JP2009167472A - 直火式鋼板連続加熱炉 - Google Patents

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Takefumi Kametani
岳文 亀谷
Katsuji Nakajima
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Abstract

【課題】鋼板の温度が幅方向においてほぼ均一であり、特性のバラツキの少ない鋼板を安定して製造することができることに加えて、鋼板の温度を幅方向においてほぼ均一とする性能が低下した場合に短時間で補修することが可能な直火式鋼板連続加熱炉を提供する。
【解決手段】直火式鋼板連続加熱炉は、耐火レンガ等の耐火物で構成された内壁4と、鋼板1を水平に保持しつつ搬送するハースロール2と、鋼板を加熱する複数のバーナー3と、を備えている。そして、内壁のうち炉床部4aの上に、高輻射性物質で表面が覆われた球形の蓄熱部材5が載置されている。この蓄熱部材は、鋼板の幅方向中央部と相対する位置に配することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板をバーナーで加熱する直火式の連続加熱炉に関する。
鋼板の連続加熱炉においては、バーナーを加熱源とする直火式加熱方式がよく用いられる。連続加熱炉で鋼板を加熱する際には、鋼板の温度を幅方向において均一にする(すなわち幅方向の温度偏差を小さくする)ことが重要であるが、バーナーによる加熱では、火炎自体に温度分布がある上、火炎が直接鋼板に接触する場合があるため、鋼板の幅方向端部(以降においては「エッジ部」と記すこともある)が高温となり、鋼板の温度が幅方向において不均一となりやすかった。その結果、板面内で鋼板の特性にバラツキが生じる場合があった。なお、本発明における「幅方向」とは、連続加熱炉において鋼板が搬送される方向(以降においては「鋼板搬送方向」と記すこともある)に直交し且つ板面に沿う方向を意味する。
そこで、特許文献1には、内壁の天井部や炉床部のうち鋼板の中央部に相対する領域に、内壁材よりも高い放射率を有する塗料を直接塗布して塗料層を被成した直火式鋼板連続加熱炉(横型炉)が提案されている。この直火式鋼板連続加熱炉を用いれば、上記塗料層によって鋼板の幅方向中央部への輻射入熱量が高められるので、鋼板の温度が幅方向においてほぼ均一となる。よって、特性のバラツキの少ない鋼板を安定して製造することができる。
特開2006−284019号公報 特許第2985206号公報 特開2006−274336号公報
しかしながら、特許文献1に記載の直火式鋼板連続加熱炉は、長期間にわたる使用により、耐火物で構成された内壁の表面が劣化する場合があるため、前記塗料層による効果(鋼板の幅方向中央部への輻射入熱量を高める効果)が低下するおそれがあった。前記塗料層による効果が低下した場合には、加熱炉の運転を停止して前記塗料を再塗布する補修作業を行う必要があるが、塗料の塗布や乾燥には数日を要するため、加熱炉の停止期間が比較的長くなる傾向があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、鋼板の温度が幅方向においてほぼ均一であり、特性のバラツキの少ない鋼板を安定して製造することができることに加えて、鋼板の温度を幅方向においてほぼ均一とする性能が低下した場合に短時間で補修することが可能な直火式鋼板連続加熱炉を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る直火式鋼板連続加熱炉は、鋼板を搬送しながらバーナーで加熱する直火式の連続加熱炉において、前記鋼板の板面と相対する内壁に、高輻射性物質で表面が覆われた蓄熱部材を配したことを特徴とする。直火式鋼板連続加熱炉が、水平に保持した鋼板を搬送しながら加熱する横型炉である場合は、内壁のうち天井部及び炉床部の少なくとも一方に、高輻射性物質で表面が覆われた蓄熱部材を配するとよい。
本発明の直火式鋼板連続加熱炉においては、前記鋼板の幅方向中央部と相対する位置に前記蓄熱部材を配することが好ましい。また、前記蓄熱部材は球状又は板状であることが好ましい。前記蓄熱部材が板状である場合には、表面に凹凸を有することが好ましい。
本発明の直火式鋼板連続加熱炉は、鋼板の温度が幅方向においてほぼ均一であり、特性のバラツキの少ない鋼板を安定して製造することができることに加えて、鋼板の温度を幅方向においてほぼ均一とする性能が低下した場合に短時間で補修することが可能である。
本発明に係る直火式鋼板連続加熱炉の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である直火式鋼板連続加熱炉(横型炉)の構造を模式的に示す図であり、鋼板搬送方向に直交する平面で破断した断面図である。
耐火レンガ等の耐火物で構成された内壁4で囲まれた炉内には、上下方向略中央にハースロール2が設置されている。鋼板1は、このハースロール2上に載置され、水平に保持されつつ炉内を搬送されるようになっている。
また、内壁4の両側面には、それぞれ複数のバーナー3が鋼板搬送方向に沿って並んで設置されている。内壁4の一方の側面(図1では左側の側面)においては、鋼板1よりも炉床側(下側)にバーナー3が設置され、他方の側面(図1では右側の側面)においては、鋼板1よりも天井側(上側)にバーナー3が設置されていて、火炎3aが各バーナー3から反対側の側面に向かって水平に噴射されるようになっている。そして、加熱源であるこれらのバーナー3から火炎3aを噴射しつつ鋼板1を搬送すると、鋼板1が所定の温度に加熱される。
この直火式鋼板連続加熱炉においては、内壁4のうち下側面である炉床部4aの上に、高輻射性物質で表面が覆われた蓄熱部材5が載置されている。この蓄熱部材5は、鋼板1の幅方向中央部と相対する位置に配することが好ましい。鋼板1は、通常はハースロール2上の幅方向中央部に載置されるので(すなわち、炉内の幅方向中央部に配されているので)、蓄熱部材5についても炉床部4aの幅方向中央部に載置することが好ましい。なお、鋼板1の幅方向中央部とは、鋼板1の幅方向両端よりそれぞれ100〜200mm程度幅方向内側の位置から内側の幅方向中央領域を意味する。
この蓄熱部材5によって鋼板1の幅方向中央部への輻射入熱量が高められるので、エッジ部の過加熱が抑えられて、鋼板1の温度が幅方向においてほぼ均一となる。よって、特性のバラツキの少ない鋼板1を安定して製造することができる。ただし、鋼板1は、炉内の幅方向中央部から若干ずれた幅方向位置に配されていてもよい。その場合は、蓄熱部材5についても、鋼板1の幅方向中央部と相対するように、鋼板1の幅方向位置に合わせて炉内の幅方向中央部からずれた幅方向位置に配するとよい。
また、直火式鋼板連続加熱炉の長期間にわたる使用により蓄熱部材5が劣化して、鋼板1の温度を幅方向においてほぼ均一とする性能が低下する場合があるが、その場合には加熱炉の運転を停止して蓄熱部材5を新品に交換するとよい。炉床部4aの上に載置された蓄熱部材5を新品に交換するだけでよいので、直火式鋼板連続加熱炉の補修作業を短時間で終えることができ、加熱炉の停止期間も短時間とすることができる。
蓄熱部材5の形状は特に限定されるものではないが、輻射面積を大きくするためには、球状が好ましい。また、その直径は10〜20mmが好適である。球状の蓄熱部材5を用いる場合は、図1に示すように、多数の蓄熱部材5を例えば耐火物製の容器6に収容して、該容器6を炉床部4aの上に載置するとよい。あるいは、炉床部4aに凹部を形成して、該凹部内に球状の蓄熱部材5を収容してもよい。
蓄熱部材5の形状は、図2のような板状でもよい。球状の蓄熱部材5は複数個使用する必要があるが、板状の蓄熱部材5であれば1個でもよいので、蓄熱部材5を炉内に設置する作業や前述のような補修作業がより容易である。また、支持部材で固定するなどして、内壁4のうち天井部(上側面)に取り付けることも可能となる。なお、蓄熱部材5が板状である場合には、輻射面積を大きくするために、表面に凹凸を設けることが好ましい。
また、蓄熱部材5の材質は、耐熱性を有していれば特に限定されるものではないが、例えばアルミナ(Al2 3 )のようなセラミックスがあげられる。また、耐火レンガも使用可能である。
さらに、蓄熱部材5に被覆される高輻射性物質の種類は特に限定されるものではないが、加熱炉の内壁4を構成する耐火レンガの輻射率が0.4〜0.6程度であるので、それよりも輻射率が高いものが好ましい。すなわち、輻射率が0.7以上のものが好ましく、0.8〜0.9のものがより好ましい。例としては、酸化チタン(Tin 2n-1),カーボン,二酸化ケイ素(SiO2 )や、日本熱放射材研究所製のH.R.C(商品名)があげられる。なお、蓄熱部材5に被覆される高輻射性物質の厚さは特に限定されるものではないが、500〜800μm程度とすることが好ましい。
なお、本実施形態においては、水平に保持した鋼板を水平方向に搬送しながら加熱する横型炉について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、鋼板を垂直方向に搬送しながら加熱する縦型炉に適用することも可能である。
〔実施例〕
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。図1に示すような構造の直火式鋼板連続加熱炉を用いて、板厚2.0mm、幅1500mmの鋼帯を搬送速度70m/minで搬送しながら加熱した。そして、炉出側において鋼帯の温度を測定し、幅方向の温度分布を調査した(これを実施例とする)。加熱温度は950℃とした。
なお、蓄熱部材は直径10mmのアルミナ球であり、その表面には輻射率0.8〜0.9の塗料(日本熱放射材研究所製のH.R.C)が塗布されている。この塗膜の厚さは、乾燥厚さで700μmである。
温度分布の測定結果を図3のグラフに示す。また、蓄熱部材を備えていないことを除いては全く同様の構造の直火式鋼板連続加熱炉を用いて同様の実験を行った結果(これを比較例とする)を、図4のグラフに示す。
図3のグラフから分かるように、蓄熱部材を備える直火式鋼板連続加熱炉を用いた場合は、鋼帯の温度が幅方向においてほぼ均一であり、鋼帯の幅方向端部(幅方向最端縁から50mm内側の位置)と幅方向中央部との温度差は、10℃以内であった。これに対して、蓄熱部材を備えていない従来の直火式鋼板連続加熱炉を用いた場合は、図4のグラフから分かるように、鋼帯の幅方向の温度偏差が大きく、鋼帯の幅方向端部(幅方向最端縁から50mm内側の位置)と幅方向中央部との温度差は、30℃以上であった。
本発明の一実施形態である直火式鋼板連続加熱炉の構造を模式的に示す図であり、鋼板搬送方向に直交する平面で破断した断面図である。 本発明の別の実施形態である直火式鋼板連続加熱炉の構造を模式的に示す断面図である。 実施例の鋼帯の幅方向の温度分布を示すグラフである。 比較例の鋼帯の幅方向の温度分布を示すグラフである。
符号の説明
1 鋼板
2 ハースロール
3 バーナ
3a 火炎
4 内壁
4a 炉床部
5 蓄熱部材

Claims (6)

  1. 鋼板を搬送しながらバーナーで加熱する直火式の連続加熱炉において、前記鋼板の板面と相対する内壁に、高輻射性物質で表面が覆われた蓄熱部材を配したことを特徴とする直火式鋼板連続加熱炉。
  2. 水平に保持した鋼板を搬送しながらバーナーで加熱する直火式の連続加熱炉において、内壁のうち天井部及び炉床部の少なくとも一方に、高輻射性物質で表面が覆われた蓄熱部材を配したことを特徴とする直火式鋼板連続加熱炉。
  3. 前記鋼板の幅方向中央部と相対する位置に前記蓄熱部材を配したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の直火式鋼板連続加熱炉。
  4. 前記蓄熱部材が球状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の直火式鋼板連続加熱炉。
  5. 前記蓄熱部材が板状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の直火式鋼板連続加熱炉。
  6. 前記蓄熱部材は表面に凹凸を有することを特徴とする請求項5に記載の直火式鋼板連続加熱炉。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013534607A (ja) * 2010-05-26 2013-09-05 ショット アクチエンゲゼルシャフト
JP2015078392A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 Jfeスチール株式会社 加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法および高強度熱延鋼板

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