JP2009173817A - ネマチック液晶混合物及び液晶パネル - Google Patents

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幸一 寺尾
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Abstract

【課題】表示品位への影響を最小限に抑えながら応答速度を改善することが可能なネマチック液晶混合物及び液晶パネルを提供すること。
【解決手段】ネマチック液晶材料に、一般式(I)
【化1】
Figure 2009173817

(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を添加してネマチック液晶混合物を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明に係る一態様は、ネマチック液晶混合物及び液晶パネルに関する。
液晶パネルを用いた液晶ディスプレイにおいては、動画視認性を向上させるために応答速度の改善が求められている。液晶ディスプレイの応答速度改善のための手法の1つとして、液晶組成物自体の応答速度を改善する手法がある。例えば、液晶組成物にフルオロトラン化合物、ナフタレン誘導体液晶、デカヒドロナフタレン化合物等を用いることで液晶組成物の粘性率(γ1〜γ3)が低下し、応答速度を改善することができる(特許文献1参照)。
応答速度改善のための他の手法として、非特許文献1,2には、ジフェニルエーテル化合物を液晶材料に少量添加する方法が開示されている。これにより、しきい値電圧や複屈折(Δn)値への影響を低く抑えながら高速応答化することができる。
特開2000−136155号公報 IDW06Proceedings,LCT1−3(2006) SID 07 DIGEST,pp999−1002(2007)
しかしながら、液晶組成物にフルオロトラン化合物、ナフタレン誘導体液晶、デカヒドロナフタレン化合物等を用いると、TNI(ネマチック相−等方相転移温度)の低下や、信頼性の低下等の悪影響が生じやすいという課題がある。また、ジフェニルエーテル化合物を添加した液晶混合物は、TNIが低下し、また液晶パネルとして駆動させたときの焼きつき現象等の表示不良が起こりやすくなるという課題がある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]一般式(I)
Figure 2009173817
(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物が添加されたネマチック液晶混合物。
このような構成のネマチック液晶混合物によれば、TNIや表示品位への影響を最小限に抑えながら応答速度を改善することができる。
[適用例2]上記ネマチック液晶混合物であって、前記Rが炭素原子数1又は2のアルキル基であるネマチック液晶混合物。
[適用例3]上記ネマチック液晶混合物であって、前記Xがフッ素原子又は塩素原子であるネマチック液晶混合物。
[適用例4]上記ネマチック液晶混合物であって、前記化合物を0.5wt%以上10wt%以下の濃度で含有しているネマチック液晶混合物。
このような構成によれば、TNIが低下しにくく、かつ焼きつき現象の生じにくいネマチック液晶混合物が得られる。本明細書において「wt%」は重量パーセント濃度を表す。
[適用例5]一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された、上記ネマチック液晶混合物と、前記一対の基板の前記ネマチック液晶混合物側の面に形成された配向膜と、を備える液晶パネル。
このような構成によれば、表示品位が高くかつ高速応答性を有する液晶パネルが得られる。
以下、ネマチック液晶混合物及び液晶パネルの実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
(A.ジベンゾスベラン化合物Aの合成)
本実施形態のネマチック液晶混合物は、ネマチック液晶材料に下記式(I)で表されるジベンゾスベラン化合物Aが添加された構成を有している。
Figure 2009173817
式(I)において、Xはハロゲン原子を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。ジベンゾスベラン化合物Aにおける置換基の位置番号は下記の通りである。式(I)においてXの位置番号は1から4のいずれでもよく、またRの位置番号は6から9のいずれでもよい。本明細書では、置換基とその位置番号を「(位置番号)−(置換基)」とも表記する。
Figure 2009173817
以下の合成例1から合成例4では、ジベンゾスベラン化合物Aの具体例とその合成方法について説明する。
(合成例1)
本合成例のジベンゾスベラン化合物Aは、2−フルオロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(II))である。したがって、式(I)におけるRは水素原子、Xはフッ素原子(2−F)である。
Figure 2009173817
2−フルオロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタンの合成方法の例を以下に示す。
Figure 2009173817
(工程1:2−クロロ−5−フルオロフェニル酢酸(式(IIb))の合成)
乾燥したジエチルエーテル100mlに金属マグネシウム2.35g(0.11mol)を加え、攪拌しながら市販の2−クロロ−5−フルオロベンジルブロマイド(式(IIa))22.4g(0.1mol)を滴下した。この溶液を室温で1時間攪拌した後、ドライアイス上に注ぎ攪拌した。反応溶液に5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて攪拌した後、水層を5%塩酸水溶液に注ぎ、析出した結晶をろ過し、水で洗浄した。結晶をエタノールから再結晶して2−クロロ−5−フルオロフェニル酢酸15.7g(0.083mol)を得た。
(工程2:2−クロロ−5−フルオロフェニルアセチルクロライド(式(IIc))の合成)
2−クロロ−5−フルオロフェニル酢酸15.7g(0.083mol)を塩化チオニル49.4g(0.42mol)に溶解し、3時間還流した。反応液中の塩化チオニルを留去した後、残渣を減圧蒸留して2−クロロ−5−フルオロフェニルアセチルクロライド16.6g(0.080mol)を得た。
(工程3:2−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−アセトフェノン(式(IId))の合成)
無水塩化アルミニウム粉末5.6g(0.042mol)を四塩化炭素40mlに懸濁させ、冷却下に攪拌しながら2−クロロ−5−フルオロフェニルアセチルクロライド8.3g(0.040mol)を滴下した。次に、5℃以下に冷却し攪拌しながらベンゼン3.5g(0.045mol)を1時間かけて滴下した。この溶液を室温で1時間攪拌した後、氷を含む希塩酸水溶液に注いだ。分離した油層を希水酸化ナトリウム水溶液と水で洗浄してから、四塩化炭素を留去した。残渣を減圧蒸留して2−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−アセトフェノン8.6g(0.035mol)を得た。
(工程4:1−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−2−フェニルエタン(式(IIe))の合成)
ジエチレングリコ−ル110mlに2−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−アセトフェノン8.6g(0.035mol)、水酸化ナトリウム2.76g(0.069mol)及び90%抱水ヒドラジン4.2mlを加えて、10時間還流した。反応液を希塩酸水溶液で酸性としてから、ジエチルエーテルで抽出し、希塩酸水溶液と水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去し、残渣を減圧蒸留して1−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−2−フェニルエタン6.9g(0.029mol)を得た。
(工程5:4−フルオロ−2−(フェニルエチル)ベンズアルデヒド(式(IIf))の合成)
乾燥したジエチルエーテル45mlに金属マグネシウム0.78g(0.032mol)を加え、攪拌しながら1−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−2−フェニルエタン6.9g(0.029mol)、次にオルト蟻酸エチル5.26g(0.035mol)を加えて、この溶液を5時間還流した。エーテルを留去して、氷水で冷却後、氷と5M塩酸水溶液35mlを加え、炭酸ガス雰囲気で30分間煮沸した。反応液を水蒸気蒸留し、析出した結晶をろ過水洗した後、エタノールから再結晶して4−フルオロ−2−(フェニルエチル)ベンズアルデヒド4.7g(0.021mol)を得た。
(工程6:4−フルオロ−2−(フェニルエチル)ベンジルアルコール(式(IIg))の合成)
イソプロピルアルコール38mlに水酸化ナトリウム0.42g(0.011mol)を加え、冷却下に攪拌しながらナトリウムボロンハイドライド2.22g(0.059mol)を加えた。この溶液を攪拌しながら、4−フルオロ−2−(フェニルエチル)ベンズアルデヒド4.7g(0.021mol)をイソプロピルアルコール23mlに溶かした溶液をイソプロピルアルコールが還流する速度で滴下した。その後、室温で1晩放置した。反応溶液に130mlの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、分離した油層をジエチルエーテルで抽出し、水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去してから、残渣を減圧蒸留して4−フルオロ−2−(フェニルエチル)ベンジルアルコール3.92g(0.017mol)を得た。
(工程7:2−フルオロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(II))の合成)
4−フルオロ−2−(フェニルエチル)ベンジルアルコール3.92g(0.017mol)をトルエン40mlに溶解し、酸触媒としてシグマ−アルドリッチ社製のNafion SAC−13 0.1gを加えて、生成した水を除きながら10時間還流した。触媒をろ過し、減圧下にトルエンを留去した後、残渣をヘキサンから再結晶して2−フルオロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン2.33g(0.011mol)を得た。
(合成例2)
本合成例のジベンゾスベラン化合物Aは、3−フルオロ−8−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(III))である。したがって、式(I)におけるRはメチル基(8−CH3)、Xはフッ素原子(3−F)である。
Figure 2009173817
3−フルオロ−8−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタンの合成方法の例を以下に示す。
Figure 2009173817
(工程1:2−クロロメチル−4−メチルアニリン(式(IIIb))の合成)
市販の6−アミノ−3−メチルベンジルアルコール(式(IIIa))13.7g(0.10mol)と塩化チオニル(118.97)59.5g(0.5mol)を10時間還流した。減圧下に塩化チオニルを留去した。残渣に希水酸化ナトリウム水溶液を加え、エーテルで抽出して水で洗浄した。エーテルを留去してから、残渣を減圧蒸留して2−クロロメチル−4−メチルアニリン14.8g(0.095mol)を得た。
(工程2:2−クロロメチル−4−メチルクロロベンゼン(式(IIIc))の合成)
2−クロロメチル−4−メチルアニリン14.8g(0.095mol)を濃塩酸19mlに溶解し、氷50gを加えた。この溶液を攪拌しながら、亜硝酸ナトリウム7.25g(0.105mol)を水20mlに溶かした溶液をゆっくり滴下した。過剰な亜硝酸を尿素で分解してから、ジアゾニウム溶液をろ過した。この溶液にアセトン390mlをゆっくり加えてから、窒素でバブリングして溶存酸素を追い出してから、塩化銅(I)1.49g(0.015mol)と塩化リチウム0.81g(0.019mol)を無水アセトン40mlに溶かした溶液を滴下した。減圧下にアセトンを留去し、残渣をジエチルエーテルで抽出後、希塩酸水溶液と水で洗浄した。ジエチルエーテルを留去してから、残渣を減圧蒸留して2−クロロメチル−4−メチルクロロベンゼン12.08g(0.069mol)を得た。
(工程3:2−クロロ−5−メチルフェニル酢酸(式(IIId))の合成)
乾燥したジエチルエーテル70mlに金属マグネシウム1.85g(0.076mol)を加え、攪拌しながら2−クロロメチル−4−メチルクロロベンゼン12.08g(0.069mol)を滴下した。この溶液を室温で1時間攪拌した後、ドライアイス上に注ぎ攪拌した。反応溶液に5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて攪拌した後、水層を5%塩酸水溶液に注ぎ、析出した結晶をろ過し、水で洗浄した。結晶をエタノールから再結晶して2−クロロ−5−メチルフェニル酢酸11.26g(0.061mol)を得た。
(工程4:2−クロロ−5−メチルフェニルアセチルクロライド(式(IIIe))の合成)
2−クロロ−5−メチルフェニル酢酸11.26g(0.061mol)を塩化チオニル36.9g(0.31mol)に溶解し、3時間還流した。反応液中の塩化チオニルを留去した後、残渣を減圧蒸留して2−クロロ−5−メチルフェニルアセチルクロライド11.78g(0.058mol)を得た。
(工程5:2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−4’−フルオロアセトフェノン(式(IIIf))の合成)
無水塩化アルミニウム粉末8.1g(0.061mol)を四塩化炭素60mlに懸濁させ、冷却下に攪拌しながら2−クロロ−5−メチルフェニルアセチルクロライド11.78g(0.058mol)を滴下した。次に、5℃以下に冷却し攪拌しながらフルオロベンゼン6.25g(0.065mol)を1時間かけて滴下した。この溶液を5時間還流した後、氷を含む希塩酸水溶液に注いだ。分離した油層を希水酸化ナトリウム水溶液と水で洗浄してから、四塩化炭素を留去した。残渣を減圧蒸留して2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−4’−フルオロアセトフェノン12.08g(0.046mol)を得た。
(工程6:1−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−2−(4’−フルオロフェニル)エタン(式(IIIg))の合成)
ジエチレングリコ−ル150mlに2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−4’−フルオロアセトフェノン12.08g(0.046mol)、水酸化ナトリウム3.64g(0.091mol)及び90%抱水ヒドラジン5.52mlを加えて、10時間還流した。反応液を希塩酸水溶液で酸性としてから、ジエチルエーテルで抽出し、希塩酸水溶液と水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去し、残渣を減圧蒸留して1−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−2−(4’−フルオロフェニル)エタン8.95g(0.036mol)を得た。
(工程7:2−(4−フルオロフェニルエチル)−4−メチルベンズアルデヒド(式(IIIh))の合成)
乾燥したジエチルエーテル60mlに金属マグネシウム0.97g(0.040mol)を加え、攪拌しながら1−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−2−(4’−フルオロフェニル)エタン8.95g(0.036mol)、次にオルト蟻酸エチル6.37g(0.043mol)を加えて、この溶液を5時間還流した。エーテルを留去して、氷水で冷却後、氷と5M塩酸水溶液35mlを加え、炭酸ガス雰囲気で30分間煮沸した。反応液を水蒸気蒸留し、析出した結晶をろ過水洗した後、エタノールから再結晶して2−(4−フルオロフェニルエチル)−4−メチルベンズアルデヒド5.58g(0.023mol)を得た。
(工程8:2−(4−フルオロフェニル)−4−メチルベンジルアルコール(式(IIIi))の合成)
イソプロピルアルコール42mlに水酸化ナトリウム0.48g(0.012mol)を加え、冷却下に攪拌しながらナトリウムボロンハイドライド2.46g(0.065mol)を加えた。この溶液を攪拌しながら、2−(4−フルオロフェニルエチル)−4−メチルベンズアルデヒド5.58g(0.023mol)をイソプロピルアルコール25mlに溶かした溶液をイソプロピルアルコールが還流する速度で滴下した。その後、室温で1晩放置した。反応溶液に140mlの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、分離した油層をジエチルエーテルで抽出し、水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去してから、残渣を減圧蒸留して2−(4−フルオロフェニル)−4−メチルベンジルアルコール4.40g(0.018mol)を得た。
(工程9:3−フルオロ−8−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(III))の合成)
2−(4−フルオロフェニル)−4−メチルベンジルアルコール4.40g(0.018mol)をトルエン44mlに溶解し、酸触媒としてシグマ−アルドリッチ社製のNafion SAC−13 0.11gを加えて、生成した水を除きながら10時間還流した。触媒をろ過し、減圧下にトルエンを留去した後、残渣をヘキサンから再結晶して3−フルオロ−8−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン2.72g(0.011mol)を得た。
(合成例3)
本合成例のジベンゾスベラン化合物Aは、3−クロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(IV))である。したがって、式(I)におけるRは水素原子、Xは塩素原子(3−Cl)である。
Figure 2009173817
3−クロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタンの合成方法の例を以下に示す。
Figure 2009173817
(工程1:2−(2−ブロモフェニル)−4’−クロロアセトフェノン(式(IVb))の合成)
無水塩化アルミニウム粉末5.6g(0.42mol)を四塩化炭素40mlに懸濁させ、冷却下に攪拌しながら2−ブロモフェニルアセチルクロライド(式(IVa))9.3g(0.40mol)を滴下した。次に、5℃以下に冷却し攪拌しながらクロロベンゼン5.0g(0.044mol)を1時間かけて滴下した。この溶液を室温で5時間攪拌した後、氷を含む希塩酸水溶液に注いだ。油層を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄してから、四塩化炭素を留去した。残渣を減圧蒸留して2−(2−ブロモフェニル)−4’−クロロアセトフェノン9.3g(0.030mol)を得た。
(工程2:1−(2−ブロモフェニル)−2−(4−クロロフェニル)エタン(式(IVc))の合成)
ジエチレングリコ−ル100mlに2−(2−ブロモフェニル)−4’−クロロアセトフェノン9.3g(0.030mol)、水酸化ナトリウム2.40g(0.060mol)及び90%抱水ヒドラジン3.7mlを加えて、10時間還流した。反応液を希塩酸水溶液で酸性としてから、ジエチルエーテルで抽出し、希塩酸水溶液と水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去し、残渣を減圧蒸留して1−(2−ブロモフェニル)−2−(4−クロロフェニル)エタン7.09g(0.024mol)を得た。
(工程3:2−(4−クロロフェニルエチル)ベンズアルデヒド(式(IVd))の合成)
乾燥したジエチルエーテル40mlに金属マグネシウム0.66g(0.027mol)を加え、攪拌しながら1−(2−ブロモフェニル)−2−(4−クロロフェニル)エタン7.09g(0.024mol)、次にオルト蟻酸エチル3.85g(0.026mol)を加えて、この溶液を10時間還流した。エーテルを留去して、氷水で冷却後、氷と5M塩酸水溶液25mlを加え、炭酸ガス雰囲気で30分間煮沸した。反応液を水蒸気蒸留し、析出した結晶をろ過水洗した後、エタノールから再結晶して2−(4−クロロフェニルエチル)ベンズアルデヒド4.16g(0.017mol)を得た。
(工程4:2−(4−クロロフェニルエチル)ベンジルアルコール(式(IVe))の合成)
イソプロピルアルコール30mlに水酸化ナトリウム0.36g(0.009mol)を加え、冷却下に攪拌しながらナトリウムボロンハイドライド1.75g(0.046mol)を加えた。この溶液を攪拌しながら、2−(4−クロロフェニルエチル)ベンズアルデヒド4.16g(0.017mol)をイソプロピルアルコール20mlに溶かした溶液をイソプロピルアルコールが還流するする速度で滴下した。その後、室温で1晩放置した。反応溶液に100mlの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、分離した油層をジエチルエーテルで抽出し、水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去してから、残渣を減圧蒸留して2−(4−クロロフェニルエチル)ベンジルアルコール3.58g(0.0145mol)を得た。
(工程5:3−クロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(IV))の合成)
2−(4−クロロフェニルエチル)ベンジルアルコール3.58g(0.0145mol)をトルエン35mlに溶解し、酸触媒としてシグマ−アルドリッチ社製のNafion SAC−13 0.08gを加えて、生成した水を除きながら10時間還流した。触媒をろ過し、減圧下にトルエンを留去した後、残渣をヘキサンから再結晶して3−クロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン1.83g(0.008mol)を得た。
(合成例4)
本合成例のジベンゾスベラン化合物Aは、2−フルオロ−7−エチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(V))である。したがって、式(I)におけるRはエチル基(7−C25)、Xはフッ素原子(2−F)である。
Figure 2009173817
2−フルオロ−7−エチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタンの合成方法の例を以下に示す。
Figure 2009173817
(工程1:2−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−4’−エチルアセトフェノン(式(Vb))の合成)
無水塩化アルミニウム粉末5.6g(0.42mol)を四塩化炭素40mlに懸濁させ、冷却下に攪拌しながら2−クロロ−5−フルオロフェニルアセチルクロライド(式(Va))8.3g(0.40mol)を滴下した。次に、5℃以下に冷却し攪拌しながらエチルベンゼン4.7g(0.044mol)を1時間かけて滴下した。この溶液を室温で1時間攪拌した後、氷を含む希塩酸水溶液に注いだ。油層を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄してから、四塩化炭素を留去した。残渣を減圧蒸留して2−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−4’−エチルアセトフェノン9.9g(0.036mol)を得た。
(工程2:1−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−2−(4−エチルフェニル)エタン(式(Vc))の合成)
ジエチレングリコ−ル110mlに2−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−4’−エチルアセトフェノン9.9g(0.036mol)、水酸化ナトリウム2.88g(0.072mol)及び90%抱水ヒドラジン4.4mlを加えて、10時間還流した。反応液を希塩酸水溶液で酸性としてから、ジエチルエーテルで抽出し、希塩酸水溶液と水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去し、残渣を減圧蒸留して1−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−2−(4−エチルフェニル)エタン8.2g(0.031mol)を得た。
(工程3:4−フルオロ−2−(4−エチルフェニルエチル)ベンズアルデヒド(式(Vd))の合成)
乾燥したジエチルエーテル50mlに金属マグネシウム0.85g(0.035mol)を加え、攪拌しながら1−(2−クロロ−5−フルオロフェニル)−2−(4−エチルフェニル)エタン8.2g(0.031mol)、次にオルト蟻酸エチル5.05g(0.034mol)を加えて、この溶液を5時間還流した。エーテルを留去して、氷水で冷却後、氷と5M塩酸水溶液32mlを加え、炭酸ガス雰囲気で30分間煮沸した。反応液を水蒸気蒸留し、析出した結晶をろ過水洗した後、エタノールから再結晶して4−フルオロ−2−(4−エチルフェニルエチル)ベンズアルデヒド5.64g(0.022mol)を得た。
(工程4:4−フルオロ−2−(4−エチルフェニルエチル)ベンジルアルコール(式(Ve))の合成)
イソプロピルアルコール40mlに水酸化ナトリウム0.43g(0.011mol)を加え、冷却下に攪拌しながらナトリウムボロンハイドライド2.27g(0.06mol)を加えた。この溶液を攪拌しながら、4−フルオロ−2−(4−エチルフェニルエチル)ベンズアルデヒド5.64g(0.022mol)をイソプロピルアルコール25mlに溶かした溶液をイソプロピルアルコールが還流する速度で滴下した。その後、室温で1晩放置した。反応溶液に130mlの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、分離した油層をジエチルエーテルで抽出し、水で洗浄した。抽出液中のジエチルエーテルを留去してから、残渣を減圧蒸留して4−フルオロ−2−(4−エチルフェニルエチル)ベンジルアルコール4.52g(0.0175mol)を得た。
(工程5:2−フルオロ−7−エチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン(式(V))の合成)
4−フルオロ−2−(4−エチルフェニルエチル)ベンジルアルコール4.52g(0.0175mol)をトルエン40mlに溶解し、酸触媒としてシグマ−アルドリッチ社製のNafion SAC−13 0.1gを加えて、生成した水を除きながら10時間還流した。触媒をろ過し、減圧下にトルエンを留去した後、残渣をヘキサンから再結晶して2−フルオロ−7−エチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン2.40g(0.010mol)を得た。
(B.ネマチック液晶混合物)
続いて、ジベンゾスベラン化合物Aを用いてネマチック液晶混合物を調整した。詳しくは、ネマチック液晶材料にジベンゾスベラン化合物Aを0.5〜15wt%の割合で添加し、70℃で1時間加熱しながらかき混ぜることにより、ネマチック液晶混合物を得た。ネマチック液晶材料としては、メルク社製のMLC−6608(ポジ型液晶)又はMLC−6012(ネガ型液晶)を用いた。
ネマチック液晶材料の種類と、ジベンゾスベラン化合物Aの濃度との組み合わせを種々に変えて調整し、実施例1〜10及び比較例1〜4のネマチック液晶混合物とした。各実施例、比較例の詳細な組成及び特性は後述する。
Figure 2009173817
(C.液晶パネル)
続いて、上記ネマチック液晶混合物を用いた液晶パネルについて説明する。図1は、液晶パネル10の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図である。液晶パネル10は、枠状のシール材32を介して対向して貼り合わされたガラス基板12,22を有している。ガラス基板12,22は、一対の基板に対応する。ガラス基板12,22の間には、上述したネマチック液晶混合物30が配置されている。ネマチック液晶混合物30は、ガラス基板12,22、シール材32によって囲まれた空間に封入されている。
ガラス基板12のネマチック液晶混合物30側の面には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透光性を有する電極14と、ポリイミドからなる配向膜16が順に積層されている。また、ガラス基板22のネマチック液晶混合物30側の面には、ITOからなる透光性を有する電極24と、ポリイミドからなる配向膜26が順に積層されている。配向膜16,26は、表面をラビング処理されており、ラビングの方向に沿ってネマチック液晶混合物を配向させることができる。
ガラス基板12,22は、対向面に散布された、樹脂等からなるスペーサ34によって支えられている。これにより、ネマチック液晶混合物30の層の厚さが一定に保たれている。ガラス基板12は、ガラス基板22より大きく、一部がガラス基板22に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、ネマチック液晶混合物30を駆動するためのドライバIC36が実装されている。
電極14,24は、例えばいずれも帯状に形成することができる。図2(a)は、ガラス基板22上の電極24の構成を示す平面図であり、図2(b)は、ガラス基板12上の電極14の構成を示す平面図である。このように、電極14,24は、その延在方向がZ方向から見て直交している。電極14,24は、それぞれドライバIC36に電気的に接続されており、ドライバIC36の出力に応じて所定の電位をとる。電極14,24が交差する位置に配置されたネマチック液晶混合物30は、当該電極14,24の電位差によって決まる駆動電圧を印加され、配向状態が変化する。液晶パネル10は、ネマチック液晶混合物30の配向状態に応じた偏光変換機能と、液晶パネル10の外部に配置された図示しない偏光板の偏光選択機能とによって透過光を変調することで表示を行う装置である。
液晶パネル10の具体的な製造方法を以下に示す。まず、2枚のガラス基板12,22にスパッタ及びフォトリソグラフィーにより帯状のITOからなる電極14,24形成した。次に、電極14,24に重ねてポリイミド樹脂前駆体をスピンコート法により塗布し、220℃で加熱焼成して配向膜16,26を形成した。配向膜16,26の厚さは約500Åであった。上記ポリイミド樹脂前駆体は、ネマチック液晶混合物30にポジ型液晶を用いる場合には日産化学社製のSE7492を使用し、ネガ型液晶を用いる場合には日産化学社製のSE5300を使用した。続いて、配向膜16,26の表面に、レーヨン布によりラビング処理を施した。ラビング処理の方向は、液晶や液晶パネル10の使用目的に応じて変更した。詳しくは、ポジ型液晶の焼きつきの評価に用いる場合には、配向膜16,26のラビング方向を相対的に240度異ならせた。ネガ型液晶の焼きつき評価に用いる場合には、配向膜16,26のラビング方向を平行とした。また、応答速度の測定に用いる場合には、ポジ型液晶およびネガ型液晶ともに配向膜16,26のラビング方向は平行とした。
次に、ガラス基板12,22の一方に平均粒径3μmのシリカビーズからなるスペーサ34を散布し、他方に熱硬化型接着剤ML3804P(日本化薬社製)を塗布した後に、ガラス基板12,22を貼り合わせ、60分間、150℃にて加熱乾燥させて液晶セルを作成した。この液晶セルのセル厚(ガラス基板12とガラス基板22との間隔)をベレック位相板によって測定したところ約3μmであった。この液晶セルに、ネマチック液晶混合物30を真空注入法により注入した。
その際、ポジ型液晶の焼きつきの評価に用いる場合には、ネマチック液晶混合物30にカイラル剤としてS−811(メルク社製)を0.5wt%添加した。このとき、ラビング方向が両基板で240度異なることから、ネマチック液晶混合物30は240度ツイストのSTN(Super Twisted Nematic)モードとなる。なお、ネガ型液晶の焼きつき評価や応答速度の測定に用いる場合にはカイラル剤を添加しない。この場合のネマチック液晶混合物30は、ラビング方向が両基板で平行であることから平行配向となる。
次に、注入口にアクリル系のUV接着剤LPD−204(ヘンケルジャパン社製)を塗布し、波長365nmの紫外線を3000mJ/cm2照射して硬化させて封止を行った。その後、ネマチック液晶混合物30が等方性状態となる温度まで加熱し、等方相から20℃/hで25℃ まで徐冷することにより、液晶パネル10を得た。
(D.ネマチック液晶混合物及び液晶パネルの特性)
続いて、ジベンゾスベラン化合物Aを用いた種々のネマチック液晶混合物と、当該ネマチック液晶混合物を用いた液晶パネルの特性について説明する。ネマチック液晶混合物の特性としては、実施例1〜10及び比較例1〜4のネマチック液晶混合物に関して、TNIを測定した。液晶パネルの特性としては、実施例1〜10及び比較例1〜4のネマチック液晶混合物を用いた場合の応答速度及び表示品位(焼きつき)の評価を行った。実施例1〜10及び比較例1〜4のネマチック液晶混合物の組成と、各種評価結果を表2に示す。
Figure 2009173817
(D−1.ネマチック液晶混合物の組成)
実施例1,2,3は、ポジ型液晶(MLC−6608)に、上記式(II)で表されるジベンゾスベラン化合物Aをそれぞれ0.5wt%,2wt%,3wt%添加したものである。
実施例4,5は、ポジ型液晶(MLC−6608)に、上記式(III)で表されるジベンゾスベラン化合物Aをそれぞれ2wt%,3wt%添加したものである。
実施例6,7は、ポジ型液晶(MLC−6608)に、上記式(IV)で表されるジベンゾスベラン化合物Aをそれぞれ8wt%,10wt%添加したものである。
実施例8,9は、ネガ型液晶(MLC−6012)に、上記式(II)で表されるジベンゾスベラン化合物Aをそれぞれ1.5wt%,2wt%添加したものである。
実施例10は、ネガ型液晶(MLC−6012)に、上記式(V)で表されるジベンゾスベラン化合物Aを3wt%添加したものである。
比較例1,2は、それぞれジベンゾスベラン化合物Aを添加しないポジ型液晶(MLC−6608)、ネガ型液晶(MLC−6012)である。
比較例3,4は、ポジ型液晶(MLC−6608)に、上記式(II)で表されるジベンゾスベラン化合物Aをそれぞれ15wt%,0.1wt%添加したものである。
(D−2.TNI
表2において、比較例1,2とその他の実施例、比較例とを対比すると分かるように、ジベンゾスベラン化合物Aを添加したことによるネマチック液晶混合物のTNIの低下は、ジベンゾスベラン化合物Aの添加量1wt%当たり0.5〜2℃程度である。これに対し、表には示されていないが、従来のジフェニルエーテル化合物を添加したネマチック液晶混合物の場合には、ジフェニルエーテル化合物の添加量1wt%当たり2〜3℃程度TNIが低下する。このように、ジベンゾスベラン化合物Aを添加したネマチック液晶混合物は、TNIが低下しにくいという利点がある。これは、ジベンゾスベラン化合物Aがネマチック液晶材料に溶解しにくい性質の化合物であることに起因する。ただし、比較例3に示すように、ジベンゾスベラン化合物Aを15wt%添加するとTNIが20℃低下し、実使用上適切な特性が得られない。このため、TNIの低下抑制の観点から、ジベンゾスベラン化合物Aの濃度は10wt%以下とすることが好ましい。
(D−3.応答速度)
応答速度の詳細な評価方法は次の通りである。すなわち、平行配向のネマチック液晶混合物が封入された液晶パネルに直交ニコルとなるように偏光板を挟み、25℃において、ネマチック液晶混合物に±10Vの矩形波の駆動電圧を印加した。このときの光学反応(透過光量が0%から90%まで変化するのに要する時間)を光電子増倍管(フォトマル)(浜松ホトニクス社製)で検知して測定し、応答速度(応答時間)とした。
応答速度の評価基準を以下に示す。
◎:無添加ネマチック液晶材料に対する応答速度向上率35%以上。
○:無添加ネマチック液晶材料に対する応答速度向上率10%以上35%未満。
△:無添加ネマチック液晶材料に対する応答速度向上率0%以上10%未満。
×:無添加ネマチック液晶材料に対して応答速度向上効果なし。
記号◎、○、△、×は、表2中の応答速度の欄の記号と対応する。ここで、無添加ネマチック液晶材料とは、被検査ネマチック液晶混合物がポジ型液晶(MLC−6608)を含む場合には比較例1(MLC−6608)を指し、被検査ネマチック液晶混合物がネガ型液晶(MLC−6012)を含む場合には比較例2(MLC−6012)を指す。
表2から分かるように、ジベンゾスベラン化合物Aを0.5wt%以上10wt%以下の濃度で添加したネマチック液晶混合物は、無添加ネマチック液晶材料に対して10%以上の応答速度向上効果が得られる。このように、ジベンゾスベラン化合物Aを好適な濃度(0.5wt%以上10wt%以下)で添加することで、ネマチック液晶材料の応答速度を向上させることができる。
ここで、ジベンゾスベラン化合物Aは、いす型配座において7員環に縮合する2つのベンゼン環が直線上でツイストした形状となっている。また、ジフェニルエーテル化合物よりも、ジベンゾスベラン化合物Aの方が縮環した化学構造である。これらに起因して、ジベンゾスベラン化合物Aは、2つのベンゼン環のツイスト構造が固定化されやすく、幅広い温度でも安定した応答速度の改善効果が得られる。
(D−4.表示品位(焼きつき))
焼きつきの詳細な評価方法は次の通りである。すなわち、ポジ型液晶を使用した場合は240度にツイストしたネマチック液晶混合物が封入された液晶パネル、ネガ型液晶を使用した場合は垂直配向したネマチック液晶混合物が封入された液晶パネルを、固定画面のままで矩形波により4時間駆動した。固定画面は、例えば白の背景に黒の矩形を表示させた画面とした。その後、例えば全画面を中間調表示とした状態で、適宜偏光板、位相差板を介して目視により表示を観察し、焼きつきの程度を評価した。
焼きつきの評価基準を以下に示す。
○:無添加ネマチック液晶材料よりも焼きつき程度良好。
×:無添加ネマチック液晶材料よりも焼きつき程度悪化。
記号○、×は、表2中の表示品位の欄の記号と対応する。ここで、無添加ネマチック液晶材料とは、被検査ネマチック液晶混合物がポジ型液晶(MLC−6608)を含む場合には比較例1(MLC−6608)を指し、被検査ネマチック液晶混合物がネガ型液晶(MLC−6012)を含む場合には比較例2(MLC−6012)を指す。焼きつきの評価は、目視によるもののほか、焼きつきのある領域及び焼きつきのない領域の輝度を測定し、その差によって評価してもよい。
表2から分かるように、ジベンゾスベラン化合物Aを添加したネマチック液晶混合物は、ジベンゾスベラン化合物Aを15wt%添加した比較例3を除き、無添加ネマチック液晶材料よりも焼きつき程度が良好となる。すなわち、ジベンゾスベラン化合物Aを10wt%以下の濃度で添加することで、焼きつきの程度を改善する効果を得ることができ、液晶パネルの表示特性を向上させることができる。これは、ジベンゾスベラン化合物Aが分子中に酸素原子を含んでいないため、ネマチック液晶材料中のイオン性不純物イオンに対する吸着能が低いことに起因する。
以上のように、ジベンゾスベラン化合物Aが添加されたネマチック液晶混合物によれば、無添加のネマチック液晶材料と比較して広い温度範囲で大幅な応答速度の改善効果が得られ、また焼きつきの少ない良好な表示特性を有する液晶パネルが得られる。
上記実施形態に対しては、様々な変形を加えることが可能である。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
式(I)におけるX,Rの位置番号は、上記実施形態に示したものに限られない。例えば式(III)で表されるジベンゾスベラン化合物A(3−フルオロ−8−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン)においては、R=7−CH3,X=2−Fであってもよい。また、式(V)で表されるジベンゾスベラン化合物A(2−フルオロ−7−エチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン)は、R=8−C25,X=3−Fであってもよい。
(変形例2)
式(I)におけるRは、メチル基、エチル基に限らず、より炭素原子数の多いアルキル基であってもよい。また、式(I)におけるXは、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)に限らず、その他のハロゲン原子(すなわち臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I))であってもよい。
(変形例3)
ジベンゾスベラン化合物Aの合成方法は、上記合成例1〜4に示した方法に限られず、この他にも例えばハロゲン化フェニル酢酸とアルキルベンジルアルコールを出発原料とする合成方法や、アルキルフェニル酢酸とハロゲン化ベンジルアルコールを出発原料とする合成方法を用いてもよい。
(変形例4)
上記実施形態の液晶パネル10は、帯状の電極14,24を用いたパッシブマトリクス型の構成であるが、これに限定する趣旨ではなく、例えばTFT(Thin Film Transistor)素子及び画素電極を有する素子基板と、共通電極を有する対向基板とを用いたアクティブマトリクス型の構成としてもよい。また、液晶モードは、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、IPS(In Plain Switching)、FFS(Fringe Field Switching)、STN等、種々のモードを採用することができる。
液晶パネルの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図。 (a)、(b)は、ガラス基板上の電極の構成を示す平面図。
符号の説明
10…液晶パネル、12,22…ガラス基板、14,24…電極、16,26…配向膜、30…ネマチック液晶混合物、32…シール材、34…スペーサ、36…ドライバIC。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 2009173817
    (式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物が添加されたことを特徴とするネマチック液晶混合物。
  2. 請求項1に記載のネマチック液晶混合物であって、
    前記Rが炭素原子数1又は2のアルキル基であることを特徴とするネマチック液晶混合物。
  3. 請求項1に記載のネマチック液晶混合物であって、
    前記Xがフッ素原子又は塩素原子であることを特徴とするネマチック液晶混合物。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のネマチック液晶混合物であって、
    前記化合物を0.5wt%以上10wt%以下の濃度で含有していることを特徴とするネマチック液晶混合物。
  5. 一対の基板と、
    前記一対の基板の間に配置された、請求項1から4のいずれか一項に記載のネマチック液晶混合物と、
    前記一対の基板の前記ネマチック液晶混合物側の面に形成された配向膜と、を備えることを特徴とする液晶パネル。
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