JP7230013B2 - 油脂の新規分解微生物 - Google Patents

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Description

NPMD NITE BP-02641
本発明は、油脂の新規分解微生物に関する。
厨房や食品工場からの排水(廃水)には、通常、生ゴミや調理用油が含まれている。生ゴミ等の固形物は、排水口にカゴ等を設けることによって容易に排水から除去することが可能であるが、調理油のように液状のものを除去することは容易ではない。したがって、多量の油脂が混入した排水を排出する厨房や食品工場などの施設において、油脂を集積し上層部に浮上した油脂を分離して廃棄するため、除害施設(例えば、グリーストラップ)が設けられている。
しかしながら、グリーストラップ内で集積した油脂が固形化し、グリーストラップの水面にスカム(油の塊)として残留したり、グリーストラップの内壁面や配管内部に集積・付着して配管を閉塞したりすることがある。このとき、集積した油脂は、酸化・腐敗して、悪臭・害虫の発生原因となることがある。また、集積した油脂を放置すると、グリーストラップの油脂除去能力が低下し、下水や河川に油脂を流出させてしまう。そのため、グリーストラップ内で油脂が集積した場合、専門の業者に依頼してバキューム処理や高圧洗浄処理などで油脂の除去を行う必要があるためコストがかかってしまう。
そこで、グリーストラップにおいて、効率よく油脂を低減する方法、特に、油脂の分解・資化を行う微生物を用いる方法が検討されている。例えば、特許文献1には、含油排水中のnヘキサン抽出物質を減じたり、厨房等の排水槽にたまるスカムを分解したりする用途で用いられ得る微生物として、バチルス・サブチリスBN1001(Bacillus subtilis BN1001)が記載されている。
特開平3-236771号公報
しかしながら、従来の微生物では、除害施設の排水に含まれる油脂を十分に低減することが困難な場合があった。特に、グリーストラップ内の排水のpH等の水質は、排出される食品残渣等によって大きく変化し得る。このため、グリーストラップ内で使用される微生物には、広範なpH(例えば、pH2.0以上11.0未満)の水質環境においても排水を浄化し得る特性が求められる。しかしながら、従来公知の微生物では、そのような特性が十分なものではなかった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、除害施設における油脂の低減効果に優れた微生物を提供することを課題とする。特に、広範なpH(例えば、pH2.0以上11.0未満)の水質環境においても排水を浄化し得る微生物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)に属し、所定の菌学的性質を示す微生物によって上記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
図1は、グリーストラップによる排水処理の仕組みを模式的に表す。
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
<微生物>
本発明の一形態は、アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)に属し、以下の菌学的性質を示す微生物である。本発明に係る微生物は、除害施設における油脂の低減効果に優れる。特に、本発明に係る微生物は、広範なpH(例えば、pH2.0以上11.0未満)の水質環境においても排水を浄化し得る。
Figure 0007230013000001
Figure 0007230013000002
好ましい実施形態では、本形態の微生物は、pH2以上11未満の条件で、1%(w/v)の油脂を24時間で50重量%以上低減する。
特に好ましい実施形態では、本形態の微生物は、アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)2-141-1株(受託番号NITE BP-02641)である。
[スクリーニング]
本発明に係る微生物は、以下のスクリーニング方法により、岐阜県多治見市の土壌から単離した。
1.スクリーニング方法
岐阜県の土壌またはグリーストラップの廃液、下水、河川水、温泉水などから採取したサンプルを、以下の方法で作製された一次スクリーニング用液体培地5mLに適量添加し、30℃で一週間培養する。培養後の培養液100μLをさらに一次スクリーニング用液体培地5mLに接種し、再度30℃で一週間培養する。
一次スクリーニング用液体培地は、以下の表2の組成となるように油脂以外の各成分を純水に溶解し、油脂を終濃度0.5w/v%となるように添加し、高温高圧滅菌して調製する。なお、油脂は、菜種油と大豆油とを1:1(w/w)の割合で混合して調製する。
Figure 0007230013000003
10倍希釈した一次スクリーニング後の培養液100μLを、以下の方法で作製された二次スクリーニング用寒天培地に塗布し、30℃で48時間培養する。培養後、油脂の分解によるハロの形成が確認できた菌株を単離する。
二次スクリーニング用寒天培地は、以下の表3の組成となるように、油脂および寒天以外の各成分を純水に溶解し、油脂(菜種油:大豆油=1:1(w/w))を終濃度0.5w/v%および寒天を終濃度2.0w/v%となるように添加し、高温高圧滅菌した後、適宜分注して固化させて調製する。
Figure 0007230013000004
次に、油脂0.05g(菜種油:大豆油=1:1(w/w))を、以下の方法で作製された三次スクリーニング用液体培地5mLに加えて、滅菌した試験液を調製する(油脂1%(w/v))。上記二次スクリーニングで得た各単離菌株を白金耳で一白金耳ずつ、以下の方法で作製されたLB培地に接種し、30℃で24時間振盪培養(140rpm)する。得られた培養液100μLを、上記方法で調製した試験液に接種し、30℃で24時間振盪培養(140rpm)する。
三次スクリーニング用液体培地は、以下の表4の組成となるように、各成分を純水に溶解し、塩酸にてpH6.0に調整し、高温高圧滅菌して調製する。
Figure 0007230013000005
LB培地は、以下の表5の組成となるように、各成分を純粋に溶解し、高温高圧滅菌して調製する。
Figure 0007230013000006
培養後、JIS K0102:2016改正(工業排水試験方法)に準じてノルマルヘキサン抽出物を調製する。ノルマルヘキサン抽出物を油脂の残存量とし、試験液の調製時に添加した油脂0.05gと油脂の残存量(ノルマルヘキサン抽出物の量(g))とから、下記数式(1)により油脂減少率を求める。その結果、油脂減少率の高い菌株を単離することができる。
Figure 0007230013000007
油脂減少率が高かった単離した菌株について、26S rDNA-D1/D2領域の塩基配列を決定した。決定された単離微生物の26S rDNA-D1/D2領域の塩基配列を下記配列番号:1に示す。
Figure 0007230013000008
微生物同定用DNAデータベースDB-FU10.0(株式会社テクノスルガラボ)および国際塩基配列データベース(DDBJ/ENA(EMBL)/GenBank)に対するBLAST検索の結果、単離微生物の26S rDNA-D1/D2領域の塩基配列は、アステロトレメラ(Asterotremella)属の26S rDNA-D1/D2領域の塩基配列に対して高い相同性(相同率:99.3~100%)を示した。単離微生物は、特にアステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)(現行名:Vanrija humicola)CBS571株(アクセッション番号AF189836)に対して相同率100%の高い相同性を示した。以上より、単離微生物は、アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)に帰属すると推定された。
2.化学的性質
上記スクリーニングによって得られた菌株の菌学的性質を以下に示す。形態観察には、以下を用いた。
Figure 0007230013000009
また、培地として、YM寒天平板培地(1.0%(w/v)グルコース、0.5%(w/v)ペプトン、0.3%(w/v)麦芽エキス、0.3%(w/v)酵母エキス、1.5%(w/v)寒天)(pH無調整)を用いた。
2-1.コロニー観察
YM寒天平板培地上で27℃下、好気培養1週間において、コロニーは以下の性状を示した。
Figure 0007230013000010
2-2.形態観察
YM寒天平板培地上で27℃下において培養開始1週間目に、栄養細胞は、楕円形~棍棒型であり、増殖は、出芽によることが確認された。
YM寒天平板培地上で27℃下において、培養2ヶ月を経過した平板で有性生殖器官の形成は認められなかった。
2-3.生理性状試験
生理性状試験の方法は、Kurtzman,C.P., Fell,J.W. and Boekhout,T. (2011) The Yeasts, a taxonomic study, 5th Edition. Elsevier, Amsterdam, Netherlands.に準拠し、培養は、温度耐性試験を除いて25℃で行った。結果を表7-1および7-2に示す。また、上記で得られた単離菌株に加えて、帰属が推定される公知のA.humicolaの生理性状を併記する。
Figure 0007230013000011
Figure 0007230013000012
3.諸性質
単離された菌株は、可溶性デンプンおよびナイトレートの資化性、50%グルコースにおける生育性など従来公知のアステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)に属する酵母とは性質の異なるものであった。したがって、単離された菌株は、新規な微生物であると判断し、本菌株をアステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)2-141-1株(以下、単に「2-141-1株」とも称する)と命名した。また、この2-141-1株は、2018年2月21日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(日本国 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に国際寄託されており、その受託番号は、NITE BP-02641である。
2-141-1株は、アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)に属し、pH2.0以上11.0未満、好ましくはpH2.0以上10.5以下の条件で、1%(w/v)の油脂を24時間で50重量%以上低減する。また、前記2-141-1株は、30℃、pH2.0以上11.0未満、好ましくはpH2.0以上10.5以下の条件で、1%(w/v)の油脂を24時間で50重量%以上低減する。前記pHの下限は、より好ましくは2.5以上である。また、前記pHの上限は、より好ましくは10.0以下、さらに好ましくは9.0以下である。
[油脂低減効果の評価]
本明細書において、油脂の減少は、以下の方法により評価される。すなわち、菜種油:大豆油=1:1(w/w)である油脂0.05gを、pH以外は上記の三次スクリーニング用液体培地と同じである無菌処理済の油脂分解評価用培地(5mL)に加えて試験液を調製する(油脂1%(w/v))。このとき使用する油脂分解評価用培地としては、pHを1.5~11.0の範囲で調整したものを用いる(例えば、pH1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、10.5および11の油脂分解評価用培地)。pHの調整は塩酸、硝酸、炭酸、硫酸などの無機酸やクエン酸、乳酸などの有機酸等の任意の酸やこれらの塩;および/または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の任意のアルカリ;によって行えばよいが、好ましくは塩酸(酸性側)または水酸化ナトリウム(アルカリ側)である。
この試験液に対し、平板培地(例えば、二次スクリーニング用寒天培地)上で培養した微生物を接種し、任意の温度帯で24時間振盪(140rpm)培養する。接種する菌の量は、白金耳で一白金耳程度である。試験液に接種する微生物は、LB培地などで前培養したものを用いても良い。前培養することにより、接種する菌量を容易に調節できる。前培養した微生物を用いる場合は、試験液1mLに対し、1.5×10CFU/mLとなるように接種する。培養温度は菌体の油脂分解・資化能が高い温度帯に合わせて設定すればよいが、例えば15~35℃、好ましくは20~30℃である。
培養後、JIS K0102:2016改正(工業排水試験方法)に準じてノルマルヘキサン抽出物を調製する。ノルマルヘキサン抽出物を油脂の残存量とし、試験液の調製時に添加した油脂(0.05g)と油脂の残存量(ノルマルヘキサン抽出物の量(g))とから、上記数式(1)により油脂減少率を求める。本発明に係る微生物は、pHを上記範囲(例えば、pH2.0~10.5)で設定した油脂分解評価用培地を使用して調製された試験液全てにおいて、上記方法で求められる油脂減少率が50重量%以上であればよい。本発明の好ましい実施形態では、30℃で培養した場合における油脂減少率が、50重量%以上であり、より好ましくは、90重量%以上である。油脂減少率は高いほど好ましいので、上限は特に設定されないが、例えば、上記方法にて測定される油脂減少率が90%以下である。長時間培養すれば油脂減少量は多くなる。しかしながら、微生物は除害施設から順次排泄されるため、通常、約1~3日ごとに除害施設へ微生物が補給される。従って、短時間(例えば24時間以内)で50重量%以上の油脂減少率を示す微生物は、実用面で優れる。
除害施設の排水の水質環境は、排出される生ゴミの種類等によって容易に変動し得る。従って、除害施設で使用される微生物には、広範なpHの環境において排水を浄化し得ることが好ましい。2-141-1株は広範なpHの環境(例えば、pH2.0~10.5)においても油脂を分解し得るという点において優れている。
本明細書において「油脂」とは、トリグリセリド、ジグリセリドおよびモノグリセリドのようなグリセリド類を多く含む食用または工業用油脂、ならびに脂肪酸を指す。前記油脂としては、例えば、オリーブ油、キャノーラ油、ココナッツ油、ごま油、米油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、綿実油、やし油、落花生油、牛脂、ラード、鶏油、魚油、鯨油、バター、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等の食用油脂;およびアマニ油、ジャトロファ油、トール油、ハマナ油、ひまし油、ホホバ油等の工業用油脂;が含まれるが、好ましくはグリーストラップが設置されることが多いレストラン等で頻繁に排出される食用油脂である。脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸;デセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、オレイン酸、イコセン酸、ドコセン酸、テトラコセン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、オクタデカテトラエン酸、イコサジエン酸、イコサトリエン酸、イコサテトラエン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸、ヘンイコサペンタエン酸、ドコサジエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和脂肪酸;が挙げられる。脂肪酸は、食用または工業用油脂が分解されて生じたものであってもよい。
[微生物の培養]
本発明に係るアステロトレメラ・ヒュミコラに属する微生物(以下、単に「油脂分解微生物」とも称する)の培養方法は、当該微生物が生育・増殖できるものであれば、いずれのものであってよい。例えば、微生物の培養に使用する培地は、固体または液体培地のいずれでもよく、また、使用する微生物が資化しうる炭素源、適量の窒素源、無機塩及びその他の栄養素を含有する培地であれば、合成培地または天然培地のいずれでもよい。通常、培地は、炭素源、窒素源および無機物を含む。
油脂分解微生物の培養において使用できる炭素源としては、使用する菌株が資化できる炭素源であれば特に制限されない。具体的には、微生物の資化性を考慮して、グルコース、フラクトース、セロビオース、ラフィノース、キシロース、マルトース、ガラクトース、ソルボース、グルコサミン、リボース、アラビノース、ラムノース、スクロース、トレハロース、α-メチル-D-グルコシド、サリシン、メリビオース、ラクトース、メレジトース、イヌリン、エリスリトール、リビトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ガラクチトール、イノシトール、N-アセチル-D-グルコサミン、デンプン、デンプン加水分解物、糖蜜、廃糖蜜等の糖類、麦、米等の天然物、グリセロール、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸、乳酸、コハク酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、クエン酸等の有機酸類、ヘキサデカン等の炭化水素などが挙げられる。上記炭素源は、培養する微生物による資化性を考慮して適宜選択される。例えば、2-141-1株を用いる場合は、上記炭素源のうち、グルコース、ガラクトース、ソルボース、グルコサミン、アラビノース、ラムノース、スクロース、マルトース、トレハロース、α-メチル-D-グルコシド、セロビオース、サリシン、メリビオース、ラクトース、メレジトース、デンプン加水分解物、グリセロール、エリスリトール、リビトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ガラクチトール、イノシトール、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、グルコン酸、エタノール等を用いることが好ましい。また、上記炭素源を1種または2種以上選択して使用することができる。
油脂分解微生物の培養において使用できる窒素源としては、肉エキス、魚肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、トリプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆加水分解物、大豆粉末、カゼイン、ミルクカゼイン、カザミノ酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸等の各種アミノ酸、コーンスティープリカー、その他の動物、植物、微生物の加水分解物等の有機窒素源;アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩、尿素等の無機窒素源などが挙げられる。上記窒素源は、培養する微生物による資化性を考慮して適宜選択される。例えば、2-141-1株を用いる場合は、上記窒素源のうち、魚肉エキス、トリプトン、酵母エキス、塩化アンモニウム等を用いることが好ましい。
また、上記窒素源を1種または2種以上選択して使用することができる。
油脂分解微生物の培養において使用できる無機物としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛などの、リン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩化物等のハロゲン化物などが挙げられる。上記無機物は、培養する微生物による資化性を考慮して適宜選択される。また、上記無機物を1種または2種以上選択して使用することができる。また、培地中に、必要に応じて、界面活性剤等を添加してもよい。
本発明に係る微生物に効率よく油脂を分解・資化させるあるいは微生物の油脂分解・資化能を維持するためには、培地中に油脂を添加することが好ましい。油脂としては、上述の食用油脂、工業用油脂、ならびに脂肪酸が例示できる。油脂の添加量は、特に制限されず、培養する微生物による油脂分解・資化能などを考慮して適宜選択されうる。具体的には、油脂(菜種油:大豆油=1:1(w/w))を、培地1L中に1~30g、より好ましくは5~15gの濃度で添加することが好ましい。このような添加量であれば、微生物は、高い油脂分解・資化能を維持できる。なお、油脂は、単独で添加してもまたは2種以上の混合物の形態で添加してもよい。
本発明に係る微生物の培養は、通常の方法によって行える。例えば、微生物の種類によって、好気的条件下または嫌気的条件下で、微生物を培養する。前者の場合には、微生物の培養は、振盪あるいは通気攪拌などによって行われる。また、微生物を連続的にまたはバッチで培養してもよい。培養条件は、培地の組成や培養法によって適宜選択され、本発明に係る微生物が増殖できる条件であれば特に制限されず、培養する微生物の種類に応じて適宜選択されうる。通常は、培養温度が、好ましくは15~40℃、より好ましくは25~35℃である。また、培養に適当な培地のpHは、特に制限されないが、好ましくは2~10.5、より好ましくは2.5~9.0である。さらに、培養時間は、特に制限されず、培養する微生物の種類、培地の量、培養条件などによって異なる。通常は、培養時間は、好ましくは16~48時間、より好ましくは20~30時間である。
<排水処理方法>
本発明の一実施形態は、油脂を含む排水に、上記本発明に係る微生物を接触させる工程を含む、排水処理方法に関する。本発明に係る微生物は油脂の低減効果に優れ、特に、広範なpH(例えば、pH2以上11.0未満)の水質環境においても排水を浄化し得る特性を有する。従って、油脂を含む排水に、上記本発明に係る微生物を接触させることにより、油脂を効果的に低減することができる。本発明の好ましい実施形態は、油脂を含む排水に、アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)2-141-1株を含む、排水処理方法である。なお、上記の微生物に関する説明は、必要に応じて改変されて本実施形態に適用され得る。
以下、図1を参酌しながら、本側面に係る排水処理方法についてより詳細に説明する。なお、本発明の排水処理方法が、図1に限定されるものではない。
図1は、グリーストラップ10による排水処理(廃水処理)の仕組みを模式的に表している。排水処理方法において、本発明に係る微生物は、グリーストラップ10に排出する前の排水にあらかじめ添加されていても良いが、典型的には、排水処理槽1中の排水へ添加される。但し、本発明に係る排水処理方法は、本発明に係る微生物と油脂含有排水とを接触させることができる限り特に限定されない。
グリーストラップ10は、埋設式、可動式など、設置形態は特に制限されない。埋設式の場合、例えば厨房や食品加工場において、排水路に流出した排水が残渣受け3に注ぎ込まれるように、グリーストラップ10を埋設する。可動式の場合、例えば、シンクの排水溝の下部に残渣受け3が位置するようにグリーストラップ10を設置する。
図1において、排水は、矢印の方向へ流れる。なお、グリーストラップ10への排水の投入は、回分式であっても連続式であっても良い。油脂含有排水は、残渣受け3を通じて排水処理槽1へと流れ込む。このとき、生ゴミ等の残渣の全部または一部は残渣受け3で捕集されるが、大部分の油脂は残渣受け3を通過して排水処理槽1へと流入する。排水処理槽1へ流入した油脂6は仕切り版2bによって水面5へ向かって浮上し、仕切り板2aと2cとで仕切られた空間に集まる。従って、本発明に係る微生物を排水に加えない場合、仕切り板2aと2cとで仕切られた空間で油脂6が次第に凝集し、スカムを形成することとなる。
本発明に係る微生物をグリーストラップ10に適用した場合、排水処理槽1にて(主として、仕切り板2aと2cとで仕切られた空間にて)、油脂を含む排水と本発明に係る微生物とが接触することとなる。本発明に係る微生物は油脂の分解活性が高く、資化性を有するため、油脂6の凝集を抑制し、スカムが形成されることを有効に防止し得る。特に、2-141-1株は、広範なpH領域(例えば、pH2.0以上11.0未満)においても高い油脂分解活性を備える。これにより、排水のpHに依存せず、油脂がトラップ管4を通じて外部環境へ流出することを防止し、環境保全の観点からも利点がある。
排水処理方法において、本発明に係る微生物は、培養液中に懸濁された状態、培養液から固形分として回収された状態、乾燥された状態、担体に固定化された状態など、様々な形態で排水に接触させられ得る。培養液中に懸濁され、培養液から固形分として回収され、または乾燥された状態の微生物は、例えば、排水中へ添加され、排水と接触させられる。担体に固定化された状態の微生物は、排水中へ添加されてもよいが、微生物を固定化した担体をグリーストラップ内に設置し、微生物固定化担体に排水を通液させることにより微生物と排水とを接触させることもできる。担体に固定化した微生物をグリーストラップ内に設置することにより、排水と共に微生物が流出して菌数が低下することを防止し得る。
培養液から固形分として回収した本発明に係る微生物を使用する場合、回収方法は当業者に公知のいずれの手段も採用できる。例えば、上述の方法により培養した油脂分解微生物の培養液を、遠心分離やろ過などにより固液分離し、固形分を回収して得ることができる。この固形分を乾燥(例えば、凍結乾燥)すれば、乾燥された状態の油脂分解微生物を得ることができる。
担体に固定化された状態の油脂分解微生物を用いる場合、油脂分解微生物を固定化する担体としては、微生物を固定化することができるものであれば特に制限されず、一般的に微生物を固定化するのに使用される担体が同様にしてあるいは適宜修飾されて使用される。例えば、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ゲランガム、アガロース、セルロース、デキストラン等のゲル状物質に包括固定する方法や、ガラス、活性炭、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、木材、シリカゲル等の表面に吸着固定する方法などが使用できる。
また、油脂分解微生物を担体に固定化する方法もまた特に制限されず、一般的な微生物の固定化方法が同様にしてあるいは適宜修飾されて使用される。例えば、微生物の培養液を担体に流し込むことによる固定化法、アスピレーターを用いて担体を減圧下におき、微生物の培養液を担体に流し込むことによる固定化法、および微生物の培養液を滅菌した培地と担体との混合物に流し込み、振とう培養し、上記混合物から取り出した担体を自然乾燥する方法などが挙げられる。
本発明にかかる方法において、排水に油脂分解微生物を添加して接触させる場合、添加する菌量は任意に設定できる。排水に添加する菌量は、特に制限されるものではないが、排水に含まれる油脂1gに対して例えば1×10~1×1012CFUであり、好ましくは1×10~1×1011CFUである。あるいは、排水に含まれる油脂1gに対して、例えば0.1mg~5g(乾燥菌体重量)であり、好ましくは1mg~1.5g(乾燥菌体重量)であり、より好ましくは10mg~150mg(乾燥菌体重量)である。または、グリーストラップ内の排水に対して、例えば1×10~1×1012CFU/L、より好ましくは1×10~1×1011CFU/Lとなるような量であってもよい。あるいは、グリーストラップ内の排水に対して、例えば10mg~15g(乾燥菌体重量)/Lであり、好ましくは0.1g~1.5g(乾燥菌体重量)/Lである。なお、微生物を2種以上組み合わせて用いる場合は、その合計量を意味する。なお、排水に添加する微生物は、前培養したものを用いても良い。前培養することにより、接種する菌量を容易に調節できる。
排水を外部環境へ排出する際、担体に固定化しない油脂分解微生物は排水と共にグリーストラップ外へと排出されるので、本発明においては、グリーストラップ(排水)に、定期的に油脂分解微生物を添加するのが好ましい。添加する間隔は特に制限されないが、例えば、1回/3時間、1回/24時間、または2~3日に1回の間隔で添加するのが好ましい。添加する方法は特に制限されず、排水が連続的にグリーストラップに流入する場合には、排水に混在させて添加してもよいし、グリーストラップ内の排水に直接、添加してもよい。厨房のシンクなどの排水口から微生物を添加すれば、洗浄により排出される排水とともに、微生物をグリーストラップ内に導入することができる。
排水処理方法において、本発明に係る微生物に加えて、油脂をより効率的に減少させる観点から、他の成分を排水に添加してもよい。他の成分としては、例えば、特開2017-136033号公報に記載の微生物、リパーゼ、pH調整剤、油脂吸着剤、界面活性剤などが挙げられる。
グリーストラップは、油脂含有排水を連続的に導入し、処理後の排水を連続的に排出する形態であってもよいし、油脂含有排水を導入し、一括して処理した後に、処理後の排水を一括して排出する形態であってもよい。
また、本発明に係る排水処理方法において、油脂分解微生物と油脂とを接触させる際の温度、すなわちグリーストラップ内の排水の温度としては、任意に設定することができる。また、油脂分解微生物と油脂とを接触させる際のpH、すなわちグリーストラップ内の排水のpHとしても、任意に設定することができる。一般的には、温度は、例えば10~50℃であり、15~35℃が好ましく、20~30℃がより好ましい。pHは例えば2.0以上11.0未満であり、好ましくは2.0~10.5であり、より好ましくは2.5~9.0である。さらに、必要に応じて曝気等により排水にエアレーションを行っても良い。
<排水処理剤>
本発明の一実施形態では、上記本発明に係る微生物を含む、排水処理剤が提供される。本発明に係る微生物は油脂の低減効果に優れ、特に、広範なpH(例えば、pH2.0以上11.0未満)の水質環境においても排水を浄化し得る特性を有する。従って、本発明に係る微生物を含む排水処理剤をグリーストラップ等の排水処理設備(除害施設)に用いることにより、油脂を効果的に低減することができる。なお、上記の微生物および排水処理方法に関する説明は、必要に応じて改変されて本実施形態に適用され得る。
排水処理剤は乾燥形態または液状のいずれであっても良いが、粉末、顆粒、ペレット、タブレット等の乾燥形態が保存性の観点から好ましい。かような乾燥形態の排水処理剤に用いられる本発明に係る微生物としては、培養液を噴霧乾燥や凍結乾燥等により乾燥した菌体末、または上記のように担体に固定化された状態の菌体でも良く、さらに、粉末、顆粒、ペレット、またはタブレット状に成形してもよい。または、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやゼラチン等により、菌体や培養液をカプセル化してもよい。排水処理剤はまた、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、乳糖、デンプン等の賦形剤を含んでもよい。
排水処理剤に含まれる本発明に係る微生物は、死菌であっても生菌であっても良いが、油脂分解活性の持続性の観点から生菌であることが好ましい。
排水処理剤に含まれる本発明に係る微生物の量は、例えば、排水処理剤の固形分中、例えば10~100重量%である。または、排水処理剤に含まれる本発明に係る微生物の量は、例えば、排水処理剤全体に対して、1×10~1×1010CFU/gとなる量である。また、排水処理剤は、本発明の目的効果が達成される限りにおいて、上記の本発明に係る微生物と共生可能な他の微生物、油脂分解性酵素、油脂吸着剤、および界面活性剤からなる群から選択される1種以上等の添加剤を含んでも良い。共生可能な他の微生物、油脂分解性酵素、油脂吸着剤、および界面活性剤としては、例えば特開2017-136033号公報に記載のものを使用できる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
実施例1:微生物の単離
岐阜県多治見市の土壌から採取したサンプルを上記方法にて一次スクリーニング用液体培地に接種し、30℃で一週間培養した。培養後の培養液100μLをさらに一次スクリーニング用液体培地5mLに接種し、再度30℃で一週間培養した。
10倍希釈した一次スクリーニング後の培養液100μLを、上記方法で作製された二次スクリーニング用寒天培地に塗布し、30℃で一週間培養した。培養後、油脂の分解によるハロの形成が確認できた菌株を単離した。
次に、油脂0.05g(菜種油:大豆油=1:1(w/w))を、上記の方法で作製された三次スクリーニング用液体培地5mLに加えて、滅菌した試験液を調製した(油脂1%(w/v))。上記二次スクリーニングで得た各単離菌株を白金耳で一白金耳ずつ、上記の方法で作製されたLB培地に接種し、30℃で24時間振盪培養(140rpm)した。得られた培養液100μLを、上記方法で調製した試験液に接種し、30℃で24時間振盪培養(140rpm)した。
培養後、JIS K0102:2016改正(工業排水試験方法)に準じてノルマルヘキサン抽出物を調製した。ノルマルヘキサン抽出物を油脂の残存量とし、試験液の調製時に添加した油脂0.05gと油脂の残存量(ノルマルヘキサン抽出物の量(g))とから、下記数式(1)により油脂減少率を求めた。その結果、油脂減少率の高い菌株を単離した。
Figure 0007230013000013
単離した菌株をアステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)2-141-1株と命名し、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託した(受託番号NITE BP-02641)。
実施例2:油脂減少率の評価
塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpHを1.5~11.0の範囲で調整した三次スクリーニング用液体培地5mLに油脂0.05gを加えて、滅菌した試験液を調製した。二次スクリーニング用寒天培地上で培養した単離菌株を白金耳で一白金耳、上記で調製した試験液に接種し、30℃で24時間振盪培養(140rpm)した。
また、上記で調製した試験液に、比較対象として「Grease Guard(登録商標) D Lipase」(ノボザイムズ社)0.75mgまたは「ビーエヌクリーン(粉末)」(株式会社明治フードマテリア;バチルス・サブチリスBN1001(Bacillus subtilis BN1001)を含む)7.5mgを添加し、30℃で24時間振盪した。
培養後、JIS K0102:2016改正(工業排水試験方法)に準じてノルマルヘキサン抽出物を調製した。ノルマルヘキサン抽出物を油脂の残存量とし、試験液の調製時に添加した油脂0.05gと油脂の残存量(ノルマルヘキサン抽出物の量(g))から、上記数式(1)により油脂減少率を求めた。その結果を下記表8に示す。表8において、油脂減少率の値は、平均値(n=3)として表される。
Figure 0007230013000014
表8に示すとおり、2-141-1株は、30℃、pH2.0以上11.0未満の条件で、1%(w/v)の油脂を24時間で50重量%以上低減したことが分かる。すなわち、2-141-1株は、広範なpHの水質環境においても、油脂分解力に優れることが分かる。
本出願は、2018年5月17日に出願された日本国特許出願第2018-095351号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
1 排水処理槽、
2a、2b、2c 仕切り板、
3 残渣受け、
4 トラップ管、
5 水面、
6 油脂、
10 グリーストラップ。

Claims (5)

  1. アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)2-141-1株(受託番号NITE BP-02641)である、微生物。
  2. アステロトレメラ・ヒュミコラ(Asterotremella humicola)に属し、以下の菌学的性質を示す、請求項1に記載の微生物。
    Figure 0007230013000015

    Figure 0007230013000016
  3. pH2以上11未満の条件で、1%(w/v)の油脂を24時間で50重量%以上低減する、請求項1または2に記載の微生物。
  4. 油脂を含む排水に請求項1~3のいずれか1項に記載の微生物を接触させる工程を含む、排水処理方法。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の微生物を含む、排水処理剤。
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