JP2009174649A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シールの密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】シール9が、外方部材5の端部に内嵌される芯金20、および芯金20に加硫接着により一体に接合され、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップ21aと、二股状に形成されたグリースリップ21bと中間リップ21cを有するシール部材21とからなる環状のシール板18と、このシール板18に対向配置され、内輪2に外嵌される円筒部19a、および円筒部19aから径方向外方に延びる立板部19bを有する断面略L字状に形成されたスリンガ19とを備え、このスリンガ19の立板部19bにサイドリップ21aが摺接され、円筒部19aにグリースリップ21bと中間リップ21cが摺接されると共に、グリースリップ21bに、その先端から根元部に向う放射状のスリット23が周方向に複数等配に形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置に関し、詳しくは、軸受部に装着されたシールの密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を複列の転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
これらの軸受部には、軸受内部に封入されたグリースの漏れを防止すると共に、外部から雨水やダスト等の侵入を防止するためにシールが装着されている。近年、自動車のメンテナンスフリー化が進み、車輪用軸受装置においてもさらなる長寿命化が要求されるようになっているが、市場回収品の軸受損傷状況を検証すると、剥離等の本来の軸受寿命よりも、シール不具合による損傷が多くを占めている。したがって、シールの密封性と耐久性を高めることにより、軸受寿命の向上を確実に図ることができる。
従来から、密封性を高めたシールに関しては種々提案されているが、こうしたシールが装着された従来の車輪用軸受装置の一例を図9に示す。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、外周にナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ51bを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、51aが一体に形成された外方部材51と、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ52を一体に有し、外周に前記複列の外側転走面51a、51aに対向する一方の内側転走面53aと、この内側転走面53aから軸方向に延びる小径段部53bが形成されたハブ輪53、およびこのハブ輪53の小径段部53bに圧入され、外周に前記複列の外側転走面51a、51aに対向する他方の内側転走面54aが形成された内輪54からなる内方部材55と、両転走面間に保持器56を介して転動自在に収容された複列のボール57、57とを備えている。
車輪取付フランジ52の周方向等配にはハブボルト52aが植設されている。そして、ハブ輪53の小径段部53bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部58によって内輪54が軸方向に固定されている。また、外方部材51と内方部材55との間に形成された環状空間の開口部にはシール59,60が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
ここで、アウター側のシール59は、芯金61と、この芯金61に接合されたシール部材62とからなる一体型のシールで構成されている。シール部材62は合成ゴムからなり、加硫接着によって芯金61に一体に接合されている。このシール部材62は、径方向外方に傾斜して形成されたサイドリップ62aと、二股状に形成された一対のラジアルリップ62b、62cとを有している。車輪取付フランジ52の基部52bは断面が円弧状の曲面に形成され、この基部52bにサイドリップ62aおよびラジアルリップ62b、62cがそれぞれ摺接されている。
また、インナー側のシール60は、図10に拡大して示すように、環状のシール板63とスリンガ64とからなる、所謂パックシールで構成されている。シール板63は外方部材51に装着された芯金65と、この芯金65に加硫接着により一体に接合されたシール部材66とからなる。シール部材66は合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びる一対のサイドリップ66a、66b、および軸受内方側に傾斜して形成されたグリースリップ66cを有している。
一方、スリンガ64は、内輪54の外径に圧入された円筒部64aと、この円筒部64aから径方向外方に延びる立板部64bとを備え、断面略L字状に形成されている。そして、シール部材66の一対のサイドリップ66a、66bが立板部64bに摺接されると共に、グリースリップ66cが円筒部64aと僅かな径方向すきまを介して対峙した状態とされ、非接触となっている。また、スリンガ64の立板部64bの外縁は、シール板63と僅かな径方向すきまを介して対峙され、ラビリンスシール67が構成されている。これにより、シール60の回転トルクを著しく低減することができる。
特開2007−187218号公報
然しながら、こうした従来のシール60は、グリースリップ66cが円筒部64aに対して非接触のラビリンスシールが構成されているため、シール60の回転トルクを低減することができるが、車両運転中に軸受の温度上昇によって内圧が高くなった場合、グリースリップ66cが押圧されてスリンガ64の円筒部64aに接触し、回転トルクが大きくなると共に、円筒部64aの角部に接触して偏摩耗し、グリース漏れが発生する恐れがある。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、シールの密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成された環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうち少なくとも一方のシールが、前記外方部材の端部に内嵌される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなり、このシール部材が、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップと、径方向内方に傾斜して延びるグリースリップとを備え、このグリースリップに、その先端から根元部に向う放射状のスリットが周方向に複数形成されている。
このように、外方部材と内方部材との間に形成された環状空間の開口部に装着されたシールを備えた車輪用軸受装置において、シールのうち少なくとも一方のシールが、外方部材の端部に内嵌される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなり、このシール部材が、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップと、径方向内方に傾斜して延びるグリースリップとを備え、このグリースリップに、その先端から根元部に向う放射状のスリットが周方向に複数形成されているので、車両運転中に軸受が温度上昇してもスリットで内部の空気を一部開放して内圧が高くなるのを緩和し、内圧上昇によりグリースリップが押圧されても回転トルクが大きくなるのを防止すると共に、グリースリップが摺接面に吸着して偏摩耗するのを防止することができる。
また、請求項2に記載の発明のように、前記スリットの深さが前記グリースリップの全長の1/4以上に設定されていれば、リップ先端部が弾性変形しても効果的に内圧上昇を抑制することができると共に、適度な緊迫力を確保して低トルク化を図ることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記スリットの幅が2mm以下に設定されていれば、グリース漏れの発生を防止すると共に、効果的に内圧上昇を抑制することができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記スリットが周方向等配に3箇所以上形成されていれば、グリースリップの均一な緊迫力を確保することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記シールが、前記芯金に加硫接着により一体に接合され、前記サイドリップとグリースリップを有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、前記内方部材に外嵌される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を有する断面略L字状に形成されたスリンガとを備え、このスリンガの立板部が前記シール板と僅かな径方向すきまを介して対峙されてラビリンスシールが構成されると共に、前記サイドリップが前記スリンガの立板部に摺接され、前記グリースリップが前記スリンガの円筒部に摺接されていても良い。
また、請求項6に記載の発明のように、前記サイドリップの内径側にさらにもう一つのサイドリップが形成され、このサイドリップが径方向外方に傾斜して延びていれば、強固な密封性を確保することができる。
また、請求項7に記載の発明のように、前記サイドリップとグリースリップとの間に中間リップが形成され、この中間リップが前記スリンガの円筒部に摺接されていても良い。
本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成された環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうち少なくとも一方のシールが、前記外方部材の端部に内嵌される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなり、このシール部材が、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップと、径方向内方に傾斜して延びるグリースリップとを備え、このグリースリップに、その先端から根元部に向う放射状のスリットが周方向に複数形成されているので、車両運転中に軸受が温度上昇してもスリットで内部の空気を一部開放して内圧が高くなるのを緩和し、内圧上昇によるグリースリップが押圧されて回転トルクが大きくなるのを防止すると共に、グリースリップが摺接面に吸着して偏摩耗するのを防止することができる。
外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成された環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうち少なくとも一方のシールが、前記外方部材の端部に内嵌される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合され、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップと、二股状に形成されたグリースリップと中間リップを有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、前記内輪に外嵌される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を有する断面略L字状に形成されたスリンガとを備え、このスリンガの立板部に前記サイドリップが摺接され、前記円筒部に前記グリースリップと中間リップが摺接されると共に、前記グリースリップに、その先端から根元部に向う放射状のスリットが周方向に複数等配に形成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の一方のシール部を示す要部拡大図、図3は、図1の他方のシール部を示す要部拡大図、図4は、図3のシール部をIV−IV線から見た矢視図、図5は、図3のシールの変形例を示す拡大図、図6は、図5のシールの変形例を示す拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は駆動輪用の第3世代と称され、ハブ輪1と内輪2からなる内方部材3と、この内方部材3に複列のボール4、4を介して外挿された外方部材5とを備えると共に、ハブ輪1に等速自在継手10の外側継手部材11がトルク伝達可能に、かつ分離可能に結合されている。
ハブ輪1は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、外周に一方(アウター側)の内側転走面1aと、この内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、内周にはトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。また、車輪取付フランジ6の周方向等配位置にハブボルト6aが植設されている。内輪2は、外周に他方(インナー側)の内側転走面2aが形成され、ハブ輪1の小径段部1bに所定のシメシロを介して圧入固定されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面1aをはじめ、後述するシール8のシールランド部となる車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部1bに亙って高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。一方、内輪2およびボール4はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
外方部材5は、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ5bを一体に有し、内周に内方部材3の内側転走面1a、2aに対向する複列の外側転走面5a、5aが一体に形成されている。これら両転走面5a、1aおよび5a、2a間には保持器7を介して複列のボール4、4が転動自在に収容されている。この外方部材5はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面5a、5aが、高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。
また、外方部材5と内方部材3との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に浸入するのを防止している。
外側継手部材11は、肩部12から軸方向に延びる軸部13を一体に有している。軸部13の外周にはハブ輪1のセレーション1cに係合するセレーション13aと、このセレーション13aの端部に雄ねじが形成されている。そして、肩部12が内輪2の端面と衝合するまでハブ輪1に外側継手部材11の軸部13がセレーション1c、13aを介して内嵌され、雄ねじに締結された固定ナット14によってハブ輪1と外側継手部材11がトルク伝達可能に、かつ着脱可能にユニット化されている。
シール8、9のうちアウター側のシール8は、図2に拡大して示すように、芯金15と、この芯金15に接合されたシール部材16とからなる一体型のシールで構成されている。芯金15は、冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成されている。
一方、シール部材16はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、加硫接着によって芯金15に一体に接合されている。このシール部材16は、径方向外方に傾斜して形成された一対のサイドリップ16a、16bと、軸受内方側に傾斜して形成されたグリースリップ16cとを有している。車輪取付フランジ6の基部6bは断面が円弧状の曲面に形成され、この基部6bにサイドリップ16bとグリースリップ16cが所定のシメシロをもって摺接されている。
ここで、グリースリップ16cには、その先端から根元部に向う放射状のスリット17が周方向に複数形成されている。これにより、車両運転中に軸受が温度上昇してもこのスリット17で内部の空気を一部開放して内圧が高くなるのを緩和し、内圧上昇によりグリースリップ16cが押圧されても回転トルクが大きくなるのを防止すると共に、グリースリップ16cが基部6bに吸着して偏摩耗するのを防止することができる。
また、インナー側のシール9は、図3に拡大して示すように、環状のシール板18とスリンガ19とからなるパックシールで構成されている。シール板18は外方部材5に装着された芯金20と、この芯金20に加硫接着により一体に接合されたシール部材21とからなる。芯金20は、冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面略L字状に形成されている。一方、シール部材21は、ニトリルゴム等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップ21aと、二股状に形成されたグリースリップ21bと中間リップ21cとを有している。なお、シール部材21の材質としては、ニトリルゴム以外にもフッ素ゴムやアクリルゴムを例示することができる。
一方、スリンガ19は、内輪2の外径に圧入された円筒部19aと、この円筒部19aから径方向外方に延びる立板部19bとを備え、断面略L字状に形成されている。そして、シール部材21のサイドリップ21aが立板部19bに摺接されると共に、グリースリップ21bと中間リップ21cが円筒部19aに摺接されている。また、スリンガ19における立板部19bは、シール板18と僅かな径方向すきまを介して対峙され、ラビリンスシール22が構成されている。
スリンガ19は、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されている。これにより、スリンガ19が雨水や泥水等に曝されても、また、内輪2との嵌合部に雨水や泥水等が浸入してもスリンガ19が発錆するのを防止することができる。
ここで、図4に示すように、グリースリップ21bには、その先端から根元部に向う放射状のスリット23が周方向に複数形成されている。これにより、アウター側のシール8と同様、車両運転中に軸受が温度上昇してもこのスリット23で内部の空気を一部開放して内圧が高くなるのを緩和し、内圧上昇によりグリースリップ21bが押圧されても回転トルクが大きくなるのを防止すると共に、グリースリップ21bがスリンガ19の円筒部19aに吸着して偏摩耗するのを防止することができる。
なお、スリット23の深さは、リップ先端部の弾性変形量を加味すると共に、適度な緊迫力を確保するためグリースリップ21bの全長の1/4以上に設定されている。また、グリース漏れの発生を防止するためにスリット23の幅は2mm以下に設定されている。なお、スリット23は、グリースリップ21bの均一な緊迫力を確保すると共に効果的に内圧上昇を抑制するため、周方向等配に3箇所以上形成されている。
このように、本実施形態では、シール8、9のグリースリップ16c、21bに内圧上昇を緩和するスリット17、23が形成されているので、グリース漏れを抑えつつ、軸受の温度上昇に伴って回転トルクが大きくなるのを抑制すると共に、長期間に亘ってシール8、9の密封性と耐久性を高めることができ、軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
図5に示すシール24は、前述したシール9の変形例である。このシール24は、シール9とシール部材の構成が一部異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
このシール24は、環状のシール板25とスリンガ19とからなる。シール板25は、芯金20と、この芯金20に加硫接着により一体に接合されたシール部材26とからなる。シール部材26はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップ21aと、さらにこのサイドリップ21aの内径側に形成されたもう一つのサイドリップ26aと、二股状に形成されたグリースリップ21bと中間リップ26bとを有している。
シール部材26の一対のサイドリップ21a、26aは立板部19bに摺接されると共に、グリースリップ21bと中間リップ26bが円筒部19aに摺接されている。ここで、グリースリップ21bの先端部に周方向等配に複数のスリット23が形成されている。
図6に示すシール28は、前述したシール24の変形例である。このシール28は、中間リップ26bの構成が一部異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
このシール28は、環状のシール板29とスリンガ19とからなる。シール板29は、芯金20と、この芯金20に加硫接着により一体に接合されたシール部材30とからなる。シール部材30はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びる一対のサイドリップ21a、26aと、二股状に形成されたグリースリップ21bと中間リップ30aとを有している。この中間リップ30aにはガータースプリング31が装着されている。これにより、シール28の密封性の向上を一層図ることができる。
図7は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図、図8は、図7のシール部を示す要部拡大図である。なお、前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態は駆動輪用の第2世代と称され、ハブ輪32と、このハブ輪32に圧入固定された車輪用軸受33とを備えている。ハブ輪32は、アウター側の端部に車輪取付フランジ6を一体に有し、外周にこの車輪取付フランジ6から軸方向に延びる小径段部32aが形成されている。この小径段部32aには所定のシメシロを介して車輪用軸受33が圧入されている。そして、小径段部32aの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部32bにより、車輪用軸受33が所定の軸受予圧が付与された状態で、ハブ輪32に対して軸方向に固定されている。
車輪用軸受33は、外方部材34と一対の内輪35、35、および外方部材34と内輪35間に保持器36を介して回転自在に収容された複列の円すいころ37、37を備え、背面合せタイプの複列円錐ころ軸受が構成されている。
外方部材34は、外周に車体取付フランジ5bを一体に有し、内周にテーパ状の複列の外側転走面34a、34aが一体に形成されている。この外方部材34はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面34a、34aが高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。
内輪35は、外周に外方部材34の複列の外側転走面34a、34aに対向するテーパ状の内側転走面35aが形成されている。そして、この内側転走面35aの大径側に円すいころ37を案内する大鍔35bが形成されると共に、内側転走面35aの小径側に円すいころ37の脱落を防止する小鍔35cが形成されている。内輪35および円すいころ37はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
外方部材34と一対の内輪35、35との間に形成される環状空間の開口部にはシール38、38が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に浸入するのを防止している。
このシール38は、図8に拡大して示すように、環状のシール板39とスリンガ19とからなる。シール板39は外方部材34に装着された芯金20と、この芯金20に加硫接着により一体に接合されたシール部材40とからなる。このシール部材40はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びる一対のサイドリップ21a、26aと、軸受内方側に傾斜して形成されたグリースリップ21bとを有している。そして、シール部材40の一対のサイドリップ21a、26aが立板部19bに摺接されると共に、グリースリップ21bがスリンガ19の円筒部19aに摺接されている。
本実施形態では、一対のサイドリップ21a、26aによって密封性が向上すると共に、グリースリップ21bにスリット23が形成され、さらに、前述した中間リップが廃止されているので、内圧の上昇に伴うグリース漏れとグリースリップ21bの偏摩耗を抑えると共に、回転トルクが大きくなるのを一層抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、環状空間の開口部にシールが装着された第1世代乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用できる。
本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図1のアウター側のシール部を示す要部拡大図である。 図1のインナー側のシール部を示す要部拡大図である。 図3のシール部をIV−IV線から見た矢視図である。 図3のシールの変形例を示す拡大図である。 図5のシールの変形例を示す拡大図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 図7のインナー側のシール部を示す要部拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 図9のシール部を示す要部拡大図である。
符号の説明
1、32・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、2a、35a・・・・・・・・内側転走面
1b、32a・・・・・・・・・・・小径段部
1c、13a・・・・・・・・・・・セレーション
2、35・・・・・・・・・・・・・内輪
3・・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
4・・・・・・・・・・・・・・・・ボール
5、34・・・・・・・・・・・・・外方部材
5a、34a・・・・・・・・・・・外側転走面
6・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
6a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
6b・・・・・・・・・・・・・・・基部
7、36・・・・・・・・・・・・・保持器
8・・・・・・・・・・・・・・・・アウター側のシール
9、24、28、38・・・・・・・インナー側のシール
10・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
11・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
12・・・・・・・・・・・・・・・肩部
13・・・・・・・・・・・・・・・軸部
14・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
15、20・・・・・・・・・・・・芯金
16、21、26、30、40・・・シール部材
16a、16b、21a、26a・・サイドリップ
16c、21b・・・・・・・・・・グリースリップ
17、23・・・・・・・・・・・・スリット
18、25、29、39・・・・・・シール板
19・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
19a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
19b・・・・・・・・・・・・・・立板部
21c、26b、30a・・・・・・中間リップ
22・・・・・・・・・・・・・・・ラビリンスシール
31・・・・・・・・・・・・・・・ガータースプリング
33・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
37・・・・・・・・・・・・・・・円すいころ
51・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
51a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
51b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
52・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
52a・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
53・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
53a、54a・・・・・・・・・・内側転走面
53b・・・・・・・・・・・・・・小径段部
54・・・・・・・・・・・・・・・内輪
55・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
56・・・・・・・・・・・・・・・保持器
57・・・・・・・・・・・・・・・ボール
58・・・・・・・・・・・・・・・加締部
59、60・・・・・・・・・・・・シール
61、65・・・・・・・・・・・・芯金
62、66・・・・・・・・・・・・シール部材
62a、66a、66c・・・・・・サイドリップ
62b、62c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
63・・・・・・・・・・・・・・・シール板
64・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
64a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
64b・・・・・・・・・・・・・・立板部
66c・・・・・・・・・・・・・・グリースリップ
67・・・・・・・・・・・・・・・ラビリンスシール

Claims (7)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と内方部材との間に形成された環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、
    前記シールのうち少なくとも一方のシールが、前記外方部材の端部に内嵌される芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなり、このシール部材が、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップと、径方向内方に傾斜して延びるグリースリップとを備え、このグリースリップに、その先端から根元部に向う放射状のスリットが周方向に複数形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記スリットの深さが前記グリースリップの全長の1/4以上に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記スリットの幅が2mm以下に設定されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記スリットが周方向等配に3箇所以上形成されている請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記シールが、前記芯金に加硫接着により一体に接合され、前記サイドリップとグリースリップを有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、前記内方部材に外嵌される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を有する断面略L字状に形成されたスリンガとを備え、このスリンガの立板部が前記シール板と僅かな径方向すきまを介して対峙されてラビリンスシールが構成されると共に、前記サイドリップが前記スリンガの立板部に摺接され、前記グリースリップが前記スリンガの円筒部に摺接されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
  6. 前記サイドリップの内径側にさらにもう一つのサイドリップが形成され、このサイドリップが径方向外方に傾斜して延びている請求項1乃至5いずれかに記載の車輪用軸受装置。
  7. 前記サイドリップとグリースリップとの間に中間リップが形成され、この中間リップが前記スリンガの円筒部に摺接されている請求項5または6に記載の車輪用軸受装置。
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