以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1から図3に示すように、本発明の実施形態に係る静電噴霧装置(1)は、円柱状の本体部(41)と、この本体部(41)の略半分を覆う側面視半円状の蓋部(42)とを備えている。この静電噴霧装置(1)は、使用時における本体部(41)の高さを2段階に調節可能となっている。
すなわち、静電噴霧装置(1)は、本体部(41)の側面下部に、下端縁が平らに形成された固定部(43)が設けられていて、蓋部(42)を本体部(41)から取り外した状態で、この固定部(43)で卓上等に載置して使用する場合と、図2に示すように、固定部(43)に蓋部(42)の側面上部を取り付け、蓋部(42)の開口部を卓上に向けて載置して蓋部(42)を台座として使用する場合とを選択可能となっている。
そして、上記静電噴霧装置(1)は、図4に示すように、本体部(41)内に噴霧カートリッジ(20)が着脱自在に設けられている。
上記噴霧カートリッジ(20)は、図5に示すように、扁平な袋状の容器部(10)と、容器部(10)に取り付けられた導電部材(12)と、導電部材(12)に着脱自在に取り付けられるとともに、容器部(10)内に連通するノズル部(21)とを備えている。この噴霧カートリッジ(20)は、容器部(10)が圧迫されると、容器部(10)内の液体がノズル部(21)の先端から噴射されるようになっている。噴霧カートリッジ(20)は、容器部(10)内の液体がなくなるか、少なくなると交換される。
上記容器部(10)は、液体を浸透させない比較的柔軟な材料で構成された2枚の矩形状のシートを重ね合わせることによって形成されている。これらの2枚のシートは、互いの4辺が張り合わされ、短辺側の1辺には、容器部(10)の外側に向かって突設されて容器部(10)の内部と外部とを連通させる突出部(22)が形成されている。容器部(10)の内部には、保湿成分や抗酸化成分を含んだ化粧用の液体(例えばヒアルロン酸を含む溶液)が充填されている。この液体は、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下となるように濃度が調整されている。
上記導電部材(12)は、導電性の樹脂で形成されており、容器部(10)内に充填される液体に電荷を付与するための電界形成手段(9)を構成するものである。導電部材(12)は、容器部(10)の突出部(22)内に挿通され、容器部(10)内の液体に接触する挿通部(12a)と、挿通部(12a)の外側端に設けられ、突出部(22)よりも大径に形成されたフランジ部(12b)とを備えている。本体部(41)内には、後述する電極部に接続された本体側電極(図示せず)が設けられていて、この本体側電極がフランジ部(12b)と接触している。
上記挿通部(12a)には貫通孔が形成され、この貫通孔にフランジ部(12b)側から上記ノズル部(21)が挿通されるようになっている。
上記ノズル部(21)は、細いチューブ状のノズル部本体(21a)と、このノズル部本体(21a)が移動不能に挿通されるノズル固定部(21b)とを備えている。図4及び図6に示すように、ノズル固定部(21b)がフランジ部(12b)に設けられた凹部(12c)と嵌合して、ノズル部(21)が導電部材(12)に取り付けられるようになっている。ノズル部本体(21a)は、外径が例えば0.35mmに形成され、また内径が例えば0.1mmに形成されている。また、ノズル部本体(21a)は、長さが例えば7mmに形成されていて、その先端が容器部(10)内の中央部まで延びている。ノズル部本体(21a)は、柔軟な樹脂材料により形成され、上記挿通部(12a)の貫通孔に挿通されて容器部(10)の内部に連通している。なお、ノズル部本体(21a)には、容器部(10)から流入する液体の単位時間あたりの流量を調整するために、容器部(10)の外側に向かう液体の流路抵抗となる抵抗体を設けてもよい。
また、ノズル部(21)には、図4に示すように、静電噴霧装置(1)を使用していない場合に、ノズル部本体(21a)内に残った液体の乾燥を防止するためにノズルキャップ(23)が着脱自在に取り付けられるようになっている。そして、上記噴霧カートリッジ(20)は、ノズル部本体(21a)の先端が斜め上方に向くように、本体部(41)内に着脱自在に配設される。
図2及び3に示すように、上記本体部(41)は、略円筒状のハウジング(41a)と、該ハウジング(41a)の両端開口を覆う一対のカバー部(41b,41c)とを備えている。一対のカバー部(41b,41c)は、ハウジング(41a)に対して回動不能に取り付けられる固定側カバー部(41c)と、ハウジング(41a)に対して周方向に回動可能に取り付けられる可動側カバー部(41b)とで構成されている。
上記ハウジング(41a)には、図4に示すように、その斜め上部に、上記噴霧カートリッジ(20)を取り付けるための開口部(11)が設けられていて、この開口部(11)に、噴霧カートリッジ(20)がノズルベース(30)を介して取り付けられている。このノズルベース(30)は、開口部(11)に係脱可能に取り付けられ、そのハウジング(41a)内側端の中央部に、噴霧カートリッジ(20)の導電部材(12)が収容される取付凹部(33)が形成されている。図6に拡大して示すように、ノズルベース(30)の外側端中央部には、ハウジング(41a)側に凹陥したノズル凹部(31)が設けられている。このノズル凹部(31)の底部には、上記取付凹部(33)と連通する貫通孔(32)が形成されていて、この貫通孔(32)にノズル部(21)のノズル固定部(21b)が収容されるようになっている。そして、ノズル部本体(21a)の先端がノズル凹部(31)内に収納されてノズル部本体(21a)がノズルベース(30)から突出しないように構成されている。
上記噴霧カートリッジ(20)を交換する際には、ノズルベース(30)を開口部(11)から取り外した後、使用後の噴霧カートリッジ(20)をハウジング(41a)内から取り出す。そして、新しい噴霧カートリッジ(20)を開口部(11)からハウジング(41a)内に挿入した後、ノズルベース(30)を開口部(11)に係合させるようになっている。
上記ハウジング(41a)側面の開口部(11)[ノズルベース(30)]の下側には、図7に示すように、ノズル部(21)から噴射される液体の噴霧粒子に向かって光を照射する照射部(40)が設けられている。この照射部(40)は、図2にも示すように、2つのLEDライト(46,46)を備えていて、本体部(41)を卓上等に載置した状態で、上方に向かってLED光を照射するように構成されている。このように、上方に向かって照射されたLED光は、上記ノズル部(21)から噴射される液体の噴霧粒子と交差するようになっている。この照射部(40)によるLED光の照射は、少なくとも液体の噴霧状態の調整時に行われる。
上記ハウジング(41a)内の噴霧カートリッジ(20)の容器部(10)の両側方に対応する位置には、後述する定荷重ゼンマイ(51,51)が配設されるゼンマイ配設部(50,50)が設けられている。
上記本体部(41)内には、噴霧カートリッジ(20)の容器部(10)を加圧して容器部(10)内の液体を噴出させるための流体搬送手段(8)と、電界形成手段(9)とが配設されている。
上記電界形成手段(9)は電源部(34)を備え、この電源部(34)は電圧を調整するための抵抗値可変のボリューム(48)を有している。電源部(34)は、ハウジング(41a)内に収納された電池からの出力電圧をボリューム(48)で例えば6kVの高電圧に変換して、上記本体側電極に出力するように構成されている。本体側電極に出力された電圧は、噴霧カートリッジ(20)の導電部材(12)を介してノズル部(21)内の液体に印加される。
上記電源部(34)には、高電圧の出力をオンオフして、電界形成手段(9)の電圧の印加状態と印加停止状態との切り換えを行う電圧用スイッチ(47)(図9に示す)が設けられている。
一方、図2及び図3に示すように、上記一対のカバー部(41b,41c)の外側面には、導電部材(12)(電圧が印加した液体)の対向電極(44,44)が帯状に形成されている。これらの対向電極(44)、電源部(34)、本体側電極及び導電部材(12)で電界形成手段(9)を構成している。
また、図3に示すように、上記固定側カバー部(41c)には、上記ボリューム(48)に接続される調節手段としての電圧調整用つまみ(45)が取り付けられている。この電圧調整用つまみ(45)を使用者が操作することで、ボリューム(48)の抵抗値を変更し、電源部(34)から導電部材(12)に出力される高圧電源の電圧を調整して、液体の噴霧状態を調整することができるようになっている。
上記流体搬送手段(8)は、図7及び図9に示すように、上記可動側カバー部(41b)と、2つの定荷重ゼンマイ(51,51)と、加圧ステージ(52)と、仕切板(53)とによって構成されている。流体搬送手段(8)は、加圧動作により上記容器部(10)の内圧を上昇させてノズル部(21)の先端から液体を流出させるものである。
上記加圧ステージ(52)は、図8に示すように、有底円筒形状に形成され、その外側面に、2つの定荷重ゼンマイ(51,51)が取り付けられる一対のゼンマイ取付部(54,54)が形成されている。また、加圧ステージ(52)の内側面には、一対の係合ピン(55,55)が突設されている。
上記定荷重ゼンマイ(51,51)は、一定の曲率に形成された帯状の金属板が渦巻き状に巻かれているゼンマイである。定荷重ゼンマイ(51,51)は、ストロークが所定値を越えると、それ以上ストロークが大きくなっても復元力が一定になるという特性を有している。定荷重ゼンマイ(51,51)は、ゼンマイドラム(51a)に巻き付けられ、このゼンマイドラム(51a)が上記加圧ステージ(52)のゼンマイ取付部(54,54)に回転自在に支持されている。また、定荷重ゼンマイ(51,51)の金属板の外側端部は、ハウジング(41a)のゼンマイ配設部(50,50)に連結されている。
上記加圧ステージ(52)は、その底部が固定側カバー部(41c)に向くように配設され、可動側カバー部(41b)から固定側カバー部(41c)に向かって順に、加圧ステージ(52)と、噴霧カートリッジ(20)の容器部(10)と、仕切板(53)とがハウジング(41a)内に配設されている。
上記可動側カバー部(41b)は、図8に示すように、その内側面(加圧ステージ(52)側)に、略円筒状の巻上部(60)が突設されている。この巻上部(60)には、一対の切欠部(51,51)が形成されている。これらの切欠部(51,51)は、巻上部(60)の先端側に開口し、上記加圧ステージ(52)の係合ピン(55,55)がそれぞれ挿入される解放部(61a)と、この解放部(61a)から巻上部(60)の基端側に向かって、可動側カバー部(41b)の内側から見て左方向に斜めに係合ピン(55,55)を案内する傾斜部(61b)と、この傾斜部(61b)に連続して巻上部(60)の基端側に設けられ、係合ピン(55,55)と係合する係合部(61c)とを有している。
上記一対の係合ピン(55,55)が巻上部(60)の係合部(61c)と係合しているとき、加圧ステージ(52)は、定荷重ゼンマイ(51,51)から容器部(10)に向かう方向にバネ力が作用した状態で、その底部が噴霧カートリッジ(20)の容器部(10)を押圧しない位置に規制されている。
そして、可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して右方向(加圧ステージ(52)の係合ピン(55,55)が巻上部(60)の傾斜部(61b)に向かう方向)に相対的に回動させると、係合ピン(55,55)が傾斜部(61b)に移動することで係合ピン(55,55)と係合部(61c)との係合が外れて、定荷重ゼンマイ(51,51)のバネ力によって加圧ステージ(52)が容器部(10)側に移動し、容器部(10)が加圧ステージ(52)と仕切板(53)とに挟まれて加圧されるようになっている。
また、上記加圧ステージ(52)には、図9に示すように、上記電圧用スイッチ(47)をオンオフするためのプッシャー(49)が設けられている。このプッシャー(49)は、可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して相対的に回動させたとき、加圧ステージ(52)の係合ピン(55,55)が巻上部(60)の傾斜部(61b)にある場合には、電圧用スイッチ(47)に干渉して電圧用スイッチ(47)をオン状態にする一方、係合ピン(55,55)が巻上部(60)の係合部(61c)にある場合には、電圧用スイッチ(47)と離間して電圧用スイッチ(47)をオフ状態にするように構成されている。
すなわち、流体搬送手段(8)が加圧動作にあるときは、上記電界形成手段(9)を電圧の印加状態にする一方、該流体搬送手段(8)の加圧動作が解除されたときには、上記電界形成手段(9)を電圧の印加停止状態にするように流体搬送手段(8)及び電界形成手段(9)の作動が連係されている。可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して回動させることで加圧ステージ(52)が容器部(10)に対して進退し、流体搬送手段(8)及び電界形成手段(9)の作動が同時にオンオフされるので、可動側カバー部(41b)の巻上部(60)と加圧ステージ(52)とが、流体搬送手段(8)及び電界形成手段(9)の作動を連係させる連係手段(7)を構成している。
具体的には、可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して右方向に回動させて係合ピン(55,55)を係合部(61c)から傾斜部(61b)に移動させると、加圧ステージ(52)が容器部(10)側に移動し、加圧ステージ(52)が容器部(10)を加圧して液体がノズル部(21)の先端に供給されるとともに、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)をオン状態とし、電源部(34)から高電圧が出力されて電界が生起されることで液体が噴霧されるようになっている。
一方、可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して左方向に回動させて、係合ピン(55,55)を傾斜部(61b)から係合部(61c)に移動させると、加圧ステージ(52)が容器部(10)と離間する方向に移動し、加圧ステージ(52)の容器部(10)への加圧が解除されるとともに、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)をオフとして電源部(34)からの電圧の出力が停止されて液体の噴霧が停止されるようになっている。
(運転動作)
次に、本実施形態の静電噴霧装置(1)の運転動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
上記静電噴霧装置(1)が作動していない状態では、加圧ステージ(52)の係合ピン(55,55)は巻上部(60)の係合部(61c)に係合していて、加圧ステージ(52)は噴霧カートリッジ(20)の容器部(10)を加圧していない。この状態で加圧ステージ(52)には、定荷重ゼンマイ(51,51)から容器部(10)に向かう方向に荷重が作用している。
上記静電噴霧装置(1)を作動させるときには、まず、蓋部(42)を本体部(41)から外す。静電噴霧装置(1)を載置する場所等に合わせて、本体部(41)の固定部(43)を直接卓上に載置するか、蓋部(42)を固定部(43)に取り付けて、蓋部(42)を卓上に載置するかして高さを調節する。
そして、使用者が可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して右側に相対的に回動すると、連係手段(7)によって流体搬送手段(8)と電界形成手段(9)とが同時に作動して液体の噴霧が開始される。使用者が、片方の手でハウジング(41a)を持ち、他方の手でカバー部(41b)を持ってねじるような動作をすることで、可動側カバー部(41b)が回動する。
具体的には、図11に示すように、可動側カバー部(41b)を回動させると、上記流体搬送手段(8)では、上記係合ピン(55,55)と係合部(61c)との係合が外れ、定荷重ゼンマイ(51,51)で発生する荷重が作用して加圧ステージ(52)が容器部(10)側に移動させられることによって、容器部(10)が加圧ステージ(52)と仕切板(53)とに挟まれて加圧されて圧縮し、容器部(10)内の液体がノズル部(21)の先端に送り込まれる。ノズル部(21)の内径は小さくノズル部(21)の流路抵抗は大きいので、容器部(10)内の液体は少しずつノズル部(21)の先端に供給される。容器部(10)内の液体が減少するのに伴って、定荷重ゼンマイ(51)からの荷重によって加圧ステージ(52)が押されて係合ピン(55,55)が傾斜部(61b)に案内され、加圧ステージ(52)が容器部(10)側に移動する。定荷重ゼンマイ(51,51)で発生する荷重は、ストロークに拘わらず一定であるため、ノズル部(21)内の液体の圧力は常に一定であり、ノズル部(21)の先端から供給される液体の量は常に一定である。
一方、上記電界形成手段(9)では、可動側カバー部(41b)を回動させて加圧ステージ(52)が容器部(10)側に移動させられることによって、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)に干渉して電圧用スイッチ(47)をオン状態とする。電圧用スイッチ(47)がオン状態になると電源部(34)から高電圧が出力されて、本体側電極及び噴霧カートリッジ(20)の導電部材(12)を介してノズル部(21)内の液体に電圧が印可され、電界が生起する。
ノズル部(21)の先端に電界が形成されると、ノズル部(21)の先端に供給された液体が分極し、ノズル部(21)の先端の気液界面近傍に+(プラス)の電荷が集まる。そして、ノズル部(21)の先端では、気液界面が引き延ばされて円錐状となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。
ノズル本体の先端から飛散する液滴の大きさは、概ね50μm〜200μmの範囲の大きさとなるように、液体の電気抵抗率に対応した印加電圧の大きさに設定されている。本実施形態の静電噴霧装置(1)においては、液体が糸を引いたようなリガメントの状態で噴霧された後、拡散される状態が最適な噴霧状態である。ノズル部本体(21a)から飛散した液体は、ノズル部本体(21a)の先端から40cm〜50cm程度離れた距離まで到達する。
しかし、液体の噴霧状態は、静電噴霧装置(1)を設置する室内の湿度や、対象物との距離、障害物の有無等によって変化する。
本実施形態の静電噴霧装置(1)では、本体部(41)の固定側カバー部(41c)に設けられた電圧調整用つまみ(45)を使用者が操作することで、電界形成手段(9)で液体に印可される電圧を調整し、液体の噴霧状態を最適な状態にすることができる。
すなわち、電圧調整用つまみ(45)を使用者が操作することで、ボリューム(48)の抵抗値を変更し、電源部(34)から導電部材(12)に出力される高圧電源の電圧を調整して、液体の噴霧状態を調整する。
具体的には、静電噴霧装置(1)と使用者との距離が近かったり、空間の相対湿度が高い場合には、液体がリガメント状態で噴霧されず、ノズル部本体(21a)の先端を出た直後に拡散してしまったり、割れた状態で噴霧されてしまったりする。この場合には、電圧調整用つまみ(45)を使用者が操作して、電圧を小さくすることで最適な噴霧状態となる。
一方、静電噴霧装置(1)と使用者との距離が離れていたり、空間の相対湿度が低い場合には、液体の拡散の程度が弱くなったり、噴霧粒子が大きくなってしまったりする。この場合には、電圧調整用つまみ(45)を使用者が操作して、電圧を大きくすることで最適な噴霧状態となる。
上記のように液体の噴霧状態を調整するときには、噴霧される液体の噴霧粒子に向かって照射部(40)のLEDライト(46,46)からLED光を照射する。照射部(40)で液体の噴霧粒子に向かって光を照射すると、直接粒子に光が当たるとともに、粒子に当たった光が反乱光や散乱光となって、次々と粒子に当たっていき、全体に光が照射されて噴霧粒子が目視可能となる。
したがって、照射部(40)で液体の噴霧粒子に向かってLED光を照射して、使用者が液体の噴霧状態を目視しながら、電圧調整用つまみ(45)で液体の噴霧状態を調節する。
上記照射部(40)から照射される光は、液体の噴霧粒子の噴射方向に対して交差する方向に照射されるので、光が確実に噴霧粒子に当たるとともに、光は上方に向かって照射されるので、ノズルから噴射される液体の液滴を使用者が顔面に付着させようとしても、光が使用者に向かって照射されず、光が目に当たってまぶしく感じることがない。
上記静電噴霧装置(1)の液体の噴霧を停止する場合には、使用者が可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して左側に相対的に回動すると、連係手段(7)によって流体搬送手段(8)と電界形成手段(9)とが同時に作動を停止して液体の噴霧が終わる。
具体的には、可動側カバー部(41b)を回動させると、上記流体搬送手段(8)では、上記加圧ステージ(52)の係合ピン(55,55)が巻上部(60)の傾斜部(61b)から係合部(61c)に移動して係合部(61c)と係合する。巻上部(60)によって定荷重ゼンマイ(51,51)が巻き上げられ、加圧ステージ(52)が容器部(10)から離間する方向に移動させられることによって、加圧ステージ(52)が容器部(10)と離間し、容器部(10)への加圧動作が停止される。すると、図11に示すように、容器部(10)内の内圧が徐々に小さくなり、容器部(10)内の液体はノズル部(21)の先端へ供給されなくなる。
一方、上記電界形成手段(9)では、可動側カバー部(41b)を回動させて加圧ステージ(52)が容器部(10)と離間する方向に移動させられることによって、プッシャー(49)と電圧用スイッチ(47)との干渉が解除されて電圧用スイッチ(47)がオフ状態となる。電圧用スイッチ(47)がオフ状態になると電源部(34)からの高電圧の出力が停止されて、ノズル部(21)内の液体への電圧の印加が停止される。
このように、可動側カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して回動させるという使用者の1つの動作で、連係手段(7)によって流体搬送手段(8)及び電界形成手段(9)の作動のオンオフが機械的に切り換えられるようになっている。
(実施形態の効果)
したがって、本実施形態の静電噴霧装置(1)においては、液体の噴霧粒子に向かって光を照射する照射部(40)を設けたので、粒子に光が当たって噴霧粒子が目視可能となるので、液体の噴霧状態の確認を容易に行うことができる。
また、照射部(40)から照射される光を液体の噴霧粒子の噴霧方向に対して交差する方向に照射するようにしたので、光が確実に噴霧粒子に当たり、目視を容易にすることができる。
また、照射部(40)から照射される光を上方に向かって照射するようにしたので、光が使用者に向かって照射されず、使用者の快適性を向上することができる。
さらに、電圧調整用つまみ(45)で液体に印可させる電圧を調節して液体の噴霧状態を調節するときに照射部(40)による照射を行うことで、液体の噴霧状態を目視で確認しながら、噴霧状態の調整を行うことができるので、より容易かつ確実に安定した液体の噴霧を行うことができる。
また、静電噴霧装置(1)装置の使用環境が変化しても、使用者が電圧調整用つまみ(45)を操作することで液体の噴霧状態を最適な状態に調節することができる。
すなわち、電圧調整用つまみ(45)で、電界形成手段(9)で印可される電圧を増減させて液体の噴霧状態を調節するので、液体の噴霧量が一定である静電噴霧装置(1)であっても、最適な液体の噴霧状態に調節することができ、安定した液体の噴霧を行うことができる。
また、電圧調整用つまみ(45)を使用者が操作するものとして、液体の噴霧状態の調節を使用者に開放したので、ユーザーフレンドリーな装置を提供することができる。
さらには、カバー部(41b)をハウジング(41a)に対してねじるという比較的容易な1つの動作で、液体の噴霧の開始と停止とを制御することができるので、使用者に負担感を感じさせずに、流体搬送手段(8)及び電界形成手段(9)の作動のオンオフの切り換えを同時に行うことができる。
そして、カバー部(41b)をハウジング(41a)に対して回動させるという1つの動作で、流体搬送手段(8)及び電界形成手段(9)の作動のオンオフの切り換えが機械的に行われるので、液体の噴霧の開始と停止との制御をより確実に行うことができる。
なお、上述の実施形態は、本発明の例示であって、本発明はこの例に限定されるものではない。