JP2008296138A - 静電噴霧装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】噴霧溶液を貯留する容器部(31)と、容器部(31)に接続されたノズル部(32)と、電圧の印加によりノズル部(32)から溶液を噴霧するための静電噴霧機構とを備えた静電噴霧装置において、噴霧量を溶液の量の変化や装置の傾きなどにかかわらず一定に保つ。
【解決手段】容器部(31)を柔軟な袋状の密閉容器により形成するとともにこの容器部(31)とノズル部(32)とを一体または別々の部品が組み合わさるように形成する。また、袋状の容器部(31)をこの容器部(31)の形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾して溶液をノズル部(32)に供給する押圧機構と、単位時間当たりのノズル部(32)からの溶液の浸出量を所定量以下に規制する抵抗体(34)とを設ける。
【選択図】図4
【解決手段】容器部(31)を柔軟な袋状の密閉容器により形成するとともにこの容器部(31)とノズル部(32)とを一体または別々の部品が組み合わさるように形成する。また、袋状の容器部(31)をこの容器部(31)の形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾して溶液をノズル部(32)に供給する押圧機構と、単位時間当たりのノズル部(32)からの溶液の浸出量を所定量以下に規制する抵抗体(34)とを設ける。
【選択図】図4
Description
本発明は、静電噴霧装置に関し、特に、噴霧ノズルの構造に関するものである。
従来より、例えば人体に有用な溶液を室内へ噴霧するため、噴霧溶液を収納した噴霧容器の先端に噴霧ノズルを設けて、この噴霧ノズルに電圧を印加することにより溶液を噴霧するようにした静電噴霧装置が用いられている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1の静電噴霧装置は、長方形の箱形容器の短辺側の下端部にノズルが設けられている。
特開2006−247454号公報
上記静電噴霧装置では、図10(A)に示すように溶液の噴霧に伴って容器(51)内の液面(52)が低くなると、ノズル(53)と液面(52)との高低差(h)が変わり、圧力ヘッド差が小さくなる。したがって、噴霧初期には噴霧量が多く、徐々に噴霧量が少なくなってしまう。また、図10(B)に示すように容器が傾くと、液面(52)と噴霧ノズル(53)の高低差(h)が変化するので圧力ヘッド差が変化してしまい、やはり流量が変化する。
このように、特許文献1の静電噴霧装置では噴霧量を一定に保つことができない問題があった。本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電噴霧装置における噴霧量を、溶液の量の変化や装置の傾きなどに関わらず一定に保つことである。
第1の発明は、噴霧溶液を貯留する液体容器(31)と、液体容器(31)に接続された噴霧ノズル(32)と、電圧の印加により噴霧ノズル(32)から溶液を噴霧するための静電噴霧機構(35)とを備えた静電噴霧装置を前提としている。
そして、この静電噴霧装置は、上記液体容器(31)が柔軟な袋状の密閉容器により形成されるとともに該液体容器(31)と噴霧ノズル(32)とが一体または別々の部品が組み合わさるように形成され、さらに、上記袋状の液体容器(31)を該容器の形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾して溶液を噴霧ノズル(32)に供給する圧搾機構(23)と、単位時間当たりの噴霧ノズル(32)からの溶液の浸出量を所定量以下に規制する抵抗手段(34)とを備えていることを特徴としている。
この第1の発明では、柔軟な袋状の液体容器(31)をその形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾するとともに、単位時間当たりの噴霧ノズル(32)からの溶液の浸出量を所定量以下に規制するようにしたことによって、溶液の噴霧に伴って液面が低くなったり装置が傾いたりしても、噴霧量に圧力ヘッド差が影響しなくなる。
第2の発明は、第1の発明において、ケーシング(20)を備え、該ケーシング(20)に上記液体容器(31)を装填する容器保持部(43)が形成されるとともに、該ケーシング(20)に上記圧搾機構(23)が設けられていることを特徴としている。
この第2の発明では、ケーシング(20)に装着された液体容器(31)が圧搾機構(23)によって圧搾されるとともに、噴霧ノズル(32)からの溶液の流出量が抵抗手段(34)によって規制される。
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記噴霧ノズル(32)に設けられる抵抗手段(34)が直線状の微細流路(33a)により構成されていることを特徴としている。なお、ここで言う「微細流路」は、溶液が流れるときの抵抗を与える流路のことであり、「抵抗流路」と言い換えてもよい。
この第3の発明では、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が直線状の微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量が規制される。
第4の発明は、第3の発明において、上記直線状の微細流路(33a)が、上記噴霧ノズル(32)を貫通して設けられた微細チューブ(33)により構成されていることを特徴としている。
この第4の発明では、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が微細チューブ(33)内の微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量が規制される。
第5の発明は、第1または第2の発明において、上記噴霧ノズル(32)に設けられる抵抗手段(34)が螺旋状の微細流路(33a)により構成されていることを特徴としている。
この第5の発明では、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が螺旋状の微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量が規制される。
第6の発明は、第5の発明において、上記螺旋状の微細流路(33a)が、上記噴霧ノズル(32)の本体側の内孔(32c,32d)と、該内孔(32c,32d)に嵌合する棒状部材(36A,36B,36C)の少なくとも一方に形成された螺旋溝(36a)により形成されていることを特徴としている。
この第6の発明では、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が螺旋溝(36a)からなる微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量が規制される。
本発明によれば、柔軟な袋状の液体容器(31)をその形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾するとともに、単位時間当たりの噴霧ノズル(32)からの溶液の浸出量を所定量以下に規制するようにしたことによって、溶液の噴霧に伴って液面が低くなったり装置が傾いたりしても、噴霧量に圧力ヘッド差が影響しなくなるので、噴霧ノズル(32)から出る液体の流量が一定する。したがって、静電噴霧装置における噴霧量を、溶液の量の変化や装置の傾きなどの外乱に関わらず一定に保つことが可能となる。
上記第2の発明によれば、ケーシング(20)に上記液体容器(31)を装填する容器保持部(43)を形成するとともに、該ケーシング(20)に上記圧搾機構(23)を設けているので、圧搾機構(23)や液体容器(31)がケーシング(20)内に一体的に設けられた静電噴霧装置において、溶液の量の変化や装置の傾きなどの外乱に関わらず噴霧量を一定に保つことができる。
上記第3の発明によれば、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が直線状の微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量を規制することができる。また、抵抗手段(34)として直線状の微細流路(33a)を用いているので、構成が複雑になることもない。
上記第4の発明によれば、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が微細チューブ(33)内の微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量を規制することができる。また、抵抗手段(34)として微細チューブ(33)内の微細流路(33a)を用いているので、構成が複雑になることもない。
上記第5の発明によれば、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が螺旋状の微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量を規制することができる。また、抵抗手段(34)として螺旋状の微細流路(33a)を用いているので、構成が複雑になることもない。
上記第6の発明によれば、圧搾機構(23)により液体容器(31)を圧搾して溶液をノズルに供給する一方で、溶液が螺旋溝からなる微細流路(33a)を流れるときの抵抗により噴霧量を規制することができる。また、抵抗手段(34)として螺旋溝(36a)からなる微細流路(33a)を用いているので、構成が複雑になることもない。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る静電噴霧装置(10)は、この静電噴霧装置(10)のケーシングである本体部(20)と、噴霧カートリッジ(30)とを備えている。この静電噴霧装置(10)では、噴霧カートリッジ(30)が、本体部(20)に対して着脱自在に装填されるようになっている。
噴霧カートリッジ(30)は、扁平な袋状容器として構成された容器部(液体容器)(31)と、容器部(31)内に連通するノズル部(噴霧ノズル)(32)とを備えている。容器部(31)とノズル部(32)は、一体に形成してもよいし、別々の部品を組み合わせて形成してもよい。噴霧カートリッジ(30)は、容器部(31)が圧迫されると、容器部(31)内の液体(噴霧溶液)がノズル部(32)を通じて排出されるように構成されている。噴霧カートリッジ(30)は、容器部(31)内の液体がなくなるか少なくなると交換される。
容器部(31)は、液体(噴霧溶液)が浸透しない比較的柔軟な材料によって形成されている。図3に示すように、容器部(31)は、2枚の矩形状シート(31a)を重ね合わせることによって形成されている。2枚の矩形状シート(31a)は、4辺のうちの3辺が互いに貼り合わされ、1辺がノズル部(32)の菱形状の基部(32a)を介して接続されている。容器部(31)の内部には、空気が混入しない状態で、保湿成分や抗酸化成分を含んだスキンケア用の液体(例えばヒアルロン酸を含む溶液)が貯留されている。このスキンケア用の液体は、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下の範囲の値になるように濃度が調整されている。
ノズル部(32)は、例えば樹脂製で、断面円形のノズル本体(32b)が上記基部(32a)と一体的に形成されたものである。また、ノズル部(32)のノズル本体(32b)は、基端部から中央部までの外径が一様になっており、中央部から先端部までの外径が先端に近づくに従って小さくなっている。ノズル部の拡大断面図である図4に示すように、ノズル部(32)には、インサート成形により微細チューブ(33)が装着されている。この微細チューブ(33)は、例えば内径が0.15mm、外径が0.5mm、長さが30mm〜50mm程度のチューブであり、ポリエーテルイミド(PEI)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの合成樹脂や、金属の細管を用いることができる。この微細チューブ(33)の内孔が直線状の微細流路(33a)を構成している。微細チューブ(33)の内孔(33a)は、容器部(31)の内部に連通している。
上記微細チューブ(33)は、ノズル部(32)に送り込まれる単位時間当たりの液体の量を調整するために、先端に向かう液体の流路抵抗となる抵抗体(抵抗手段)(34)を構成している。ノズル部(32)に送り込まれる単位時間当たりの液体の量は、流路抵抗が大きいほど少なくなる。この実施形態では、例えば100mmAq以上の内部抵抗が得られるように微細チューブ(33)の内径や長さを定めている。
ノズル部(32)は、容器部(31)の基部(32a)の中央部に設けられている。ノズル部(32)を平面から見た断面図である図5に示すように、ノズル部(32)には、後述する本体側電極と前端が接触するカートリッジ側電極(16)が設けられている。このカートリッジ側電極(16)は、容器部(31)内の液体に接触することができるように、ノズル部(32)の基部(32a)の後端からも露出している。このカートリッジ側電極(16)は、ノズル部(32)の先端部に電界を形成するための電界形成部(16)を構成している。
上記本体部(20)は、ハウジング(21)と、台座用部材(22)と、押圧機構(圧搾機構)(23)と、電源部(24)とを備えている。押圧機構(23)は、容器部(31)をその形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾して液体をノズル部(32)に供給するように押圧荷重が定められていて、上記抵抗体(34)は、単位時間当たりのノズル部(32)からの液体の浸出量を所定量以下に規制するように流路抵抗が定められている。
ハウジング(21)は、対になった第1ケース(41)と第2ケース(42)とを備えている。第1ケース(41)と第2ケース(42)とは、ハウジング(21)が開閉するように一端が蝶番(46)で連結されている。閉じた状態のハウジング(21)は、平面視で円形状に形成され、側面視で楕円形状に形成されている。第1ケース(41)と第2ケース(42)とは、概ね同じ形状である。第2ケース(42)には、ハウジング(21)が意図せずに開くことを防止するために、第1ケース(41)に掛止される爪状部材(48)が設けられている。
この静電噴霧装置(10)では、第2ケース(42)が第1ケース(41)の下側に位置するようにハウジング(21)が設置される。第2ケース(42)には、ハウジング(21)を支持するための脚部が設けられている(図示省略)。なお、ハウジング(21)には、ハウジング(21)に取り付けられた噴霧カートリッジ(30)のノズル部(32)の角度を調節するための角度調節機構を設けてもよい。また、上記脚部を、ノズル部(32)の角度を調節できるように構成してもよい。
台座用部材(22)は、第2ケース(42)の上方の開放端を覆うように第2ケース(42)に取り付けられている。台座用部材(22)の真ん中付近には、容器部(31)を設置するための容器設置部(容器保持部)(43)が形成されている。容器設置部(43)は、矩形の窪み状に形成されている。容器設置部(43)の平面形状は、容器部(31)の平面形状と概ね同じ大きさである。容器設置部(43)は、深さが一様になっている。容器設置部(43)の側壁面は、底面に向かって窄まるように傾斜している。
台座用部材(22)の外周部分には、蝶番(46)の逆側の位置に切り欠き部(44)が形成されている。切り欠き部(44)には、ノズル部(32)を保持するためのノズル保持部材(45)が設けられている。ノズル保持部材(45)は、ノズル部(32)を挟持可能に構成されている。ノズル保持部材(45)の近傍には、カートリッジ側電極(16)に接触する本体側電極が設けられている(図示省略)。本体側電極は、後述する電源部(24)に接続されている。そして、ノズル部(32)、カートリッジ側電極(16)、本体側電極及び電源部(24)により、静電噴霧機構(35)が構成されている。
押圧機構(23)は、第1ケース(41)に設けられている。押圧機構(23)は、定荷重ゼンマイ(25)と、押圧部材(26)と、一対のガイド部材(27)とを備えている。押圧機構(23)は、定荷重ゼンマイ(25)で発生する荷重によって押圧部材(26)を下方へ移動させることによって容器部(31)を押圧するように構成されている。
具体的に、定荷重ゼンマイ(25)は、全長に亘って概ね一定の曲率で巻かれているゼンマイである。定荷重ゼンマイ(25)は、ストロークが所定値を超えると、それ以上ストロークが大きくなっても復元力が一定になるという特性を有している。定荷重ゼンマイ(25)は、ゼンマイドラム(28)に巻き付けられている。ゼンマイドラム(28)は、第1ケース(41)に回転自在に支持されている。定荷重ゼンマイ(25)の外側端部は、押圧部材(26)の背面(図の上面)から突出する突出部(26a)の先端に連結されている。
なお、定荷重ゼンマイ(25)は、所定のストローク以上に伸びているときに定荷重が得られるものである。そこで、この定荷重ゼンマイ(25)は、ハウジング(21)が閉じた状態において、押圧部材(26)が容器設置部(43)の底面に接触する状態、すなわち、ストロークが最短になる状態でも上記の所定のストロークが得られていて、そのストロークの大きさが定荷重ゼンマイ(25)の荷重が一定になる範囲になるように設けられている。このため、押圧部材(26)が容器設置部(43)の底面よりも上方に位置する状態では、定荷重ゼンマイ(25)の復元力は常に一定になる。
押圧部材(26)は、容器設置部(43)に設置された容器部(31)に接触してその容器部(31)を押圧するための部材である。押圧部材(26)は、台座用部材(22)に対面するように設けられている。そして、押圧部材(26)と台座用部材(22)とは、一対の挟み部材を構成している。
押圧部材(26)は、台座用部材(22)の容器設置部(43)に対応した形状に形成されている。押圧部材(26)は、容器部(31)に接触する接触部(26b)の下面が平坦面になっている。この平坦面の大きさは、容器設置部(43)の底面よりも僅かに小さくなっている。この平坦面は、容器部(31)の一端側(後端側)から他端側(先端側)に亘って当接する。
一対のガイド部材(27)は、共に細長い板状の部材である。一対のガイド部材(27)は、共に基端が第1ケース(41)に固定されている。一方のガイド部材(27)は第1ケース(41)の前側に、他方のガイド部材(27)は第1ケース(41)の後側に設けられている。
各ガイド部材(27)には、長手方向に沿う長穴(38)が形成されている。各ガイド部材(27)の長穴(38)には、押圧部材(26)の両端部が係合している。各ガイド部材(27)は、押圧部材(26)をガイド部材(27)の長手方向に沿って可動に支持している。一対のガイド部材(27)は、ハウジング(21)が閉じた状態において、押圧部材(26)が容器設置部(43)の底面に対して平行に保たれた状態で移動するように、押圧部材(26)を支持している。
電源部(24)は、容器部(31)内の液体に電圧を印加するためのものである。電源部(24)は、第2ケース(42)に設けられている。電源部(24)は、第2ケース(42)に収納された電池からの出力電圧を、例えば6kVの高電圧に変換して、本体側電極に出力するように構成されている。本体側電極に出力された電圧は、カートリッジ側電極(16)を介して、容器部(31)内の液体に印加される。なお、電源部(24)は、5kV以上11kV以下の値に電圧を変換するように構成されていればよい。
−運転動作−
本実施形態の静電噴霧装置(10)の運転動作について説明する。この静電噴霧装置(10)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
本実施形態の静電噴霧装置(10)の運転動作について説明する。この静電噴霧装置(10)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
この静電噴霧装置(10)は、使用者が噴霧カートリッジ(30)をハウジング(21)の容器設置部(43)に設置してからハウジング(21)を閉じると、運転可能な状態になる。噴霧カートリッジ(30)を設置すると、定荷重ゼンマイ(25)のストロークが、噴霧カートリッジ(30)の設置前に比べて容器部(31)の厚みの分だけ大きくなる。この状態では、定荷重ゼンマイ(25)で発生する荷重によって容器部(31)が押圧(圧搾)されている。そして、この状態で、使用者が電源部(24)をオン状態に設定すると、液体の噴霧が開始される。
具体的に、定荷重ゼンマイ(25)で発生する荷重によって押圧部材(26)が下方へ移動することによって、容器部(31)が圧縮され、容器部(31)内の液体がノズル部(32)の先端に送り込まれる。ここで、ノズル部(32)の内径が小さくて微細チューブ(33)の流路抵抗が大きいので、容器部(31)内の液体は少しずつノズル部(32)の先端に供給される。容器部(31)内の液体が減少するのに伴って定荷重ゼンマイ(25)のストロークの長さは変化するが、定荷重ゼンマイ(25)で発生する荷重は一定であるため、ノズル部(32)内の液体の圧力は常に一定である。
一方、電源部(24)がオン状態になると、電源部(24)から出力された電圧が容器部(31)内の液体に印加されて、ノズル部(32)の先端に電界が形成される。ノズル部(32)の先端に電界が形成されると、ノズル部(32)の先端に供給された液体が分極し、ノズル部(32)の先端の気液界面近傍に+(プラス)の電荷が集まる。そして、ノズル部(32)の先端では、気液界面が引き延ばされて円錐状となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。
なお、この実施形態の印加電圧の大きさ、及び液体の電気抵抗率であれば、ノズル部(32)から飛散する液滴の大きさは、概ね50μmから200μmの範囲の大きさになる。ノズル部(32)から飛散した液体は、ノズル部(32)の先端から40から60cm程度離れた距離まで到達する。使用者が、50cm程度前方に、顔面にノズル部(32)を向けて静電噴霧装置(10)を設置すると、飛散した液滴が使用者の顔面に付着する。
−実施形態の効果−
この実施形態によれば、容器部(31)をその形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾して液体をノズル部(32)に供給するように押圧機構(23)による押圧荷重を定めるとともに、単位時間当たりのノズル部(32)からの液体の浸出量を所定量以下に規制するように上記抵抗体(34)の流路抵抗を定めているので、液面の高さが変化したり、装置(10)が傾いたりしても、ノズル部(32)から滲出する液量が圧力ヘッド差の影響を受けず一定になる。したがって、静電噴霧装置(10)の使用中は、常に一定の噴霧量を確保することができる。
この実施形態によれば、容器部(31)をその形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾して液体をノズル部(32)に供給するように押圧機構(23)による押圧荷重を定めるとともに、単位時間当たりのノズル部(32)からの液体の浸出量を所定量以下に規制するように上記抵抗体(34)の流路抵抗を定めているので、液面の高さが変化したり、装置(10)が傾いたりしても、ノズル部(32)から滲出する液量が圧力ヘッド差の影響を受けず一定になる。したがって、静電噴霧装置(10)の使用中は、常に一定の噴霧量を確保することができる。
また、微細チューブ(33)の内部抵抗として、100mmAq以上の値を設定したことによって、少なくとも10cmの液面差を吸収することができる。
−実施形態の変形例−
(変形例1)
図1〜図6の例では微細チューブ(33)を抵抗体(34)として用いているが、抵抗体の構成を変更してもよい。
(変形例1)
図1〜図6の例では微細チューブ(33)を抵抗体(34)として用いているが、抵抗体の構成を変更してもよい。
図7に示す変形例1は、ノズル部(32)に直径が3mm程度の内孔(32c)を形成し、この内孔(32c)にM3程度の直径で長さが10mm程度の寸切りボルト(棒状部材)(36A)を嵌合させるようにした例である。このようにすると、内孔(32c)の内面と寸切りボルト(36)のネジの谷との間に微細流路(33a)としての螺旋溝(36a)が形成される。微細流路(33a)の径や長さは、押圧機構(23)の押圧荷重に対して単位時間当たりのノズル部(32)からの液体の浸出量を所定量以下に規制する流路抵抗が得られるように定められる。また、ノズル部(32)の先端の開口径は、約0.2mm程度である。その他の構成は実施形態1と同じである。
このようにしても、液面の高さが変化したり、装置(10)が傾いたりしても、ノズル部(32)から滲出する液量が圧力ヘッド差の影響を受けずに一定になる。したがって、静電噴霧装置(10)の使用中は、常に一定の噴霧量を確保することができる。
(変形例2)
図8に示す変形例2は、図7の変形例1が雄ねじを利用したものであるのに対して雌ねじを利用したものである。
図8に示す変形例2は、図7の変形例1が雄ねじを利用したものであるのに対して雌ねじを利用したものである。
具体的には、ノズル部(32)にM3程度のねじ孔(32d)を形成し、このねじ孔(32d)に外径が3mm程度で長さが10mm程度のピン(棒状部材)(36B)を嵌合させるようにしている。このようにすると、ネジ穴(32d)の内面とピン(36B)の外周面との間に微細流路(33a)としての螺旋溝(36a)が形成される。微細流路(33a)の径や長さは、押圧機構(23)の押圧荷重に対して単位時間当たりのノズル部(32)からの液体の浸出量を所定量以下に規制する流路抵抗が得られるように定められる。その他の構成は実施形態1と同じである。
このようにしても、液面の高さが変化したり、装置(10)が傾いたりしても、ノズル部(32)から滲出する液量が圧力ヘッド差の影響を受けずに一定になる。したがって、静電噴霧装置(10)の使用中は、常に一定の噴霧量を確保することができる。
(変形例3)
図9に示す変形例3は、図7の変形例1において、寸切りボルト(36A)に代えて頭付きのボルト(棒状部材)(36C)を用いるようにした例である。このボルト(36C)は円板状の頭部(36b)を有し、ノズル部(32)の内孔(32c)には座ぐり穴(32e)が形成されている。ボルト(36C)の頭部(36b)の外径よりも座ぐり穴(32e)の内径の方がわずかに大きく、その間を液体が通過できるようになっている。その他の構成は実施形態1と同じである。
図9に示す変形例3は、図7の変形例1において、寸切りボルト(36A)に代えて頭付きのボルト(棒状部材)(36C)を用いるようにした例である。このボルト(36C)は円板状の頭部(36b)を有し、ノズル部(32)の内孔(32c)には座ぐり穴(32e)が形成されている。ボルト(36C)の頭部(36b)の外径よりも座ぐり穴(32e)の内径の方がわずかに大きく、その間を液体が通過できるようになっている。その他の構成は実施形態1と同じである。
このようにしても、液面の高さが変化したり、装置(10)が傾いたりしても、ノズル部(32)から滲出する液量が圧力ヘッド差の影響を受けずに一定になる。したがって、静電噴霧装置(10)の使用中は、常に一定の噴霧量を確保することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態1では微細チューブ(33)をノズル部(32)にインサート成形することによって微細流路(33a)を形成しているが、微細チューブを用いずにノズル部(32)を中実体として形成した後に細孔を加工して微細流路(33a)を形成するようにしてもよいし、その他の形状にしてもよい。
また、上記実施形態では押圧機構(23)に定荷重ゼンマイ(25)を用いた機構を採用しているが、容器部(31)の形状から想定される最大の圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で容器部(31)を圧搾できる構造であれば、他の構造を採用してもよい。その際、定荷重を容器部(31)に加える構造が液体の浸出量を一定にするためには好ましいが、容器部(31)を圧搾する段階の始めと終わりで若干の押圧荷重の変動があっても液体の浸出量をほぼ一定に保つことは可能である。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、静電噴霧装置における噴霧ノズルの構造について有用である。
10 静電噴霧装置
20 本体部(ケーシング)
23 押圧機構(圧搾機構)
31 容器部(液体容器)
32 ノズル部(噴霧ノズル)
33 微細チューブ
33a 微細流路
34 抵抗体(抵抗手段)
35 静電噴霧機構
43 容器設置部(容器保持部)
32c 内孔
32d ねじ穴(内孔)
36a 螺旋溝
36A 寸切りボルト(棒状部材)
36B ピン(棒状部材)
36C 頭付きボルト(棒状部材)
20 本体部(ケーシング)
23 押圧機構(圧搾機構)
31 容器部(液体容器)
32 ノズル部(噴霧ノズル)
33 微細チューブ
33a 微細流路
34 抵抗体(抵抗手段)
35 静電噴霧機構
43 容器設置部(容器保持部)
32c 内孔
32d ねじ穴(内孔)
36a 螺旋溝
36A 寸切りボルト(棒状部材)
36B ピン(棒状部材)
36C 頭付きボルト(棒状部材)
Claims (6)
- 噴霧溶液を貯留する液体容器(31)と、液体容器(31)に接続された噴霧ノズル(32)と、電圧の印加により噴霧ノズル(32)から溶液を噴霧するための静電噴霧機構(35)とを備えた静電噴霧装置であって、
上記液体容器(31)が柔軟な袋状の密閉容器により形成されるとともに該液体容器(31)と噴霧ノズル(32)とが一体または別々の部品が組み合わさるように形成され、
上記袋状の液体容器(31)を該容器の形状から定まる最大圧力ヘッド差よりも大きな圧力を与える荷重で圧搾して溶液を噴霧ノズル(32)に供給する圧搾機構(23)と、単位時間当たりの噴霧ノズル(32)からの溶液の浸出量を所定量以下に規制する抵抗手段(34)とを備えていることを特徴とする静電噴霧装置。 - 請求項1において、
ケーシング(20)を備え、該ケーシング(20)に上記液体容器(31)を装填する容器保持部(43)が形成されるとともに、該ケーシング(20)に上記圧搾機構(23)が設けられていることを特徴とする静電噴霧装置。 - 請求項1または2において、
上記噴霧ノズル(32)に設けられる抵抗手段(34)が直線状の微細流路(33a)により構成されていることを特徴とする静電噴霧装置。 - 請求項3において、
上記直線状の微細流路(33a)が、上記噴霧ノズル(32)を貫通して設けられた微細チューブ(33)により構成されていることを特徴とする静電噴霧装置。 - 請求項1または2において、
上記噴霧ノズル(32)に設けられる抵抗手段(34)が螺旋状の微細流路(33a)により構成されていることを特徴とする静電噴霧装置。 - 請求項5において、
上記螺旋状の微細流路(33a)が、上記噴霧ノズル(32)の本体側の内孔(32c,32d)と、該内孔(32c,32d)に嵌合する棒状部材(36A,36B,36C)の少なくとも一方に形成された螺旋溝(36a)により形成されていることを特徴とする静電噴霧装置。
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ID=40074722
Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023171763A1 (ja) * | 2022-03-11 | 2023-09-14 | 花王株式会社 | 静電噴出装置及び静電噴出装置用カートリッジ |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59209570A (ja) * | 1983-04-26 | 1984-11-28 | カルゴン ヴェスタル ラボラトリーズ、インコーポレーテッド | 流体デイスペンサ |
JP2002210393A (ja) * | 2001-01-22 | 2002-07-30 | Toshio Taniguchi | 洗浄システム等におけるノズル構造体 |
JP2006247454A (ja) * | 2005-03-08 | 2006-09-21 | Daikin Ind Ltd | 静電噴霧装置 |
-
2007
- 2007-05-31 JP JP2007145044A patent/JP2008296138A/ja active Pending
-
2008
- 2008-04-22 WO PCT/JP2008/001056 patent/WO2008146444A1/ja active Application Filing
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS59209570A (ja) * | 1983-04-26 | 1984-11-28 | カルゴン ヴェスタル ラボラトリーズ、インコーポレーテッド | 流体デイスペンサ |
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WO2008146444A1 (ja) | 2008-12-04 |
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