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補
    配列、または
    (iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補
    配列、
    のいずれかにおける少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチド
    からなるプライマー。
  29. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列もしくはその相補配列、
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
    換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素を
    コードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列から
    なるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列
    (iv)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (v)配列番号1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列にストリンジェント
    なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリアミノ酸合成酵素をコー
    ドするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、または
    (vi)配列番号1のヌクレオチド配列と65%以上の同一性を有する、ポリアミノ酸
    合成酵素をコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
    イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
    クレオチドプローブ。
  30. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応触媒
    ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列

    (ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
    1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列か
    らなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列も
    しくはその相補配列、
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
    一性を有するアミノ酸配列からなる縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコ
    ードするヌクレオチド配列もしくはその相補配列
    (iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補
    配列、
    (v)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオ
    チド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、
    縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくは
    その相補配列、または
    (vi)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列と65%以上の同
    一性を有する、縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチ
    ド配列もしくはその相補配列、
    のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
    イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
    クレオチドプローブ。
  31. (i)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリアミノ酸合成酵素をコードするヌクレオ
    チド配列もしくはその相補配列、
    (ii)配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその相補配列、
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列からなる縮合反応
    触媒ドメインもしくはそのサブドメインをコードするヌクレオチド配列もしくはその相補
    配列、または
    (iv)配列番号12、14、16、または18のヌクレオチド配列もしくはその相補配
    列、
    のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハ
    イブリダイズし得る少なくとも15ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる、ポリヌ
    クレオチドプローブ。
  32. (i)配列番号2のアミノ酸配列、
    (ii)配列番号2のアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、置
    換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、または
    (iii)配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
    のいずれかを含むポリアミノ酸合成酵素に特異的に結合する、抗体。
  33. (i)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列、
    (ii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列において少なくとも
    1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、および/もしくは付加を有するアミノ酸配列、
    または
    (iii)配列番号13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列と60%以上の同
    一性を有するアミノ酸配列、
    のいずれかを含む縮合反応触媒ドメインもしくはそのサブドメインまたは該ドメインを含
    むポリアミノ酸合成酵素に特異的に結合する、抗体。
  34. 請求項26〜28のいずれかに記載のプライマーを使用する、ポリアミノ酸合成酵素を
    コードするポリヌクレオチドのスクリーニング方法。
  35. さらに請求項29〜31のいずれかに記載のプローブを使用する、請求項34に記載の
    スクリーニング方法。
  36. 請求項32または33に記載の抗体を使用する、ポリアミノ酸合成酵素のスクリーニン
    グ方法。
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