JP2009175260A - 転写材冷却装置、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転写材冷却装置においては、定着装置8から搬送方向Dに並置したベルト冷却ローラ13、14に良好な熱伝導性を有する無端状ベルト部材16を張架し、定着装置8で加熱された転写材Pをベルトローラ13、14間に張架された無端状ベルト部材16に接触させて冷却し、さらに、転写材Pで加熱された無端状ベルト部材16をベルト冷却ローラ13、14で冷却するようにしたので、転写材Pの温度を迅速かつ効果的に低減することが可能となっている。
【選択図】図2
Description
近年、画像形成装置の高速化・カラー化によって、高速出力機においては、転写材の移動速度が大きくなるため、冷却手段による冷却が不十分になる。また、カラー機においては、4個等複数の現像装置が必要になり、その結果として転写材上のトナー量が多くなるため、転写材上にトナー像を定着するためには定着装置においてより大きな熱量が必要となってしまう。このため、定着装置による定着処理後に転写材の冷却手段を設けたとしても、この冷却手段による冷却が追いつかない状態になってしまうという問題があった。
従来、転写材を冷却する方法としては、転写材の搬送経路で気流により転写材を冷却するもの(例えば、特許文献1参照)や、ヒートパイプを組み込んだヒートパイプローラで直接転写材を冷却する方法(例えば、特許文献2参照)があった。しかし、特許文献1記載のものでは、充分な冷却性能を確保するために転写材と気流との熱抵抗を小さくしなければならない。そのためには、気流の速度を上げるか転写材と気流が接する面積を大きくする必要がある。また、空気の熱容量が小さいために流量も大きくしなければならない。このため、現実的なダクトスペースやファンで適切な空気の流量とすることは難しかった。
ところで、より効率の高い冷却方法として液冷方式が挙げられる。液冷方式は温度上昇箇所に流路を形成し、または流路を形成した受熱部を密着あるいは近接させて、流路に温度上昇箇所よりも低温の冷却液を供給することで温度上昇箇所から熱を奪うものである。一般に冷却液は水を主成分とし、凍結温度を下げるためにプロピレングリコールやエチレングリコールなどを添加したり、金属の構成部品の錆を防ぐために防錆剤(例えば、リン酸塩系物質:リン酸カリ塩、無機カリ塩等)を添加したりして使用する。
冷却液を水とすると、定積熱容量が空気の3000倍以上であり、少ない流量で大きな熱量を移送できるので、強制空冷に比べ効率のよい冷却が可能である。また、ヒートパイプローラによる方法では放熱箇所の熱抵抗が大きくなってしまうのに対し、液冷では放熱部23(ラジエータ)まで冷却液を満たすことができるから、放熱部23における熱抵抗を小さくすることができる。従って、前述の特許文献1や特許文献2の強制空冷法やヒートパイプ法等に比べて優れた冷却能力を有する。
上記の液冷システムを用いて定着装置を通過後の転写材を冷却する転写材冷却装置を使用する方法も提案されている。(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)
また、特許文献2記載のものでは、ポンプで放熱部を通って循環される冷却液を内蔵する冷却部とローラとの間にフィルム状無端ベルトを張架させて冷却部と搬送ローラとを対向させ、この冷却部と搬送ローラとの間に転写材とフィルム状無端ベルトを挟持して転写材を所定方向に搬送すると共に、冷却部で転写材の熱を吸熱して転写材を冷却することが記載されている。この特許文献2記載のものでは、フィルム状無端ベルトと転写材との接触部分を大きくすることで転写材とフィルム状無端ベルトとの熱抵抗が小さくできる。しかし、フィルム状無端ベルトと冷却部とを摺動させるため、その部分の摺動抵抗を小さくする必要があり、フィルム状無端ベルトと冷却部との接触面積を小さくするか摺動抵抗の小さい材質とする必要があり、フィルム状無端ベルトと冷却部との熱抵抗を小さくすることが困難である。したがって全熱移送経路にわたって低熱抵抗にはならず充分は冷却性能が得られない。
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、転写材から放熱部までの熱移送経路において低熱抵抗を実現できる転写材冷却装置および画像形成装置を提供することである。
また、請求項3の発明は、請求項2記載の転写材冷却装置において、前記少なくとも1個のベルト冷却ローラは、前記無端状ベルト部材を移送する駆動ローラであり、残りのローラは、当該無端状ベルト部材の移送と共に回転する従動ローラであることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3記載の転写材冷却装置において、前記従動ローラは、前記ベルト冷却ローラであり、一方のベルト冷却ローラの内部を流れる冷却液の液流方向と逆方向に流れるように、他方のベルト冷却ローラの内部を流れる冷却液の流路を前記管路に接続したことを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の転写材冷却装置において、前記無端状ベルト部材は、転写材の熱をベルト冷却ローラに伝熱させる熱伝導性フィラーを分散させた耐熱性ポリイミド層上に、アルミニウム金属箔層を備えた2層構造から構成され、前記耐熱性ポリイミド層側が前記ベルト冷却ローラに接触することを特徴とする。
また、請求項7の発明は、転写材上にトナー像を形成する画像形成手段と、当該転写材上に形成されたトナー像を加熱して当該転写材上に定着させる定着手段と、当該定着手段から搬送された転写材を冷却する転写材冷却装置と、を備えた画像形成装置において、前記転写材冷却装置は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の転写材冷却装置であることを特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子写真式画像形成装置としてのモノクロ複写機の概略構成を示す図である。本実施形態のモノクロ複写機においては、画像読取装置7で複写すべき原稿を光学的に読み込み、原稿の画像情報を電気信号に変換し、電気信号に変換された画像情報に応じて光書込み装置5から光を照射して画像形成ユニット1のドラム状感光体2上に静電潜像を書き込むようになっている。
画像形成ユニット1では、感光体2の周辺に、帯電装置3、現像装置4、クリーニング装置6及び図示しない除電装置が配置されている。帯電装置3は、帯電ローラを採用した接触帯電方式であり、感光体2に接触して電圧を印加することにより、感光体2の表面を一様に帯電する。この帯電装置としては、非接触のスコロトロン帯電等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。現像装置4は、現像剤中のトナーを感光体2上の静電潜像に付着させ、トナー像を形成させる。クリーニング装置6は、感光体2上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置6としては、先端が感光体2に押し当てられるように構成されたブレードを用いることができる。除電装置は、ランプで構成されており、光を照射して感光体2の表面電位を初期化する。
なお、本実施形態においては、現像装置4として黒トナーを使用したモノクロ複写機について例示したが、現像装置として、イエロー、シアン、マゼンタ、黒等のカラートナーをそれぞれ収納した複数の現像装置を使用して、カラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。この場合に、搬送経路S2に沿って、それぞれの色の画像を形成する複数の画像形成ユニット1を並置してカラー画像を形成するものであっても良い。
この実施形態においては、高速印刷出力を行うために、定着装置8によってトナー像が定着された転写材Pは、後述する定着装置8の下流に配設された転写材冷却装置9で冷却されて、搬送経路S3又はS4に搬送される。
[実施例1]
図2は、本発明による実施例1の転写材冷却装置9の概略構成を示す断面図である。図3は、図2の上方G方向から見た場合の転写材冷却装置9の平面模式図である。
本実施例の転写材冷却装置9においては、矢印B方向に回転する定着ローラ8aと矢印C方向に回転する加圧ローラ8bとで転写材Pを加熱して搬送する定着装置8の下流側に、無端状ベルト部材16がベルト冷却ローラ13、14及びテンションローラ15に張架された状態で配置されている。また、ベルト冷却ローラ13、14は、図3に示すように、軸受部13a1、13a2及び14a1、14a2で回転自在に支持され、ベルト冷却ローラ14の回転部14bには、ギヤ14cが取り付けられており、ギヤ14cと噛合する駆動モータMのギヤと連結されている。従って、ベルト冷却ローラ14の回転部14bは、駆動モータMの回転駆動によって回転され、ベルト冷却ローラ14の回転部14bの回転駆動と共にこの回転部14bの外周に張架された無端状ベルト部材16が矢印D方向に移送される。この無端状ベルト部材16の移送に伴いベルト冷却ローラ13の回転部13bが従動して回転する。
本発明で使用される無端状ベルト部材16は、本実施例の材質、構造のものに限らず、転写材Pの熱をベルト冷却ローラ13、14の回転部13b、14bに伝熱可能な良好な熱伝導性を有するものであれば十分であり、銅等の他の金属や金属フィラー等の熱伝導性フィラーを混入した耐熱性樹脂からなる単層或いは複数層の無端状ベルトも使用可能である。例えば、耐熱性を改善するために、耐熱性樹脂層上にシリコーン樹脂層を付加したものも使用可能である。
さらに、無端状ベルト部材16とベルト冷却ローラ13、14とでニップを形成しながら回転可能かつ高効率な冷却が可能な冷却手段を構成している。ベルト冷却ローラ13、14と無端状ベルト部材16とのニップとは、ベルト冷却ローラ13、14と無端状ベルト部材16の接触開始点から剥離開始点までの間の部分のことを示す。無端状ベルト部材16とベルト冷却ローラ13、14との間の熱抵抗はニップ幅およびニップ圧力が大きいほど小さくなる。ニップ幅を大きくするため、無端状ベルト部材16をベルト冷却ローラ13、14に所定の角度だけ巻きつける方法がとられる。
以上のように、本実施例による転写材冷却装置においては、定着装置8から搬送方向Dに沿って並置したベルト冷却ローラ13、14に良好な熱伝導性を有する無端状ベルト部材16を張架し、定着装置8で加熱された転写材Pをベルトローラ13、14間に張架された無端状ベルト部材16に接触させて冷却し、さらに、転写材Pで加熱された無端状ベルト部材16をベルト冷却ローラ13、14で冷却するようにしたので、転写材Pの温度を迅速かつ効果的に低減することが可能となっている。
なお、本実施例による転写材冷却装置においては、無端状ベルト部材16を搬送方向で張架するローラとして、2個のベルト冷却ローラ13、14を使用したが、必ずしも2個のベルト冷却ローラを使用せず、1個のベルト冷却ローラ13又は14を使用し、残りのローラはベルト冷却ローラでない単なる張架ローラであっても良い。さらに、無端状ベルト部材16を搬送方向で張架するローラとして上記実施例のように、2個の張架ローラに限らず、3個以上することもできる。この場合、これらの張架ローラは、全てベルト冷却ローラであっても良いし、単なる張架ローラであっても良い。なお、これらの張架ローラの全てが単なる張架ローラを使用する場合には、後述する実施例3で示すように、ベルト冷却ローラを無端状ベルト部材と接触する接触ローラとして使用することができる。
図6は、本発明による実施例2の転写材冷却装置の概略構成を示す図である。この実施例においては、前述の実施例1の転写材冷却装置とは、案内手段18の構造を変えている。この実施例においては、案内手段18として、転写材Pの搬送方向Dに沿って、ベルト冷却ローラ13と14の間に5個の加圧ローラを設置し、これらの加圧ローラ181〜185によって転写材Pを搬送方向Dに搬送、案内すると共に、転写材Pを無端状ベルト部材16の表面に押圧して、効果的に転写材Pの熱を無端状ベルト部材16に伝達可能としている。このように、複数の加圧ローラ181〜185によって転写材Pを案内搬送する場合には、転写材Pを無端状ベルト部材16に対してより密着した状態で接触することが可能となるので、転写材Pの冷却をより効果的に行うことが可能となる。
図7は、本発明による実施例3の転写材冷却装置の概略構成を示す図である。この実施例においては、前述の実施例1の転写材冷却装置とは、ベルト冷却ローラ26を1個のみを使用し、無端状ベルト部材16の移送手段として、搬送方向Dに沿って金属製の駆動ローラ151、従動ローラ152を配設し、テンションローラ153で張力を付与して、無端状ベルト部材16を張架している点で相違している。そして、テンションローラ153と駆動ローラ151との間にベルト冷却ローラ26の回転部26bの外周に掛けまわして無端状ベルト部材16と接触するようにベルト冷却ローラ26を配設している。
この場合、ベルト冷却ローラ26は、無端状ベルト部材16の移送と共に連れ回りしながら、回転部26bの軸方向に形成された内部の中空流路26d内を冷却液が流れて無端状ベルト16を冷却する。
また、駆動ローラ151の表面を弾性体とし、ローラ部材と無端状ベルト部材16を介して対向する位置に加圧ローラ17を配置して、無端状ベルト部材16を介して駆動ローラ151を加圧することで駆動ローラ151の表面が加圧ローラ17の形状に倣うように変形させることもできる。駆動ローラ151、従動ローラ152、テンションローラ153、ベルト冷却ローラ26等のローラ部材はアルミニウムなどの熱伝導性に優れた材質が望ましい。アルミニウム製のローラ部材表面に熱伝導性に優れた弾性体層を形成することも可能である。
図8は、本発明による実施例4の転写材冷却装置の概略構成を示す図である。この実施例においては、前述の実施例1の転写材冷却装置とは、案内手段18の構造を変えている。本実施例においては、実施例1で使用された加圧ローラ17と案内手段18とに代えて大口径の加圧ローラ186を使用している。定着装置8を通過した転写材Pは、大口径ローラ186と無端状ベルト部材16の間を通過し、分離爪19の位置まで無端状ベルト部材16と接触しながら移動し、分離爪19により無端状ベルト部材16から剥離される。このような大口径の加圧ローラ186を使用することによって、部品点数を削減できる利点がある。
Claims (7)
- 転写材上のトナー像を加熱して定着する定着手段を通過した転写材を冷却する転写材冷却装置であって、
前記定着手段を通過した前記転写材を所定の搬送方向に搬送する無端状ベルト部材と、当該無端状ベルト部材と外周で接触し、内部に冷却液の流路を有して当該冷却液に前記無端状ベルト部材の熱を移動させるベルト冷却手段と、当該冷却液の熱を放熱する放熱部と、前記冷却液を循環させるポンプと、前記ベルト冷却手段、放熱部及びポンプを連結して前記冷却液を還流させる管路と、を備え、
前記ベルト冷却手段は、前記無端状ベルト部材と外周で接触しながら駆動回転または従動回転するベルト冷却ローラであり、当該ベルト冷却ローラと無端状ベルトとの接触によって無端状ベルトを冷却し、
前記無端状ベルト部材は、前記定着手段から所定の搬送方向に配設した少なくとも2個のローラに張架され、当該少なくとも2個のローラに張架された部位で前記定着手段を通過した転写材を接触させて当該転写材を冷却することを特徴とする転写材冷却装置。 - 請求項1記載の転写材冷却装置において、
前記所定の搬送方向に配設した少なくとも2個のローラ中の少なくとも1個は、前記ベルト冷却ローラであることを特徴とする転写材冷却装置。 - 請求項2記載の転写材冷却装置において、
前記少なくとも1個のベルト冷却ローラは、前記無端状ベルト部材を移送する駆動ローラであり、残りのローラは、当該無端状ベルト部材の移送と共に回転する従動ローラであることを特徴とする転写材冷却装置。 - 請求項3記載の転写材冷却装置において、
前記従動ローラは、前記ベルト冷却ローラであり、一方のベルト冷却ローラの内部を流れる冷却液の液流方向と逆方向に流れるように、他方のベルト冷却ローラの内部を流れる冷却液の流路を前記管路に接続したことを特徴とする転写材冷却装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項記載の転写材冷却装置において、
前記無端状ベルト部材に対して前記少なくとも2個のローラと反対側から前記転写材を前記搬送方向に案内する案内手段を配設したことを特徴とする転写材冷却装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項記載の転写材冷却装置において、
前記無端状ベルト部材は、転写材の熱をベルト冷却ローラに伝熱させる熱伝導性フィラーを分散させた耐熱性ポリイミド層上に、アルミニウム金属箔層を備えた2層構造から構成され、前記耐熱性ポリイミド層側が前記ベルト冷却ローラに接触することを特徴とする転写材冷却装置。 - 転写材上にトナー像を形成する画像形成手段と、当該転写材上に形成されたトナー像を加熱して当該転写材上に定着させる定着手段と、当該定着手段から搬送された転写材を冷却する転写材冷却装置と、を備えた画像形成装置において、
前記転写材冷却装置は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の転写材冷却装置であることを特徴とする画像形成装置。
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