JP2009167070A - ダイヤモンドの加工方法およびそれに使用されるダイヤモンドの加工装置 - Google Patents

ダイヤモンドの加工方法およびそれに使用されるダイヤモンドの加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ダイヤモンド本体に影響を与えることなく線状あるいは面状に加工切断可能なダイヤモンドの加工方法および装置を提供する。
【解決手段】 LD励起近赤外線レーザ11からのレーザ光21を高調波変換器12により高調波変換して波長266nmの波長変換レーザ光22を得、この波長266nmの波長変換レーザ光22をガルバノスキャナ14で走査レーザ光23に変換し、円形fθレンズ13で収束して収束レーザ光24として集光する。収束レーザ光24はダイヤモンド15に入射され、ダイヤモンド15に含有されている固溶窒素に吸収されて、ダイヤモンド15はアブレーションや蒸発によって熱エネルギー加工される。
【選択図】図1

Description

本発明は工具、治具あるいはヒートシンク等に用いられる単結晶または多結晶ダイヤモンドを切断または穴あけ等の形状加工するダイヤモンドの加工方法およびそれに使用されるダイヤモンドの加工装置に関する。
ダイヤモンドは物質中最高の硬度を有しており、その加工は極めて難しい。単結晶の場合は、比較的加工し易い面方位及び方向がある程度把握されており、スカイフ研磨の研削加工がなされていた。しかしダイヤモンド工具や治具やヒートシンク等の加工ではあらゆる方向の加工が求められる。また多結晶体の場合は構成しているダイヤモンド粒子の面方位はあらゆる方向を向いており、スカイフ研磨等が行われているが、平滑化は困難であった。
一方、COレーザを用いて熱的に切断加工することも行われている。波長10.6μmのCOレーザはダイヤモンドに対して吸収があり、レーザ照射によって温度が上昇する。しかし、一般にCOレーザビームのビームスポットは大きく、また、ダイヤモンドを熱的に切断加工するのに使用されているCOレーザは連続波であるので、熱伝導がよいダイヤモンドは全体が加熱されて局所加熱は困難である。したがって、COレーザを用いたダイヤモンドの熱的断加工は、COレーザビームがダイヤモンド全体を温度上昇させるため、広範囲な温度上昇と空気中の酸素との反応によるダイヤモンドの燃焼現象により微細な加工は困難である。
このような課題を解決する方法として、レーザ光源としてエキシマレーザを使用し、ダイヤモンド表面に、波長が190nmから360nmの範囲にあるエキシマレーザ光を照射して、加工しようとするダイヤモンド本体に影響を与えることなく切断、研削したり、表面の平滑化を可能にするダイヤモンドの加工方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平6−40797号公報
特許文献1に記載の方法は、レーザ光としてエキシマレーザ光を使用しているが、エキシマレーザ光は収束性が悪いので、エキシマレーザを用いてダイヤモンドを加工するためにはマスキングするか、レーザ光の途中にマスクを設置して、マスクパタンをダイヤモンド上に投影する必要がある。この場合、エキシマレーザ光がマスクで遮られるため、レーザ光の利用効率が著しく低下し、さらに、マスクを用いる加工は2次元形状の加工に限定されて3次元形状の加工が困難である。また、エキシマレーザ光は繰り返しが遅いので走査させることができない。したがって、特許文献1に記載の方法は、ダイヤモンドを実用的に、特に3次元に切断加工することは困難である。
本発明はこのような課題を解決するもので、ダイヤモンド本体に影響を与えることなく任意の3次元形状の加工、切断はもちろん、線状の1次元加工あるいは面状の2次元加工も可能なダイヤモンドの加工方法および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、LD励起近赤外線レーザの高調波により波長266nmまたは波長258nmのレーザ光を得、この波長266nmまたは波長258nmのレーザ光をダイヤモンドに照射して、このレーザ光をダイヤモンドに含有されている固溶窒素に吸収させるものである。具体的には以下の構成が提供される。
請求項1に記載の本発明のダイヤモンドの加工方法は、ダイヤモンドの表面に波長266nmまたは258nmのレーザ光を照射して前記ダイヤモンドを加工することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のダイヤモンドの加工方法において、前記レーザ光がLD励起近赤外線レーザの高調波によるレーザ光であることを特徴とする。
請求項3に記載の本発明のダイヤモンドの加工方法は、ダイヤモンドの表面にNd:YVOレーザレーザもしくはNd:YAGレーザの第4高調波により得られる波長266nmのレーザ光またはYb:YAGレーザの第4高調波により得られる波長258nmのレーザ光を照射して、前記レーザ光を前記ダイヤモンドに含有されている固溶窒素に吸収させることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載のダイヤモンドの加工方法において、前記レーザ光を前記ダイヤモンド表面に集光し、切断すべき直線または曲線方向に走査すること特徴とする。
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載のダイヤモンドの加工方法において、レーザ光を切断すべき直線または曲線に対し平行または近似的に平行に複数回走査してダイヤモンドに加工する溝幅を太く制御することを特徴とする。
請求項6に記載の本発明は、請求項4に記載のダイヤモンドの加工方法において、レーザ光の太さをダイヤモンドに加工する溝幅に制御することを特徴とする。
請求項7に記載の本発明は、請求項5に記載のダイヤモンドの加工方法において、レーザ光を複数回走査する際に、前記レーザ光のエネルギー条件を異ならせることを特徴とする。
請求項8に記載の本発明は、請求項1に記載のダイヤモンドの加工方法において、レーザ光の入射角を加工すべき形状に応じて制御することを特徴とする。
請求項9に記載の本発明のダイヤモンドの加工装置は、加工すべきダイヤモンドを支持するステージと、LD励起近赤外線レーザと、前記LD励起近赤外線レーザが発振するレーザ光を高調波変換する手段と、前記高調波変換されたレーザ光を集光させる集光手段と、前記集光されたレーザ光を加工すべき単結晶ダイヤモンドに走査する走査手段を有することを特徴とする。
請求項10に記載の本発明は、請求項9に記載のダイヤモンドの加工装置において、前記集光手段がfθレンズであることを特徴とする。
請求項11に記載の本発明は、請求項9に記載のダイヤモンドの加工装置において、前記走査手段がガルバノスキャナであることを特徴とする。
請求項12に記載の本発明は、請求項9に記載のダイヤモンドの加工装置において、前記走査手段が前記ステージを2次元方向に移動させる手段であることを特徴とする。
本発明によれば、波長266nmまたは波長258nmのレーザ光をダイヤモンドに照射して、Ia型天然ダイヤに分散型不純物として必ず含まれる固溶窒素または人工ダイヤモンドに添加物として必ず混入される固溶窒素に由来する波長270nmの強い吸収特性を利用してダイヤモンドを加工するので、ダイヤモンド本体に影響を与えることなく、加工時に発生するグラファイトなどの劣化層を極めて小さくした3次元形状の加工、あるいは線状、面状に加工切断することができる。
また、ダイヤモンドの結晶方位に制限されない加工をすることができるので、加工任意性、高生産性化を果たすことができる。また、レーザ光を切断すべき直線または曲線に対し平行または近似的に平行に複数回走査したり、レーザ光の太さを切断すべき直線または曲線の溝幅に制御することにより鋭利なエッジを有するダイヤモンド加工を行うことができる。
本発明の第1の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法は、ダイヤモンドの表面に波長266nmまたは波長258nmのレーザ光を照射するものである。本実施の形態によれば、Ia型天然ダイヤに分散型不純物として必ず含まれる固溶窒素または人工ダイヤモンドに添加物として必ず混入される固溶窒素に由来する波長270nmの強い吸収特性を利用してダイヤモンドを加工するので、ダイヤモンド本体に影響を与えることなく線状あるいは面状に加工切断することができる。また、ダイヤモンドの結晶方位に制限されない加工をすることができるので、加工任意性、高生産性化を果たすことができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法において、レーザ光がLD励起近赤外線レーザの高調波によるレーザ光としたものである。本実施の形態によれば、ダイヤモンドに含有される固溶窒素に由来する波長270nmの強い吸収特性を利用するための波長266nmまたは波長258nmのレーザ光を簡単な構成で得ることができる。
本発明の第3の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法はダイヤモンドの表面にNd:YVOレーザレーザもしくはNd:YAGレーザの第4高調波により得られる波長266nmのレーザ光またはYb:YAGレーザの第4高調波により得られる波長258nmのレーザ光を照射して、このレーザ光をダイヤモンドに含有されている固溶窒素に吸収させるものである。本実施の形態によれば、ダイヤモンドに含有される固溶窒素に由来する波長270nmを中心とする強い吸収特性を利用してダイヤモンドを加工するので、加工に使用するレーザ光のエネルギー密度を従来技術に比較して桁違いの非常に小さいものにすることができる。また、ダイヤモンドを高精度でかつ確実に加工することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法において、レーザ光をダイヤモンド表面に集光し、切断すべき直線または曲線方向に走査するようにしたものである。本実施の形態によれば、ダイヤモンドの方面を切断すべき直線または曲線方向に自由にかつ高精度で加工することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法において、レーザ光を切断すべき直線または曲線に対し平行または近似的に平行に複数回走査してダイヤモンドを加工する溝幅を太く制御するものである。本実施の形態によれば、切断加工する溝幅を太くすることができるので、ダイヤモンドに加工する溝を深く加工することができる。
また、走査方向、走査速度、走査間隔などを制御することにより、加工部位に鋭利なエッジを形成することができる。したがって、ダイヤモンド工具などを簡単に加工製造することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第4の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法において、レーザ光の太さをダイヤモンドに加工する溝幅に制御するするものである。本実施の形態によれば、切断加工する溝を幅広い溝とすることができるので、ダイヤモンドを加工する溝を深く加工することができる。
また、走査方向、走査速度、走査間隔などを制御することにより、加工部位に鋭利なエッジを形成することができる。したがって、ダイヤモンド工具などを簡単に加工製造することができる。
本発明の第7の実施の形態は、第5の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法において、レーザ光を複数回走査する際に、前記レーザ光のエネルギー条件を異ならせるものである。本実施の形態によれば、切断加工する溝の溝幅や深さを簡単に制御することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第5の実施の形態によるダイヤモンドの加工方法において、レーザ光の入射角を加工すべき形状に応じて制御するものである。本実施の形態によれば、レーザ加工した部位を微小な凸形状とすることができるので、仕上げ加工として研磨加工を用いることができる。
本発明の第9の実施の形態によるダイヤモンドの加工装置は、LD励起近赤外線レーザが発振するレーザ光を高調波変換して集光させる集光手段と、集光されたレーザ光を加工すべき単結晶ダイヤモンドに走査する走査手段を有するものである。本実施の形態によれば、ダイヤモンドを加工するのに最適なレーザ光を簡単な構成で得るとともに、加工操作を簡単な構成で実現することができる。
本発明の第10の実施の形態は、第9の実施の形態によるダイヤモンドの加工装置において、集光手段をfθレンズとしたものである。本実施の形態によれば、ダイヤモンドを加工するのに最適なレーザ光の集光を簡単な構成で実現することができる。
本発明の第11の実施の形態は、第9の実施の形態によるダイヤモンドの加工装置において、走査手段をガルバノスキャナとしたものである。本実施の形態によれば、ダイヤモンドを加工するのに最適なレーザ光の走査を簡単な構成で実現することができる。
本発明の第12の実施の形態は、第9の実施の形態によるダイヤモンドの加工装置において、ダイヤモンドを支持するステージを2次元方向に移動させることによりレーザ光を走査するものである。本実施の形態によれば、ダイヤモンドを加工するのに最適なレーザ光の走査を簡単な構成で実現することができる。
以下本発明の野詳細について実施例をもとに図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明の実施例によるダイヤモンドの加工装置の全体構成を示す概念的ブロック図である。LD励起近赤外線レーザ11としてNd:YVOレーザを使用する。Nd:YVOレーザレーザは基本波として1064nmのレーザ光21を発振する。LD励起近赤外線レーザ11からの近赤外レーザ光21は高調波変換器12で第4高調波に変換され、波長266nmの波長変換レーザ光22に変換される。LD励起近赤外線レーザ11からの近赤外レーザ光21のエネルギー密度は、特許文献1におけるエキシマレーザ光によるエネルギー密度に比較してはるかに小さいエネルギー密度で十分である。
波長変換レーザ光22はガルバノスキャナ14に入射され、入射された波長266nmの波長変換レーザ光22を加工すべきダイヤモンド15の表面をX−Y2次元走査するための走査レーザ光23に変換する。ガルバノスキャナ14から出力された走査レーザ光23は波長266nmレーザ用に製造された円形fθレンズ13で収束されて収束レーザ光24として集光され、ダイヤモンド15の表面に収束スポット25として入射される。収束レーザ光24による収束スポット25は矢印で示す走査線26のようにダイヤモンド15の表面上を走査される。
なお、円形fθレンズ13の代わりにレーザ光を特定の一点に収束するレンズを使用し、ガルバノスキャナ14によるレーザ光23の走査の代わりにダイヤモンド15を支持しているステージ16をX−Y2次元方向に走査するようにしてもよい。また、これらを適宜組み合わせて備えるようにしてもよい。
ダイヤモンド15は、単結晶ダイヤモンドおよび多結晶ダイヤモンドのいずれでもよく、たとえば、Ia型天然ダイヤモンドや人工ダイヤモンドが使用される。単結晶ダイヤモンドの98%を占めるIa型天然ダイヤモンドは分散型不純物として固溶窒素が0.1ppm以上必ず含まれている。また、人工ダイヤモンドは添加物として固溶窒素が必ず混入されている。この固溶窒素は図2に示すように、波長270nmに強い吸収特性を有している。
ダイヤモンド15の表面に入射された波長266nmの収束レーザ光24は、ダイヤモンド15に含有されている固溶窒素の波長270nmを中心とする強い吸収特性によりほぼ100%吸収される。したがって、収束レーザ光24のエネルギー密度は極めて小さい値でよく、特許文献1におけるエキシマレーザ光によるエネルギー密度に比較すると、桁違いのはるかに小さいエネルギー密度で十分であることが確認された。ダイヤモンド15は吸収された波長266nmの収束レーザ光24により蒸発または加熱部の酸化などによって熱エネルギー加工されて照射位置で一部が除去される。
ガルバノスキャナ14により収束レーザ光24をダイヤモンド15の表面25上で走査させると、ダイヤモンド15の除去部分はその走査方向に進行し、走査が直線であれば直線状に、曲線であれば曲線状に除去されて直線や曲線の溝が形成される。このときの走査は加工目標とする切断直線または切断曲線に従って行われる。またダイヤモンドの光軸方向に対する傾きを変えて走査を繰り返す事で、3次元の形状を形成することができる。
円形fθレンズ13による集光は、一般に微小な点に集光されるので、ダイヤモンド15に形成される直線や曲線の溝の太さは極小である。この溝部をさらに複数回レーザ光を走査させると溝は徐々に深くなるが、一定の限度でレーザ光が溝の底部まで到達しなくなり、加工が停止する。深い加工を行う場合には、溝幅の太さを加工の当初から大きくしておく必要がある。溝幅の太さを大きくするには、収束レーザ光24を加工目標とする切断直線や曲線に対して、平行または近似的に平行な一定の間隔を持たせて複数回走査することにより幅の広い溝を形成することができる。この場合、走査方向、走査速度、走査間隔などを制御することにより、加工部位である溝にエッジを形成することができる。なお、収束レーザ光24を複数回走査させる代わりに、円形fθレンズ13による集光量を制御して収束レーザ光24を加工目標とする切断直線や曲線の溝の幅太さに成形してもよい。
上述した実施例においては、LD励起近赤外線レーザ11としてNd:YVOレーザを使用し、その基本波である1064nmのレーザ光21を高調波変換器12で第4高調波に変換して波長266nmのレーザ光を使用する例について説明したが、LD励起近赤外線レーザ11としてNd:YAGレーザを使用して、その基本波である1064nmのレーザ光を第4高調波に変換して波長266nmのレーザ光を使用してもよい。さらに、LD励起近赤外線レーザ11としてYb:YAGレーザを使用して、その基本波である1032nmのレーザ光を第4高調波に変換して波長258nmのレーザ光を使用してもよい。Nd:YVOレーザおよびYb:YAGレーザは熱レンズ効果が小さく集光性に優れたディスクレーザとして実用化されている。
図3はダイヤモンドに深い加工を行うために、加工溝幅の太さを加工の当初から大きくする方法を説明する図で、収束レーザ光24を加工目標とする切断直線や曲線に対して、平行または近似的に平行な一定の間隔を持たせて複数回走査したときの加工部分の様子を示す概念図である。図3(a)は加工部分の加工終了時の斜視図、図3(b)は第1回目の複数回走査時における加工部分の断面側面図、図3(c)は第2回目の複数回走査時における加工部分の断面側面図、図3(d)は第3回目の複数回走査時における加工部分の断面側面図である。第1回目の複数回走査時は幅が広く浅い溝281が形成される。複数回走査は、収束レーザ光24の走査を走査線26で示すように第1走査時と少しずらせた平行位置で第2走査、第2走査時とさらに少しずらせた平行位置で第2走査、・・・のように繰り返すことにより行う。これにより、図3(b)に示すように幅の広い溝281が形成される。次に、第2回目の複数回走査時は、収束レーザ光24を第1回目の複数回走査時と同じ要領で複数回走査すると、図3(b)に示した浅い溝281がやや深くなって図3(c)に示すようにやや深い溝282が形成される。第3回目の走査時は、収束レーザ光24を第1回目、第2回目の複数回走査時と同じ要領でさらに複数回走査すると、図3(c)の溝282がさらに深くなって図3(d)に示すように深い溝283が形成される。こうして幅広で深い溝を形成することができる。
ところで、波長266nmまたは波長258nmの収束レーザ光24を照射して蒸発または加熱部位の酸化などによって熱エネルギー加工することによりダイヤモンド15に形成された直線や曲線の溝31は、図4(a)に示すように、エッジ部分32がしばしば鈍った形状になることがある。そこで、このエッジ部分32の鈍りを除去するために、波長266nmまたは波長258nmの収束レーザ光24をこのエッジ部分32に再度照射して図4(b)に示すようにエッジ部分32を鋭利な形状に整形する。このとき、2回目の収束レーザ光24の照射は1回目の収束レーザ光24の照射とエネルギー条件を変えて行う。たとえば、2回目の収束レーザ光24の照射のエネルギーを1回目より低く、かつ閾値付近のエネルギー密度に調整したり、照射位置をわずかにずらせて、エッジ部分32の鈍り位置に焦点をずらせて複数回照射する。すなわち、複数のエネルギー条件で複数回照射すれば鋭利なエッジを有する溝加工を行うことができる。鋭利なエッジを有する溝加工は、ダイヤモンド工具を加工する場合に特に有用である。
ダイヤモンド工具を加工する場合には、レーザ加工した部位の仕上げ加工をすることが好ましい。この仕上げ加工は一般に研磨加工で行われるが、研磨加工をするためには、レーザ加工した部位が微小な凸形状を有する必要がある。この場合、図5(a)に示すように溝41が浅いとエッジ部分の研磨加工がしにくい。そこで図5(b)に示すように溝42を深く形成する必要がある。そのためには入射する収束レーザ光24の入射角度を変えればよい。すなわち、図6に示すように、波長266nmまたは波長258nmのレーザ光のダイヤモンド15に対する吸収率は入射角度に依存して変化し、入射角度が小さいと表面反射率が小さく吸収率は大きい。入射角度が大きくなるにつれて表面反射率が大きくなり吸収率は小さくなる。したがって、溝42を深く形成するには、入射角度をある程度小さくして吸収率を大きくする必要がある。換言すれば、溝42の深さは入射収束レーザ光24の入射角度を変化させることにより自由に変化させることができる。
以上のように、本発明によれば、266nmまたは波長258nmのレーザ光を入射レーザ光とし、このレーザ光の走査方向、走査回数、ビームの太さ、レーザ光のエネルギー密度、入射角度、入射位置などを調整した複数のプロセスによりダイヤモンドを任意の形状に加工することができる。したがって、ダイヤモンド工具に代表される3次元加工の構造物も同一波長のレーザ光の物理的条件を調整により簡単に行うことができる。
本発明のダイヤモンドの加工方法および装置は、天然ダイヤモンドや人工ダイヤモンドを利用した各種のダイヤモンド工具の加工や、宝石ダイヤモンドの装飾性を高めるためのカッティングなどに適用して有用である。
本発明の実施例によるダイヤモンドの加工装置の全体構成を示す概念的ブロック図 本発明の動作を説明するための、ダイヤモンドのレーザ光透過率の波長特性図 レーザ光を複数回走査したときの加工部分の様子を示す概念図で、(a)は加工部分の加工終了時の斜視図、(b)は第1回目の複数回走査時における加工部分の断面側面図、(c)は第2回目の複数回走査時における加工部分の断面側面図、(d)は第3回目の複数回走査時における加工部分の断面側面図 波長266nmのレーザ光によりダイヤモンドに形成された溝の様子を示す概念図で、(a)は、エッジ部分が鈍った形状に加工された状態を示す図、(b)はエッジ部分が鋭利な形状に加工された状態を示す図 入射レーザ光の入射角度に依存する加工溝の形状を説明する図で、(a)は入射角度が大きい場合、(b)は入射角度が小さい場合の図 波長266nmの光に対するダイヤモンドの表面反射率特性図
符号の説明
11 LD励起近赤外線レーザ
12 高調波変換器
13 円形fθレンズ
14 ガルバノスキャナ
15 ダイヤモンド
16 ステージ
21 近赤外レーザ光
22 266nm波長変換レーザ光
23 走査レーザ光
24 収束レーザ光
25 収束スポット
26 走査線
31、41、42、281、282、283 溝
32 エッジ部分

Claims (12)

  1. ダイヤモンドの表面に波長266nmまたは258nmのレーザ光を照射して前記ダイヤモンドを加工することを特徴とするダイヤモンドの加工方法。
  2. レーザ光がLD励起近赤外線レーザの高調波によるレーザ光であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドの加工方法。
  3. ダイヤモンドの表面にNd:YVOレーザレーザもしくはNd:YAGレーザの第4高調波により得られる波長266nmのレーザ光またはYb:YAGレーザの第4高調波により得られる波長258nmのレーザ光を照射して、前記レーザ光を前記ダイヤモンドに含有されている固溶窒素に吸収させることを特徴とするダイヤモンドの加工方法。
  4. レーザ光を前記ダイヤモンド表面に集光し、切断すべき直線または曲線方向に走査すること特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドの加工方法。
  5. レーザ光を切断すべき直線または曲線に対し平行または近似的に平行に複数回走査してダイヤモンドに加工する溝幅を太く制御することを特徴とする請求項4に記載のダイヤモンドの加工方法。
  6. レーザ光の太さをダイヤモンドに加工する溝幅に制御することを特徴とする請求項4に記載のダイヤモンドの加工方法。
  7. レーザ光を複数回走査する際に、前記レーザ光のエネルギー条件を異ならせることを特徴とする請求項5に記載のダイヤモンドの加工方法。
  8. レーザ光の入射角を加工すべき形状に応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドの加工方法。
  9. 加工すべきダイヤモンドを支持するステージと、LD励起近赤外線レーザと、前記LD励起近赤外線レーザが発振するレーザ光を高調波変換する手段と、前記高調波変換されたレーザ光を集光させる集光手段と、前記集光されたレーザ光を加工すべき単結晶ダイヤモンドに走査する走査手段を有することを特徴とするダイヤモンドの加工装置。
  10. 集光手段がfθレンズであることを特徴とする請求項9に記載のダイヤモンドの加工装置。
  11. 走査手段がガルバノスキャナであることを特徴とする請求項9に記載のダイヤモンドの加工装置。
  12. 走査手段が前記ステージを2次元方向に移動させる手段であることを特徴とする請求項9に記載のダイヤモンドの加工装置。
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