JP2009177981A - ステッピングモータ駆動装置 - Google Patents

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英樹 城越
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早紀 山尾
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Abstract

【課題】ゼロクロス付近で発生する巻線電流の波形歪を低減するステッピングモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】巻線3に給電する電流の目標値を示す参照信号を生成する参照信号生成部14aと、給電状態において巻線3に給電し、非給電状態において巻線3への給電を停止するスイッチング部5と、巻線3に給電された電流を測定する給電電流測定部20と、電流目標値の絶対値が所定のしきい値よりも小さくなる時期であるゼロクロス近傍を指定するゼロクロス近傍判定部23と、ゼロクロス近傍判定部23の指定に応じて異なる周波数の基準パルスを出力する可変周波数基準パルス生成部18aと、基準パルスが出力された時点でスイッチング部5を給電状態にし、給電電流測定部20によって測定された電流が、電流目標値を越えた時点でスイッチング部5を非給電状態にするPWM制御部15aとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステッピングモータ駆動装置に関し、特に、ステッピングモータを低騒音かつ低振動で駆動する技術に関する。
従来、各種の位置制御等にステッピングモータが用いられている。ステッピングモータは、回転子と複数相の巻線を備える固定子とから構成される。回転子は、回転ステップ数の制御により、フィードバック制御無しに、目的の角度だけ回転して停止する。このようなステッピングモータの動作における特性は、位置制御用途に適する。
近年、ステッピングモータは、DSC(Digital Still Camera:デジタル静止画カメラ、いわゆるデジカメ)やDVC(Digital Video Camera:デジタルビデオカメラ)といった撮影用電子機器における光学系アクチュエータとして、絞り、焦点、ズームなどの調整に用いられる。
動画撮影用電子機器に用いられるステッピングモータの動作には、特に低騒音および低振動が求められる。ステッピングモータが発する騒音は機器の内蔵マイクにキャッチされ雑音として録音され、振動はぶれ等を生じさせ、録画画質を劣化させるからである。この要求に応えて、ステッピングモータの動作を低騒音化および低振動化する駆動技術が、例えば、特許文献1に開示されている。
図7は、特許文献1に記載されている従来のステッピングモータ駆動装置の構成図である。ここでは、原理説明に必要な構成要素のみを記載する。また、ステッピングモータは複数相の巻線を備えるが、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、1相の巻線とその巻線に対応して設けられる構成要素のみを記載する。
図7に示されるように、従来のステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フリーホイールダイオード10〜13)、電流目標値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14、PWM(パルス幅変調)制御部15、給電電流測定部20から構成される。PWM制御部15は、コンパレータ16、フリップフロップ17、基準パルス生成部18、および通電論理部19から構成される。
なお、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、ステッピングモータ2を構成する他の巻線および他の巻線に対応して設けられる構成要素の図示と説明を省略し、巻線3に設けられる構成要素について説明する。
基準パルス生成部18は、フリップフロップ17を一定周期毎にセットする。これにより、通電論理部19は、スイッチング部5を構成するトランジスタ6と9のいずれかと、トランジスタ7と8のいずれかとを、貫通の発生しない組合せとタイミングで、一定周期毎に導通させる。
給電電流測定部20は、トランジスタ6〜9の導通によって電源1から巻線3へ供給される電流を検出し、検出電流値を表す検出結果信号をコンパレータ16へ出力する。なお、以降の動作説明においては、給電電流測定部20が検出した巻線3を流れる電流を単に「検出電流値」と呼ぶ。
参照信号生成部14は、ステップ状に増加し、そして減少する階段波を生成し、巻線3を流れる電流(巻線電流)の電流目標値を表す参照信号として、コンパレータ16へ出力する。なお、以降の動作説明においては、この参照信号によって表される電流目標値を単に「電流目標値」と呼ぶ。
コンパレータ16は、入力された検出電流値と電流目標値を比較し、検出電流値が電流目標値を上回った時点で、フリップフロップ17をリセットする。フリップフロップ17がリセットされると、通電論理部19は、スイッチング部5を構成するトランジスタ7と8の両方を遮断する。
トランジスタ7と8の両方が遮断している期間、トランジスタ6と9の両方とも遮断している場合には、巻線3を流れる電流は、フリーホイールダイオード11と12のいずれかと、フリーホイールダイオード10と13のいずれかとで回生する。
トランジスタ7と8の両方が遮断している期間、トランジスタ6と9の両方を導通させる場合には、巻線3を流れる電流は、トランジスタ6と9にて回生する。
トランジスタ7と8の両方が遮断している期間、トランジスタ6と9のいずれか片方のみを導通させる場合には、導通させなかったトランジスタに接続するフリーホイールダイオードが順方向バイアスであれば、フリーホイールダイオード11と12のいずれかと、トランジスタ6と9のいずれかとで、巻線電流は回生する。導通させなかったトランジスタに接続するフリーホイールダイオードが逆方向バイアスであれば、フリーホイールダイオード10と13のいずれかと、トランジスタ6と9のいずれかとで巻線電流は回生する。
フリップフロップ17のリセット後、基準パルス生成部18は、フリップフロップ17を一定周期毎にセットする、これにより、以上の動作が繰り返される。
以上の動作により、巻線3へ供給される平均電流が電流目標値に漸近するように制御される。なお、電流目標値がステップ状に増減することで、巻線3へ供給される平均電流がステップ状に増減し、巻線3以外の他相の巻線についても、同様に動作することで、ステップの進行する速度に応じた回転速度で、ステッピングモータ2が回転動作する。
特開2004−215385号公報
しかしながら、上記のような従来のステッピングモータ駆動装置によれば、巻線電流の目標値の絶対値が所定のしきい値よりも小さくなる時期であるゼロクロス近傍で巻線3を流れる電流の波形が歪むという課題が存在する。以下、図7〜図12を参照しながら、課題について説明する。
図8は、従来のステッピングモータ駆動装置における主要信号の時間変化と巻線電流の時間変化を表す波形図である。
参照信号生成部14は、電流目標値(d)を表す参照信号を出力している。見易さのため、同一の電流目標値(f)を重複して示す。
基準パルス生成部18は、PWM制御の周期T(以降、PWM制御の周期を「PWM周期」と呼ぶ。)毎にフリップフロップ17をセットする基準パルス(a)を出力し、これによりフリップフロップ17がセットされる(c)。
フリップフロップ17がセットされている期間、電源1から巻線3へ電力が供給され、巻線3を流れる電流(e)が増加する。なお、フリップフロップ17がセットされ、巻線3への電力供給によって、巻線3を流れる電流が増加する期間を「PWMオン期間」と呼ぶ。
巻線3を流れる電流が増加し、検出電流値(g)が電流目標値(f)に達すると、コンパレータ16の出力(b)により、フリップフロップ17がリセットされる。
フリップフロップ17がリセットされている期間には、電源1から巻線3への電流供給は遮断され、回生動作により、巻線3を流れる電流が減少する。なお、フリップフロップ17がリセットされ、回生動作によって巻線3を流れる電流が減少する期間を「PWMオフ期間」と呼ぶ。
PWMオフ期間中、巻線3を流れる電流は減少するが、再度、基準パルス(a)がフリップフロップ17をセットすることにより、再びPWMオン期間へ遷移し、巻線3を流れる電流は再び増加する。
ここで、検出電流値(g)の波形の特徴を、図9(A)および図9(B)を用いて説明する。
PWMオン期間中、例えば図9(A)の経路40aを電流が流れ、PWMオフ期間中、図9(B)の経路40bを巻線3からの回生電流が流れるとする。この時、給電電流測定部20の検出電流値は、PWMオン期間中増加し、PWMオフ期間中0となる。
PWMオン期間中、トランジスタ7はオンし電流を流す。この時、図9(A)の経路40aを電流が流れる。ここで、給電電流測定部20による電流検出によりPWMオフ期間に遷移すると、トランジスタ7はオフとなり電流を流さなくなる。しかし、巻線3の電流は、誘導性負荷の特性により同じ方向に流れ続けようとする。このため、この電流は回生電流として流れ、図9(B)の経路40bを通り減衰していく。
この時、回生電流はフリーホイールダイオード11を通るため、電源1よりもトランジスタ7のドレイン電圧は、フリーホイールダイオード11の順方向電圧の分だけ高くなる。この電源1とフリーホイールダイオード11の順方向電圧の分の電荷は、図10に示すトランジスタ7のドレインに存在する複数の寄生容量50に充電されている。
次にPWMオン期間に遷移すると、トランジスタ7がオンし電流を流すようになる。このため、寄生容量50に充電された電荷は、トランジスタ7のドレイン、ソース、給電電流測定部20の経路を通り、放電される。この電流を「放電電流」と呼ぶ。この放電電流は給電電流測定部20を流れるが、巻線3を流れているわけではない。
このため、図8のように、PWMオン期間に遷移した瞬間、放電電流が流れることによって検出電流値(g)が電流目標値(f)を上回る。コンパレータ16は巻線電流が電流目標値に達したと判断し、ただちにPWMオフ期間へ遷移してしまう。これは誤検出であり、結果として巻線電流(e)が電流目標値(d)に達していないにも関わらず、PWMオフ期間へ遷移してしまう。
一般に、フリップフロップ17を、強制的に一定時間セットしておく「強制ON区間」を設けることによって、この放電電流の影響を回避することができる。具体的にはこの強制ON区間の間、検出電流値(g)が電流目標値(f)を超えたことをコンパレータが検出したとしても、フリップフロップ17が強制的にセットされているためPWMオフ期間へ遷移することはなく、PWMオンの状態が継続され、巻線電流(e)は正常に増加していき、強制ON区間の終了後に電流目標値(d)に到達した時点でPWMオフ期間へ遷移する。
しかし、この強制ON区間のために新たな課題が発生する。
図11に、電流目標値の絶対値が所定のしきい値よりも小さくなる時期であるゼロクロス付近における従来の巻線電流の電流波形図を示す。ここで、ゼロクロス付近においては、電流目標値が小さいため、強制ON区間中に巻線電流(e)が電流目標値(d)を超えてしまう場合がある。
この場合、本来なら巻線電流(e)が電流目標値(d)に達した瞬間にPWMオフ期間に遷移しなくてはならない。しかし、強制ON区間においては、コンパレータ16の出力(b)により検出電流値(g)が電流目標値(f)に達したことが示されたとしても、強制ON区間が終了するまでPWMオフ期間に遷移せず、給電電流測定部20と巻線3に電流が流れ続けることになる(図11の斜線部分)。
よって電流目標値のゼロクロス付近ではPWM周期毎に、この強制ON区間のために電流目標値を超える過剰な巻線電流が流れ、図12に示すような電流波形の歪みの原因となる。
ただし、電流目標値のゼロクロス付近以外では、電流目標値が強制ON区間に巻線電流が到達できる電流値よりも十分大きいため、強制ON区間のために過剰な巻線電流が流れる現象は発生しない。
ステッピングモータを低振動で駆動するためには、駆動する電流波形は正弦波が理想的である。よって、ゼロクロス付近における電流の波形の歪み(正弦波からのずれ)は、ステッピングモータにおける振動の原因となる。
このように、従来のステッピングモータ駆動装置では、ゼロクロス近傍で巻線3を流れる電流の波形の歪みのために、特に動画撮影用電子機器への適用において、振動の低減効果が十分とはならず、ステッピングモータ動作の更なる低振動化および低騒音化への要求が依然として存在する。
上記課題について、本発明は、駆動対象であるステッピングモータ動作を低振動化するステッピングモータ駆動装置及びその制御方法の提供を目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る第1のステッピングモータ駆動装置は、ステッピングモータが備える巻線に給電する電流の目標値を示す参照信号を生成する参照信号生成手段と、給電状態において前記巻線に電流を給電し、非給電状態において前記巻線への電流の給電を停止するスイッチング手段と、前記巻線に給電された電流を測定する給電電流測定手段と、前記電流目標値の絶対値が所定のしきい値よりも小さくなる時期であるゼロクロス近傍を指定するタイミング生成手段と、前記タイミング生成手段の指定に応じて異なる周波数の基準パルスを出力する基準パルス生成手段と、前記基準パルスが出力された時点で前記スイッチング手段を給電状態にするとともに、前記給電電流測定手段によって測定された電流が、前記参照信号が示す電流目標値を越えた時点で前記スイッチング手段を非給電状態にする制御手段とを備えることを特徴とする。
ここで、前記制御手段は、例えば、前記給電電流測定手段によって測定された電流の大きさを示す信号と前記参照信号とを比較することによって、前記電流が前記電流目標値を超えたことを検出するコンパレータと、前記基準パルスによってセットされ、前記コンパレータからの出力信号によってリセットされるフリップフロップと、前記フリップフロップからの出力信号が第1状態のときに前記スイッチング手段を給電状態にし、前記フリップフロップからの出力信号が第2状態のときに前記スイッチング手段を非給電状態にする通電論理部とから構成することができる。
また、本発明に係る第2のステッピングモータ駆動装置は、本発明に係る第1のステッピングモータ駆動装置の前記基準パルス生成手段において、前記タイミング生成手段によってゼロクロス近傍が指定された場合、その他の場合と比べて周波数が整数分の1の基準パルスを出力してもよい。
本発明に係るステッピングモータ駆動装置によれば、電流目標値を表す参照信号がゼロクロス近傍にある場合には、その他の場合と比べて、より周波数が低い基準パルスを出力することでPWM制御の周期を拡大することができる。これにより、前述した強制ON区間の頻度が減少するので、強制ON区間のために、特に電流目標値のゼロクロス近傍で巻線電流が電流目標値を超過する量が低減される。
これによりゼロクロス近傍において流れる電流量の平均を低減でき、ゼロクロス近傍での波形歪を防止できる。これにより、結果としてステッピングモータ駆動装置を低振動化することができる。
以下、本発明に係るステッピングモータ駆動装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を参照しながら、本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、大まかには従来のステッピングモータ駆動装置と同様、ステッピングモータ2の巻線3へ供給される平均電流が、正弦波参照信号生成部21にて生成される参照信号で示される電流目標値に漸近するべく、巻線3への給電をPWM制御(より詳しくは、電流チョッパ方式でPWM制御)する装置である。
図1において、従来技術のステッピングモータ駆動装置(図7)の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して示す。また、従来技術の説明と重複する事項については説明を省略する。
なお、本実施の形態及び以降の実施の形態において、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、ステッピングモータ2を構成する他の巻線および他の巻線に対応して設けられる構成要素の図示と説明を省略し、巻線3に設けられる構成要素について説明する。
図1に示されるように、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、従来のステッピングモータ駆動装置(図7)と比べて、ゼロクロス近傍判定部23が追加されるとともに、基準パルス生成部18が可変周波数基準パルス生成部18aに変更される。また、参照信号生成部14は、一例として、ステップ制御部22と正弦波参照信号生成部21とから構成される。
この構成において、正弦波参照信号生成部21とステップ制御部22が本発明の参照信号生成手段に相当し、ゼロクロス近傍判定部23がタイミング生成手段に相当し、可変周波数基準パルス生成部18aが基準パルス生成手段に相当する。
ゼロクロス近傍判定部23は、ステップ制御部22にて生成されたステップ番号から電流目標値の絶対値が所定のしきい値よりも小さくなる時期であるゼロクロス近傍を判定し、その結果を示すゼロクロス信号を可変周波数基準パルス生成部18aに出力するユニットであり、参照信号のゼロクロス近傍においてPWM制御の基準パルスの周波数(以降「PWM周波数」と呼ぶ。)を変化させるため、ゼロクロス近傍を指定する役割を果たす。
まず、PWM制御に用いられる電流目標値について説明する。
図2は、正弦波参照信号生成部21が生成する電流目標値を表す参照信号の一例を示す波形図である。
ステップ制御部22は、参照信号の1周期に対して、例えば64ステップのステップ番号(0〜63)を生成する。
正弦波参照信号生成部21は、ステップ制御部22により生成されるステップ番号に従って、ステップ状に増加し、そして減少する階段波を生成し、電流目標値として、コンパレータ16へ出力する。
電流目標値がステップ状に増加もしくは減少することによって、ステッピングモータは単位角度ずつ回転する。電流目標値のステップが進行する周期によって、ステッピングモータが単位角度を回転する周期が決まり、ひいては、ステッピングモータの回転周期が決まる。
正弦波参照信号生成部21は、一例として、正弦波をサンプリングした階段波を生成する。ステップ制御部22で生成されるステップ番号に従い、各ステップにて、正弦波をサンプリングした階段波の各値を順に出力することにより、正弦波をサンプリングした階段波が出力される。階段状のレベル変化による急峻な電流変化を回避するため、ローパスフィルタ等の積分手段により平滑化した階段波を、電流目標値としてコンパレータ16へ出力してもよい。
なお、参照信号は必ずしも正弦波をサンプリングした階段波である必要はなく、実装面積の観点から、近似正弦波をサンプリングした階段波、あるいは正弦波から逸脱した階段波を用いることも可能であり、階段状のレベル変化による急峻な電流変化が許容可能な場合には、平滑化していない階段波を参照信号として出力することも可能である。
ゼロクロス近傍判定部23は、ステップ制御部22にて、例えば0、1、31〜33、63のステップ番号が生成されたときに、参照信号がゼロクロス近傍にあると判定したことを示すゼロクロス信号を可変周波数基準パルス生成部18aへ出力する。
可変周波数基準パルス生成部18aは、ゼロクロス信号によって、参照信号がゼロクロス近傍にあると判定されたことが示された場合に、その他の場合と比べて低い周波数の(例えば1.5倍の周期の)基準パルスを生成する。
可変周波数基準パルス生成部18aは、例えばVCO(電圧制御発振器)で構成され、与えられるゼロクロス信号の電圧に応じて、生成する基準パルスの周期を可変制御してもよい。また、可変周波数基準パルス生成部18aに、異なる周期の基準パルスを生成する2つの発振器を設け、2つの発振器から得られる基準パルスのうち、与えられるゼロクロス信号に応じた一方を選択的に出力してもよい。
次に、給電電流の測定の詳細について説明する。
図3は、給電電流測定部20の構成を示す回路図である。給電電流測定部20は、検出抵抗41、アンプ42、ゲイン設定抵抗43及び44から構成される。
検出抵抗41には、巻線3を流れる電流とともに、従来技術の項で説明した放電電流を含む電流40が、接地へと流れる。検出抵抗41の両端に発生する電圧が、アンプ42の非反転入力端子へ入力される。アンプ42の入力から出力への電圧ゲインは、ゲイン設定抵抗43と44によって設定される。非反転入力端子へと入力された電圧をゲイン倍した電圧が、巻線3を流れる電流の検出電流値として、アンプ42からコンパレータ16へ出力される。
なお、本実施形態では、給電電流測定部20を、接地とスイッチング部5の間に配置することで、給電電流測定部20を経由して接地へ流れる電流を検出しているが、給電電流測定部20を、電源1とスイッチング部5の間に配置することで、電源1から給電電流測定部20を経由して流れる電流を検出することも可能であり、その場合であっても、本実施例と同様の効果を得ることができる。
以下、可変周波数基準パルス生成部18aによるPWM制御動作について、主として従来のPWM制御動作との違いを、図4と図11とを対比して詳細に説明する。
図4は、第1の実施形態のステッピングモータ駆動装置における主要信号の時間変化とともに巻線電流の時間変化を表す波形図である。
図4は、ゼロクロス近傍判定部23により参照信号がゼロクロス近傍にあると判定された場合の例を示している。参照信号がゼロクロス近傍にない場合のPWM周期を、例えば従来のPWM周期と同じTとした場合に対して、この場合の基準パルスの周期(PWM周期)は1.5Tである。
図4に示されるPWM制御動作は、図11に示される従来のPWM制御動作と比べて、PWM周期が1.5倍に拡大されている点においてのみ異なっている。
従来技術の課題として指摘したように、従来のステッピングモータ駆動装置では、出力電流のゼロクロス付近においては、図11に示されるように、電流目標値(d)が小さいため、強制ON区間中に巻線電流(e)が電流目標値(d)を超えてしまう可能性がある。
この時、本来なら巻線電流(e)が電流目標値(d)に達した瞬間にPWMオフ期間に遷移しなくてはならない。しかし、強制ON区間においては、コンパレータ16により検出電流値(g)が電流目標値(f)に達したことが示されたとしても、強制ON区間が終了するまでPWMオフ期間に遷移せず、巻線3と給電電流測定部に電流が流れ続けることになる(図11の斜線部分)。
よって電流目標値のゼロクロス付近ではPWM周期毎に、強制ON区間のために電流目標値を超える過剰な巻線電流が流れ、図12に示すような電流波形の歪みの原因となる。
電流波形の歪みの大きさは、巻線電流の電流目標値に対する超過量である。巻線への給電が適切に遮断されない強制ON区間(図11の斜線部分)の頻度が高いほど、この超過量が大きくなり、結果として電流波形の歪みが増大する。
そこで、図4のようにPWM周波数を低くすることで、給電電流測定部20と巻線3に流れる電流の電流目標値に対する超過量を減らすことができる。これによって巻線3を流れる電流の波形の歪みを低減することができる。
本実施の形態において、予め設定された出力電流ゼロクロス区間においては低いPWM周波数で駆動することで、巻線3と給電電流測定部に流れる過剰な電流量を低減することが可能となり、強制ON区間の存在により生じる波形歪みが軽減される。
以上、説明の通り、本発明に係るステッピングモータ駆動装置によると、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、出力電流のゼロクロス近傍を判定することで、ゼロクロス近傍においてPWM周波数を低くし、巻線3と給電電流測定部に流れる過剰な電流量を低減でき、強制ON区間の存在により生じるゼロクロス近傍での波形歪を低減できる。このように、本実施形態では、ステッピングモータ駆動装置を低振動化することができる。
(第2の実施形態)
次に、図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置を説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
本発明の第2の実施形態におけるステッピングモータ駆動装置は、大まかには従来および第1の実施形態のステッピングモータ駆動装置と同様、ステッピングモータの巻線3へ供給される平均電流が、正弦波参照信号生成部21にて生成される参照信号で示される電流目標値に漸近するべく、巻線3への給電をPWM制御(より詳しくは、電流チョッパ方式でPWM制御)する装置である。
図5において、第1の実施形態のステッピングモータ駆動装置(図1)の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して示す。また、第1の実施形態の説明と重複する事項については説明を省略する。
図5に示されるように、第2の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、第1の実施形態のステッピングモータ駆動装置(図1)と比べて、可変周波数基準パルス生成部18aが固定周波数の基準パルスを生成する従来の基準パルス生成部18に戻されるとともに、分周部25が追加される。
この構成において、正弦波参照信号生成部21とステップ制御部22が本発明の参照信号生成手段に相当し、ゼロクロス近傍判定部23がタイミング生成手段に相当し、基準パルス生成部18と分周部25が基準パルス生成手段に相当する。
ゼロクロス近傍判定部23は、参照信号がゼロクロス近傍にあることを第1の実施形態と同様にして判定し、その結果を示すゼロクロス信号を分周部25に出力するユニットであり、参照信号のゼロクロス近傍においてPWM周波数を変化させるため、ゼロクロス近傍を指定する役割を果たす。
分周部25は、ゼロクロス近傍判定部23により参照信号がゼロクロス近傍にあると判定された場合、基準パルス生成部18にて生成された基準パルスを整数分の1(例えば1/2)に分周して出力し、その他の場合、基準パルスを分周せずにそのまま出力する。
図6は、第2の実施形態のステッピングモータ駆動装置における主要信号の時間変化とともに巻線電流の時間変化を表す波形図である。図6に示されるPWM制御動作では、図4に示されるPWM制御動作と比較してPWM周期が1.5Tから2Tへ拡大されている点においてのみ異なっている。
これにより、強制ON区間において電流目標値(d)を超過した巻線電流(e)が、次の強制ON区間までに電流目標値へ減少することができる。その結果、巻線電流の電流目標値からの超過量が最小限に抑えられるので、強制ON区間の存在により生じる巻線3の電流波形の歪みを最小限に抑制できる。
しかも、この構成では、PWM周期が整数倍である基準パルスを扱うため、PWM周期を整数倍に変更する前後、つまり参照信号のゼロクロス近傍とそれ以外とでPWMチョッピングによって発生する輻射ノイズの周波数成分が共通するため、装置上でその共通の周波数成分に対する単一の輻射ノイズ対策を行えばよい(周波数成分の変化に応じて複数の輻射ノイズ対策を切り替える必要がない)という利点がある。
なお、この利点は、第1の実施の形態の可変周波数基準パルス生成部18aにて、ゼロクロス近傍とそれ以外とで周波数が整数倍である基準パルスを生成することによっても得ることができる。
以上、説明の通り、本発明に係るステッピングモータ駆動装置によると、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、出力電流のゼロクロス近傍を判定することで、ゼロクロス近傍においてPWM周波数を整数分の1にし、巻線3に目標電流値より多く流れる電流量を低減でき、強制ON区間の存在により生じるゼロクロス近傍での波形歪を低減できる。このように、本実施形態では、ステッピングモータ駆動装置を低振動化することができる。
本発明は、ステッピングモータ駆動装置に利用でき、とりわけステッピングモータを低振動および低騒音で駆動する必要がある機器に幅広く適用できる。
第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の一例を示す構成図 正弦波参照信号の一例を示す図 給電電流測定部の一例を示す構成図 第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置によるPWM制御動作の一例を示す電流波形図 第2の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成図 第2の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置によるPWM制御動作の一例を示す電流波形図 従来のステッピングモータ駆動装置の構成図 従来のステッピングモータ駆動装置によるPWM制御動作の一例を示す電流波形図 (A)および(B)巻線電流の経路の一例を示す図 スイッチング部に存在する容量を説明する図 従来のステッピングモータ駆動装置によるPWM制御動作の一例を示す電流波形図 巻線電流に生じる波形歪を示す図
符号の説明
1 電源
2 ステッピングモータ
3 巻線
4 回転子
5 スイッチング部
6〜9 トランジスタ
10〜13 フリーホイールダイオード
14、14a 参照信号生成部
15、15a PWM制御部
16 コンパレータ
17 フリップフロップ
18 基準パルス生成部
18a 可変周波数基準パルス生成部
19 通電論理部
20 給電電流測定部
21 正弦波参照信号生成部
22 ステップ制御部
23 ゼロクロス近傍判定部
25 分周部
40 電流
40a、40b 電流経路
41 検出抵抗
42 アンプ
43 ゲイン設定抵抗
50 寄生容量

Claims (2)

  1. ステッピングモータを駆動する装置であって、
    ステッピングモータが備える巻線に給電する電流の目標値を示す参照信号を生成する参照信号生成手段と、
    給電状態において前記巻線に電流を給電し、非給電状態において前記巻線への電流の給電を停止するスイッチング手段と、
    前記巻線に給電された電流を測定する給電電流測定手段と、
    前記電流目標値の絶対値が所定のしきい値よりも小さくなる時期であるゼロクロス近傍を指定するタイミング生成手段と、
    前記タイミング生成手段の指定に応じて異なる周波数の基準パルスを出力する基準パルス生成手段と、
    前記基準パルスが出力された時点で前記スイッチング手段を給電状態にするとともに、前記給電電流測定手段によって測定された電流が、前記参照信号が示す電流目標値を越えた時点で前記スイッチング手段を非給電状態にする制御手段と
    を備えることを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
  2. 前記基準パルス生成手段は、前記タイミング生成手段によってゼロクロス近傍が指定された場合、その他の場合と比べて周波数が整数分の1の基準パルスを出力する
    ことを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018112263A (ja) * 2017-01-12 2018-07-19 株式会社島津製作所 真空バルブ

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