JP2009177013A - フレキシブル基材及びその製造方法 - Google Patents
フレキシブル基材及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009177013A JP2009177013A JP2008015155A JP2008015155A JP2009177013A JP 2009177013 A JP2009177013 A JP 2009177013A JP 2008015155 A JP2008015155 A JP 2008015155A JP 2008015155 A JP2008015155 A JP 2008015155A JP 2009177013 A JP2009177013 A JP 2009177013A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oxygen
- film
- copper
- copper film
- base material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
Abstract
【課題】マイグレーションの原因ともなり得るニッケルおよびクロムを主成分とする金属蒸着膜を用いることなく、また、2度のエッチング工程も必要となることなく、優れた剥離強度を有するフレキシブル基材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリイミドフィルム1の少なくとも片面に、酸素含有銅膜2と無酸素銅膜3とを順に成膜するとともに、この無酸素銅膜の上に銅メッキ層4を形成してなるフレキシブル基材とした。酸素含有銅膜2は、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有するとともに、残部を銅および不可避不純物からなる膜厚5nm以上のものとした。
【選択図】図1
【解決手段】ポリイミドフィルム1の少なくとも片面に、酸素含有銅膜2と無酸素銅膜3とを順に成膜するとともに、この無酸素銅膜の上に銅メッキ層4を形成してなるフレキシブル基材とした。酸素含有銅膜2は、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有するとともに、残部を銅および不可避不純物からなる膜厚5nm以上のものとした。
【選択図】図1
Description
本発明は、特に、携帯電話やディスプレイ等のプリント配線板として利用される銅配線が形成されたポリイミドフィルムを製造するためのフレキシブル基材及びその製造方法に関するものである。
このフレキシブル基材としては、図3に示すように、ポリイミドフィルム90の少なくとも片面に、ニッケルおよびクロムを主成分とする金属蒸着膜91と、この金属蒸着膜91の上に銅蒸着膜92とをそれぞれ成膜して、この銅蒸着膜92の上に銅メッキ層93を形成したものが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
このフレキシブル基材は、銅蒸着膜92のポリイミドフィルム90に対する密着力が低いことから、両者の間に金属蒸着膜91を成膜することによって、この金属蒸着膜91が密着力を発揮して、優れた剥離強度を具備している。
そして、このような金属蒸着膜91、銅蒸着膜92および銅メッキ層93による積層膜が形成されたフレキシブル基材は、エッチング等によってパターニングすることによって銅配線が形成されたプリント配線板として用いられる。このプリント配線板は、一般的に、銅配線にICチップ等の外付け部品が固着されて使用される。
そして、このような金属蒸着膜91、銅蒸着膜92および銅メッキ層93による積層膜が形成されたフレキシブル基材は、エッチング等によってパターニングすることによって銅配線が形成されたプリント配線板として用いられる。このプリント配線板は、一般的に、銅配線にICチップ等の外付け部品が固着されて使用される。
ところが、上述のエッチングの際に、金属蒸着膜91は、銅蒸着膜92および銅メッキ層93と成分が異なって、エッチング液によるエッチング速度も異なる。それ故に、銅積層膜は、銅メッキ層93および銅蒸着膜92と同一のエッチング液によって金属蒸着膜91も一度にパターンニングしてしまうと、銅メッキ層93や銅蒸着膜92が過度に除去され、或いは金属蒸着膜91が十分に除去されないため、所望の形状にパターニングすることができない。
このため、上記プリント配線板は、例えば、銅積層膜の上にフォトレジストを塗布して、露光、現像することによりレジストパターンを形成した後に、このレジストパターンをマスクパターンとして、フレキシブル基材をエッチング液に浸すことにより、銅メッキ層93および銅蒸着膜92をパターニングする。次いで、フレキシブル基材を異なるエッチング液に浸して、これら銅メッキ層93および銅蒸着膜92のパターンをマスクとして金属蒸着層91をパターニングすることにより得られるものである。
従って、このフレキシブル基材を用いたプリント配線板の製造は、フレキシブル基材をエッチング液に浸す工程が2度必要となって、プリント配線板の生産効率が悪い上に、2種類のエッチング槽の管理が必要となることから作業効率も低下してしまうという問題がある。
これに加えて、上記プリント配線板は、金属蒸着層91のみ異なるエッチング液に浸してパターンニングしても、エッチング液が銅メッキ層93および銅蒸着膜92の下層である金属蒸着膜91まで浸透し難いことから金属蒸着膜91の残渣が生じることがある。この金属蒸着膜91の残渣は、ニッケルおよびクロムを主成分とすることから、マイグレーションの原因ともなって、配線を短絡させてしまう恐れがある。
これに加えて、上記プリント配線板は、金属蒸着層91のみ異なるエッチング液に浸してパターンニングしても、エッチング液が銅メッキ層93および銅蒸着膜92の下層である金属蒸着膜91まで浸透し難いことから金属蒸着膜91の残渣が生じることがある。この金属蒸着膜91の残渣は、ニッケルおよびクロムを主成分とすることから、マイグレーションの原因ともなって、配線を短絡させてしまう恐れがある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、マイグレーションの原因ともなり得るニッケルおよびクロムを主成分とする金属蒸着膜を用いることなく、また、2度のエッチング工程も必要となることなく、優れた剥離強度を有するフレキシブル基材及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
請求項1に記載の発明に係るフレキシブル基材は、プラスチックフィルムの少なくとも片面に、酸素含有銅膜と無酸素銅膜とが順に成膜されるとともに、この無酸素銅膜の上に銅メッキ層が形成されてなり、かつ上記酸素含有銅膜は、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有するとともに、残部が銅および不可避不純物からなり、かつその膜厚が5nm以上であることを特徴としている。
ここで、上記プラスチックフィルムとしては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂又はポリエーテルエーテルケトン樹脂からなるフィルムが用いられる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブル基材において、上記無酸素銅膜が銅および不可避不純物からなることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のフレキシブル基材において、上記無酸素銅膜の膜厚が50nm以上であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のフレキシブル基材において、上記プラスチックフィルムがポリイミドフィルムであることを特徴としている。
請求項5に記載の発明に係るフレキシブル基材の製造方法は、プラスチックフィルムの少なくとも片面に、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有し、かつ残部が銅および不可避不純物からなる膜厚5nm以上の酸素含有銅膜を成膜する第1の工程と、この酸素含有銅膜の上に無酸素銅膜を成膜する第2の工程と、この無酸素銅膜の上に銅メッキ層を形成する第3の工程とを有することを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のフレキシブル基材の製造方法において、上記第1の工程は、上記Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を含有する銅をターゲットとして用いて、酸素含有アルゴン雰囲気下でスパッタすることにより上記酸素含有銅膜を成膜するとともに、上記第2の工程は、上記銅をターゲットとして用いて、アルゴン雰囲気下でスパッタすることにより上記無酸素銅膜を成膜することを特徴としている。
請求項1〜6に記載の発明によれば、プラスチックフィルムの少なくとも片面に、酸素含有銅膜、無酸素銅膜および銅メッキ層を形成したため、これら酸素含有銅膜等によって銅からなる銅積層膜が形成されることから、この銅積層膜の上にフォトレジスト等によってマスクパターンを形成して、フレキシブル基材をエッチング液に浸すことにより、銅積層膜を一度にパターニングすることができる。
このため、銅積層膜をパターニングしてプリント配線板を製造する際に、エッチング液に浸す工程が2度必要となることもなく、生産効率を上げることができるとともに、2種類のエッチング槽の管理が必要となることもなく、作業効率の低下も防止することができる。
このため、銅積層膜をパターニングしてプリント配線板を製造する際に、エッチング液に浸す工程が2度必要となることもなく、生産効率を上げることができるとともに、2種類のエッチング槽の管理が必要となることもなく、作業効率の低下も防止することができる。
加えて、プラスチックフィルムに、直接、酸素含有銅膜を成膜するため、銅積層膜をパターニングしてプリント配線板を製造した際にも、ニッケルおよびクロムを主成分とする金属蒸着膜のエッチング残渣によるマイグレーションを防止できる。
さらに、フレキシブル基材は、酸素含有銅膜が酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有することによって、プラスチックフィルムと密着して、優れた常態ピール強度および耐熱ピール強度を発揮することができる。
また、この酸素含有銅膜の上に無酸素銅膜を成膜することによって、銅メッキ層を形成するために硫酸銅メッキ液に浸しても、酸素含有銅膜が露出されている場合と異なって硫酸銅メッキ液に溶解してしまうこともないため、効率的に良好な銅メッキ層を形成することができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、この無酸素銅膜として、銅および不可避不純物からなる、所謂、純銅膜を用いることによって、請求項6に記載の発明によれば、銅をターゲットとして用いてアルゴン雰囲気下にてスパッタすることにより、純銅膜を蒸着させることによって、さらに硫酸銅メッキ液に対する耐食性を向上させることができるとともに、Mo等を含有していないことから、銅メッキ層との密着性も向上させることができる。
さらに、この無酸素銅膜は、請求項3に記載の発明のように、50nm以上の膜厚を有することによって、確実に酸素含有銅膜の硫酸銅メッキ液への溶解を防止することができる。
また、プラスチックフィルムとしては、請求項4に記載の発明のように、耐熱安定性や耐薬品性に優れ、配線材料として好適なポリイミドフィルムを用いることができる。
以下、本発明に係るフレキシブル基材について図1を用いて説明し、次いで、このフレキシブル基材の製造方法について説明する。
まず、本実施形態のフレキシブル基材は、厚さ20〜50μmの帯状のポリイミドフィルム(プラスチックフィルム)1の片面に、厚さ5〜200nmの酸素含有銅膜2が、この酸素含有銅膜2の上に厚さ50〜200nmの無酸素銅膜3とがスパッタリングによって蒸着されている。そして、この無酸素銅膜3の上に、硫酸銅メッキ液による電解銅メッキによって5〜10μm銅メッキ層4が形成されて構成されている。
この酸素含有銅膜2は、酸素を5〜20at%含有するとともに、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%含有し、かつ残部が銅および不可避不純物からなるものである。すなわち、この酸素含有銅膜2は、酸素を含有する銅合金膜である。
これは、銅とともに合金を構成するMo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeが0.2at%未満の場合に、酸素含有銅膜2のポリイミドフィルム1に対する密着力が低下して、所望の常態ピール強度や耐熱ピール強度が得られないためである。他方、8at%を超えた場合には、エッチング性が低下し、残渣を生じやすくなることから、マイグレーションの原因ともなって、配線を短絡させてしまう恐れがあるためである。
また、銅とともに合金を構成する金属としては、好ましくはMo又はMgが用いられる。
また、銅とともに合金を構成する金属としては、好ましくはMo又はMgが用いられる。
さらに、酸素が5at%未満の場合には、酸素含有銅膜2のポリイミドフィルム1に対する密着力が低下して、所望の常態ピール強度や耐熱ピール強度が得られない。他方、酸素が20at%を超えた場合には、比抵抗が大きくなって、メッキ不良の原因となってしまう。
なお、酸素含有銅膜2は、無酸素銅膜3の下に蒸着することによるポリイミドフィルム1に対する密着性向上の作用を得るために上述のように厚さ5nm以上に形成される。
この無酸素銅膜3は、厚さ50nm以上の純銅膜又は銅合金膜のいずれであってもよく、硫酸銅メッキ液に浸漬しても溶解しない程度に微量の酸素を含有している銅膜も含まれるものである。また、より好ましくは、銅メッキ層4との密着性向上および比抵抗低下を目的として純銅膜が用いられている。
なお、この無酸素銅膜3は、銅メッキ層4を形成する際に、酸素含有銅膜2の硫酸銅メッキ液に対する溶解を防止する作用を得るために、上述のように厚さ50nm以上に形成される。
なお、この無酸素銅膜3は、銅メッキ層4を形成する際に、酸素含有銅膜2の硫酸銅メッキ液に対する溶解を防止する作用を得るために、上述のように厚さ50nm以上に形成される。
次いで、上述のフレキシブル基材の製造方法について説明する。
本実施形態のフレキシブル基材の製造方法は、厚さ20〜50μmポリイミドフィルム1の片面に、厚さ5〜200nmの酸素含有銅膜2を成膜する第1の工程と、この酸素含有銅膜2の上に厚さ50〜200nm無酸素銅膜3を成膜する第2の工程と、この無酸素銅膜3の上に銅メッキ層4を形成する第3の工程とを有している。
本実施形態のフレキシブル基材の製造方法は、厚さ20〜50μmポリイミドフィルム1の片面に、厚さ5〜200nmの酸素含有銅膜2を成膜する第1の工程と、この酸素含有銅膜2の上に厚さ50〜200nm無酸素銅膜3を成膜する第2の工程と、この無酸素銅膜3の上に銅メッキ層4を形成する第3の工程とを有している。
この第1の工程と第2の工程は、DCマグネトロンスパッタ装置5によって、ポリイミドフィルム1の片面に酸素含有銅膜2を蒸着した後に、無酸素銅膜3を蒸着する。従って、まず、このDCマグネトロンスパッタ装置5について図2を用いて説明する。
DCマグネトロンスパッタ装置5は、横断面略円状に構成されるとともに、その中心部に外観視円柱状の回転ドラム50が軸方向を上下方向に向けて設置されている。そして、この回転ドラム50の外周面に沿って、ポリイミドフィルム1の搬送方向の上流側から下流側に向けてMo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を含有する複数(本実施形態において2基)の銅合金ターゲット61と複数(本実施形態において5基)の純銅ターゲット62とが順に設置されている。
これらの銅合金ターゲット61と純銅ターゲット62とがそれぞれ取り外し可能に設けられて、ターゲット61、62の設置数が調整可能であり、各ターゲット61、62の間には、隔壁部材55が設けられている。
これらの銅合金ターゲット61と純銅ターゲット62とがそれぞれ取り外し可能に設けられて、ターゲット61、62の設置数が調整可能であり、各ターゲット61、62の間には、隔壁部材55が設けられている。
各ターゲット61、62は、それぞれ隔壁部材55によって隣接するターゲット61、62との間が遮られており、ターゲット61、62が設置された隔壁部材55間の各成膜室は、それぞれ内部雰囲気を調節可能である。また、DCマグネトロンスパッタ装置5は、その内部を真空状態に近づける内圧調節手段と、その内部全体をアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気に調節する内部雰囲気調節手段と、各成膜室の酸素量を個別に調節する成膜室調節手段とを有している。
これにより、ターゲット61が設置された成膜室は、それぞれ酸素を含有するアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気に保たれるようになっており、ターゲット62が設置された成膜室は、それぞれ不活性ガス雰囲気に保たれるようになっている。
これにより、ターゲット61が設置された成膜室は、それぞれ酸素を含有するアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気に保たれるようになっており、ターゲット62が設置された成膜室は、それぞれ不活性ガス雰囲気に保たれるようになっている。
加えて、DCマグネトロンスパッタ装置5の内部には、ポリイミドフィルム1の搬送方向の上流側に、ポリイミドフィルム1を巻き出す巻出しロール51が備えられているとともに、同下流側に、酸素含有銅膜2および無酸素銅膜3が成膜されたポリイミドフィルム1を巻き取る巻き取りロール52が備えられている。
これによって、上記第1の工程は、巻きだしロール51から巻き出された帯状のポリイミドフィルム1を、帯幅方向を上下方向に向けて回転ドラム50の外周壁面周りに沿わせた状態で搬送しつつ、このポリイミドフィルム1に銅合金ターゲット61によって酸素含有の不活性ガス雰囲気下で酸素含有銅膜2を蒸着させる。
また、上記第2の工程は、この回転ドラム50の外周壁面周り沿わせた状態のポリイミドフィルム1上の酸素含有銅膜2に、純銅ターゲット62によって不活性ガス雰囲気下で無酸素銅膜3を蒸着させる。
また、上記第2の工程は、この回転ドラム50の外周壁面周り沿わせた状態のポリイミドフィルム1上の酸素含有銅膜2に、純銅ターゲット62によって不活性ガス雰囲気下で無酸素銅膜3を蒸着させる。
そして、第1の工程および第2の工程によって酸素含有銅膜2および無酸素銅膜3が蒸着されたポリイミドフィルム1を、巻き取りロール52に巻き取った後に、この巻き取りロール52をメッキ装置に設置する。
ここで、このメッキ装置は、このポリイミドフィルム1の酸素含有銅膜2および無酸素銅膜3に電気を流す電力供給手段と、ポリイミドフィルム1を帯幅方向を上下方向に向けた状態で搬入させて、硫酸銅メッキ液に浸漬させることにより、無酸素銅膜3に銅メッキを施す電解メッキ槽とを有している。
ここで、このメッキ装置は、このポリイミドフィルム1の酸素含有銅膜2および無酸素銅膜3に電気を流す電力供給手段と、ポリイミドフィルム1を帯幅方向を上下方向に向けた状態で搬入させて、硫酸銅メッキ液に浸漬させることにより、無酸素銅膜3に銅メッキを施す電解メッキ槽とを有している。
これにより、上記第3の工程は、この巻き取りロール52から巻き出したポリイミドフィルム1を、電解メッキ槽の硫酸銅メッキ液に浸漬させて、無酸素銅膜3に銅メッキを施す。
上述の実施形態におけるフレキシブル基材又はその製造方法によれば、ポリイミドフィルム1の片面に、酸素含有銅膜2、無酸素銅膜3および銅メッキ層4を形成したため、これらによって銅のみからなる銅積層膜が形成されることから、この銅メッキ層4の上にフォトレジスト等によってマスクパターンを形成して、フレキシブル基材をエッチング液に浸すことにより、銅積層膜を一度にパターニングすることができる。
このため、プリント配線板を製造する際に、エッチング液に浸す工程が2度必要となることもなく、生産効率を上げることができ、かつ2種類のエッチング槽の管理が必要となることもなく、作業効率の低下も防止することができる。
このため、プリント配線板を製造する際に、エッチング液に浸す工程が2度必要となることもなく、生産効率を上げることができ、かつ2種類のエッチング槽の管理が必要となることもなく、作業効率の低下も防止することができる。
加えて、ポリイミドフィルム1に、直接、酸素含有銅膜2を成膜するため、銅積層膜をパターニングしてプリント配線板を製造した際にも、ニッケルおよびクロムを主成分とする金属蒸着膜のエッチング残渣によるマイグレーションを防止できる。
さらに、酸素含有銅膜2は、酸素を5at%以上、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2at%以上それぞれ含有し、かつ膜厚が5nm以上であるため、ポリイミドフィルム1との密着力が良好であり、この酸素含有銅膜2を成膜したフレキシブル基材は、プリント配線板に要求される400N/m以上の常態ピール強度および耐熱ピール強度を得ることができる。
他方、酸素含有銅膜2は、酸素を20at%以下、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で8at%以下としたため、比抵抗の上昇が抑えられており、この酸素含有銅膜2を成膜したポリイミドフィルム1に対する電解銅メッキによる銅メッキ層4の形成の際には、電圧の上昇を抑えて、メッキ不良の発生を阻止することができる。さらには、パターニングの際のエッチング性の低下による配線の短絡を防止することができる。
また、この酸素含有銅膜2の上に膜厚50nm以上の無酸素銅膜3を成膜したため、銅メッキ層4を形成するために硫酸銅メッキ液に浸しても硫酸銅メッキ液に溶解することなく、効率的に良好な銅メッキ層を形成することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものでなく、例えば、ポリイミドフィルム1の両面に酸素含有銅膜2と無酸素銅膜3とが成膜されていてもよいものである。
[実験例1]
まず、22枚のポリイミドフィルム片を、順次DCマグネトロンスパッタ装置に配置して、次々に表1に示す実施例1〜16および比較例1〜6の酸素含有銅膜を成膜したポリイミドフィルムを得た。
その際、DCマグネトロンスパッタ装置におけるスパッタパワーを600Wに、内圧調節手段によって到達真空度を5×10-5Paにそれぞれ調節するとともに、内部雰囲気調節手段によって内部雰囲気をガス圧0.15Paの酸素含有アルゴンガス雰囲気に調節した。
まず、22枚のポリイミドフィルム片を、順次DCマグネトロンスパッタ装置に配置して、次々に表1に示す実施例1〜16および比較例1〜6の酸素含有銅膜を成膜したポリイミドフィルムを得た。
その際、DCマグネトロンスパッタ装置におけるスパッタパワーを600Wに、内圧調節手段によって到達真空度を5×10-5Paにそれぞれ調節するとともに、内部雰囲気調節手段によって内部雰囲気をガス圧0.15Paの酸素含有アルゴンガス雰囲気に調節した。
次いで、この実施例1〜16および比較例1〜6の酸素含有銅膜を成膜したポリイミドフィルムを、再度、DCマグネトロンスパッタ装置に配置した。そして、DCマグネトロンスパッタ装置を、内部雰囲気調節手段によってガス圧0.15Paのアルゴンガス雰囲気にした以外は酸素含有銅膜の際と同一の条件に調節して、酸素含有銅膜の上に膜厚100nmの純銅からなる無酸素銅膜を成膜して、実施例1〜16および比較例1〜6のフレキシブル基材を得た。
次いで、これらのフレキシブル基材のピール強度を、エッチングによって作製したライン巾100μmのテストパターンを試料として、JISC5016に従って測定し、表1に示した。なお、耐熱ピール強度は、150℃で168時間大気中で加熱した後のピール強度である。
表1から判るように、酸素を5〜20at%含有するとともに、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%含有する酸素含有銅膜が成膜された実施例1〜16のフレキシブル基材は、常態ピール強度および耐熱ピール強度がいずれも400N/mを超えて、優れた剥離強度を有している。
他方、Mo等の合金を構成する元素を含有していない比較例1のフレキシブル基材は、常態ピール強度が63.7N/mであって、耐熱ピール強度が46.4N/mであり、著しく剥離強度が低下していることが判る。
さらには、酸素を4at%含有する比較例2およびMnを0.1at%含有する比較例4のフレキシブル基材も、常態ピール強度および耐熱ピール強度がともにプリント配線板に要求される400N/mを下回っている上に、著しく耐熱ピール強度が低下している。
さらには、酸素を4at%含有する比較例2およびMnを0.1at%含有する比較例4のフレキシブル基材も、常態ピール強度および耐熱ピール強度がともにプリント配線板に要求される400N/mを下回っている上に、著しく耐熱ピール強度が低下している。
加えて、酸素含有銅膜の膜厚が4nmである比較例6のフレキシブル基材も、常態ピール強度および耐熱ピール強度がともに400N/mを下回っている。
なお、酸素を22at%含有する比較例3およびMnを9at%含有する比較例5のフレキシブル基材は、いずれも常態ピール強度および耐熱ピール強度ともに優れているが、比較例3のフレキシブル基材は、比抵抗が高くなってしまう。また、比較例5のフレキシブル基材は、エッチング性が低下してしまう。
従って、酸素含有銅膜は、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有するとともに、5nm以上の膜厚を有することが剥離強度、比抵抗およびエッチング性の観点から好ましい。
なお、酸素を22at%含有する比較例3およびMnを9at%含有する比較例5のフレキシブル基材は、いずれも常態ピール強度および耐熱ピール強度ともに優れているが、比較例3のフレキシブル基材は、比抵抗が高くなってしまう。また、比較例5のフレキシブル基材は、エッチング性が低下してしまう。
従って、酸素含有銅膜は、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有するとともに、5nm以上の膜厚を有することが剥離強度、比抵抗およびエッチング性の観点から好ましい。
[実験例2]
3枚のポリイミドフィルム片を、順次DCマグネトロンスパッタ装置に配置して、次々に表2に示す実施例17および比較例7〜8の酸素含有銅膜を成膜したポリイミドフィルムを得た。なお、DCマグネトロンスパッタ装置は、実験例1と同一の条件に設定した。
3枚のポリイミドフィルム片を、順次DCマグネトロンスパッタ装置に配置して、次々に表2に示す実施例17および比較例7〜8の酸素含有銅膜を成膜したポリイミドフィルムを得た。なお、DCマグネトロンスパッタ装置は、実験例1と同一の条件に設定した。
次いで、この実施例17および比較例8の酸素含有銅膜を成膜したポリイミドフィルムを、再度、DCマグネトロンスパッタ装置に配置した。そして、DCマグネトロンスパッタ装置を、内部雰囲気調節手段によってガス圧0.15Paのアルゴンガス雰囲気にした以外は酸素含有銅膜の際と同一の条件に調節して、酸素含有銅膜の上に表2に示す膜厚の純銅からなる無酸素銅膜を成膜して、フレキシブル基材を得た。
次いで、この実施例17および比較例7〜8のフレキシブル基材を、酸洗浄後、電解メッキ槽の硫酸銅メッキ液に浸漬させた。このメッキ処理の際の酸素含有銅膜や無酸素銅膜の溶解の有無について表2に示した。
表2に示すように、無酸素銅膜が成膜されていない比較例7のフレキシブル基材は、酸洗浄中に酸素含有銅膜が完全に溶解してしまったため、銅メッキが施されなかった。
比較例8の膜厚40nmの無酸素銅膜が成膜されたフレキシブル基材は、無酸素銅膜や酸素含有銅膜がメッキ液中で一部溶解してしまったため、銅メッキを施すことができたものの、銅メッキが容易にポリイミドフィルムから剥離してしまった。
これに対して、実施例17の膜厚50nmの無酸素銅膜が成膜されたフレキシブル基材は、無酸素銅膜や酸素含有銅膜がメッキ液中で溶解することなく、所望膜厚の銅メッキを施すことができた。
比較例8の膜厚40nmの無酸素銅膜が成膜されたフレキシブル基材は、無酸素銅膜や酸素含有銅膜がメッキ液中で一部溶解してしまったため、銅メッキを施すことができたものの、銅メッキが容易にポリイミドフィルムから剥離してしまった。
これに対して、実施例17の膜厚50nmの無酸素銅膜が成膜されたフレキシブル基材は、無酸素銅膜や酸素含有銅膜がメッキ液中で溶解することなく、所望膜厚の銅メッキを施すことができた。
1 ポリイミドフィルム(プラスチックフィルム)
2 酸素含有銅膜
3 無酸素銅膜
4 銅メッキ層
2 酸素含有銅膜
3 無酸素銅膜
4 銅メッキ層
Claims (6)
- プラスチックフィルムの少なくとも片面に、酸素含有銅膜と無酸素銅膜とが順に成膜されるとともに、この無酸素銅膜の上に銅メッキ層が形成されてなり、かつ
上記酸素含有銅膜は、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有するとともに、残部が銅および不可避不純物からなり、かつその膜厚が5nm以上であることを特徴とするフレキシブル基材。 - 上記無酸素銅膜は、銅および不可避不純物からなることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基材。
- 上記無酸素銅膜は、その膜厚が50nm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル基材。
- 上記プラスチックフィルムは、ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフレキシブル基材。
- プラスチックフィルムの少なくとも片面に、酸素を5〜20at%、Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を合計で0.2〜8at%それぞれ含有し、かつ残部が銅および不可避不純物からなる膜厚5nm以上の酸素含有銅膜を成膜する第1の工程と、この酸素含有銅膜の上に無酸素銅膜を成膜する第2の工程と、この無酸素銅膜の上に銅メッキ層を形成する第3の工程とを有することを特徴とするフレキシブル基材の製造方法。
- 上記第1の工程は、上記Mo、Mn、Ca、Zn、Ni、Ti、Al、MgおよびFeのうちの1種又は2種以上を含有する銅をターゲットとして用いて、酸素含有アルゴン雰囲気下でスパッタすることにより上記酸素含有銅膜を成膜するとともに、
上記第2の工程は、上記銅をターゲットとして用いて、アルゴン雰囲気下でスパッタすることにより上記無酸素銅膜を成膜することを特徴とする請求項5に記載のフレキシブル基材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008015155A JP2009177013A (ja) | 2008-01-25 | 2008-01-25 | フレキシブル基材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008015155A JP2009177013A (ja) | 2008-01-25 | 2008-01-25 | フレキシブル基材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009177013A true JP2009177013A (ja) | 2009-08-06 |
Family
ID=41031790
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008015155A Withdrawn JP2009177013A (ja) | 2008-01-25 | 2008-01-25 | フレキシブル基材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009177013A (ja) |
-
2008
- 2008-01-25 JP JP2008015155A patent/JP2009177013A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4605511B2 (ja) | 2層フレキシブル基板及びその製造方法 | |
JP5706386B2 (ja) | 2層フレキシブル基板、並びに2層フレキシブル基板を基材としたプリント配線板 | |
JPWO2009004774A1 (ja) | 金属積層ポリイミド基盤及びその製造方法 | |
JP4986082B2 (ja) | プリント配線基板の製造方法 | |
JP3888587B2 (ja) | フレキシブル基板のエッチング方法 | |
JP2020012156A (ja) | 銅張積層板の製造方法 | |
JP2015201658A (ja) | フレキシブルプリント基板の製法 | |
JP2013229504A (ja) | 金属化樹脂フィルムおよびその製造方法 | |
JP2015081373A (ja) | 両面成膜方法と両面成膜装置および金属ベース層付樹脂フィルムの製造方法 | |
JP2011037214A (ja) | 金属被覆ポリイミドフィルムとその製造方法 | |
JP4525682B2 (ja) | 2層フレキシブル基板及びその製造方法 | |
JP4986081B2 (ja) | プリント配線基板の製造方法 | |
JP2010042564A (ja) | フレキシブル基材の製造方法およびフレキシブル基材 | |
JP5304733B2 (ja) | 誘電体膜を有する金属ベース層付耐熱性樹脂フィルムと金属膜付耐熱性樹脂フィルムの各製造方法および誘電体膜を有する金属ベース層付耐熱性樹脂フィルムの製造装置 | |
JP2008311328A (ja) | フレキシブル回路基板およびその製造方法 | |
WO2010074056A1 (ja) | フレキシブルラミネート及び該ラミネートを用いて形成したフレキシブル電子回路基板 | |
JP2010222651A (ja) | 銅張り積層板および銅めっき皮膜の成膜方法 | |
JP2009177013A (ja) | フレキシブル基材及びその製造方法 | |
JPWO2011102238A1 (ja) | フレキシブルラミネート基板への回路形成方法 | |
JP6236824B2 (ja) | プリント配線基板の製造方法 | |
JP2008198953A (ja) | フレキシブル回路基板およびその製造方法 | |
JP4877022B2 (ja) | プリント配線基板の製造方法 | |
JP2016157752A (ja) | フレキシブル配線用基板およびフレキシブル配線板 | |
JP6252987B2 (ja) | 2層銅張積層板及びその製造方法 | |
JP4385298B2 (ja) | 2層フレキシブル基板及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20110405 |