JP2009172544A - 油含有廃水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外食産業や食品工業等、油を多く使う施設から排出される45℃以上の高温廃水でも、冷却することなくそのまま油分の分解除去を行う廃水処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 新規の光合成細菌であるRhodobacter sphaeroides NATを用い、油含有廃水中の油分の分解を行う。Rhodobacter sphaeroides NATは耐熱性を有し、45℃以上の温度条件下でも生息できる細菌であるので、高温廃水であっても処理できる。更にRhodobacter sphaeroides NATは油分解と同時にCOD、リンの除去もでき、総合的な廃水処理が容易に行える。
【選択図】図1

Description

本発明は、外食産業や食品工業等から排出される油含有廃水を、光合成細菌を使用して油分を分解する油含有廃水処理方法に関する。
レストラン等の飲食店の厨房や食品加工工場では、植物油や動物油など多くの食用油を使用している。このような施設からは多くの油含有廃水が生じるが、この廃水をそのまま下水に流してしまうと悪臭や汚染など環境悪化を招いてしまう。このため、廃水処理して油を分解した後に下水に流している。また、近年では食器洗浄器等の普及やレストランなどから排水される厨房排水により、45℃以上の高温排水が増加する傾向にある。
廃水処理としては、従来から微生物を用いて廃水中の油分を処理する廃水処理方法が知られており、様々な微生物が使用されている。
なかでも光合成細菌は、多種類の有機物を比較的早く分解でき、菌体の安全性が高いことが知られている。非特許文献1では、広範な基質資化性と比較的高い増殖度を有するRhodobacter属であるRhodobacter sphaeroides S、Rhodobacter sphaeroides NR−3をアルギン酸ナトリウムや寒天に固定して用い、廃水中の油除去を行っている。Rhodobacter属は耐熱性が低く、20〜35℃が生息条件下であるため、廃水温度を30℃として光合成細菌を使用している。
また、特許文献1では、耐熱性の高いBurkholderia属の微生物を用い、排水温度50℃程度の高温の下で接触させて廃水中の油分を分解している。
「固定化光合成細菌を用いた油含有下水排水の処理:World J Microbiol,Biotechnol. Vol.21,No.8/9,Page1385−1391:2005年12月発行」 特開平9−85283号公報
非特許文献1に代表されるように、従来使用されているRhodobacter属は、耐熱性が低く、45℃以上では全て死滅してしまう。このため、Rhodobacter属に代表される光合成細菌では、排出される45℃以上の高温廃水を処理することができなかった。
また、Rhodobacter属は耐熱性が低いため、事前に高温廃水を30℃程度まで冷却しなければならないので、冷却装置等の設備が必要になりコストが高くなるとともに、冷却時間が必要になるため処理時間が長くなるという課題がある。
特許文献1では廃水温度50℃以上でも処理できるが、Burkholderia属の微生物は光合成細菌ではないので、微生物自体の安全性に問題がある。したがって、処理後の廃水とともに微生物が流れてしまい、環境問題等を起こすおそれがある。そして、微生物を肥料や飼料にリサイクル利用することもできない。
本発明は上記事項に鑑みて成されたものであり、耐熱性を有する光合成細菌を用い、厨房等から排出される45℃以上の高温の油含有廃水であっても、高温のまま油分を分解し、且つ、下水に流れてしまっても安全性を損なうことのない油含有廃水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、Rhodobacter sphaeroides NAT(受領番号:FERM AP−21486)を用い、油含有廃水中の油分を分解することを特徴とする。
また、本発明は、45℃〜55℃の前記油含有廃水を使用することを特徴とする。
更に、本発明は、前記Rhodobacter sphaeroides NATから前記油含有廃水中にリパーゼを放出させて前記油分を分解することを特徴とする。
更に、本発明は、前記Rhodobacter sphaeroides NATをアルギン酸塩に固定化して使用することを特徴とする。
本発明に依れば、Rhodobacter sphaeroides NATは耐熱性を有し、45℃以上でも生息できるので、45℃〜55℃の高温廃水においても油分の分解処理をすることができる。
また、本発明に依れば、上述のように廃水を高温のまま処理できるので、廃水を事前に冷却する必要が無い。このため、冷却装置等の設備が不要となり、設備コストを安くすることができる。
更に、本発明に依れば、上述のように冷却時間が要らないため、処理時間を短くすることができる。
更に、本発明に依れば、Rhodobacter sphaeroides NATは廃水中にリパーゼを放出するので、表面に接触する油分だけでなく、廃水全体の油分を効率的に分解するため、処理時間が短くなる利点を有する。
更に、本発明に依れば、Rhodobacter sphaeroides NATをアルギン酸塩に固定化して用いることで、1つ1つの細菌を分散させて配置でき、表面積が増加することから、効率的に油分の分解ができ処理時間を更に短くすることができるとともに、細菌が流れていくことを抑えることができるので、長時間使用することもできる。
更に、本発明に依れば、Rhodobacter sphaeroides NATは光合成細菌であり安全性の高い細菌なので、たとえ下水に流れてしまっても安全性に問題は無く、環境問題を引き起こすおそれがないという利点がある。
更に、本発明に依れば、Rhodobacter sphaeroides NATは油分の分解に加え、同時にCOD及びリンの除去もできる。
更に、本発明に依れば、NAT株を廃水中に介在させるだけで油分の分解が出来るので、既存の浄化槽にNAT株を入れたネット等を介在させるだけで簡単に廃水処理できる利点があり、新たな設備投資の必要がない。
本発明は、新規に分離した光合成細菌であるRhodobacter sphaeroides NAT(受領番号:FERM AP−21486)(以下、NAT株)を用い、このNAT株を油含有廃水に添加するだけで油分を分解できる処理方法である。NAT株は45℃以上でも生息し、油分を分解するので、飲食店の厨房から出てくる高温の油含有廃水でも冷却せずにそのまま処理できる。
まず、本発明に使用するNAT株について説明する。NAT株は、Kasetsart University(Bangkok,Thailand)内の土壌から分離した新規の光合成細菌である。この光合成細菌が新規の細菌であることを検証した。
土壌から分離した菌を、流動パラフィンを重層した静置培養で、45〜50℃の条件下、約5klux照度(タングステンランプ)で約1週間培養した。紅色に増殖した培養液から、同条件でプレート培養を行って、これを繰り返し、この中で増殖速度の最も大きい菌株をスクリーニングし、NAT株とした。これを前培養に供した。
スクリーニング、及び前培養培地は、グルタメート・マレ−ト(GM)培地を用いた。前培養は上記同様、静置培養にて行い、1.5lル式培養瓶を用い、40℃の条件下、約5kluxの照度で2日間行った。
前培養後の菌体は残存の培地成分を多く含んでいるため、菌体洗浄を行った。洗浄方法は、GM培地で増殖した菌体を遠心分離(10,000xg(5,000rpm),15min)により回収し、一度殺菌した脱イオン水に懸濁後、同条件にて再び遠心分離を行った。ここで得られた洗浄菌体をOD666≒10に純水で調整して用いた。
この洗浄菌体の同定を16S rDNA解析にて行った。Insta Matrix(BIO RAD,CA,USA)によりDNA抽出を行い、MicroSeq 500 16S rDNA Bacterial Identification PCR Kit(Applied Biosystems,CA,USA)およびMicroSeq 500 16S rDNA Bacterial Identification Sequencing Kit(Applied Biosystemus,CA,USA)を用いて、PCRおよびシーケンスを行った。その結果を表1に示す。
Figure 2009172544
表1に示すように、国際塩基配列データベース検索(Genbank/DDBJ/EMBL)により、Rhodobacter sphaeroides ATCC17029株や2.4.1株、野生株であるIFO12203株などの菌株と本NAT株のDNAは100%の相同率を示している。この結果から、本NAT株はRhodobacter sphaeroides属に属する光合成細菌であることを同定した。
次に、NAT株の耐熱性を検討した。500ml振とうフラスコにGM培地200mlを入れ、前述の洗浄菌体を1%(w/v)接種して検討を行った。培養は、振とう培養器TAITEC bio−shaker BR−40LF(130rpm,7cm amplitude)(Shimadzu Co.Ltd. Japan)により、好気暗条件で30℃〜55℃の温度条件下で行った。なお、参考例として、Rhodobacter sphaeroides S(以下、S株)の培養を45℃で行った。
その結果を図1に示す。NAT株は30℃〜55℃に渡り、全ての温度領域で生息し、増殖していることがわかる。30℃では48時間の培養で乾菌体量約3g/lの紅色の菌体増殖が認められた。また、45〜55℃の高温条件下では、30℃に比べると増殖は少なくなるが、紅色からピンク色で生息しており、NAT株の耐熱性増殖が確認できた。このことから、30℃〜55℃の幅広い温度域で廃水処理に使用できることがわかり、特に、45℃〜55℃の高温排水中においても生息し、油分の分解ができることがわかる。
一方、S株についてはすぐに死滅してしまっている。このように、これまで知られているS株等の光合成細菌では、一般に耐熱性が低いことが知られており、45℃以上の高温廃水中では生息できず、油分の分解はできないことがわかる。
そして、このNAT株を用い、純粋培養系にて液中の油分の分解を行った。500ml 振とうフラスコ(坂口フラスコ)に油含有人工下水を200ml分注し、前述の洗浄菌体を10%(w/v)接種して検討した。温度条件は、45℃の条件下で10日間行い、油分及びリパーゼ活性を分析した。油分はn−Hex.extractとしてJIS K 0102に基き分析した。また、処理した下水を遠心分離(5000xg,10mim)し、得られた上澄みを菌体外リパーゼ活性として、乳化剤無添加法(JIS K 0601)にてリパーゼ活性を分析した。参考例として、NAT株を添加しないもの(対照実験)についても同様に行った。
油含有人工下水は、主にグルコース、ペプトンからなる合成人工下水に油分を添加して用いた。油は、大豆油・菜種油の混合油である調理用サラダ油(日清食品株式会社製)を用いた。本油の脂肪酸組成はオレイン・リノール酸系に分類されており、炭素数が22〜28の不飽和脂肪酸で構成されている。油含有人工下水の組成(それぞれg/l)は、D−glucose:4.0,KHPO:0.015,KHPO:0.006,NaHPO・12HO:0.030,NHCl:0.117,MgSO・7HO:0.056,CaCl:0.010,peptone:0.150,KNO:0.069,Oil(サラダ油):3である。
図2にリパーゼ活性及び油含有量の経時変化をグラフにて示す。図2(A)が油含有量、(B)がリパーゼ活性である。
図2(A)を見ると、NAT株を添加していない対照実験(Control)では、8日で約10%の油分が減少している。これは、45℃での熱変性或いは分解によるものと考えられる。
一方、NAT株を接種したものでは、8日で油含有人工下水に含まれていた約66%の油分が減少している。45℃の高温においてもNAT株により油分を分解、除去できることが確認できた。
また、図2(B)を見ると、対照実験(Control)では、リパーゼ活性はないが、NAT株を添加した場合、1日後において約1.8unit/mlとリパーゼ活性が高くなっており、NAT株が下水中に油分解酵素であるリパーゼを放出していることが確認できる。これにより、NAT株表面だけで油分を分解するのではなく、下水中にリパーゼを放散させて下水全体で効率的に油分の分解を促進できることがわかる。そして、45℃の高温下でもリパーゼ活性が失活せずに、高温廃水の油分除去が効率的に行えることが確認できる。これまでの光合成菌ではリパーゼを放出する例は報告されておらず、NAT株の特異的な性質を示している。なお、2日目以降リパーゼ活性は低くなっているが、リパーゼが油分の分解に供され活性が低くなったものと考えられる。
これまでにRhodobacter sphaeroides株等の光合成細菌では、耐熱性、リパーゼ活性、油分解能の報告はない。本NAT株は、上述のように、45℃以上の高温条件下でも生息できる耐熱性を有し、また、リパーゼ活性を示し、油分解能を持っていることから、従来のRhodobacter sphaeroides株とは異なる新規の光合成細菌であることが確認された。
そして、光合成細菌は安全性が高い細菌であることが知られている。したがって、光合成細菌であるNAT株についても無害であり、例えば、廃水処理中に下水に流れても環境問題等が生じることはなく、安全性が非常に高い。また、廃水処理後に魚類や動物用資料としても利用可能であり、再利用に供することもできる。
次に、NAT株をアルギン酸塩に固定化し、前述の油含有人工下水の処理を行った。
前述の洗浄菌体100mlと4%アルギン酸ナトリウム溶液と混合し、CaCl水溶液(6.62g/l)に滴下した。Na・Ca交換によって、ビーズ状のNAT株をアルギン酸カルシウムに固定化した(以下、アルギン酸ビーズ)。アルギン酸ビーズは、直径が約1cmになるよう調整した。アルギン酸ビーズは、1個当り約1.36g、乾菌体量では、約4.25mg/個の菌体を固定化している。また、開放実験系の対照実験には、菌体を混合せずに調整した無菌アルギン酸ビーズを調整し、実験に用いた。
油含有人工下水の回分処理実験では、排水処理施設での好気的処理を視野に入れ、5l容培養装置MDL(B.E.Marubishi.Co.Ltd)に前述のアルギン酸ビーズを0、5、15、25、50、75g/lずつ処理槽内に投入し、最適投入量について検討した。このうち0gは対照実験(Control)として、処理槽内でエアレーションのみを行ったときのものである。実験条件は、1vvmの通気下、45℃の条件で処理を行い、回転数は100rpmに設定し、油が極力分散するように処理した。また、本実験では、エアフィルターを装着せず、開放系で4日間(96時間)処理をした。pHは7.0±0.1に制御した。pH制御を行わなければ、人工下水の分解ですぐ酸性に移行し、菌の増殖が停止して油除去が困難になるためである。
Figure 2009172544
表2はアルギン酸ビーズを用いて廃水処理した結果である。アルギン酸ビーズを投入した全ての処理槽内において、ビーズによる油除去効果が確認され、本アルギン酸ビーズが油含有高温廃水に有効であることがわかる。特に50gのアルギン酸ビーズを投入した場合では、45℃の高温条件下においても、油除去およびCOD除去が同時に行われ、4日で油が約92%、CODが約96%除去できた。なお、COD除去率は、対照実験(Control)の処理開始時の3600mg/lをベースに算出している。
この結果は、非特許文献1に報告されている30℃条件下、4日間での除去結果(除去率:油65%、COD60%)と比較しても、速やかに除去されている。それに加え、本アルギン酸ビーズはリン除去効果も有しており、油含有高温廃水処理には有用である。
また、対照実験(0g)では、油除去率が約46%、CODも約39%除去されている。これは、開放実験系でpH制御を行ったために、雑菌汚染により除去されたと考えられる。しかしながら、対照実験と比較しても、速やかな水質浄化が見られたNAT株の処理効果は明らかである。それに加え、固定化菌体50gの油除去速度を算出したところ、688.5mg oil/l/dayとなり、30℃の条件で処理した比特許文献1に報告されている285.8mg oil/l/と比較すると、2倍以上の除去速度であり、油分の分解処理が迅速にできることがわかる。
なお、本アルギン酸ビーズのアルギン酸カルシウムが油を吸着している可能性があるため、アルギン酸ビーズの油吸着量を測定した。実験には無菌アルギン酸ビーズを用い、アルギン酸ビーズ50g/lの廃水接触表面積と同等になるよう算出し、油含有人工下水中に投入した。実験条件は、先の純粋培養実験と同様に無菌的に45℃で4日間行った。振とう後は、ビーズを簡易ネットで回収し、ヘキサンに30分間ほど浸したn−Hexを検出した。実験は3回行い平均を算出した。
結果、振とうフラスコ内で約93%、無菌アルギン酸ビーズ表面から全体の約3%の油分がそれぞれ検出され、アルギン酸カルシウムによる少量の油吸着が確認された。残りの4%が熱変性あるいは分解によるものだと考えられる。この油吸着量は3%程度とほぼ無視できる程度であるため、NAT株の油分解能の高さが実証できた。
続いて、実施例2で最も良好な結果を示した、アルギン酸ビーズ50g/lを処理槽内に充填し、45、50、55および60℃の温度条件で実用処理温度範囲を検討した。本実験では対象実験として、無菌アルギン酸ビーズを処理槽内に投入し、同様の条件で処理を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2009172544
45、50、55℃の温度条件下において、それぞれ約91%、80%、76%の油が96時間で除去され、ビーズ投入による油除去効果が顕著に示されている。45℃の条件では、先の実験と同等の結果が得られている。また、CODにおいても、それぞれ93%、87%、81%の高い除去率を示した。
従って、45℃−50℃での油除去は十分可能で、55℃においてもNAT株による油分解できることを確認した。なお、60℃の条件においては、対照実験と比較して油分解、COD除去およびリン除去効果はほぼ同等に近づいており、NAT株があまり作用していない。60℃ではNAT株の死滅や、それに伴う活性低下が生じたものと考えられる。このため、55℃以下の廃水に対して使用することが好ましい。
図3に、NAT株を用いて、油含有廃水を処理装置の一例を示す。処理装置11は飲食店の厨房からの排水管と下水管との間に接続するものである。処理装置11内にはかご状のネット21が設けられており、ネット21内には、NAT株を固定化したアルギン酸ビーズ22が分散して入れられている。
厨房からの配水管を通じて廃水流入口11から油含有廃水23が処理装置11内に流入する。まず油含有廃水23は流入槽12に流入し、その後せき板16によって流れが抑制されながら、嫌気槽13、ばっ気槽14に進む。嫌気槽13及びばっ気槽14にはネット21が設けられている。ネット21にはNAT株を固定化したアルギン酸ビーズ22が入っているので、NAT株によって油含有廃水23の油分が分解除去される。分解された油分は汚泥として沈殿槽に堆積する。そして、処理された廃水が排出口17を介して下水に流れていく仕組みである。
NAT株は前述のように耐熱性を有するので45℃以上の高温廃水であっても、冷却することなくそのまま処理することができる。そして、NAT株は油含有廃水23中にリパーゼを放出するので、NAT株表面だけでなく、処理装置11内の全てで油分の除去ができる。
また、NAT株はアルギン酸ビーズ22として固定化して用いており、NAT株一つ一つが分散された形態であるので、表面積が大きくなり効率的、迅速的に油分の分解除去ができる。また、NAT株は前述のように、油分の分解と同時にCODやリンの除去もしている。
更に、本処理装置11にはばっ気槽14を設けており、ばっ気によって更なるCOD除去をも促進している。
なお、NAT株は光合成細菌であるが、光が当たらない場所でも活性を有し油分の分解ができる。したがって、通常浄化槽は光の当たらない場所に設置されていることが多いが、その様な場所においても油含有廃水の処理をすることができる。
本発明では、耐熱性を有するRhodobacter sphaeroides NATを用いているので、45℃以上の高温廃水でもそのまま油分の分解ができる。このため、外食産業や食品工業等、油を多く使う施設から排出される高温廃水の処理に広く利用できる。
本発明に用いる光合成細菌の培養時間と培養温度との関係を示すグラフである。 本発明の処理方法による反応時間とリパーゼ活性及びヘキサン濃度との関係を示すグラフである。 本発明による油含有廃水処理方法に用いる装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 処理装置
11 廃水流入口
12 流入槽
13 嫌気槽
14 ばっ気槽
15 最終沈殿槽
16 せき板
17 廃水排出口
21 ネット
22 アルギン酸ビーズ

Claims (4)

  1. Rhodobacter sphaeroides NAT(受領番号:FERM AP−21486)を用い、油含有廃水中の油分を分解することを特徴とする油含有廃水の処理方法。
  2. 45℃〜55℃の前記油含有廃水を使用することを特徴とする請求項1に記載の油含有廃水の処理方法。
  3. 前記Rhodobacter sphaeroides NATから前記油含有廃水中にリパーゼを放出させて前記油分を分解することを特徴とする請求項1に記載の油含有廃水の処理方法。
  4. 前記Rhodobacter sphaeroides NATをアルギン酸塩に固定化して使用することを特徴とする請求項1に記載の油含有廃水の処理方法。
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