JP2009168231A - 空圧緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】経済的不利および大型化を招かずに減衰特性の変更を可能とする空圧緩衝器を提供することである。
【解決手段】上記の目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内に二つの圧力室R1,R2を隔成するピストン2とを備えた空圧緩衝器Dにおいて、倒立型に設定されるとともに、シリンダ1外で二つの圧力室R1,R2を連通する通路3と、通路3の途中に設けた流路面積を変更可能な弁Vと、シリンダ1の上端を閉塞するヘッド部材6に設けられて弁Vを駆動する駆動手段7とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、空圧緩衝器に関する。
従来、空圧緩衝器としては、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されたピストンと、シリンダにピストンを介して移動自在に挿通されるロッドとを備えて、作動流体を気体としたものが知られている。
この空圧緩衝器では、ピストンに設けた伸側ポートと圧側ポートにそれぞれ減衰バルブを配しており、この減衰バルブで伸圧両側の減衰力を発揮するようにしている。なお、この空圧緩衝器では、特に、車両の車体と車軸との間といった振動入力が頻繁に行われる箇所にも適用可能とするため、ロッド外周とシール部材との摺動部を潤滑するようにしている。そのため、当該空圧緩衝器は、長期間に亘る継続使用によってピストン側室へ落下した潤滑油を、上方配置される貯油室へ循環させる通路を備えており、当該通路は通過流体に抵抗を与えるようになっており、空圧緩衝器の圧縮行程時には、当該通路も減衰力発生要素にもなっている。(たとえば、特許文献1参照)。
特開2006−349138号公報
上述のような従来の空圧緩衝器は、一度、気体が空圧緩衝器へ封入されると、ピストンに設けた減衰バルブの調節を行うことができず、減衰特性(空圧緩衝器のピストン速度に対する発生減衰力の性質)を調節することができない。
これを外部から減衰特性を調節可能とする場合には、ピストンに設けた減衰バルブを外部から調節するようにするしかなく、ロッドを中空にしなければならず、加工コストが嵩むことになるほか、少なからずロッドの強度低下を招くことになるから強度確保のためロッドが大径化し、結果的に空圧緩衝器が大型化してしまう危惧がある。
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、経済的不利および大型化を招かずに減衰特性の変更を可能とする空圧緩衝器を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内に二つの圧力室を隔成するピストンとを備えた空圧緩衝器において、倒立型に設定されるとともに、シリンダ外で二つの圧力室を連通する通路と、通路の途中に設けられた流路面積を変更可能な弁と、シリンダ上端を閉塞するヘッド部材に設けられて弁を駆動する駆動手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の空圧緩衝器によれば、シリンダ外で二つの圧力室を連通する通路の途中に流路面積を変更可能な弁を設けて、当該弁の駆動を駆動手段で行うようになっているので、減衰特性を調節することができ、また、その調節に当たって、コスト高となるような加工、たとえば、ロッドを中空にしなければならないような加工が不要であるから、低コストで減衰特性調節を行えるようになり、経済的に有利となるとともに、ロッドの強度低下を招くこともなく、空圧緩衝器が大型化してしまう危惧もない。
さらに、車両に適用される場合、倒立型に設定されるとともに駆動手段がヘッド部材に取付けられているので、駆動手段は車両のバネ上側に配置されることになり、駆動手段に高周波で激しい振動が入力されることを抑制でき、駆動手段に激しい振動の入力を嫌うモータやソレノイドといった精密機器を採用する場合にあっても耐振措置を過度に講じる必要がなくなるとともに空圧緩衝器の信頼性と実用性を向上することができる。すなわち、この空圧緩衝器は車両のサスペンション用途に最適となる。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における空圧緩衝器の概略縦断面図である。図2は、一実施の形態の一変形例における空圧緩衝器の弁の拡大縦断面図である。図3は、一実施の形態の他の変形例における空圧緩衝器の弁の拡大縦断面図である。
一実施の形態における空圧緩衝器Dは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内に二つの圧力室R1,R2を隔成するピストン2と、シリンダ1外で二つの圧力室R1,R2を連通する通路3と、通路3の途中に設けた流路面積を変更可能な弁Vと、シリンダ1の上端を閉塞するヘッド部材6に設けられて弁Vを駆動する駆動手段7とを備えて構成されて、シリンダ1内には作動気体が充填され、使用時にはシリンダ1が図示するように上方配置される倒立型に設定されている。
また、弁Vは、この実施の形態の場合、通路3の途中に設けた環状の弁座4と、弁座4に対して遠近することによって流路面積を変更する弁体5とを備え、駆動手段7は、シリンダ1の上端を閉塞するヘッド部材6に設けられて弁体5を弁座に対して遠近させて弁Vにおける流路面積を変更することが可能となっている。
以下、詳細に説明すると、シリンダ1は、筒状に形成され、その内部には、ピストン2が摺動自在に挿入されている。ピストン2は、シリンダ1内を図1中上方側の圧力室R1と下方の圧力室R2に区画しており、ピストン2の図1中下端には、ロッド8が連結されている。なお、圧力室R1内には、少量の潤滑油J1が充填されており、この潤滑油J1は、空圧緩衝器Dが倒立型に設定されているのでピストン2の上方に溜まって、シリンダ1内周に油膜を形成し、シリンダ1とピストン2との間を潤滑して良好な摺動性を確保している。
また、シリンダ1の図1中下端には、環状のボトム部材9が嵌合されており、ボトム部材9は、内周に固定されるベアリング10を介してロッド8を摺動自在に軸支している。さらに、シリンダ1の図1中上端には、ヘッド部材6が嵌合されており、シリンダ1の上端は、上記ヘッド部材6によって閉塞されている。
そして、この空圧緩衝器Dの場合、シリンダ1を覆う外筒11を備えており、当該外筒11の上端は、シリンダ1の上端に嵌合するヘッド部材6の外周に溶接等によって結合されている。また、シリンダ1の下端に嵌合するボトム部材9は、外筒11内に収容され、その図1中下方に積層されてロッド8の外周と外筒11との間をシールするシール部材12とともに外筒11の上端開口端を加締めることによって外筒11に固定されている。このように構成することで、シリンダ1はヘッド部材6およびボトム部材9に挟持されて外筒11に径方向および軸方向に位置決められた状態で固定される。なお、この実施の形態の場合、シール部材12とボトム部材9との間には潤滑油J2が貯留されており、潤滑油J2がシール部材12のロッド8の外周に摺接する摺動部に臨んでロッド8の外周に油膜を形成してシール部材12とロッド8の良好な摺動性が確保されている。
また、ボトム部材9は、圧力室R2に臨む図1中上端からシリンダ1と外筒11との間の隙間に臨む段部9aとを連通する切欠9bを備えており、圧力室R2はシリンダ1と外筒11との間の隙間に連通されている。なお、圧力室R2がシリンダ1と外筒11との間の隙間に連通されればよいので、ボトム部材9に切欠9bではなく孔を設けてもよいし、シリンダ1の下端に孔を設けるようにしてもよい。
つづいて、ヘッド部材6は、シリンダ1の上端および外筒11の上端に嵌合してシリンダ1および外筒11の上端を閉塞する基部6aと、基部6aから図1中下方へ立ち上がってシリンダ1内に突出する軸6bと、軸6bの外周に設けられて基部6aとの間に部屋Aを形成する仕切部材6cと、軸6bおよび基部6aを貫く中空孔6dとを備えて構成されている。
仕切部材6cは、シリンダ1内に挿入されるとともに外周にシールリング13を備えており、当該シールリング13をシリンダ1に密着させてシリンダ1の図1中上方を気密に仕切り部屋Aを画成している。
また、ヘッド部材6の基部6aは、外周にシリンダ1と外筒11との間の隙間に臨む段部6eと、当該段部6eから基部6aの部屋Aに臨む下端にまで通じる通孔6fとを備えており、当該通孔6fによって部屋Aがシリンダ1と外筒11との間の隙間に連通されている。
そして、軸6bは、部屋Aに面する側部から開口する横孔6gを備え、中空孔6dを部屋Aに連通しており、圧力室R1は、中空孔6d、部屋A、通孔6f、シリンダ1と外筒11との間の隙間および切欠9bを介して圧力室R2へ連通されており、これら中空孔6d、部屋A、通孔6f、シリンダ1と外筒11との間の隙間および切欠9bで通路3が形成されている。なお、ヘッド部材6に通孔6fを設ける代わりに、シリンダ1の部屋Aに臨む側部に孔を設けて部屋Aをシリンダ1と外筒11との間の隙間に連通してもよい。また、通路3がシリンダ1と外筒11との間の隙間によって形成されるので、通路3の形成が簡単で、外筒11で軸力(軸方向の力)を受けることができるので、シリンダ1に負荷が作用しにくくなり、ピストン1の歪みを防止でき、ピストン2とシリンダ1との間の隙間管理がシビアに求められる空圧緩衝器Dの摺動性とピストン2周りを介しての圧力室R1,R2同士の連通を阻止することができる。
さらに、中空孔6dは、横孔6gより図1中下方側の任意の部位が小径とされて形成される環状の弁座4を備え、中空孔6dの弁座4より図1中上方側には円錐型の弁頭5aを備えた弁体5が収容されている。なお、弁座4は中空孔6dの横孔6gより図1中下方側の一部あるいは全部を小径として設ければよいが、中空孔6d内に筒体を固定することで設けるようにしてもよい。
また、弁体5は、中空孔6dより小径に設定されるとともに弁座4に離着座する円錐型の弁頭5aと、弁頭5aの上方に連なって中空孔6dの図1中横孔6gより上方に収容される胴部5bと備え、この弁体5と弁座4とで弁Vを構成している。また、胴部5bは外周に螺子部5cを備えており、中空孔6dの図1中横孔6gより上方に設けた螺子部6hに螺合されている。そして、胴部5bの螺子部5cを中空孔6dの螺子部6hに螺合させることで送り螺子機構Kが形成され、弁体5を回動させることで弁座4に対して遠近させることができるようになっている。
さらに、胴部5bの上端外周にはシールリング14が装着されており、中空孔6dと弁体5との間がシールされており、中空孔6dを介して気体が外部へ漏洩することの無いようになっている。さらに、胴部5bの上端には溝5dが設けられており、この溝5dに係合するシャフトSを備えたモータMがヘッド部材6の基部6aの図1中上端に固定されている。
このモータMは、この場合、ステッピングモータとされており、所定角度毎に弁体5を回転駆動させることができ、この実施の形態の場合、モータMと送り螺子機構Kとで駆動手段7を構成しており、当該駆動手段7によって弁体5を弁座4に対して遠近させて弁座4の内縁と弁体5の弁頭5aとの間の隙間の面積、すなわち、通路3の流路面積を調節することができ、また、弁頭5aを弁座4へ着座させると通路3を遮断することもできるようになっている。
なお、この実施の形態においては、弁体5の弁座4に対する遠近に際して送り螺子機構を採用しているので、流路面積を微細に調節することが可能であってシリンダ内圧の作用で弁体5が移動せしめられてしまうという不具合も無い点で有利であるが、他の機構を用いて弁体5を進退させてもよく、たとえば、送り螺子機構を形成せずに弁体5を中空孔6d内に移動自在に挿入しておき、この弁体5をソレノイドで弁座4に対して遠近させるようにしてもよい。また、モータMにあっても、ステッピングモータに代えて他の形式のモータを採用することができる。
また、この実施の形態の場合、仕切部材6cは、圧力室R1と部屋Aとを連通して通路3をバイパスする伸側ポート15と圧側ポート16とを備えており、各ポート15,16の出口端をそれぞれ開閉する伸側および圧側のリーフバルブ17,18が上端と下端に積層された状態で、これらリーフバルブ17,18とともに軸6bに固定されている。そして、伸側のリーフバルブ17は、この場合、複数枚の環状のリーフを積層して構成した積層リーフバルブとして構成され、圧力室R2から圧力室R1へ作動気体が移動する際には、伸側ポート15を開いて作動気体の通過を許容するとともに気体通過流れに抵抗を与えるが、圧力室R1から圧力室R2へ作動気体が移動する際には、伸側ポート15を気体が通過することを阻止する逆止弁としても機能し、圧側のリーフバルブ18も同様に積層リーフバルブとされ、圧力室R1から圧力室R2へ作動気体が移動する際には、圧側ポート16を開いて作動気体の流れに抵抗を与えるが、反対に圧力室R2から圧力室R1への作動気体の移動に対しては圧側ポート16を気体が通過することを阻止するようになっている。
すなわち、この実施の形態の空圧緩衝器Dの場合、圧力室R2から圧力室R1へ作動気体が移動する場合、伸側のリーフバルブ17が伸側ポート15を開くまでは作動気体は通路3のみを通過し、ピストン速度が速くなって伸側のリーフバルブ17を撓ませるほど圧力室R2内の圧力が大きくなると、通路3をバイパスする伸側ポート15も開放されて、作動気体は通路3に加えて伸側ポート15をも通過するようになる。
反対に、圧力室R1から圧力室R2へ作動気体が移動する場合、圧側のリーフバルブ18が圧側ポート16を開くまでは作動気体は通路3のみを通過し、ピストン速度が速くなって圧側のリーフバルブ18を撓ませるほど圧力室R1内の圧力が大きくなると、通路3をバイパスする圧側ポート16も開放されて、作動気体は通路3に加えて圧側ポート16をも通過するようになる。
すなわち、ピストン速度が速く、伸圧のリーフバルブ17,18を撓ませるほど圧力室R1,R2内の圧力が大きくなると、弁Vの流路抵抗より伸側および圧側のポート15,16における流路抵抗の方が小さく、作動気体は通過しがたい弁Vに優先して伸側および圧側のポート15,16を通過することになり、ピストン速度が高速となる場合の空圧緩衝器Dの発生減衰力は各リーフバルブ17,18によるものが支配的になる。
このように構成された空圧緩衝器Dは、ピストン2が図1中下方へ移動して伸長する際には、気体が圧縮される圧力室R2から通路3を介して膨張する圧力室R1へ移動する。そして、この気体の流れに、弁Vおよび伸側のリーフバルブ17で抵抗を与えて、この空圧緩衝器Dは伸側減衰力を発生することになる。
そして、この空圧緩衝器Dにあっては、弁体5を駆動手段7で弁座4に対して遠近させて通路3における流路面積を変更することができ、伸側の減衰特性を調節することができる。
他方、ピストン2が図1中上方へ移動して収縮する際には、気体が圧縮される圧力室R1から通路3を介して膨張する圧力室R2へ移動する。そして、この気体の流れに、弁Vおよび圧側のリーフバルブ18で抵抗を与えて、この空圧緩衝器Dは圧側減衰力を発生する。
また、空圧緩衝器Dが収縮する場合にあっても、駆動手段7で弁座4に対して遠近させて通路3における流路面積を変更することができ、圧側の減衰特性を調節することができる。
したがって、この空圧緩衝器Dによれば、シリンダ1外で二つの圧力室R1,R2を連通する通路3の途中に弁座4に遠近する弁体5を設けて、当該弁体5の遠近を駆動手段7で行うようになっているので、減衰特性を調節することができ、また、その調節に当たって、コスト高となるような加工、たとえば、ロッド8を中空にしなければならないような加工が不要であるから、低コストで減衰特性調節を行えるようになり、経済的に有利となるとともに、ロッド8の強度低下を招くこともなく、空圧緩衝器Dが大型化してしまう危惧もない。
さらに、この実施の形態における空圧緩衝器Dによれば、車両に適用される場合、倒立型に設定されるとともに駆動手段7がヘッド部材6に取付けられているので、駆動手段7は車両のバネ上側に配置されることになり、駆動手段7に高周波で激しい振動が入力されることを抑制でき、駆動手段7に激しい振動の入力を嫌うモータMやソレノイドといった精密機器を採用する場合にあっても耐振措置を過度に講じる必要がなくなるとともに空圧緩衝器Dの信頼性と実用性を向上することができる。すなわち、この空圧緩衝器Dは車両のサスペンション用途に最適となる。
そして、モータMが倒立型の空圧緩衝器Dのヘッド部材6に取付けられるので、モータMへの電力供給と制御に必要な外部配線を車体側で行うことができ、外部配線のとりまわしが容易となるとともに、モータMおよび外部配線を車体内に配置することも可能となってモータM等を保護することも可能となる。
またさらに、空圧緩衝器Dが倒立型に設定されるとともに、シリンダ1の上方に設けられるヘッド部材6に弁体5と弁座4とでなる弁V、伸側および圧側のリーフバルブ17,18を設ける構成を採用しているので、空圧緩衝器D内に少量ながら充填される潤滑油が上記弁V、伸側および圧側のリーフバルブ17,18を通過する事態を阻止することができる。したがって、上記弁V、伸側および圧側のリーフバルブ17,18を作動気体のみを通過させて減衰力を発生できるので、空圧緩衝器Dに狙った減衰特性を発揮させることができる。
さらに、本実施の形態の空圧緩衝器Dの場合、仕切部材6cに通路3を迂回する伸側ポート15および圧側ポート16とを形成し、仕切部材6cに伸側のリーフバルブ17および圧側のリーフバルブ18を積層して固定しており、ピストン速度が低速領域にある場合に伸側および圧側のリーフバルブ17,18を開放動作させずに弁Vのみを気体を通過させるようにしておくことができ、この場合には、当該弁Vのみにて、ピストン速度が低速領域にあるときの減衰特性を調節することもできる。
このようにすることでピストン速度が低速領域を超えない場合、伸側ポート15および圧側ポート16が開放されずに、気体が弁Vのみを通過するようになり、空圧緩衝器Dは、弁Vのみで伸圧両側の減衰力を発生させることができることになる。また、この空圧緩衝器Dの場合、弁体5を弁座4に着座させて中空孔6dを締め切り状態とすることで、伸側および圧側のリーフバルブ17,18のみによって減衰力を発生させるようにすることも可能である。
なお、上記したところでは空圧緩衝器Dの減衰特性を説明するため、便宜上、ピストン速度に、弁Vのみが機能する領域である低速と、伸側および圧側のリーフバルブ17,18が開弁して伸側および圧側のリーフバルブ17,18で減衰力を発生する領域である高速とでなる区分を設けているが、これらの区分の境の速度はそれぞれ任意に設定することができる。
また、上記したところでは、ヘッド部材6の中心に設けた中空孔6dに弁座4を設けるとともに弁体5を収容する構成を採用しているので、モータMをヘッド部材6の中心にマウントすることができ、重量に偏りが生じず、空圧緩衝器Dの車両等への取付けに際し方向性が生じない利点がある。
なお、上記したところでは、ヘッド部材6に図中上下方向を向く中空孔6dを設けて、当該中空孔6dに弁座4を設けるとともに弁体5を収容する構成を採用しているが、これに代えて、シリンダ1と外筒11との間の隙間および圧力室R1へ通じる横孔を設け、当該横孔に弁座を設けるとともに弁体を収容し、モータMやソレノイドをヘッド部材6の側方に取付ける構成を採用してもよい。
また、本実施の形態にあっては、仕切部材6cに伸側ポート15および圧側ポート16を設けるようにしているが、これを設けずに弁座4と弁体5とでなる弁Vのみで減衰力を発生する構成を採用してもよく、この場合には、仕切部材6cを省略することができ、仕切部材6cを保持するための軸6bも廃することができる。
さらに、上記した実施の形態では、ピストン2に圧力室R1と圧力室R2とを連通するとともに通過気体に抵抗を与える流路を設けていないので、潤滑油J1の圧力室R2への落下を抑制することができ、長期間に亘って良好な摺動性を確保することが可能である。
また、さらに、空圧緩衝器Dが倒立型に設定されてロッド8を軸支するボトム部材9が下方に位置されて、シール部材12とロッド8の摺動部を潤滑する潤滑油J2がシリンダ1内への侵入が促進されてしまうことが無いため、長期間に亘ってシール部材12とロッド8の良好な摺動性を確保することが可能となっている。
なお、弁Vは、上記したところでは、通路3の途中に設けた環状の弁座4と、当該弁座4に対して遠近して流路面積を変更する弁体5とで構成されているが、この構成に代えて、たとえば、図2に示すように、ヘッド部材6の中空孔6d内に側部に横孔6gに対向可能な孔20aを備えた筒体20を挿入して、当該筒体20をモータMで回転させることによって、横孔6gと孔20aのラップ面積を変更することで流路面積を変更するロータリ弁とされてもよいし、図3に示すように、ヘッド部材6の中空孔6d内に軸方向に移動可能なスプール21を挿入し、当該スプール21を上記したモータMと送り螺子機構あるいはソレノイドで駆動して、スプール21の側面と横孔6gとのラップ面積を変更することで流路面積を変更するスプール弁とされてもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
一実施の形態における空圧緩衝器の概略縦断面図である。 一実施の形態の一変形例における空圧緩衝器の弁の拡大縦断面図である。 一実施の形態の他の変形例における空圧緩衝器の弁の拡大縦断面図である。
符号の説明
1 シリンダ
2 ピストン
3 通路
4 弁座
5 弁体
5a 弁体における弁頭
5b 弁体における胴部
5c 弁体における螺子部
6 ヘッド部材
6a ヘッド部材における基部
6b ヘッド部材における軸
6c ヘッド部材における仕切部材
6d ヘッド部材における中空孔
6e ヘッド部材における段部
6f ヘッド部材における通孔
6g ヘッド部材における横孔
6h ヘッド部材における螺子部
7 駆動手段
8 ロッド
9 ボトム部材
9a ボトム部材における段部
9b ボトム部材における切欠
10 ベアリング
11 外筒
12 シール部材
13,14 シールリング
15 伸側ポート
16 圧側ポート
17 伸側のリーフバルブ
18 圧側のリーフバルブ
20 筒体
20a 筒体における孔
21 スプール
A 部屋
D 空圧緩衝器
M モータ
R1,R2 圧力室
S シャフト
V 弁

Claims (6)

  1. シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内に二つの圧力室を隔成するピストンとを備えた空圧緩衝器において、倒立型に設定されるとともに、シリンダ外で二つの圧力室を連通する通路と、通路の途中に設けられた流路面積を変更可能な弁と、シリンダ上端を閉塞するヘッド部材に設けられて弁を駆動する駆動手段とを備えたことを特徴とする空圧緩衝器。
  2. 弁は、通路の途中に設けた弁座と、弁座に対して遠近することによって流路面積を変更する弁体とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の空圧緩衝器。
  3. ヘッド部材はシリンダ端部を閉塞する基部と、基部から立ち上がってシリンダ内に突出する軸と、軸の外周に設けられて基部との間に通路に連通される部屋を形成する仕切部材と、軸および基部を貫く中空孔とを備え、中空孔の内部を通路の一部として中空孔の途中に弁座を設けるとともに弁体を収容し、仕切部材に圧力室と部屋とを連通して通路をバイパスする圧側ポートと伸側ポートを設け、各ポートの出口端をそれぞれ開閉する伸側および圧側のリーフバルブを設けたことを特徴とする請求項2に記載の空圧緩衝器。
  4. 駆動手段は、モータとモータによって回転駆動されて弁体を移動せしめる弁座に対して遠近させる送り螺子機構とを備えてなることを特徴とする請求項2または3に記載の空圧緩衝器。
  5. 駆動手段は、弁体を弁座に対して遠近させるソレノイドを備えてなることを特徴とする請求項2または3に記載の空圧緩衝器。
  6. シリンダの外方に配置されてシリンダとの間に隙間で通路の一部を形成する外筒を設け、当該隙間をヘッド部材の中空孔および部屋へ連通してなる請求項3から5のいずれかに記載の空圧緩衝器。
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