JP2009168907A - 感光性平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、着色剤の塗布溶液中での安定性が良好で、かつ、当該着色剤を含有する組成物を用いた場合における画像部の着色濃度、感度およびセーフライト性が良好な、感光性平版印刷版原版を提供することにある。
【解決手段】支持体上に、(A)増感色素、(B)イオン性重合開始剤、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、および、(E)有機顔料、を含有する感光層を有し、前記(E)有機顔料が有機溶剤中で分散した固体分散物であり、かつ該有機溶剤は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の少なくとも1種の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11より小さい少なくとも1種の有機溶剤と、を含有する混合物であることを特徴とする平版印刷版原版。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に、(A)増感色素、(B)イオン性重合開始剤、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、および、(E)有機顔料、を含有する感光層を有し、前記(E)有機顔料が有機溶剤中で分散した固体分散物であり、かつ該有機溶剤は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の少なくとも1種の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11より小さい少なくとも1種の有機溶剤と、を含有する混合物であることを特徴とする平版印刷版原版。
【選択図】なし
Description
本発明は感光性平版印刷版原版および平版印刷版の作成方法に関し、詳細には、コンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光を走査することにより直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な感光性平版印刷版原版に関する。
従来、平版印刷版原版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブレンステッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、画像形成層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査し活性種を発生せしめ、その作用によって画像形成層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。
特に、親水性支持体上に、感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーを含有する光重合型の画像形成層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けた平版印刷版原版(例えば、特許文献1参照)は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有するものである。
特に、親水性支持体上に、感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーを含有する光重合型の画像形成層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けた平版印刷版原版(例えば、特許文献1参照)は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有するものである。
また、より生産性を向上させるため、つまり、製版スピードを向上させるために、特定の構造を有するシアニン色素、ヨードニウム塩及びエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物よりなる光重合性組成物を画像形成層に用い、画像露光後の加熱処理を必要としない記録材料が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)しかし、この記録材料は、重合反応時に空気中の酸素による重合阻害により、感度の低下や、形成された画像部の強度低下が起こる場合があるという問題があった。
この問題に対し、画像形成層上に水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法、或いは、無機質の層状化合物と水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。これらの保護層の存在により、重合阻害が防止され、画像形成層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることが可能となる。
この問題に対し、画像形成層上に水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法、或いは、無機質の層状化合物と水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。これらの保護層の存在により、重合阻害が防止され、画像形成層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることが可能となる。
また、アルカリ水溶液可溶性樹脂としてノボラック樹脂等を使用したダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版が知られている。なかでも、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加した画像形成層を有するものが、高画質の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版として開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物等、及び、450nm〜750nmに吸収極大を有する顔料を含有することを特徴とする感光性組成物及びこれを用いた平版印刷版原版が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
また、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物等、及び、450nm〜750nmに吸収極大を有する顔料を含有することを特徴とする感光性組成物及びこれを用いた平版印刷版原版が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
このような赤外線レーザで画像形成するサーマルネガ型の感光性平版印刷版原版は、露光により感光層がラジカル重合反応して硬化し、インク受容性の画像部を形成する。
この方式における感光層は、一般式に(a)赤外線吸収剤と、(b)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(c)ラジカル重合性化合物と、(d)バインダーポリマーと、を含有するが、(c)ラジカル重合性化合物である末端エチレン性不飽和結合含有化合物と(d)バインダーポリマーは、一般的には疎水性化合物であることから、これらを含有する感光層を塗布液として使用する際は、疎水性の有機溶剤が適している。
この方式における感光層は、一般式に(a)赤外線吸収剤と、(b)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(c)ラジカル重合性化合物と、(d)バインダーポリマーと、を含有するが、(c)ラジカル重合性化合物である末端エチレン性不飽和結合含有化合物と(d)バインダーポリマーは、一般的には疎水性化合物であることから、これらを含有する感光層を塗布液として使用する際は、疎水性の有機溶剤が適している。
他方、(b)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)のうち、赤外線レーザ記録に適する高感度の重合開始剤としては、一般的にスルホニウム塩・ヨードニウム塩等のオニウム塩やボレート化合物など、高極性のものが多く、この化合物は親水性であるために、感光層塗布液を調製する溶剤としては、親水性と疎水性との中間特性の溶媒が好ましく用いられる。
平版印刷版原版の感光層は、画像形成後の画像の確認、即ち、検版性向上のため一般に着色されており、着色剤としては、顔料・染料が使われる。本体用の如き赤外線レーザ用ネガ型感光層では、この着色剤として赤外線領域に吸収を有する染料を使用することは、記録感度の点から好ましくなく、さらに、染料自体が重合禁止剤として作用することも懸念されるため、着色剤としては顔料を使用することが好ましい。
顔料は、感光層塗布液中に均一分散するよう固体分散物として使用することが一般的であり、このような固体分散物は、有機溶剤中での分散剤の立体反発(疎水性立体反発)を利用して分散する。一方、赤外線レーザ用ネガ型感光層の塗布液は、前述したように親水性と疎水性の中間特性の溶媒を用い、且つ、オニウム塩などの高極性の化合物である重合開始剤を含有するために、系中の親水性が高く、一般的な顔料分散物を着色剤として添加すると塗布液中で顔料の凝集が発生するという問題を有していた。
特開平10−228109号公報
特公平7−103171号公報
特開平11−38633号公報
特開平7−285275号公報
特開2004−302206号公報
すなわち本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、以下に示す目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、赤外線レーザ対応ネガ型平版印刷版原版の記録層塗布液における着色剤としての顔料分散安定性が良好で、画像部の着色性に優れ、且つ、感度およびセーフライト性が良好な、感光性平版印刷版原版を提供することにある。
本発明の目的は、赤外線レーザ対応ネガ型平版印刷版原版の記録層塗布液における着色剤としての顔料分散安定性が良好で、画像部の着色性に優れ、且つ、感度およびセーフライト性が良好な、感光性平版印刷版原版を提供することにある。
<1>支持体上に、(A)増感色素、(B)イオン性重合開始剤、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、および、(E)有機顔料、を含有する感光層を有し、前記(E)有機顔料は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11未満の有機溶剤と、を含有する混合溶剤中に固体分散された顔料分散物として含まれることを特徴とする平版印刷版原版。
<2>前記混合溶剤が、さらに沸点100℃以上の少なくとも1種の有機溶剤を含有することを特徴とする前記<1>に記載の平版印刷版原版。
<2>前記混合溶剤が、さらに沸点100℃以上の少なくとも1種の有機溶剤を含有することを特徴とする前記<1>に記載の平版印刷版原版。
<3>前記(A)増感色素が赤外線吸収色素であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の平版印刷版原版。
<4>前記(B)イオン性重合開始剤が、オニウム塩またはボレート化合物であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の平版印刷版原版。
<5>前記顔料分散物が、分子内に極性基を有する顔料分散剤を含有することを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の平版印刷版原版。
<4>前記(B)イオン性重合開始剤が、オニウム塩またはボレート化合物であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の平版印刷版原版。
<5>前記顔料分散物が、分子内に極性基を有する顔料分散剤を含有することを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の平版印刷版原版。
<6>前記顔料分散剤が有する極性基が、アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、および、リン酸基から選択されるいずれかであることを特徴とする前記<5>に記載の平版印刷版原版。
<7>前記(E)有機顔料が、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、および、ジケトピロロピロール顔料から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれかに記載の平版印刷版原版。
<7>前記(E)有機顔料が、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、および、ジケトピロロピロール顔料から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれかに記載の平版印刷版原版。
<8>前記支持体と感光層との間に中間層を設け、該中間層が(i)下記一般式(1)で表される構造単位、および、(ii)下記一般式(2)で表される構造単位、を有する共重合体を少なくとも1種含有し、該共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が塩基によって中和された高分子化合物であることを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれかに記載の平版印刷版原版。
一般式(1)中、R1は水素原子、炭素数1〜30の置換基、またはハロゲン原子を表す。L1は単結合または2価の連結基を表す。nは1〜10の整数を表す。
一般式(2)中、R2は水素原子、炭素数1〜30の置換基、またはハロゲン原子を表す。Yは炭素数2〜30のカルボン酸エステル基を有する基を表す。
本発明によれば、着色剤の塗布溶液中での安定性が良好で、かつ、当該着色剤を含有する組成物を用いた場合における画像部の着色濃度、感度およびセーフライト性が良好な、感光性平版印刷版原版を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態に関し、説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に(A)増感色素、(B)イオン性重合開始剤、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、および、(E)有機顔料を含有する感光層を有し、(E)有機顔料が有機溶剤中で分散した固体分散物であり、かつ該有機溶剤は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の少なくとも1種の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11より小さい少なくとも1種の有機溶剤と、を含有する混合物であることを特徴とする。以下、それぞれの成分について説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に(A)増感色素、(B)イオン性重合開始剤、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、および、(E)有機顔料を含有する感光層を有し、(E)有機顔料が有機溶剤中で分散した固体分散物であり、かつ該有機溶剤は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の少なくとも1種の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11より小さい少なくとも1種の有機溶剤と、を含有する混合物であることを特徴とする。以下、それぞれの成分について説明する。
<(A)増感色素>
感光層は、感度の観点から、レーザ露光における露光波長に適合する所定の波長の光を吸収する増感色素を含有する。
この増感色素が吸収し得る波長の露光により後述する重合開始剤のラジカル発生反応や、それによる重合性化合物の重合反応が促進されるものである。このような増感色素としては、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
この増感色素が適合する波長のレーザ露光により高感度で電子励起状態となる。かかる電子励起状態における電子移動、エネルギー移動などが、後述する重合開始剤に作用し、該重合開始剤は、高感度で化学変化を生起させてラジカルを生成させる。
感光層は、感度の観点から、レーザ露光における露光波長に適合する所定の波長の光を吸収する増感色素を含有する。
この増感色素が吸収し得る波長の露光により後述する重合開始剤のラジカル発生反応や、それによる重合性化合物の重合反応が促進されるものである。このような増感色素としては、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
この増感色素が適合する波長のレーザ露光により高感度で電子励起状態となる。かかる電子励起状態における電子移動、エネルギー移動などが、後述する重合開始剤に作用し、該重合開始剤は、高感度で化学変化を生起させてラジカルを生成させる。
増感色素の吸収する光の波長により、本発明における感光層は、紫外線から可視光線及び赤外線まで種々の波長に感応することができる。
好ましい態様としては、(1)増感色素として赤外線吸収剤を用いる場合、(2)波長350〜450nmに極大吸収波長を有する色素を用いる場合の2態様が挙げられる。(1)増感色素として赤外線吸収剤を用いる場合には、波長760nmから1200nmの赤外光に対して感応することになる。また、(2)波長350nmから450nmに極大吸収波長を有する色素を用いることで、青色〜紫の可視光に対して感応することになる。
好ましい態様としては、(1)増感色素として赤外線吸収剤を用いる場合、(2)波長350〜450nmに極大吸収波長を有する色素を用いる場合の2態様が挙げられる。(1)増感色素として赤外線吸収剤を用いる場合には、波長760nmから1200nmの赤外光に対して感応することになる。また、(2)波長350nmから450nmに極大吸収波長を有する色素を用いることで、青色〜紫の可視光に対して感応することになる。
増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)等が挙げられ、これらは、例えば、特開2005−250438号公報の段落番号[0188]〜[0258]に詳細に記載され、ここに記載の化合物を適宜選択して増感色素として使用することができる。
中でも、感光層には、増感色素として、以下に詳述する赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
赤外線吸収剤は、赤外線レーザの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、先にのべた電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動に加え、光熱変換機能により熱エネルギーが生成されるため、重合開始剤に対して、より高感度で化学変化を生起させるのに有用である。
特に好ましい増感色素である赤外線吸収剤としては、750nm〜1400nmの波長に吸収極大を有する染料又は顔料が好ましく挙げられる。
赤外線吸収剤は、赤外線レーザの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、先にのべた電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動に加え、光熱変換機能により熱エネルギーが生成されるため、重合開始剤に対して、より高感度で化学変化を生起させるのに有用である。
特に好ましい増感色素である赤外線吸収剤としては、750nm〜1400nmの波長に吸収極大を有する染料又は顔料が好ましく挙げられる。
染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
また、赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、およびインドレニンシアニン色素が挙げられる。またシアニン色素やインドレニンシアニン色素がより好ましく、特に好ましい例として、下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1または以下に示す基を表し、X2は酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、またはヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、またはSeを示す。
以下に示す基において、Xa−は後述するZa−と同様に定義される。Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、またはハロゲン原子を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層形成用塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることがより好ましい。
Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。
Y1およびY2は、それぞれ独立に、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。
R3およびR4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
R3およびR4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。
また、Za−は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa−は必要ない。好ましいZa−は、感光層形成用塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
また、Za−は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa−は必要ない。好ましいZa−は、感光層形成用塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
但し、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
但し、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
これらの赤外線吸収剤は、本発明に係る感光層に用いる場合、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
これらの増感色素、好ましくは赤外線吸収剤の添加量は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。
増感色素として染料を用いる場合には、特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料を用いる場合には、特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
増感色素として染料を用いる場合には、特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料を用いる場合には、特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
<(B)イオン性重合開始剤>
イオン性重合開始剤は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギー(例えば熱又は光)を付与することでラジカルを生成させるものであって、イオン構造の化合物であればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、ボレート化合物などが好ましい。これらは併用してもよい。本発明ではオニウム塩がより好ましく、中でも、ヨードニウム塩、ジアゾにウム塩、スルホニウム塩が更に好ましく、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が特に好ましい。
好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤としては、下記一般式(I)で表されるオニウム塩が挙げられる。
イオン性重合開始剤は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギー(例えば熱又は光)を付与することでラジカルを生成させるものであって、イオン構造の化合物であればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、ボレート化合物などが好ましい。これらは併用してもよい。本発明ではオニウム塩がより好ましく、中でも、ヨードニウム塩、ジアゾにウム塩、スルホニウム塩が更に好ましく、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が特に好ましい。
好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤としては、下記一般式(I)で表されるオニウム塩が挙げられる。
一般式(I)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。
(Z11)−は有機又は無機の対イオンを表し、例えば、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンや該対イオンを構造内に有するものが好ましい。より好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、またはアリールスルホン酸イオンや、該対イオンを構造内に有するものである。
(Z11)−は有機又は無機の対イオンを表し、例えば、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンや該対イオンを構造内に有するものが好ましい。より好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、またはアリールスルホン酸イオンや、該対イオンを構造内に有するものである。
以下に、一般式(I)で表されるオニウム塩の具体例([OS−1]〜[OS−12])を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記したものの他、特開2002−148790号公報、特開2002−148790号公報、特開2002−350207号公報、特開2002−6482号公報に記載の特定の芳香族スルホニウム塩も好適に用いられる。
上記スルホニウム塩重合開始剤の他にも、他の重合開始剤(他のラジカル発生剤)を用いることができる。他のラジカル発生剤としては、スルホニウム塩以外の他のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられ、中でも、高感度であることから、オニウム塩が好ましい。また、上記のスルホニウム塩重合開始剤を必須成分として、これらの重合開始剤(ラジカル発生剤)を併用することもできる。
好適に用い得る他のオニウム塩としては、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合開始剤として機能する。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(II)及び(III)で表されるオ
ニウム塩が挙げられる。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(II)及び(III)で表されるオ
ニウム塩が挙げられる。
一般式(II)中、Ar21およびAr22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z21)−は上述した(Z11)−と同義の対イオンを表す。
一般式(III)中、Ar31は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のア
リール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z31)−は上述した(Z11)−と同義の対イオンを表す。
リール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z31)−は上述した(Z11)−と同義の対イオンを表す。
以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(II)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、及び一般式(III)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできる他のオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報に記載されたもの等も挙げることができる。
本発明の重合開始剤としては、ボレート化合物も好適に用いることができ、有機ホウ素塩が好ましく用いられる。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(IV)で表される。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(IV)で表される。
一般式(IV)中、R11、R12、R13及びR14は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、または複素環基を表す。これらのなかで、R11、R12、R13及びR14のいずれか一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンとが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。
オニウムイオンとしては、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオンまたはホスホニウムイオンが挙げられる。特にアンモニウムイオンがボレート化合物の安定性の観点から好ましく用いられる。
オニウムイオンとしては、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオンまたはホスホニウムイオンが挙げられる。特にアンモニウムイオンがボレート化合物の安定性の観点から好ましく用いられる。
有機ホウ素塩として、有機ホウ素アニオンと、アルカリ金属イオンまたはオニウムイオンと、の塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで、色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。
また、有機ホウ素塩として、カチオン性増感色素の対アニオンを有機ホウ素アニオンとした塩を用いる場合には、該カチオン性増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は、更に、アルカリ金属イオンまたはオニウムイオンと、有機ホウ素アニオンと、の塩を併せて含有するのが好ましい。
また、有機ホウ素塩として、カチオン性増感色素の対アニオンを有機ホウ素アニオンとした塩を用いる場合には、該カチオン性増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は、更に、アルカリ金属イオンまたはオニウムイオンと、有機ホウ素アニオンと、の塩を併せて含有するのが好ましい。
有機ホウ素塩としては、前記一般式(IV)で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンまたはオニウムイオンが好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとオニウムイオンとの塩であり、具体的には、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。
特に好ましい有機ホウ素塩の具体例(BC−1)〜(BC−6)を下記に示す。
特に好ましい有機ホウ素塩の具体例(BC−1)〜(BC−6)を下記に示す。
本発明における(B)イオン性重合開始剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合は、例えば、好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤のみを複数種用いてもよいし、スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用してもよい。下記に併用可能な重合開始剤を記載するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
併用可能な重合開始剤としては、特に限定されないが、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。
トリハロアルキル置換化合物とは、具体的には、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物として、s−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられる。または該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換化合物とは、具体的には、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物として、s−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられる。または該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物の特に好ましい具体例(T−1)〜(T−22)を下記に示す。
また重合開始剤として、有機過酸化物を用いることもできる。有機過酸化物としては、例えば、クメンヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシド、ジクロルペルオキシド、ジ第3ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、及び下記に示す構造を有する化合物等が挙げられる。
なお、重合開始剤(ラジカル発生剤)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
重合開始剤の総含有量[(B)イオン性重合開始剤とその他の重合開始剤の総含有量]は、感度及び印刷時の非画像部の汚れの発生の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、更に好ましくは1〜20質量%である。
本発明における重合開始剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合は、例えば、好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤のみを複数種用いてもよいし、スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用してもよい。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合、その含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合、その含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
<(C)ラジカル重合性化合物>
重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(Ra)COOCH2CH(Rb)OH・・・一般式(V)
(ただし、Ra及びRbは、H又はCH3を示す。)
(ただし、Ra及びRbは、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
本発明において重合性化合物としては、ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー(以下、適宜、特定モノマーと称する。)も好ましく用いることができる。
前述した重合開始剤(ラジカル発生剤)より発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、この成分を含むことで、高感度で、加熱処理を必要としないネガ型の感光層とすることができる。
本発明における特定モノマーは、代表的には、下記一般式(VI)で表される化合物である。
前述した重合開始剤(ラジカル発生剤)より発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、この成分を含むことで、高感度で、加熱処理を必要としないネガ型の感光層とすることができる。
本発明における特定モノマーは、代表的には、下記一般式(VI)で表される化合物である。
一般式(VI)中、Z2は連結基を表し、R21、R22、及びR23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、またはヒドロキシ基等で置換されていてもよい。R24は置換可能な基または原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は2以上の整数を表す。
一般式(VI)で表される化合物について更に詳細に説明する。Z2の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環構造、およびベンゼン環構造から選択される1つまたは2つ以上組み合わせて構成される基が挙げられる。ここでR5及びR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Z2で表される連結基を構成する複素環構造としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環構造は更に、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、R24で表される置換可能な基または原子としては、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、更に、これらの基または原子は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(VI)で表される化合物の中でも、R21及びR22は水素原子で、R23は水素原子または炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、R24は水素原子または炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)、Z2は酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環構造、およびベンゼン環構造から選択される1つまたは2つ以上組み合わせて構成される基、m2は0〜4の整数で、k2は2〜10の整数である化合物が好ましい。
以下に、一般式(VI)で表される化合物の具体例(C−1)〜(C−11)を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、即ち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層を構成する他の成分(例えば、バインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。
また、平版印刷版原版では、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
また、平版印刷版原版では、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
感光層中の重合性化合物の含有量に関しては、感度、相分離の発生、感光層の粘着性、更には、現像液からの析出性の観点から、感光層中の固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは40〜75質量%の範囲で使用される。
また、重合性化合物は単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明で使用する平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
また、重合性化合物は単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明で使用する平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
<(D)バインダーポリマー>
バインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することができる。特に、アルカリ水溶液で現像する場合にはアルカリ可溶性基を含有することが好ましい。アルカリ可溶性基としてはカルボン酸基が好ましく用いられる。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
バインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することができる。特に、アルカリ水溶液で現像する場合にはアルカリ可溶性基を含有することが好ましい。アルカリ可溶性基としてはカルボン酸基が好ましく用いられる。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
さらに、バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程で高分子バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(VII)〜(IX)で表される官能基が特に好ましい。
上記一般式(VII)において、R1〜R3はそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、R1
としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、アル
コキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、アル
コキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表す。R12は、水素原子、または1価の有機基を表し、1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。なかでもR12としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
R12が1価の有機基を表す場合、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基などが挙げられる。
上記一般式(VIII)において、R4〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を表すが、R4〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
R4〜R8が1価の有機基を表す場合、導入し得る置換基としては、一般式(VII)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表す。ここでR12は、一般式(VII)のXがN(R12)−を表す場合におけるR12と同義であり、好ましい例も同様である。
上記一般式(IX)において、R9としては、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
R9〜R11に導入し得る置換基としては、一般式(VII)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、架橋性官能基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
本発明において好適なバインダーポリマーとしては、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーが挙げられる。
以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマー(1)と称し、詳細に説明する。
以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマー(1)と称し、詳細に説明する。
一般式(i)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子または−NR3−を表し、R3は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。
R1は、水素原子またはメチル基を表し、メチル基がより好ましい。
R2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82であり、好ましくは総原子数が2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す総原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子または原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子または原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
なかでも、R2で表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子をn個(nは整数)除いた場合は、n価の炭化水素基として用いることができる。たとえばシクロプロパンの炭素原子上の水素原子を2個除いた場合は2価の基として使用できる。ここでR2は、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、R2は縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
R2で表される連結基としては、特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
R2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
本発明で使用する平版印刷版原版では、感光層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷性を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(i)におけるAがNR3−である場合のR3は、水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、またはアルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3に導入しうる置換基としては、R2に導入しうる置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
なお一般式(i)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子または−NH−であることが好ましい。
一般式(i)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。
一般式(i)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明における特定バインダーポリマー(1)は、一般式(i)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(i)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、感光層の組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、より好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
本発明で使用する特定バインダーポリマー(1)の分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。好ましい重量平均分子量は、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
また、特定バインダーポリマー(1)の酸価(meq/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
また、特定バインダーポリマー(1)の酸価(meq/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
本発明おける特定バインダーポリマー(1)は単独で使用してもよいし、他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。
併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。
併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等や、後述するラジカル重合性基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。
併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等や、後述するラジカル重合性基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
本発明において、更に、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号の各公報、特願平11−352691号明細書等に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーを用いることもできる。バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度を併せもち、好適である。
また、特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度を併せもち、好適である。
本発明において、感光層中のバインダーポリマーの総量は、適宜決めることができるが、感光層中の不揮発性成分の総質量に対し、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
また、後述する重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
また、後述する重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
<(E)有機顔料>
感光層には、その着色を目的として、有機顔料を含有する。これにより、印刷版としての製版後の画像の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤として、顔料の具体例としては、色相的に限定されるものではなく、黒色顔料、黄色顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、ジスアゾ縮合系顔料、ジスアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、アントアントロン系顔料、アミノアントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、インダントロン系顔料、トリアリールカルボニウム系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソビオラントロン系顔料、ピラントロン系顔料、キノフタロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、チオインジゴ系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
感光層には、その着色を目的として、有機顔料を含有する。これにより、印刷版としての製版後の画像の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤として、顔料の具体例としては、色相的に限定されるものではなく、黒色顔料、黄色顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、ジスアゾ縮合系顔料、ジスアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、アントアントロン系顔料、アミノアントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、インダントロン系顔料、トリアリールカルボニウム系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソビオラントロン系顔料、ピラントロン系顔料、キノフタロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、チオインジゴ系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
なかでも、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、またはジケトピロロピロール顔料であることが好ましい。
本発明の顔料は、露光・現像処理した後、印刷する前の平版印刷版の原稿(文字・絵)の視認性(検版性)を付与するために使用する。視認性付与のためには、顔料が500nm以上の波長領域で光吸収するもの、すなわち、マゼンタ・レッド・シアン・ブルー・グリーン顔料が好ましく用いられる。逆に、たとえば500nm以下の波長領域でしか光吸収しないイエローは適さない。フタロシアニン顔料はブルー、グリーン、ジオキサジン顔料はバイオレット、ジケトピロロピロール顔料はレッド、キナクリドン顔料はマゼンタ、といずれも500nm以上の波長領域で光吸収する特性を有し、視認性付与に適している。
本発明の顔料は、露光・現像処理した後、印刷する前の平版印刷版の原稿(文字・絵)の視認性(検版性)を付与するために使用する。視認性付与のためには、顔料が500nm以上の波長領域で光吸収するもの、すなわち、マゼンタ・レッド・シアン・ブルー・グリーン顔料が好ましく用いられる。逆に、たとえば500nm以下の波長領域でしか光吸収しないイエローは適さない。フタロシアニン顔料はブルー、グリーン、ジオキサジン顔料はバイオレット、ジケトピロロピロール顔料はレッド、キナクリドン顔料はマゼンタ、といずれも500nm以上の波長領域で光吸収する特性を有し、視認性付与に適している。
顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料を利用することができる。
さらに詳しくは、例えば、 C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン系顔料;C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、またはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン系顔料;C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、 C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、またはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン系顔料;C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、またはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン系顔料;C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン系顔料;C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン系顔料;C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、 C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777) 、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、またはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン系顔料;C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、 C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、 C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、またはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合系顔料;C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、またはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094) 等のジスアゾ系顔料;C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、またはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ系顔料;C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン系顔料;C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、または15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン系顔料;C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、またはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム系顔料;C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、またはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン系顔料;C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン系顔料;C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264 、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、またはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料;C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ系顔料;C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン系顔料;C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、またはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン系顔料;C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、またはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン系顔料;またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン系顔料が挙げられる。
この中で特に好ましいものは、ピグメントブルー15(C.I.番号74160)、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)が挙げられる。これらの好ましい顔料は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
なお本発明の効果を損なわない範囲において、着色剤として染料を併用することができる。染料の具体例としては、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などが挙げられる。
また、上記のような検版性に加え重合禁止効果の観点から、吸収極大を500nm〜700nmの範囲に有する染料を用いることもできる。当該染料としては、特開2005−107389号公報の段落番号〔0013〕〜〔0017〕に記載のものが挙げられる。
また、上記のような検版性に加え重合禁止効果の観点から、吸収極大を500nm〜700nmの範囲に有する染料を用いることもできる。当該染料としては、特開2005−107389号公報の段落番号〔0013〕〜〔0017〕に記載のものが挙げられる。
着色剤としての有機顔料(染料を併用する場合は、当該染料も含む)の添加量は、感光層中の不揮発性成分に対して0.5質量%〜15質量%が好ましく、より好ましくは、0.8〜10質量%であり、更に好ましくは、1.0〜10質量%である。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがより好ましく、0.1μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましい。この好ましい粒径の範囲において、感光層中における顔料の優れた分散安定性が得られ、均一な感光層が得られる。
前記顔料は固体分散物として、感光層塗布液に含まれる。顔料を分散する際に、分散剤を添加することが好ましい。顔料の分散に用いられる分散剤に特に制約はないが、例えば、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、両イオン性分散剤、ノニオン性分散剤、顔料性分散剤、低分子分散剤、高分子分散剤などを使用することができる。なお、高分子分散剤は、溶液に均一に溶解できる分子量(本発明において、特に断りのない限り、分子量とは重量平均分子量を意味する)を有するものであれば制限なく用いることができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。顔料の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩(例えば、特開平3−273067号公報に記載されたもの)、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
高分子分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。
本発明の顔料分散物の分散法に用いられる分散剤として、好ましくはアミノ基を有する化合物、カルボン酸基を有する化合物、スルホン酸基を有する化合物、リン酸基を有する化合物などの極性基を有する化合物が好ましい。赤外線レーザ用ネガ型感光層は、重合開始剤としてオニウム塩などの高極性化合物、また塗布液用溶媒として、親水性(重合開始剤他を溶解)と疎水性(バインダー等を溶解)の中間特性の溶媒を用いる。このような溶媒中で顔料粒子を安定に分散するには、従来の疎水性立体反発機能のみ有する分散剤に対し、極性反発機能と疎水性立体反発機能の両方の機能を有する分散剤が必須である。極性反発機能を有する基として極性基があげられ、上記のような極性基を有する化合物を用いることが好ましい。
分散剤の添加量は特に制約されないが、顔料粒子100質量部に対して0.1〜300質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜200質量部の範囲であり、特に好ましくは5〜150質量部の範囲である。上記範囲とすることで、画像部の硬度、感度および耐刷性の観点から良好であり、かつ、顔料粒子の凝集沈降が抑制される。
本発明の平版印刷版原版の感光層に用いられる着色剤である顔料分散物の分散溶媒について説明する。
本発明に係る顔料分散剤の調製に用いられる分散溶媒は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の少なくとも1種の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11未満の少なくとも1種の有機溶剤との混合溶剤であることが必要である。
本発明では前述したように、赤外線レーザ感応性のラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)としてスルホニウム塩・ヨードニウム塩等のオニウム塩化合物やボレート化合物などのイオン性重合開始剤を用いているため、従来公知の有機溶剤系固体分散物、即ち、疎水性有機溶剤と疎水性分散剤の組み合わせによる立体反発力によって、高い顔料分散性を維持する構成を適用すると顔料の凝集を抑制し得ないという問題があった。これを受けて、本発明では、イオン性重合開始剤としてスルホニウム塩・ヨードニウム塩等の極性の高い化合物を用い、且つ、少なくとも2種の溶解パラメータを有する溶剤を含む混合溶剤を用いることで、分散溶媒中において疎水性と親水性をバランスさせ、両者の中間の特性に設定することで、感光層塗布液中における顔料の凝集沈降耐性を付与することを可能とした。
本発明の好ましい態様においては、顔料の固体分散物の調製に、疎水性部位とともに、アミノ基やカルボン酸基等の極性基を有する顔料分散剤を用いることで、感光層塗布液中において、さらに高い顔料の分散安定性を達成したものである。
またこのような感光層組成物を塗布して、均一な感光層面を形成するという観点から、該混合溶剤にさらに100℃以上の沸点の溶剤を含有させることが好ましい態様である。100℃以上の溶剤を更に併用することで、塗布性を向上させることができる。
本発明に係る顔料分散剤の調製に用いられる分散溶媒は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の少なくとも1種の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11未満の少なくとも1種の有機溶剤との混合溶剤であることが必要である。
本発明では前述したように、赤外線レーザ感応性のラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)としてスルホニウム塩・ヨードニウム塩等のオニウム塩化合物やボレート化合物などのイオン性重合開始剤を用いているため、従来公知の有機溶剤系固体分散物、即ち、疎水性有機溶剤と疎水性分散剤の組み合わせによる立体反発力によって、高い顔料分散性を維持する構成を適用すると顔料の凝集を抑制し得ないという問題があった。これを受けて、本発明では、イオン性重合開始剤としてスルホニウム塩・ヨードニウム塩等の極性の高い化合物を用い、且つ、少なくとも2種の溶解パラメータを有する溶剤を含む混合溶剤を用いることで、分散溶媒中において疎水性と親水性をバランスさせ、両者の中間の特性に設定することで、感光層塗布液中における顔料の凝集沈降耐性を付与することを可能とした。
本発明の好ましい態様においては、顔料の固体分散物の調製に、疎水性部位とともに、アミノ基やカルボン酸基等の極性基を有する顔料分散剤を用いることで、感光層塗布液中において、さらに高い顔料の分散安定性を達成したものである。
またこのような感光層組成物を塗布して、均一な感光層面を形成するという観点から、該混合溶剤にさらに100℃以上の沸点の溶剤を含有させることが好ましい態様である。100℃以上の溶剤を更に併用することで、塗布性を向上させることができる。
本発明において顔料分散液の調製に用いうる分散溶媒の例としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、二硫化炭素、脂肪族系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、イオン性溶媒、これらの混合溶媒などが挙げられ、これらのうちから適切なSP値を有するもの、適切な沸点を有するものを選択し、適宜組み合わせて混合溶剤を調製すればよい。またこれらの溶媒を水系溶媒(例えば、水、または塩酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、界面活性剤を溶解した水溶液など水を主体とする溶液)と混合して使用してもよい。
溶解パラメーター(SP値)が11以上の好ましい分散溶媒としては、メタノール(沸点65℃、SP値14.5〜14.8)、エタノール(沸点79℃、SP値12.7)、1−プロパノール(沸点97℃、SP値12.1)、2−プロパノール(沸点82℃、SP値11.5)、ベンジルアルコール(沸点205℃、SP値12.1)が挙げられる。
溶解パラメーター(SP値)が11未満の好ましい分散溶媒としては、酢酸エチル(沸点77℃、SP値8.7)、アセトン(沸点56℃、SP値9.9)、メチルエチルケトン(MEK)(沸点79.5℃、SP値9.3)、テトラヒドロフラン(沸点66℃、SP値9.1)、アセトニトリル(沸点82℃、SP値11.9)、ヘキサン(沸点69℃、SP値7.3)、シクロヘキサノン(沸点156℃、SP値9.9)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)(沸点121℃、SP値10.2)、トルエン(沸点111℃、SP値8.8)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃,SP値11.9)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃、SP値12.9)等をあげることができる。
これらのうち、SP値が11以上の少なくとも1種の有機溶剤と、SP値が11未満の少なくとも1種の有機溶剤と、を組み合わせて用いる。SP値が11以上の少なくとも1種の有機溶剤とSP値が11未満の少なくとも1種の有機溶剤は、ともに沸点が100℃以上のものでも構わないが、100℃未満であることが、塗布後の乾燥の観点から好ましい。
上述したSP値が11以上の有機溶剤の中で、より好ましいのは、メタノールおよびエタノール等のアルコール溶剤である。
上述したSP値が11未満の有機溶剤の中で、より好ましいのは、メチルエチルケトンおよび酢酸エチルである。
上述したとおり、SP値が11以上の少なくとも1種の有機溶剤、および、SP値が11未満の少なくとも1種の有機溶剤のほか、上述したように、塗布性向上の観点から、さらに沸点が100℃以上の有機溶剤を併用することが好ましい態様である。沸点が100℃以上の有機溶剤のSP値は特に限定されないが、SP値は11未満の溶剤がより好ましい。SP値が11以上の溶媒は、溶媒の特性としては極性が高く感光層の重合開始剤と相互作用しやすい。さらに沸点が100℃以上となると、塗布液を塗布した後の乾燥に長い時間または多大なエネルギーが必要となる、または乾燥が不十分な場合は感光層中に溶媒が残存して性能劣化を引き起こすなどの弊害が生じる。このため、沸点が100℃以上の溶媒は、SP値が11未満で極性が低いことがより好ましい。
沸点が100℃以上の好ましい有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびシクロヘキサノンが」挙げられる。
SP値が11以上の少なくとも1種の有機溶剤、SP値が11未満の少なくとも1種の有機溶剤、および沸点が100℃以上の有機溶剤の好ましい組合せとしては、SP値が11以上の有機溶剤としてメタノールを、SP値が11未満の有機溶剤としてメチルエチルケトンを、さらに、高沸点溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルを組み合わせて用いる態様、或いは、SP値が11以上の有機溶剤としてエタノールを、SP値が11未満の有機溶剤として酢酸エチルを、高沸点溶剤としてシクロヘキサノンを組み合わせて用いる態様が挙げられる。
SP値が11以上の有機溶剤とSP値が11未満の有機溶剤との混合比は、用いる顔料・分散剤によって適宜変更されるが、好ましくは1:99〜99:1の範囲である。
また、(SP値が11以上の有機溶剤+SP値が11未満の有機溶剤)と沸点が100度以上の有機溶剤との混合比は用いる顔料・分散剤によって適宜変更されるが、好ましくは1:99〜99:1の範囲である。
また、(SP値が11以上の有機溶剤+SP値が11未満の有機溶剤)と沸点が100度以上の有機溶剤との混合比は用いる顔料・分散剤によって適宜変更されるが、好ましくは1:99〜99:1の範囲である。
本発明の平版印刷版原版の感光層には、前記顔料を顔料分散物として含むものであるが、顔料分散物の調製方法は、公知の方法でよく、例えば、顔料に所望により用いられる顔料分散剤、及び前記混合溶剤の一部を添加し、よく混練したのち、残りの溶剤を加え、分散させる方法は挙げられる。
混合溶剤に顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
混合溶剤に顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明における感光層には、以上の基本成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(その他の成分)
−重合禁止剤−
本発明における感光層や、感光層を形成する際に用いられる感光層形成用塗布液においては、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
(その他の成分)
−重合禁止剤−
本発明における感光層や、感光層を形成する際に用いられる感光層形成用塗布液においては、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合禁止剤の添加量は、感光層(又は感光層形成用塗布液)中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層(又は感光層形成用塗布液)中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層(又は感光層形成用塗布液)中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
−重量平均分子量が3,000以下であり、かつ、カルボン酸基少なくとも1つ有する化合物−
本発明における感光層には、重量平均分子量が3,000以下であり、かつ、カルボン酸基少なくとも1つ有する化合物(以下、適宜、特定カルボン酸化合物と称する。)を含有させてもよい。この特定カルボン酸化合物は、例えば、置換基を有していてもよい脂肪族カルボン酸、置換基を有してもよい芳香族カルボン酸、及び、置換基を有していてもよい複素環に直接連結したカルボン酸等の化合物から選択することができる。これらの中でも、フタル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリト酸誘導体、コハク酸誘導体、安息香酸誘導体、及びグリシン誘導体等が好適に挙げられる。
本発明における感光層には、重量平均分子量が3,000以下であり、かつ、カルボン酸基少なくとも1つ有する化合物(以下、適宜、特定カルボン酸化合物と称する。)を含有させてもよい。この特定カルボン酸化合物は、例えば、置換基を有していてもよい脂肪族カルボン酸、置換基を有してもよい芳香族カルボン酸、及び、置換基を有していてもよい複素環に直接連結したカルボン酸等の化合物から選択することができる。これらの中でも、フタル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリト酸誘導体、コハク酸誘導体、安息香酸誘導体、及びグリシン誘導体等が好適に挙げられる。
本発明において、特定カルボン酸化合物の重量平均分子量は3000以下であり、60〜2000の範囲であることがより好ましく、100〜1500の範囲であることが更に好ましい。重量平均分子量が3000を越えると、特定カルボン酸化合物が支持体に吸着する場合があり好ましくない。
以下に、本発明に好適に用いられる特定カルボン酸化合物の具体例(化合物No.1〜No.21)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の感光性平版印刷版原版は、前述の感光層組成物溶液を適当な支持体上に塗布することにより製造することができるが、目的に応じて、後述する中間層なども同様にして形成することができる。
感光層塗布液を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、記録層の膜の皮膜特性は低下する。
−記録層の層構成−
本発明の感光性平版印刷版原版の感光層は単層構造、相分離構造、及び重層構造のいずれでも用いることができる。
単層型記録層としては、例えば特開平7−285275号公報、国際公開97/39894号パンフレット記載の記録層、相分離型記録層としては、例えば特開平11−44956号公報記載の記録層、重層型記録層としては、例えば特開平11−218914号公報、米国特許第6352812B1号、米国特許第6352811B1号、米国特許第6358669B1号、米国特許第6534238B1号、欧州特許第864420B1号明細書記載の記録層を用いることができるが、これらに限定されない。
本発明の感光性平版印刷版原版の感光層は単層構造、相分離構造、及び重層構造のいずれでも用いることができる。
単層型記録層としては、例えば特開平7−285275号公報、国際公開97/39894号パンフレット記載の記録層、相分離型記録層としては、例えば特開平11−44956号公報記載の記録層、重層型記録層としては、例えば特開平11−218914号公報、米国特許第6352812B1号、米国特許第6352811B1号、米国特許第6358669B1号、米国特許第6534238B1号、欧州特許第864420B1号明細書記載の記録層を用いることができるが、これらに限定されない。
塗布、乾燥後に得られる固形分塗布量は、単層の場合0.3〜5.0g/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0g/m2の範囲である。また重層の場合は、上層は0.05〜2.0g/m2、下層は0.3〜5.0g/m2がそれぞれ好ましく、より好ましくは上層は0.1〜1.0g/m2、下層は0.5〜3.0g/m2の範囲である。また上層と下層との塗布量の比は、0.05〜1が好ましく、より好ましくは0.1〜0.8の範囲である。
〔支持体〕
本発明における支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
本発明における支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
本発明において最も好適な支持体としてのアルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
このような支持体(アルミニウム支持体)には、後述の表面処理が施され、親水化される。
このような支持体(アルミニウム支持体)には、後述の表面処理が施され、親水化される。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の表面粗さRaが0.2〜0.5μm程度であれば、特に、方法、条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸または硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独または複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸または硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独または複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩または第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩または、第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号公報に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
本発明の平版印刷版原版は、上記支持体と、(A)増感色素、(B)イオン性重合開始剤、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、および、(E)有機顔料を含有する感光層と、の間に中間層を設けるのが好ましい。
支持体と感光層との間に中間層を設けることで、該中間層が断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることから、高感度化が図れるという利点を有する。
支持体と感光層との間に中間層を設けることで、該中間層が断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることから、高感度化が図れるという利点を有する。
(中間層形成に用いられる高分子化合物)
本発明の中間層は、支持体上に、(i)下記一般式(1)で表される構造単位、および、(ii)下記一般式(2)で表される構造単位、を有する共重合体(以下、適宜特定高分子化合物と称する。)を少なくとも1種含有し、該共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が塩基によって中和された高分子化合物である。
一般式(1)中、R1は水素原子、炭素数1〜30の置換基、またはハロゲン原子を表す。L1は単結合または2価の連結基を表す。nは1〜10の整数を表す。
一般式(2)中、R2は水素原子、炭素数1〜30の置換基、またはハロゲン原子を表す。Yは炭素数2〜30のカルボン酸エステル基を有する基を表す。
R1は水素原子、炭素数1〜30の置換基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シアノ基)、またはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を表す。より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、フッ素原子、塩素原子であり、更に好ましくは、水素原子、メチル基である。
R2はR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
R2はR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
L1は単結合又は2価の連結基を表す。ここで、2価の連結基とは少なくとも1個の非金属原子からなる2価の基を示し、好ましくは、原子数0〜60の炭素原子、原子数0〜10の窒素原子、原子数0〜50の酸素原子、及び原子数0〜20の硫黄原子から構成されるものである。好ましくは、−CR2−、−O−、−C=O−、−S−、−S=O−、−S(=O)2−、−NR−、ビニレン、フェニレン、シクロアルキレン、ナフチレン、ビフェニレン、(Rは水素原子または置換基を表す)、およびこれらの構造単位が組合わされて構成されるものを挙げることができる。L1として更に好ましくは、単結合、−O(CH2)p−、−NH(CH2)q−、−COO−または−CONH−、(pおよびqは0〜20の整数を表す。)、フェニレン基である。L1として特に好ましくは、単結合、−COO−、−CONH−、またはフェニレン基である。
nは1〜10の整数を表す。ここで、nが2以上とは、連結基に複数の−CO2Hが結合していることを示す。
Yは炭素数2〜30、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10のカルボン酸エステル基を有する基を表す。
Yの好ましい例としては、カルボン酸アルキルエステル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニルなど)、カルボン酸アリールエステル基(例えば、フェノキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基、ナフタレンオキシカルボニル基)などを挙げることができる。
Yの好ましい例としては、カルボン酸アルキルエステル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニルなど)、カルボン酸アリールエステル基(例えば、フェノキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基、ナフタレンオキシカルボニル基)などを挙げることができる。
Yのより好ましい例としては、カルボン酸アルキルエステル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニルなど)を挙げることができる。
Yの更に好ましい例としてはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニルなどを挙げることができる。
本発明の特定高分子化合物は、共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が塩基によって中和されていることを特徴とする。塩基としては公知の任意のものを用いることが可能であるが、好ましい例としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、2族の金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、その他の金属イオン(アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛など)の水酸化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシドなど、アンモニア(気体、または、水溶液)、アミン類(メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、モルホリン、グアニジンなど)、などを挙げることができる。より好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド、アンモニア水溶液、アミン類などを挙げることができる。更に好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、アンモニア水、トリエチルアミン、ピリジンなどを挙げることができる。
本発明の特定高分子化合物において、共重合体中のカルボキシル基の中和度は、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。
(i)一般式(1)で表される構造単位、および、(ii)一般式(2)で表される構造単位、はそれぞれ1種類のみであっても、2種類以上組み合わされていてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、(i)一般式(1)で表される構造単位および(ii)一般式(2)で表される構造単位以外の他の構造単位を更に含んでいてもよい。開始剤、連鎖移動剤などに由来する構造をポリマーの末端、あるいは、側鎖に含有していてもよい。
本発明の特定高分子化合物の製造は、常法により行うことができる。具体的には、アニオン重合、ラジカル重合、カチオン重合、高分子反応法、などの公知の方法から選択される任意の合成法を、単独または組み合わせて用いる。好ましくは、ラジカル重合、高分子反応法である。
本発明の特定高分子化合物の製造方法としては、[1](i)一般式(1)で表される構造単位に相当する単量体、および、(ii)一般式(2)で表される構造単位に相当する単量体を少なくとも含有する原料を共重合させた後に中和を行う製造方法、[2](i)一般式(1)で表される構造単位に相当する単量体の一部または全部を中和した単量体をあらかじめ調整し、(ii)一般式(2)で表される構造単位に相当する単量体を少なくとも含有する原料とを共重合させる製造方法、のいずれかが好ましく選択される。
特に好ましくは、(i)一般式(1)で表される構造単位と、(ii)一般式(2)で表される構造単位とを少なくとも含有する共重合体を、実質的に水を含まない溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)で合成した後に、水および塩基を同時(塩基の水溶液を添加する場合も含む)または逐次に添加して中和する製造法が選択される。
本発明における特定高分子化合物の平均分子量は任意であってよいが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定した時、重量平均分子量(Mw)が1000〜500,000であることが好ましく、また2,000〜200,000の範囲であることがより好ましく、5000〜100,000の範囲であることが更に好ましい。
特定高分子化合物中に含まれる未反応モノマー量は任意であるが、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
特定高分子化合物中に含まれる未反応モノマー量は任意であるが、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
以下に本発明の特定高分子化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明に係る特定高分子化合物の合成例を示す。本発明に係る他の高分子化合物も同様の方法で合成される。なお、本発明の化合物の合成法はこれらに限定されるものではない。
(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法による平均分子量の測定)
標準試料としてPEG(東ソー製)を用い、以下の分析条件により平均分子量を測定した。
カラム:Shodex OHpak SB−806M HQ 8×300mm
Shodex OHpak SB−802.5 HQ 8×300mm
移動層:50mMリン酸水素二ナトリウム溶液(アセトニトリル/水=1/9)
流量:0.8ml/min.
検出器:Rl
注入量:100μl
試料濃度:0.1質量%
標準試料としてPEG(東ソー製)を用い、以下の分析条件により平均分子量を測定した。
カラム:Shodex OHpak SB−806M HQ 8×300mm
Shodex OHpak SB−802.5 HQ 8×300mm
移動層:50mMリン酸水素二ナトリウム溶液(アセトニトリル/水=1/9)
流量:0.8ml/min.
検出器:Rl
注入量:100μl
試料濃度:0.1質量%
〔合成例1〕例示化合物(a−1)の合成
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル107.1質量部を取り、80℃に昇温して窒素気流下で30分間攪拌した。別途、メタクリル酸メチル75.1質量部、メタクリル酸64.6質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル7.6質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル428.4質量部の混合溶液を調製し、反応溶液に2時間を要して滴下した。80℃で4時間30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル3.8質量部を加え、90℃に昇温して更に2時間攪拌した。反応溶液を20℃以下に冷却した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液202.5質量部を加えて攪拌し、例示化合物a−1の溶液(固形分濃度17.9%)を得た。GPC法による重量平均分子量は32000であった。
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル107.1質量部を取り、80℃に昇温して窒素気流下で30分間攪拌した。別途、メタクリル酸メチル75.1質量部、メタクリル酸64.6質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル7.6質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル428.4質量部の混合溶液を調製し、反応溶液に2時間を要して滴下した。80℃で4時間30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル3.8質量部を加え、90℃に昇温して更に2時間攪拌した。反応溶液を20℃以下に冷却した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液202.5質量部を加えて攪拌し、例示化合物a−1の溶液(固形分濃度17.9%)を得た。GPC法による重量平均分子量は32000であった。
〔合成例2〕例示化合物(a−2)の合成
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル99.7質量部を取り、80℃に昇温して窒素気流下で30分間攪拌した。別途、メタクリル酸メチル75.1質量部、アクリル酸54.1質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル7.6質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル398.6質量部の混合溶液を調製し、反応溶液に2時間を要して滴下した。80℃で4時間30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル3.8質量部を加え、90℃に昇温して更に2時間攪拌した。反応溶液を20℃以下に冷却した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液202.5質量部を加えて攪拌し、例示化合物a−2の溶液(固形分濃度17.7%)を得た。GPC法による重量平均分子量は28000であった。
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル99.7質量部を取り、80℃に昇温して窒素気流下で30分間攪拌した。別途、メタクリル酸メチル75.1質量部、アクリル酸54.1質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル7.6質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル398.6質量部の混合溶液を調製し、反応溶液に2時間を要して滴下した。80℃で4時間30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル3.8質量部を加え、90℃に昇温して更に2時間攪拌した。反応溶液を20℃以下に冷却した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液202.5質量部を加えて攪拌し、例示化合物a−2の溶液(固形分濃度17.7%)を得た。GPC法による重量平均分子量は28000であった。
本発明の高分子化合物において、(i)一般式(1)で表される構造単位の含有量と、(ii)一般式(2)で表される構造単位の含有量とのモル比は、好ましくは9:1〜1:9であり、より好ましくは9:1〜3:7であり、更に好ましくは8:2〜3:7である。含有比率を当該範囲とすることで、高い耐刷の実現と印刷物の非画像部分の着色が防止できる利点がある。その理由は、中間層塗布形成後、上層に感光層塗布液を塗布する際、当該範囲の場合は感光層塗布液中に中間層の成分が溶出することなく層を形成することができる。これにより高い耐刷が実現できる。一方、アルカリ性の現像液による処理では、未露光の部分で中間層成分が十分に溶解し非画像部分に感光層成分の残存がなくなり、印刷物の着色が防止できる。
本発明の平版印刷版原版に係る中間層は、上記(i)一般式(1)で表される構造単位と、(ii)一般式(2)で表される構造単位と、を有する特定高分子化合物を含有する。ここで、中間層に含有される高分子化合物全量に対する、該特定高分子化合物の含有量は1〜100質量%であり、好ましくは10〜100質量%であり、更に好ましくは20〜100質量%である。
本発明の平版印刷版原版の中間層には、上記した特定高分子化合物のほか、更に他の公知の化合物を併用してもよい。公知の中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平11−38635号、特開平11−38629号、特開平10−282645号、特開平10−301262号、特開平11−24277号、特開平11−109641号、特開平10−319600号、特開平11−84674号、特開平11−327152号、特開2000−10292号、特開2000−235254号、特開2000−352854号、特開2001−209170号、特願平11−284091号の各公報等に記載のものを挙げることができる
(中間層の形成)
本発明の中間層は、支持体上に種々の方法により塗布して設けられる。
中間層は次のような方法で設けることができる。メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの有機溶剤、またはそれらの混合溶剤、あるいは、これら有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明の特定高分子化合物を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける方法と、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤あるいはこれら有機溶剤と水との混合溶剤もしくはそれらの混合溶剤に本発明の特定高分子化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して高分子化合物を吸着させ、しかる後、必要により水などによって洗浄、乾燥して有機中間層を設ける方法である。前者の方法では、上記特定高分子化合物の好ましくは0.005〜20重量%、より好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。上記の溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルスルホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、フマル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性物質等によりpHを調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=3〜10の範囲で使用してもよい。本発明の特定高分子化合物の乾燥後の被覆量は、2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは3〜50mg/m2であり、更に好ましくは4〜30mg/m2である。被覆量が2mg/m2よりも少ないと、該中間層を設ける効果、すなわち耐刷性能の向上および非画像部分の着色防止の効果が十分に得られない場合がある。また、100mg/m2より多くても同様である。
本発明の中間層は、支持体上に種々の方法により塗布して設けられる。
中間層は次のような方法で設けることができる。メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの有機溶剤、またはそれらの混合溶剤、あるいは、これら有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明の特定高分子化合物を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける方法と、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤あるいはこれら有機溶剤と水との混合溶剤もしくはそれらの混合溶剤に本発明の特定高分子化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して高分子化合物を吸着させ、しかる後、必要により水などによって洗浄、乾燥して有機中間層を設ける方法である。前者の方法では、上記特定高分子化合物の好ましくは0.005〜20重量%、より好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。上記の溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルスルホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、フマル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性物質等によりpHを調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=3〜10の範囲で使用してもよい。本発明の特定高分子化合物の乾燥後の被覆量は、2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは3〜50mg/m2であり、更に好ましくは4〜30mg/m2である。被覆量が2mg/m2よりも少ないと、該中間層を設ける効果、すなわち耐刷性能の向上および非画像部分の着色防止の効果が十分に得られない場合がある。また、100mg/m2より多くても同様である。
本発明に用いる顔料分散物は、塗布液中の着色剤の凝集等がなく、保存安定性に優れる。また、着色剤として顔料を使うことで、染料を含有する際に生じる赤外増感系の重合時の非効率(染料自体が赤外線を吸収する、染料自体が重合禁止作用を有する)がなく、結果として、該分散物を用いた感光性組成物は、特定の露光量に対し高い重合率となる。これにより、感度が高く、印刷の耐刷性が良好な本発明の平版印刷版原版を得ることができる。
<製版方法>
以下、本発明における平版印刷版原版の製版方法について説明する。
本発明において平版印刷版原版は、記録層側の最表面と、バックコート層側の最表面とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体(平版印刷版原版の積層体)を形成した後、この積層体をプレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚ずつ自動搬送した後に、露光処理した後、現像処理を行なうことで製版できる。
本発明で使用する平版印刷版原版は、版の間に合紙を挟み込むことなく積層しても、平版印刷版原版の間の密着性や、保護層へのキズの発生が抑制されるため、上記のような製版方法に適用することができる。また、その製版方法に、平版印刷版原版を合紙を挟み込むことなく積層した積層体(平版印刷版原版の積層体)を用いることができることから、合紙の除去が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
以下、本発明における平版印刷版原版の製版方法について説明する。
本発明において平版印刷版原版は、記録層側の最表面と、バックコート層側の最表面とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体(平版印刷版原版の積層体)を形成した後、この積層体をプレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚ずつ自動搬送した後に、露光処理した後、現像処理を行なうことで製版できる。
本発明で使用する平版印刷版原版は、版の間に合紙を挟み込むことなく積層しても、平版印刷版原版の間の密着性や、保護層へのキズの発生が抑制されるため、上記のような製版方法に適用することができる。また、その製版方法に、平版印刷版原版を合紙を挟み込むことなく積層した積層体(平版印刷版原版の積層体)を用いることができることから、合紙の除去が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
平版印刷版原版が、増感色素として赤外線吸収剤を有する重合性ネガ型感光層上に保護層を設けてなる構成の場合、保護層とバックコート層とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体を、プレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚ずつ自動搬送した後に、750nm〜1400nmの波長で露光処理した後、実質的に加熱処理を経ることなく、搬送速度が1.25m/分以上の条件にて現像処理を行なうことで製版できる。
〔露光〕
露光処理に用いられる光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。光源の波長は300nm〜1200nmの範囲が好ましく、具体的には、各種レーザを光源として用いることができ、中でも、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザを用いることができる。
露光処理に用いられる光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。光源の波長は300nm〜1200nmの範囲が好ましく、具体的には、各種レーザを光源として用いることができ、中でも、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザを用いることができる。
光源としてはレーザが好ましく、例えば、350〜450nmの波長の入手可能なレーザ光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとしては、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm,351nm,10mW〜1W)、He−Cdレーザ(441nm,325nm,1mW〜100mW)、固体レーザとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355mm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm,10mW)が挙げられる。半導体レーザ系としては、KNbO3、リング共振器(430nm,30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)が挙げられる。
特に、この中でAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
ガスレーザとしては、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm,351nm,10mW〜1W)、He−Cdレーザ(441nm,325nm,1mW〜100mW)、固体レーザとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355mm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm,10mW)が挙げられる。半導体レーザ系としては、KNbO3、リング共振器(430nm,30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)が挙げられる。
特に、この中でAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
その他、450nm〜700nmの入手可能な光源としてはAr+レーザ−(488nm)、YAG−SHGレーザ(532nm)、He−Neレーザ(633nm)、He−Cdレーザ、赤色半導体レーザ(650〜690nm)があり、700nm〜1200nmの入手可能な光源としては半導体レーザ(800〜850nm)、Nd−YAGレーザ(1064nm)が好適に利用できる。
その他、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、紫外のレーザランプ(ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザなど)、可視の各種レーザランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等、放射線としては電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線なども利用できる。
上記の中でも、像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
特に、750nm〜1400nmの波長を露光光源として用いる場合、該波長の光を発するものならば特に際限なく使用できるが、好ましくは750nm〜1400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザ、或いは半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。
レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射される単位あたりのエネルギー量は10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射される単位あたりのエネルギー量は10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
本発明における露光処理では、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明においては、上述のように露光処理された平版印刷版原版は、加熱処理及び水洗処理を行ってもよい。
また、平版印刷版原版の種類によっては、例えば、重合性ネガ型感光層を有する場合には、特段の加熱処理及び水洗処理を行なうことなく、現像処理に供されてもよい。この加熱処理を行なわないことで、加熱処理に起因する画像の不均一性を抑制することができる。また、加熱処理及び水洗処理を行なわないことで、現像処理において安定な高速処理が可能となる。
また、平版印刷版原版の種類によっては、例えば、重合性ネガ型感光層を有する場合には、特段の加熱処理及び水洗処理を行なうことなく、現像処理に供されてもよい。この加熱処理を行なわないことで、加熱処理に起因する画像の不均一性を抑制することができる。また、加熱処理及び水洗処理を行なわないことで、現像処理において安定な高速処理が可能となる。
〔現像〕
本発明における現像処理では、現像液を用いて、感光層の非画像部を除去する。
なお、本発明においては、上述のように、増感色素として赤外線吸収剤を有する重合性ネガ型感光層上に保護層を設けてなる構成の平版印刷版原版の場合、現像処理における処理速度、即ち、現像処理における平版印刷版原版の搬送速度(ライン速度)は、1.25m/分以上であることが好ましく、より好ましくは、1.35m/分以上である。また、搬送速度の上限値には特に制限はないが、搬送の安定性の観点からは、3m/分以下であることが好ましい。
以下、本発明に用いられる現像液について説明する。
本発明における現像処理では、現像液を用いて、感光層の非画像部を除去する。
なお、本発明においては、上述のように、増感色素として赤外線吸収剤を有する重合性ネガ型感光層上に保護層を設けてなる構成の平版印刷版原版の場合、現像処理における処理速度、即ち、現像処理における平版印刷版原版の搬送速度(ライン速度)は、1.25m/分以上であることが好ましく、より好ましくは、1.35m/分以上である。また、搬送速度の上限値には特に制限はないが、搬送の安定性の観点からは、3m/分以下であることが好ましい。
以下、本発明に用いられる現像液について説明する。
(現像液)
本発明に用いられる現像液は、pH14以下のアルカリ水溶液であることが好ましく、また、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる現像液は、pH14以下のアルカリ水溶液であることが好ましく、また、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
(芳香族アニオン界面活性剤)
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、重合性ネガ型の感光層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化効果があり、現像処理安定化において好ましい。中でも、本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、重合性ネガ型の感光層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化効果があり、現像処理安定化において好ましい。中でも、本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(A)又は一般式(B)において、R1およびR3は、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
mおよびnは、それぞれ独立に、1〜100の整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するR1は同一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するR3は同一でも異なっていてもよい。
tおよびuは、それぞれ独立に、0または1を表す。
mおよびnは、それぞれ独立に、1〜100の整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するR1は同一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するR3は同一でも異なっていてもよい。
tおよびuは、それぞれ独立に、0または1を表す。
R2およびR4は、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
pおよびqは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。
pおよびqは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。
Y1およびY2は、それぞれ独立に、単結合、又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Z1)r+および(Z2)s+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の範囲のアルキル基、炭素数1〜20の範囲のアリール基、又は炭素数1〜20の範囲のアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。
rおよびsは、それぞれ独立に、1または2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(Z1)r+および(Z2)s+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の範囲のアルキル基、炭素数1〜20の範囲のアリール基、又は炭素数1〜20の範囲のアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。
rおよびsは、それぞれ独立に、1または2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これら芳香族アニオン界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。芳香族アニオン界面活性剤の添加量は、現像液中における芳香族アニオン界面活性剤の濃度が1.0〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%の範囲とすることが効果的である。上記範囲とすることで、現像性、溶解性および印刷版の耐刷性が良好となる。
現像液には、前記芳香族アニオン界面活性剤以外に、その他の界面活性剤を併用してもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤である。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
(2価金属に対するキレート剤)
現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na2P2O7、Na5P3O3、Na3P3O9、Na2O4P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させる。
現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na2P2O7、Na5P3O3、Na3P3O9、Na2O4P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させる。
また現像液には、現像調整剤として有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加えてもよい。例えば、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
(アルカリ剤)
現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
また、上記以外のアルカリ剤として、アルカリ珪酸塩を挙げることができる。アルカリ珪酸塩は塩基と組み合わせて使用してもよい。使用するアルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリ珪酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる現像液は、支持体の親水化成分としての珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2と、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物M2O(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、最適な範囲に容易に調節することができる。酸化ケイ素SiO2とアルカリ酸化物M2Oとの混合比率(SiO2/M2Oのモル比)は、支持体の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)されることに起因する放置汚れや、溶解アルミニウムと珪酸塩との錯体形成に起因する不溶性ガスの発生を抑制するといった観点から、好ましくは0.75〜4.0の範囲であり、より好ましくは0.75〜3.5の範囲で使用される。
また、現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、支持体の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果、現像性、沈殿や結晶生成の抑制効果、及び廃液時における中和の際のゲル化防止効果などの観点から、現像液の質量に対して、SiO2量として、0.01〜1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
本発明において使用される現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下のような成分を併用することができる。例えば、安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;プロピレングリコール等の有機溶剤;この他、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明に用いられる現像液は、25℃におけるpHが10〜12.5の範囲であることが好ましく、pH11〜12.5の範囲であることがより好ましい。本発明における現像液は、前記界面活性剤を含むため、このような低pHの現像液を用いても、非画像部において優れた現像性を発現する。このように、現像液のpHを比較的低い値とすることにより、現像時における画像部へのダメージを軽減するとともに、現像液の取扱い性にも優れる。
また、該現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmであることが好ましく、5〜25mS/cmであることがより好ましい。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
更に、自動現像機を用いて、現像液の処理能力を回復させるためには、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
より好ましい現像補充液は、アルミニウムイオンと水溶性キレート化合物形成能を有するオキシカルボン酸キレート剤と、アルカリ金属の水酸化物と、界面活性剤とを含有し、ケイ酸塩を含有せず、pH11〜13.5の水溶液であることを特徴とする現像補充液である。このような現像補充液を使用することにより、優れた現像性と版材の画像部の強度を損なうことの無い特性を有し、現像液のアルカリによりアルミニウム支持体が溶出されて形成する水酸化アルミニウムの析出が効果的に抑制され、自動現像機の現像浴ローラー表面への水酸化アルミニウムを主成分とする汚れの付着や、引き続く水洗浴内への水酸化アルミニウム析出物の蓄積が低減され、長期間安定に処理することができる。
このようにして現像処理された平版印刷版は、任意に水洗水、界面活性剤などを含有するリンス液などにより処理された後、版面保護液によって処理され、該平版印刷版の版面のみならず裏面にも版面保護層が形成される。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
〔顔料分散物の調製〕
C.I.ピグメントブルー15:6 15.0gに、下記表1に記載の分散剤7.5g、溶媒としてメチルエチルケトン31.0g、メタノール15.5g、1−メトキシ−2−プロパノール31.0gの合計100gを混合し、ダイノミルで30分間分散し、実施例1用の顔料分散物を調製した。
〔顔料分散物の調製〕
C.I.ピグメントブルー15:6 15.0gに、下記表1に記載の分散剤7.5g、溶媒としてメチルエチルケトン31.0g、メタノール15.5g、1−メトキシ−2−プロパノール31.0gの合計100gを混合し、ダイノミルで30分間分散し、実施例1用の顔料分散物を調製した。
実施例2〜6、比較例1〜4、実施例A〜Fおよび比較例A〜Dは、表1または表2に記載の顔料、溶媒、分散剤に変更した以外は実施例1と同様にして、顔料分散物を調製した。表1および表2における各成分の仕込量は、実施例1の各成分と同量である。
表1に記載の溶媒の物性値を下記に示す。
MEK:沸点79.5℃、SP値9.3
MFG(1-メトキシ−2−プロパノール):沸点121℃、SP値10.19
メタノール:沸点64.7℃、SP値14.5〜14.8
MEK:沸点79.5℃、SP値9.3
MFG(1-メトキシ−2−プロパノール):沸点121℃、SP値10.19
メタノール:沸点64.7℃、SP値14.5〜14.8
表2に記載の溶媒の物性値を下記に示す。
酢酸エチル:77℃、SP値8.7
シクロヘキサノン:沸点156℃、SP値9.9
エタノール:沸点79℃、SP値12.7
酢酸エチル:77℃、SP値8.7
シクロヘキサノン:沸点156℃、SP値9.9
エタノール:沸点79℃、SP値12.7
表1および表2に記載の分散剤を下記に示す。
Anti−Terra−U:長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩(酸価24mgKOH/g、アミン価19mgKOH/g)
Disperbyk−166:顔料に親和性のあるブロック共重合体(アミン価20mgKOH/g)
Disperbyk−182:顔料に親和性のあるブロック共重合物(アミン価13mgKOH/g)
Disperbyk−2001:変性アクリル系ブロック共重合物(酸価19mgKOH/g、アミン価29mgKOH/g)
Anti−Terra−U:長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩(酸価24mgKOH/g、アミン価19mgKOH/g)
Disperbyk−166:顔料に親和性のあるブロック共重合体(アミン価20mgKOH/g)
Disperbyk−182:顔料に親和性のあるブロック共重合物(アミン価13mgKOH/g)
Disperbyk−2001:変性アクリル系ブロック共重合物(酸価19mgKOH/g、アミン価29mgKOH/g)
表1および表2に記載の染料(エチルバイオレット、EV−1)およびカルボン酸含有樹脂A(重量平均分子量:40000)の構造について下記に示す。
〔支持体の作製〕
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m2溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/m2であった。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/m2であった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRa、表面積比ΔS、急峻度a45は、それぞれ、Ra=0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)、ΔS=75%、a45=44%(測定機器;セイコーインスツルメンツ社製SPA300/SPI3800N)であった。
(下塗り層の形成)
続いて、表面処理したアルミニウム支持体の同じ面に、下記下塗り層(中間層)形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m2であった。
<下塗り層(中間層)形成用塗布液>
・下記構造の高分子化合物a−1(重量平均分子量:30,000、質量平均分子量32000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
続いて、表面処理したアルミニウム支持体の同じ面に、下記下塗り層(中間層)形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m2であった。
<下塗り層(中間層)形成用塗布液>
・下記構造の高分子化合物a−1(重量平均分子量:30,000、質量平均分子量32000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
(感光層の形成)
下記感光層形成用塗布液Aを調製し、上記のように形成された下塗り層上(中間層上)にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて125℃で34秒間行った。乾燥後の被覆量は1.4g/m2であった。
下記感光層形成用塗布液Aを調製し、上記のように形成された下塗り層上(中間層上)にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて125℃で34秒間行った。乾燥後の被覆量は1.4g/m2であった。
<感光層形成用塗布液A>
・赤外線吸収剤(IR−1:下記構造式) 0.038g
・重合開始剤A(S−1:下記構造式) 0.061g
・重合開始剤B(I−1:下記構造式) 0.094g
・メルカプト化合物(E−1:下記構造式) 0.015g
・重合性化合物(M−1:下記構造式) 0.425g
(商品名:A−BPE−4 新中村化学工業(株))
・バインダーポリマーA(B−1:下記構造式) 0.311g
・バインダーポリマーB(B−2:下記構造式) 0.250g
・バインダーポリマーC(B−3:下記構造式) 0.062g
・添加剤(T−1:下記構造式) 0.079g
・重合禁止剤(Q−1:下記構造式) 0.0012g
・C.I.ピグメントブルー15:6 0.098g
・分散剤 Anti−Terra−U 0.049g
(ブッグケミージャパン製)
・フッ素系界面活性剤 0.0081g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 5.886g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
・赤外線吸収剤(IR−1:下記構造式) 0.038g
・重合開始剤A(S−1:下記構造式) 0.061g
・重合開始剤B(I−1:下記構造式) 0.094g
・メルカプト化合物(E−1:下記構造式) 0.015g
・重合性化合物(M−1:下記構造式) 0.425g
(商品名:A−BPE−4 新中村化学工業(株))
・バインダーポリマーA(B−1:下記構造式) 0.311g
・バインダーポリマーB(B−2:下記構造式) 0.250g
・バインダーポリマーC(B−3:下記構造式) 0.062g
・添加剤(T−1:下記構造式) 0.079g
・重合禁止剤(Q−1:下記構造式) 0.0012g
・C.I.ピグメントブルー15:6 0.098g
・分散剤 Anti−Terra−U 0.049g
(ブッグケミージャパン製)
・フッ素系界面活性剤 0.0081g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 5.886g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
なお、上記感光層形成用塗布液Aに用いた、赤外線吸収剤(IR−1)、重合開始剤A(S−1)、重合開始剤B(I−1)、メルカプト化合物(E−1)、重合性化合物(M−1)、バインダーポリマーA(B−1)、バインダーポリマーB(B−2)、バインダーポリマーC(B−3)、添加剤(T−1)および重合禁止剤(Q−1)の構造を以下に示す。
(下部保護層の形成)
形成された感光層上に、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業(株)製)、界面活性剤A(エマレックス710、日本エマルジョン社製)、及び界面活性剤B(アデカプルロニックP−84、旭電化工業(株)製)の混合水溶液(下部保護層形成用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(下部保護層形成用塗布液)中の合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤A/界面活性剤Bの含有量割合は、7.5/89/2/1.5(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/m2であった。
形成された感光層上に、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業(株)製)、界面活性剤A(エマレックス710、日本エマルジョン社製)、及び界面活性剤B(アデカプルロニックP−84、旭電化工業(株)製)の混合水溶液(下部保護層形成用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(下部保護層形成用塗布液)中の合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤A/界面活性剤Bの含有量割合は、7.5/89/2/1.5(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/m2であった。
(上部保護層の形成)
下部保護層上に、有機フィラー(アートパールJ−7P、根上工業(株)製)、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(L−3266:ケン化度87モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業(株)製)、増粘剤(セロゲンFS−B、第一工業製薬(株)製)、及び界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)の混合水溶液(上部保護層形成用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(上部保護層形成用塗布液)中の有機フィラー/合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/増粘剤/界面活性剤の含有量割合は、4.8/2.9/69.0/19.0/4.3(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.2g/m2であった。
下部保護層上に、有機フィラー(アートパールJ−7P、根上工業(株)製)、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(L−3266:ケン化度87モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業(株)製)、増粘剤(セロゲンFS−B、第一工業製薬(株)製)、及び界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)の混合水溶液(上部保護層形成用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(上部保護層形成用塗布液)中の有機フィラー/合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/増粘剤/界面活性剤の含有量割合は、4.8/2.9/69.0/19.0/4.3(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.2g/m2であった。
(バックコート層の形成、及び製版処理)
保護層を設けた側と反対の面には以下のバックコート塗布液組成物をワイヤーバー塗布し、100℃70秒間乾燥し、有機高分子化合物を含むバックコート層を得た。塗布量は0.46g/m2だった。
保護層を設けた側と反対の面には以下のバックコート塗布液組成物をワイヤーバー塗布し、100℃70秒間乾燥し、有機高分子化合物を含むバックコート層を得た。塗布量は0.46g/m2だった。
<バックコート塗布液>
・テトラエトキシシラン 2.17g
・ジブチルマレイン酸エステル 0.16g
・ピロガロール樹脂(重量平均分子量3000:下記構造式) 0.16g
・メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株) 0.005g
・メチルエチルケトン 22.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール 2.5g
・テトラエトキシシラン 2.17g
・ジブチルマレイン酸エステル 0.16g
・ピロガロール樹脂(重量平均分子量3000:下記構造式) 0.16g
・メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株) 0.005g
・メチルエチルケトン 22.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール 2.5g
こうして得られた平版印刷版原版をセッティング部分からオートローダーにて、Creo社製Trendsetter3244に搬送し、解像度2400dpiで50%平網画像を、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cm2で露光した。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈を用いた。
−評価−
(1−1)塗布液中の安定性
塗布液中の安定性は、前記した実施例および比較例の感光層塗布液を25℃環境下で3日間静置した後の、塗布液中の有機顔料の平均粒子径を測定することにより評価した。平均粒子径は体積平均粒子径で評価し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910、ホリバ製作所(株)製)を用い、取り込み回数10回、相対屈折率1.18−0.001、攪拌2分、循環5分、粒子径基準:体積の条件で測定した。塗布液を静置した後に凝集が見られないものは○、凝集が発生したものは×と評価し、静置後の塗布液中の有機顔料の平均粒子径を表3および表4に記載した。
(1−1)塗布液中の安定性
塗布液中の安定性は、前記した実施例および比較例の感光層塗布液を25℃環境下で3日間静置した後の、塗布液中の有機顔料の平均粒子径を測定することにより評価した。平均粒子径は体積平均粒子径で評価し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910、ホリバ製作所(株)製)を用い、取り込み回数10回、相対屈折率1.18−0.001、攪拌2分、循環5分、粒子径基準:体積の条件で測定した。塗布液を静置した後に凝集が見られないものは○、凝集が発生したものは×と評価し、静置後の塗布液中の有機顔料の平均粒子径を表3および表4に記載した。
(1−2)画像濃度・感度の評価
現像して得られた各平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。その結果を表3および表4に記載した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とし表3および表4に記載した。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
現像して得られた各平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。その結果を表3および表4に記載した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とし表3および表4に記載した。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
(1−3)セーフライト許容時間の評価
得られた各平版印刷版原版を、400Lxの照度のUVカット蛍光灯下に一定時間さらし、現像処理後の非画像部にかぶりが発生するまでの時間を比較した。かぶり発生の基準は、セーフライト下に曝されていない、非画像部の反射濃度と比較し、0.02以上濃度が高くなった部分と定義する。
得られた各平版印刷版原版を、400Lxの照度のUVカット蛍光灯下に一定時間さらし、現像処理後の非画像部にかぶりが発生するまでの時間を比較した。かぶり発生の基準は、セーフライト下に曝されていない、非画像部の反射濃度と比較し、0.02以上濃度が高くなった部分と定義する。
表3、表4に示す結果から明らかなように、特定の有機溶剤によって分散された有機顔料を含有する感光層を有する実施例1〜6および実施例A〜Fの本発明の平版印刷版は、高感度で、セーフライト安全性に優れていることがわかる。また各実施例の感光性組成物は、有機顔料の凝集発生が見られない。
これに対し、有機顔料を含まない比較例1および比較例Aは、感光性組成物中の着色剤(染料)の安定性は良好だが、感度、セーフライト安全性が著しく劣る。また、単一の有機溶剤によって分散された有機顔料を使用した比較例2〜4および比較例B〜Dは、組成物中で有機顔料の凝集が発生し、実用上問題となるレベルであることが分かった。
これに対し、有機顔料を含まない比較例1および比較例Aは、感光性組成物中の着色剤(染料)の安定性は良好だが、感度、セーフライト安全性が著しく劣る。また、単一の有機溶剤によって分散された有機顔料を使用した比較例2〜4および比較例B〜Dは、組成物中で有機顔料の凝集が発生し、実用上問題となるレベルであることが分かった。
Claims (8)
- 支持体上に、(A)増感色素、(B)イオン性重合開始剤、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、および、(E)有機顔料、を含有する感光層を有し、前記(E)有機顔料は、溶解パラメーター(SP値)が11以上の有機溶剤と、溶解パラメーター(SP値)が11未満の有機溶剤と、を含有する混合溶剤中に固体分散された顔料分散物として含まれることを特徴とする平版印刷版原版。
- 前記混合溶剤が、さらに沸点100℃以上の少なくとも1種の有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記(A)増感色素が赤外線吸収色素であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平版印刷版原版。
- 前記(B)イオン性重合開始剤が、オニウム塩またはボレート化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記顔料分散物が、分子内に極性基を有する顔料分散剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記顔料分散剤が有する極性基が、アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、および、リン酸基から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の平版印刷版原版。
- 前記(E)有機顔料が、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、および、ジケトピロロピロール顔料から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記支持体と感光層との間に中間層を設け、該中間層が(i)下記一般式(1)で表される構造単位、および、(ii)下記一般式(2)で表される構造単位、を有する共重合体を少なくとも1種含有し、該共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が塩基によって中和された高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(一般式(1)中、R1は水素原子、炭素数1〜30の置換基、またはハロゲン原子を表す。L1は単結合または2価の連結基を表す。nは1〜10の整数を表す。)
(一般式(2)中、R2は水素原子、炭素数1〜30の置換基、またはハロゲン原子を表す。Yは炭素数2〜30のカルボン酸エステル基を有する基を表す。)
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