JP2009172947A - 木質複合床材の表面塗装方法 - Google Patents

木質複合床材の表面塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面に難吸収性化粧材を有する複合床材の表面と複数の化粧溝とを均一に、外観性よく塗装できる木質複合床材の表面塗装方法を提供する。
【解決手段】木質基材12の上に難吸収性化粧材11を貼着し、表面化粧した複合床材の表面をロール塗装する方法であって、下塗り塗装工程Aにおいて、上記難吸収性化粧材11に複数本設けられた化粧溝111の方向にロールの回転方向が並行するように上記複合床材を搬送するとともに、スポンジロールSpで下塗り塗料2をナチュラルコートし、ついでゴムロールでナチュラルコートして塗膜を平滑化した後、乾燥させ、中塗り塗装、上塗り塗装を行う木質複合床材1の表面塗装方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、床材の塗装方法に関する。さらに詳しくは、合板、MDF等の木質基材に木粉樹脂複合材(WPB・・・ウッドプラスチックボード)等、塗料を吸収し難い、難吸収性化粧材を貼着した複合床材の表面を塗装する方法に関する。
近年、木材資源の枯渇化が進み、無垢の木材の入手が困難となり、その価格も高騰しつつある。そこで、合板、集成材、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード等、種々の木質基材に突き板等、表面化粧材を貼着し、表面を化粧した木質複合床材が普及している。この木質複合床材は、床材のみならず、壁材、天井材等の分野にも広く使用されている。
一方、特開2007−105695号公報には、厚単板、特に無垢の単板の表面を化粧し、樹木の種類に限定されることなく、無垢の単板を重厚な高級感のある木質系床材に仕上げる技術が開示されている。すなわち、上記特許文献には、上記木質系床材に下塗り塗装を施し、下塗りした木質系床材の表面を乾燥後、圧締ロールによってロール加工し、圧締された下塗り塗装膜をさらに上塗りし、仕上げることを特徴とする木質系床材の塗装方法が開示されている。
また、特開2003−71372号公報には、ロールコーター塗装方法に関する技術が提案され、たとえば木質フロアー等の木質基材などの基材表面に、塗装ムラのない、均一かつ平滑な鏡面仕上げの厚膜塗膜を形成できる塗装方法が開示されている。
本願図4は、上記特許文献記載のロールコーター塗装方法における下塗り塗装ラインを木質複合床材4に適用した例を模式的に示す説明図である。本願図4に示すように、上記木質複合床材4は、木質基材42に表面化粧材41を貼着してなり、表面化粧材41には化粧溝411がその長さ方向に複数本刻設されている。
上記木質複合床材4は、図4に白抜き矢印で示す方向、すなわち、長さ方向に設けられた化粧溝411にロールの回転方向が並行するように、下塗り塗装ラインXに送られる。上記下塗り塗装ラインXは、ゴムロールとその直下に位置する金属ロールとからなるナチュラルロールコーターEおよびゴムロールとその直下に位置する金属ロールとからなるリバースコーターFをこの順に組み込んでなる塗布機と、ゴムロールとその直下に位置する金属ロールとからなるナチュラルロールコーターGとをこの順に設置して構成されている。
上記した塗装技術は、床材塗装においては一般的に用いられているものであり、通常、木質基材等の被塗装物の表面は、ゴムロールによる下塗塗料の塗布(ナチュラルコート)、ゴムロールを金属ロールと逆方向に回転させることによる余剰の下塗塗料の掻き取り(リバースコート)、ゴムロールによる下塗塗料の塗布膜の平滑化(ナチュラルコート)をこの順に組み込んで下塗り塗装される。
特開2007−105695号公報 特開2003−71372号公報
ところで、近年、木質廃材の再利用という見地から、建材工場等で発生する木質加工屑、端材の処理、リフォーム等で廃棄される使用済みの木質建材を回収し、これらを粉砕して木粉として利用することが行われつつある。例えば、上記木粉を、無機フィラー、強化剤等の存在下にポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS等の熱可塑性プラスチックと混練した後、押出成形機により板状に成形したものが木粉樹脂複合材(WPB)として開発され、市販されている。
上記木粉樹脂複合材(WPB)は、Tダイから押し出し成形され、1〜3mm程度のシート状で供給されて、合板、集成材、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード等、種々の木質基材と複合させ、表面化粧材として用いられる。そして、プラスチックの特性である、凹みにくく、水に強いことを活かして、主に、洗面所等の水回りの施工、およびリフォーム用として用いられている。
しかしながら、表面をロールコートするとき、塗料の吸い込み性が悪いため、従来のナチュラルコートの後に塗料の掻き取り(リバースコート)工程を行うと掻き取り量が大となって、ゴムで構成されるリバースロールの掻き取り能力を超え、掻き取り能力を超えた余剰の下塗り塗料は、滴下して塗膜が厚膜化し、この厚膜化は、被塗装床材の下塗り塗装工程が進行するとともに、大きくなる。
本願図5は、本願図4における化粧溝411の長さ方向に沿う断面を模式的に示す断面図である。本願図5に示されるようにナチュラルコート後にリバースコートすると表面化粧材41が塗料の吸い込み性の悪い難吸収性である場合、化粧溝411内に塗料が過剰に塗布され、化粧溝411が徐々に埋まり、不均一塗膜5が形成されるという問題が生じる。
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、例えば、合板等、定尺の木質基材に上記した難吸収性化粧材が貼着され、表面に化粧溝を有する複合床材の表面と複数の化粧溝とを均一に、外観性よく塗装することのできる木質複合床材の表面塗装方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係る木質複合床材の表面塗装方法は、木質基材の上に難吸収性化粧材を貼着し、表面化粧した複合床材の表面をロール塗装する方法であって、下塗り塗装工程において、上記難吸収性化粧材に複数本設けられた化粧溝の方向にロールの回転方向が並行するように上記複合床材を搬送するとともに、スポンジロールで下塗り塗料をナチュラルコートし、ついでゴムロールでナチュラルコートして塗膜を平滑化した後、乾燥させ、中塗り塗装、上塗り塗装を行うことを特徴としている。
上記スポンジロールとしては公知のものが用いられ、各種の合成樹脂を発泡させたもの、例えば、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体等をロール体としたものをあげることができる。また、ゴムロールとしては、ウレタンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム等をロール体としたものをあげることができる。
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の木質複合床材の塗装方法において、上記木質基材の上に貼着される難吸収性化粧材がWPBであることを特徴としている。木粉樹脂複合材(WPB)としては、1〜3mm程度の厚さのものが好ましく用いられ、各種の模様、例えば、チェリー柄、ダークセピア柄、バーチ柄、ベージュホワイト柄、ミディアムオーク柄等の木目模様あるいはクリア柄等、各種の模様がデザインされたものが用いられる。上記WPBを木質基材、例えば、合板の上に接着剤を用いて貼着、一体化して得られた木質複合床材の表面を本願発明に係る表面塗装方法を用いて塗装する。
上記接着剤としては、酢酸ビニル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、イソシアネート、SBR、NBR等の合成樹脂あるいはゴム系の接着剤が好適に用いられる。
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の木質複合床材の塗装方法において、上記難吸収性化粧材を下塗りする塗料が溶剤希釈型塗料であることを特徴としている。上記溶剤希釈型塗料としては、ウレタン塗料やポリエステル塗料を用いることが好ましく、シックハウス症候群等への対策を考えると有害な化学物質を出すことのない水溶媒型の塗料を用いることが好ましい。また、希釈度は化粧溝に滞留せず、均一に塗布できる程度の低い粘度となるように希釈することが好ましい。
請求項4に記載の木質複合床材の塗装方法は、上記請求項1に記載の木質複合床材の塗装方法において、上記上塗り塗装に用いる塗料が透明塗料であることを特徴としている。上記上塗り塗料を構成する樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノアルキッド樹脂等をあげることができ、中でも、紫外線硬化型のクリアないしは半クリアな透明塗料を用いることが好ましい。
請求項1記載の発明にかかる木質複合床材の塗装方法においては、特に、下塗り塗装工程において、木質複合床材の表面を構成する難吸収性の化粧材に刻設された複数本の化粧溝の方向にロールの回転方向が並行するように上記複合床材を搬送するとともに、スポンジロールで下塗り塗料をナチュラルコートし、リバースロールで掻き取る工程を省略して、すぐにゴムロールでナチュラルコートするため、下塗り塗料が掻き取られることなく、均一に塗布され、平滑な下塗り塗膜を得ることができる。そして平滑な下塗り塗膜の上に中塗り塗装、上塗り塗装を行うことによって、表面に艶を与え、見映えよく仕上げることができる。さらに、表面が傷付き難く耐衝撃性に優れた表面塗膜を形成することができる。
請求項2記載の発明に係る木質複合床材の塗装方法においては、特に、上記木質基材の上に貼着される難吸収性化粧材がWPBであることを特徴としている。木粉樹脂複合材(WPB)には、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ABS等の樹脂成分が含まれているため、耐水性に優れ、キッチン、洗面所等水回りの床面の施工、リフォームに好適に用いることができる。
請求項3記載の発明に係る木質複合床材の塗装方法においては、特に、上記難吸収性化粧材を下塗りする塗料を溶剤希釈型塗料とすることにより、溶剤で希釈度を調節して粘度を下げることができるため、化粧溝に下塗り塗料が滞留することのないように、最適粘度で下塗り塗装を行うことができる。
請求項4記載の発明に係る木質複合床材の塗装方法においては、特に、上塗り塗装に用いる塗料を透明塗料とすることにより、表面を平滑に、また見映えよく仕上げることができる。また、食器等を落としても表面が傷付き難い耐衝撃性に優れた塗膜を形成することができる。
以下、本願発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態においては、木質基材として合板を用い、その上に木粉樹脂複合材(WPB)を貼着した木質複合床材の表面を塗装する方法について説明する。
図1は、本願発明に係る木質複合床材の表面塗装方法において、下塗り塗装を行う工程を示す説明図である。図1に示すように、木質複合床材1は木質基材12として合板を用い、その上に難吸収性化粧材11としてWPBを貼着、一体化してなるとともに、上記難吸収性化粧材11には化粧溝111がその長さ方向に設けられている。また、木質複合床材1は、金属製の送りロールR1で白抜き矢印の方向、すなわち、化粧溝111の方向にロールR1の回転方向が並行となるように搬送される。
上記木質複合床材1は、下塗り塗装工程Aにおいて、まず、スポンジロールSpに図外下塗り塗料供給手段から下塗り塗料が供給され、スポンジロールSpに滲入し、塗布される下塗り塗料2で難吸収性化粧材11の表面がロールコートされる。このとき、上記送りロールR1は木質複合床材1を搬送するロールとして機能するとともに、スポンジロールSpからの下塗り塗料2が難吸収性化粧材11に刻設された複数の化粧溝111の方向に沿って均一にロールコートされるよう、スポンジロールSpの直下で回転下にその圧力を支える。
上記難吸収性化粧材11は、下塗り塗料2の吸い込みが悪いため、既述した理由により、余剰の下塗り塗料をリバースロールで掻き取る工程を設けることなく、直ちにナチュラルロールNで塗膜の平滑化を行う。ここで、送りロールR2は木質複合床材1の搬送ロールとして機能するとともに、上記と同様に、木質複合床材1の表面の難吸収性化粧材11上で下塗り塗料2のスポンジ目が消え、均一となるようにナチュラルロールNをその直下で支える。このようにすることにより、木質複合床材1の難吸収性化粧材11上に平滑に下塗り塗膜3をロールコートすることができる。
図2は、上記のようにして下塗り塗装された木質複合床材1をその幅方向に沿う断面を拡大して示す断面図である。図2に示すように、余剰の下塗り塗料をリバースロールで掻き取る工程を省略することによって、却って難吸収性化粧材11の表面に下塗り塗膜3が均一にロールコートされ、難吸収性化粧材11およびそれに刻設された化粧溝111に平滑な下塗り塗膜3が形成されている。
図3は、上記した下塗り塗装工程Aを含む本願発明に係る木質複合床材の表面塗装方法の全工程をまとめて示すフローチャート図である。図3に示されるように、上記下塗り塗装工程Aを終了した後、下塗り塗装された木質複合床材1は、ついで、乾燥工程Bに送られ、溶媒を飛ばし、乾燥される。乾燥手段としては、例えば、ジエットドライヤーが用いられ、乾燥温度を約80〜150℃、乾燥時間を30秒ないし3分の条件で乾燥される。
上記乾燥工程Bの終了後、下塗り塗膜3が形成された木質複合床材1は、さらに中塗り塗装工程Cに送られ中塗り塗装される。中塗り塗料としては、常温硬化型のウレタン系塗料、あるいは加熱硬化型のメラミン系塗料、尿素・メラミン系塗料、ポリエステル系塗料、アクリル系塗料、あるいは、紫外線硬化型のウレタン系塗料、ポリエステル変性アクリル系塗料等の中塗り塗料が用いられる。
上記のようにして形成された中塗り塗膜の上に、さらに、上塗り塗装工程Dで透明塗料を用いて上塗り塗装を行う。透明塗料としては、アクリル樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料等が好適に用いられる。上記上塗り塗装工程Dで透明塗料が中塗り塗膜の上に塗布され、クリア、あるいは半クリアな塗膜が形成されるため、この塗膜が保護層として機能し、食器等を落としても表面が傷付きにくく耐衝撃性に優れた床材を得ることができる。
以上述べたように、本願発明の方法によって表面を塗装された木質複合床材1は、見映えよく塗装仕上げされ、耐衝撃性にすぐれ、局所的荷重や、耐キャスター付きワゴン性に優れたものとすることができる。なお、上記実施形態においては、中塗り塗装、上塗り塗装をそれぞれ、1回行った場合について述べたが、それぞれ、数回重ね塗りをしてもよい。また、上記乾燥工程Bの終了後、必要に応じて鉄ロールによって下塗り塗膜3を圧締してもよい。このように本願発明に係る木質複合床材の表面塗装方法は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、本願発明の技術的範囲に属する。
本願発明にかかる木質複合床材の表面塗装方法において木質複合床材の表面に下塗り塗装を行う工程を示す説明図。 本願発明の方法によって塗布された下塗り塗膜を拡大して示す断面図。 本願発明に係る木質複合床材の塗装方法の全工程を示すフローチャート図。 木質複合床材に公知のロールコーター塗装方法における下塗り塗装ラインを適用した例を模式的に示す説明図。 公知のロールコーター塗装方法により化粧溝が埋まり下塗り塗膜が不均一に塗布された状態を模式的に示す断面図。
符号の説明
A 下塗り塗装工程
B 乾燥工程
C 中塗り塗装工程
D 上塗り塗装工程
Sp スポンジロール
R1 送りロール
R2 送りロール
N ナチュラルロール
1 木質複合床材
11 難吸収性化粧材
111 化粧溝
12 木質基材
2 下塗り塗料
3 下塗り塗膜
X 公知の下塗り塗装ライン
E ナチュラルロールコーター
F リバースコーター
G ナチュラルロールコーター
4 公知技術における木質複合床材
41 公知技術における表面化粧材
411 化粧溝
42 公知技術における木質基材
5 不均一塗膜

Claims (4)

  1. 木質基材の上に難吸収性化粧材を貼着し、表面化粧した複合床材の表面をロール塗装する方法であって、下塗り塗装工程において、上記難吸収性化粧材に複数本設けられた化粧溝の方向にロールの回転方向が並行するように上記複合床材を搬送するとともに、スポンジロールで下塗り塗料をナチュラルコートし、ついでゴムロールでナチュラルコートして塗膜を平滑化した後、乾燥させ、中塗り塗装、上塗り塗装を行う木質複合床材の表面塗装方法。
  2. 上記木質基材の上に貼着される難吸収性化粧材がWPBである請求項1に記載の木質複合床材の表面塗装方法。
  3. 上記難吸収性化粧材を下塗りする塗料が溶剤希釈型塗料である請求項1に記載の木質複合床材の表面塗装方法。
  4. 上記上塗り塗装に用いる塗料が透明塗料である請求項1に記載の木質複合床材の表面塗装方法。
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