JP2009171901A - テンペ入りチーズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉末状の凍結乾燥テンペよりもテンペとチーズの一体化が可能で、より嗜好性に優れたテンペ入りチーズの製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】大豆発酵食品であるテンペ菌発酵大豆に水を加えて強制撹拌することでペースト状にしたテンペペーストを、無熟成・無塩の半硬質チーズ原料に混合してプロセスチーズにすることを特徴とするテンペ入りチーズの製造方法であり、また、無熟成・無塩の軟質ナチュラルチーズ原料に混合してフレッシュチーズとするにも好適な製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、テンペ菌発酵大豆(以下単に「テンペ」と略称する)を用いたテンペ入り乳製品チーズの製造方法に関する。更に詳しくは、テンペを使った乳製品チーズ(以下単に「チーズ」という)の風味・栄養改善に関するものである。
従来、テンペ菌発酵大豆(以下単に「テンペ」と略称する)を用いたテンペ加工食品については、特許文献1に記載が見られる。すなわち 、100〜250℃で加熱処理されたテンペを含む、α−アミラーゼインヒンビター含有テンペ加工食品を菓子類に用いている。しかし、チーズ等の乳製品をはじめとする食品の風味・栄養を改善するためのテンペの利用については、その応用例が見られない。
特許文献2には、小麦粉加工食品にテンペを用いる記載が見られる。すなわち、お好み焼きや焼き蕎麦にテンペを適量加えることにより、元の素材の持つ味以上のものを作ることが出来、また油分を分解することの作用により健康的な食品に改善している。しかし、チーズ等の乳製品の風味・栄養を改善するテンペの利用については、その検討がなされていない。
特許文献3には、大豆タンパク質を用いたチーズの調整についての記載が見られる。すなわち、高濃度の大豆タンパク質を融解したナチュラルチーズに混合し、栄養学的に改変したプロセスチーズの製造に用いている。しかし、これらの文献には、チーズ等の食品の風味・栄養を改善するためのテンペの利用については、その検討がなされていない。
特許文献1と非特許文献1には、本発明に用いるテンペの性質・栄養性・機能性についての記載が見られる。すなわち、テンペは大豆をカビの一種であるRhizopus tempe(以下単に「テンペ菌」という)で発酵させた食品で、インドネシアでは500年以上の歴史がある伝統的な食品として食されおり、納豆のような糸を引かず、くせがなく淡白で、肉様の食感を持っている。テンペの栄養的特長としては、消化吸収性が良く、大豆の40倍以上の必須アミノ酸を始めとした遊離アミノ酸を含む良質の植物性タンパク質源で、リノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸も豊富である。更に、テンペは、大豆の数倍のビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸、パントテン酸などのビタミンB群を含んでおり、しかも、大豆には存在しないビタミンB12も含んでいる。その他にも、ミネラル、レシチン、サポニン、イソフラボン及び食物繊維も豊富に含まれており、その栄養価値は最近とみに注目されている。また、健康上も骨粗鬆症の予防、血栓症の予防、コレステロール上昇の抑制、肝脂肪蓄積の予防、鉄欠乏性貧血の防止、栄養失調・肥満の防止、脂質の酸化防止、抗菌作用、溶血防止作用、整腸作用などの生体調節機能性があり、テンペの機能性食品としての有用性が次第に明らかにされてきている。
現在、テンペは味噌・惣菜・菓子・麺類での利用が行われているが、その優れた栄養性・機能性にもかかわらず、広く普及するまでに至っていない。発明者らが所属する岡山県立高松農業高等学校では、テンペの乳製品への利用に取り組み、粉末状の凍結乾燥テンペを半硬質チーズに添加したプロセスチーズを開発した。内容は、非特許文献2に掲載しているとおりである。
特開平06−133717号公報 特開2002−360227号公報 特開2006−238882号公報 「味噌の科学と技術」43巻第3号、P.75、1995 「奥津テンペコンテスト テンペを使った菓子のコンテスト」2005年インターネット上で公表
以上のように、テンペを使ったチーズ等の乳製品への利用技術は従来から本発明者らの研究を除いてはあまり行われていない。テンペは、旨味アミノ酸であるグルタミン酸をはじめ多種の遊離アミノ酸を多量に含んだ大豆発酵食品である。一方、ゴーダチーズ等の熟成タイプのチーズは、数ヶ月間の熟成を経て遊離アミノ酸が生成され旨味がでてくる。そこで、発明者らは、テンペをチーズに混ぜることで、熟成をしなくても旨味のあるチーズが作れるのではないかと考え、非特許文献2において粉末状の凍結乾燥テンペを混合したプロセスチーズやフレッシュチーズを製造した。テンペを混合したチーズは、グルタミン酸をはじめとした遊離アミノ酸により、旨味や濃厚な風味が増したが、食べた際に粉っぽい食感があり、嗜好性を低下させる欠点がみられた。また、プロセスチーズの製造では半硬質チーズを加熱・融解するが、融解したチーズの粘性が強いために粉末状の凍結乾燥テンペでは均一な混合は難しい。本発明は粉末状の凍結乾燥テンペの利用により生じたこれらの問題点を解決するために、新しい製造方法を検討して、更にテンペとチーズの一体化により嗜好性に優れたテンペ含有チーズとする製造方法の提供を目的とする。
本発明は、テンペの風味の特徴に注目して、大豆発酵食品であるテンペのペーストを含むプロセスチーズの調整方法である。すなわち、大豆発酵食品であるテンペ菌発酵大豆に水を加えて強制撹拌することでペースト状にしたテンペペーストを、無熟成・無塩の半硬質チーズ原料に混合してプロセスチーズにすることを特徴とするテンペ入りチーズの製造方法である。
原料とする半硬質チーズは、食塩を添加して数ヶ月間の熟成を経て旨味を増してからプロセスチーズの原料とするが、無熟性・無塩の半硬質チーズにテンペペーストを混合することで、無熟成・無塩の半硬質チーズを原料としても旨味のあるプロセスチーズを製造することを特徴とする方法である。テンペには旨味アミノ酸であるグルタミン酸をはじめとした多種類の遊離アミノ酸が多量に含まれているため、テンペをチーズに混合することで、風味が豊かで嗜好性に優れたプロセスチーズとなる。また、無熟成のチーズを原料にすることで、チーズ特有の芳香が弱くなり、チーズ臭の苦手な人でも食べやすく、加工用途を広げる利点がある。更に、従来のプロセスチーズは食塩含有量が多いが、本発明のプロセスチーズは無塩のチーズを原料にすることで、テンペペースト添加時に食塩の添加量をゼロから適当量0.5ないし2%の間で自由に変えることができ調味しやすく、低塩で健康的な食品となる。
また、原料チーズの熟成期間を短縮することもできる。プロセスチーズの製造方法は、細断した原料の半硬質チーズにテンペペーストと食塩を添加した後、約80℃で加温・融解して混合するため、保存性が良く約1ヶ月間の冷蔵保存に耐える。粉っぽさやざらつきなどの食感が無く、テンペが均一に混合しているプロセスチーズを製造するためには、テンペと水を高速のスピードカッターでミキシングしたペーストを使い、チーズから脂肪分が分離しない程度に加温・融解して、テンペペーストと混合することが重要である。
フレッシュチーズにテンペペーストを混合することで、熟成したチーズのように濃厚な風味のあるフレッシュチーズとすることができる。すなわち、大豆発酵食品であるテンペ菌発酵大豆に水を加えて強制撹拌することでペースト状にしたテンペペーストを、無熟成・無塩の軟質ナチュラルチーズ原料に混合してフレッシュチーズにすることを特徴とするテンペ入りチーズの製造方法である。このものは、発酵クリームやクリームチーズのような風味となるため、低カロリーの菓子材料として利用できる。フレッシュチーズにテンペペーストを混合するときは、プロセスチーズと異なり、常温で混合することができるが、保存性は冷蔵保存で10日間と短い。
ここで強制撹拌は、高速スピードカッターでのミキシングによる。高速スピードカッターでのミキシングは、2,000rpmから10,000rpmの間で回転数を高めながら複数段行うのが好ましい。例えば、第一段階で2,000〜3,000rpmで10〜20秒程度撹拌してテンペの粗挽きと水との馴染みを持たせ、次いで4,000〜6,000rpmで20〜40秒撹拌すると水との分離なく均一なテンペペーストになる。更に、10,000rpmで30秒〜1分撹拌行うと完全に安定したテンペペーストになる。1分以上の撹拌は、テンペペーストの発熱を伴って好ましくない。このように、回転数を高めながら複数段のミキシングを行うのであるが、回転数は段階的に撹拌状態を見ながら高めていくか、あるいは実質上連続的に高速撹拌に持っていっても良い。
発明者らが以前利用していた粉末状の凍結乾燥テンペを混合した場合では、単に乾燥粉末のテンペを混合した場合に比べて、チーズの旨味は向上し、チーズの色は白色で外観を損なうことはなかったが、粉っぽさやざらつきなどの食感とテンペが均一に混合しにくい問題点があり、品質や嗜好性において十分とはいえなかった。そこで、テンペに水を加えて家庭用のミキサーで強制撹拌してペーストにしたものをチーズに混合すると、ざらついた食感が大幅に改善できた。本発明方法の強制撹拌を、特に、高速スピードカッターでの複数段階の回転数によるミキシングは、チーズの粉っぽさやざらつきなどの食感、チーズに含まれるテンペが均一に混合されていないなどの問題を完全に解決し、嗜好性の良いプロセスチーズやフレッシュチーズの製造が可能となった。
本発明の方法により、テンペペーストを含むプロセスチーズやフレッシュチーズにすると、従来、半硬質チーズは食塩を添加して数ヶ月間の熟成を経て旨味を増してプロセスチーズの原料とするが、無熟性・無塩の半硬質チーズにテンペペーストを混合することで、無熟成・無塩の半硬質チーズを原料としても食感が良く旨味のあるプロセスチーズを短期間に製造することができる。無塩のチーズであるために、調理用材料として後の利用に好適である。
以下本発明を製造工程にしたがって詳細に説明する。図1は、本発明のテンペ入りプロセスチーズの製造方法の一例を示したフローチャートである。図2は、テンペ入りフレッシュチーズの製造工程の一例を示したフローチャートである。
まず、プロセスチーズの原料にする半硬質チーズであるゴーダチーズの中間製品の製造法については、図1にみられるように、牛乳に添加する乳酸菌は次のようにして製造した。すなわち、Hansen社のCN−01・チーズ用混合乳酸菌を10%の脱脂乳に1%接種し、30℃で18時間培養したものをマザースターターとする。さらに、マザースターターを10%の脱脂乳に1%接種し、30℃で18時間培養したものをバルクスターターとする。
次いで、63〜65℃で30分間低温殺菌してから30℃まで冷却した牛乳に、上記のバルクスターターを1%と塩化カルシウムを0.01%添加して、30〜32℃で60分間発酵する。さらに、凝乳酵素であるレンネットを0.003%添加し、30〜32℃で40分間静置して、牛乳中のカゼインタンパクを凝固させ、カードを形成させる。カードからホエー(カードとして凝固しなかった液体成分)を排出するために、カードをカードナイフで1cm角に細断し、30〜32℃で20分間ゆっくり撹拌する。
さらに、カードは、ホエーの中で撹拌しながら、40℃まで0.5℃/分の速度で加温し、40℃に達したら20分間撹拌する。カードは、濾し布を敷いた型(チーズスーフ)に詰めて圧搾機(チーズプレス)に配置し、約12時間圧搾して、再度ホエーを排出する。型から取り出したカードは、ゴーダチーズの中間製品であり、約1.2kgの重量である。チーズは、サランラップとポリ袋で包装後、冷蔵保存する。従来のゴーダチーズの製造法は、圧搾したカードを飽和食塩水に浸漬し、乾燥後、長期間熟成するが、本発明で使用するチーズは無熟性・無塩のものである。
次に、テンペの製造法については、図1の右方に示すように、大豆を乳酸でpH3に調整した12℃の水に18時間浸漬する。このとき、乳酸で水のpHを調整するのは、納豆菌の汚染を防ぐためである。浸漬が終了した大豆は脱皮し、沸騰してから約30分間蒸煮後、30℃に冷やす。煮大豆に対しテンペ菌を2%添加して、よく混合した後、布を敷いた通気性の良い容器に入れて一定の厚さにしたものを、納豆菌が繁殖しにくい温度の30〜32℃で30〜48時間発酵させ、冷凍保存する。良好な発酵状態のテンペは、ばらばらの大豆がテンペ菌の白い菌糸で板状に固形化して独特の匂いと風昧を有するが、過度の発酵を来すと、テンペ菌が胞子を形成するために灰黒色となり外観が損なわれる上、アンモニア臭を生じる。従って、発酵状態を観察しながら、発酵時間を決める。
さらに、テンペペーストの製造法については、テンペ菌の殺菌とテンペ菌が生成したタンパク質分解酵素を失活させるために、テンペを沸騰した温湯で20分間加熱処理した後、Retsch社製のグラインドミックスGM200を使い粉砕しながら、同量の水と混合してペースト化する。すなわち、第1段階として、テンペに1/2量の水を加え、2,000rpmで10秒間ミキシングしたものを、比較例2とする。更に、第2段階として、1/4量の水を加えて5,000rpmで20秒間のミキシングをしたものを、実施例2及び4とする。そして、第3段階として、1/4量の水を加えて10,000rpmで1分間ミキシングしたものを、実施例1及び3とする。このように、3段階に分けてミキシングを行うことで、テンペペーストから水が分離することを防ぎ、なめらかなクリーム状のペーストができる。また、粉末状の凍結乾燥テンペを、比較例1及び3とする。
最終製品であるテンペ入りプロセスチーズの製造法については、原料の半硬質チーズを1cm角に細断し、加熱・融解の工程で均一に熱が伝わりやすくする。細断した原料チーズに上記各段階で得られたテンペペーストを15%、食塩1.5%を加え、80〜85℃で加熱・融解して、よく混合した後、型に流し込み、冷却・成形する。テンペペーストを添加する割合が多すぎるとテンペ特有の苦味と臭いが強くなり嗜好性が悪くなるため、原料チーズに対するテンペペーストの添加割合は5〜25%が好適で、10〜20%が最適であった。25%を超えると、若干の苦味がでてくる。また、食塩の添加割合は1.5%が適当であった。テンペ入りプロセスチーズは、冷蔵保存で約1ヶ月間保存できるが、製造後1ヶ月以上経過すると苦味と異臭が徐々に発生してくる。
次に、フレッシュチーズに、テンペペーストを混合することで、濃厚な風味と旨味のあるフレッシュチーズとすることを特徴とする方法である。以下本発明を詳細に製造工程にしたがって説明する。図2は、本発明のテンペ入りフレッシュチーズの製造方法の一例を示した説明図である。
フレッシュチーズの製造法については、Hansen社のCN−01・チーズ用混合乳酸菌を10%の脱脂乳(スキムミルク)10mlに1%接種し、30℃で18時間培養したものをマザースターターとする。マザースターターを10%の脱脂乳100mlに1%接種し、30℃で18時間培養したものをバルクスターターとする。さらに、図2に見られるように、63〜65℃で30分間低温殺菌してから30℃まで冷却した牛乳に、バルクスターターを2%添加して、30〜32℃で60分間発酵する。さらに、凝乳酵素であるレンネットを0.0001%添加し、25℃で15時間静置して、牛乳中のカゼインタンパクを凝固させ、カードを形成させる。なお、前述の半硬質チーズの製造法とは異なり、フレッシュチーズの製造には塩化カルシウムを添加しない。カードは木綿布やガーゼに詰めて、乳酸発酵を抑えるために冷蔵庫内で数時間つるし、自重でホエーを排出する。つり下げる時間で、チーズ(カード)の固さを調節する。
図2はテンペ入りフレッシュチーズの製造工程を示すものである。テンペの製造法とテンペペーストの製造法は、図1で説明した方法と同様である。最終製品であるテンペ入りフレッシュチーズの製造法については、フレッシュチーズにテンペペースト15%と食塩0.5%を加え、よく混合する。食塩の代わりに砂糖を加えるときは、7.5%とする。テンペペーストを添加する割合が多すぎるとテンペ特有の苦味と臭いが強くなり嗜好性が悪くなるため、原料チーズに対するテンペペーストの添加割合は5〜25%が好適で、10〜20%が最適であった。30%を超えると、若干の苦味がでてくる。また、食塩の添加割合は0.5%が適当であった。フレッシュチーズがプロセスチーズより食塩の添加割合が少ないのは、フレッシュチーズの酸度が高く、酸味が強いためだと考えられる。また、フレッシュチーズは製造工程で加熱処理を行っていないために保存期間は短いが、テンペを添加することで微生物が増殖しやすくなるため、テンペ入りフレッシュチーズは冷蔵保存で10日間である。
以下実施例に基づいて、本発明のテンペ入りチーズの製造方法について更に具体的に数値を挙げて説明する。
実施例1
実施例1のテンペ入りプロセスチーズは、原料の半硬質チーズ85gに、テンペペースト15g、食塩1.5gを加え、80〜85℃で加熱・融解して、よく混合した後、型に流し込み、冷却・成形したものである。ここで、テンペ入りプロセスチーズの原料にする半硬質であるゴーダチーズの中間製品は、図1に示す順序で製造した。まず、Hansen社のCN−01・チーズ用混合乳酸菌0.1gを10%濃度の脱脂乳(スキムミルク)溶液10mlに接種し、30℃で18時間培養したものをマザースターターとする。マザースターター1gを10%濃度の脱脂乳溶液100mlに接種し、30℃で18時間培養したものをバルクスターターとする。
次いで,63〜65℃で30分間低温殺菌してから30℃まで冷却した牛乳10kgに、バルクスターター100mlと塩化カルシウム1gを添加して、30〜32℃で60分間発酵する。さらに、凝乳酵素であるレンネット0.3gを添加し、30〜32℃で40分間静置して、牛乳中のカゼインタンパクを凝固させ、カードを形成させる。カードから液体成分ホエーを排出するために、カードをカードナイフで1cm角に細断し、30〜32℃で20分間ゆっくり撹拌する。さらに、カードは、ホエーの中で撹拌しながら、40℃まで0.5℃/分の速度で加温し、40℃に達したら20分間撹拌する。カードは、濾し布を敷いた型(チーズスーフ)に詰めて圧搾機(チーズプレス)に配置し、約12時間圧搾して、再度ホエーを排出する。型から取り出したカードは、ゴーダチーズの中間製品であり、約1.2kgの重量で、サランラップとポリ袋で包装後、冷蔵保存する。
テンぺぺーストの原料であるテンぺは、大豆40gを、納豆菌の汚染を防ぐために乳酸でpH3に調整した12℃の水200mlに18時間浸漬する。浸漬が終了した大豆は脱皮し、沸騰してから約30分間蒸煮後、30℃に冷やす。煮大豆100gに秋田今野商店より購入したテンペ菌2gをよく混合した後、布を敷いた通気性の良い容器に入れて一定の厚さにしたものを、納豆菌が繁殖しにくい温度の30〜32℃で30〜48時間発酵させ、ばらばらの大豆がテンペ菌の白い菌糸で板状に固形化して独特の匂いと風昧を有する状態になったが、発酵を終了し、冷凍保存する。
テンペペーストは、テンペを沸騰した温湯で20分間加熱処理して、テンペ菌の殺菌とテンペ菌が生成したタンパク質分解酵素を失活させた後、Retsch社製のグラインドミックスGM200を使い粉砕しながら、同量の水と混合してペースト化したものであるが、第1段階として、テンペ100gに水50mlを加え、2,000rpmで10秒間ミキシングをし、更に、第2段階として、水25mlを加えて5,000rpmで20秒間のミキシングをし、そして、第3段階として、水25mlを加えて10,000rpmで1分間ミキシングしたものである。できあがったテンペ入りプロセスチーズは、白色でテンぺぺーストも均一に混合できており、旨味と濃厚な風味があり、粉っぽさやざらつき感の無い滑らかな食感である。保存は、冷蔵で約1ヶ月間可能であるが、製造後1ヶ月以上経過すると苦味と異臭が徐々に発生してくるので冷凍保存するのが好ましい。解凍すれば、元の滑らかなテンペペーストになる。
本発明のテンペ入りプロセスチーズは、上記の方法で得られた原料の半硬質チーズ85gに、上記テンペペースト15g、食塩1.5gを加え、80〜85℃で加熱・融解して、よく混合した後、型に流し込み、冷却・成形したものである。得られた、テンペ入りプロセスチーズは表1に示すように、テンペペーストの高速撹拌を3段階に回転数を高めて製造することにより、外観、味、食感共に良好であり、かつ、保存性にも優れたものであった。
実施例2
テンペ入りプロセスチーズは、原料の半硬質チーズ85gに、テンペペースト15g、食塩1.5gを加え、80〜85℃で加熱・融解して、よく混合した後、型に流し込み、冷却・成形したものであり、原料であるゴーダチーズの中間製品の半硬質チーズ及びテンペの製造法は、実施例1で説明した方法と同様である。ここで、テンペペーストの製造法については、テンペ100gに水50mlを加え、2,000rpmで10秒間ミキシングをし、更に、第2段階として、水50mlを加えて5,000rpmで1分のミキシングまでをしたものであり、最高速の10,000rpmでの1分間のミキシングをしていない。できあがったテンペ入りプロセスチーズは白色でテンぺぺーストも均一に混合できており、旨味と濃厚な風味もあるが、多少ざらついた食感がある。保存については、実施例1と同様である。
実施例3
ここでは、半硬質チーズの代わりにフレッシュチーズを用いた。テンペ入りフレッシュチーズは、原料の軟質チーズ85gに、テンペペースト15g、食塩0.5gまたは砂糖7.5gを加え、よく混合したものである。テンペ入りフレッシュチーズの原料にする軟質チーズであるフレッシュチーズの製造法については、以下の通りである。Hansen社のCN−01・チーズ用混合乳酸菌0.1gを10%濃度の脱脂乳(スキムミルク)溶液10mlに接種し、30℃で18時間培養したものをマザースターターとする。マザースターター1gを10%の脱脂乳溶液100mlに接種し、30℃で18時間培養したものをバルクスターターとする。さらに、図2に見られるように、63〜65℃で30分間低温殺菌してから30℃まで冷却した牛乳1kgに、バルクスターター20mlを添加して、30〜32℃で60分間発酵する。さらに、凝乳酵素であるレンネット0.001gを添加し、25℃で15時間静置して、牛乳中のカゼインタンパクを凝固させ、カードを形成させる。カードは木綿布やガーゼに詰めて、乳酸発酵を抑えるために冷蔵庫内で6時間つるし、自重でホエーを排出すると、450gのフレッシュチーズが得られ、容器に入れて冷蔵保存する。テンペの製造法とテンペペーストの製造法は、実施例1で説明した方法と同様である。
できあがったテンペ入りフレッシュチーズは、白色でテンぺぺーストも均一に混合できており、濃厚な旨味と風味があり、ざらつき感の無い滑らかな食感である。保存は、冷蔵で10日間程度可能であるが、プロセスチーズと異なり、加熱工程を経ていないので、製造後2週間以上経過すると、乳酸発酵が進んで酸味が増してくる。
実施例4
のテンペ入りフレッシュチーズは、原料の軟質チーズ85gに、テンペペースト15g、食塩0.5gまたは砂糖7.5gを加え、よく混合したものであり、原料の軟質チーズであるフレッシュチーズの製造法とテンペの製造法は、実施例3で説明した方法と同様であるが、テンペペーストの製造法については、実施例2で説明した方法と同様である。できあがったテンペ入りフレッシュチーズは、白色でテンぺぺーストも均一に混合できており、旨味と濃厚な風味もあるが、多少ざらついた食感がある。保存については、実施例3と同様である。
比較例1
比較例1のテンペ入りプロセスチーズは、原料の半硬質チーズ85gに、粉末状凍結乾燥テンペ1.5gと水13.5mlの混合物、食塩1.5gを加え、80〜85℃で加熱・融解して、よく混合した後、型に流し込み、冷却・成形したものである。原料であるゴーダチーズの中間製品の半硬質チーズの製造法は、実施例1で説明した方法と同様であるが、粉末状凍結乾燥テンペは、(有)おくつテンペ工房製造のものを使用した。できあがったテンペ入りプロセスチーズは白色で旨味と濃厚な風味もあるが、粉末状凍結乾燥テンぺが均一に混合できておらず、食感に粉っぽさやざらつき感があるため、品質の改善を要する。保存については、実施例1と同様である。
比較例2
テンペ入りプロセスチーズは、原料の半硬質チーズ85gに、テンペペースト15g、食塩1.5gを加え、80〜85℃で加熱・融解して、よく混合した後、型に流し込み、冷却・成形したものである。原料であるゴーダチーズの中間製品の半硬質チーズの製造法とテンペの製造法は、実施例1で説明した方法と同様であるが、テンペペーストの製造法については、テンペ100gに水100mlを加え、2,000rpmで1分間のミキシングだけをしたもので、5,000rpmと10,000rpmでのミキシングをしていない。このため、できあがったテンペ入りプロセスチーズは、旨味が増しているが、テンペの小さな粒が混ざってざらついた食感があり、食べたときにテンペの粒が残る。保存については、実施例1と同様である。
比較例3
テンペ入りフレッシュチーズは、原料の軟質チーズ85gに、粉末状凍結乾燥テンペ1.5gと水13.5mlの混合物、食塩0.5gまたは砂糖7.5gを加え、よく混合したものである。原料の軟質チーズであるフレッシュチーズの製造法は、実施例3で説明した方法と同様であるが、粉末状凍結乾燥テンペは、比較例1と同様のものを使用した。できあがったテンペ入りフレッシュチーズは、白色で旨味と濃厚な風味もあるが、粉末状凍結乾燥テンぺが均一に混合できておらず、食感に粉っぽさやざらつき感があるため、品質の改善を要する。保存については、実施例3と同様である。
実施例1〜4及び比較例1〜3のテンペペースト結果を、表1に一括して示す。
応用例
本発明の製造方法で得られたテンペ入りプロセスチーズは、外観、味、食感共に優れているので、これを原料としてスモークチーズや、レアチーズケーキの材料として好適に利用できる。スモークチーズの素材としては、以下の方法で調整した。実施例1で得られたテンペ入りプロセスチーズ200gを、ヒッコリーなどのスモークウッド50〜100gで5時間燻煙するが、チーズが溶けないように40℃以下に調整する。できあがったテンペ入りプロセスチーズのスモークチーズは、表面が飴色になり、適度なスモーク臭が付くことにより、風味が改善されて嗜好性が高まり、微生物の増殖が抑制されて保存性も高まる。
またテンペ入りフレッシュチーズの応用例としては、レアチーズケーキの素材として、以下の方法で調整した。湯煎で35〜38℃に加温した実施例3で得られたテンペ入りフレッシュチーズ300gに、砂糖60gとレモン果汁10mlを加えて混合する。さらに、粉ゼラチン10gを水60mlでふやかした後、湯煎で溶かしたものを加え混合し、型に流し入れ、冷蔵庫に2時間入れて固める。従来のレアチーズケーキは、フレッシュチーズ200gと乳脂肪分30%以上のクリーム100mlを主原料に、砂糖60g、レモン果汁10ml、粉ゼラチン10g、水20mlを使って作るが、できあがったテンペ入りレアチーズケーキは、濃厚な風味で、嗜好性を損なわない。テンペ入りレアチーズケーキと従来のレアチーズケーキとの100g中の栄養成分を比較すると、テンペ入りレアチーズケーキは、エネルギー量161kcal、タンパク質量11.1g、脂質量4.0gであるが、従来のレアチーズケーキは、エネルギー量242kcal、タンパク質量7.9g、脂質量15.0gである。このことより、テンペ入りフレッシュチーズをレアチーズケーキの素材として利用することで、低カロリー、高タンパク、低脂質の食品にできる。
テンペ入りプロセスチーズの製造工程を示した説明図である。 テンペ入りフレッシュチーズの製造工程を示した説明図である。

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  1. 大豆発酵食品であるテンペ菌発酵大豆に水を加えて強制撹拌することでペースト状にしたテンペペーストを、無熟成・無塩の半硬質チーズ原料に混合してプロセスチーズにすることを特徴とするテンペ入りチーズの製造方法。
  2. 大豆発酵食品であるテンペ菌発酵大豆に水を加えて強制撹拌することでペースト状にしたテンペペーストを、無熟成・無塩の軟質ナチュラルチーズ原料に混合してフレッシュチーズにすることを特徴とするテンペ入りチーズの製造方法。
  3. 強制撹拌は、高速スピードカッターでのミキシングによる請求項1又は2のいずれか記載のテンペ入りチーズの製造方法。
  4. 高速スピードカッターでのミキシングは、2,000rpmから10,000rpmの間で回転数を高めながら複数段行う請求項3記載のテンペ入りチーズの製造方法。
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