JP2009172940A - 微細形状転写シートの製造方法 - Google Patents

微細形状転写シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細形状が表面に形成された金型の表面にシート状の樹脂基材を供給した後、プレート板により樹脂基材を金型に押圧して樹脂基材の表面に微細形状を転写する微細形状転写シートの成形方法であって、耐汚れ性、耐傷性に優れ、ニップロール停止跡が残らない保護フィルム付き微細形状転写シートの製造方法を提供するものである。
【解決手段】微細形状が表面に形成された金型の表面にシート状の樹脂基材を供給する工程と、樹脂基材を金型に押圧して樹脂基材の表面に微細形状を転写する工程と、樹脂基材の微細形状が転写された面に保護フィルムを、保護フィルムの粘着層面が樹脂基材側を向くように押圧装置で貼り合せる工程とをこの順に行う微細形状転写シートの製造方法であって、樹脂基材が停止している際に押圧装置で挟まれている樹脂基材の微細形状の凹み部分への保護フィルムの粘着層の充填率を100%未満にする微細形状転写シートの製造方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、微細形状が表面に形成された金型の表面にシート状の樹脂基材を供給した後、プレート板により樹脂基材を金型に押圧して樹脂基材の表面に微細形状を転写する微細形状転写シートの成形方法であって、耐汚れ性、耐傷性に優れ、ニップロール停止跡が残らない保護フィルム付き微細形状転写シートの製造方法を提供するものである。
液晶表示装置は、ノートパソコンや携帯電話機器を始め、テレビ、モニター、カーナビゲーション等、多様な用途に用いられている。液晶表示装置には、光源となるバックライト装置が組み込まれており、バックライト装置からの光線を液晶セルに通して制御することにより、表示される仕組みとなっている。このバックライト装置に求められる特性は、単に光を出射する光源としてだけではなく、画面全体を明るく均一に光らせることである。
近年、カラー液晶テレビ等をはじめ、液晶表示装置のカラー化が進んでおり、従来の単色液晶表示装置に使用された面光源手段では十分な輝度を確保することができなくなってきている。そのため、各種バックライト装置と液晶セルの間には、一般的に輝度向上シートが使用されている。輝度向上シートは、シート表面に微細形状を設け、光を集光させて、正面輝度を向上させる仕様となっていることが多い。シート表面に微細形状を設ける方法のひとつとして、薄いフィルムなどのシート状基材の表面に、金型の表面に設けた微細形状を転写するプレス成形方法が知られており(特許文献1、特許文献2)、この方法で作成されたシートを本発明では微細形状転写シートと呼ぶ。
また、輝度向上シートは微細形状面に汚れや傷がつくと製品の欠陥となるため、組み立て時や各種加工時、輸送時には微細形状面に保護フィルムを貼り、汚れや傷を防止することが一般的に用いられている。一般的に保護フィルムは基材層と粘着層からなり、粘着層は微細形状面との易接着性及び易剥離製が要求される。
特開2005―199455号公報 特開2005―310286号公報
前述したプレス成形方法でも、プレスを行った後に汚れや傷防止のため微細形状面に保護フィルムを貼り合せている。方法としては、生産装置に組み込み容易なニップロールを使用し、保護フィルムと微細形状転写シートの接合部分に圧力をかけて貼り合せていることが多い。しかし、プレス成形方法では、プレスを行っている間プレス装置の搬送が停止するため、ニップロールに挟まれている部分の保護フィルムの粘着層が微細形状転写シートの微細形状凹みに充填されてしまい、停止時にニップロールに挟まれた製品部分に透明なニップロール跡が残る問題がある。これらの跡は、保護フィルムを貼ったまま、外観検査を行う際に微細形状転写シートの欠陥と間違えやすく、傷や異物を発見しがたい等の問題がある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明は、微細形状が表面に形成された金型の表面にシート状の樹脂基材を供給する工程と、樹脂基材を金型に押圧して樹脂基材の表面に微細形状を転写する工程と、樹脂基材の微細形状が転写された面に保護フィルムを、保護フィルムの粘着層面が樹脂基材側を向くように押圧装置で貼り合せる工程とをこの順に行う微細形状転写シートの製造方法であって、樹脂基材が停止している際に押圧装置で挟まれている樹脂基材の微細形状の凹み部分への保護フィルムの粘着層の充填率を100%未満にする微細形状転写シートの製造方法である。
本発明によれば、微細形状転写シートの微細形状凹みに粘着層が100%充填されないように保護フィルムを貼りあわせることで、保護フィルム本来の目的である汚れや傷の防止をしつつ、ニップロール停止跡が残らない保護フィルム付き微細形状転写シートを提供することができる。本発明の製造方法により得られる保護フィルム付きの微細形状転写シートによれば、保護フィルムを貼ったまま、欠点検査を容易に行うことができる。
本発明は、微細形状が表面に形成された金型の表面にシート状の樹脂基材を供給する工程と、樹脂基材を金型に押圧して樹脂基材の表面に微細形状を転写する工程と、樹脂基材の微細形状が転写された面に保護フィルムを、保護フィルムの粘着層面が樹脂基材側を向くように押圧装置で貼り合せる工程とをこの順に行う微細形状転写シートの製造方法であって、樹脂基材が停止している際に押圧装置で挟まれている樹脂基材の微細形状の凹み部分への保護フィルムの粘着層の充填率を100%未満にする微細形状転写シートの製造方法である。
以下、更に詳しく本発明の微細形状転写シートの製造方法と、本発明にかかる保護フィルム、微細形状転写シートについて説明する。
本発明の微細形状転写シートの製造方法は、微細形状が転写された樹脂基材(以下、微細形状転写シートとする)の微細形状転写面に保護フィルムを、保護フィルムの粘着層面が微細形状転写シート側を向くように押圧装置で貼り合せる。樹脂基材へ微細形状を転写する際に、一時的に樹脂基材の搬送を停止し間欠的に微細形状を転写する方法では、樹脂基材が停止しているときに押圧装置で挟まれている部分の微細形状転写シートの微細形状凹みへ、保護フィルムの粘着層が充填され易くなる。あるいは、樹脂基材の搬送を停止せずに連続的に微細形状を転写する方法でも、検査等の後工程のために一時的に樹脂基材の搬送を停止することがあり、同様に樹脂基材が停止しているときに押圧装置で挟まれている部分の微細形状転写シートの微細形状凹みへ、保護フィルムの粘着層が充填され易くなる。
本発明においては、微細形状転写シートの微細形状凹みへの保護フィルムの粘着層の充填率は100%未満とする必要がある。充填率は85%以下がより好ましい。図1に保護フィルムを貼り合わせた微細形状転写シートの顕微鏡断面写真を、図2は図1の模式図を示す。図1(a)、図2(a)は微細形状凹みへの充填率100%の場合を示しており、図1(b)、図2(b)は微細形状凹みへの充填率100%未満の場合を示している。充填率が100%となった領域は、微細形状凹みと粘着層3間の空気層5がなくなることで透過率が向上し、目視確認や透過検査を行った際に透明の跡に見えることから、欠点検査を行った際に欠陥として認識されてしまう。そこで、本発明においては、保護フィルムの粘着層の粘着力等に応じて、押圧装置の押圧力や樹脂基材の搬送の停止時間を適宜調整することで、樹脂基材が停止している際に押圧装置で挟まれている部分の微細形状凹みへの粘着層の充填率を100%未満となるようにする。また、樹脂基材の搬送が停止している間だけ押圧装置の押圧力を小さくしてもよい。
保護フィルムと微細形状転写シートを貼り合わせる押圧装置・押圧方法としては従来公知の装置・方法が使用できるが、生産装置に組み込み容易なニップロールを使用し、保護フィルムと微細形状転写シートの接合部分に圧力をかけて貼り合わせる方法が好ましく用いられる。ニップロールの圧力は特に規定されないが、1〜5kgf/cmが好ましい。ニップロール圧力が5kgf/cmより大きいと、保護フィルムを微細形状転写シートから剥離する際に、微細形状転写シートが変形する等の問題が発生する場合がある。また、1kgf/cmより小さいと各後工程で微細形状転写シートから剥離しやすくなる。また、ニップロールの材質は特に規定されないが、保護フィルムや微細形状転写シートへの擦り傷や高温での使用を考慮して、シリコンゴム等が好ましく使用される。
本発明にかかる保護フィルムとは、熱可塑性フィルムに特殊な粘着加工が施され耐熱性、接着性、再剥離性を有することが特徴であるフィルムで、FPC材料のエッチング工程の支持体としてや金属箔の打ち抜き加工、コーティング加工時の保護および支持体として用いられているフィルムを使用することができる。
保護フィルムの基材層には一般的なプラスチックフィルムを使用することができるが、粘着フィルムを貼り付けたまま外観検査ができるよう高い透明性を有するプラスチックフィルムが用いられることが好ましい。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、トリアセテートフィルム等を挙げることができる。これらの中で生産性、加工性に優れるポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好ましく使用できる。
プラスチックフィルムの厚みは5〜200μmが好ましく用いられ、10〜60μmが特に好ましく用いられる。5μmより薄いとフィルム強度が不足し、十分な保護性能が得られず、剥離時に保護フィルムが破れる等の問題が発生しやすくなる。また、200μmより厚いとフィルムの透明性が悪くなったり、保護フィルム自身が高価になる傾向がある。
保護フィルムの粘着層に用いられる粘着剤としては特に規定はされないが、アクリル共重合体、イソプレン、イソブチレン、ブタジエン等のジエンモノマーのゴム状重合体または共重合体、シリコンゴム、天然ゴム等が好ましく使用される。これらの粘着剤のガラス転移点は−20℃以下のものが好ましい。粘着剤のガラス転移点の下限については特に制限はないが、製造可能性から一般に−80℃である。
本発明における保護フィルムの粘着層の厚みは特に規定されないが、貼り合せを行う微細形状転写シートの微細形状高さより薄いことが好ましい。粘着層の厚みが微細形状高さより大きいと微細形状凹みへ粘着層が容易に充填してしまい、ニップロール停止跡が残りやすくなる。
本発明にかかる保護フィルムは樹脂基材に対する密着力が1〜100gf/25mmの範囲であることが好ましい。さらに10〜70gf/25mmの範囲がより好ましい。1gf/25mmより粘着力が小さいと各種後工程で光学シートより剥離しやすくなる。また、100gf/25mmより粘着力が大きいと粘着層が微細形状凹みの側面に容易に密着するため、微細形状凹みと粘着層間の空気層を排除しやすくなるため、微細形状転写シートの微細形状凹みへ、保護フィルムの粘着層が充填されやすくなる。また、微細形状転写シートから保護フィルムを剥離するときに、微細形状転写シートが変形する等の問題が発生しやすい。
本発明にかかる微細形状転写シートの樹脂基材は、熱可塑性樹脂を主体とした薄板状物であればよく、後述する成形用の熱可塑性樹脂(以下、成形用熱可塑性樹脂)からなる単層体、支持体の片面に成形用熱可塑性樹脂を積層した2層積層体、支持体の一方の面に成形用熱可塑性樹脂を他方の面に成形用熱可塑性樹脂とは異なる樹脂を積層した3層積層体、支持体の両面に成形用熱可塑性樹脂を積層した3層積層体等がある。単層体は製膜上のハンドリング等に優れている。2層積層体は成形用熱可塑性樹脂を配した面とは反対側の面に易滑性、耐摩擦性などの表面特性や、機械的強度、耐熱性を付与することができる。また、高価な成形用熱可塑性樹脂の使用を減らせるので単層体と比較してコストも抑えられる。3層積層体は支持体の両面に樹脂が積層されるので成形後のカールが防止できる点から好ましい。特に支持体の両面に成形用熱可塑性樹脂を積層した3層積層体の場合、両面の樹脂の特性が同じであるからカールの防止が容易となり好ましい。ただし、シート状樹脂基材の非成形面も成形し易い成形用熱可塑性樹脂であるため、非成形面にプレート板を直接接して押圧すると、非成形面の成形用熱可塑性樹脂に傷がついたり、プレート板の表面粗さが転写してしまうことがある。このような場合に本発明の成形方法が特に好ましく適用でき、非成形面の樹脂に傷や転写跡が着くのを防止することができる。また、成形熱可塑性樹脂からなる単層体や、2層積層体又は3層積層体における成形面の成形用熱可塑性樹脂からなる層には、本発明の効果を阻害しない範囲において成形用熱可塑性樹脂以外の成分が含まれていてもよい。また、シート状樹脂基材の厚さは、好ましくは0.01〜3mmの範囲、より好ましくは0.01〜1mmの範囲である。0.01mm未満では成形するのに厚みが十分でない場合があり、3mmを超えると基材の剛性により搬送が難しくなる場合がある。
本発明にかかる成形用熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度Tgが好ましくは40〜180℃、より好ましくは50〜160℃、最も好ましくは50〜120℃の熱可塑性樹脂である。ガラス転移温度Tgが40℃未満であると成形品の耐熱性が低くなり形状が経時変化する場合がある。また、180℃を上回ると成形温度を高くせざるを得ないものとなりエネルギー的に非効率であり、またフィルムの加熱/冷却時の体積変動が大きくなりフィルムが金型に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの転写精度が低下したり、部分的にパターンが欠けて欠点となる場合がある。成型用熱可塑性樹脂は、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂からなるものである。これらの中で共重合するモノマー種が多様であり、かつ、そのことによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から、特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましく、上述の熱可塑性樹脂が50重量%以上からなることがさらに好ましい。
本発明かかる微細形状転写シート樹脂基材の形成方法としては、例えば、単層体の場合、シート形成用材料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)が挙げられる。その他の方法として、シート形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いで、かかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も挙げられる。
また、積層体の製造方法としては、支持体の樹脂と成形用熱可塑性樹脂をそれぞれ二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製した支持体に成形用熱可塑性樹脂を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、支持体と成形用熱可塑性樹脂で構成されたシートをそれぞれ別々に単膜作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、その他、シート形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をシート上に塗布する方法(コーティング法)等が挙げられる。また、積層体の場合にも上述の溶融ラミネート法、熱ラミネート法、コーティング法等を用いることができる。かかるシート状樹脂基材は、下地調整材や下塗り材などの処理が施されたものであっても良い。また、他の機能をもった基材との複合体としての構成も好ましい。
また、本発明にかかる微細形状転写シート樹脂基材には、重合時もしくは重合後に各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、有機微粒子、無機微粒子、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、離型剤、増粘剤、可塑剤、pH調整剤および塩などが挙げられる。特に、離型剤として、長鎖カルボン酸、もしくは長鎖カルボン酸塩、などの低表面張力のカルボン酸やその誘導体、および、長鎖アルコールやその誘導体、変性シリコーンオイルなどの低表面張力のアルコール化合物等を重合時に少量添加することが好ましく行われる。
本発明の微細形状転写シートの成形方法を実現するための成形装置について、以下図面に基づいて具体的に説明する。
図3に樹脂基材の表面に間欠的に微細形状を転写する微細形状転写シートの成形装置を、シート状の樹脂基材としてフィルムを用いた場合で、該フィルム幅方向から見た概略断面図を示す。
図3に示すように、本発明の微細形状転写シートの成形装置6は、プレスユニット10と、離型ユニット20と、ヒーターユニット30と、冷却ユニット40と、巻出ユニット50、押圧前保護フィルムラミネーターユニット90、押圧後保護フィルムラミネーターユニット100、巻取ユニット60から構成される。巻出ユニット50でロール状に巻き取られたフィルム7が、巻き出されて、事前にクリーナーロール69a、69bにて粉塵等を除去し、フィルム7の非成形面に保護フィルムが押圧前保護フィルムラミネーターユニット90にて貼合され、プレスユニット10で金型8の微細凹凸形状が転写形成され、事前に再度クリーナーロール76a、76bにて粉塵等を除去し、フィルム7の成形面に保護フィルムが押圧後保護フィルムラミネーターユニット100にて貼合され、巻取ユニット60によりロール状に巻き取られる。巻出ユニット50と巻取ユニット60は、上記のフィルムの搬送装置である。プレスユニット10は、加圧プレート(上)14aが支柱11をガイドにして昇降移動できるように、プレスシリンダー12に連結されている。支柱11はフレーム(上)16aとフレーム(下)16bに挟まれるように配設されている。加圧プレート(上)14aの下面には温調プレート(上)15aが取り付けられている。一方、加圧プレート(下)14bの上面には温調プレート(下)15bが取り付けられている。各温調プレートには、それぞれ、加熱ユニット30、冷却ユニット40が配管、配線等を介して接続されている。そして、金型8は温調プレート(下)15bの上側表面に取り付けられて、下側温調プレートを介して、加熱、冷却制御される。なお、金型8は温調プレート(上)15aの下面に取り付けられてもよい。
プレートは、フィルムを金型にプレスしてフィルムの表面に微細形状を転写するに際し、フィルムを金型方向へ押し付ける役割をするものである。また、フィルムをプレスする際に、フィルムを加熱・冷却できるように、プレートには加熱・冷却制御ができる機能が付与されることもある。各プレートのフィルム押圧面側の平面度は10μm以下が好ましく、5μm以下がさらに好ましい。プレスシリンダーは図示しない油圧ポンプとオイルタンクに接続されており、油圧ポンプにより加圧プレート(上)14aの昇降動作および、加圧力の制御を行う。また、本実施形態では油圧方式のプレスシリンダーを適用しているが、加圧力を制御できる機構であれば、いかなるものでもよい。圧力範囲は0.1MPa〜20MPaの範囲で制御できることが好ましく、1MPaで〜10MPaの範囲で制御できることがさらに好ましい。プレスシリンダーの昇圧速度は0.01MPa/s〜1MPa/sの範囲で制御できることが好ましく、0.05MPa/s〜0.5MPa/sの範囲で制御できることがさらに好ましい。本発明に用いられる金型8について説明する。
金型の転写面は、微細なパターンを有するものであり、金型に該パターンを形成する方法としては、機械加工、レーザー加工、フォトリソグラフィ、電子線描画方法等がある。金型の材質としては、所望のプレス時の強度、パターン加工精度、フィルムの離型性が得られるものであればよく、例えば、ステンレス、ニッケル、銅等を含んだ金属材料、シリコーン、ガラス、セラミックス、樹脂、もしくは、これらの表面に離型性を向上させるための有機膜を被覆させたものが好ましく用いられる。該金型の微細なパターンは、フィルム表面に付与したい微細な凹凸パターンに対応して形成されているものである。また、フィルムにある程度の厚みムラがあっても全面でムラなく成形できるように、温調プレート(下)15bの上側表面に金型8が取り付けられている場合には、温調プレート(上)15aとフィルム7の間に好ましくは緩衝材17を設置する。また、温調プレート(上)15aの下側表面に金型8が取り付けられている場合には、温調プレート(下)15bとフィルム7の間に好ましくは緩衝材17を設置する。プレートとフィルムとの間に緩衝材を設けることで、プレートの力をフィルム全面に均一にかけることができるので、転写ムラを起こすことがなく好ましい。該緩衝材17としては、プレート板によりシート状樹脂基材を金型にプレスしてシート状樹脂基材の表面に微細形状を転写するに際し、その成形性を満たすもの、ならびに押圧時プレートならびに金型を加熱する場合があるので、耐熱性に優れたものであれば、各種ゴム、各種フィルム等いずれでも良い。
次に、上記の離型装置たる離型ユニット20について説明する。図3に示したように、離型ユニットは剥離ロール21と補助ロール22から構成され、剥離ロール21には図示しない剥離ロール回転手段が接続されて、指定の回転数で回転制御される。剥離ロール回転手段は、回転数を制御できるものであればよいが、回転量を厳密に制御できるようにサーボモータがより好ましい。また、剥離ロール21が回転しながら、金型8の表面に略平行にスムーズに移動できるように、直動用の案内ガイド等が加圧プレート(下)14bの上面に取り付けられている。
一方、補助ロール22は、剥離ロール21の外表面に沿うように旋回できるように、上記の補助ロール移動手段たる補助ロール旋回手段が接続されている。補助ロール旋回手段は電磁モータ、空圧を利用したアクチュエータ等、補助ロールを剥離ロールの周辺でその外周に沿って昇降移動させうるものであればいかなるものでもよい。そして、補助ロールの両端はロール軸心を中心に自在に回転できるように取り付けられている。
実際にフィルムを金型表面から離型し、さらに、次に成形するフィルムの供給動作を説明する。
離型動作前は、巻取側端位置で補助ロール22を剥離ロール21のほぼ上方まで移動させる。その後、剥離ロール回転手段により剥離ロールを回転させる。剥離ロールは回転とともに、金型8の表面に沿ってフィルム巻出側へ直進移動し、同時に金型に貼り付いたフィルムを剥離ロールに抱きつかせながら離型していく。金型の全領域でフィルムの離型が完了すると、剥離ロールが回転しないようにブレーキをかけながら、下流側にある搬送駆動ロールを回転させてフィルムを引っ張る。すると、剥離ロールと補助ロールにフィルムが抱きついた状態で、剥離ロールと補助ロールのユニットがフィルム巻取側へ直進移動する。
剥離ロールが巻取側の端位置まで戻ったら、補助ロール旋回手段により、補助ロールを剥離ロールのほぼ下方に旋回移動させて、フィルムを開放する。上記の剥離動作は剥離ロールの回転速度に依存し、剥離速度はロールの周速とほぼ同速度で行える。そのため、厳密に剥離動作を制御することが可能となり、あらゆる成型材料、条件に対してもスムーズな剥離条件を容易に作り出すことができる。
また、離型ユニットの別の実施形態について説明する。上記で説明した構成に加えて、剥離ロールにリニアモーター、電磁シリンダー、空圧シリンダー等の剥離ロール直動手段を連結する。フィルムを剥離する場合は、剥離ロール回転手段に一定トルクを保持させながら、剥離ロール直動手段を駆動して、離型ユニットを巻出側へ移動させながら剥離を行う。剥離動作が完了すれば、上記と同様に剥離ロールの回転を止めた状態で、下流側にある搬送駆動ロールを回転させて、フィルムを引っ張る。
次に、加熱ユニット30について説明する。加熱ユニット30は温調プレート(上)、(下)15a、15bをアルミ合金とし、プレート内に鋳込んだ電熱ヒーターにより制御するものが良い。また、温調プレート内に鋳込んだ銅あるいはステンレス配管、もしくは、機械加工により加工した穴の内部に温調された熱媒体を流すことにより加熱制御するものでもよい。さらには両者を組み合わせた装置構成でもよい。
熱媒体としてはバーレルサーム(松村石油(株))、NeoSK−OIL(綜研テクニックス(株))等が良く、また、100℃以上に加熱された水を循環させてもよい。そして、効率良く伝熱ができるように、配管内部のレイノズル数が1.0×10〜12×10の範囲になることが好ましい。
また、鋳込みヒーター、カートリッジヒーター等にする場合は、温調プレートを分割制御できることが好ましい。
温調プレートは昇温中、降温中、一定温調中のすべてにおいて、レンジで10℃以内、さらに好ましくは5℃以内の温度分布におさまることが好ましい。
また、金型に直接、熱媒配管ラインを加工し、金型を直接温調するようにしてもよい。
次に、冷却ユニット40について説明する。冷却ユニットは温調プレート(上)(下)15a、15bに鋳込んだ銅あるいはステンレス配管、もしくは機械加工により加工した穴の内部に温調された冷媒体を流すことにより冷却制御する。
冷媒体としては、水が最適であるが、エチレングリコール溶液などでもよい。温度は10℃〜50℃の範囲が好ましく、効率良く伝熱できるように、配管内でのレイノズル数が1.0×10〜12×10の範囲になることが好ましい。
フィルム搬送装置たる巻出ユニット50、巻取ユニット60について説明する。巻出ユニット50は巻出ロール回転手段51と、ガイドロール52a〜52dと、引出バッファ部53と、フィルム固定部54から構成される。巻取ユニット60は巻取ロール回転手段61と、ガイドロール62a〜62cと、巻取バッファ部63と、搬送駆動ロール64と、フィルム固定部65から構成される。
引出バッファ部53、巻取バッファ部63はそれぞれボックス55、66とこれらに接続された吸引排気手段56、67から構成される。吸引排気手段56、67は真空ポンプ等、エアーを吸引、排気できるものであれば良く、ボックス内のエアーを排気することにより、ボックス内に挿入されたフィルムの表裏面で圧力差を与えることにより、一定の張力を付与したりボックス内でフィルムを弛ませたりして保持する。ボックス内に挿入されるフィルムの長さは、フィルムを成形する前後で間欠的に搬送するフィルム長さ分が適当である。さらに、ボックス55、66内にはセンサー57a、57b、68a、68bが取り付けられている。センサーは所定位置でフィルムを検知できるものであればよい。上記した離型ユニットによりフィルムが離型、搬送されて、ボックス内でセンサー検知位置からフィルムが外れたときに、上下流の巻出ロール回転手段51、あるいは巻取ロール回転手段61を駆動して、フィルムを巻き出し、あるいは巻き取り、常に、ボックス内で所定位置にフィルムを張ったり、弛ましておくことができる。
また、フィルム固定部54、65は表面に吸引孔が形成された平板であることが好ましいが、さらに、クリップでフィルムを挟む機構のもの、あるいは、これらを組み合わせたものでもよい。
フィルム固定部54、65はプレス動作を行うときは両方とも作動させる。そして、フィルムを離型するときはフィルム固定部54を作動させてフィルムを固定し、フィルム固定部65が開放させることが好ましい。また、フィルムを供給するときはフィルム固定部54、65を両方とも開放することが好ましい。
搬送駆動ロール64は図示しないがモータ等の回転駆動手段に連結されて、フィルム搬送時にはニップロール64aが搬送駆動ロール64に近接し、フィルムを挟み、搬送駆動ロール64にてトルク制御を行いながらフィルムを一定張力のもとで搬送する。
押圧前のフィルム7の非成形面に保護フィルムを貼合する押圧前保護フィルムラミネーターユニット90、ならびに押圧後のフィルム7の成形面に保護フィルムを貼合する押圧後保護フィルムラミネーターユニット100について説明する。押圧前保護フィルムラミネーターユニット90は駆動ロール82、82aとラミネーター前の粉塵等の除去を目的とするクリーナーロール69a、69bとクリーナーロールに付着した粉塵等をさらに除去する補助クリーナーロール70a、70bとラミネート部74a、74bと保護フィルム巻出し部71と保護フィルムのセパレーター等を巻き上げる巻き上げ部72から構成される。
保護フィルム巻出し部71には巻径検知トルク制御により張力を一定化させており、また、フィルム7の張力は引出バッファ部53と駆動ロール82、82aで調整している。尚、クリーナーロールにはニップ圧調整機能が付いており、クリーナーロールでのシワ等を防ぐことが出きる。押圧後保護フィルムラミネーターユニット100は、ラミネーター前の粉塵等の除去を目的とするクリーナーロール76a、76bとクリーナーロールに付着した粉塵等をさらに除去する補助クリーナーロール75a、75bとラミネート部81a、81bと保護フィルム巻出し部77、79と保護フィルムのセパレーターを巻き上げる巻き上げ部78、80から構成される。保護フィルム巻出し部77、79には巻径検知トルク制御により張力を一定化させており、また、フィルム7の張力は巻取バッファ部63と巻取ロール回転手段61で調整している。尚、クリーナーロールにはニップ圧調整機能が付いており、クリーナーロールでのシワ等を防ぐことができる。
図3の微細形状転写シートの成形装置6では、金型8の表面に供給される前のフィルム7に対して保護フィルムを貼合する位置に押圧前保護フィルムラミネーターユニット90が配置されているが、金型8の表面に供給されてから押圧される前のフィルム7に対して保護フィルムを貼合する機構を設けてもよい。
尚、上記本発明にかかる微細形状転写シートの成形装置の構造は一例であり、適宜必要な機能を保有する構成装置を追加してもよい。
次に、微細形状転写シートの成形装置6による一連のフィルム成形動作について説明する。図4と図5は、本発明の装置を用いてロール状の連続フィルムを間欠成形する動作をフィルム幅方向から見た概略断面図であり、以下に説明するプロセス(A)〜(K)の流れで成形するものである。
(A)あらかじめ、金型8をプレスユニット10にセットした後、フィルム7を巻出ユニット50にセットし、フィルム7の巻出部を引き出し、ガイドロール、押圧前保護フィルムラミネーターユニット90を経由し、プレスユニット内の金型の表面に沿わせ、さらに、離型ユニット20、押圧後保護フィルムラミネーターユニット100を経由して、巻取ユニット60で巻き取る。あわせて、押圧前後の保護フィルムも各ユニットの巻出し部へ設置し準備しておく(図4(a)参照)。
(B)次に、加熱ユニットを作動させて、温調プレート(上)15a、温調プレート(下)15bをともに成型温度まで上昇させる。
(C)プレスユニット10を作動させて、温調プレート(上)15aを下降させて、金型8の表面と温調プレート(上)との間に押圧前保護フィルムラミネーターユニット90でフィルムの非成形面に保護フィルムが貼合されたフィルムを挟むようにプレスする。このとき、フィルム固定部54および65を作動させてフィルムを固定しておく。温度、プレス圧力昇圧速度、加圧時間等の条件は、フィルムの材質、転写形状、特に凹凸のアスペクト比等に依存する。概ね、成形温度は100〜180℃、プレス圧力は1〜10MPa、成形時間が1秒〜60秒、昇圧速度は0.05MPa/s〜1MPa/sの範囲で設定される(図4(b)参照)。
(D)加熱しながらのプレスを完了した後、冷却ユニットを作動させて、温調プレート(上)15a、温調プレート(下)15bを降温させる。なお、冷却中もプレス加圧を継続していることが好ましい。冷却温度は金型表面の温度がフィルムを離型するのに十分に冷却されるように設定される。例えば、金型8の表面温度がフィルムのガラス転移点以下まで冷却を行うのが良い。
(E)冷却完了後、プレス圧力を開放して、温調プレート(上)15aを離型ユニット20がプレス装置内を水平移動させるのに十分なスペースを確保できる位置まで上昇させる(図4(c)参照)。
(F)温調プレート(上)15aが上昇を完了した後、フィルム固定部65を開放して、補助ロール旋回手段を駆動して、補助ロール22を剥離ロール21の上部まで旋回移動させて、フィルム7を剥離ロール21、補助ロール22に抱きつかせる(図4(d)参照)。
(G)その後、剥離ロール21をフィルム表面で23aの方向に回転させる。剥離ロール21は、フィルム表面との摩擦力により回転と同時に23bの方向に移動する。移動はプレス装置の加圧プレートに設けた剥離ロール直動ガイドに案内されながら移動する。この時に、金型表面に密着したフィルムが良好に離型される(図5(e)参照)。
(H)金型8の巻出側端部まで剥離が完了すると、剥離ロールの回転を停止する(図5(f)参照)。
(I)その後、剥離ロールが回転しないようにブレーキをかけて、フィルム固定部54を開放して、搬送駆動ロール64、82、82aを回転させることにより、剥離ロール21と補助ロール22が相対位置を維持したまま、巻取側へ移動する。このとき、巻出側から新しいフィルムを引き出し、押圧前保護フィルムラミネーター90でフィルムの非成形面に保護フィルムを貼合するとともに、成形したフィルムは巻取側に送り出される(図5(g)参照)。
(J)フィルムの引き出しが終わると、フィルム固定部54でフィルムを固定した後、補助ロールがもとの位置まで旋回して戻り、フィルム固定部65でフィルムを固定する。新しいフィルムが供給されることにより、あらかじめ引出バッファ部53で張力をかけていたフィルムが巻き取り側に引き出されるが、センサー57bによりフィルムが検知する位置まで、巻出ロール回転手段を作動させて、巻出ロールから新たなフィルムが引出バッファ部に供給される。一方、成型が完了したフィルムが送り出されると、送り出された長さ相当のフィルムは、一時的に巻取バッファ部63で保留され、センサー68aでフィルムを検知しなくなるまで、すなわち、新たに溜まった分の長さ相当のフィルムを、巻取ロール回転手段を作動させ、押圧後保護フィルムラミネーターユニット100でフィルムの成形面に保護フィルムを貼合するとともに巻き取る(図5(h)参照)。
(K)フィルムの離型が完了すると同時に、またはその直前から温調プレート(上)(下)の加熱を開始する。そして、プレスユニット10を作動させて、温調プレート(上)をフィルムの上面付近まで下降させておく。
昇温が完了した後にプレス成形を行い、上述した(C)からの動作を繰り返す。
上記の(F)〜(H)の動作により、スムーズな離型動作を間欠式フィルムの成形サイクルに組み込むことが可能となり、離型跡の少ない高品質な成形フィルムを生産できる。
また、上記の(I)の動作により、次サイクルで成形するフィルムを素早くフィルムの非成形面に保護フィルムを貼合し、フィルムプレスユニット内に供給することができるので、高い生産性で間欠的フィルム成形を実現できる。そして、両者のフィルムの離型動作、供給動作を組み合わせることにより、高品質な成形フィルムを高い生産性で生産できる。
上記に記載した間欠式の微細形状転写シート成形装置及び方法のほかに、連続的に成形を行う方法として、鋳造法、溶剤キャスティング法、モノマーキャスティング法、異型押出法、ロールエンボッシング法、射出成形法などが知られている。この場合成形加工時において微細形状に若干の変化が生じても本発明の効果がみられる範囲であれば差し支えない。
以下に各実施例・比較例の測定方法及び評価方法について説明する。
(測定・評価方法)
A.充填率測定
微細形状転写シートの微細形状凹みに保護フィルムの粘着層がどれぐらい充填されているかを確認するため、微細形状転写シートと保護フィルムを貼り合わせたサンプルを日本ミクトローム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にてフィルム平面に垂直な方向に切断し、得られたフィルム断面をトプコン社製走査型電子顕微鏡ABT−32を用いて観察した。微細形状凹み部分の面積に占める粘着層の面積を充填率とし、3ヶ所の凹み部分の平均値とした。微細形状凹み部分の面積とは、図6の斜線で示す隣合う微細形状の凸型の頂点を結ぶ線と、隣合う凸型とで囲まれた部分の面積のことである。
B.ニップロール停止跡確認
ニップロール停止跡を確認するため、保護フィルムと微細形状転写シートを(株)エム・シー・ケー製、ラミネート装置MRK−600型を用いて保護フィルムの粘着層面と微細形状転写シートの微細形状面を向かい合わせにして、貼り合せを行った。ラミネート条件は以下のとおり。その際、前述したプレス成形方法での搬送停止状態を再現するため、搬送の開始と停止を繰り返し行い、外観の目視検査を行った。
・プレス圧力:3.3〜4.8kg/cm
・搬送速度:500mm/min
・プレス温度:常温(昇温せず)
・搬送停止時間:1〜5秒。
C.粘着層厚み測定
まず、粘着層付き保護フィルムの厚みを測定し(測定結果をaとする)、それらの粘着層をアセトンなどで除去した上で、もう一度保護フィルムの厚みを測定し(測定結果をbとする)、a−bを計算することで粘着層厚みを測定した。(株)ミツトヨ製、ダイヤルゲージ(7−547シリーズ、7050)を用いて測定し、サンプルは10cm角に切り出して、1つのサンプルで3回測定を行い、得られた値の平均値でもって評価した。
D.ポリエステル基材との密着力
ポリエステル基材としてポリエチレンテレフタレート(東レ製 ルミラー(登録商標) T60)を用意し、前述したラミネート装置及びラミネート条件で保護フィルムの粘着層側がポリエチレンテレフタレート側に向かい合うようにポリエチレンテレフタレートの貼り合せを行った。
その貼り合せた積層体を幅25mm、長さ120mmの短冊状に切り出し、厚さ2mmの表面平滑なアクリル板に積層体のポリエチレンテレフタレート部分を両面テープで貼り付け、そのアクリル板を上部チャックに固定しテンシロン引っ張り試験機(東洋測器(株)製UTMIII)のロードセルにつるした。次に、積層体の保護フィルム部分を下部チャックに固定した状態でクロスヘッド速度300mm/minで下(180°)方向に引っ張り、ポリエチレンテレフタレートと保護フィルムの最大密着力(gf/25mm)を測定した。1つのサンプルで3回測定を行い、得られた値の平均値でもって評価した。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、微細形状転写シートの作成方法を(1)〜(9)に示す。
(1)金型サイズ:500mm(フィルム幅方向)×800mm(フィルム走行方向)×20mm(厚み)。
(2)金型材質:銅。
(3)微細形状:ピッチ10μm、凸部幅10μm、凸部高さ5μmで、フィルム走行方向から見たときの断面が三角形状のものを使用した。
(4)プレス装置:最大3000kNまで加圧できるもので、加圧は油圧ポンプによってされる。プレス装置内にはアルミ合金製でサイズが700mm(フィルム幅方向)×1000mm(フィルム走行方向)の温調プレートが上下に2枚取り付けられ、それぞれ、加熱装置、冷却装置に連結されている。なお、金型は下側の温調プレートに取り付けられている。加熱装置は熱媒循環装置で、熱媒はバーレルサーム#400(松村石油株式会社製)で、150℃に加熱したものを100L/minの流量で流す。また、冷却装置は冷却水循環装置で、20℃に冷却された水を150L/minの流量で流すものである。
(5)中間基材:上側の温調プレートと基材(PETフィルム)との間に、厚み0.2mm、表面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングすることによりPETフィルムとの静摩擦係数が0.20となるシリコーンゴムシート(熱伝導率:0.2W/m・K)を貼り付ける。
(6)離型装置:図3に示したものと同じ構成で剥離ロールと補助ロールを組み合わせたものを使用した。
(7)基材:ポリエチレンテレフタレートからなり、厚みが100μm(厚みむら:±10μm)、幅は520mmである。該フィルムはプレス装置を挟んで対向に設置した巻出、巻取装置によって、送り出され、巻き取られる。
(8)動作方法:上記の装置を用い、以下のように間欠的に成型を行った。あらかじめ、フィルムを巻出装置から巻取装置までプレス装置を経由して通しておく。次に、温調プレートが上下ともに110℃となるまで加熱した後、上側プレートを下降させて、フィルムのプレスを開始する。プレスは金型表面で5MPaで、30秒実施した。その後、プレスを継続したまま、温調プレートを上下ともに冷却する。各温調プレートが60℃になったときに冷却を停止する。上下ともに冷却が完了すれば、プレスを開放する。上側プレートを上限まで上昇させ、離型装置を駆動して、フィルムを離型する。
(9)上記の動作にて微細形状転写フィルムを作成した。
次に、保護フィルム1(日立化成工業株式会社製“ヒタレックス”L−7320)を粘着面が微細形状転写シートの微細形状面に向かい合わせになるように、ラミネータ((株)エム・シー・ケー製、ラミネート装置MRK−600型)で貼り合せた。評価結果を表1に示す。
本発明の保護フィルム付き微細形状転写シートはニップロール跡が残らないことが確認できた。
(実施例2)
実施例1において、保護フィルム1の代わりに保護フィルム2(パナック株式会社製 パナプロテクト(登録商標) GNシリーズ)を用いる以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き微細形状転写シートを作成した。
この保護フィルム付き微細形状転写シートも実施例1と同様にニップロール跡が残らないことが確認できた。
(比較例1)
実施例1において、保護フィルム1の代わりに保護フィルム3(日立化成工業株式会社製 ヒタレックス(登録商標) L−7330)を用いる以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き微細形状転写シートを作成した。
この保護フィルム付き微細形状転写シートはポリエチレン基材との密着力が100gf/25mmより大きいため、ニップロール跡が残ることが確認できた。
(比較例2)
実施例1において、保護フィルム1の代わりに保護フィルム4(パナック株式会社製 パナプロテクト GSシリーズ)を用いる以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き微細形状転写シートを作成した。
この保護フィルム付き微細形状転写シートはポリエチレン基材との密着力が100gf/25mmより大きいため、ニップロール跡が残ることが確認できた。
本発明によれば、前述したプレス成形方法で生産された微細形状転写シートに微細形状転写シートの微細形状凹みに100%充填されない粘着層を持つ保護フィルムを貼りあわせることで、保護フィルム本来の目的である汚れや傷の防止をしつつ、ニップロール停止跡が残らない保護フィルム付き微細形状転写シートの製造方法を提供することができ、保護フィルムを貼ったまま、欠点検査を容易に行うことができる。
保護フィルムを貼り合わせた微細形状転写シートの断面顕微鏡写真である。 図1の模式図である。 本発明にかかる微細形状転写シートの成形装置を、シート状樹脂基材としてフィルムを用いた場合で、該フィルム幅方向から見た概略断面図である。 図3に示した本発明にかかる装置を用いて、ロール状の連続フィルムを間欠成形する動作をフィルム幅方向から見た概略断面図である。 図3に示した本発明にかかる装置を用いて、ロール状の連続フィルムを間欠成形する動作をフィルム幅方向から見た概略断面図であり、図4に示した動作に続く下流での動作を示したものである。 微細形状転写シートの微細形状凹み部分の面積を示す図である。
符号の説明
1:保護フィルムを貼り合わせた微細形状転写シート
2:保護フィルムの基材層
3:保護フィルムの粘着層
4:微細形状転写シート
5:微細形状転写シートと粘着層間の空気層
6:微細形状転写シートの成形装置
7:シート状の樹脂基材
8:金型
10:プレスユニット
11:支柱
12:プレスシリンダー
13:昇降ガイド
14a、b:加圧プレート(上)、(下)
15a、b:プレート板(温調プレート)(上)、(下)
16:フレーム
17:緩衝材
20:離型ユニット
21:剥離ロール
22:補助ロール
30:ヒーターユニット
40:冷却ユニット
50:巻出ユニット
51:巻出ロール回転手段
52a〜d:ガイドロール
53:引出バッファ部
54:フィルム固定部
55:ボックス
56:吸引排気手段
57a、b:センサー
60:巻取ユニット
61:巻取ロール回転手段
62a〜d:ガイドロール
63:巻取バッファ部
64:搬送駆動ロール
65:フィルム固定部
66:ボックス
67:吸引排気手段
68a、b:センサー
69a、b:クリーナーロール
70a、b:補助クリーナーロール
71:保護フィルム巻き出し部
72:セパレーター巻き上げ部
73:ガイドロール
74a、b:ラミネート部
75a、b:補助クリーナーロール
76a、b:クリーナーロール
77、79:保護フィルム巻き出し部
78、80:セパレーター巻き上げ部
81a、b:ラミネート部
90:押圧前保護フィルムラミネーターユニット
100:押圧後保護フィルムラミネーターユニット

Claims (3)

  1. 微細形状が表面に形成された金型の表面にシート状の樹脂基材を供給する工程と、
    樹脂基材を金型に押圧して樹脂基材の表面に微細形状を転写する工程と、
    樹脂基材の微細形状が転写された面に保護フィルムを、保護フィルムの粘着層面が樹脂基材側を向くように押圧装置で貼り合せる工程とをこの順に行う微細形状転写シートの製造方法であって、
    樹脂基材の搬送が停止している際に、押圧装置で挟まれている樹脂基材の微細形状の凹み部分への保護フィルムの粘着層の充填率を100%未満にする微細形状転写シートの製造方法。
  2. 前記シート状の樹脂基材を供給する工程が、間欠的にシート状の樹脂基材を供給するものである請求項1に記載の微細形状転写シートの製造方法。
  3. 前記保護フィルムが、前記樹脂基材との密着力が1〜100gf/25mmのものである請求項1又は2に記載の微細形状転写シートの製造方法。
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