JP2009166657A - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機からの動力により走行している最中のアクセルオフ時にシフトポジションが制動用ポジションに変更された際、内燃機関の回転抵抗による車両への制動力をより確実に作用させると共に発電機からのトルクが急変するのを抑制する。
【解決手段】所定時間内にエンジンのクランキング開始が判定されたときには(S120,S130)、バッテリの入力制限Winの範囲内でモータMG1によりエンジンをクランキングする(S200)。これにより、バッテリの入力制限Winより制限を課したBポジション用入力制限Winbなどで行なうものに比して、エンジンのモータリングをより確実に開始することができる。また、エンジンのクランキングが終了した以降は(S190)、Bポジション用入力制限Winbまで除変する入力制限の範囲内でエンジンをモータリングする(S220〜S260)。これにより、モータMG1のトルク変動を抑制することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、エンジンの出力軸にキャリアが接続された遊星歯車機構と、遊星歯車機構のサンギヤに接続された第1モータと、遊星歯車機構のリングギヤに接続された第2モータと、第1モータおよび第2モータと電力をやり取りするバッテリと、を備える車両が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、シフトレバーがアクセルオフ時にドライブレンジ(Dレンジ)よりも小さくなる(負側に大きくなる)駆動軸の要求トルクを設定するブレーキレンジ(Bレンジ)に操作されたときに、高車速になるほどエンジンが高い回転数に調整されるよう第1モータでエンジンをモータリングし、駆動軸にいわゆるエンジンブレーキを作用させようとしている。
特開2006−21622号公報
上述の車両では、エンジンブレーキを作用させるために、ブレーキレンジに操作された際にバッテリの入力制限より更に制限を課した見かけ上の入力制限を用いる場合がある。二つのモータから生じる電力の総和が見かけ上の入力制限の範囲内となるようにすると、例えば第1および第2モータが正回転している通常走行中にブレーキレンジに操作されエンジンを燃料カットして第2モータを回生駆動すると共に第1モータを力行駆動する際などに、第1モータの消費電力をより大きくするのにその回転数が高くなるよう第1モータから出力してもよいトルクの下限はより大きなものとなる。このとき、第1モータのトルクの下限に応じた第1モータの下限回転数に対応するエンジンの下限回転数を用いてエンジンがモータリングされるよう第1モータを制御すると、燃料カットしたエンジンは駆動軸に制動力を作用させる、即ち、エンジンブレーキが作用するものとなる。ところで、エンジンを運転停止して第2モータからの動力だけで走行している最中には、こうしてブレーキレンジに操作されたタイミングで見かけ上の入力制限を用いるものとすると、第1モータによりエンジンのモータリングを開始するためには遊星歯車機構の構成から負回転している第1モータからは発電を伴ってエンジンをクランキングするためのトルクを出力する必要があるにもかかわらず、見かけ上の入力制限によって十分なトルクが出力されなくなる場合が生じ得る。また、この場合、エンジンをクランキングすることができたとしても、バッテリの入力制限を見かけ上の入力制限に変更し対応するトルクの下限を用いて第1モータを制御すると、第1モータのトルク変動が生じ、場合によってはショックが生じてしまう。
本発明の車両は、電動機からの動力により走行している最中のアクセルオフ時にシフトポジションが制動用ポジションに変更された際に、内燃機関の回転抵抗による車両への制動力をより確実に作用させると共に発電機からのトルクが急変するのを抑制することを主目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、少なくとも上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
内燃機関と、
動力を入出力可能な発電機と、
車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を設定する入力制限設定手段と、
前記内燃機関を運転停止して前記電動機からの動力により走行している最中にアクセルオフされた状態でシフトポジションが通常の走行用のポジションよりもアクセルオフ時に大きな制動力が要求される走行用のポジションである制動用ポジションに変更された際、所定タイミング範囲のうちに前記内燃機関のモータリングを開始する所定の開始条件が成立していないときには前記設定された入力制限から該入力制限より制限を課した制動用入力制限まで徐々に変化する制限である除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関を運転停止した状態で走行に要求される要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定タイミング範囲のうちに前記所定の開始条件が成立したときには前記内燃機関のモータリングを開始する際における前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了するまでは前記設定された入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態および前記発電機から前記所定のクランキングトルクが出力された状態で前記要求制動力により走行し前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了した以降は前記除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態で前記発電機により前記内燃機関が所定のモータリング状態となると共に前記要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、内燃機関を運転停止して電動機からの動力により走行している最中にアクセルオフされた状態でシフトポジションが通常の走行用のポジションよりもアクセルオフ時に大きな制動力が要求される走行用のポジションである制動用ポジションに変更された際、所定タイミング範囲のうちに内燃機関のモータリングを開始する所定の開始条件が成立していないときには、蓄電手段の状態に基づく蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限からこの入力制限より制限を課した制動用入力制限まで徐々に変化する制限である除変時入力制限の範囲内で内燃機関を運転停止した状態で走行に要求される要求制動力により走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。また、所定タイミング範囲のうちに所定の開始条件が成立したときには、内燃機関のモータリングを開始する際における前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了するまでは蓄電手段の状態に基づく入力制限の範囲内で内燃機関への燃料噴射を停止した状態および発電機から前記所定のクランキングトルクが出力された状態で要求制動力により走行し、発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了した以降は除変時入力制限の範囲内で内燃機関への燃料噴射を停止した状態で発電機により内燃機関が所定のモータリング状態となると共に要求制動力により走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。したがって、所定タイミング範囲のうちに所定の開始条件が成立したときには、蓄電手段の状態に基づく入力制限の範囲内で発電機から所定のクランキングトルクを出力して内燃機関のモータリングを開始するから、制動用入力制限や除変時入力制限の範囲内で内燃機関のモータリングを開始するものに比して、内燃機関のモータリングをより確実に開始することができる。また、除変時入力制限の範囲内で発電機により内燃機関を所定のモータリング状態にするから、発電機からのトルクが急変するのを抑制することができる。しかも、内燃機関の燃料噴射を停止した状態で発電機から所定のクランキングトルクを出力したり発電機により内燃機関を所定のモータリング状態とするから、内燃機関の回転抵抗により車両に制動力を作用させることができる。この結果、電動機からの動力により走行している最中のアクセルオフ時にシフトポジションが制動用ポジションに変更された際に、内燃機関の回転抵抗による車両への制動力をより確実に作用させると共に発電機からのトルクが急変するのを抑制することができる。ここで、「所定タイミング範囲」としては、シフトポジションが制動用ポジションに変更された直後までのタイミングなどが含まれる。
こうした本発明の車両において、前記制御手段は、前記所定のモータリング状態として前記除変時入力制限に基づく前記発電機の下限トルクに応じた該発電機の下限回転数と前記駆動軸の回転数とに対応する前記内燃機関の目標回転数で前記内燃機関が回転する状態となるよう前記発電機を制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記制御手段は、前記所定タイミング範囲のうちに前記所定の開始条件が成立したときには前記除変時入力制限の大きさが小さくなるほど大きくなる前記発電機の下限トルクを用いて前記発電機を制御する手段であるものとすることもできる。これらによれば、内燃機関の回転抵抗による車両への制動力をより確実に作用させることができる。
また、本発明の車両において、車両に制動力を付与可能な制動力付与手段を備え、前記制御手段は、前記設定された入力制限または前記除変時入力制限の範囲内で前記要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記制動力付与手段とを制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、要求制動力により走行するのをより確実に行なうことができる。
本発明の車両の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
前記内燃機関を運転停止して前記電動機からの動力により走行している最中にアクセルオフされた状態でシフトポジションが通常の走行用のポジションよりもアクセルオフ時に大きな制動力が要求される走行用のポジションである制動用ポジションに変更された際、所定タイミング範囲のうちに前記内燃機関のモータリングを開始する所定の開始条件が成立していないときには前記蓄電手段の状態に基づく該蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限から該入力制限より制限を課した制動用入力制限まで徐々に変化する制限である除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関を運転停止した状態で走行に要求される要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定タイミング範囲のうちに前記所定の開始条件が成立したときには前記内燃機関のモータリングを開始する際における前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了するまでは前記蓄電手段の状態に基づく入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態および前記発電機から前記所定のクランキングトルクが出力された状態で前記要求制動力により走行し前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了した以降は前記除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態で前記発電機により前記内燃機関が所定のモータリング状態となると共に前記要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、内燃機関を運転停止して電動機からの動力により走行している最中にアクセルオフされた状態でシフトポジションが通常の走行用のポジションよりもアクセルオフ時に大きな制動力が要求される走行用のポジションである制動用ポジションに変更された際、所定タイミング範囲のうちに内燃機関のモータリングを開始する所定の開始条件が成立していないときには、蓄電手段の状態に基づく蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限からこの入力制限より制限を課した制動用入力制限まで徐々に変化する制限である除変時入力制限の範囲内で内燃機関を運転停止した状態で走行に要求される要求制動力により走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。また、所定タイミング範囲のうちに所定の開始条件が成立したときには、内燃機関のモータリングを開始する際における前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了するまでは蓄電手段の状態に基づく入力制限の範囲内で内燃機関への燃料噴射を停止した状態および発電機から前記所定のクランキングトルクが出力された状態で要求制動力により走行し、発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了した以降は除変時入力制限の範囲内で内燃機関への燃料噴射を停止した状態で発電機により内燃機関が所定のモータリング状態となると共に要求制動力により走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。したがって、所定タイミング範囲のうちに所定の開始条件が成立したときには、蓄電手段の状態に基づく入力制限の範囲内で発電機から所定のクランキングトルクを出力して内燃機関のモータリングを開始するから、制動用入力制限や除変時入力制限の範囲内で内燃機関のモータリングを開始するものに比して、内燃機関のモータリングをより確実に開始することができる。また、除変時入力制限の範囲内で発電機により内燃機関を所定のモータリング状態にするから、発電機からのトルクが急変するのを抑制することができる。しかも、内燃機関の燃料噴射を停止した状態で発電機から所定のクランキングトルクを出力したり発電機により内燃機関を所定のモータリング状態とするから、内燃機関の回転抵抗により車両に制動力を作用させることができる。この結果、電動機からの動力により走行している最中のアクセルオフ時にシフトポジションが制動用ポジションに変更された際に、内燃機関の回転抵抗による車両への制動力をより確実に作用させると共に発電機からのトルクが急変するのを抑制することができる。ここで、「所定タイミング範囲」としては、シフトポジションが制動用ポジションに変更された直後までのタイミングなどが含まれる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、駆動輪63a,63bや図示しない従動輪のブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図2に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力(ブレーキ圧)と車速とにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動トルクが駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みに無関係に、駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したりすることができるように構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以
下、ブレーキECUという)94により制御されている。ブレーキECU94は、駆動輪63a,63bや従動輪に取り付けられた図示しない車輪速センサからの駆動輪速や従動輪速,図示しない操舵角センサからの操舵角などの信号を入力して、運転者がブレーキペダル85を踏み込んだときに駆動輪63a,63bや従動輪のいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキシステム機能(ABS)や運転者がアクセルペダル83を踏み込んだときに駆動輪63a,63bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)なども行なう。ブレーキECU94は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ92を駆動制御したり、各車輪速に関する信号や必要に応じてブレーキアクチュエータ92の状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。なお、シフトポジションSPとしては、通常の前進走行用のドライブポジション(Dポジション)、アクセルオフ時の制動力が大きな前進走行用のブレーキポジション(Bポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、中立のニュートラルポジション(Nポジション)、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション)などがある。Bポジションは、前進走行する際にシフトレバー81がDポジションから操作された場合にのみ変更可能なポジションとなっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、モータ運転モードで走行(以下、モータ走行という)している最中にシフトポジションSPがBポジションに変更された際の動作について説明する。図4はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるアクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、モータ走行中にアクセルオフされた状態でシフトポジションSPがBポジションに変更されたときに所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、このルーチンの実行中は、エンジンECU24により、燃料噴射制御が停止されエンジン22を燃料カットした状態が保持されている。
アクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、シフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPやアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Wout,Bポジション時にバッテリ50を充電してもよい最大許容電力であるBポジション用入力制限Winbなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。Bポジション用入力制限Winbは、実施例では、バッテリECU52により電池温度Tbと残容量(SOC)とに基づいて通常設定されるバッテリ50の入力制限Winより十分に大きな(絶対値としては小さな)充電側の許容電力としてバッテリ50の定格により予め定められてROM74に記憶されたもの(例えば、−数kwなど)を用いるものとした。このようなBポジション用入力制限Winbを用いる理由については、説明の都合上、後述する。
こうしてデータを入力すると、入力したシフトポジションSPとアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、シフトポジションSPとアクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、シフトポジションSPとアクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。いま、アクセルオフされた状態でシフトポジションSPがBポジションに変更されたときを考えているから、図示するように、通常はシフトポジションSPがDポジションのときより負側すなわち制動側に大きなトルクが要求トルクTr*として設定される。
続いて、シフトポジションセンサ82によりDポジションからの変更が検出されてから所定時間が経過する前か否かと(ステップS120)、エンジン22への燃料噴射を伴わずにモータMG1によりエンジン22のクランキングを開始するか否かとを判定する(ステップS130)。ここで、所定時間は、運転者によるシフトレバー81の操作時間やクランキング開始の判定処理に必要な時間を考慮して予め定めた時間(例えば、数百mecなど)を用いるものとした。クランキング開始の判定は、燃料カットしたエンジン22をモータMG1によりモータリングして駆動軸としてのリングギヤ軸32aに制動力(以下、エンジンブレーキという)を作用させるか否かを判断するために行なうものであり、要求トルクTr*が負の値に設定されたときや、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nr(車速Vと換算係数との積)を乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算される要求パワーPe*が負の値に設定されたときなどに判定することができる。
所定時間が経過する前にエンジン22のクランキング開始が判定されないときには、エンジン22のクランキングを開始する可能性はまだあると判断して、入力したバッテリ50の入力制限Winを走行制御に用いる実行用入力制限Winfにそのまま設定し(ステップS140)、所定時間が経過したときには、エンジン22のクランキングを開始する可能性はもうないと判断して、入力したバッテリ50の入力制限WinからBポジション用入力制限Winbに向けてレート処理により徐々に大きくなる(絶対値としては小さくなる)充電側の許容電力を走行制御に用いる実行用入力制限Winfに設定する(ステップS150)。所定時間が経過する前にBポジション用入力制限Winbに向けて実行用入力制限Winfを除変しないものとしたのは、後述するように、所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されるとバッテリ50の入力制限Winをそのまま用いる制御を行なうことから、所定時間内はクランキング開始の判定結果を待つ状態とするためである。
続いて、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS160)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることによりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを計算すると共に(ステップS170)、設定した実行用入力制限Winfとバッテリ50の出力制限WoutをそれぞれモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを次式(1)および式(2)により計算し(ステップS180)、計算した仮トルクTm2tmpを式(3)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS290)。
Tm2min=Winf/Nm2 (1)
Tm2max=Wout/Nm2 (2)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max),Tm2min) (3)
こうしてモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信し(ステップS300)、要求トルクTr*からモータMG2のトルク指令Tm2*にギヤ比Grを乗じたものを減じて油圧ブレーキによりリングギヤ軸32aに作用させるブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信し(ステップS310)、アクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。また、ブレーキトルク指令Tb*を受信したブレーキECU94は、駆動軸としてのリングギヤ軸32aにブレーキトルク指令Tb*に相当する制動トルクが作用するようブレーキアクチュエータ92を制御する。こうした制御により、所定時間内にエンジン22のクランキングを開始するまでは、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力してモータ走行することができ、所定時間を超えたことによりエンジン22のクランキングが開始されないものとなったときには、Bポジション用入力制限Winbに向けて除変する実行用入力制限Winfおよびバッテリ50の出力制限Woutの範囲内でリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力してモータ走行することができる。
ステップS120でエンジン22のクランキング開始が判定されたときには、エンジン22のクランキングを終了するか否かを判定する(ステップS190)。エンジン22のクランキング開始が判定された直後にはクランキング終了とは判定されず、バッテリ50の入力制限Winを実行用入力制限Winfにそのまま設定し(ステップS200)、クランキング用のトルクマップとクランキング開始からの経過時間tとに基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS210)。ここで、バッテリ50の入力制限Winを実行用入力制限Winfにそのまま設定するのは、モータ走行中に負回転しているモータMG1からエンジン22をクランキングするためのトルクを出力すると発電電力が生じるため、Bポジション用入力制限Winbやこれに向けて除変する値などのバッテリ50の入力制限Winより制限を課した値を用いないものとすることにより、エンジン22をクランキングするのに必要なトルクをより確実に出力できるようにするためである。さらに、エンジン22のクランキング時にモータMG1のトルク指令Tm1*に設定するトルクマップの一例とエンジン22の回転数Neの変化の様子の一例とを図6に示す。実施例のトルクマップは、エンジン22のクランキング開始が判定された時間t11の直後からレート処理を用いて比較的大きなトルクをトルク指令Tm1*に設定してエンジン22の回転数Neを迅速に増加させる。エンジン22の回転数Neが共振回転数帯を通過した以降に回転数Neが所定回転数Nrefに至った時間t12からレート処理を用いてトルク指令Tm1*を値0とし、トルク指令Tm1*が値0に至った時間t13にエンジン22のクランキングを終了する。ここで、所定回転数Nrefは、エンジン22のクランクシャフト26を安定して回転させることができる下限値近傍の回転数として、例えば900rpmや1000rpmなどを用いることができる。いま、エンジン22のクランキングを開始した直後を考えると、モータMG1のトルク指令Tm1*にはレート処理に用いるレート値が設定されるものとなる。なお、ステップS190のクランキング終了は、実施例では、図6のトルクマップによりモータMG1のトルク指令Tm1*が値0に至ったとき(時間t13)に判定するものとした。
こうしてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると、要求トルクTr*とモータMG1のトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを次式(4)により計算し(ステップS270)、設定した実行用入力制限Winfおよびバッテリ50の出力制限WoutとモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを式(5)および式(6)により計算すると共に(ステップS280)、計算したトルク制限Tm2min,Tm2maxで仮トルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS290)。モータ走行中にリングギヤ軸32aにエンジンブレーキを作用させるためにエンジン22への燃料噴射を伴わずにエンジン22のクランキングを開始したときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。R軸上の2つの太線矢印は、エンジン22の回転抵抗に伴うフリクショントルクTeによりモータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルク(−Tm1/ρ)とモータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルク(Tm2・Gr)とを示す。式(4)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (4)
Tm2min=(Winf-Tm1*・Nm1)/Nm2 (5)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (6)
こうしてモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信し(ステップS300)、要求トルクTr*とモータMG2のトルク指令Tm2*とに基づいてブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信し(ステップS310)、アクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンを終了する。こうした制御により、エンジン22のクランキングを開始してから終了するまでは、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でエンジン22の燃料噴射を伴わずにモータMG1によりエンジン22をクランキングして駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力しモータ走行することができる。エンジン22のクランキングを終了する前に回転数Neが所定回転数Nrefに至ったときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図8に示す。図7の共線図の状態から図8の共線図の状態に至るまでは、モータMG1によるエンジン22のクランキングによって、エンジン22のフリクショントルクTeはリングギヤ軸32aに制動力として作用するが、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nref未満の小さいうちはフリクショントルクTeも小さいため、この制動力は比較的小さい。このため、運転者の要求に応じたエンジンブレーキをリングギヤ軸32aに作用させるには、車速Vにもよるが、モータMG1により更に回転数Neを上昇させるようエンジン22をモータリングする必要がある。したがって、図8の共線図の状態は、運転者の要求に応じたエンジンブレーキをリングギヤ軸32aに作用させる準備が行なわれた状態ということができる。
ステップS190でエンジン22のクランキング終了が判定されたときには、運転者の要求に応じたエンジンブレーキをリングギヤ軸32aに作用させる準備が行なわれたと判断し、バッテリ50の入力制限WinからBポジション用入力制限Winbに向けてレート処理により徐々に大きくなる(絶対値としては小さくなる)充電側の許容電力を実行用入力制限Winfに設定し(ステップS220)、モータMG1から出力するトルクTm1とモータMG2から出力するトルクTm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grと設定した実行用入力制限Winfおよびバッテリ50の出力制限Woutとを用いて式(7)および式(8)を共に満たすモータMG1から出力してもよいトルクの上下限としての上下限トルクTm1max,Tm1minを設定する(ステップS230)。ここで、式(7)はモータMG1やモータMG2によりリングギヤ軸32aに出力されるトルクの総和が負側すなわち制動側の要求トルクTr*となる関係であり、式(8)はモータMG1とモータMG2とにより入出力される電力の総和が実行用入力制限Winfおよび出力制限Woutの範囲内となる関係である。式(7)は、前述した図8の共線図から容易に導くことができる。図9に、式(7)および式(8)を用いてモータMG1の上下限トルクTm1max,Tm1minを設定する様子の一例を示す。上下限トルクTm1max,Tm1minは、図示するように、式(7)の関係上で式(8)を満たすトルクTm1の最大値と最小値として定めることができる。なお、図中、破線は式(8)中の実行用入力制限「Winf」に代えてバッテリ50の入力制限「Win」を用いた場合の関係を示し、一点鎖線は式(8)中の実行用入力制限「Winf」に代えてBポジション用入力制限「Winb」を用いた場合の関係を示す。
−Tm1/ρ+Tm2・Gr=Tr*(<0) (7)
Winf≦Tm1・Nm1+Tm2・Nm2≦Wout (8)
こうしてモータMG1の上下限トルクTm1max,Tm1minを設定すると、設定した上下限トルクTm1max,Tm1minとモータMG1の回転数Nm1とを用いてモータMG1に許容される上下限回転数Nm1max,Nm1minを次式(9)のうち右辺第3項を用いないものにより、即ち式(10)および式(11)により計算する(ステップS240)。ここで、式(9)は、モータMG1の目標回転数Nm1*が設定されたときにモータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるための関係式としてモータMG1のトルク指令Tm1*を求めるフィードバック制御の式であり、式(9)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。式(10)および式(11)のように積分項を用いずに上下限回転数Nm1max,Nm1minを計算するのは、計算を容易に行なうためである。
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (9)
Tm1max=前回Tm1*+k1(Nm1max-Nm1) (10)
Tm1min=前回Tm1*+k1(Nm1min-Nm1) (11)
続いて、計算した下限回転数Nm1minとリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(12)によりエンジン22に許容される下限回転数Neminを計算してそのままエンジン22の目標回転数Ne*に設定する(ステップS250)。ここで、式(12)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。式(12)は、前述した図8の共線図のモータMG1の回転数「Nm1」に代えて下限回転数「Nm1min」を用いれば容易に導くことができる。なお、モータMG1の上限回転数Nm1maxに応じたエンジン22の上限回転数Nemaxを考慮することなく目標回転数Ne*を設定するのは、いまはモータ走行中にリングギヤ軸32aにエンジンブレーキを作用させることを考えており、運転者の要求じ応じた制動力を出力するために、エンジン22の回転数Neをそのクランキングを終了する際の所定回転数Nref近傍から高くする場合を考えればよいためである。
Ne*=Nemin=(ρ・Nm1min+Nm2/Gr)/(1+ρ) (12)
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(13)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて前述の式(9)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS260)。そして、要求トルクTr*とモータMG1のトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてモータMG2の仮トルクTm2tmpを計算し(ステップS270)、設定した実行用入力制限Winfおよびバッテリ50の出力制限WoutとモータMG1のトルク指令Tm1*とモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2とを用いてトルク制限Tm2min,Tm2maxを計算すると共に(ステップS280)、計算したトルク制限Tm2min,Tm2maxで仮トルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS290)。こうしてモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信し(ステップS300)、要求トルクTr*とモータMG2のトルク指令Tm2*とに基づいてブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信し(ステップS310)、アクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンを終了する。こうした制御により、エンジン22のクランキングを終了した以降は、Bポジション用入力制限Winbに向けて除変する実行用入力制限Winfおよびバッテリ50の出力制限Woutの範囲内でエンジン22の燃料噴射を伴わずにエンジン22をモータリングしながら駆動軸としてのリングギヤ軸32aにエンジンブレーキを作用させて要求トルクTr*を出力しモータ走行することができる。
Nm1*=(Ne*・(1+ρ)-Nm2/Gr)/ρ (13)
ここで、Bポジション用入力制限Winbを用いる理由を説明する。エンジン22のクランキングが終了した以降は、図4のステップS230の処理の説明として図9に示したように、バッテリ50の入力制限Winから除変する実行用入力制限Winfにより最終的にBポジション用入力制限Winbを用いてモータMG1の下限トルクTm1minを設定すると、ステップS240でモータMG1の下限回転数Nm1minが高くなると共に、ステップS250でエンジン22の下限回転数Neminとしての目標回転数Ne*も高くなり、ステップS260でこの目標回転数Ne*をもって燃料カットしたエンジン22がモータリングされるようトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を制御すると、リングギヤ軸32aにはエンジンブレーキが作用する。こうしてエンジンブレーキを作用させるために、シフトポジションSPがBポジションのときには、バッテリ50の入力制限Winより制限を課したBポジション用入力制限Winbを用いた制御を行なうのである。ただし、シフトポジションSPがBポジションのときであっても、ステップS200の処理で説明したように、エンジン22のクランキング中は、Bポジション用入力制限Winbを用いてエンジン22をクランキングしようとするとモータMG1からエンジン22をクランキングするのに必要なトルクが出力されない場合が生じ得ることから、バッテリ50の入力制限Winを実行用入力制限Winfにそのまま用いた制御を行なうのである。これにより、モータMG1によるエンジン22のクランキング、即ちモータリングの開始をより確実に行なうことができる。さらに、エンジン22のクランキングが終了したときであっても、図9に白抜き矢印で示すように、バッテリ50の入力制限Winに代えて除変する入力制限を用いることなくBポジション用入力制限Winbを用いるものとすると、ステップS230〜S260の処理によりモータMG1のトルク指令Tm1*が急増し、エンジン22の回転数Neの急増によるショックなどの違和感を運転者に与えてしまう場合が生じ得ることから、バッテリ50の入力制限WinからBポジション用入力制限Winbに向けて除変する実行用入力制限Winfを用いた制御を行なうのである。このため、除変する実行用入力制限Winfを設定する際のレート値としては、運転者にショックなどを与えない程度の値として予め実験により求めた値を用いることができる。これにより、モータMG1のトルクが急変するのを抑制し、運転者にショックなどの違和感を与えるのを抑制することができる。しかも、燃料カットしたエンジン22をモータMG1によりクランキングしたり下限トルクTm1minを用いてモータリングするから、駆動軸としてのリングギヤ軸32aにエンジンブレーキを作用させることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されたときには、バッテリ50の入力制限Winの範囲内でモータMG1によりエンジン22をクランキングするから、Bポジション用入力制限Winbやこれに向けて除変する入力制限の範囲内でエンジン22をモータリングするものに比して、エンジン22のモータリングをより確実に開始することができる。また、エンジン22のクランキングが終了した以降は、バッテリ50の入力制限Winからこれより制限を課したBポジション用入力制限Winbまで除変する実行用入力制限Winfの範囲内でエンジン22をこの実行用入力制限Winfに基づく目標回転数Ne*でモータリングする状態とするから、モータMG1のトルク変動を抑制することができる。しかも、燃料カットしたエンジン22をモータMG1によりクランキングしたり実行用入力制限Winfに基づくモータMG1の下限トルクTm1minに応じた下限回転数Nm1minとリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)とに対応するエンジン22の下限回転数Neminとしての目標回転数Ne*でエンジン22が回転するようモータMG1によりエンジン22をモータリングするから、駆動軸としてのリングギヤ軸32aにエンジンブレーキをより確実に作用させることができる。また、モータMG2からリングギヤ軸32aに作用するトルク(Tm2*・Gr)によっては要求トルクTr*に満たないトルクを制動トルクとして油圧ブレーキにより出力するから、要求トルクTr*により走行するのをより確実に行なうことができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からリングギヤ軸32aに作用するトルク(Tm2*・Gr)によっては要求トルクTr*に満たないトルクを制動トルクとして油圧ブレーキにより出力するものとしたが、油圧ブレーキを用いる制御を行なわないものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の入力制限WinからBポジション用入力制限Winfに向けて徐々に大きくなる(絶対値としては小さくなる)実行用入力制限Winfをレート処理により設定するものとしたが、なまし処理などの他の緩変化処理により設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、リングギヤ軸32aにモータMG2を直接取り付けるものとしてもよいし、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図10における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の列車などの車両の形態や、車両の制御方法の形態としても構わない。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づくバッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充電してもよい最大許容電力である入力制限Winを演算するバッテリECU52が「入力制限設定手段」に相当し、エンジン22を運転停止してモータ走行中にアクセルオフされた状態でシフトポジションSPがBポジションに変更された際に、シフトポジションセンサ82によりDポジションからの変更が検出されてから所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されないときにはバッテリ50の入力制限Winからこれより制限を課したBポジション用入力制限Winbまで除変する実行用入力制限Winfの範囲内でモータ走行するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信する図4のアクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンのステップS120,S150〜S180,S290,S300の処理と、所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されたときにクランキング終了が判定されるまではバッテリ50の入力制限Winをそのまま設定した実行用入力制限Winfの範囲内でエンジン22をクランキングするよう図6のトルクマップを用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し要求トルクTr*により走行するようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する図4のアクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンのステップS120,S130,S190〜S210,S270〜S300の処理と、所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されたときにクランキング終了が判定された以降はバッテリ50の入力制限WinからBポジション用入力制限Winbまで除変する実行用入力制限Winfの範囲内でこの実行用入力制限Winfに基づくエンジン22の目標回転数Ne*をもってエンジン22がモータリングされると共に要求トルクTr*により走行するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信する図4のアクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンのステップS120,S130,S190,S220〜S300の処理とを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、受信したトルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、アクセルオフ時モータ走行制御ルーチンの実行中は燃料カットしたエンジン22の状態を保持するエンジンECU24とが「制御手段」に相当する。また、ブレーキマスターシリンダ90と駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に制動力を作用させるブレーキアクチュエータ92とブレーキECU94とブレーキホイールシリンダ96a〜96dとから構成されるものが「制動力付与手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるされるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機であっても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、発電機および電動機と電力のやり取りが可能であれば如何なるものとしても構わない。「入力制限設定手段」としては、バッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいて入力制限Winを演算するものに限定されるものではなく、残容量(SOC)や電池温度Tbの他に例えばバッテリ50の内部抵抗などに基づいて演算するものなど、蓄電手段の状態に基づいて蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、エンジン22を運転停止してモータ走行中にアクセルオフされた状態でシフトポジションSPがBポジションに変更された際に、シフトポジションセンサ82によりDポジションからの変更が検出されてから所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されないときにはバッテリ50の入力制限Winからこれより制限を課したBポジション用入力制限Winbまで除変する実行用入力制限Winfの範囲内でモータ走行するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されたときにクランキング終了が判定されるまではバッテリ50の入力制限Winをそのまま設定した実行用入力制限Winfの範囲内でエンジン22をクランキングするよう図6のトルクマップを用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し要求トルクTr*により走行するようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、所定時間内にエンジン22のクランキング開始が判定されたときにクランキング終了が判定された以降はバッテリ50の入力制限WinからBポジション用入力制限Winbまで除変する実行用入力制限Winfの範囲内でこの実行用入力制限Winfに基づくエンジン22の目標回転数Ne*をもってエンジン22がモータリングされると共に要求トルクTr*により走行するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2を制御したり、燃料カットしたエンジン22の状態を保持するものに限定されるものではなく、内燃機関を運転停止して電動機からの動力により走行している最中にアクセルオフされた状態でシフトポジションが通常の走行用のポジションよりもアクセルオフ時に大きな制動力が要求される走行用のポジションである制動用ポジションに変更された際、所定タイミング範囲のうちに内燃機関のモータリングを開始する所定の開始条件が成立していないときには設定された入力制限から該入力制限より制限を課した制動用入力制限まで徐々に変化する制限である除変時入力制限の範囲内で内燃機関を運転停止した状態で走行に要求される要求制動力により走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御し、所定タイミング範囲のうちに所定の開始条件が成立したときには内燃機関のモータリングを開始する際における発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了するまでは設定された入力制限の範囲内で内燃機関への燃料噴射を停止した状態および発電機から所定のクランキングトルクが出力された状態で要求制動力により走行し発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了した以降は除変時入力制限の範囲内で内燃機関への燃料噴射を停止した状態で発電機により内燃機関が所定のモータリング状態となると共に要求制動力により走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「制動力付与手段」としては、ブレーキマスターシリンダ90とブレーキアクチュエータ92とブレーキECU94とブレーキホイールシリンダ96a〜96dとから構成されるものに限定されるものではなく、車両に制動力を付与可能なものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるアクセルオフBポジション時モータ走行制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22のクランキング時にモータMG1のトルク指令Tm1*に設定するトルクマップの一例とエンジン22の回転数Neの変化の様子の一例とを示す説明図である。 モータ走行中にリングギヤ軸32aにエンジンブレーキを作用させるためにエンジン22への燃料噴射を伴わずにエンジン22のクランキングを開始したときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 エンジン22のクランキングを終了する前に回転数Neが所定回転数Nrefに至ったときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 モータMG1の上下限トルクTm1min,Tm1maxを設定する様子を説明する説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、MG1,MG2 モータ。

Claims (5)

  1. 内燃機関と、
    動力を入出力可能な発電機と、
    車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
    前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限を設定する入力制限設定手段と、
    前記内燃機関を運転停止して前記電動機からの動力により走行している最中にアクセルオフされた状態でシフトポジションが通常の走行用のポジションよりもアクセルオフ時に大きな制動力が要求される走行用のポジションである制動用ポジションに変更された際、所定タイミング範囲のうちに前記内燃機関のモータリングを開始する所定の開始条件が成立していないときには前記設定された入力制限から該入力制限より制限を課した制動用入力制限まで徐々に変化する制限である除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関を運転停止した状態で走行に要求される要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定タイミング範囲のうちに前記所定の開始条件が成立したときには前記内燃機関のモータリングを開始する際における前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了するまでは前記設定された入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態および前記発電機から前記所定のクランキングトルクが出力された状態で前記要求制動力により走行し前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了した以降は前記除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態で前記発電機により前記内燃機関が所定のモータリング状態となると共に前記要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記制御手段は、前記所定のモータリング状態として前記除変時入力制限に基づく前記発電機の下限トルクに応じた該発電機の下限回転数と前記駆動軸の回転数とに対応する前記内燃機関の目標回転数で前記内燃機関が回転する状態となるよう前記発電機を制御する手段である請求項1記載の車両。
  3. 前記制御手段は、前記所定タイミング範囲のうちに前記所定の開始条件が成立したときには前記除変時入力制限の大きさが小さくなるほど大きくなる前記発電機の下限トルクを用いて前記発電機を制御する手段である請求項2記載の車両。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載された車両であって、
    車両に制動力を付与可能な制動力付与手段を備え、
    前記制御手段は、前記設定された入力制限または前記除変時入力制限の範囲内で前記要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記制動力付与手段とを制御する手段である、
    車両。
  5. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
    前記内燃機関を運転停止して前記電動機からの動力により走行している最中にアクセルオフされた状態でシフトポジションが通常の走行用のポジションよりもアクセルオフ時に大きな制動力が要求される走行用のポジションである制動用ポジションに変更された際、所定タイミング範囲のうちに前記内燃機関のモータリングを開始する所定の開始条件が成立していないときには前記蓄電手段の状態に基づく該蓄電手段を充電する際の最大許容電力としての入力制限から該入力制限より制限を課した制動用入力制限まで徐々に変化する制限である除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関を運転停止した状態で走行に要求される要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定タイミング範囲のうちに前記所定の開始条件が成立したときには前記内燃機関のモータリングを開始する際における前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了するまでは前記蓄電手段の状態に基づく入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態および前記発電機から前記所定のクランキングトルクが出力された状態で前記要求制動力により走行し前記発電機からの所定のクランキングトルクの出力が終了した以降は前記除変時入力制限の範囲内で前記内燃機関への燃料噴射を停止した状態で前記発電機により前記内燃機関が所定のモータリング状態となると共に前記要求制動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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