JP2009164099A - 表面に流路が形成された部材ならびにこれを用いたバイオチップ、燃料電池および燃料電池システム - Google Patents

表面に流路が形成された部材ならびにこれを用いたバイオチップ、燃料電池および燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】親水性が向上しかつ安定した親水性が付与された流路を備える部材を提供すること、およびその該部材を使用した小型装置を提供する。
【解決手段】表面に流路が形成された高分子重合体からなる部材であって、流路を構成する壁面の表面の少なくとも一部は、イオン注入によって親水化された親水化領域を有する部材に関する。本発明の部材において、流路を構成する壁面の少なくとも一部の表面は、さらに疎水性領域を有することが好ましい。本発明は、上述の部材を利用したバイオチップ、燃料電池および燃料電池システムに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、親水化を必要とする流路が形成された部材に関し、また、該部材を用いたバイオチップ、燃料電池および燃料電池システムに関する。
マイクロリアクタシステム、電気泳動マイクロシステムおよび遠心分離マイクロシステムなどのマイクロシステムは、近年の化学、生物学、医学での小型装置化および高速アッセイ化の進展に伴い広範に利用されるようになってきている。微細流路は、該マイクロシステムにおいて試薬・薬液等の液流路として用いられ、該マイクロシステムの根幹をなす重要な要素である。
マイクロシステムのメリットとして、一般的に少量の試薬でかつ高速で分析が可能であること、該分析のための装置の小型化・軽量化が可能、集積化・並列処理化が可能であること、また不純物の混入が防止できること等を挙げることができる。そして、マイクロシステムにおいては、液流路を微細化することが必須であり、多くの微細流路が提案されてきている。
従来、マイクロシステムにおける微細流路は、一般にシリコン基板またはガラス基板上に半導体の微細加工技術を用いて形成されていた。特に高精度なマイクロシステムにおいては、微細流路の形状、大きさ、断面積および平坦度のばらつきが該マイクロシステムにおける特性、精度に大きく影響する。したがって、たとえば、微細流路のよしあしは、マイクロリアクタシステムにおいては、反応速度、反応量に影響を与え、DNA、RNA、タンパク質を電気泳動または遠心分離するマイクロシステムにおいては、質量分析の精度に影響を与える。また、このような微細流路を利用した液体燃料においてもその性能を大きく左右する。
さらに、該マイクロシステムの進展によって該微細流路の形状だけではなく該微細流路の表面の特性が問題になってきている。たとえば該微細流路の断面積が非常に小さい場合、該微細流路の表面が親水性である時に比べて疎水性の時は水が流れにくくなるという現象が生じる。また、該マイクロシステムにおける微細流路を形成する材料として、ガラス部材の利用に代えて、軽量でかつ加工が容易なプラスチックやシリコーン樹脂などの高分子材料の利用が望まれるが、該高分子材料は、ガラス基板よりも親水性が劣るため流量・流速が不足したり流路の微細化が困難であったりといった問題がある。そこで、マイクロシステムにおける微細流路を形成する材料として、該高分子材料を利用する場合には、該微細流路およびその出入り口に親水化処理を施し親水性の向上が図れていきた。
親水性を向上させる従来の方法としては次のような方法が提案されている。たとえば特許文献1(特開平8−138692号公報)のように流路表面に親水性被膜を形成したり、特許文献2(国際公開第99/40642号パンフレット)のようにプラズマ処理等の親水性処理したりする方法が提案されている。
しかし、流路表面に親水性被膜を形成する方法では、該流路表面から該親水性被膜が剥離する可能性が高く、また、該流路を有するマイクロシステムの使用中に該親水性被膜が徐々に溶出する可能性がある。また微細流路に均一に該親水性被膜を形成できなかったり、最悪流路を該親水性被膜で埋めてしまったりする可能性もある。また、少なくとも該親水性被膜の膜厚分だけ該微細流路は、厚くなるので小型のマイクロシステムへの応用には不向きであった。
また、ブラズマ処理等の表面処理で親水性処理する場合には、該親水性被膜を形成する場合のような心配は少ないが、時間とともに徐々に親水性が低下し、親水性を長期間保持することが困難であった。
特開平8−138692号公報 国際公開第99/40642号パンフレット
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、親水性が向上しかつ安定した親水性が付与された流路を備える部材を提供すること、およびその該部材を使用した小型装置を提供することを目的としている。
本発明は、表面に流路が形成された高分子重合体からなる部材であって、流路を構成する壁面の表面の少なくとも一部は、イオン注入によって親水化された親水化領域を有する部材に関する。
また、本発明の部材において、流路を構成する壁面の少なくとも一部の表面は、さらに疎水性領域を有することが好ましい。
また、本発明の部材において、イオン注入で、炭素イオンを注入されていることが好ましい。
また、本発明の部材において、イオン注入で、負イオンを注入されていることが好ましい。
また、本発明の部材において、イオン注入における注入エネルギは、1keV以上100keV以下であることが好ましい。
また、本発明の部材において、イオン注入におけるイオン注入量は、1×1014ions/cm2以上1×1017ions/cm2以下であることが好ましい。
また、本発明の部材において、イオン注入の後に酸化性雰囲気に曝されたことが好ましい。
また、本発明の部材において、イオン注入の後にプラズマ処理またはオゾン処理したことが好ましい。
また、本発明は、上述の部材を利用したバイオチップに関する。
また、本発明は、上述の部材を利用した燃料電池に関する。
また、本発明は、上述の燃料電池を利用した燃料電池システムであって、燃料電池と、酸素供給部と、燃料供給部と、燃料タンクと、空気タンクと、手動ポンプとを備え、酸素供給部は、燃料電池における酸素の供給口、および空気タンクと連結しており、燃料供給部は、燃料電池における燃料の供給口、および燃料タンクと連結しており、空気タンクは、さらに手動ポンプと連結しており、空気タンクと燃料タンクとは、直接的または間接的に連結されている燃料電池システムに関する。
また、本発明の燃料電池システムにおいて、空気タンクと燃料タンクとを直接的または間接的に連結する連結部、および/または、燃料タンクと連結するガス排出部には、燃料タンク内の圧力を調整するための圧力調整弁をさらに備え、空気供給部にはさらにレギュレータを設置されていることが好ましい。
また、本発明の燃料電池システムにおいて、燃料タンクは、燃料電池の電解質膜の面内方向と略平行に燃料を供給できる位置に備えられていることが好ましい。
親水性が向上しかつ安定した親水性が付与された流路を備える部材を提供することができる。また、該部材を利用することで、迅速にサンプルと試薬とを混合することができるようなバイオチップを提供することができる。また、該部材を利用することで、大きな出力を有する燃料電池を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表してはいない。
<第1実施形態:部材>
≪構造≫
図1は、本発明における部材の一実施形態の断面図である。図2Aは、図1におけるIIA−IIA線に沿った断面図である。図2Bは、本発明における部材の別局面を表わす一実施形態の断面図である。図3は、本発明における部材の別局面を表わす一実施形態の断面図である。以下、図1〜図3に基づいて説明する。
まず、図1および図2Aに基づいて説明する。本実施形態は、その表面に流路206が形成された高分子重合体からなる部材210であって、流路206を構成する壁面の表面の少なくとも一部は、イオン注入によって親水化された親水化領域205を有するものである。また、本実施形態のように部材210は、基板201に対して蓋207を備えつけて、基板201と蓋207とで流路206を形成したものでもよいし、たとえば基板201のみからなるものでもよい。そして、流路206は、流路206を構成する壁面の表面の少なくとも一部は、疎水性領域を有することが好ましい。ここで、図2Aに示す実施形態においては、蓋207を疎水性領域としている。図2Bに示すように、蓋207以外に、基板201に形成された流路206を構成する壁面の表面の少なくとも一部に疎水性領域208を有してもよい。そして、部材210には、流路206のほかに液体および気体を保持するための室202を備えることができる。室202を構成する壁面の表面にも親水化領域および疎水性領域を適宜備えることができる。
ここで、部材210は、高分子重合体からなるものであれば、その形態については特に限定されず、表面に流路206が形成されたものであれば本実施形態において問題はない。流路206の寸法は特に限定されないが、たとえば液体用の微細流路として幅200〜10μm、深さ200〜1μm程度の流路を作製することは容易である。原理的には、半導体微細加工の最小加工寸法にまで微細化することが可能である。したがって、本発明においては、従来の塗布法では親水性を付与することが困難な微細構造にも対応できるものである。なお、図3に示す実施形態においても蓋207が疎水性領域としている。また、本実施形態における「高分子重合体」とは、広義の意味での無機材料以外の高分子化合物のことを含む。具体的には、合成樹脂として熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂、プラスチックまたは天然樹脂等を挙げることができる。さらに具体的には、高分子重合体の一例としてシリコン樹脂のPDMS(ポリジメチルシロキサン)、ポリスチレン、ポリイミド、ポリ乳酸およびシリコーンゴムなどが挙げられる。
また、図2A、図2Bおよび図3に示すように、流路206の断面の形状については、特に限定されず、液体および気体が流動できるものであればよい。ただし、図3に示す流路206のように断面が菱形であるか、または円形であることが好ましい。上述したイオン注入によって、該基板201に対して均一に親水化領域を形成することができるためである。
従来の流路を形成したガラス部材と比較して、本実施形態の部材210は、軽量かつ破損の心配の少ないため、これを利用する小型装置の幅を広げることができる。また、本実施形態の部材210は、従来の親水化されてなる部材等に比べて、厚みを増加させることなく親水度の向上、耐久性の向上が可能となる。そして、本実施形態における流路206は、微細なものとしても液体および気体を効率よく流動させることができる。
≪動作≫
本実施形態によって形成された流路206は、液体および気体が流動することができる。そして、流路206では疎水性領域に沿って気体が効率よく流動し、親水化領域に沿って液体が流動する。このような動作を起こすことで、流路206が微細なものであっても、流路206を液体は効率よく移動することができる。また、流路206における液体に気泡の発生等何らかの理由により気体が混入しても効率よく該液体から該気体を排出して、液体を移動させることができる。
≪製造方法≫
まず、部材210となる高分子重合体を準備する。そして、その表面に適宜公知の方法で、流路206および室202を形成する。次に、部材210の表面を洗浄し、乾燥させる。そして、部材210における該流路206および室202を構成する壁面の表面に対して、清浄な状態を保ったまま、イオン注入することによって該流路206表面の親水性を向上させた親水化領域を形成することができる。また、親水化領域の耐久性は、従来の方法と比較しても向上させることができる。
ここで、該イオン注入において、炭素イオンを注入することが好ましい。これは、後述するバイオチップ等に部材210を利用した場合に、該バイオチップの試料に及ぼす悪影響が小さいためである。具体的には、重金属イオン、たとえば銀イオンをイオン注入した場合の部材210を後述するようなバイオチップに利用した場合には、該銀イオン等が溶出し、溶出した銀イオンは、バイオチップにおける試料に対する悪影響を及ぼす場合があるためである。また、部材210に注入された炭素イオンは、他の金属イオンにくらべて部材210に対して安定的に存在できる。また万が一部材210から溶出しても、該部材210を利用した後述する燃料電池やバイオチップに用いた場合に問題が少ない。
また、該イオン注入において、負イオンを注入することが好ましい。これは、正イオンを用いてイオン注入した場合に比べて、負イオンを用いてイオン注入した場合の方が、該部材210の破損や親水化のばらつきなどによる不良品の発生が非常に少ないためである。該負イオンには、具体的に、目的に応じて、炭素負イオンの他、金、銀、白金、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、亜鉛、インジウム、タングステン、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウムなどほとんどの金属、半導体元素について負イオンを挙げることができる。
また、該イオン注入において、注入エネルギは、1keV以上100keV以下であることが好ましく、5keV以上30keV以下であることがさらに好ましい。該注入エネルギが1keV未満では流路206において親水化がほとんど見られず、該注入エネルギが100keV超過しても親水化の効果向上は確認しにくいものとなり、部材210の劣化や破損の発生する場合が見受けられるためである。
また、本実施形態においてイオン注入におけるイオン注入量は、1×1014ions/cm2以上1×1017ions/cm2以下であることが好ましく、5×1014ions/cm2以上5×1016ions/cm2以下であることが特に好ましい。該イオン注入量が、1×1014ions/cm2未満の場合には、流路206において親水化がほとんど見られず、該イオン注入量が1×1017ions/cm2超過の場合には、表面の荒れが大きくなって、液体の流れを阻害したり表面がスパッタされたりする虞があるためである。また、さらに本実施形態の流路206では表面から深さ30〜70μm付近で注入した元素の濃度を5×1018ions/cm3〜1×1022ions/cm3程度とすることが好ましい。この程度の濃度のとき親水性の向上と耐久性の向上が見られるからである。また、上述のイオン注入については、公知の方法を用いることができる。
また、部材201は、イオン注入の後に酸化性雰囲気に曝されることが好ましい。イオン注入後に酸化性雰囲気に曝すと、部材210の親水性および耐久性がさらに高まる。酸化性雰囲気とは、酸素、酸化窒素、塩化水素等の雰囲気をさすが、好ましくはオゾンの雰囲気であることが好ましい。オゾンを用いる場合において、低温で短時間の処理で所望の親水化の向上が得られるためである。
また、部材201は、イオン注入の後にプラズマまたはオゾン中に曝されることがさらに好ましい。該プラズマとしては、大気中プラズマやO2中プラズマ、などを挙げることができる。プラズマまたはオゾン中に曝された部材201は、さらに親水性や耐久性がさらに向上する。
ここで、本発明における親水化の評価には、接触角測定法を用いることができる。そして、本発明における親水化領域とは、該接触角測定法において、処理前に比べて接触角の低下の結果が得られるものであり、疎水性領域とは、処理前に比べて接触角が同等以上の結果が得られるものと定義する。本実施形態で用いた材料では、処理前の接触角はおよそ100〜90°程度であった。もとの材料の親水/疎水性が分からない場合には、親水/疎水性をその接触角が90°未満か以上かで分けても良い。また、以下の実施形態において、上述した部材を適宜利用することができる。
<第2実施形態:バイオチップ>
図4は、本発明に係る部材を利用したバイオチップをわかりやすく説明するために一部分のみを表した模式的な平面図である。図5は、図4におけるV−V線に沿った断面と、蓋とを示す図である。図6は、本実施形態の別の局面に従ったバイオチップの一部分のみを抽出して表した平面図である。
本実施形態におけるバイオチップは、第1実施形態で説明したような部材を利用したものである。つまり、該部材の表面には、上述したような流路のほか、液体を保持するための孔や溝が形成されていてもよい。また、該孔や溝等を形成する壁面は、上述と同じ方法によって、親水化領域とされていることが好ましい。
まず、図4および図5に基づいて説明する。本実施形態のバイオチップは、高分子重合体からなる部材110においては、基板101に、検査薬または被検査物質を含む液体を投入するための室103、室105、および検査薬と被検査物質とを混合する室102が設けられている。室103と室102との間には、室103と室102とを空間的に接続するための流路104が形成されている。また、室105と室102とを空間的に接続するために流路106が形成されている。また、図5に示すように、基板101の上には、蓋107が備えられている。本実施形態においては、基板101と蓋107とで部材110を構成する。なお、たとえば部材110は、蓋107を備えず、基板101のみからなるものも含む。
本実施形態におけるバイオチップでは、室102、室103および室105と流路104および流路106の表面は上述による親水化処理によって親水化領域となっていることが好ましい。
図5のように必要の応じて流路106や室102等の一部または全部を蓋107等で覆うことはゴミや菌などの不要な物質の侵入を防止できるとの観点から好ましい。本実施形態では室105は少なくとも一部は蓋107で覆われておらず液体の投入が可能な穴108が開いている。また蓋107は、流路106を介して室105と接続されている室102に対応する箇所には穴109が空いている。これらの穴108または穴109から直接被検査物体を室105または室102に投入することも可能である。また、該バイオチップにおいては、穴108、109があった方が流路106に流体がスムーズに流れることができる。さらにこの穴108、109から小型のポンプによって該流体を吸引することで流路における流量を調節したり増大させたりすることができる。これにより流路106から室102に供給される薬液等を適正な流量に保つことや検査時間を短縮することができ検査効率の向上が可能である。室105に空いた穴108に小型ポンプにより圧力を加えて室105に投入した薬液等を圧送することも可能である。この場合には穴109から液体が噴出したり、室102から室103の方へ液体が逆流したりすることがあるので穴109から液体等の飛散防止のための廃液回収装置を接続しておくことが好ましい。
本実施形態では検査薬と被検査物質とは、両者が混合する室102とは別の室103,105に投入され、微細流路を通って室102に流入したが、室102に予め検査薬または被検査物質のどちらか一方を備えておき、他方を室103または室105から流路104または流路106を通して流入させても構わない。
図6は、本実施形態の別の局面に従ったバイオチップの一部分を示し、図4において説明や実際には使わない室および流路を削除した構成を示す。被検査物質および検査薬等を2液またはそれ以上を使用する場合には適宜図6に示すバイオチップに室および流路を増設して、検査薬等を投入することが可能である。
図7は、本実施形態の別の局面に従ったバイオチップの一部分の断面図である。図8は、本実施形態の別の局面に従ったバイオチップの一部分の断面図である。以下、図7および図8に基づいて説明する。
図7に示すように、流入させる方向に向かって傾斜をつけておいた方が、流路を液体が移動しやすく好ましい。また、図7に示す構造においては、液体の入口としての室105側より液体の出口としての室102側の方が厚み方向に広くなっている。図7に示す構造の場合には、穴109へ気体がスムーズに排出され、室102から室105へ逆方向に移動する気体が少なく、流路106を液体がスムーズに室105から室102へ流れることができる。また、図7に示すバイオチップは、流路106に傾斜面がないため作製が容易であるという利点がある。
また、図8に示すように、室105から室102へ流路106の底面を傾斜させてもよい。図8に示すバイオチップは、室102を液体で満たすことが可能となる。
本実施形態のバイオチップでは、誤った検査結果を示すことが非常に少なくすることができる。ここで、上述したイオン注入量が少なかったり、イオン注入する深さが深すぎたりすると効果が少なくなる。したがって、注入エネルギは30keV以下、注入量は1×1014ions/cm2以上で効果が増大するので好ましい。注入量が1×1017ions/cm2を超えても効果があまり増大しないばかりか表面が荒れすぎたりするので注入量は1×1014ions/cm2〜1×1017ions/cm2が好ましい。また、該バイオチップにおいては、安全マージンをとって、該注入量を5×1016ions/cm2以下とすることが特に好ましい。
本発明の検査チップの一形態では、102〜106以外の領域はAgイオンまたはTiイオンが注入されていることが好ましい。イオン注入は負イオン注入が上述と同様に好ましい。さらに酸化性雰囲気にさらす工程を行なうことが好ましい。これにより万が一、必要外のところに試料が付着したり、ごみが付着してたりしても、雑菌などの増殖を抑制することができるので、誤った検査結果が出ることを抑制することができる。
本実施形態のバイオチップによれば、迅速にサンプルと試薬を混合することができるため、効率的に検査を終えることができる。また、本実施形態のバイオチップによれば、サンプルや試薬を置いたり流したりしたいところだけを親水化することができる。また不要なところに付着したサンプルや試薬を不活性化することができる。したがって、ゴミがチップ上に付着したりチップを再利用する場合にも問題がおきにくい。よって間違った検査結果が出ることを防ぐことができる。
≪第3実施形態:燃料電池≫
図9Aは、本発明に係る部材を利用した燃料電池の一部分の模式的な断面図である。図9Bは、図9Aに示す燃料電池における流路を構成する壁面の模式的な平面図である。図10Aおよび図10Bは、図9Aに示す燃料電池における流路の一部分の模式的な断面図である。以下、図9A〜図10Bに基づいて説明する。
まず、図9Aに基づいて本発明に係る燃料電池の構成について説明する。プロトンを選択的に透過させることができる電解質膜503を燃料極504と酸化剤極502で挟んでいる。燃料極504は、液体燃料としてのメタノールが供給され、排気ガスとしての二酸化炭素が排出される流路505と接している。流路505は、壁面515および壁面525によって形成されている。酸化剤極502は、酸素が供給され、水が排出される流路501と接している。流路501は、壁面511および壁面521によって形成されている。つまり本実施形態においては、流路505は壁面515および壁面525によって形成されているとともに、壁面515および壁面525は、上述の第1実施形態で説明した部材に相当する。また、流路501は、壁面511および壁面521によって形成されているとともに、壁面511および壁面521は、上述の第1実施形態で説明した部材に相当する。
そして、流路501が燃料極504または酸化剤極502に接する側の壁面は、一部または全部が除去されて開口しており燃料極504または酸化剤極502と接続されている。除去する壁面の合計面積は、構造強度等が保たれる範囲内で、広い方が供給できる燃料や酸素が多くなり好ましい。本実施形態においては、図9Bに示すように流路505を構成する壁面525の一部が複数箇所除去され、開口部を有する。また、同様に流路501を構成する壁面521の一部も複数箇所除去され、開口部を有する。該開口部は四角形の例を示しているが、円形等ほかの形状でも構わない。また、該開口部の大きさは、たとえば1辺が100μm〜0.01μmとすることができる。
本実施形態においては、図10Aに示すように、流路505を構成する壁面には親水化領域と疎水性領域とを有することが好ましい。本実施形態では流路505における少なくとも燃料極504側の壁面525が親水化されて親水化領域となっている。このとき、壁面525は、燃料極504と接する側であるために、メタノール等の液体燃料との濡れ性が高いことが好ましいためである。さらに燃料極504と反対側の壁面515の少なくとも排気ガスの排出口に近い壁面は疎水性領域であることは好ましい。さらに図9に示す燃料電池の場合においては、燃料極504と反対側の壁面515は、液体燃料供給側は排気ガス排出の側より液体燃料に対する濡れ性が高い方が好ましい。特に、本実施形態において、液体燃料としてメタノールを用いる場合には、親水化領域の親水性が高い方が好ましい。
また、本実施形態においては、図10Bに示すように、流路501を構成する壁面には親水化領域と疎水性領域とを有することが好ましい。本実施形態では、流路501における少なくとも酸化剤極502側の壁面521は疎水性領域であることが好ましい。さらに酸化剤極502と反対側の壁面511の少なくとも水の排出口に近い壁面は親水化されていることが好ましい。図9に示す燃料電池の場合においては、酸化剤極502と反対側の壁面511の水の排出側は酸素の供給側より親水性が高い方が好ましい。これにより該水が流路501を塞いで動作不良を起こすことを抑制できる。したがって本実施形態における燃料電池は、寒冷地での使用が可能になる。また燃料電池のユニットが冷えている状態からでもスムーズに始動させることが可能である。
ここで、図11は、本実施形態の別の局面に従った燃料電池の一部分の模式的な断面図である。図11に示す燃料電池のように、液体燃料の供給口および水蒸気の排出口は重力や遠心力の方向、つまり静止状態では下向きに備え、排ガスの排出口および酸素の供給口は上部に設けることが好ましい。このような燃料電池は、さらに燃料電池の効率が向上することが可能である。本実施形態の燃料電池は、燃料電池は最大出力を大きくすることができ、小型化することができる。
≪第4実施形態:燃料電池≫
図12Aは、本発明に係る部材を利用した燃料電池の一部分の模式的な断面図である。図12Bは、図12Aに示す燃料電池における流路を構成する壁面の模式的な平面図である。図13Aおよび図13Bは、図12Aに示す燃料電池における流路の一部分の模式的な断面図である。以下、図12A〜図13Bに基づいて説明する。
本実施形態においては、上述の第3実施形態に加えて、流路505の燃料極504と反対側に排出用の流路635を備える。さらに好ましくは流路501の酸化剤極502と反対側に流路631を備える。排ガス用の流路635を構成する壁面は疎水性である。流路505の少なくとも燃料極504側の内壁面は親水化されてなる。さらに流路505の少なくとも流路635側の内壁面は疎水性であることが好ましい。また流路631の内壁は親水化されていることが好ましい。
そして、流路505および流路635を構成する壁面525および壁面515の一部が複数箇所除去され、開口部を有する。また、同様に流路501および流路631を構成する壁面521および壁面511の一部も複数箇所除去され、開口部を有する。該開口部は円形の例を示しているが、ほかの形状でも構わない。
また、本実施形態においては、壁面515および壁面511は、疎水性領域であることが好ましく、壁面525および壁面521は、親水化領域であることが好ましい。本実施形態によると、第3実施形態と比較して、燃料の効率的な反応や、燃料の効率的な供給、効率的な排ガス排液の排出などの効果が見込まれる。
ここで、図14は、本実施形態の別の局面に従った燃料電池の一部分の模式的な断面図である。図14に示す燃料電池のように、液体燃料の供給口および水蒸気の排出口は重力や遠心力の方向、つまり下側に備え、排ガスの排出口および酸素の供給口は上部に設けることが好ましい。このような燃料電池は、さらに燃料電池の効率が向上することが可能である。本実施形態の燃料電池は、燃料電池は最大出力を大きくすることができ、小型化することができる。
≪第5実施形態:燃料電池≫
図15Aは本発明に係る部材を利用した燃料電池の模式的な斜視図であり、図15Bは図15AにおけるXVB−XVB線に沿った断面の一部を模式的に表した図である。また、図16Aおよび図16Bは、本実施形態にかかる燃料電池の動作を模式的に表わす図である。
以下、図15A、図15B、図16Aおよび図16Bに基づいて説明する。本実施形態の燃料電池においては、部材701に流路505および流路635が形成されており、液体燃料710が供給口708から供給され、二酸化炭素711が排出口709から排出される。また、該燃料電池は燃料極706と、電解質膜705と、酸化剤極707とを備える。液体燃料710が流れる流路505の少なくとも燃料極706側に接続する部分の壁面は親水化されている。また二酸化炭素等のガスが排出される流路635の少なくとも燃料極706側に接続する部分の壁面は疎水性である。これにより効率良く液体燃料710を供給できる。さらに流路635に液体燃料710が流出することを抑制することができる。また、本実施形態では燃料極706側の壁面にポーラス薄膜704のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いることができる。PTFEは疎水性であるので本実施形態では流路505の壁面となる部分を親水化することができる。流路505の他の壁面も親水化されていることが好ましい。流路635の他の壁面は疎水性でも構わないが、微量の液体燃料710が漏れた場合に排出できるように、親水性であることが好ましい。
また液体燃料710が供給される流路505の壁面の開口部の幅は二酸化炭素711等が排出される流路635の壁面の開口部の幅より大きいことが好ましい。これによりさらに効率良く液体燃料710を供給できるとともに、液体と気体の圧力差を減らすことで、流路635に液体燃料710が流出することを抑制することができる。
このような構造にすることで、供給された液体燃料710は流路505からポーラス膜704の細孔から燃料極706へ矢印702のように流出する。燃料電池のいわゆるMEA(membrane electrodes assembly)で反応を起こして電気および二酸化炭素の気泡712を発生する。二酸化炭素711は燃料極706から矢印703のようにポーラス薄膜704の細孔から二酸化炭素711用の流路635へ流入し排出される。ポーラス薄膜704のうち部分720はレジン等で液体や気体が透過できないようにする。超小型の燃料電池を効率よく稼動させるためには図15Aに示すように微細な流路を張り巡らせることが好ましい。
なお本明細書では液体に対する濡れ性が高いものを親水性、濡れ性が低いものを疎水性と称している。たとえば、上述の実施形態では燃料電池の燃料としてエタノールを使用しおり、エタノールに対する濡れ性の高低を親水/疎水性で表している。したがって、燃料としていわゆる石油類を用いる場合などでは石油類の流路では親水性を親油性と読み替えることになる。
≪第6実施形態:燃料電池システム≫
図18は本発明に係る燃料電池を利用した燃料電池システムの一形態を示す模式的な断面図である。本実施形態においては、図18に基づいて説明する。なお、以下の説明において、燃料電池の構成、動作は、上述の第3実施形態と同様であるため、説明は繰り返さない。
本実施形態の燃料電池システムは、第3実施形態にかかる燃料電池500と、酸素供給部912と、燃料供給部909と、燃料タンク903と、空気タンク901と、手動ポンプ902とを備える。そして、酸素供給部912は、燃料電池500における酸素の供給口、および空気タンク901と連結している。なお、本発明において以下、「空気タンク」とは酸素を含む気体であり、該気体中の酸素の濃度は特に限定されないが18%以上であることが好ましく、「空気タンク」は、酸素を充填した「酸素タンク」であってもよい。本実施形態においては、酸素供給部912は、筒状の連結部であるが、該酸素の供給口および該空気タンク901双方と連結したものであれば、特に形状は限定されない。また、燃料供給部909は、燃料電池500における燃料の供給口、および燃料タンク903と連結している。本実施形態においては、燃料供給部909は、酸素供給部912と同様に筒状の連結部であるが、その形状は、特に限定されない。
また、空気タンク901は、該酸素供給部912とは別に手動ポンプ902と連結している。手動ポンプ902は、手動で酸素供給部にたとえば酸素(空気)を導入することができるものであれば特に形状は限定されない。そして、後述するように、空気タンク901または酸素供給部912にレギュレータを設置することによって、空気タンク901の内部を高圧とすることができる。そして、結果として、燃料電池500に高密度の空気を送り込むことができるので効率よく発電することができる。本実施形態の燃料電池システムによると、特に、山地、高地など大気圧が低い場所でも安定して動作させることができる。
そして、空気タンク901と燃料タンク903とは、直接的または間接的に連結されている。燃料電池500で消費された、たとえば空気中の酸素は水蒸気になり、未使用の空気および該水蒸気は、どちらかの一部は燃料タンク903に送り込まれる。このように空気タンク901の圧力を直接的または間接的に利用することにより燃料タンク903の燃料は燃料電池500に圧送することが可能となる。したがって、燃料を効率よく安定的に供給することができるので、安定的に高出力の燃料電池を実現できる。
ここで、空気タンク901と燃料タンク903とが直接的に連結されている状態とは、空気タンク901と燃料タンク903とが、連結部905等によって直接連結されている状態をいう。具体的には直接的に連結されている場合においては、液体燃料を燃料電池500に伝送するために空気タンク901の圧力を利用する状態をいう。空気タンク901と燃料タンク903とが間接的に連結されている状態とは、空気タンク901と燃料タンク903とが間接的に連結されている状態をいう。具体的には、間接的に連結されている状態においては、燃料電池の酸素供給源として酸素供給部912と燃料タンク903とが燃料電池を介して連結されている状態である。
また、本実施形態においては、燃料電池システムが設置される向きと重力との関係を考慮して連結部905、燃料供給部909および燃料タンク903等の位置が設定されている。たとえば、図18に向かって下の方向に重力がかかるように燃料電池システムを配置した場合に、燃料電池500に対して下から液体燃料を供給して、上から二酸化炭素を排出することができる。そして、水蒸気は液化したときに詰まらないように下向きに排出するよう設定することができる。
≪第7実施形態:燃料電池システム≫
図19は本発明に係る燃料電池を利用した燃料電池システムの一形態を示す模式的な断面図である。本実施形態においては、図19に基づいて説明する。
本実施形態の燃料電池システムにおいては、第6実施形態の燃料電池システムに対して、さらに圧力調整弁およびレギュレータを備えた設計となる。
本実施形態においては、圧力調整弁906および908は、空気タンク901と燃料タンク903とを直接的または間接的に連結する連結部905、および/または、燃料タンク903と連結するガス排出部907に設置されている。連結部905に設置されている圧力調整弁906は、逆止弁の構造となっている。これにより燃料タンク903から燃料が逆流することを防止できる。該ガス排出部907に設置された圧力調整弁908は、燃料タンク903内の圧力を一定にするための弁である。これらの圧力調整弁は、過剰な圧力によって過剰に燃料が供給されることを防止している。
そして、空気供給部912に設置されたレギュレータ904は、空気タンク901から一定圧力の空気を送り出すことができるようにすることができる。また、燃料供給部909にもレギュレータ910が備えられることが好ましい。燃料を燃料電池500に一定に供給することができるからである。
また、本実施形態においては、燃料電池システムが設置される向きと重力との関係を考慮して各構成要素の位置が設定されている。たとえば、本実施形態においては、図19に向かって下の方向に重力がかかるように燃料電池システムを配置した場合に、液体燃料が下から上に供給できるように設定されている。
≪第8実施形態:燃料電池システム≫
図20は本発明に係る燃料電池を利用した燃料電池システムの一形態を示す模式的な断面図である。本実施形態においては、図20に基づいて説明する。
本実施形態の燃料電池システムにおいては、第7実施形態の燃料電池システムに対して、各構成要素の配置や向きに工夫を加えている。図20に向かって下方向に重力がかかるように該燃料電池システムを地面に置いて動作させる場合において、燃料電池における電解質膜503が該地面に対して略垂直に配置される。つまり、燃料タンクは、燃料電池の電解質膜503の面内方向と略平行に燃料を供給できる位置に備えられている。また、燃料タンクは、燃料電池よりさらに地面に近い側(下側)に位置するように配置する。このような構成をとることによって、水蒸気が燃料電池システムの外部に排出される前に、途中で液化しても重力によってスムーズに液化した水蒸気(水)を燃料電池システムの外部に排出することができる。また、燃料が二酸化炭素側排出側に滲みだした場合であっても、該燃料が燃料電池システムの外部に漏れ出すことを防ぐことができる。
本実施形態の燃料電池システムにおいては、さらに、液体燃料を効率よく安定的に供給することができるので、安定的に高出力を実現できる。
なお、本発明における上述した各実施形態における燃料電池システムは、小型で持ち運びが便利な携帯型の発電機として利用することができる。
また、本発明においては、たとえば第3実施形態、第4実施形態および第5実施形態の燃料電池に適宜、第6実施形態、第7実施形態および第8実施形態で説明した酸素供給部、燃料供給部、燃料タンク、空気タンク、手動ポンプ等を組み合わせることができる。
また、第6実施形態、第7実施形態および第8実施形態における燃料電池は目視困難な小ささの寸法とし、空気タンクおよび燃料タンクは小型簡易ライター程度の大きさ以上のものを選択することも可能である。また、燃料電池を複数直列または並列に電気的に接続した燃料電池システムを作製することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図17に従来のオゾン処理のみを行なった高分子重合体(図中△)と、本発明にかかる表面に流路が形成された高分子重合体(図中●)の親水性およびその耐久性を示すグラフを示す。横軸は、乾燥環境下での放置時間を示し、縦軸は、純水の液滴の接触角度を示す。
本発明にかかる高分子重合体は、炭素負イオンを10keVのエネルギで3×1015ions/cm2だけイオン注入した。該高分子重合体と、イオン注入を行なわない高分子重合体とを、大気中で約0.5mW/cm2のUV照射20分の条件でオゾン処理した。
図17に示すように、本発明にかかる高分子重合体は、親水性も耐久性も向上していることが確認された。なお、図17の親水性の評価には接触角測定法を用いた。直径が1nm以下または1μL程度の水滴を静かに試料上に置き、真横から顕微鏡で写真撮影した。画像上で、液滴を円弧で近似して横幅と高さから接触角を形成した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明における部材の一実施形態の断面図である。 Aは図1におけるIIA−IIA線に沿った断面図であり、Bは本発明における部材の別局面を表わす一実施形態の断面図である。 本発明における部材の別局面を表わす一実施形態の断面図である。 本発明に係る部材を利用したバイオチップの一部分の模式的な平面図である。 図4におけるV−V線に沿った断面と、蓋とを示す図である。 本実施形態の別の局面に従ったバイオチップの一部分の平面図である。 本実施形態の別の局面に従ったバイオチップの一部分の断面図である。 本実施形態の別の局面に従ったバイオチップの一部分の断面図である。 Aは本発明に係る部材を利用した燃料電池の一部分の模式的な断面図であり、BはAに示す燃料電池における流路を構成する壁面の模式的な平面図である。 AおよびBは、図9Aに示す燃料電池における流路の一部分の模式的な断面図である。 本実施形態の別の局面に従った燃料電池の一部分の模式的な断面図である。 Aは本発明に係る部材を利用した燃料電池の一部分の模式的な断面図であり、BはAに示す燃料電池における流路を構成する壁面の模式的な平面図である。 AおよびBは、図12Aに示す燃料電池における流路の一部分の模式的な断面図である。 本実施形態の別の局面に従った燃料電池の一部分の模式的な断面図である。 Aは本発明に係る部材を利用した燃料電池の模式的な斜視図であり、BはAにおけるXVB−XVB線に沿った断面の一部を模式的に表した図である。 AおよびBは、本実施形態にかかる燃料電池の動作を模式的に表わす図である。 従来のオゾン処理のみを行なった高分子重合体(図中△)と、本発明にかかる表面に流路が形成された高分子重合体(図中●)の親水性およびその耐久性を示すグラフを示す。 本発明に係る燃料電池を利用した燃料電池システムの一形態を示す模式的な断面図である。 本発明に係る燃料電池を利用した燃料電池システムの一形態を示す模式的な断面図である。 本発明に係る燃料電池を利用した燃料電池システムの一形態を示す模式的な断面図である。
符号の説明
101,201,701 基板、102,103,105,202 室、104,106,206,501,505,635 流路、107 蓋、108,109 穴、110,210 部材、205 親水化領域、207 蓋、208 疎水性領域、500 燃料電池、502,707 酸化剤極、503,705 電解質膜、504,706 燃料極、511,515,521,525,631 壁面、702,703 矢印、704 ポーラス薄膜、708 供給口、709 排出口、710 液体燃料、711 二酸化炭素、712 気泡、720 部分、901 空気タンク、902 手動ポンプ、903 燃料タンク、904 レギュレータ、905 連結部、906,908 圧力調整弁、907 ガス排出部、909 燃料供給部、910 レギュレータ、912 酸素供給部。

Claims (13)

  1. 表面に流路が形成された高分子重合体からなる部材であって、
    前記流路を構成する壁面の表面の少なくとも一部は、イオン注入によって親水化された親水化領域を有する部材。
  2. 前記流路を構成する壁面の少なくとも一部の表面は、さらに疎水性領域を有する請求項1に記載の部材。
  3. 前記イオン注入で、炭素イオンを注入された請求項1または2に記載の部材。
  4. 前記イオン注入で、負イオンを注入された請求項1〜3のいずれかに記載の部材。
  5. 前記イオン注入における注入エネルギは、1keV以上100keV以下である請求項1〜4のいずれかに記載の部材。
  6. 前記イオン注入におけるイオン注入量は、1×1014ions/cm2以上1×1017ions/cm2以下である請求項1〜5のいずれかに記載の部材。
  7. 前記イオン注入の後に酸化性雰囲気に曝された請求項1〜6のいずれかに記載の部材。
  8. 前記イオン注入の後にプラズマ処理またはオゾン処理した請求項1〜7のいずれかに記載の部材。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の部材を利用したバイオチップ。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の部材を利用した燃料電池。
  11. 請求項10に記載の燃料電池を利用した燃料電池システムであって、
    前記燃料電池と、酸素供給部と、燃料供給部と、燃料タンクと、空気タンクと、手動ポンプとを備え、
    前記酸素供給部は、前記燃料電池における酸素の供給口、および前記空気タンクと連結しており、
    前記燃料供給部は、前記燃料電池における燃料の供給口、および前記燃料タンクと連結しており、
    前記空気タンクは、さらに前記手動ポンプと連結しており、
    前記空気タンクと前記燃料タンクとは、直接的または間接的に連結されている燃料電池システム。
  12. 前記空気タンクと前記燃料タンクとを直接的または間接的に連結する連結部、および/または、前記燃料タンクと連結するガス排出部には、前記燃料タンク内の圧力を調整するための圧力調整弁をさらに備え、
    前記空気供給部にはさらにレギュレータを設置された請求項11に記載の燃料電池システム。
  13. 前記燃料タンクは、前記燃料電池の電解質膜の面内方向と略平行に燃料を供給できる位置に備えられている、請求項11または12に記載の燃料電池システム。
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