JP2009168659A - 検出回路、物理量測定装置、ジャイロセンセおよび電子機器 - Google Patents

検出回路、物理量測定装置、ジャイロセンセおよび電子機器 Download PDF

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正博 金井
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Abstract

【課題】 検出回路の出力信号のオフセット電圧を高精度にキャンセルすると共に、検出回路のS/Nを改善すること。
【解決手段】 検出回路900は、パルス幅が調整されたオフセット補償パルスMPを生成するオフセット補償パルス生成回路650と、オフセット補償パルスMPが重畳された交流信号Vinを、参照信号SDETに基づいて同期検波する同期検波回路600と、を有する。オフセット補償パルスMPのパルス高さは一定であり、かつ、パルス幅は、例えば、デジタル回路によって高精度に調整される。オフセット補償パルスMPは、例えば、同期検波回路600の正転経路に重畳される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、検出回路、物理量測定装置、ジャイロセンセおよび電子機器等に関する。
センサからの電荷(物理量信号)を増幅し、同期検波によって不要信号(正規の物理量信号と位相が90度ずれた信号)を除去し、同期検波後の信号を平滑回路(ローパスフィルタ)で平滑して直流電圧に変換し、直流電圧信号を増幅して出力する検出回路は、例えば、特許文献1に記載されている。
無入力状態では、検出回路の検出出力(直流電圧)のレベルは、基準電圧(信号経路の直流バイアス電圧)に一致するはずであるが、実際は、検出出力のレベルは、基準電圧とは異なる。実際の検出出力と基準電圧との差電圧はオセット電圧と呼ばれる。すなわち、実際の検出出力は、基準電圧にオフセット電圧が重畳された電圧となる。オフセット電が生じる原因には種々のものがある。例えば、不要な漏れ信号や、無入力時のトランジスタのリーク電流等がオフセット電圧の原因となる。
オフセット電圧が存在すると、センサからの信号が無いにもかかわらず、検出回路によって信号が検出される結果となり、測定誤差が生じる。特に、センサからの入力信号(電荷)が微小な場合は、検出精度を向上させるためには、オフセット電圧の低減が必須となる。
従来、オフセット電圧をキャンセルするために、オフセットキャンセル電圧(基準電圧に対する電位差がオフセット電圧と同じであり、かつ、極性が異なる電圧)を、検出回路の信号経路に重畳(加算)する方法が採用されている。
特許文献1の技術では、オフセットキャンセル電圧を、同期検波回路の入力信号(被同期検波信号)に重畳し、そのオフセットキャンセル電圧が重畳された被同期検波信号を同期検波するという手法が採用されている。検出回路では、交流信号を直流信号に変換すると信号振幅が低下するため、直流信号を、増幅率が大きな増幅器で増幅して出力するのが一般的である。ここで、オフセットキャンセル電圧を同期検波後の信号に重畳すると、高増幅率の増幅器の1/fノイズに起因してS/Nが低下する。よって、特許文献1では、交流信号を直流信号に変換するとき(つまり、同期検波のとき)にオフセットキャンセル電圧を重畳するようにしている。
また、特許文献1の技術では、オフセットキャンセル電圧は、D/A変換器を用いて作成される。
WO2005/068939号公報
特許文献1のように、オフセットキャンセル電圧をD/A変換器を用いて生成する場合、D/A変換器による電圧発生時にノイズが生じ、そのノイズがオフセットキャンセル電圧に重畳される。このノイズは、検出回路のS/Nの低下の一因となる。したがって、オフセットキャンセル電圧の生成時のノイズを低減できれば、検出回路の検出感度を、さらに向上させることが可能となる。
本発明は、上述の考察に基づいてなされたものである。本発明の幾つかの実施態様によれば、例えば、パルス幅が調整された補正パルスを用いて、ノイズを低減しつつ、高精度のオフセットキャンセルを実現することができる。
(1)本発明の検出回路の一態様は、パルス幅が調整されたオフセット補償パルスを生成するオフセット補償パルス生成回路と、前記オフセット補償パルスが重畳された交流信号を、参照信号に基づいて同期検波する同期検波回路と、を有する。
パルス幅が調整された、正極性のオフセット補償パルスを加算することによって、検出回路の出力信号(同期検波後の直流電圧信号)に重畳される負極性のオフセット電圧をキャンセルすることができる。同様に、負極性のオフセット補償パルスを加算することによって、正極性のオフセット電圧をキャンセルすることもできる。オフセット補償パルスはパルス高さが一定(例えば、電源電位)であり、かつパルス幅が可変のパルスである。パルス高さが一定であるため、D/A変換器等によって所望レベルの電圧を生成する場合のような、電圧生成時のノイズが生じにくい。また、パルス幅の制御は、例えば、デジタル的な制御によれば、きわめて高精度に(例えば、ナノ秒単位で)行うことができる。また、同期検波回路によって交流信号(入力信号)を直流信号に変換するときに、オフセット補償パルスを重畳する。同期検波回路には、高増幅率のアンプが設けられないため、1/fノイズを低く抑えることができる。よって、本態様によれば、ノイズを低減しつつ、高精度なオフセットキャンセルを実現することができる。なお、信号のパルス幅とは、一般に、その信号が、基準電位から信号振幅の50%まで立ち上がる時点から、信号振幅の50%に立ち下がる時点までの時間幅をいう。
(2)本発明の検出回路の他の態様は、前記オフセット補償パルスのパルス高さは、前記検出回路における信号経路の直流基準電位と、電源電位との電位差によって決定される。
例えば、オフセット補償パルスの最大電圧値は、高レベル電源電位(VDD)である。高レベル電源電位(VDD)は、変動が極めて少なく、常に安定している。よって、D/A変換器等によって所望レベルの電圧を生成する場合のような、電圧生成時のノイズが生じない。
(3)本発明の検出回路の他の態様では、前記同期検波回路は、前記交流信号の電圧レベルを反転することなく伝達する第1の信号経路と、前記第1の信号経路に設けられる、前記参照信号によってオン/オフが制御される第1のスイッチと、前記交流信号の電圧レベルを反転した信号を伝達する第2の信号経路と、前記第2の信号経路に設けられ、かつ、前記参照信号に基づいて生成される、前記参照信号とは位相が180度異なる信号によってオン/オフが制御される第2のスイッチと、を有し、前記オフセット補償パルスは、前記同期検波回路の前記第1の信号経路に重畳される。
同期検波回路は、入力信号のレベルを反転せずに伝達する第1の信号経路(正転経路)と、反転アンプによって反転して伝達する第2の信号経路(反転経路)とを有する。オフセット補償パルスを第2の信号経路に重畳する場合、反転アンプの出力電圧のダイナミックレンジは、オフセットパルスに相当する電圧分だけ従来よりも広くとる必要があり、回路設計上の負担となる場合がある。そこで、本態様では、反転アンプが設けられない正転経路にオフセット補償パルスを入力する。
(4)本発明の検出回路の他の態様は、時間軸上において、半周期分の前記交流信号が、前記検出回路における信号経路の直流基準電位と交差する2点の各々を第1のゼロクロス点および第2のゼロクロス点とし、前記第1および第2のゼロクロス点で決まる時間幅を2等分した点を中点とし、前記第1のゼロクロス点から前記中点までの期間を第1の期間とし、前記中点から前記第2のゼロクロス点までの期間を第2の期間とし、かつ、前記オフセット補償パルスのパルス幅が前記交流信号の1/4周期未満である場合に、前記オフセット補償パルスを、前記第1の期間と前記第2の期間にまたがらないことを条件として、前記第1および第2の期間の少なくとも一方において重畳する。
時間軸上において、オフセット補償パルスの重畳する箇所を選ぶことによって、オフセット補償パルスによるオフセット補償の精度を高めることができる。すなわち、オフセット補償パルスを加算した後の電圧は、交流信号の面積と、交流信号と重ならない部分のオフセット補償パルスの面積と、によって決定される。つまり、交流信号と重なる部分が多くなるほど、オフセット補償パルスの加算による効果は減少する。よって、交流信号と重なる部分が少なくなるように、オフセット補償パルスを加算する。例えば、半周期分の交流信号を考える。前半の期間を第1の期間とし、後半を第2の期間とする。この場合、オフセット補償パルスは、第1の期間と第2の期間にまたがらない期間において加算する。例えば、交流信号の振幅が小さい期間において、オフセット補償パルスを重畳する。オフセット補償パルスのパルス幅が交流信号の1/4周期未満である場合に、オフセット補償パルスを、第1の期間と第2の期間にまたがらないことを条件として、第1および第2の期間の少なくとも一方において重畳するのが好ましい。
(5)本発明の検出回路の他の態様は、前記オフセット補償パルスは、前記第1の期間中の、前記第1のゼロクロス点を含む期間、または、前記第2の期間中の、前記第2のゼロクロス点を含む期間において、前記交流信号に重畳される。
交流信号との重複部分を最小化するためには、オフセット補償パルスは、第1の期間中の第1のゼロクロス点を含む期間、または、第2の期間中の第2のゼロクロス点を含む期間において重畳するのが好ましい。例えば、第1の期間においてオフセット補償パルスを加算する場合、オフセット補償パルスは、第1のゼロクロス点から開始される。また、第2の期間においてオフセット補償パルスを加算する場合、オフセット補償パルスは、第2のゼロクロス点において終端する。
(6)本発明の検出回路の他の態様では、前記オフセット補償パルス生成回路は、前記参照信号に基づいて、前記交流信号の半周期よりも短いパルス幅をもち、かつ、前記交流信号の周期と同一の周期をもつ第1のパルス信号を生成するパルス幅調整回路と、時間軸上において、前記第1のパルス信号の前記パルス幅の中点が、前記参照信号のパルス幅の中点に一致するように、前記第1のパルス信号の位相を調整し、これによって第2のパルス信号を生成する位相調整回路と、前記参照信号と前記第2のパルス信号とを入力とし、前記参照信号と前記第2のパルス信号の各々の信号レベルが一致しない期間において、第3および第4のパルス信号を生成するゲート回路と、を有し、前記第3および第4のパルス信号の少なくとも一方に基づいて、前記オフセット補償パルスを生成する。
オフセット補償パルスの生成回路の構成の一例を明確化したものである。本態様では、同期検波用の参照信号に基づいて、半周期よりも短いパルス幅をもつ第1のパルス信号を生成し、位相調整をして第2のパルス信号を生成し、その位相調整後の第2のパルス信号と参照信号の各々をゲート回路に入力し、これによって、第3および第4のパルスを形成し、第3および第4のパルス信号に基づいて、所望のタイミングでオフセット補償パルスを生成する。
(7)本発明の検出回路の他の態様では、前記パルス幅調整回路はデジタル回路により構成され、スイッチのオン/オフの制御によって、信号経路に設けられる遅延要素の数を変化させ、これによって前記パルス幅調回路の前記出力信号のパルス幅を調整する。
デジタル制御であるため、パルス幅を高精度に調整することができる。よって、オフセットキャンセルを高精度に行うことができる。また、アナログ信号の検出回路内にデジタル回路を設けるということは、ICの製造プロセスとして、アナログ/デジタル混在ICの製造プロセスが使用されることを意味する。よって、例えば、検出回路において、例えば、同期検波回路の後段にA/D変換器(デジタル回路)を設けるような場合にも、用意に対応できるという利点がある。
(8)本発明の検出回路の他の態様では、前記パルス幅調整回路はラッチ回路により構成され、前記ラッチ回路は、前記ラッチ回路の正帰還経路に設けられる第1〜第n(nは2以上の整数)の遅延要素と、第k(1≦k≦n)の前記遅延要素の両端をバイパスする第1〜第i(1≦i≦n)のバイパススイッチと、を有し、前記第1〜第iのバイパススイッチのオン/オフを個別に制御することによって、前記第1〜第nの遅延要素による遅延量を変化させ、これによって前記パルス幅調回路の前記出力信号のパルス幅を調整する。
ラッチ(フリップフロップ)の正帰還ループに設けられる遅延要素(例えばインバータ)の実質的な段数を、バイパススイッチを用いて変化させることによって、ラッチから出力されるパルスのエッジ(ポジティブエッジあるいはネガティブエッジ)のタイミングを制御することができる。したがって、ラッチから出力される信号のパルス幅を調整することができる。
(9)本発明の検出回路の他の態様では、前記オフセット補償パルス生成回路の動作制御のための調整データを格納しているメモリ回路を有する。
検出回路内に、オフセットキャンセルための調整データを格納しているメモリ回路(例えば、EPROM等の不揮発性メモリ)を設ける。これによって、例えば、ルックアップテーブル方式を用いて、オフセット電圧のキャンセル処理を自動化することができる。すなわち、例えば、検出回路を含むIC(集積回路)の出荷時において、ICメーカの作業員が、そのICの出力信号の直流オフセット電圧を測定し、そのオフセット電圧をキャンセルするために、補正信号をICに入力する。補正信号によって、メモリ回路がアクセスされ、メモリ回路に内蔵される調整テーブルから調整データが出力され、その調整データによって、オフセット補償パルス生成回路の動作が自動的に決定される。よって、オフセットキャンセル処理が自動化され、作業員の負担が軽減される。
(10)本発明の物理量測定装置の一態様は、測定対象である物理量信号が入力される、前記検出回路を有する。
これによって、微小な物理量信号に基づいて、物理量を、極めて高感度で測定することができる物理量測定装置が実現される。
(11)本発明の物理量測定装置の他の態様では、前記物理量信号は、センサとしての振動子から出力され、前記物理量測定装置は、さらに、前記振動子と共に発振ループを形成し、前記振動子に駆動振動を励振するための発振駆動回路を有し、前記発振駆動回路は前記参照信号を生成して、前記検出回路に供給する。
物理量測定装置に含まれる検出回路は、センサ(物理量トランスデューサ)として機能する振動子からの信号に基づいて物理量(角速度や加速度等)を検出する。振動子は、物理量測定装置に含まれる発振駆動回路によって励振される。発振駆動回路は同期検波用の参照信号を生成し、その参照信号を検出回路に供給する。物理量測定装置は、例えば、一つのICで構成することができる。本態様によって、振動子からの信号に基づいて、物理量を高精度(高感度)で検出することができる物理量測定装置が実現される。
(12)本発明のジャイロセンサは、本発明の物理量測定装置と、前記物理量信号を出力する前記振動子と、を有する。
本態様によって、振動子からの信号に基づいて、物理量を高精度(高感度)で検出することができるジャイロセンサが実現される。
(13)本発明の電子機器の一態様では、電子機器は前記物理量測定装置を有する。
本態様の電子機器では、物理量測定装置による測定結果に基づいて、例えば、電子機器の動作を制御したり、あるいは、測定結果を表示したりすることができる。高精度の物理量測定が実現されるため、電子機器の性能も向上する。
(14)本発明の電子機器の他の態様では、電子機器は前記ジャイロセンサを有する。
本態様の電子機器では、ジャイロセンサによるセンサ出力に基づいて、例えば、電子機器の動作を制御したり、あるいは、測定結果を表示したりすることができる。高精度のサンサ出力が得られるため、電子機器の性能も向上する。
このように、本発明によれば、パルス幅が調整されたオフセット補償パルス(補正パルス)を用いて、1/fノイズを低減しつつ、高精度のオフセットキャンセルを実現することができる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(第1の実施形態)
まず、オフセット補償パルスを用いたオフセット電圧キャンセルの概要を説明する。
(オフセット補償パルスを用いたオフセット電圧キャンセルの概要)
図1(A)および図1(B)は、オフセット補償パルスの重畳によって、同期検波回路の検波出力のオフセット電圧をキャンセルする原理を説明するための図である。
図1(A)において、入力信号をVinとする。Vin1は、参照信号SDETと同相の成分の信号であり、Vin2は、参照信号SDETと90度位相がずれた成分(直交成分)の信号である。Vin1およびVin2は、同期検波回路600によって同期検波される。同期検波回路600は、参照信号SDETを用いて入力信号Vin1およびVin2を同期検波する。この結果、検波信号Vout1およびVout2が得られる。検波信号Vout1およびVout2は、平滑回路として機能するローパスフィルタ(LPF)700によって直流信号に変換される。その結果、検波出力(直流)VTが得られる。
また、図1(A)の同期検波回路600は、入力信号のレベルを反転せずに伝達する第1の信号経路(以下、正転経路という)と、反転アンプによって反転して伝達する第2の信号経路(以下、反転経路という)とを有する。正転経路には、抵抗R3と、第1のスイッチSW1とが設けられる。反転経路には、反転アンプ(入力抵抗R1と、オペアンプOP1と、帰還抵抗R2とにより構成される)と、第2のスイッチSW2と、を有する。
第1および第2のスイッチ(SW1,SW2)は、例えばNMOSトランジスタで構成される。第1のスイッチSW1は、参照信号SDETによってオン/オフされる。第2のスイッチSW2は、参照信号SDETをインバータINV1でレベル反転した信号/SDETによってオン/オフ駆動される。
また、図1(A)の同期検波回路600では、検出出力VTに重畳されるオフセット電圧(Voff)をキャンセルするために、同期検波前の信号に、オフセット電圧とは逆極性のオフセット補償パルスMPを加算する。第3のスイッチSW3がオンした状態のとき、オフセット補償パルスMPが、抵抗R4を経由して正転経路のノードXに重畳される。オフセット補償パルスMPは、反転経路に重畳することも可能である。但し、オフセット補償パルスMPを反転経路に重畳する場合、反転アンプの出力電圧のダイナミックレンジは、オフセットパルスに相当する電圧分だけ従来よりも広くとる必要があり、回路設計上の負担となる場合がある。そこで、本実施形態では、反転アンプが設けられない正転経路にオフセット補償パルスMPを入力する。正転経路にオフセット補償パルスを重畳するときは、反転経路に重畳する場合のような制限が生じず、回路設計が容易となる。
図1(B)の(1)〜(5)は、同期検波の原理を示している。図1(B)の(1)のように、参照信号SDETの周期はTであり、半周期(T/2)をTP1と表記する。図1(B)の(2)に示すように、入力信号Vin1は、AGND(直流基準電圧(直流バイアス電圧))を基準として振動する正弦波(あるいは余弦波)であり、参照信号SDETに同期している。
なお、AGNDは、同期検波回路600の信号経路の直流基準電圧(直流バイアス電圧)であり、例えば、VDD/2(VDD:高レベル電源電位)に設定される。以下の説明では、AGNDを、アナロググランドと称する場合がある。以下の説明では、「正極性」および「負極性」という用語を使用するが、正極性であるか負極性であるかは、AGNDを基準に判断する。
入力信号Vin1が同期検波されると、図1(B)の(3)に示すように、Vin1を全波整流した波形をもつ検波信号Vout1が得られる。このVout1をローパスフィルタ(LPF)700で平滑すると、図1(B)の(3)の右側に示すように、例えば、検波出力VT1(図中、実線で示される)が得られる。この検波出力VT1は、AGNDとの電位差がΔV1である直流信号である。
この検波出力VT1は、負極性のオフセット電圧Voffの影響を受けており、その電圧値は正確ではない。すなわち、負極性のオフセット電圧Voffがないとすれば、実際には、検波出力はVT2(図中、点線で示される:VT2>VT1)となるはずである。しかし、実際には、負極性のオフセット電圧Voffが重畳される結果、検出出力はVT1(=VT2−Voff)となってしまう。
一方、入力信号Vin2を同期検波して得られる検波信号Vout2は、図1(B)の(5)のような波形となる。この波形は、AGNDを基準として正極性の部分と負極性の部分の面積が同じである。よって、ローパスフィルタ(LPF)700によって平滑すると、正極性の部分と負極性の部分が相殺され、検波出力のレベルはAGND(つまり無信号)となる。よって、参照信号SDETに同期するVin1のみを選択的に検波することができる。以上が一般的な同期検波の原理である。
図1(B)の(6)〜(10)は、本実施形態におけるオフセット電圧のキャンセル方法の概要を示している。本実施形態では、負極性のオフセット電圧をキャンセルするために、正極性のオフセット補償パルスMPを生成し、このオフセット補償パルスを同期検波前の信号に重畳する。
図1(B)の(6)に示される参照信号SDETに基づいて、パルス幅がT/2(=TP1)よりも小さい、パルス幅が調整された参照信号SDET(M)が作成される。次に、SDETと、SDET(M)とのノア(否定論理和)をとる。これによって、図1(B)の(8)に示されるように、オフセット補償パルスMPが得られる。ここで、例えば、時刻t1〜t4の期間に着目する。オフセット補償パルスMPは、時刻t1〜t2の期間、ならびに、時刻t3〜t4の期間に得られる。時刻t1〜t2の期間に対応したパルスを第1のオフセット補償パルスとし、時刻t3〜t4の期間に対応したパルスを第2のオフセット補償パルスとする。オフセット補償パルスMPのパルス幅は,SDET(M)のパルス幅を変化させることによって、自在に調整することができる。
本実施形態では、第2のオフセット補償パルスのみを、上述した正転の信号経路に重畳する。このことは、図1(B)の(9)に示すように、検波信号Vout1に、オフセット補償パルスMP(ここでは第2のオフセット補償パルス)を加算したことを意味する。オフセット補償パルスMPの加算によって、検波出力の電圧レベルが上昇する。その上昇する電圧が、負極性のオフセット電圧Voffに一致するように、例えば、図1(B)の(7)に示される参照信号SDET(M)のパルス幅を調整する。これによって、オフセット電圧は除去される。この場合、図1(B)の(9)の右側に示すように、検波出力はVT2(=ΔV1+Voff)となる。すなわち、オフセット電圧が除去され、本来の正確な検波出力(VT2)が得られる。
(オフセット補償パルスの加算態様について)
図2(A)〜図2(E)は、オフセット補償パルスの加算方法の好ましい態様を説明するための図である。
図2(A)において、入力信号(交流信号)Vin1が、基準電位AGNDと交差するA点,B点ならびにD点をゼロクロス点とする。ここでは、A点からB点までの期間に着目する。
A点を第1のゼロクロス点とし、B点を第2のゼロクロス点とする。A点とB点により定まる線分の中点をC点とする。A点とC点に挟まれる期間(前半の期間)T1が第1の期間である。また、B点とC点に挟まれた期間(後半の期間)T2が第2の期間である。また、図1(A)において、“Z1”は交流信号の第1の領域を表し、“Z2”は第2の領域を表す。
オフセット補償パルスをどの期間において加算するかは、オフセット補償の精度を高める上で重要である。つまり、オフセット補償パルスが重畳された交流信号をローパスフィルタによって平滑した場合、その電圧レベルは、交流信号の面積(すなわち、正弦波とAGNDによって囲まれた部分の面積)と、オフセット補償パルスの、交流信号と重複しない部分の面積と、によって定まる。つまり、オフセット補償パルスと交流信号とが重複する部分は、検波出力の電圧を変化させることに寄与しない無効部分である。よって、オフセット補償パルスによって、同期検波出力の電圧を、できるだけ正確に調整しようとする場合、交流信号と重複する無効部分を少なくすることが重要となる。
つまり、オフセット補償パルスと交流信号とが重ならない部分が、オフセットキャンセルに有効な部分であり、できるだけこの有効部分の面積が大きくなるように、オフセット補償パルスを交流信号に加算することが好ましい。
したがって、交流信号の振幅が小さい期間において、オフセット補償パルスと交流信号との重複ができるだけ少なくなるように、オフセット補償パルスを交流信号に加算するのが好ましい。
したがって、オフセット補償パルスの加算方法としては、図2(B)〜図2(D)の態様が好ましく、図2(E)の態様は、好ましいとはいえない。但し、図2(E)の態様が本発明から排除されるものではなく、何らかの理由により、図2(E)の態様を利用する場合もあり得る。
なお、図2(B)〜図2(E)の各々において使用されるオフセット補償パルスの、パルス高さはVDD(高レベル電源電位)であり、パルス幅はW(W<T/4)である。
図2(E)の態様では、オフセット補償パルスMP3が、第1の領域Z1と第2の領域Z2(期間T1および期間T2)にまたがる態様で重畳される。この場合、オフセット補償パルスMP3と交流信号との重複部分が大きくなり、有効部分の面積(図2(E)において斜線で示される部分)の面積が小さくなってしまう。
一方、図2(B)では、オフセット補償パルスMP1は、期間T1の内の、交流信号の振幅が小さい期間において重畳されている。つまり、オフセット補償パルスMP1のパルス幅はT/4より小さく、そして、期間T1と期間T2(第1の領域Z1および第2の領域Z2)にまたがらないように重畳される。好ましくは、期間T1において、オフセット補償パルスMP1の左側のエッジが、第1のゼロクロス点であるA点上に位置するように、オフセット補償パルスを重畳するのがよい。すなわち、期間T1の、第1のゼロクロス点Aを含む期間にオフセット補償パルスMP1を加算(重畳)するのが望ましい。この場合、オフセット補償パルスMP1は、第1のゼロクロス点Aから開始されることになる。
これによって、オフセット補償パルスMP1の有効部分(図2(B)において斜線で示される部分)の面積が大きくなり、オフセット補償パルスMP1によって、正確に直流オフセットをキャンセルすることができる。
図2(C)では、オフセット補償パルスMP2は、期間T2の内の、交流信号の振幅が小さい期間において重畳されている。つまり、オフセット補償パルスMP2のパルス幅はT/4より小さく、そして、期間T1と期間T2(第1の領域Z1および第2の領域Z2)にまたがらないように重畳される。好ましくは、期間T2において、オフセット補償パルスMP2の右側のエッジが、第2のゼロクロス点であるB点上に位置するように、オフセット補償パルスMP2を重畳するのがよい。すなわち、期間T2の、第2のゼロクロス点Bを含む期間にオフセット補償パルスMP2を加算(重畳)するのが望ましい。この場合、オフセット補償パルスMP2は、第2のゼロクロス点Bにおいて終端することになる。これによって、オフセット補償パルスMP2の有効部分(図2(C)において斜線で示される部分)の面積が大きくなり、オフセット補償パルスMP2によって、正確に直流オフセットをキャンセルすることができる。
また、負極性のオフセット電圧Voffが大きい場合、そのオフセット電圧を補償するためには、オフセット補償パルスの実質的なパルス幅を大きくしなければならない。このような場合は、図2(D)に示すように、2つのオフセット補償パルスMP1,MP2の双方を交流信号に加算する。この場合も、図2(B),図2(C)の場合と同様の条件の下で、2つのオフセット補償パルスMP1,MP2の各々を交流信号に加算するのが好ましい。
(検出回路を含むICの構成例)
図3は、検出回路を含む物理量測定装置(IC)の構成の一例を示す図である。物理量測定装置(IC)100は、物理量信号Vinに含まれる、参照信号SDETに同期した信号成分のみを検出する検出回路900と、参照信号生成回路200と、を有する。
検出回路900は、オフセット補償パルス生成回路650と、同期検波回路600と、ローパスフィルタ(LPF)700と、調整テーブル302を内蔵するROM(例えばEEPROM)301と、を有する。なお、必要に応じて、ローパスフィルタ(LPF)700の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を設けることもできる。
同期検波回路600は、パルス幅調整回路410と、位相調整回路500と、90°移相器409と、ノアゲートNOR10と、パルス選択用スイッチSW4(NMOSトランジスタMN2で構成される)と、オフセット補償パルスMPを出力するオフセット補償パルス生成用スイッチSW3(ドレインが高レベル電源電位VDDに接続されたNMOSトランジスタMN1で構成される)と、パルス選択用スイッチSW4(NMOSトランジスタMN2)の動作を切り換えるための切り換えスイッチSW5と、を有する。
オフセット補償パルス生成回路650は、パルス幅調整回路410と、90°移相器409と、位相調整回路500と、ノアゲートNOR10と、パルス選択用スイッチSW4と、オフセット補償パルス生成用スイッチSW3と、切り換えスイッチSW5と、を有する。
以下、オフセット補償パルス生成回路650の動作の概要を説明する。以下の説明において、パルス信号QP1は第1のパルス信号であり、パルス信号QP2が第2のパルス信号であり,パルス信号QP10およびQP20が、第3および第4のパルス信号であり、第3および第4のパルス信号QP10,QP20の少なくとも一方に基づいて、オフセット補償パルスMPが生成される。
パルス幅調整回路410は、参照信号生成回路200から出力される同期検波用の参照信号SDET(周期T,パルス幅T/2)に基づいて、その参照信号SDETのパルス幅(T/2)よりもパルス幅が短いパルス信号QP1を生成する。なお、信号のパルス幅とは、一般に、その信号が、基準電位(例えばAGND)から信号振幅の50%まで立ち上がる時点から、信号振幅の50%に立ち下がる時点までの時間幅をいう。パルス信号QP1のパルス幅は、ROM301から出力されるパルス幅制御信号QYaによって決定される。
すなわち、調整端子PN1から調整信号QXが入力されると、その調整信号QXによって、ROM301に内蔵される調整テーブル302がアクセスされ、その結果、調整テーブル302からパルス幅制御信号QYaが出力される。ルックアップテーブル方式を用いることによって、パルス幅制御信号QYaを効率的に、かつ自動的に生成することができる。
次に、パルス信号QP1の位相が、位相調整回路500によって調整される。これによって、パルス幅ならびに位相が調整されたパルス信号QP2が生成される。位相調整回路500における位相調整量は、ROM301から出力される位相調整信号QYbによって決定される。
すなわち、調整端子PN1から調整信号QXが入力されると、その調整信号QXによって調整テーブル302がアクセスされ、その結果、調整テーブル302から位相調整信号QYbが出力される。ルックアップテーブル方式を用いることによって、位相調整信号QYbを効率的に、かつ自動的に生成することができる。
また、ノアゲートNOR10は、パルス信号QP2および参照信号SDETのノア(否定論理和)をとる。この結果として、ノアゲートNOR10からは、2つのパルス信号QP10およびQP20が出力される。
パルス選択用スイッチSW4(NMOSトランジスタMN2)は、ノアゲートNOR10から出力される2つのパルス信号QP10およびQP20のいずれか一方のみを通過させ、あるいは、2つのパルス信号QP10およびQP20の双方を通過させる。
パルス選択用スイッチSW4を構成するNMOSトランジスタMN2のゲートには、90°移相器409から出力されるパルスQP3あるいはHレベル電位(例えばVDD)のいずれかが印加される。NMOSトランジスタMN2のゲートにHレベル電位(例えばVDD)が印加される場合は、NMOSトランジスタMN2はオン状態に維持される。これによって、ノアゲートNOR10から出力される2つのパルス信号QP10およびQP20の各々は、NMOSトランジスタMN2を通過する。
一方、NMOSトランジスタMN2のゲートにパルス信号QP3が印加される場合には、パルス信号QP3がハイレベルである期間のみ、NMOSトランジスタMN2がオンし、これによって、ノアゲートNOR10から出力される2つのパルス信号QP10およびQP20のいずれか一方のみが、NMOSトランジスタMN2を通過する。
NMOSトランジスタMN2のゲートに、Hレベル電位(例えばVDD)を印加するか、あるいは、90°移相器409から出力されるパルス信号QP3を印加するかは、切り換えスイッチSW5の状態によって決まる。つまり、切り換えスイッチSW5がa端子に接続されているときは、90°移相器409から出力されるパルス信号QP3がNMOSトランジスタMN2のゲートに印加される。切り換えスイッチSW5がb端子に接続されているときは、Hレベル電位(例えばVDD)がNMOSトランジスタMN2のゲートに印加される。切り換えスイッチSW5がa端子、b端子のいずれに接続されるかは、ROM301から出力されるパルス選択制御信号によって決定される。
すなわち、調整端子PN1から調整信号QXが入力されると、その調整信号QXによって調整テーブル302がアクセスされ、その結果、調整テーブル302からパルス選択制御信号QYcが出力される。ルックアップテーブル方式を用いることによって、パルス選択制御信号QYcを効率的に、かつ自動的に生成することができる。
オフセット補償パルス生成スイッチSW3を構成するNMOSトランジスタMN1(ドレインが高レベル電源電位VDDに接続されたトランジスタ)は、ゲート電位がHレベルのとき、ソース電位がHレベル(=VDD)となり、ゲート電位がLレベルのとき、ソース電位がLレベルとなる。NMOSトランジスタMN1は、上述のパルス信号QP10,QP20の少なくとも一方によって駆動されるため、NMOSトランジスタMN1のソースからは、パルス高さがVDDであり、かつ、パルス幅が、パルス信号QP10のパルス幅またはQP20のパルス幅に一致している、オセット補償パルスMPが出力される。
オフセット補償パルスMP1は、図1を用いて説明したように、例えば、同期検波回路600の反転経路(反転アンプが設けられない経路)のノードXに重畳される。オフセット補償パルスMPは、反転経路に重畳することも可能である。但し、オフセット補償パルスMPを反転経路に重畳する場合、反転アンプの出力電圧のダイナミックレンジは、オフセットパルスに相当する電圧分だけ従来よりも広くとる必要があり、回路設計上の負担となる場合がある。そこで、本実施形態では、反転アンプが設けられない正転経路にオフセット補償パルスMPを入力する。正転経路にオフセット補償パルスを重畳するときは、反転経路に重畳する場合のような制限が生じず、回路設計が容易となる。
オフセット補償パルスMPの加算によって、同期検波出力の電圧レベルが上昇する。その上昇する電圧が、例えば負極性のオフセット電圧Voffに一致すれば、その負極性のオフセット電圧Voffはキャンセルされる。同期検波出力の電圧レベルの上昇の程度は、オフセット補償パルスMPのパルス幅によって制御可能である。そして、オフセット補償パルスMPのパルス幅は、図3のパルス幅調整回路から出力されるパルスQP1のパルス幅を調整することによって、高精度に制御可能である。
オフセット補償パルスはパルス高さが一定(例えば、VDD)であり、かつパルス幅が可変のパルスである。パルス高さが一定であるため、D/A変換器等によって所望レベルの電圧を生成する場合のような、電圧生成時のノイズが生じにくい。また、パルス幅の制御は、例えば、デジタル的な制御によれば、きわめて高精度に(例えば、ナノ秒単位で)行うことができる。また、本実施形態では、同期検波回路によって、交流の入力信号を直流信号に変換するときに、オフセット補償パルスを重畳する。同期検波回路には、高増幅率のアンプが設けられないため、1/fノイズを低く抑えることができる。よって、本実施形態によれば、ノイズを低減しつつ、高精度なオフセットキャンセルを実現することができる。
図4は、オフセット補償パルスの生成ならびに加算動作を説明するためのタイミング図である。図4の(1)に示すように、参照信号SDETは、周期Tかつパルス幅がT/2のパルス信号である。
パルス幅調整回路410は、例えば、参照信号SDETのポジティブエッジをT/4だけ遅延させて、図4の(2)に示すような、パルス幅がT/4のパルス信号QP1を生成する。また、位相調整回路500は、例えば、パルス信号QP1のポジティブエッジをT/8だけ進めて、図4の(3)に示すような、パルス幅がT/4であり、かつ、パルス幅の中点CA1が参照信号SDETのパルス幅の中点C1に一致するパルス信号QP2を生成する。
次に、ノアゲートNOR10によって、参照信号SDETと、パルス信号QP2とのノア(否定論理和)をとる。以下、時刻t20〜時刻t27の期間に着目する。その結果、参照信号SDETおよびパルス信号QP2が共にHの期間(時刻t22〜t24)において、ノアゲートNOR10の出力レベルはL(=AGND)となり、いずれか一方がH、他方がLである期間(時刻t21〜t22ならびに時刻t24〜t25)においてHレベル(例えばVDD)となる。したがって、図4の(4)に示すように、時刻t21〜t22においてパルス信号QP10が生成され、かつ、時刻t24〜t25においてパルス信号QP20が生成される。
90°移相器409からは、図4の(5)に示すようなパルス信号Q3(参照信号SDETに対してT/4だけ位相がシフトされたパルス信号)が出力される。ここでは、図3において、切り換えスイッチSW5がa端子に接続されているとする。すると、パルス信号Q3が、パルス選択用スイッチSW4を構成するNMOSトランジスタMN2のゲートに印加される。NMOSトランジスタMN2は、パルス信号QP3がHレベルの期間(時刻t20〜時刻t23)においてのみオンする。したがって、図4の(6)に示すように、パルス信号Q10のみが、パルス選択用スイッチSW4(NMOSトランジスタMN2)を通過する。一方、パルス信号Q10の伝達は阻止される。
なお、図3において、切り換えスイッチSW5がb端子に接続されているとすると、NMOSトランジスタMN2は常時、オン状態となり、よって、パルス信号Q10,Q20の双方が、NMOSトランジスタMN2を通過して伝達される。
NMOSトランジスタMN2を通過したパルス信号QP10によって、オフセット補償パルス生成用スイッチSW3を構成するNMOSトランジスタMN1のゲートが駆動される。この結果、図4の(7)に示すように、NMOSトランジスタMN1のソースからは、パルス高さがVDDであり、かつ、パルス幅が、パルス信号QP10(あるいはQP20)のパルス幅に一致している、オセット補償パルスMPが出力される。
図4の(8)および(9)に示すように、オフセット補償パルスMPが、同期検波前の入力信号(物理量信号)Vinに重畳される。
図4(9)に示されるオフセット補償パルスMPの加算の態様は、図2(B)に示した好ましい態様である。つまり、オフセット補償パルスMPは、入力信号Vinの振幅が小さい期間において加算されているため、重複部分の面積が少なく、有効部分(図4の(8)において斜線が施された部分)の面積が大きい。よって、オフセット補償パルスの加算による電圧上昇が、期待どおり正確に生じる。よって、オフセット電圧のキャンセルを高精度に行うことができる。よって、図4(10)に示すように、同期検波出力VTの電圧れレベルはVT2となる。つまり、オフセット補償パルスの加算による電圧上昇分が、負極性(AGNDを基準とする)のオフセット電圧Voffを相殺する。よって、検波回路900の検波出力から直流オフセット電圧Voffが除去される。
図4において、パルス信号QP20に基づいてオフセット補償パルスMPを生成すれば、図2(C)に示すような態様の、オフセット補償パルスの加算が実現される。また、パルス信号QP10およびQP20の双方に基づいてオフセット補償パルスMPを生成すれば、図2(D)に示すような態様の、オフセット補償パルスの加算が実現される。
(パルス幅調整回路の構成と動作)
図5は、図3に示されるパルス幅調整回路の構成の一例を示す回路図である。パルス幅調整回路410は、正帰還ループに、第1および第2の可変遅延回路110,112が設けられたラッチ回路98と、ラッチ回路98から出力される2つのパルス信号VS1,VS2のネガティブエッジA,ネガティブエッジBによってトリガされる、RSフリップフロップ413と、を有する。
パルス幅調整回路410の入力端子PT1には、例えば、同期検波用の参照信号SDETが入力される。上述のとおり、同期検波用の参照信号SDETの周期はTであり、パルス幅はT/2である。ラッチ回路98は、インバータINV10と、2つのノア回路NOR1,NOR2と、第1の可変遅延回路110および第2の可変遅延回路112と、を有する。ラッチ回路98の2つの出力端子PT2,PT3の各々からは、第1のパルス信号VS1および第2のパルス信号VS2が得られる。RSフリップフロップ413のR端子は、パルス信号VS1のネガティブエッジAによってトリガされる。また、RSフリップフロップ413のS端子は、パルス信号VS2のネガティブエッジBによってトリガされる。RSフリップフロップ413のQ端子からは、パルス幅がT/2より短くなるように調整されたパルス信号QP1が得られる。
ラッチ回路98から出力される2つのパルス信号VS1およびVS2のネガティブエッジ(A,B)のタイミングを調整できれば、RSフリップフロップ413から出力される
パルス信号QP1のポジティブエッジ(C)およびネガティブエッジ(D)のタイミングを自在に制御できる。よって、T/2の範囲内で、参照信号のパルス幅を自在に調整することができる。パルス信号VS1およびVS2のネガティブエッジ(A,B)のタイミングは、第1および第2の可変遅延回路110,112の遅延時間を調整することによって制御することができる。
図6は、図5のラッチ回路の具体的な回路構成と、その動作の制御方法を説明するための図である。図6のラッチ回路98において、第1の可変遅延回路110は、2段一組のインバータ(INV)を、複数、直列に接続して構成され、また、その2段一組のインバータの各々の両端をバイパスする複数のバイパススイッチ(SW(k)〜SW(m))が設けられている。同様に、第2の可変遅延回路110は、2段一組のインバータ(INV)を、複数、直列に接続して構成され、また、その2段一組のインバータの各々の両端をバイパスする複数のバイパススイッチ(SW(g)〜SW(n))が設けられている。
複数のバイパススイッチ(SW(k)〜SW(m),SW(g)〜SW(n))のうち、どのバイパススイッチをオンさせるかは、スイッチ制御回路305から出力されるスイッチ切換制御信号Z1によって制御される。スイッチ切換制御信号Z1のパターンは、ROM301から出力されるパルス幅制御信号QYaによって決定される。バイパススイッチの数をP個とすれば、2個のパターンが存在する。よって、2段一組のインバータ(遅延回路の構成単位となる遅延要素)の数を増やし、かつ、バイパススイッチの数も増やせば、第1および第2の可変遅延回路110,112における遅延量を、高精度に制御することができる。よって、パルス信号QP1のパルス幅を高精度に制御することができる。なお、上述の例では、2段一組のインバータ(遅延回路の構成単位となる遅延要素)毎にバイパススイッチを設けているが、これに限定されるものではない。すなわち、バイパススイッチが設けられない遅延要素があってもよい。どの遅延要素に対してバイパススイッチを設けるかは自由に決定することができる。可変遅延回路の構成を一般化すれば、以下のようになる。すなわち、可変遅延回路には、第1〜第x(xは2以上の整数)の遅延要素が設けられ、第y(1≦y≦x)の遅延要素の両端をバイパスする、第1〜第z(1≦z≦x)のバイパススイッチが設けられる。
上述のように、第1および第2の可変遅延回路110,112の遅延時間を調整することによって、パルス信号VS1およびVS2のネガティブエッジ(A,B)のタイミングを調整することができる。よって、T/2の範囲内で、参照信号のパルス幅を自在に調整することができる。
図7(A)〜図7(C)は、図5および図6の可変遅延回路付きのラッチ回路において、出力パルスのエッジタイミングを自在に制御できることを説明するための図である。図7(A)は、可変遅延回路をもたないラッチ回路を示している。図7(A)のラッチ回路の場合、入力信号(つまり、参照信号SDET)のデューティと、ラッチ回路から出力されるパルス信号(VS1,VS2)のデューティは同じである。
図7(B)では、ノア回路NOR2からノア回路NOR1に向かう帰還経路に、インバータ20(ここでは、説明の便宜上、2段のインバータとする)が構成される。2段のインバータを一組としているのは、信号のレベルが反転しないようにするためである。インバータ20による信号の遅延時間をTD1とする。図7(B)では、パルス信号VS2は、図7(A)の場合と同じである。但し、図7(B)におけるパルス信号VS1のネガティブエッジAは、パルス信号VS2のポジティブエッジ(時刻t1にハイレベルに立ち上がる)から、インバータ20による遅延時間TD1だけ遅れて生じる。つまり、インバータ20による遅延時間を可変に調整すれば、これに対応して、パルス信号VS1のネガティブエッジAのタイミングを調整することができる。
図7(C)では、ノア回路NOR1からノア回路NOR2に向かう帰還経路に、インバータ30(説明の便宜上、2段のインバータとする)が構成される。インバータ30による信号の遅延時間をTD2とする。図7(C)では、パルス信号VS1は、図7(A)の場合と同じである。但し、図7(C)におけるパルス信号VS2のネガティブエッジBは、パルス信号VS1のポジティブエッジ(時刻t2にハイレベルに立ち上がる)から、インバータ30による遅延時間TD2だけ遅れて生じる。つまり、インバータ30による遅延時間を可変に調整すれば、これに対応して、パルス信号VS2のネガティブエッジBのタイミングを調整することができる。
(位相調整回路の構成例)
図8は、図3の位相調整回路の構成例を示す回路図である。位相調整回路500は、位相調整機能付きの第1および第2の反転アンプ107を有する。反転アンプ107は、オペアンプOP1aと、帰還抵抗Raと、可変容量(例えば、可変容量ダイオードで構成される)Caと、によって構成される。可変容量Caの容量値を変化させることによって、反転アンプ107における信号の移相量を調整することができる。可変容量Caの容量値は、ROM301から出力される位相調整信号QYbによって、電気的に調整される。
(同期検波部の具体的な回路構成の例)
図9(A),図9(B)は、同期検波部の内部構成の一例を示す図である。図9(A)はシングルバランスミキサ構成、図9(B)はダブルバランスミキサ構成を示す。
図9(A)の回路は、定電流源ISE1と、入力信号Vinがゲートに印加されるNMOSトランジスタTEB30と、参照信号SDETおよび/SDETの各々がゲートに印加されるNMOSトランジスタTEB10,TEB20と、負荷回路ZL1,ZL2と、定電流源IS2と、オフセット補償パルスMPが印加されるNMOSトランジスタMQと、を有する。
図9(A)において、NMOSトランジスタTEB10が、図1(a)の第1のスイッチに相当する。また、NMOSトランジスタTEB20が、図1(a)の第2のスイッチSW2に相当する。また、NMOSトランジスタTEB20および負荷回路ZL2が、図1(a)の反転アンプに相当する。また、NMOSトランジスタTEB10および負荷回路ZL1で構成される経路(差動アンプの左側の経路が図1(a)の正転経路に相当する。また、NMOSトランジスタTEB20および負荷回路ZL2で構成される経路(差動アンプの右側の経路)が、図1(a)の反転経路に相当する。
図9(B)の回路は、定電流源ISEと、入力信号Vin,/Vinの各々がゲートに印加されるNMOSトランジスタTEB5,TEB6と、参照信号SDETがゲートに印加されるNMOSトランジスタTEB1,TEB3と、参照信号/SDETがゲートに印加されるNMOSトランジスタTEB2,TEB4と、負荷回路ZL1,ZL2と、定電流源IS2と、オフセット補償パルスMPが印加されるNMOSトランジスタMQと、を有する。
図9(B)の回路は、差動増幅動作を行うため、増幅率が高まり、出力信号の振幅が2倍となるという利点がある。
(第2の実施形態)
本実施形態では、物理量測定装置(IC)を用いたジャイロセンサについて説明する。物理量測定装置(IC)には、例えば、物理量トランスデューサとしての水晶振動子が接続される。
ジャイロセンサには、物体に働く力の検出方法によって回転型や振動型等がある。中でも、振動型ジャイロセンサは、構成部品等の観点から小型化や低コスト化に有利とされている。物体に働く角速度を検出する振動型ジャイロセンサには、信頼性や小型化に有利な水晶や圧電素子を励振する圧電振動型ジャイロセンサがある。圧電振動型ジャイロセンサは、振動している物体に角速度が加わると、その振動と直角方向にコリオリ力が生じることを利用している。
例えば、角速度を検出する振動型ジャイロセンサでは、物理量トランスデューサ(振動子)に一定方向の駆動振動が励振される。この振動子に角速度が加わると、駆動振動と垂直な方向にコリオリ力が生じ、これによって検出振動が生じる。検出振動は駆動振動に直交する方向に生じるため、検出信号(検出振動による信号成分)は駆動信号(駆動振動による信号成分)と位相が90度ずれている。このことを利用して、上述の同期検波によって検出信号を、駆動信号とは区別して検出することができる。振動子として水晶振動子を用いると、振動型ジャイロセンサの小型化ならびに信頼性の向上を図ることができる。振動型ジャイロセンサが適用される用途は広く、例えばビデオカメラやデジタルカメラの手振れ検出や、カーナビゲーションシステムのGPS(Global Positioning System)の位置検出、航空機やロボットの姿勢検出等に用いられる。
図10は、ジャイロイセンサの構成の一例を示す図である。ジャイロセンセ510は、物理量測定装置(IC)100と、物理量トランスデューサ(振動子)TDUと、を含む。物理量測定装置(IC)100は、発振駆動回路150を有する発振回路140と、検出回路900と、を有する。発振駆動回路150の2つの接続端子TM1,TM2の各々には、物理量トランスデューサ(振動子)TDUの端子J1および端子J2が接続される。発振駆動回路150は、同期検波用の参照信号SDETを出力する。
検出回路900は、交流増幅回路580と、移相器590と、同期検波回路600と、ローパスフィルタ(LPF)700と、調整テーブル302を内蔵するROM301と、を有する。必要に応じて、A/D変換回路800が設けられる。
交流増幅回路580は、物理量トランスデューサ(振動子)TDUの端子J3および端子J4の各々から出力される物理量信号(すなわち、入力信号Vin)を増幅する電流/電圧変換型のアンプOPA1およびOPA2と、差動増幅器OPA3と、を有する。移相器590は、交流増幅回路580から出力される信号の位相を調整する。
同期検波回路600は、上述のとおり、パルス幅調整回路410や位相調整回路500等を有する。同期検波回路600の動作は、上述のとおりである。すなわち、同期検波回路600の動作は、例えば、ROM301から出力されるパルス幅調制御信号QYa,位相制御信号QYbならびにパルス選択制御信号QYcによって制御される。
図11は、図10の発振駆動回路の構成の一例を示す図である。発振駆動回路150の接続端子TM1,TM2には、振動子(物理量トランスデューサ)TDUが接続される。発振駆動回路150および振動子(物理量トランスデューサ)TDUは発振ループを構成する。
発振駆動回路150は、初段のアンプ30と、可変利得アンプ20と、AGC回路40と、参照信号生成回路として機能するコンパレータ200と、スイッチSW1,SW2と、を有する。AGC回路40は、全波整流器42と、発振検出器44と、積分器46と、を有する。積分器46から出力される利得制御信号VCTLによって、可変利得アンプ20の利得が制御される。
また、参照信号生成回路として機能するコンパレータ200は、発振ループ内の信号を基準電位(例えば、AGND)と比較して、同期検波用の参照信号SDETを生成する。
また、コンパレータ200の出力は、発振ループの発振起動を速めるために利用される。すなわち、発振起動時において、スイッチ制御信号SWCTL#によって、スイッチSW2がオンする。一方、スイッチ制御信号SWCTLによって、スイッチSW1がオフする。これによって、コンパレータ200から出力される、電源電位間でフルスイングするパルス信号によって振動子(物理量トランスデューサ)TDUが駆動される。これによって、発振ループ内の発振信号が急速に成長する。発振ループ内の発振信号が所定のレベルに到達すると、スイッチSW2がオフ状態となり、スイッチSW1がオン状態となり、ループゲインは、AGC回路40によって一定に維持される。
(電子機器の構成)
本実施形態では、本発明の物理量測定装置を搭載した電子機器の一例について説明する。図12は、本発明の物理量測定装置を搭載した電子機器の構成例を示す図である。
図12の電子機器(例えば、デジタルカメラ)1000は、ジャイロセンサ(物理量測定装置)510と、表示部550と、CPU等の処理部520と、メモリ530と、操作部540と、を有している。ジャイロセンサ510は、物理量測定装置100を有する。物理量測定装置100には、発振駆動回路150および検出回路900と、を有する。また、物理量測定装置100には、物理量トランスデューサ(振動子)TDUが接続されている。
物理量測定装置100の検出回路900は、上述のとおり、オフセット電圧を高精度にキャンセルすることができる。よって、物理量トランスデューサ(TDU)が接続されたジャイロセンサ510は高い検出性能を有する。同様に、本発明のジャイロセンサ510を内蔵する電子機器1000は、物理量を高精度で検出することができる。よって、本発明のジャイロセンサ510を搭載することによって、電子機器1000の性能が向上する。電子機器1000は、デジタルカメラの他、例えば、カーナビゲーションシステムや航空機やロボットであってもよい。
以上の実施形態によれば、例えば、以下の効果を得ることができる。但し、以下の効果は同時に得られるとは限らず、以下の効果の列挙が、本発明の技術的範囲を不当に限定する根拠とされてはならない。
(1)パルス幅が調整されたオフセット補償パルス(補正パルス)を用いて、ノイズを低減しつつ、高精度のオフセットキャンセルを実現することができる。
(2)オフセット補償パルスのパルス幅は、例えば、同期検波用の参照信号のパルス幅を調整することによって制御可能である。そして、同期検波用の参照信号のパルス幅は、例えば、デジタル回路を用いてスイッチをオン/オフすることによって高精度に行うことができる。例えば、ラッチ(フリップフロップ)の正帰還ループの遅延要素(例えばインバータ)の段数を変化させることによって、ラッチから出力されるパルスのエッジ(例えばダウンエッジ)のタイミングの遅延量を制御することができ、ラッチから出力される信号のパルス幅を自在に、かつ極めて高精度に調整することができる。よって、高精度のオフセットキャンセルが可能となる。
(3)同期検波回路においてオフセットキャンセル処理が実現されるため、1/fノイズを低く抑えることができる。また、同期検波回路以後に、オフセットキャンセル回路(ゼロ点調整回路)を設ける必要がない。
(4)検出回路内に、オフセットキャンセルための調整データを格納しているメモリ回路(例えば、EPROM等の不揮発性メモリ)を設けることによって、例えば、ルックアップテーブル方式を用いて、オフセット電圧のキャンセル処理を容易化することができる。オフセット電圧は、各回路(各IC)に固有の電圧である。よって、例えば、ICの出荷時において、検査担当者が検出回路の出力信号におけるオフセット電圧(すなわち、無信号時の直流電圧)を測定する。そして、そのオフセット電圧を除去するように、調整信号QXをICに入力し、メモリ回路から、オフセット補償パルスのパルス幅等を制御するための制御信号を出力させる。メモリ回路をICに内蔵しているため、オフセット除去処理が容易であり、よって、作業員の負担が軽減される。
(5)極めて高い検出感度を有する、同期検波回路を有する検出回路が実現される。
(6)微小な物理量信号に基づいて、物理量を、極めて高感度で測定することができる物理量測定装置が実現される。
(7)振動子からの信号に基づいて、物理量を高精度(高感度)で検出することができるジャイロセンサが実現される。
(8)物理量測定装置による測定結果に基づいて、例えば、電子機器の動作を制御したり、あるいは、測定結果を電子機器の表示画面上に表示したりすることができる。高精度の物理量測定が実現されるため、電子機器の性能も向上する。
(9)本発明の検出回路は、センサからの信号を入力とする検出回路のみならず、通信信号の検波回路としても利用することができる。この場合、同期検波回路は直交検波回路(あるいは周波数変換を行うミキサ回路)として動作する。参照信号としては、例えば、搬送波を使用することができる。
(10)本発明によれば、同期検波回路を有する検出回路の出力信号のオフセット電圧を高精度にキャンセルすると共に、検出回路のS/Nを改善することができる。
以上、本実施形態について詳述したが、本発明の新規事項および効果から逸脱しない範囲で、多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、すべて本発明に含まれるものとする。
例えば、上述の実施例では、正極性のオフセット補償パルスを用いて、負極性の直流オフセット電圧をキャンセルしたが、負極性のオフセット補償パルスを用いて、正極性の直流オフセット電圧をキャンセルすることもできる。負極性のオフセット補償パルスは、例えば、AGND(例えば、VDD/2)と接地電位間で動作する回路によって生成することができる。
本発明は、パルス幅が調整されたオフセット補償パルスによって、検出回路のオフセット電圧をキャンセルすることができ、検出回路のS/Nをさらに向上させることができるという効果を奏し、例えば、検出回路、物理量測定装置、ジャイロセンセおよび電子機器等として有用である。
図1(A),図1(B)は、オフセット補償パルスの重畳によって、同期検波回路の検波出力のオフセット電圧をキャンセルする原理を説明するための図 図2(A)〜図2(E)は、オフセット補償パルスの加算方法の好ましい例を説明するための図 検出回路を含む物理量測定装置(IC)の構成の一例を示す図 オフセット補償パルスの生成ならびに加算動作を説明するためのタイミング図 パルス幅調整回路の構成の一例を示す図 図5のラッチ回路の具体的な回路構成と、その動作の制御方法を説明するための図 図7(A)〜図7(C)は、可変遅延回路付きのラッチ回路において、出力パルスのエッジタイミングを自在に制御できることを説明するための図 図8は、位相調整回路の構成の一例を示す回路図 図9(A),図9(B)は、同期検波部の内部構成の一例を示す回路図 図10は、物理量測定装置およびジャイロイセンサの構成の一例を示す図 図11は、発振駆動回路の構成の一例を示す図 図12は、電子機器の構成の一例を示す図
符号の説明
100 物理量測定装置(IC)、200 参照信号生成回路、
301 調整テーブルを内蔵したROM、302 調整テーブル、
400 ロジック回路、410 パルス幅調整回路、500 位相調整回路、
503 参照信号生成回路、600 同期検波回路、603 同期検波部、
700 ローパスフィルタ(平滑回路)、800 A/D変換器、900 検出回路

Claims (14)

  1. パルス幅が調整されたオフセット補償パルスを生成するオフセット補償パルス生成回路と、
    前記オフセット補償パルスが重畳された交流信号を、参照信号に基づいて同期検波する同期検波回路と、
    を有することを特徴とする検出回路。
  2. 請求項1記載の検出回路であって、
    前記オフセット補償パルスのパルス高さは、前記検出回路における信号経路の直流基準電位と、電源電位との電位差によって決定されることを特徴とする検出回路。
  3. 請求項1または請求項2記載の検出回路であって、
    前記同期検波回路は、
    前記交流信号の電圧レベルを反転することなく伝達する第1の信号経路と、
    前記第1の信号経路に設けられる、前記参照信号によってオン/オフが制御される第1のスイッチと、
    前記交流信号の電圧レベルを反転した信号を伝達する第2の信号経路と、
    前記第2の信号経路に設けられ、かつ、前記参照信号に基づいて生成される、前記参照信号とは位相が180度異なる信号によってオン/オフが制御される第2のスイッチと、を有し、
    前記オフセット補償パルスは、前記同期検波回路の前記第1の信号経路に重畳されることを特徴とする検出回路。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の検出回路であって、
    時間軸上において、半周期分の前記交流信号が、前記検出回路における信号経路の直流基準電位と交差する2点の各々を第1のゼロクロス点および第2のゼロクロス点とし、前記第1および第2のゼロクロス点で決まる時間幅を2等分した点を中点とし、前記第1のゼロクロス点から前記中点までの期間を第1の期間とし、前記中点から前記第2のゼロクロス点までの期間を第2の期間とし、
    かつ、前記オフセット補償パルスのパルス幅が前記交流信号の1/4周期未満である場合に、
    前記オフセット補償パルスを、前記第1の期間と前記第2の期間にまたがらないことを条件として、前記第1および第2の期間の少なくとも一方において重畳することを特徴とする検出回路。
  5. 請求項4記載の検出回路であって、
    前記オフセット補償パルスは、前記第1の期間中の、前記第1のゼロクロス点を含む期間、または、前記第2の期間中の、前記第2のゼロクロス点を含む期間において、前記交流信号に重畳されることを特徴とする検出回路。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の検出回路であって、
    前記オフセット補償パルス生成回路は、
    前記参照信号に基づいて、前記交流信号の半周期よりも短いパルス幅をもち、かつ、前記交流信号の周期と同一の周期をもつ第1のパルス信号を生成するパルス幅調整回路と、
    時間軸上において、前記第1のパルス信号の前記パルス幅の中点が、前記参照信号のパルス幅の中点に一致するように、前記第1のパルス信号の位相を調整し、これによって第2のパルス信号を生成する位相調整回路と、
    前記参照信号と前記第2のパルス信号とを入力とし、前記参照信号と前記第2のパルス信号の各々の信号レベルが一致しない期間において、第3および第4のパルス信号を生成するゲート回路と、
    を有し、
    前記第3および第4のパルス信号の少なくとも一方に基づいて、前記オフセット補償パルスを生成することを特徴とする検出回路。
  7. 請求項6記載の検出回路であって、
    前記パルス幅調整回路はデジタル回路により構成され、スイッチのオン/オフの制御によって、信号経路に設けられる遅延要素の数を変化させ、これによって前記パルス幅調回路の出力信号のパルス幅を調整することを特徴とする検出回路。
  8. 請求項7記載の検出回路であって、
    前記パルス幅調整回路はラッチ回路により構成され、
    前記ラッチ回路は、
    前記ラッチ回路の正帰還経路に設けられる第1〜第n(nは2以上の整数)の遅延要素と、
    第k(1≦k≦n)の前記遅延要素の両端をバイパスする第1〜第i(1≦i≦n)のバイパススイッチと、
    を有し、
    前記第1〜第iのバイパススイッチのオン/オフを個別に制御することによって、前記第1〜第nの遅延要素による遅延量を変化させ、これによって前記パルス幅調回路の前記出力信号のパルス幅を調整することを特徴とする検出回路。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の検出回路であって、
    前記オフセット補償パルス生成回路の動作制御のための調整データを格納しているメモリ回路を有することを特徴とする検出回路。
  10. 測定対象である物理量信号が入力される、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の検出回路を有することを特徴とする物理量測定装置。
  11. 請求項10記載の物理量測定装置であって、
    前記物理量信号は、センサとしての振動子から出力され、
    前記物理量測定装置は、さらに、
    前記振動子と共に発振ループを形成し、前記振動子に駆動振動を励振するための発振駆動回路を有し、
    前記発振駆動回路は前記参照信号を生成して、前記検出回路に供給することを特徴とする物理量測定装置。
  12. 請求項11記載の物理量測定装置と、前記物理量信号を出力する前記振動子と、を有することを特徴とするジャイロセンサ。
  13. 請求項10または請求項11記載の物理量測定装置を有することを特徴とする電子機器。
  14. 請求項12記載のジャイロセンサを有することを特徴とする電子機器。
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