JP2009168776A - 架装チューブ内の試料液の攪拌方法と試料液の破砕方法 - Google Patents

架装チューブ内の試料液の攪拌方法と試料液の破砕方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、強弱の調整が容易でビーズ破砕用としても適用することのできるチューブ内試料液の攪拌方法を新規に提供しようとするものである。
【解決手段】 本発明は、マイクロチューブ等の容器に収めた試料や試薬の効率的な攪拌および遠心による回収操作をひとつのモーターで実現するため、器体の上部に設けるチューブ架装用のローターの振とう作動を試料液を衝突させる扇形往復動の揺動形にして、該扇形往復動の幅と速さをオペレーションパネル操作による電圧の高低変化と扇形往復動のタイムの長短にて強弱に調整可能としたことを特徴とする架装チューブ内の試料液の攪拌方法または破砕方法にある。
【選択図】 図3

Description

本発明は、試料液を振とう攪拌と遠心回転によりスピンダウンさせる装置において、振とう攪拌を旋回による流れ攪拌ではなしに往復動による衝突攪拌にして強化された高速反転振とう攪拌にすること、さらには混入する破砕用の粒子を効果的に衝突させて試料液中の一部の破砕を促進する試料液の攪拌と破砕方法に関するものである。
この種の撹拌装置としては本願出願人が提案している特開2007−237036号公報の発明がある。該発明はモーター上の回転シャフトに偏心カムを設け、該回転シャフトと上部に載嵌する回転子ステージとの間に回転,旋回に切替制御する内外2つのワンウェイクラッチを設けて、該クラッチの旋回制御により該シャフトとともに試験管架装用のヘッドゴムを旋回回動させて、ヘッドゴム上の試験管内の液体を攪拌し、回転制御に切替えてヘッドゴムを回転遠心作用をさせて攪拌液体を試験管内の下方に集めてスピンダウンする撹拌,スピンダウンの切替装置を記載している。
特開2007−237036号公報
しかしながら、上記公報の発明は、偏心カムの外出による回転シャフトの旋回により試料液を流れ攪拌するにとどまるので、攪拌能力が弱く、従って所期の攪拌成果が得られないという課題があった。
また旋回による一方向の流れによって試料液中に破砕用のビーズを混入しても相互に流れるだけで衝突によるビーズ破砕が行われないという課題があった。
本発明は、器体の上部に設けるローターを回転と振とうに切替えるようにした試料液の撹拌装置において、振とう攪拌を従来にない扇形往復動による衝突攪拌,衝突破砕の高速反転振とう方式にして、しかも扇形往復動の幅と速さをオペレーションパネル操作による電圧の高低変化と往復動のタイムを長短することで広範囲において強弱調整を可能にして、かかる課題を解決するようにしたのである。
本発明は、ローターに架装するチューブ内試料液の振とう作動を一定角内を往復動する扇形往復動により衝突が反複する高速反転振とう方式にしたので、試料液の攪拌,破砕が著しく強化されて短時間にて所期の成果が得られるという効果を生ずる。扇形往復動の幅と速さを調整することで強さを自由に選ぶことができるという効果を生ずる。
振とうの強弱調整はオペレーションパネルの操作にて電圧の高低変化と扇形往復動のタイムを長短することで広範囲に亘って簡易に行うことができるという効果を生ずる。
扇形往復動する一定角の区間を周回方向に徐々にずらすことで、扇形往復動が一部区間だけで繰返される際のかたより損耗を防止することができるという効果を生ずる。
本発明は、器体の上部に設けるマイクロチューブ架装用のローターを回転と振とう作動に切替えるようにしたチューブ内試料液の撹拌装置において、該ローターの振とう作動を試料液を衝突させる扇形往復動の揺動形にして、該扇形往復動の幅と速さをオペレーションパネル操作による電圧の高低変化と扇形往復動のタイムの長短にて強弱に調整可能とするのである。
扇形往復動の往と復のタイムにわずかづつ時間差を設けることで、扇形往復動する区間を周回方向に徐々にずれ動くようにして、一部区間での扇形往復動の連続によるかたより損耗を防止する。
器体1内の中心部に上向きに設けるブラシレスDCモーター2より上方に伸びる回転軸2aの上端に試料液Sを収容するマイクロチューブTを放射状に架装するローター3を水平取付け、該ローター3を器体1の前面のオペレーションパネル4の操作により遠心用の回転作動と振とう用の扇形往復動とに切替えることができるようにする。オペレーションパネル4は、回転遠心(centrifuge)と扇形往復動(Mixing)による振とうに切替えるモード切替スイッチのほか、電圧を高低して回転または扇形往復動の速度調整をするためのボリュームスイッチまたは電圧入力部、扇形往復動時の往復のタイムを長短調整するタイム入力部および装置の作動時間を設定する入力部を備えている。5は器体カバーである。
図2はローター3を扇形往復動に切替えて作動させる際のモーター2の駆動回路の1例を示すもので、図2(a)に示すように、入力されたタイムに従って動作する電子回路により、スイッチをすべてOFFにした状態からAとDのスイッチをONするとモーター2は正回転(往動)し、図2(b)に示すようにBとCのスイッチをONすると逆回転(復動)することとなる。全スイッチのOFF状態より(1)AとDスイッチのON、(2)AとDスイッチのOFF、(3)BとCスイッチのON、(4)BとCスイッチのOFFまでの(1)〜(4)をタイム設定に従って繰返すことにより回転軸2aを経てローター3と架装チューブTを図3に示すように一定区間内を扇形往復動させることとなる。
チューブTをローター3に架装して試料液Sを攪拌するときはオペレーションパネル4のモード切替スイッチにより扇形往復動を選択し、さらに電圧の高低と往復のタイム設定をする。
一定の電圧のもとで扇形往復のタイムを長くすれば幅は長く大きな振とうとなり、タイムを短くすれば幅の短い小さな振とうとなる。またタイムを一定にしておいて、電圧を高くすれば回転速度が速くなることで扇形往復幅は大きくなり、電圧を低くすれば回転速度が遅くなる分において幅は短くなる。このような電圧とタイムの設定を適宜に組合わせることで、ローター3の扇形往復動の幅と速度を、大きく速く/大きくゆっくり〜小さく速く/小さくゆっくりまで無段階または段階的に設定し得て、攪拌能力の強弱を試料液Sの内容に適応させて所望の強さに調整することができることとなる。なお扇形往復幅は大きくしすぎると試料液Sが衝突揺動しない一方向への移動が長くなって攪拌作用が低下するので、回転速度は100〜2600r/minの範囲、反転するタイムは10ms〜200msの範囲にして、中心角度は微細に振るえる角度〜90度程度の範囲内にとどまるようにすることが適格である。
攪拌終了後はローター3を回転遠心のモードに切替えて、攪拌によってチューブTの内壁,蓋に付着した試料液SをスピンダウンしてチューブTの底側にすべて落とし集めするのである。
次に試料液Sに混入したビーズの衝突により試料液Sの一部分子である菌体をビーズ破砕する例について説明する。
大腸菌,酵母等の破砕を目的とする菌体を培養した試料液SをチューブT内に充填してローター3に架装し、先づ試料液中の菌体を濃縮するために遠心用の回転遠心のモードを選択し、菌体を遠心沈殿させて濃縮する。
菌体が濃縮された試料液Sを少量に再懸濁し、その試料液S内に図4に示すように破砕材として0.2乃至0.6mm径のマグネット製,ガラス製,ジルコニアシリカ製などのビーズ6を数百個混入してからローター3に再架装し、扇形往復動のモードに切替えて破砕作動を開始するのである。事前に菌体を高密度に濃縮していることと、扇形往復動の反転時に繰返されるビーズ6の激しい衝突,挟圧等によって菌体は短時間にて所望の状態に破砕することができるものとなる。次表は酵母の破砕試験の結果を表したもので、破砕開始後約2分で80%以上の菌体の破砕が認められ、ビーズ破砕専用機の能力に匹敵する破砕効率が得られた。このようにして本発明によれば濃縮のための回転遠心と破砕のための扇形往復動とを1台の装置のモード切替によって能率よく行えるものとなる。
Figure 2009168776
図5は扇形往復動の往路と復路のタイムをわずかづつずらして設定したときの作動例を示すものである。例えば往路のタイムを50ms(t1)とした場合に、復路のタイムを49ms(t2)とわずかに短く設定すると、この時間差によって復路の扇形幅w1が往路の扇形幅w2より短くなることによって、扇形往復する区間位置が往路の周回方向に徐々にずれ動いてゆくようにしたのである。かくすることにより数百回から数万回も繰返される扇形往復動によって生じ勝ちなモーター回転軸2a等のかたより損耗を防止することができることとなる。往路と復路のタイムを各別に入力するかわりに、往路のタイムを入力すると自動的に復路のタイムをわずかに短く設定するようにプログラミングすることもできる。なお図面では理解しやすいようにずれ動き位置を大きく示しているが、実際にはほんのわずかづつのずれ動きである。
本発明は、回転遠心と強弱調整自在な衝突攪拌に加えてビーズ破砕も行うことのできる架装チューブ内の試料液の攪拌方法・破砕方法として理化学試験の分野で広く利用することができるものである。
(a)は本発明の実施例装置の1例を示す側断面図、(b)は同、平面図 モーターの作動回路の1例を示すもので、(a)は正回転(往路)時、(b)は逆回転(復路)時の状態図 扇形往復動を示す説明図 破砕用のビーズを混入した状態のチューブを示す拡大断面図 扇形往復動の往路と復路に時間差を設けたときの往復区間のずれ移動を示す説明図
符号の説明
1は器体
2はブラシレスDCモーター
2aは回転軸
3はチューブ架装用のローター
4はオペレーションパネル
5は器体カバー
6はビーズ
Tはチューブ
Sは試料液

Claims (2)

  1. マイクロチューブ等の容器に収めた試料や試薬の効率的な攪拌および遠心による回収操作をひとつのモーターで実現するため、器体の上部に設けるチューブ架装用のローターの振とう作動を試料液を衝突させる扇形往復動の揺動形にして、該扇形往復動の幅と速さをオペレーションパネル操作による電圧の高低変化と扇形往復動のタイムの長短にて強弱に調整可能としたことを特徴とする架装チューブ内の試料液の攪拌方法または破砕方法。
  2. 扇形往復動の往と復のタイムをわずかづつずらして区間位置を周回方向に徐々にずれ動くようにする請求項1に記載の攪拌方法または破砕方法。
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