JP2004340895A - 生体関連物質の検査容器と検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体関連物質を含む液体中に泡が発生し難い検査容器を提供する。
【解決手段】検査容器101は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体102と、生体関連物質を含む液体であるサンプル溶液を収容する流路103とを有している。固相坦体102は、多孔質体で構成され、サンプル溶液を透過し得る。流路103は、上面の開口から固相坦体102を横切って下方に延びる大径部分103aと、大径部分103aから側方に延び側面で終端する小径部分103bとを有している。固相坦体102は親水性処理が施されている。
【選択図】 図1
【解決手段】検査容器101は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体102と、生体関連物質を含む液体であるサンプル溶液を収容する流路103とを有している。固相坦体102は、多孔質体で構成され、サンプル溶液を透過し得る。流路103は、上面の開口から固相坦体102を横切って下方に延びる大径部分103aと、大径部分103aから側方に延び側面で終端する小径部分103bとを有している。固相坦体102は親水性処理が施されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体関連物質の検査容器と検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体関連物質の検出装置として、例えば、DNAチップ解析装置が知られている。DNAチップ解析装置では、DNAチップ上にスポッティングされたオリゴDNAプローブと蛍光標識サンプル溶液とを反応させ、蛍光強度としてシグナル検出を行なっている。例えば、特開平8−166387号公報は、ガラスやシリコンなどを基板に用いたDNAチップの反応容器を開示している。特許第3208390号公報や特表平09−504864号公報は、多孔質材料の基板にプローブを固相化して形成されたDNAチップを開示している。このシグナル検出は、DNAチップに励起光を照射し、フォトマルチプライヤーやCCDカメラを用いて蛍光を検出することにより行なわれる。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−166387号公報
【0004】
【特許文献2】
特許第3208390号公報
【0005】
【特許文献3】
特表平09−504864号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−166387号公報に開示されたDNAチップの反応容器には、検体液等の溶液の流入口、反応チャンバ、流出ポートがフローチャンネルで連結されており、流路の大きさが変化した複雑な構成をしている。このため、流路の大きさが変わる部分で溶液に泡が発生し易く、一度発生した泡は非常に消し難い。
【0007】
溶液内の泡は、溶液の流れを不均一にする要因となる。溶液の不均一な流れは、検体液とプローブの接触を不均一にし、検査精度を低下させる原因となる。
【0008】
同文献では、泡立ちを低減するために、洗剤を溶液に添加することを教示している。これにより表面張力は減少するが、洗剤を含んだ溶液が流路中を満たしており、これが循環する場合等は、かえって洗剤によりあわ立ちが激しくなってしまうことがある。
【0009】
特許第3208390号公報や特表平09−504864号公報に開示されている検査手法では、多孔質のDNAチップに検体溶液を繰り返し通すことにより、短時間で反応を終了させることが可能である。しかし、検体溶液に多孔質のDNAチップを通過させる際に、泡が発生することが懸念される。
【0010】
前述したように、溶液中の泡は、検体液とプローブの接触を不均一し、検査精度を低下させる原因となる。
【0011】
本発明は、この様な実状を考慮して成されたものであり、その主な目的は、生体関連物質を含む液体中に泡が発生し難い検査容器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の検査容器に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0013】
1. 本発明の生体関連物質の検査容器は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、固相坦体に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0014】
この検査容器においては、固相坦体に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体中に泡が発生することが実質的に防止される。これにより、液体が均一に流れ、反応が均一に起こり、精度の良い検査結果を得られるようになる。
【0015】
2. 本発明の別の検査容器は、第1項の検査容器において、固相坦体に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0016】
3. 本発明の別の検査容器は、第1項の検査容器において、固相坦体に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0017】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の別の検査容器に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0018】
4. 本発明の別の検査容器は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、固相坦体を横切って延びる、生体関連物質を含む液体を移動させるための流路を有しており、流路は少なくとも大きさが変化する部分に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0019】
この検査容器においては、流路に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体中に泡が発生することが実質的に防止される。これにより、液体が均一に流れ、反応が均一に起こり、精度の良い検査結果を得られるようになる。
【0020】
6. 本発明の別の検査容器は、第4項の検査容器において、流路に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0021】
7. 本発明の別の検査容器は、第4項の検査容器において、流路に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0022】
8. 本発明の別の検査容器は、第4項の検査容器において、さらに、固相坦体に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0023】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の更に別の検査容器に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0024】
9. 本発明の別の検査容器は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、生体関連物質を含む液体の蒸発を抑えるために固相坦体の上方に配置されると共に固相坦体の光学的観察を可能にする透明板を更に有しており、透明板に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0025】
この検査容器においては、透明板に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体が透明板に接触した際に透明板に泡が付着したり、生体関連物質を含む液体から蒸発した蒸気によって透明板が曇ったりすることが実質的に防止される。これにより、固相坦体の光学観察を良好に行なえるようになる。
【0026】
10. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0027】
11. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理に防湿フィルムが使用されていることを特徴とする。
【0028】
12. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0029】
13. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理にチタニア膜が使用されていることを特徴とする。
【0030】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の検査装置に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0031】
14. 本発明の検査装置は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器の温度を調節するための温調機構と、液体の蒸発を抑えるために固相坦体の上方に配置されると共に固相坦体の光学的観察を可能にする透明板とを有しており、透明板に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0032】
この検査装置においては、透明板に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体から蒸発した蒸気によって透明板が曇ることが実質的に防止される。これにより、固相坦体の光学観察を良好に行なえるようになる。
【0033】
15. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0034】
16. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理に防湿フィルムが使用されていることを特徴とする。
【0035】
17. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0036】
18. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理にチタニア膜が使用されていることを特徴とする。
【0037】
19. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、検査容器内の固相坦体を光学的に観察するレンズと、レンズの位置を調整するレンズ駆動部と、透明板に形成される水の膜の厚さを検出するセンサーと、センサーからの情報に基づいてレンズ駆動部を制御する制御部とを更に有している。
【0038】
この検査装置においては、透明板の表面に形成された水の膜による観察光学系の焦点位置の変化を補正している。これにより、ぼけのない良好な観察画像を得ることが可能になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
まず、後述する各実施形態に共通する生体関連物質の反応容器と検出装置について図1と図2を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、生体関連物質の検査容器とそれが装着された検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の上に位置している状態を示している。図2は、図1と同じ検査容器と検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の下に位置している状態を示している。
【0041】
図1と図2に示されるように、検査容器101は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体102と、生体関連物質を含む液体であるサンプル溶液を収容する流路103とを有している。
【0042】
固相坦体102は、多孔質体で構成され、サンプル溶液を透過し得る。固相坦体102は、これに限定されないが、例えば、多孔質基板に、オリゴDNAプローブをスポッティングして固相化して作られるDNAチップである。
【0043】
流路103は、上面の開口から固相坦体102を横切って下方に延びる大径部分103aと、大径部分103aから側方に延び側面で終端する小径部分103bとを有している。大径部分103aは、これに限定されないが、例えば円錐台形状をしている。小径部分103bは、これに限定されないが、例えばテーパーを有している。
【0044】
検出装置は、装着された検査容器101の温度を調節するための温調機構111と、検査容器101内の固相坦体102の光学的観察を可能にする観察窓112と、装着された検査容器101の流路103の小径部分103bと流体的に接続されるチューブ114と、チューブ114と流体的に接続されたポンプ115と有している。
【0045】
観察窓112は、サンプル溶液の蒸発を抑えるため、例えば、検査容器101の上面の開口の近くに配置される透明板113を有している。透明板113は、これに限定されないが、例えば、松浪硝子工業製「NEO MICRO COVER GLASS」のガラス板で構成される。ガラス板は、これに限定されないが、例えば、24mm×60mmの大きさで、0.12〜0.17mmの厚さを有する。しかし、透明板113は、光学的に透明であり、サンプル溶液の蒸発を好適に抑えさえできれば、どのような材質のものであってもよい。
【0046】
また、観察窓112は、単なる開口であってもよい。その場合、検査容器101は、サンプル溶液の蒸発を抑えるため、上面の開口の上に配置される透明板を有しているとよい。
【0047】
以下では、固相坦体102はDNAチップであるものとして、また、検出装置はDNAチップ解析装置であり、遺伝子の発現解析をするものとして説明する。
【0048】
検査容器101は、DNAチップ102の上に必要量のサンプル溶液105が滴下され、検出装置に装着される。サンプル溶液105を収容した検査容器101は、ハイブリダイゼーション反応を促進させるために、温調機構111により35℃から80℃程度の適当な温度に暖められる、あるいは適当な温度サイクルで温度制御される。
【0049】
さらに、ハイブリダイゼーション反応を促進させるために、ポンプ115により検査容器101内の流路103を加圧減圧して、サンプル溶液105をDNAチップ102内に強制的に通過させる。これにより、サンプル溶液105は、図1に示されるように、液面がDNAチップ102の上に位置する状態と、図2に示されるように、液面がDNAチップ102の下に位置する状態とを繰り返し推移する。
【0050】
このようにサンプル溶液105にDNAチップ102を強制的に通過させることにより、比較的短時間の内にハイブリダイゼーション反応を完了させることができる。例えば、1〜2時間程度でハイブリダイゼーション反応を終了させることができる。
【0051】
反応完了後、DNAチップ102は蛍光観察され、遺伝子の発現量の増減が蛍光強度の強弱として読み取られる。
【0052】
検査容器101はDNAチップ102の上方が開放しており、検出装置はDNAチップ102の上方に観察窓112を有している。このため、このような検査容器101と検出装置においては、ハイブリダイゼーション反応の反応前・反応途中・反応終了後のいずれの時期においても、DNAチップ102を上方から光学的観察(通常の顕微鏡観察や蛍光観察)を行なうことが可能である。
【0053】
第一実施形態
ポンプ115によりサンプル溶液を駆動している間、サンプル溶液が多孔質体のDNAチップ102を通過する際に、サンプル溶液内に泡を発生させることがある。しかも、サンプル溶液内に一度発生した泡を消すことは非常に難しい。
【0054】
サンプル溶液内に発生した泡は、サンプル溶液の流れを不均一にし、結果として、サンプル溶液とDNAチップ102に固相化されたプローブとの接触を不均一にし、検査精度を低下させる要因となる。また、蛍光観察の際にもDNAチップ102の観察を妨げる要因ともなる。
【0055】
本実施形態は、このような不所望な泡が発生し難い検査容器101に向けられている。
【0056】
本実施形態の検査容器101では、DNAチップ102に親水性処理が施されている。より詳しくは、プローブの固相化に先立ち、DNAチップ102の多孔質基板に親水性処理が施されている。
【0057】
DNAチップ102の多孔質基板の親水性処理は、これに限定されないが、例えば、界面活性剤による処理、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く好ましい。
【0058】
DNAチップ102に親水性処理が施されているため、サンプル溶液の駆動中、サンプル溶液は、泡を発生させることなく、DNAチップ102を通過する。泡が発生しないので、ハイブリダイゼーション反応は、DNAチップ102のあらゆる部分で、均一に進行する。
【0059】
本実施形態の検査容器101によると、サンプル溶液の駆動中に泡が発生しないため、精度の高い遺伝子検査を行なうことが可能となる。
【0060】
第二実施形態
ポンプ115によりサンプル溶液を駆動している間、サンプル溶液105が流路103内を移動する際に、サンプル溶液内に泡を発生させることがある。しかも、サンプル溶液内に一度発生した泡を消すことは非常に難しい。
【0061】
サンプル溶液内に発生した泡は、サンプル溶液の流れを不均一にし、結果として、サンプル溶液とDNAチップ102に固相化されたプローブとの接触を不均一にし、検査精度を低下させる要因となる。また、蛍光観察の際にもDNAチップ102の観察を妨げる要因ともなる。
【0062】
本実施形態は、このような不所望な泡が発生し難い検査容器101に向けられている。
【0063】
本実施形態の検査容器101では、流路103の表面の一部に親水性処理が施されている。好ましくは、サンプル溶液105の流れが乱れ易い流路103の大きさが変わる部分、すなわち大径部分103aと小径部分103bの接続部分に親水性処理が施されている。より好ましくは、流路103の表面の全体に親水性処理が施されている。
【0064】
流路103の表面の親水性処理は、これに限定されないが、例えば、界面活性剤による処理、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く好ましい。
【0065】
流路103の表面に親水性処理が施されているため、サンプル溶液の駆動中、サンプル溶液は、泡を発生させることなく、流路103内を移動する。泡が発生しないので、ハイブリダイゼーション反応は、DNAチップ102のあらゆる部分で、均一に進行する。
【0066】
本実施形態の検査容器101によると、サンプル溶液の駆動中に泡が発生しないため、精度の高い遺伝子検査を行なうことが可能となる。
【0067】
本実施形態の検査容器101は、第一実施形態と組み合わされると、より好適である。すなわち、本実施形態において、より好適な検査容器101は、流路103とDNAチップ102の両方に親水性処理が施されている。
【0068】
第三実施形態
本実施形態は、サンプル溶液の蒸発を抑えるためにDNAチップ102の上方に配置されると共にDNAチップ102の光学的観察を可能にする透明板を更に有している検査容器に向けられている。このような検査容器において、透明板は、検査の際にDNAチップ102の上方に置かれるものであり、特定の検査容器101に固有なものではなく、対象の検査容器101にその都度適当に組み合わされるものである。
【0069】
本実施形態の検査容器101では、DNAチップ102の上方に配置される透明板に親水性処理が施されている。透明板は、少なくとも、下側の表面に親水性処理が施されていればよい。勿論、透明板は、下側の表面と上側の表面の両方に親水性処理が施されていてもよい。
【0070】
透明板の親水性処理は、これに限定されないが、例えば、界面活性剤による処理、防湿フィルムの貼着、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く、更に、吸水口かも有するので透明板の曇りを防止するための親水処理には特に好ましい。
【0071】
DNAチップ102と透明板の間の空間にサンプル溶液105が満たした状態で観察する場合、透明板に泡が付着することがある。さらに、透明板に付着した泡に更にゴミが付着したりする。このような透明板に泡やゴミはDNAチップ102の光学的観察を妨げる要因となる。
【0072】
本実施形態では、透明板に親水性処理が施されているので、実質的に、透明板に泡が付着することがない。結果として、DNAチップ102を好適に光学観察することが可能になる。特に、DNAチップ102のスポットの蛍光強度を好適に取得することが可能となる。
【0073】
また、DNAチップ102と透明板の間の空間からサンプル溶液105を除去した状態で観察する場合、サンプル溶液105から蒸発した蒸気が透明板を曇らせることがある。このような透明板の曇りはDNAチップ102の光学的観察を妨げる要因となる。
【0074】
本実施形態では、透明板に親水性処理が施されているので、実質的に、サンプル溶液105から蒸発した蒸気によって透明板が曇ることがない。結果として、DNAチップ102を好適に光学観察することが可能になる。特に、DNAチップ102のスポットの蛍光強度を好適に取得することが可能となる。
【0075】
第四実施形態
本実施形態は、観察窓112がサンプル溶液の蒸発を抑えるための透明板113を有している検出装置に向けられている。これに伴い、本実施形態の検出装置に対応する検査容器は、サンプル溶液の蒸発を抑えるための透明板を有していない。
【0076】
前述したように、ハイブリダイゼーション反応の間、検査容器101は温調機構111により所定の温度に暖められる、あるいは所定の温度サイクルで変化される。このため、サンプル溶液105の一部が蒸発し、その蒸気が、透明板113に付着して、観察窓112を曇らせてしまうことがある。このような観察窓112の曇りは、DNAチップ102の光学的観察を妨げる要因となる。
【0077】
本実施形態の検出装置では、観察窓112に使用される透明板113に親水性処理が施されている。親水性処理により、透明板113の表面に付着した水滴と透明板113との接触角が20度から40度の状態、言い換えれば、透明板113の表面と水滴がなじんだ状態が作り出される。これにより、透明板113の表面に付着した蒸気は、水滴とならずに、透明板113の全面に速やかに広がる。
【0078】
本実施形態の検出装置によると、観察窓112に実質的に曇りが生じないため、DNAチップ102を好適に観察することが可能になる。特に、DNAチップ102のスポットの蛍光強度を好適に取得することが可能となる。サンプル溶液の温度を変更しながら、反応させたり検出したりする場合には、サンプル溶液の温度の変化により、観察窓に水分が付着して曇りが発生し易いので、観察窓への親水性処理は、特に効果的である。
【0079】
透明板113の親水性処理は、例えば、界面活性剤や防湿フィルム、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く好ましい。以下、これらを使用した親水性処理の例について述べる。
【0080】
a.界面活性剤を使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面が、界面活性剤、例えばTween20を使用して親水性処理されている。
【0081】
界面活性剤は、水と油とが反発して離れてしまうのを防ぎ、つなぎ止めておこうとすると共に、表面張力を低下させる作用を有している。このため、界面活性剤で処理された透明板113に付着した蒸気は、水滴にならず、速やかに拡がる。その結果、透明板113の表面には実質的に曇りが発生しない。
【0082】
b.防湿フィルムを使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面に親水性または吸水性のフィルムが貼られている。
【0083】
親水性または吸水性のフィルムとしては、種々のものが適用可能であるが、好適なフィルムは、これに限定されないが、例えば、ポリプロピレンのフィルムに親水性のコーティングを施した複合フィルムやアセテートの表面を親水性に改質したフィルムである。特に、表面を親水性に改質したフィルムはコーティング層の剥離がなく、より好ましい。
【0084】
c.シリカ多孔質膜を使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面にシリカ多孔質膜が形成されている。
【0085】
シリカ多孔質膜は、透過率が高く、シリカ表面にSi−OH基が存在するため親水性であり、更に多孔質であるため蒸気を吸着する。このため、曇りが発生し難い。
【0086】
このようなシリカ多孔質膜は、LPD法やゾル・ゲル法により作製することができる。例えば、以下のようにして作製される。シリコンアルコキシドをアルコールで希釈し、ポリエチレングリコールと塩酸を加えて撹拌してゾル溶液を調製する。この溶液を、透明板113にスピンコートまたはディップコートして、100℃程度で熱処理を行い成膜する。撹拌は、種々の方法により行なうことが可能であるが、好ましくは、遊星式撹拌脱泡機を用いるとよい。遊星式撹拌脱泡機を用いると、反応が均一に進行するので、特性の揃った成膜が可能であり、しかも非常に短時間でゾルを調製することが可能である。
【0087】
d.チタニア膜を使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面にチタニア膜が形成されている。
【0088】
チタニアは、光が照射されると、水を電気分解するという作用を有する。チタニアの光触媒作用は表面を超親水性状態に保つ働きを持つ。超親水性の状態の表面に付着した水は、水滴にならずに、速やかに広がる。その結果、その表面には曇りが発生しない。
【0089】
蛍光観察の際には励起光が照射される。このため、透明板113の表面は超親水性になる。その結果、観察窓112を構成している透明板113の表面には曇りが発生しない。
【0090】
透明板113がアルカリ金属を含むガラス板から成る場合、ガラス板の上にシリカ膜を成膜し、その上にチタニア膜を成膜するとよい。これは、アルカリ金属を含むガラス板にチタニア膜を直接成膜すると、ガラス板内のアルカリ金属がチタニア膜に取り込まれてチタニア膜の光触媒作用を低下させてしまうからである。
【0091】
e.SiO2−TiO2膜を使用した親水性処理
透明板113の表面に形成される膜は、より好ましくは、SiO2−TiO2の二成分膜である。これは、チタニア単成分の膜は、照明光が照射されていない間に、光触媒作用が停止して親水性が低下してしまうことがあるからである。SiO2−TiO2の二成分膜は、Si−OH基の親水性と相俟って、光が照射されていない間も、透明板113の表面を好適に親水性に保つ。蛍光観察時には、光が照射されて更に親水性が向上する。
【0092】
SiO2−TiO2の二成分膜は、例えば、ゾル・ゲル法により作製することができる。例えば、以下のようにして作製される。シリコンアルコキシドをアルコールで希釈し、撹拌して部分加水分解を行なった後に、アルコールで希釈したチタンアルコキシドを添加して撹拌し、最終的な加水分解のために少量の水を添加し、更に撹拌してゾルを調製する。このようにして得られたゾルを透明板113にコーティングして熱処理することにより、SiO2−TiO2の二成分膜が作製される。
【0093】
撹拌は、種々の方法により行なうことが可能であるが、好ましくは、遊星式撹拌脱泡機を用いるとよい。遊星式撹拌脱泡機を用いると、反応が均一に進行するので、特に、部分加水分解の制御が容易にでき、特性の揃った成膜が可能であり、しかも非常に短時間でゾルを調製することが可能である。
【0094】
第五実施形態
第四実施形態においては、透明板に付着した蒸気は、透明板の全面に速やかに広がる。その結果、透明板の表面には水の膜が形成される。透明板の表面に形成された水の膜は、その膜厚によっては、光学的観察に悪影響を与えることが懸念される。つまり、水の膜の厚さが無視できないくらい厚くなると、観察光学系の焦点距離を変えてしまい、観察像のぼけを引き起こしてしまう。
【0095】
本実施形態は、透明板113の表面に形成される水の膜の影響による画質低下に対応する検出装置に向けられている。図3は、本発明の第五実施形態における検出装置を概略的に示している。
【0096】
本実施形態の検出装置は、図3に示されるように、温調機構111と透明板113とチューブ114とポンプ115に加えて、検査容器101内のDNAチップ102を光学的に観察するレンズ121と、レンズ121の位置を調整するレンズ駆動部122と、透明板113に形成される水の膜の厚さを検出するセンサー123と、センサー123からの情報に基づいてレンズ駆動部122を制御する制御部124とを更に有している。
【0097】
センサー123は、透明板113に形成される水の膜の厚さを検出し、その情報を制御部124に送る。制御部124は、センサー123で検出された水の膜の厚さを考慮したレンズ121の最適位置を算出し、その情報をレンズ駆動部122に送る。レンズ駆動部122は、制御部124で算出された最適位置にレンズ121を移動させる。
【0098】
これにより、透明板113に形成される水の膜による観察光学系の焦点距離の変化が補正される。これにより、ぼけのない良好な観察画像を得ることが可能になる。
【0099】
透明板113に形成される水の膜の厚さは、例えば、以下のようにして行なうことが可能である。
【0100】
まず、透明板113単体における光の反射と、水の膜が形成された透明板113における光の反射とを考える。ガラスに水の膜が形成されると、水とガラスの屈折率差の影響により、反射位置が変化する。この反射位置は光の入射角度と水の膜の厚さとで決まる。
【0101】
従って、透明板113に所定の角度で光を入射させ、その反射光の反射位置の透明板113単体の場合との違いを測定することにより、透明板113に形成された水の量すなわち水の膜の厚さを測定することが可能である。また、透明板113に真上から光を入射させ、その反射率の変化量によって、水の膜の厚さを測定することも可能である。また、透明板113に導電率センサーを設け、付着した水の量を測定することも可能である。
【0102】
本実施形態の検出装置によれば、ぼけのない良好な観察画像を得ることが可能になる。
【0103】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施の形態を述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【0104】
例えば、前述の実施形態では、多孔質基板を用いたDNAチップを例にあげて説明したが、本発明は、シリコンウエハやスライドグラスを基材に用いたDNAチップにも適用可能である。また、DNAの検出だけでなく、例えば、抗原や抗体をプローブに用い、免疫的な反応を検出する用途にも適用可能である。
【0105】
しかし、本発明は、多孔質基板やビーズを基材に用いて検体液を基材中に流通させる検出手法に対して特に効果的である。更に、検体液を基材中に往復させて流通させる検出手法に対して特に効果的である。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、生体関連物質を含む液体中に泡が発生し難い検査容器、および、光学的な検出を行なう際に曇りが発生し難い生体関連物質の検査容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】生体関連物質の検査容器とそれが装着された検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の上に位置している状態を示している。
【図2】図1と同じ検査容器と検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の下に位置している状態を示している。
【図3】本発明の第五実施形態における検出装置を概略的に示している。
【符号の説明】
101…検査容器、102…固相坦体、103…流路、105…サンプル溶液、111…温調機構、113…透明板、114…チューブ、115…ポンプ、121…レンズ、122…レンズ駆動部、123…センサー、124…制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体関連物質の検査容器と検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体関連物質の検出装置として、例えば、DNAチップ解析装置が知られている。DNAチップ解析装置では、DNAチップ上にスポッティングされたオリゴDNAプローブと蛍光標識サンプル溶液とを反応させ、蛍光強度としてシグナル検出を行なっている。例えば、特開平8−166387号公報は、ガラスやシリコンなどを基板に用いたDNAチップの反応容器を開示している。特許第3208390号公報や特表平09−504864号公報は、多孔質材料の基板にプローブを固相化して形成されたDNAチップを開示している。このシグナル検出は、DNAチップに励起光を照射し、フォトマルチプライヤーやCCDカメラを用いて蛍光を検出することにより行なわれる。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−166387号公報
【0004】
【特許文献2】
特許第3208390号公報
【0005】
【特許文献3】
特表平09−504864号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−166387号公報に開示されたDNAチップの反応容器には、検体液等の溶液の流入口、反応チャンバ、流出ポートがフローチャンネルで連結されており、流路の大きさが変化した複雑な構成をしている。このため、流路の大きさが変わる部分で溶液に泡が発生し易く、一度発生した泡は非常に消し難い。
【0007】
溶液内の泡は、溶液の流れを不均一にする要因となる。溶液の不均一な流れは、検体液とプローブの接触を不均一にし、検査精度を低下させる原因となる。
【0008】
同文献では、泡立ちを低減するために、洗剤を溶液に添加することを教示している。これにより表面張力は減少するが、洗剤を含んだ溶液が流路中を満たしており、これが循環する場合等は、かえって洗剤によりあわ立ちが激しくなってしまうことがある。
【0009】
特許第3208390号公報や特表平09−504864号公報に開示されている検査手法では、多孔質のDNAチップに検体溶液を繰り返し通すことにより、短時間で反応を終了させることが可能である。しかし、検体溶液に多孔質のDNAチップを通過させる際に、泡が発生することが懸念される。
【0010】
前述したように、溶液中の泡は、検体液とプローブの接触を不均一し、検査精度を低下させる原因となる。
【0011】
本発明は、この様な実状を考慮して成されたものであり、その主な目的は、生体関連物質を含む液体中に泡が発生し難い検査容器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の検査容器に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0013】
1. 本発明の生体関連物質の検査容器は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、固相坦体に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0014】
この検査容器においては、固相坦体に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体中に泡が発生することが実質的に防止される。これにより、液体が均一に流れ、反応が均一に起こり、精度の良い検査結果を得られるようになる。
【0015】
2. 本発明の別の検査容器は、第1項の検査容器において、固相坦体に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0016】
3. 本発明の別の検査容器は、第1項の検査容器において、固相坦体に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0017】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の別の検査容器に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0018】
4. 本発明の別の検査容器は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、固相坦体を横切って延びる、生体関連物質を含む液体を移動させるための流路を有しており、流路は少なくとも大きさが変化する部分に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0019】
この検査容器においては、流路に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体中に泡が発生することが実質的に防止される。これにより、液体が均一に流れ、反応が均一に起こり、精度の良い検査結果を得られるようになる。
【0020】
6. 本発明の別の検査容器は、第4項の検査容器において、流路に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0021】
7. 本発明の別の検査容器は、第4項の検査容器において、流路に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0022】
8. 本発明の別の検査容器は、第4項の検査容器において、さらに、固相坦体に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0023】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の更に別の検査容器に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0024】
9. 本発明の別の検査容器は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、生体関連物質を含む液体の蒸発を抑えるために固相坦体の上方に配置されると共に固相坦体の光学的観察を可能にする透明板を更に有しており、透明板に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0025】
この検査容器においては、透明板に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体が透明板に接触した際に透明板に泡が付着したり、生体関連物質を含む液体から蒸発した蒸気によって透明板が曇ったりすることが実質的に防止される。これにより、固相坦体の光学観察を良好に行なえるようになる。
【0026】
10. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0027】
11. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理に防湿フィルムが使用されていることを特徴とする。
【0028】
12. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0029】
13. 本発明の別の検査容器は、第9項の検査容器において、透明板に施す親水性処理にチタニア膜が使用されていることを特徴とする。
【0030】
本発明は、ひとつには、生体関連物質の検査装置に向けられており、以下の各項に列記する検査容器を含んでいる。
【0031】
14. 本発明の検査装置は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器の温度を調節するための温調機構と、液体の蒸発を抑えるために固相坦体の上方に配置されると共に固相坦体の光学的観察を可能にする透明板とを有しており、透明板に親水性処理が施されていることを特徴とする。
【0032】
この検査装置においては、透明板に親水性処理が施されていることにより、生体関連物質を含む液体から蒸発した蒸気によって透明板が曇ることが実質的に防止される。これにより、固相坦体の光学観察を良好に行なえるようになる。
【0033】
15. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする。
【0034】
16. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理に防湿フィルムが使用されていることを特徴とする。
【0035】
17. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理にシリカ多孔質膜が使用されていることを特徴とする。
【0036】
18. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、透明板に施す親水性処理にチタニア膜が使用されていることを特徴とする。
【0037】
19. 本発明の別の検査装置は、第14項の検査装置において、検査容器内の固相坦体を光学的に観察するレンズと、レンズの位置を調整するレンズ駆動部と、透明板に形成される水の膜の厚さを検出するセンサーと、センサーからの情報に基づいてレンズ駆動部を制御する制御部とを更に有している。
【0038】
この検査装置においては、透明板の表面に形成された水の膜による観察光学系の焦点位置の変化を補正している。これにより、ぼけのない良好な観察画像を得ることが可能になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
まず、後述する各実施形態に共通する生体関連物質の反応容器と検出装置について図1と図2を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、生体関連物質の検査容器とそれが装着された検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の上に位置している状態を示している。図2は、図1と同じ検査容器と検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の下に位置している状態を示している。
【0041】
図1と図2に示されるように、検査容器101は、生体関連物質の検出するためのプローブが固相化された固相坦体102と、生体関連物質を含む液体であるサンプル溶液を収容する流路103とを有している。
【0042】
固相坦体102は、多孔質体で構成され、サンプル溶液を透過し得る。固相坦体102は、これに限定されないが、例えば、多孔質基板に、オリゴDNAプローブをスポッティングして固相化して作られるDNAチップである。
【0043】
流路103は、上面の開口から固相坦体102を横切って下方に延びる大径部分103aと、大径部分103aから側方に延び側面で終端する小径部分103bとを有している。大径部分103aは、これに限定されないが、例えば円錐台形状をしている。小径部分103bは、これに限定されないが、例えばテーパーを有している。
【0044】
検出装置は、装着された検査容器101の温度を調節するための温調機構111と、検査容器101内の固相坦体102の光学的観察を可能にする観察窓112と、装着された検査容器101の流路103の小径部分103bと流体的に接続されるチューブ114と、チューブ114と流体的に接続されたポンプ115と有している。
【0045】
観察窓112は、サンプル溶液の蒸発を抑えるため、例えば、検査容器101の上面の開口の近くに配置される透明板113を有している。透明板113は、これに限定されないが、例えば、松浪硝子工業製「NEO MICRO COVER GLASS」のガラス板で構成される。ガラス板は、これに限定されないが、例えば、24mm×60mmの大きさで、0.12〜0.17mmの厚さを有する。しかし、透明板113は、光学的に透明であり、サンプル溶液の蒸発を好適に抑えさえできれば、どのような材質のものであってもよい。
【0046】
また、観察窓112は、単なる開口であってもよい。その場合、検査容器101は、サンプル溶液の蒸発を抑えるため、上面の開口の上に配置される透明板を有しているとよい。
【0047】
以下では、固相坦体102はDNAチップであるものとして、また、検出装置はDNAチップ解析装置であり、遺伝子の発現解析をするものとして説明する。
【0048】
検査容器101は、DNAチップ102の上に必要量のサンプル溶液105が滴下され、検出装置に装着される。サンプル溶液105を収容した検査容器101は、ハイブリダイゼーション反応を促進させるために、温調機構111により35℃から80℃程度の適当な温度に暖められる、あるいは適当な温度サイクルで温度制御される。
【0049】
さらに、ハイブリダイゼーション反応を促進させるために、ポンプ115により検査容器101内の流路103を加圧減圧して、サンプル溶液105をDNAチップ102内に強制的に通過させる。これにより、サンプル溶液105は、図1に示されるように、液面がDNAチップ102の上に位置する状態と、図2に示されるように、液面がDNAチップ102の下に位置する状態とを繰り返し推移する。
【0050】
このようにサンプル溶液105にDNAチップ102を強制的に通過させることにより、比較的短時間の内にハイブリダイゼーション反応を完了させることができる。例えば、1〜2時間程度でハイブリダイゼーション反応を終了させることができる。
【0051】
反応完了後、DNAチップ102は蛍光観察され、遺伝子の発現量の増減が蛍光強度の強弱として読み取られる。
【0052】
検査容器101はDNAチップ102の上方が開放しており、検出装置はDNAチップ102の上方に観察窓112を有している。このため、このような検査容器101と検出装置においては、ハイブリダイゼーション反応の反応前・反応途中・反応終了後のいずれの時期においても、DNAチップ102を上方から光学的観察(通常の顕微鏡観察や蛍光観察)を行なうことが可能である。
【0053】
第一実施形態
ポンプ115によりサンプル溶液を駆動している間、サンプル溶液が多孔質体のDNAチップ102を通過する際に、サンプル溶液内に泡を発生させることがある。しかも、サンプル溶液内に一度発生した泡を消すことは非常に難しい。
【0054】
サンプル溶液内に発生した泡は、サンプル溶液の流れを不均一にし、結果として、サンプル溶液とDNAチップ102に固相化されたプローブとの接触を不均一にし、検査精度を低下させる要因となる。また、蛍光観察の際にもDNAチップ102の観察を妨げる要因ともなる。
【0055】
本実施形態は、このような不所望な泡が発生し難い検査容器101に向けられている。
【0056】
本実施形態の検査容器101では、DNAチップ102に親水性処理が施されている。より詳しくは、プローブの固相化に先立ち、DNAチップ102の多孔質基板に親水性処理が施されている。
【0057】
DNAチップ102の多孔質基板の親水性処理は、これに限定されないが、例えば、界面活性剤による処理、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く好ましい。
【0058】
DNAチップ102に親水性処理が施されているため、サンプル溶液の駆動中、サンプル溶液は、泡を発生させることなく、DNAチップ102を通過する。泡が発生しないので、ハイブリダイゼーション反応は、DNAチップ102のあらゆる部分で、均一に進行する。
【0059】
本実施形態の検査容器101によると、サンプル溶液の駆動中に泡が発生しないため、精度の高い遺伝子検査を行なうことが可能となる。
【0060】
第二実施形態
ポンプ115によりサンプル溶液を駆動している間、サンプル溶液105が流路103内を移動する際に、サンプル溶液内に泡を発生させることがある。しかも、サンプル溶液内に一度発生した泡を消すことは非常に難しい。
【0061】
サンプル溶液内に発生した泡は、サンプル溶液の流れを不均一にし、結果として、サンプル溶液とDNAチップ102に固相化されたプローブとの接触を不均一にし、検査精度を低下させる要因となる。また、蛍光観察の際にもDNAチップ102の観察を妨げる要因ともなる。
【0062】
本実施形態は、このような不所望な泡が発生し難い検査容器101に向けられている。
【0063】
本実施形態の検査容器101では、流路103の表面の一部に親水性処理が施されている。好ましくは、サンプル溶液105の流れが乱れ易い流路103の大きさが変わる部分、すなわち大径部分103aと小径部分103bの接続部分に親水性処理が施されている。より好ましくは、流路103の表面の全体に親水性処理が施されている。
【0064】
流路103の表面の親水性処理は、これに限定されないが、例えば、界面活性剤による処理、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く好ましい。
【0065】
流路103の表面に親水性処理が施されているため、サンプル溶液の駆動中、サンプル溶液は、泡を発生させることなく、流路103内を移動する。泡が発生しないので、ハイブリダイゼーション反応は、DNAチップ102のあらゆる部分で、均一に進行する。
【0066】
本実施形態の検査容器101によると、サンプル溶液の駆動中に泡が発生しないため、精度の高い遺伝子検査を行なうことが可能となる。
【0067】
本実施形態の検査容器101は、第一実施形態と組み合わされると、より好適である。すなわち、本実施形態において、より好適な検査容器101は、流路103とDNAチップ102の両方に親水性処理が施されている。
【0068】
第三実施形態
本実施形態は、サンプル溶液の蒸発を抑えるためにDNAチップ102の上方に配置されると共にDNAチップ102の光学的観察を可能にする透明板を更に有している検査容器に向けられている。このような検査容器において、透明板は、検査の際にDNAチップ102の上方に置かれるものであり、特定の検査容器101に固有なものではなく、対象の検査容器101にその都度適当に組み合わされるものである。
【0069】
本実施形態の検査容器101では、DNAチップ102の上方に配置される透明板に親水性処理が施されている。透明板は、少なくとも、下側の表面に親水性処理が施されていればよい。勿論、透明板は、下側の表面と上側の表面の両方に親水性処理が施されていてもよい。
【0070】
透明板の親水性処理は、これに限定されないが、例えば、界面活性剤による処理、防湿フィルムの貼着、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く、更に、吸水口かも有するので透明板の曇りを防止するための親水処理には特に好ましい。
【0071】
DNAチップ102と透明板の間の空間にサンプル溶液105が満たした状態で観察する場合、透明板に泡が付着することがある。さらに、透明板に付着した泡に更にゴミが付着したりする。このような透明板に泡やゴミはDNAチップ102の光学的観察を妨げる要因となる。
【0072】
本実施形態では、透明板に親水性処理が施されているので、実質的に、透明板に泡が付着することがない。結果として、DNAチップ102を好適に光学観察することが可能になる。特に、DNAチップ102のスポットの蛍光強度を好適に取得することが可能となる。
【0073】
また、DNAチップ102と透明板の間の空間からサンプル溶液105を除去した状態で観察する場合、サンプル溶液105から蒸発した蒸気が透明板を曇らせることがある。このような透明板の曇りはDNAチップ102の光学的観察を妨げる要因となる。
【0074】
本実施形態では、透明板に親水性処理が施されているので、実質的に、サンプル溶液105から蒸発した蒸気によって透明板が曇ることがない。結果として、DNAチップ102を好適に光学観察することが可能になる。特に、DNAチップ102のスポットの蛍光強度を好適に取得することが可能となる。
【0075】
第四実施形態
本実施形態は、観察窓112がサンプル溶液の蒸発を抑えるための透明板113を有している検出装置に向けられている。これに伴い、本実施形態の検出装置に対応する検査容器は、サンプル溶液の蒸発を抑えるための透明板を有していない。
【0076】
前述したように、ハイブリダイゼーション反応の間、検査容器101は温調機構111により所定の温度に暖められる、あるいは所定の温度サイクルで変化される。このため、サンプル溶液105の一部が蒸発し、その蒸気が、透明板113に付着して、観察窓112を曇らせてしまうことがある。このような観察窓112の曇りは、DNAチップ102の光学的観察を妨げる要因となる。
【0077】
本実施形態の検出装置では、観察窓112に使用される透明板113に親水性処理が施されている。親水性処理により、透明板113の表面に付着した水滴と透明板113との接触角が20度から40度の状態、言い換えれば、透明板113の表面と水滴がなじんだ状態が作り出される。これにより、透明板113の表面に付着した蒸気は、水滴とならずに、透明板113の全面に速やかに広がる。
【0078】
本実施形態の検出装置によると、観察窓112に実質的に曇りが生じないため、DNAチップ102を好適に観察することが可能になる。特に、DNAチップ102のスポットの蛍光強度を好適に取得することが可能となる。サンプル溶液の温度を変更しながら、反応させたり検出したりする場合には、サンプル溶液の温度の変化により、観察窓に水分が付着して曇りが発生し易いので、観察窓への親水性処理は、特に効果的である。
【0079】
透明板113の親水性処理は、例えば、界面活性剤や防湿フィルム、シリカ膜、SiO2−TiO2膜のコーティングなどがある。これらの膜は、緻密膜でも多孔質膜でも効果を有するが、表面積が多い多孔質膜の方が親水効果は高く好ましい。以下、これらを使用した親水性処理の例について述べる。
【0080】
a.界面活性剤を使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面が、界面活性剤、例えばTween20を使用して親水性処理されている。
【0081】
界面活性剤は、水と油とが反発して離れてしまうのを防ぎ、つなぎ止めておこうとすると共に、表面張力を低下させる作用を有している。このため、界面活性剤で処理された透明板113に付着した蒸気は、水滴にならず、速やかに拡がる。その結果、透明板113の表面には実質的に曇りが発生しない。
【0082】
b.防湿フィルムを使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面に親水性または吸水性のフィルムが貼られている。
【0083】
親水性または吸水性のフィルムとしては、種々のものが適用可能であるが、好適なフィルムは、これに限定されないが、例えば、ポリプロピレンのフィルムに親水性のコーティングを施した複合フィルムやアセテートの表面を親水性に改質したフィルムである。特に、表面を親水性に改質したフィルムはコーティング層の剥離がなく、より好ましい。
【0084】
c.シリカ多孔質膜を使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面にシリカ多孔質膜が形成されている。
【0085】
シリカ多孔質膜は、透過率が高く、シリカ表面にSi−OH基が存在するため親水性であり、更に多孔質であるため蒸気を吸着する。このため、曇りが発生し難い。
【0086】
このようなシリカ多孔質膜は、LPD法やゾル・ゲル法により作製することができる。例えば、以下のようにして作製される。シリコンアルコキシドをアルコールで希釈し、ポリエチレングリコールと塩酸を加えて撹拌してゾル溶液を調製する。この溶液を、透明板113にスピンコートまたはディップコートして、100℃程度で熱処理を行い成膜する。撹拌は、種々の方法により行なうことが可能であるが、好ましくは、遊星式撹拌脱泡機を用いるとよい。遊星式撹拌脱泡機を用いると、反応が均一に進行するので、特性の揃った成膜が可能であり、しかも非常に短時間でゾルを調製することが可能である。
【0087】
d.チタニア膜を使用した親水性処理
この親水性処理の例では、透明板113の表面にチタニア膜が形成されている。
【0088】
チタニアは、光が照射されると、水を電気分解するという作用を有する。チタニアの光触媒作用は表面を超親水性状態に保つ働きを持つ。超親水性の状態の表面に付着した水は、水滴にならずに、速やかに広がる。その結果、その表面には曇りが発生しない。
【0089】
蛍光観察の際には励起光が照射される。このため、透明板113の表面は超親水性になる。その結果、観察窓112を構成している透明板113の表面には曇りが発生しない。
【0090】
透明板113がアルカリ金属を含むガラス板から成る場合、ガラス板の上にシリカ膜を成膜し、その上にチタニア膜を成膜するとよい。これは、アルカリ金属を含むガラス板にチタニア膜を直接成膜すると、ガラス板内のアルカリ金属がチタニア膜に取り込まれてチタニア膜の光触媒作用を低下させてしまうからである。
【0091】
e.SiO2−TiO2膜を使用した親水性処理
透明板113の表面に形成される膜は、より好ましくは、SiO2−TiO2の二成分膜である。これは、チタニア単成分の膜は、照明光が照射されていない間に、光触媒作用が停止して親水性が低下してしまうことがあるからである。SiO2−TiO2の二成分膜は、Si−OH基の親水性と相俟って、光が照射されていない間も、透明板113の表面を好適に親水性に保つ。蛍光観察時には、光が照射されて更に親水性が向上する。
【0092】
SiO2−TiO2の二成分膜は、例えば、ゾル・ゲル法により作製することができる。例えば、以下のようにして作製される。シリコンアルコキシドをアルコールで希釈し、撹拌して部分加水分解を行なった後に、アルコールで希釈したチタンアルコキシドを添加して撹拌し、最終的な加水分解のために少量の水を添加し、更に撹拌してゾルを調製する。このようにして得られたゾルを透明板113にコーティングして熱処理することにより、SiO2−TiO2の二成分膜が作製される。
【0093】
撹拌は、種々の方法により行なうことが可能であるが、好ましくは、遊星式撹拌脱泡機を用いるとよい。遊星式撹拌脱泡機を用いると、反応が均一に進行するので、特に、部分加水分解の制御が容易にでき、特性の揃った成膜が可能であり、しかも非常に短時間でゾルを調製することが可能である。
【0094】
第五実施形態
第四実施形態においては、透明板に付着した蒸気は、透明板の全面に速やかに広がる。その結果、透明板の表面には水の膜が形成される。透明板の表面に形成された水の膜は、その膜厚によっては、光学的観察に悪影響を与えることが懸念される。つまり、水の膜の厚さが無視できないくらい厚くなると、観察光学系の焦点距離を変えてしまい、観察像のぼけを引き起こしてしまう。
【0095】
本実施形態は、透明板113の表面に形成される水の膜の影響による画質低下に対応する検出装置に向けられている。図3は、本発明の第五実施形態における検出装置を概略的に示している。
【0096】
本実施形態の検出装置は、図3に示されるように、温調機構111と透明板113とチューブ114とポンプ115に加えて、検査容器101内のDNAチップ102を光学的に観察するレンズ121と、レンズ121の位置を調整するレンズ駆動部122と、透明板113に形成される水の膜の厚さを検出するセンサー123と、センサー123からの情報に基づいてレンズ駆動部122を制御する制御部124とを更に有している。
【0097】
センサー123は、透明板113に形成される水の膜の厚さを検出し、その情報を制御部124に送る。制御部124は、センサー123で検出された水の膜の厚さを考慮したレンズ121の最適位置を算出し、その情報をレンズ駆動部122に送る。レンズ駆動部122は、制御部124で算出された最適位置にレンズ121を移動させる。
【0098】
これにより、透明板113に形成される水の膜による観察光学系の焦点距離の変化が補正される。これにより、ぼけのない良好な観察画像を得ることが可能になる。
【0099】
透明板113に形成される水の膜の厚さは、例えば、以下のようにして行なうことが可能である。
【0100】
まず、透明板113単体における光の反射と、水の膜が形成された透明板113における光の反射とを考える。ガラスに水の膜が形成されると、水とガラスの屈折率差の影響により、反射位置が変化する。この反射位置は光の入射角度と水の膜の厚さとで決まる。
【0101】
従って、透明板113に所定の角度で光を入射させ、その反射光の反射位置の透明板113単体の場合との違いを測定することにより、透明板113に形成された水の量すなわち水の膜の厚さを測定することが可能である。また、透明板113に真上から光を入射させ、その反射率の変化量によって、水の膜の厚さを測定することも可能である。また、透明板113に導電率センサーを設け、付着した水の量を測定することも可能である。
【0102】
本実施形態の検出装置によれば、ぼけのない良好な観察画像を得ることが可能になる。
【0103】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施の形態を述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【0104】
例えば、前述の実施形態では、多孔質基板を用いたDNAチップを例にあげて説明したが、本発明は、シリコンウエハやスライドグラスを基材に用いたDNAチップにも適用可能である。また、DNAの検出だけでなく、例えば、抗原や抗体をプローブに用い、免疫的な反応を検出する用途にも適用可能である。
【0105】
しかし、本発明は、多孔質基板やビーズを基材に用いて検体液を基材中に流通させる検出手法に対して特に効果的である。更に、検体液を基材中に往復させて流通させる検出手法に対して特に効果的である。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、生体関連物質を含む液体中に泡が発生し難い検査容器、および、光学的な検出を行なう際に曇りが発生し難い生体関連物質の検査容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】生体関連物質の検査容器とそれが装着された検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の上に位置している状態を示している。
【図2】図1と同じ検査容器と検出装置の断面図であり、サンプル溶液の液面が固相坦体の下に位置している状態を示している。
【図3】本発明の第五実施形態における検出装置を概略的に示している。
【符号の説明】
101…検査容器、102…固相坦体、103…流路、105…サンプル溶液、111…温調機構、113…透明板、114…チューブ、115…ポンプ、121…レンズ、122…レンズ駆動部、123…センサー、124…制御部。
Claims (19)
- 生体関連物質を検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、固相坦体に親水性処理が施されていることを特徴とする、生体関連物質の検査容器。
- 請求項1において、固相坦体に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 請求項1において、固相坦体に施す親水性処理にシリカ膜が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 生体関連物質を検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、生体関連物質を含む液体を移動させるための流路を有しており、流路の少なくとも一部に親水性処理が施されていることを特徴とする、生体関連物質の検査容器。
- 流路は大きさが変化する部分に親水性処理が施されていることを特徴とする、請求項4に記載の生体関連物質の検査容器。
- 請求項4において、流路に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 請求項4において、流路に施す親水性処理にシリカ膜が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 請求項4において、さらに、固相坦体に親水性処理が施されていることを特徴とする、生体関連物質の検査容器。
- 生体関連物質を検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器であり、固相坦体の光学的観察を可能にする透明板を更に有しており、透明板に親水性処理が施されていることを特徴とする、生体関連物質の検査容器。
- 請求項9において、透明板に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 請求項9において、透明板に施す親水性処理に防湿フィルムが使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 請求項9において、透明板に施す親水性処理にシリカ膜が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 請求項9において、透明板に施す親水性処理にチタニア膜が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出容器。
- 生体関連物質を検出するためのプローブが固相化された固相坦体を収容した検査容器の温度を調節するための温調機構と、固相坦体の光学的観察を可能にする透明板とを有しており、透明板に親水性処理が施されていることを特徴とする、生体関連物質の検出装置。
- 請求項14において、透明板に施す親水性処理に界面活性剤が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出装置。
- 請求項14において、透明板に施す親水性処理に防湿フィルムが使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出装置。
- 請求項14において、透明板に施す親水性処理にシリカ膜が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出装置。
- 請求項14において、透明板に施す親水性処理にチタニア膜が使用されていることを特徴とする、生体関連物質の検出装置。
- 請求項14において、検査容器内の固相坦体を光学的に観察するレンズと、レンズの位置を調整するレンズ駆動部と、透明板に形成される水の膜の厚さを検出するセンサーと、センサーからの情報に基づいてレンズ駆動部を制御する制御部とを更に有している、生体関連物質の検出装置。
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