JP2009165339A - 充電制御装置及び充電制御システム - Google Patents

充電制御装置及び充電制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】クランク軸の回転変動を十分に低減でき、失火にともない生じる回転速度の落ち込みを抑制できる充電制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関のクランク軸の回転力により駆動して発電するACG(発電機)に発電させる発電オン状態と、ACGによる発電を停止させる発電オフ状態とを切り替えるよう、レギュレータ(充電回路)の作動を切り替える切替手段S40と、クランク軸の瞬時回転速度を算出する瞬時回転速度算出手段S20と、を備える。そして切替手段S40は、回転加速度がマイナスとなる瞬時回転速度の上昇時(S40:NO)には発電オン状態に切り替え、回転加速度がマイナスとなる瞬時回転速度の下降時(S40:YES)には発電オフ状態に切り替える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関のクランク軸の回転力により発電して充電する充電装置に適用された充電制御装置及びそのシステムに関するものであり、特に、二輪車両に搭載された充電制御装置に用いて好適なものである。
従来、この種の充電制御装置が適用される充電装置は、内燃機関のクランク軸の回転力により駆動して発電する発電機と、発電機にて発電した電力をバッテリに充電させる充電回路と、を備えている。
ここで、クランク軸の瞬時回転速度は、内燃機関の1燃焼サイクル中に爆発行程又は排気行程にてピークとなるよう変動(以下、回転変動と呼ぶ)するものである。そこで、特許文献1,2等に記載の充電制御装置では、このような回転変動を抑制させるべく以下の制御を行っている。
すなわち、特許文献1記載の制御では、1燃焼サイクル中の平均回転速度を瞬時回転速度が上回っている時には、発電機に発電させるよう充電回路を作動させることで、発電負荷により瞬時回転速度の低下を図る。一方、瞬時回転速度が平均回転速度を下回っている時には、発電機による発電を停止させるよう充電回路を作動させることで、発電負荷発生を回避して瞬時回転速度の低下抑制を図る。
また、特許文献2に記載の制御では、1燃焼サイクルにおいて瞬時回転速度が高くなる燃焼行程から排気行程にかけてのクランク角度範囲を予め設定しておき、クランク角度がその設定範囲にある時には、発電機に発電させるよう充電回路を作動させることで、発電負荷により瞬時回転速度の低下を図る。一方、クランク角度が設定範囲外にある時には、発電機による発電を停止させるよう充電回路を作動させることで、発電負荷発生を回避して瞬時回転速度の低下抑制を図る。
特開平6−247186号公報 特開2006−266110号公報
しかしながら、特許文献1記載の制御では、瞬時回転速度が下降している時であっても、瞬時回転速度が平均回転速度を上回っていれば発電機に発電させてしまうので、このような高回転下降期間においては瞬時回転速度の下降が発電負荷により促進されてしまう。また、瞬時回転速度が上昇している時であっても、瞬時回転速度が平均回転速度を下回っていれば発電機による発電を停止させてしまうので、このような低回転上昇期間においては瞬時回転速度の上昇を発電負荷で抑制することができない。よって、回転変動を十分に低減することができない。
一方、特許文献2記載の制御では、クランク角度が設定範囲にある時には、燃焼が不安定で爆発行程にて失火した時であっても発電機に発電させてしまう。その結果、失火にともない生じる回転速度の落ち込みが、発電負荷によりさらに増大してしまうこととなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、クランク軸の回転変動を十分に低減でき、失火にともない生じる回転速度の落ち込みを抑制できる充電制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、内燃機関のクランク軸の回転力により駆動して発電する発電機と、前記発電機にて発電した電力をバッテリに充電させる充電回路と、を備える充電装置に適用され、
前記発電機に発電させる発電オン状態と、前記発電機による発電を停止させる発電オフ状態とを切り替えるよう、前記充電回路の作動を切り替える切替手段と、
前記クランク軸の瞬時回転速度を算出する瞬時回転速度算出手段と、
を備え、
前記切替手段は、前記瞬時回転速度が上昇している時には前記発電オン状態に切り替え、前記瞬時回転速度が下降している時には前記発電オフ状態に切り替えることを特徴とする。
これによれば、瞬時回転速度の大きさに拘わらず瞬時回転速度が下降している時には発電オフ状態に切り替えるので、前述した高回転下降期間における発電負荷の発生を回避して、瞬時回転速度の下降を抑制できる。また、瞬時回転速度が上昇している時には発電オン状態に切り替えるので、前述した低回転上昇期間に発電負荷を生じさせて、瞬時回転速度の上昇を抑制できる。よって、回転変動を十分に低減できる。
さらに本発明によれば、瞬時回転速度が下降している時には発電オフ状態に切り替えるので、爆発行程にて失火して回転速度が落ち込む時には発電オフ状態に切り替えられることとなる。よって、失火にともない生じる回転速度の落ち込みが発電負荷によりさらに増大してしまうことを回避できる。
請求項2記載の発明では、前記内燃機関の出力を走行駆動源とする車両の走行加速度が、予め設定された設定値を超えた加速走行状態であるか否かを判定する加速走行判定手段を備え、前記加速走行状態であると判定された場合には、前記切替手段は、前記瞬時回転速度が上昇している時であっても前記発電オフ状態に切り替えることを特徴とする。
これによれば、加速走行状態の時には発電負荷の発生を回避して、車両の加速性を向上できる。換言すれば、高負荷運転時には回転変動抑制よりも加速性向上を優先させるようにすることを、設定値を好適に設定することで容易に実現できる。
ここで、例えば運転者が加速要求すべくアクセルグリップを回動操作した場合、スロットルバルブ開度は急激に大きくなるとともに回転速度は急激に上昇する。よって、加速走行判定手段により加速走行状態であるか否かを判定するにあたり、請求項3記載の如く回転速度の変化量及びスロットルバルブ開度の変化量のうち少なくとも一方の値に基づき判定すれば、その判定を容易に行うことができる。
請求項4記載の発明では、前記設定値は、前記クランク軸の回転速度ごとに異なる値に設定されていることを特徴とする。これによれば、加速走行時に回転変動抑制よりも加速性向上を優先させるか否かの閾値となる前記設定値を、回転速度ごとに異なる値に設定するので、回転変動抑制及び加速性向上のいずれを優先させるかを、回転速度ごとにきめ細かく設定できる。
請求項5記載の発明では、前記加速走行状態であると判定されて前記切替手段により前記発電オフ状態に切り替えられた場合、その切り替えの時点から所定時間が経過するまで又は前記クランク軸が所定クランク角度回転するまで、前記加速走行判定手段の判定結果に拘わらず前記発電オフ状態を継続させることを特徴とする。
これによれば、走行加速度が設定値を超えて発電オフ状態に切り替えた後、走行加速度が直ぐに設定値を下回る状況の場合であっても、所定時間又は所定クランク角度回転するまでは発電オフ状態が継続されるので、発電負荷発生の回避による車両加速性向上の前記効果を促進できる。
上記請求項5記載の発明を実現させるにあたり、スロットルバルブ開度等に基づき要求される走行加速度を算出し、その算出値に応じて前記所定時間又は前記所定クランク角度を設定すればよい。但し、この場合には、スロットルバルブ開度検出センサ等の、要求加速度を検出するセンサが必要となる。これに対し請求項6記載の発明によれば、前記所定クランク角度を、次回の爆発行程開始までの角度とすることを特徴とするので、前記センサを不要にしつつ車両加速性向上の前記効果を促進できる。
請求項7記載の発明では、前記クランク軸の回転速度を減速させるよう運転者が操作しているか否かを判定する減速操作判定手段を備え、前記減速操作していると判定された場合には、前記切替手段は、前記瞬時回転速度が下降している時であっても前記発電オン状態に切り替えることを特徴とする。
これによれば、例えば内燃機関を走行駆動源とする車両において、運転者が意図的に減速操作している時には発電負荷を生じさせて、車両の減速性を向上できるとともに減速エネルギを無駄なく電気エネルギとして充電させることができる。換言すれば、意図的な減速操作時には回転変動抑制よりも減速性向上及び回生充電を優先させることができる。
ここで、例えば運転者が減速要求すべくアクセルグリップを操作した場合やブレーキ操作をした場合、スロットルバルブ開度は急激に小さくなるとともに回転速度は急激に下降する。よって、減速操作判定手段により減速操作の有無を判定するにあたり、請求項8記載の如く回転速度の変化量及びスロットルバルブ開度の変化量のうち少なくとも一方の値に基づき判定すれば、その判定を容易に行うことができる。
請求項9記載の発明では、前記充電装置には、前記バッテリへの過充電を防止するよう作動するレギュレータが備えられており、前記切替手段は、過充電を防止するよう前記レギュレータを作動させることにより前記発電オフ状態に切り替えることを特徴とする。これによれば、発電オフ状態に切り替えるための回路手段をレギュレータに兼ねさせることができるので、その回路手段をレギュレータとは別に専用に備えさせる場合に比べて回路構成を簡素にできる。
請求項10記載の発明では、前記瞬時回転速度を微分演算して瞬時加速度を算出する瞬時加速度算出手段を備え、前記瞬時加速度の値の正負に基づき前記瞬時回転速度が上昇及び下降のいずれであるかを検出することを特徴とする。よって、例えばマイクロコンピュータを用いて瞬時回転速度の上昇、下降を検出するにあたり、マイコンの処理内容を簡素にできる。
請求項11記載の発明では、前記瞬時回転速度算出手段は、前記クランク軸の回転速度を検出する回転速度センサから検出値を取得する手段と、取得した前記検出値に対してなまし処理を行う手段と、前記なまし処理が施された回転速度の値に基づき前記瞬時回転速度を算出する手段と、を有することを特徴とする。
これによれば、検出値の急激な変化がなまし処理により緩和される。そして、このように緩和された回転速度の値に基づき瞬時回転速度を算出するので、ノイズ等による検出値の急激な変化が瞬時回転速度の算出結果に与える影響を低減できる。
なお、本明細書において「なまし処理」は時系列データを平滑化する演算処理に相当し、同なまし処理には単純移動平均、加重移動平均、指数平滑移動平均などの移動平均処理が含まれる。例えば、回転速度センサから取得した検出値のうち最新値及び過去値(過去n回までの値)を用いて平均化するようなまし処理を実行すればよい。
また、上記請求項11記載の発明を実施するにあたり、前記検出値をなまし処理し、これにより得られたなまし値に基づき瞬時回転速度を算出するようにしてもよいし、前記検出値から瞬時回転速度を算出し、この算出値をなまし処理して得られたなまし値を、瞬時回転速度算出手段による算出結果としてもよい。
なお、回転速度センサから取得した検出値のサンプリング時間が長くなる程、なまし処理を実行しなくても検出値の急激な変化が瞬時回転速度の算出結果に与える影響が小さくなるので、サンプリング時間が所定時間以上である場合にはなまし処理の実行を中止するようにしてもよい。
請求項12記載の発明では、前記切替手段は、前記発電機による交流出力波形の正電圧半波及び負電圧半波の一方の半波に対しては、前記瞬時回転速度が下降している時に前記発電オフ状態に切り替え、前記正電圧半波及び前記負電圧半波の他方の半波に対しては、前記瞬時回転速度が下降している時に前記発電オフ状態に切り替える制御を実施しないことを特徴とする。
これによれば、車両に搭載された電気負荷(例えば、マイクロコンピュータ、ヘッドランプ、各種アクチュエータ等)のうち電力の安定供給が要求される電気負荷に対して、発電オフ状態に制御することを中止する側の半波(つまり常時発電オン状態にする側の半波)を振り分けて電力供給すれば、当該電気負荷への電力安定供給を図ることができる。具体的には、請求項13記載の如く、前記正電圧半波及び前記負電圧半波のうち前記発電オフ状態への制御が実施されない半波を、車両に搭載されたヘッドランプの電力供給源として振り分けることが望ましい。
請求項14記載の発明では、前記発電機による交流出力波形を全波整流して出力する整流回路を備え、前記切替手段は、前記交流出力波形のうち前記整流回路により整流して出力する期間と出力を停止させる期間とを切替制御することにより、前記発電オン状態と前記発電オフ状態とを切り替えることを特徴とする。
これによれば、交流出力波形に含まれる正電圧半波及び負電圧半波の両方に対して発電状態をオン/オフ切り替えすることを容易に実現できる。よって、正電圧半波及び負電圧半波の一方のみに対してオン/オフ切替する場合に比べて、発電負荷発生により瞬時回転速度の下降が促進されてしまうことの抑制、及び発電量増大といった効果を促進できる。
請求項15記載の発明は、上記充電制御装置と、内燃機関のクランク軸の回転力により駆動して発電する発電機、バッテリ、及び前記発電機にて発電した電力を前記バッテリに充電させる充電回路の少なくとも1つと、を備えることを特徴とする充電制御システムである。この充電制御システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る充電制御装置は、エンジン(内燃機関)を走行駆動源とする自動二輪車両に搭載された充電装置を制御対象としており、図1の電気ブロック図に示すECU10(電子制御ユニット)により構成されている。ECU10は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなる図示しないマイクロコンピュータを主体として構成されている。なお、当該ECU10は、充電装置による充電状態を制御(詳細は後述)する他に、以下に説明する如くエンジンの運転状態をも制御している。
すなわち、ECU10には、図示しないアクセルグリップの回動操作量を検出するアクセル操作量センサ13の検出信号ACC、及び図示しないクランク軸の回転速度を検出する回転速度センサ14の検出信号NEが入力されている。そして、ECU10は、これらの検出信号ACC,NE等に基づき、吸気量、燃料噴射量及び噴射時期等を制御している。
具体的には、ECU10は、燃料噴射弁(図示せず)の噴射孔を開閉させるアクチュエータ(ソレノイド11)の作動を制御することで、燃料の噴射量及び噴射時期を制御している。ちなみに、燃料噴射弁に替えてキャブレターを採用してもよい。また、吸気通路の開度を調整する電子スロットルバルブ(図示せず)のアクチュエータ(電動モータ12)の作動を制御することで、燃焼室へ吸入される吸気量を制御している。ちなみに、電子スロットルバルブに替えて、アクセルワイヤにより機械的に作動するスロットルバルブを採用してもよい。
なお、電子スロットルバルブの開度TAは開度検出センサ15により検出され、その検出値TAはECU10に出力される。これにより、ECU10は、実際のスロットルバルブ開度の変化を取得している。
次に、充電制御装置の制御対象である充電装置のハード構成を説明する。
充電装置は、交流発電機20(以下、ACG20と呼ぶ)、レギュレータ30(充電回路)及びバッテリ40等を含む電装品から構成される。本実施形態に係るACG20は交流マグネット式であり、クランク軸とともに回転する永久磁石により構成されるロータ21と、円筒状ロータ21の内側に配置された単相の発電コイルにより構成されるステータ22とを備えている。レギュレータ30は、例えば電圧監視回路32と図示しないサイリスタ(スイッチ手段)とを備える。
電源ラインLは、燃料噴射弁のソレノイド11や電子スロットルバルブの電動モータ12等の電気負荷にACG20から電力を供給するためのラインであり、電源ラインLの電圧は、電圧監視回路32によりモニタされる。ACG20における発電量が過剰となり電源ラインLの電圧が規定値よりも大きい値となると、電圧監視回路32はサイリスタをターンオフさせて、バッテリ40への過充電防止を図っている。サイリスタをターンオフさせた後、電源ラインLの電圧が規定値以下になった時には、電圧監視回路32はサイリスタをターンオンさせる。
バッテリ40のプラス側は電源ラインLに接続されており、バッテリ40の電力は電気負荷11,12に供給される。
また、ECU10は、サイリスタの作動を指令する信号を電圧監視回路32へ出力している。これにより、サイリスタのターンオン及びターンオフの切り替えは、ECU10によっても制御可能である。すなわち、ECU10は、サイリスタをターンオフさせることでACG20による発電を停止させる発電オフ状態と、サイリスタをターンオンさせることでACG20に発電させる発電オン状態とを切り替え制御する、充電制御装置として機能する。なお、電源ラインLの電圧が規定値よりも大きいことが電圧監視回路32により検知された時には、ECU10による上述の発電状態切替制御よりも、電圧監視回路32によるターンオフ制御(過充電防止制御)を優先させる。
次に、ECU10(充電制御装置)のマイクロコンピュータによる発電状態切替の制御内容を、図2のフローチャートを用いて詳細に説明する。図2に示す一連の処理は、イグニッションスイッチがオン操作されたことをトリガとして、所定周期(例えば先述のCPUが行う演算周期)又は所定のクランク角度毎にECU10のマイコンが繰り返し実行する処理である。なお、先述した通りECU10による発電状態切替制御よりも電圧監視回路32による過充電防止制御を優先させるため、電圧監視回路32によりサイリスタをターンオフさせている時には図2の処理は中止される。つまり、図2の処理は、電圧監視回路32がサイリスタをターンオンさせていることを条件として実行される。
まずステップS10において、バッテリ40の電圧が予め設定された設定値以上であるか否かを判定し、設定値を下回っていると判定された場合(S10:NO)には、充電不足の状態であるとみなし、ステップS80にて発電オン状態に切り替える。なお、当該ステップS10の判定を、ECU10とは別に備えられた回路(例えば電圧監視回路32)により実行するようにしてもよい。
バッテリ40の電圧が設定値以上であると判定された場合(S10:YES)にはステップS20(瞬時回転速度算出手段)に進み、回転速度センサ14の検出信号NEに基づきクランク軸の瞬時回転速度を算出する。ここで言う「瞬時回転速度」とは、図2の演算周期毎にステップS20にて算出された回転速度として定義され、所定期間(例えば1燃焼サイクル)に算出された複数の瞬時回転速度の平均値を「平均回転速度」として定義する(図4(a)及び図5(a)参照)。
続くステップS30(瞬時加速度算出手段)では、ステップS20にて算出した瞬時回転速度を微分演算して回転加速度を算出する。続くステップS40(切替手段)では、ステップS30にて算出した回転加速度の値がマイナスであるか否かを判定する。加速度マイナスであると判定された場合(S40:YES)には、ステップS50(減速操作判定手段)にて運転者による減速操作がないと判定(S50:NO)されたことを条件として、ステップS70に進みACG20を発電オフ状態に切り替える。運転者による減速操作中であれば(S50:YES)、ステップS80に進みACG20を発電オン状態に切り替える。
ここで、ステップS50による上記判定処理を具体的に説明すると、瞬時回転速度の変化量又は平均回転速度の変化量と、エンジン負荷の変化量(本実施形態ではスロットルバルブ開度TAの変化量)とに基づき、運転者による減速操作の有無を判定する。図3は、回転速度の変化量ΔNE及びスロットルバルブ開度の変化量ΔTAと、運転者が要求する運転状態(又は現時点での二輪車の走行状態)との関係を特定するマップである。マイコンのROM等に予め記憶された図3のマップを用いて、両変化量ΔNE,ΔTAに基づき運転者による操作(要求)が加速要求、減速要求及び定常要求のいずれであるかを判定する。
運転者がスロットルグリップ操作及びブレーキ操作の少なくとも一方を減速操作した時の操作量が大きいほど、回転速度の変化量ΔNE及びスロットルバルブ開度の変化量ΔTAは小さくなる。そこで、図3に示すように、両変化量ΔNE,ΔTAが小さいほど減速要求の判定になるよう前記マップは設定されている。また、両変化量ΔNE,ΔTAが大きいほど加速要求の判定になるよう設定され、両変化量ΔNE,ΔTAの中間域では定常運転を要求しているとの判定になるよう設定されている。
図2の説明に戻り、ステップS40にて加速度がマイナスでないと判定された場合(S40:NO)には、ステップS60(加速走行判定手段)にて加速度が上限値(設定値)を超えていないと判定(S60:NO)されたことを条件として、つまり、車両の走行加速度が上限値を越えていないことを条件として、ステップS80に進みACG20を発電オン状態に切り替える。加速度が上限値を超えていれば(S60:YES)、処理はステップS50に移行する。
ステップS60では、ステップS30にて算出した回転加速度が予め設定された上限値(図4(b),図5(b),図6(b)参照)を超えたか否かを判定する。また、前記上限値は、平均回転速度又は瞬時回転速度ごとに異なる値に設定されている。なお、ステップS60では、加速走行状態である場合にステップS50の処理に移行できればよいので、回転加速度が上限値を超えたか否かを判定する処理に替えて、瞬時回転速度が上限値を超えた場合に加速走行状態であると判定するようにしてもよい。或いは、図3のマップを用いて「加速要求」と判定された場合に加速走行状態であると判定するようにしてもよい。或いは、図示しない車速センサにて検出された車速に基づき加速走行状態を判定するようにしてもよい。
次に、図2の処理による切替制御の一態様を例示したタイミングチャートである図4〜図6について説明するとともに、本実施形態により発揮される効果を説明する。なお、図4〜図6中の(a)欄は瞬時回転速度の変化を示し、(b)欄は回転加速度の変化を示し、(c)欄はステップS70,S80による発電切替状態を示している。
<回転変動抑制の効果>
図4は、回転加速度が上限値を上回ることなく、かつ、運転者が減速操作していない場合の一態様である。当該図4に示すように、燃焼サイクルのうち主に爆発行程にて瞬時回転速度は上昇するが、この上昇期間中は回転加速度がゼロ以上となるため、ステップS40にて否定判定され、ステップS80にてACG20は発電オン状態に切り替えられる。したがって、発電負荷の発生より瞬時回転速度の上昇が抑制されて回転変動が低減される。
また、図4に示すように、燃焼サイクルのうち主に排気、吸気、圧縮行程にて瞬時回転速度は下降するが、この下降期間中は回転加速度がマイナスとなるため、ステップS40にて肯定判定され、ステップS70にてACG20は発電オフ状態に切り替えられる。したがって、発電負荷の発生回避により瞬時回転速度の下降が抑制されて回転変動が低減される。
図4〜図6中の実線は、本実施形態に係る発電切替制御を実施しなかった場合であり、常時発電させる場合の各種変化を示し、図4〜図6中の点線は、本実施形態に係る発電切替制御を実施した場合の各種変化を示す。図4(a)中の符号α1,α2に示すように、本実施形態の発電切替制御によれば、回転変動の大きさをα2からα1となるよう低減できる。
<回転速度の落込量減少の効果>
図5は、回転加速度が上限値を上回ることなく、かつ、運転者が減速操作していない場合であり、図中の2回目の燃焼サイクルにて失火が生じた場合の一態様である。当該図5に示すように爆発行程にて失火が生じると、爆発行程における瞬時回転速度の上昇が生じないため、瞬時回転速度が落ち込み、それに伴い平均回転速度も所望の値よりも落ち込んでしまう。このように、失火時には瞬時回転速度は爆発行程においても低下し続けて落ち込むが、この落ち込み期間中は回転加速度がマイナスとなるため、ステップS40にて肯定判定され、ステップS70にてACG20は発電オフ状態に切り替えられる。
これにより、失火にともない生じる回転速度の落ち込みが発電負荷によりさらに増大してしまうことを回避できる。図5(a)中の符号β1,β2は平均回転速度に対する瞬時回転速度の落ち込み量を示しており、本実施形態の発電切替制御によれば、落込量の大きさをβ2からβ1となるよう減少できる。
<加速性向上の効果>
図6は、運転者がスロットルグリップを加速操作することに伴い、回転加速度が上限値を上回った場合の一態様である。当該図6に示すように加速度が上限値を上回ると、加速度がゼロ以上であった場合(瞬時回転速度が上昇している場合)であっても、ステップS60にて肯定判定されて、ステップS70にてACG20は発電オフ状態に切り替えられる。図6の例では、爆発行程中においても加速度が上限値を上回っているので発電オフ状態に切り替えられる。
これにより、運転者がスロットルグリップを加速操作した時には、発電負荷の発生を回避して二輪車両の走行加速性を向上できる。図6(a)中の符号γ1,γ2は平均回転速度の上昇量(加速性)を示しており、本実施形態の発電切替制御によれば、平均回転速度の上昇量をγ2からγ1となるよう増大でき、加速性を向上できる。
<その他の効果>
・ステップS50の処理により減速操作中と判定(S50:YES)されれば、回転加速度がマイナス(S40:YES)である時でもステップS80にてACG20は発電オン状態に切り替えられる。よって、運転者が意図的に減速操作している時には発電負荷を生じさせて、二輪車両の減速性を向上できるとともに減速エネルギを無駄なく電気エネルギとして充電させることができる。
・バッテリ40の電圧が設定値を下回っている場合(S10:NO)には充電不足の状態であるとみなし、上記各種効果よりもバッテリ40の充電不足回避を優先して、ステップS80にてACG20を発電オン状態に切り替えるので、充電不足回避を好適に図ることができる。
・レギュレータ30のサイリスタを用いて発電状態を切り替えるので、発電状態を切り替えるための回路手段をレギュレータ30に兼ねさせることができる。よって、その回路手段をレギュレータ30とは別に専用に備えさせる場合に比べて回路構成を簡素にできる。
・ステップS60の判定処理で用いられる上限値は、加速走行時に回転変動抑制よりも加速性向上を優先させるか否かの閾値となる値である。本実施形態ではこのような閾値を、平均回転速度又は瞬時回転速度ごとに異なる値に設定しているので、回転変動抑制及び加速性向上のいずれを優先させるかを、回転速度ごとにきめ細かく設定できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、回転加速度が上限値を超えた(S60:YES)ことに伴いACG20を発電オフ状態に切り替え(S70)、その後、回転加速度が上限値を下回った時点で直ぐにACG20を発電オン状態に切り替える(S80)。これに対し本実施形態では、回転加速度が上限値を下回った時点から次回の爆発行程が開始されるまでの期間、加速走行判定手段の判定結果に拘わらず発電オフ状態を継続させる。
また、本実施形態では、回転速度センサ14の検出信号NEに基づき瞬時回転速度を算出する(図2中のS20参照)にあたり、取得した検出信号NEに対してなまし処理を実行し、なまし処理が施されたなまし値に基づき瞬時回転速度を算出する。
さらに本実施形態では、クランク軸の回転加速度に応じて(図2中のS40,S60参照)ACG20の発電オン/オフを切り替える他に、車両走行速度(加速走行状態)に応じてACG20の発電オン/オフを切り替えている。
以下、上記発電オフ継続、なまし処理、及び加速走行に応じた発電オン/オフ切替の手順について、図7及び図8を用いて説明する。なお、図7中、図2と同じ処理ステップについていは同一の符号を付して説明を援用する。
<加速走行に応じた発電オン/オフ切替について>
先ず、図2のステップS10においてバッテリ電圧が設定値以上であると判定された場合(S10:YES)には、続くステップS15において、車両の走行状態が、加速又は減速走行していない定常状態であるか否かを判定する。定常状態でないと判定され(S15:NO)、かつ、所定の上限値(設定値)を超えた加速走行状態であると判定された場合(S16:YES)には、続くステップS17において、ステップS16における加速判定(肯定判定)が所定回数以上連続して為されたものであるか否かを判定する。つまり、加速走行状態が所定時間(又はクランク角度)以上継続しているか否かを判定する。
加速走行が継続した状態ではなく、加速走行を開始して所定時間が経過していないと判定された場合(S17:NO)には、回転加速度がステップS60の判定で用いられる上限値を超えているか否かに拘わらず、ステップS70に進みACG20を発電オフ状態に切り替える。そして、加速走行状態であると判定された場合(S16:YES)であっても、加速走行状態が所定時間以上継続していると判定されれば(S17:YES)、ステップS80に進みACG20を発電オン状態に切り替える。なお、ステップS16にて減速走行状態であると判定された場合(S16:NO)には、ステップS80に進みACG20を発電オン状態に切り替える。
<なまし処理について>
次に、ステップS15において定常状態であると判定された場合(S15:YES)には、続くステップS20(検出値取得手段)において、回転速度センサ14の検出信号NEに基づきクランク軸の瞬時回転速度を算出する。次に、ステップS35(なまし処理手段、瞬時回転速度算出手段)において、ステップS20で算出した瞬時回転速度をなまし処理する。
図8は、ステップS35のなまし処理を実行するためのサブルーチンであり、先ずステップS351において、ステップS20で今回算出した検出信号(検出値NE30)、前回の検出値NE30B、及び前々回の検出値NE30BBに対して移動平均処理(なまし処理)を実行している。つまり、これらの検出値NE30,NE30B,NE30BBの平均値NE30AVを演算し、その平均値NE30AVを瞬時回転速度のなまし値として更新する。なお、この演算が実行された後に、ステップS351の演算で用いた今回検出値NE30を前回検出値NE30Bとして更新する(S352)とともに、ステップS351の演算で用いた前回検出値NE30Bを前々回検出値NE30BBとして更新する(S353)。ちなみに、本実施形態では、回転速度センサ14の検出信号NEをクランク角度30CA毎にサンプリングしている。
<発電オフ継続について>
続くステップS36では、ステップS35で算出したなまし値NE30AVを微分演算して回転加速度を算出する。そして、次のステップS40において、ステップS36で算出した回転加速度の値がマイナスであると判定された場合(S40:YES)には、ステップS70に進みACG20を発電オフ状態に切り替える。一方、回転加速度がマイナスでないと判定された場合(S40:NO)には、加速度が上限値(設定値)を超えていないと判定(S60:NO)されたことを条件として、ステップS80に進みACG20を発電オン状態に切り替える。
加速度が上限値を超えていれば(S60:YES)、ステップS75に進みACG20を発電オフ状態に切り替えるとともに、その発電オフ状態を次回の燃焼サイクル開始まで保持させる。つまり、ステップS75にて一旦発電オフに切り替えると、次回の燃焼サイクル開始までは回転加速度が上限値を下回っていたとしてもその発電オフが継続される。本実施形態では、次回の燃焼サイクル開始時点を、次回の爆発行程開始時点としている。
図9は、図7の処理を実行した場合の一態様を示すタイムチャートであり、符号taに示す時点で加速走行が開始されることに伴い瞬時回転速度が上昇して(図7(a)参照)、回転加速度が上限値を超えると(図7(b)参照)、ステップS75の処理によりACG20が発電オフ状態に切り替えられる。その後、瞬時回転速度は上限値を下回るまでに低下するが、次回の爆発行程開始時点tbまでの期間(ACGオフ保持期間)、発電オフ状態は保持される。
以上により、本実施形態によれば、回転加速度が上限値を下回った時点から次回の爆発行程が開始されるまでの期間、ステップS60での判定結果に拘わらず、ステップS75の処理により発電オフ状態を継続させるので、走行加速度が直ぐに上限値を下回る状況の場合であっても、発電オフによる車両加速性向上の効果を継続される。よって、車両加速性向上の効果を促進できる。
また、本実施形態によれば、ステップS20,S35において回転速度センサ14の検出信号NEに基づき瞬時回転速度を算出するにあたり、取得した検出信号NEに対してなまし処理を実行し、なまし値NE30AVに基づき瞬時回転速度を算出するので、ノイズ等による検出信号NEの急激な変化が瞬時回転速度の算出結果に与える影響を低減できる。よって、ステップS40の判定精度を向上できる。
また、本実施形態によれば、加速走行時(S16:YES)には発電オフに切り替えられるので、発電負荷の発生を回避して車両の加速性を向上できる。
ここで、ステップS17の処理がなければ、加速走行状態が継続してなされると発電オフが継続されるのでバッテリ電圧が急降下することとなる。すると、ステップS10においてバッテリ電圧<設定値と判定されて発電オンに切り替えたとしても、バッテリ電圧が許容できる下限値よりも低くなってしまうことが懸念される。この懸念に対し、本実施形態によれば、加速走行状態が継続していると判定された場合(S17:YES)には、バッテリ電圧が設定値以上(S10:YES)であっても、発電オンに切り替えるので、上記懸念を解消できる。
ところで、図4(a)、図5(a)及び図6(a)では、瞬時回転速度のピークは1燃焼サイクル中に1回出願する波形となっているが、本発明者らが詳細に試験を実施したところ、多くの場合は1燃焼サイクル中に瞬時回転速度のピークP1,P2が2回出現する(図9参照)ことが分かった。すなわち、図9に示すように、瞬時回転速度は、爆発行程にて上昇した後排気行程にて下降するが、その後再び上昇することが分かった。
このような現象に対し、発電オン期間を爆発行程時のみとすると充放電収支が合わず、発電量不足によるバッテリ上がりが懸念される。この懸念に対し、爆発行程の開始から所定時間が経過するまで発電オンにする従来制御において、前記所定時間を長くして単純に発電オン期間を長く設定すると、瞬時回転速度の下降が著しい排気行程まで発電オンさせることとなり、排気行程において発電負荷発生により瞬時回転速度の下降が促進されてしまう。すると、回転変動が大きくなりドライバビリティ悪化を招くとともに、場合によってはエンジンの作動停止(エンスト)を引き起こしてしまう。
これらの問題に対し、本実施形態によれば、瞬時回転速度の上昇期間中に発電オン、下降期間中に発電オフするので、発電負荷発生により瞬時回転速度の下降が促進されてしまうことを抑制できるので、瞬時回転速度の変動抑制を図ることができる。それでいて、爆発行程での発電に加え吸気行程でも発電させることとなるため、発電量の増大を図ることができる。したがって、瞬時回転速度の変動抑制と発電量増大との両立を実現できる。
(第3実施形態)
本実施形態では、ACG20による交流出力波形の正電圧半波及び負電圧半波の一方の半波に対しては、回転加速度の正負に応じて発電オン/オフを切り替えるといった、上記第1及び第2実施形態と同様の制御を実施する。そして他方の半波に対しては、回転加速度の正負に拘わらず、ECU10がレギュレータ30の作動を制御することを実施しない。つまり、発電状態切替制御の実施にあたり、上記第1実施形態では瞬時回転速度の上昇期間に発電オフ状態に切り替えているが、本実施形態では、瞬時回転速度の上昇期間のうち以下に説明する発電ポール位置でない場合に限り発電オフ状態に切り替えている。
ここで、ACG20のステータ22の構造について説明すると、ステータ22は、ロータ21のN磁極及びS磁極と対向するよう配置された複数のポール22aを備えており、これらのポール22aには巻線22bが巻き回されている。そして、ロータ21が回転して発電された交流出力波形は、図6(b)のように電圧の正負が交互に出力される波形となるが、この交流出力波形のうち正電圧半波V1は、ロータ21のN磁極及びS磁極の一方が特定のポール22aを横切った時に発生し、負電圧半波V2は、前記特定のポール22aを他方の磁極が横切った時に発生する。以下、ロータ21のポール22aに対する相対回転位置であって負電圧半波V2を発生させる位置を、「発電ポール位置」と記載する。
なお、正電圧半波V1は、燃料噴射弁のソレノイド11、電子スロットルバルブの電動モータ12、点火装置110(図11参照)、燃料噴射弁へ燃料を供給する燃料ポンプ120(図11参照)、ECU10及びバッテリ40等の電力供給源として振り分けられ、負電圧半波V2は、ヘッドランプ130図11参照等の電力供給源として振り分けられている。
そして、発電ポール位置でない時には図2又は図7と同様の制御を実施する。一方、発電ポール位置である時には、図2又は図7の制御を実施しない。その結果、図10に示すように、正電圧半波V1に対しては、瞬時回転速度の上昇期間中は発電オンに、下降期間中は発電オフに切り替えられる。一方、負電圧半波V2に対しては、瞬時回転速度の上昇/下降に拘わらず常時発電オン状態となる。
図11は、図10の作動を実現させるための電気ブロック図の一例を示すものであり、レギュレータ300は、バッテリ制御回路301、ランプ制御回路302、サイリスタ303(スイッチ手段)等を備えて構成されている。正電圧半波V1は、ランプ130以外の電気負荷110,120及びバッテリ40へ、サイリスタ303を介して供給される。
<正電圧半波V1について>
サイリスタ303の作動はバッテリ制御回路301により制御されている。バッテリ制御回路301が、サイリスタ303をターンオンさせて電力供給経路を開成させるよう制御すると、ランプ130以外の電気負荷110,120及びバッテリ40へ正電圧半波V1が供給される。つまり、ACG20にて正電圧半波V1を発電させる発電オン状態となる。一方、バッテリ制御回路301が、サイリスタ303をターンオフさせて電力供給経路を閉成させるよう制御すると、正電圧半波V1の上記供給が停止される。つまり、ACG20において正電圧半波V1の発電を停止させる発電オフ状態となる。
バッテリ制御回路301は、このように供給される電力の電圧をモニタしており、その電圧が規定値を超えた場合にバッテリ制御回路301はサイリスタ303をターンオフさせて、バッテリ40への過充電防止を図っている。サイリスタ303をターンオフさせた後、電圧が規定値以下になった時には、バッテリ制御回路301はサイリスタ303をターンオンさせる。
また、ECU10は、サイリスタ303の作動を指令する信号をバッテリ制御回路301へ出力している。これにより、サイリスタ303のターンオン及びターンオフの切り替えは、ECU10によっても制御可能である。すなわち、ECU10は、サイリスタ303をターンオフさせることでACG20における正電圧半波V1の発電を停止させる発電オフ状態と、サイリスタ303をターンオンさせることでACG20にて正電圧半波V1を発電させる発電オン状態とを切り替え制御する、充電制御装置として機能する。なお、前記電圧が規定値よりも大きいことがバッテリ制御回路301により検知された時には、ECU10による上述の発電状態切替制御よりも、バッテリ制御回路301によるターンオフ制御(過充電防止制御)を優先させる。
<負電圧半波V2について>
ランプ制御回路302は、図示しないサイリスタを有しており、このサイリスタの作動を制御することで発電状態を切り替える。すなわち、ランプ130へ負電圧半波V2が供給される状態、つまりACG20にて負電圧半波V2を発電させる発電オン状態と、その供給を停止させる状態、つまりACG20にて負電圧半波V2の発電を停止させる発電オフ状態と、を切り替える。
また、ランプ制御回路302は、ランプ130へ供給される負電圧半波V2の電力が規定値となるよう調整するレギュレート機能を有している。なお、バッテリ制御回路301はECU10によりその作動が制御されているのに対し、ランプ制御回路302についてはECU10により制御されることはない。
以上により、本実施形態によれば、交流出力波形のうちヘッドランプ130の電力供給源として振り分けられた負電圧半波V2を、1燃焼サイクル中常時発電オン状態にするので、ヘッドランプ130へ供給される電力量の変動が抑制され、安定した電力供給を実現できる。よって、供給電力量が変動することによる生じるヘッドランプ130の照度変化(所謂ちらつき現象)を抑制できる。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、ACG20による交流出力波形のうち負電圧半波V2をヘッドランプの電力供給源として振り分け、正電圧半波V1を燃料噴射弁その他の電力供給源として振り分けている。これに対し本実施形態では、正電圧半波V1及び負電圧半波V2の一方を反転させて全波整流している。つまり、ACG20による交流出力波形(図12(a)参照)を、図12(b)に示す波形となるよう全波整流回路により全波整流している。そして、全波整流された電力をバッテリ40に充電し、バッテリ40から、燃料噴射弁やヘッドランプへ電力供給している。
全波整流回路は、図12に示すようにサイリスタ55,56,57,58を有して構成され、サイリスタ55〜58へ入力されるオン/オフ信号はECU10から出力される。例えば、交流出力波形に正電圧半波V1が出現する期間中は、ACG20にて発電された電流が図12中の矢印Y1の如く流れるようサイリスタ55〜58へオン/オフ信号を入力させ、負電圧半波V2が出現する期間中は、図12中の矢印Y2の如く流れるようサイリスタ55〜58へオン/オフ信号を入力させる。要するに、サイリスタ55〜58の作動をECU10が制御することで交流出力波形を全波整流する。
また、ACG20の発電オフ状態と発電オン状態との切り替えは、サイリスタ55〜58へのオン/オフ信号をECU10が制御することで実現させている。つまり、正電圧半波V1が出現する期間中に、矢印Y1のように発電電流が流れないようサイリスタ55〜58を制御することで、発電オフ状態に切り替えることができる。同様にして、負電圧半波V2が出現する期間中に、矢印Y2のように発電電流が流れないようサイリスタ55〜58を制御することで、発電オフ状態に切り替えることができる。
要するに、発電オン状態の期間には、矢印Y1,Y2の流れとなるようサイリスタ55〜58を制御することで、全波整流した電力を全波整流回路からバッテリ40へ出力する。一方、発電オフ状態の期間には、矢印Y1,Y2の如く流れないようサイリスタ55〜58を制御することで、全波整流回路からバッテリ40への電力出力を停止させる。
以上により、本実施形態によれば、交流出力波形に含まれる正電圧半波及び負電圧半波の両方に対して発電状態をオン/オフ切り替えすることを容易に実現できる。よって、正電圧半波及び負電圧半波の一方のみに対してオン/オフ切替する場合に比べて、発電負荷発生により瞬時回転速度の下降が促進されてしまうことの抑制、及び発電量増大といった前記効果を促進できる。
また、第3実施形態の如く負電圧半波V2をヘッドランプの電力供給源として振り分ける場合には、電力実効値を一定にする回路により負電圧半波V2は一定化処理されているので、このような処理がなされた負電圧半波V2に対しては、発電状態をオン/オフ切り替えすることが困難である。これに対し本実施形態では、ACG20からヘッドランプへ直接電力供給することなく、ACG20で発電した電力は全波整流して一旦全てバッテリ40に充電し、バッテリ40からヘッドランプへ電力供給するよう構成しているので、先述した一定化処理を不要にできる。
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・上記実施形態では図2のステップS30において、回転速度を微分演算することで回転加速度がマイナスであるか否かを判定しているが、瞬時回転速度の前回値と今回値とを比較して、今回値が前回値より小さければ瞬時回転速度が下降中であり、回転加速度がマイナスであると判定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、本発明に係る発電機として、ロータ21(永久磁石)の内側にステータ22(発電コイル)を配置したマグネット式のACG20を採用しているが、ステータ(発電コイル)の内側にロータ(永久磁石)を配置した界磁回転型三相交流発電機を採用してもよい。
・上述の如く界磁回転型三相交流発電機を採用する場合、レギュレータ30にはサイリスタに替えてツェナーダイオードを採用することが一般的である。この場合、当該ツェナーダイオードを用いて発電状態を切り替えるように構成すれば、発電状態を切り替えるための回路手段をレギュレータに兼ねさせることができ、好適である。
・上記実施形態では、二輪車両に搭載された充電装置を制御対象としているが、四輪車両に搭載された充電装置を制御対象としてもよい。ちなみに、四輪車両に搭載される発電機には、ロータを界磁コイルで構成したオルタネータを採用するのが一般的であり、当該オルタネータでは、クランク軸の回転速度に応じた励磁電流を界磁コイルに供給することで発電電圧が一定となるよう制御される。本発明に係る発電機は、このようなオルタネータであってもよいし、励磁電流による発電電圧制御機能を有しない図1に示すACG20であってもよい。
・上記実施形態では単気筒エンジンに搭載された充電装置を制御対象としているが、多気筒エンジンに搭載の充電装置を制御対象としてもよい。但し、単気筒エンジンの方が多気筒エンジンに比べて瞬時回転速度の変動が大きく生じるので、上述した変動抑制の効果が好適に発揮される。
・上記実施形態では、二輪車両に搭載された充電装置を制御対象としているが、四輪車両に搭載された充電装置を制御対象としてもよい。ちなみに、四輪車両に搭載される発電機には、ロータを界磁コイルで構成したオルタネータを採用するのが一般的であり、当該オルタネータでは、クランク軸の回転速度に応じた励磁電流を界磁コイルに供給することで発電電圧が一定となるよう制御される。本発明に係る発電機は、このようなオルタネータであってもよいし、励磁電流による発電電圧制御機能を有しない図1に示すACG20であってもよい。
・上記オルタネータでは、ロータを構成する界磁コイルを励磁するのに時間を要するので、1燃焼サイクルという短時間のうちに発電機のオンオフを切り替える本発明にオルタネータを適用させようとすると、励磁時間を要することに起因して発電オンオフの切り替えに対する応答遅れがACG20に比べて大きい。よって、このように短時間で発電オンオフを切り替える本発明の場合には、オルタネータよりもACG20に適用させることの方が望ましい。なお、前記励磁時間は通常100〜200msec程度であり、1燃焼サイクル時間と同程度の時間である。
・上記オルタネータでは、ベルト等の動力伝達手段を介してクランク軸のトルクがオルタネータのロータへ伝達されるのが一般的である。一方、ACG20では、ロータ21がクランク軸に直結されているのが一般的である。このような背景の下、1燃焼サイクルという短時間のうちに発電機のオンオフを切り替える本発明にオルタネータを適用させようとすると、前記ベルトでのスリップ発生やベルトの劣化促進が懸念される。これに対しクランク軸に直結されたACG20では、前記スリップやベルト劣化の懸念を解消できるので、このように短時間で発電オンオフを切り替える本発明の場合には、オルタネータよりもACG20に適用させることの方が望ましい。
・図11に示す電気回路では、電気負荷110,120への電力供給経路を開成することで発電オフ状態にする、オープンタイプのレギュレータ30が採用されているが、本発明はこのタイプに限られるものではなく、例えば、ACG20の電気負荷側と接地側とを短絡させることで発電オフ状態にする、ショートタイプのレギュレータを採用するようにしてもよい。但し、ショートタイプの場合には、発電オフ状態にしても回路構成上ACG20は僅かに発電してしまうのに対し、オープンタイプの場合には、発電オフ状態にすればACG20での発電は完全にオフとなるので、本発明にはオープンタイプを採用することが望ましい。
本発明の第1実施形態に係る充電制御装置及び充電制御システムを示す電気ブロック図。 図1のECUによる発電状態切替の制御内容を示すフローチャート。 図2の切替制御処理に用いるマップ。 図2の切替制御処理による回転変動抑制の効果を説明するタイミングチャート。 図2の切替制御処理による回転速度の落込量減少の効果を説明するタイミングチャート。 図2の切替制御処理による加速性向上の効果を説明するタイミングチャート。 本発明の第2実施形態において、発電状態切替の制御内容を示すフローチャート。 図7のなまし処理の内容を示すフローチャート。 図7の制御を実施した場合において、発電状態変化の一態様を示すタイミングチャート。 本発明の第3実施形態において、発電状態変化の一態様を示すタイミングチャート。 第3実施形態に係る充電制御システムを示す電気ブロック図。 本発明の第4実施形態に係る全波整流回路を示す電気ブロック図。
符号の説明
20…ACG(発電機)、40…バッテリ、30…レギュレータ(充電回路)、S20…瞬時回転速度算出手段、S30…瞬時加速度算出手段、S40…切替手段、S50…減速操作判定手段、S60…加速走行判定手段。

Claims (15)

  1. 内燃機関のクランク軸の回転力により駆動して発電する発電機と、前記発電機にて発電した電力をバッテリに充電させる充電回路と、を備える充電装置に適用され、
    前記発電機に発電させる発電オン状態と、前記発電機による発電を停止させる発電オフ状態とを切り替えるよう、前記充電回路の作動を切り替える切替手段と、
    前記クランク軸の瞬時回転速度を算出する瞬時回転速度算出手段と、
    を備え、
    前記切替手段は、前記瞬時回転速度が上昇している時には前記発電オン状態に切り替え、前記瞬時回転速度が下降している時には前記発電オフ状態に切り替えることを特徴とする充電制御装置。
  2. 前記内燃機関の出力を走行駆動源とする車両の走行加速度が、予め設定された設定値を超えた加速走行状態であるか否かを判定する加速走行判定手段を備え、
    前記加速走行状態であると判定された場合には、前記切替手段は、前記瞬時回転速度が上昇している時であっても前記発電オフ状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
  3. 前記加速走行判定手段は、前記クランク軸の回転速度の変化量及びスロットルバルブ開度の変化量のうち少なくとも一方の値に基づき前記加速走行状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の充電制御装置。
  4. 前記設定値は、前記クランク軸の回転速度ごとに異なる値に設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の充電制御装置。
  5. 前記加速走行状態であると判定されて前記切替手段により前記発電オフ状態に切り替えられた場合、その切り替えの時点から所定時間が経過するまで又は前記クランク軸が所定クランク角度回転するまで、前記加速走行判定手段の判定結果に拘わらず前記発電オフ状態を継続させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の充電制御装置。
  6. 前記所定クランク角度を、次回の爆発行程開始までの角度とすることを特徴とする請求項5に記載の充電制御装置。
  7. 前記クランク軸の回転速度を減速させるよう運転者が操作しているか否かを判定する減速操作判定手段を備え、
    前記減速操作していると判定された場合には、前記切替手段は、前記瞬時回転速度が下降している時であっても前記発電オン状態に切り替えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の充電制御装置。
  8. 前記減速操作判定手段は、前記クランク軸の回転速度の変化量及びスロットルバルブ開度の変化量のうち少なくとも一方の値に基づき前記減速操作しているか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の充電制御装置。
  9. 前記充電装置には、前記バッテリへの過充電を防止するよう作動するレギュレータが備えられており、
    前記切替手段は、過充電を防止するよう前記レギュレータを作動させることにより前記発電オフ状態に切り替えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の充電制御装置。
  10. 前記瞬時回転速度を微分演算して瞬時加速度を算出する瞬時加速度算出手段を備え、
    前記瞬時加速度の値の正負に基づき前記瞬時回転速度が上昇及び下降のいずれであるかを検出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の充電制御装置。
  11. 前記瞬時回転速度算出手段は、
    前記クランク軸の回転速度を検出する回転速度センサから検出値を取得する手段と、
    取得した前記検出値に対してなまし処理を行う手段と、
    前記なまし処理が施された回転速度の値に基づき前記瞬時回転速度を算出する手段と、
    を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の充電制御装置。
  12. 前記切替手段は、
    前記発電機による交流出力波形の正電圧半波及び負電圧半波の一方の半波に対しては、前記瞬時回転速度が下降している時に前記発電オフ状態に切り替え、
    前記正電圧半波及び前記負電圧半波の他方の半波に対しては、前記瞬時回転速度が下降している時に前記発電オフ状態に切り替える制御を実施しないことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の充電制御装置。
  13. 前記正電圧半波及び前記負電圧半波のうち前記発電オフ状態への切り替えが実施されない半波は、車両に搭載されたヘッドランプの電力供給源として振り分けられていることを特徴とする請求項12に記載の充電制御装置。
  14. 前記発電機による交流出力波形を全波整流して出力する整流回路を備え、
    前記切替手段は、前記交流出力波形のうち前記整流回路により整流して出力する期間と出力を停止させる期間とを切替制御することにより、前記発電オン状態と前記発電オフ状態とを切り替えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の充電制御装置。
  15. 請求項1〜14のいずれか1つに記載の充電制御装置と、
    内燃機関のクランク軸の回転力により駆動して発電する発電機、バッテリ、及び前記発電機にて発電した電力を前記バッテリに充電させる充電回路の少なくとも1つと、
    を備えることを特徴とする充電制御システム。
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