JP6157039B1 - 粉体供給装置 - Google Patents
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Abstract
Description
吹込み制御が開始された後、差圧の現在値(実測値)と設定値(目標値)との偏差(ずれ)が所定の値を超えないように内圧調節弁を制御するとともに、吹込速度の現在値と設定値との偏差が所定の値を超えないように粉体用バルブの開度を調整する。この二種類の制御はそれぞれ互いに独立して行われている。
このため、差圧の現在値が設定値まで戻ったとしても、粉体用バルブの制御が間に合っていない場合は、吹込速度の現在値が安定するまで更に時間を要してしまう。この逆の場合も同様である。
本発明は、上述のような問題に鑑み為されたものであり、予定した時間で予定した量の粉体の吹込みを完了することが可能な粉体供給装置を提供することを目的とする。
図1において、粉体供給装置は、所定量の微粉炭等の粉体を供給する吹込タンク1と、吹込タンク1内の圧力を調節する内圧調節弁2と、吹込タンク内に加圧用ガスを導入する際に開き、排出する際に閉じる加圧弁3と、吹込タンクから加圧ガスを排出する際に開き、導入する際に閉じる排気弁4と、吹込タンク1内の圧力を検出する内圧検出器5と、吹込タンク1に接続され、吹込タンク1から供給される粉体を炉等へ輸送する粉体輸送配管6と、粉体輸送配管6に接続され、吹込タンク1から供給される粉体の量を調節する可変弁7と、粉体輸送配管6に取り付けられたライン圧検出器8と、吹込タンク1内の粉体の重量を連続的に計測するロードセル9と、ロードセル9から出力される検出信号に基づいて内圧調節弁2及び可変弁7を制御することにより、粉体供給量を制御する制御部10を主な構成として備える。ロードセル9は粉体重量検出手段の一つの実施形態である。また、制御部10は制御手段の実施形態である。
なお、参照符号11で示すのは、粉体の吹込みが終了して吹込タンク1内の圧力を下げた場合に、粉体輸送配管6からの粉体の逆流を防止するための排出弁である。
この可変弁7の開度を調節することにより、吹込タンク1から供給される粉体の流量すなわち吹込速度を制御することができる。また、この可変弁7は、粉体が通過する弁であるため、直接、粉体の流量を制御でき、このため可変弁7の開度を調節することにより、吹込速度を短時間で大きく変動させることが可能である。
なお、制御部10は、中央演算処理装置(CPU)、ワークメモリであるRAM、記憶部であるROMを備え、粉体供給装置全体を制御する機能を備える。ROMには、後述の図4及び図8に示すようなデータを格納している。CPUは、OSや所定のプログラムをROMからロードして実行することで種々の機能を発揮する。
図2は、縦軸が吹込速度(kg/min)を表し、横軸が処理開始時からの経過時間を表している。そして、曲線は吹込速度の現在値(実測値)を表している。なお、吹込速度は、ロードセル9で検出されたタンク重量の変化率(時間微分)で算出できる。
横に引かれた点線は吹込速度の設定値(目標値)を表し、設定値を表す点線の上下にある破線は、それぞれ、設定値からのズレの上限(設定値+δ1)及び下限(設定値−δ2)を表している。吹込速度の現在値が下限を下回った場合は、加圧モード(詳細は後述)に切り替えて吹込タンク1の内圧を上げるとともに、内圧調節弁2のPID制御により内圧の調整を行い、吹込速度の現在値を設定値の上下限の範囲内に収めるようにする。
この逆に、吹込速度の現在値が上限を超えた場合は、排気モード(詳細は後述)に切り替えて吹込タンク1の内圧を下げるとともに、内圧調節弁2のPID制御により内圧の調整を行、吹込速度の現在値を設定値の上下限の範囲内に収めるようにする。
なお、吹込スタート後の「吹込開始開度」区間(約45秒)はシステムが落ち着くのを待つために、たとえ吹込速度の現在値が設定値の上下限を外れたとしても内圧調節弁2の制御は行わない。
そこで、吹込速度の設定値を変更し(下げて)、流量を減らすことにより、予定した時間に吹込が終了するようにする。「吹込速度の設定値の変更(その1)」である。
しかし、吹込速度の現在値は様々な要因により常に変動するため、同じ設定値のままで吹込を継続すると、予定した時間よりも早く終了したり、あるいは予定した時間内に予定した量の粉体の吹込が終了しない場合がある。
そこで、再度の見直しを行い、吹込速度の設定値の変更を行い、吹込速度の設定値を大きくする。「吹込速度の設定値の変更(その2)」である。
このようにして、吹込速度の設定値を所定のタイミングで変更しながら、内圧調節弁2により内圧の調整をして吹込速度の現在値を制御することにより、予定した時間に予定した量の粉体の吹込を終了させることができる。これが本発明の粉体供給装置の制御の最大の特徴である。
これは制御部10のCPUがROMに格納された所定のプログラムに基づいて行うものである。
まず、オペレータによる吹込開始指令信号の入力により吹込を開始する(S1)。このフローでは内圧調節弁2の動作フロー(図の左列)と、可変弁7の動作フロー(図の右列)がそれぞれ独立して同時進行するが、説明の都合上、先に内圧調節弁2の動作を説明した後に、可変弁7の動作について説明する。
そして、吹込が済んだ粉体の重量(吹込重量現在値)が予定した吹込量(吹込重量設定値)以下である場合は(S5のYES)、内圧調節弁2による吹込速度の制御を継続し、吹込重量現在値が吹込重量設定値を超えたら(S5のNO)、吹込を終了する。
なお、吹込重量現在値は、ロードセル9で検出された粉体の重量から算出される。
吹込開始開度とは、吹込開始時の可変弁7の開度であって、開始から所定の時間が経過するまではその開度を維持する開度のことであり、吹込速度の設定値が演算によって求められると、制御部10のCPUがROMに格納されている例えば後述の図8(a)に示すようなテーブルを参照して、演算された吹込速度の設定値に対応する可変弁開度を読み取り、可変弁7の開度を設定する。
図2でも説明したように、ステップS6で可変弁7の開度を吹込開始開度に設定した後に、外乱等の様々な要因により吹込速度の現在値は常に変動するため、同じ設定値のままで吹込を継続すると、予定した時間よりも早く終了したり、あるいは予定した時間内に予定した量の粉体の吹込が終了しない場合がある。
そこで、吹込速度の設定値の補正値を所定の計算式により算出し、算出された吹込速度設定値に対応する可変弁開度の設定値を、後述の図8(b)のような折れ線グラフに基づいて求め、求めた開度に可変弁7の開度を変更する。
そして、吹込完了区間(本実施例では、吹込終了予定時刻の60秒前から吹込終了予定時刻までの期間を指す。)に到達するまでの間は(S9のNO)、可変弁7の制御を継続する。
吹込完了期間に到達したら(S9のYES)、その時点の可変弁開度を維持し(S10)、吹込終了するまでは変更しない。終了までの時間が短いため、制御の安定性を考慮するとともに、変更したとしても実効性は低いからである。
図3において、ステップS1、S2、S3及びS6を含む期間を吹込開始区間といい、内圧調節弁2及び可変弁7の開度は固定される。また、ステップS7及びS8を含む期間を吹込安定区間といい、可変弁7の開度は必要に応じて変更される。さらに、ステップS9を含む期間を吹込完了区間といい、可変弁7の開度は固定される。
内圧調節弁2による吹込速度制御が開始されると(S11)、CPUは吹込速度現在値が「吹込速度設定値+δ1」(以下「吹込速度設定値上限」という。)を超えているか否かをチェックする(S12)。ここでは、δ1を45kg/minに設定しているが、任意の数値を設定できることは勿論である。
以下の説明を行う前に、「加圧モード」、「排気モード」、「加圧モード0%出力タイマ」及び「排気モード0%出力タイマ」について説明する。
また、「加圧モード0%出力タイマ」とは、加圧モードから排気モードへ切り替える際に、瞬間的に一旦内圧調節弁2の開度を0%に落とすパルス信号をONするオンディレイタイマを指し、「排気モード0%出力タイマ」とは、その逆に、排気モードから加圧モードへ切り替える際に、瞬間的に一旦内圧調節弁2の開度を0%に落とすパルス信号をONするオンディレイタイマを指す。
そして、加圧モード→排気モード切替タイマ(オンディレイ)をカウントアップする(S16)。カウントアップ時間はここでは1秒に設定している。カウントアップが完了するまでは(S16のNO)、ステップS12に戻り、吹込速度現在値が吹込速度設定値上限を超えているか否かをチェックする。
吹込速度現在値が吹込速度設定値上限を超えている場合は、再びステップS13に移行するが、すでにカウントアップは完了しているので、ステップS14に移行する。内圧調節弁開度0%パルスは既にONされているので(S14のYES)、ステップS15を飛ばしてステップS16に移行し、上記処理を繰り返す。
そして、ステップS19に移行し、排気モードにおける吹込速度制御を行う。すなわち、排気モードにおいて、吹込速度現在値が吹込速度設定値の上下限の範囲に収まるように内圧調節弁の開度をPID制御によって制御する。その後、ステップS12に戻って上記処理を繰り返す。
なお、ステップS16において加圧モード→排気モード切替タイマを設けているのは、内圧調節弁2の開度を0%にした後に、モード切替を行う前に吹込タンクの内圧が元に戻って吹込速度現在値が吹込速度設定値上限以下になる可能性もあるため、そのチェックを行う時間を設けるためである。内圧調節弁2の開度を0%とするのと同時に加圧弁3及び排気弁4の操作を行うとチャタリングを起こすおそれもあるので、時間差を設けて切り替えを行うためでもある。
そして、排気モード→加圧モード切替タイマ(オンディレイ)をカウントアップする(S25)。カウントアップ時間はここでは1秒に設定している。カウントアップが完了するまでは(S25のNO)、ステップS12に戻り、吹込速度現在値が吹込速度設定値上限を超えているか否かをチェックする。
吹込速度現在値が吹込速度設定値上限以下である場合(S12のNO)、加圧モード0%出力タイマ、加圧モード→排気モード切替タイマをリセットし(S20)、吹込速度現在値が吹込速度設定値下限を下回っているか否かをチェックする(S21)。ここで変わらず吹込速度現在値が吹込速度設定値下限を下回っている場合は(S21のYES)、再びステップS22に移行するが、すでにカウントアップは完了しているので、ステップS23に移行する。内圧調節弁開度0%パルスは既にONされているので(S23のYES)、ステップS24を飛ばしてステップS25に移行し、上記処理を繰り返す。
そして、ステップS28に移行し、加圧モードにおける吹込速度制御を行う。すなわち、加圧モードにおいて、吹込速度現在値が吹込速度設定値の上下限の範囲に収まるように内圧調節弁2の開度をPID制御によって制御する。その後、ステップS12に戻って上記処理を繰り返す。
一方、ステップS21において、吹込速度現在値が吹込速度設定値下限以上である場合は(S21のNO)、排気モード0%出力タイマ、排気モード→加圧モード切替タイマをリセットして(S29)、ステップS12に戻って以降の処理を繰り返す。
次に、入力された吹込重量設定値W0及び処理時間設定値Tに基づいて、吹込時間設定値及び吹込速度設定値を算出する(S32)。
図7は、吹込速度設定値の計算方法について説明するための図である。図7(a)は、吹込開始時における吹込速度設定値の計算方法を説明するものであり、(b)は吹込中(吹込安定区間)における吹込速度設定値(修正値)の計算方法を説明するものである。
図7(a)に示すように、処理時間設定値(T)には、実際に吹込処理を行う時間(吹込時間:T2)の他に、前処理時間(T1)と後処理時間(T3)が含まれている。前処理時間とは、他の設備の動作時間や吹込開始動作までの遅延時間(プレブロー等)が含まれており、ここでは約60秒を想定している。また、後処理時間とは、他の設備の動作時間や吹込終了後の設備動作時間(アフターブロー等)が含まれており、ここでは約60秒を想定している。処理時間設定値から斜線部の時間(T1及びT3)を差し引いた時間を「吹込時間(設定値)」とし、吹込重量設定値から吹込速度設定値を算出する。
従って、吹込開始時における吹込速度設定値は、次の計算式(式1)で求められる。
吹込速度設定値[kg/min]=吹込重量設定値W0[kg]/吹込時間T2[sec]×60
=W0/(T−T1−T3)×60……(式1)
これを図7(b)を参照して説明する。
図7(b)に示すように、吹込開始後t(秒)経過した時点での吹込時間(残)は、「T2−t」[sec]となり、また、この時点における吹込重量現在値をWとすると、吹込重量(残)は、「W0−W」[kg]となるから、吹込速度設定値(修正値)は、次の計算式(式2)で求められる。
吹込速度設定値(修正値)[kg/min]=吹込重量(残)/吹込時間(残)×60
=(W0−W)/(T2−t)……(式2)
式2で求めた吹込速度設定値に基づき、図8(b)の折れ線グラフを参照して対応する可変弁開度(%)を取得し、その開度に可変弁7の開度を設定(変更)する。なお、折れ線グラフを参照する代わりに、この折れ線グラフに対応する関数を予め設定しておき、それに吹込速度設定値を代入することにより可変弁開度を計算するようにしてもよい。
なお、ステップS38、S39及びS40の処理は、図3におけるS8、S9及びS5と同じであり、すでに説明したので、ここでは説明を省略する。
以上で、本発明に係る粉体供給装置における吹込速度制御についての説明は終了するが、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、吹込速度現在値を粉体重量の現在値の変化率(時間微分)で求めたが、これに限らず、例えば、粉体流量計(不図示)を粉体輸送配管6の途中に設置し、その計測データに基づいて、吹込速度現在値を求めてもよい。
図から分かるように、外乱が発生した場合、従来は差圧の制御と可変弁の制御がそれぞれ独立して制御を行っているため、吹込速度が安定するまでの待ち時間が長くなってしまう。又は、差圧制御を吹込速度制御とは独立して行っているため、吹込速度が目標値付近であったとしても、目標値から離れていく制御になってしまう可能性がある。
これに対して、本発明に係る粉体供給装置は、吹込速度の設定値を目標値として制御を行うため、従来の制御に比べ吹込速度が安定するまでの時間が短縮される。換言すれば、目標値が一つであるため、吹込速度が目標値から離れていかない。
図から分かるように、従来は、一定の吹込速度(差圧)の設定値を目標値として制御を行っているため、外乱が発生した場合に、一度に多量の粉体が排出されてしまい、予定した吹込完了時間よりも前に吹込が完了してしまう。このため、予定した吹込完了時間と実際の吹込完了時間との間に誤差を生じる。
これに対して、本発明に係る粉体供給装置は、吹込み速度の設定値は、残りの吹込時間と吹込残量から演算して所定のタイミングで変更されるため、吹込完了時間に合わせて吹込みを完了することができるという優れた効果がある。
2 内圧調節弁
3 加圧弁
4 排気弁
5 内圧検出器
6 粉体輸送配管
7 可変弁
8 ライン圧検出器
9 ロードセル
10 制御部
11 排出弁
Claims (4)
- 吹込タンク内の粉体を前記吹込タンクに接続された粉体輸送配管から前記吹込タンクの外にある設備に供給する粉体供給装置であって、該粉体供給装置は、
前記吹込タンク内の圧力を調節する内圧調節弁と、
前記吹込タンク内の粉体重量を検出する粉体重量検出手段と、
弁の開度調節により、通過する粉体の量を調節可能な可変弁と、
前記内圧調節弁及び前記可変弁の開度を調節することにより、粉体の吹込速度を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
前記粉体重量検出手段により検出された粉体重量から算出した吹込重量現在値と予め設定された吹込重量目標値とに基づいて吹込重量の残量(以下「吹込重量残」という。)を算出し、
さらに、予め設定した吹込予定時間と現在までの経過時間とに基づいて、吹込予定時間までの残り時間(以下「吹込時間残」という。)を算出し、
前記吹込重量残を前記吹込時間残で除して吹込速度設定値を所定のタイミングで算出し、該算出された吹込速度設定値に対応した開度に前記可変弁の開度を設定するとともに、
前記粉体重量検出手段で検出された粉体重量に基づいて算出した吹込速度現在値と、前記吹込速度設定値との偏差が所定の範囲に収まるように、前記内圧調節弁を制御することを特徴とする粉体供給装置。 - 吹込タンク内の粉体を前記吹込タンクに接続された粉体輸送配管から前記吹込タンクの外にある設備に供給する粉体供給装置であって、該粉体供給装置は、
前記吹込タンク内の圧力を調節する内圧調節弁と、
前記吹込タンク内の粉体重量を検出する粉体重量検出手段と、
弁の開度調節により、通過する粉体の量を調節可能な可変弁と、
前記粉体輸送配管の途中に設置された粉体流量計と、
前記内圧調節弁及び前記可変弁の開度を調節することにより、粉体の吹込速度を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
前記粉体重量検出手段により検出された粉体重量から算出した吹込重量現在値と予め設定された吹込重量目標値とに基づいて吹込重量残を算出し、
さらに、予め設定した吹込予定時間と現在までの経過時間とに基づいて、吹込時間残を算出し、
前記吹込重量残を前記吹込時間残で除して吹込速度設定値を所定のタイミングで算出し、該算出された吹込速度設定値に対応した開度に前記可変弁の開度を設定するとともに、
前記粉体流量計で計測した流量現在値に基づいて算出した吹込速度現在値と前記吹込速度設定値との偏差が所定の範囲に収まるように、前記内圧調節弁を制御することを特徴とする粉体供給装置。 - 吹込開始から所定の時間内及び吹込完了予定時間から遡って所定の時間内は前記可変弁の開度を固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体供給装置。
- 前記所定のタイミングが、所定の時間間隔又は所定の吹込済重量ごとであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体供給装置。
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