JP2009162308A - 伸縮軸 - Google Patents

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広行 服部
Hiroshi Kato
寛 加藤
Hiroki Mizuno
浩樹 水野
Hirotoshi Aramaki
宏敏 荒牧
Kazuhiko Kojima
和彦 小島
Yoshifumi Kurokawa
祥史 黒川
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Abstract

【課題】緩衝材34を構成する楔状部分41の径方向外方部分で劣化を生じにくくして、伸縮軸31の耐久性の向上を図れる構造を実現する。
【解決手段】インナー、アウター両シャフト32、33の何れにもトルクが作用していない中立状態で、上記楔状部分41の外側面43aと凹溝37の側面39との間に、上記両シャフト32、33の径方向外方に向かう程互いの間隔が大きくなる隙間44を設ける。これにより、トルク伝達時に、上記楔状部分41の径方向外方部分で接触面圧が増大する事を防止して、この楔状部分41の径方向外方部分で劣化を生じにくくできる。
【選択図】図3

Description

この発明に係る伸縮軸は、例えば、自動車のステアリング装置を構成するステアリングシャフトや中間シャフト等、回転トルクを伝達自在で、且つ、軸方向に伸縮可能なシャフトとして使用する。特に、本発明は、インナーシャフトとアウターシャフトとの係合部のがたつきを防止するものである。
例えば、自動車のステアリング装置を構成し、端部にステアリングホイールを設けたステアリングシャフトや、このステアリング装置の一部で1対の自在継手同士の間に存在する中間シャフトを、衝突時等、軸方向の衝撃が加わった場合に全長が縮まる構造とする技術が、従来から知られている。又、上記ステアリングシャフトを、軸方向の伸縮を自在として、運転者の体格に応じて上記ステアリングホイールの位置を調節する、所謂テレスコピック機能を有する構造も、従来から知られている。この様なステアリングシャフトや中間シャフトに適用する構造として、回転力の伝達を自在で、且つ、軸方向に伸縮可能な伸縮軸が、例えば、特許文献1、2に記載されている様に、従来から知られている。
これら各特許文献1、2に記載された構造の場合、伸縮軸を伸縮させる為にこの伸縮軸を構成するインナーシャフトとアウターシャフトとの相対変位を円滑に行うと共に、これら両シャフト同士の係合部のがたつきを防止し、回転伝達時に異音が生じる事を防止すべく、これら両シャフト同士の間に緩衝材(スリーブ)を設けている。このうちの特許文献1に記載された構造を、図16に示す。この図16に示す伸縮軸1は、インナーシャフト2の外周面とアウターシャフト3の内周面との間に、合成樹脂製のスリーブ4を配置している。又、このスリーブ4の外周面の一部と上記アウターシャフト3の内周面の一部との間に、互いに離れる方向に押圧される1対の楔状部材5、5を設けている。
即ち、上記スリーブ4の外周面の一部と上記アウターシャフト3の内周面の一部との間に楔状の空間を形成し、この空間内に上記両楔状部材5、5を配置すると共に、これら両楔状部材5、5同士の間にばね6を圧縮した状態で配置している。そして、このばね6の弾性により、上記楔状部材5、5を上記空間の幅が小さくなる方向にそれぞれ押し付け、上記スリーブ4の外周面の一部と上記アウターシャフト3の内周面の一部とに、これら両周面同士が互いに離れる方向の力を付与している。これにより、上記インナーシャフト2と上記アウターシャフト3との間でがたつきが生じる事を防止している。
又、特許文献2に記載された伸縮軸1aの場合、図17に示す様に、インナーシャフト2aの外周面とアウターシャフト3aの内周面との間の一部に楔状の空間を設け、この空間内に、スリーブ4aの円周方向複数個所に設けた楔状部分7、7を配置している。そして、これら各楔状部分7、7をばね8、8により、上記空間の幅が狭くなる方向に押圧している。これにより、やはり、上記インナーシャフト2aと上記アウターシャフト3aとの間でがたつきが生じる事を防止している。
上述の様な特許文献1、2に記載された何れの構造の場合も、楔状部材5、5或は楔状部分7、7の両面と、これら両面と対向する、スリーブ4或はインナーシャフト2aの外周面、及び、アウターシャフト3、3aの内周面とは、両シャフト2、2a、3、3aとの何れにもトルクが作用していない中立状態で、径方向に関してほぼ全面に亙って接触している。上記両シャフト2、2a、3、3a同士の間でトルク伝達が行われる場合、径方向外方に向かう程、トルクを伝達する割合が大きくなる。従って、この様に、楔状部材5、5或は楔状部分7、7の両面と、スリーブ4或はインナーシャフト2aの外周面、及び、アウターシャフト3、3aの内周面とが、径方向に関してほぼ全面に亙って接触していると、この接触部のうち、径方向外方部分の面圧が大きくなる。言い換えれば、上記各面同士の接触部の面圧が、径方向に関して均一にならない。この結果、上記スリーブ4、楔状部材5、5或は楔状部分7、7の径方向外方部分で生じる応力が大きくなり、早期に劣化が生じ易くなる等、伸縮軸1、1aの耐久性が低下する可能性がある。
特開平5−116633号公報 米国特許第5460574号明細書
本発明は、上述の様な事情に鑑み、緩衝材の各楔状部分の径方向外方部分で劣化を生じにくくして、伸縮軸の耐久性の向上を図れる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の伸縮軸は、インナーシャフトと、アウターシャフトと、緩衝材とを備える。
このうちのインナーシャフトは、外周面の円周方向複数個所に、径方向外方に突出するインナー側突条と径方向内方に凹むインナー側凹溝とのうちの何れかである、インナー側係合部を、軸方向に設けている。
又、上記アウターシャフトは、上記インナーシャフトを挿入自在で、内周面の円周方向複数個所で上記各インナー側係合部と整合する位置に、上記各インナー側突条がそれぞれ進入可能なアウター側凹溝と上記各インナー側凹溝にそれぞれ進入可能なアウター側突条とのうちの何れかである、アウター側係合部を、軸方向に設けている。
又、上記緩衝材は、上記インナーシャフトとアウターシャフトとの間に存在する。
そして、このインナーシャフトをこのアウターシャフト内に挿入した状態で、これら両シャフト同士の間で上記緩衝材を介して回転の伝達が可能で、且つ、これら両シャフト同士が互いに軸方向に摺動可能としている。
又、上記各インナー側係合部の円周方向に関する両側面と、上記各アウター側係合部の円周方向に関する両側面とのうち、円周方向に関して互いに対向する側面同士の間部分を、上記両シャフトの径方向一方に向かう程互いの間隔が狭くなる楔状空間としている。
更に、上記緩衝材の円周方向複数個所に設けた、上記両シャフトの径方向一方に向かう程円周方向に関する厚さが小さくなる楔状部分を、上記各楔状空間にそれぞれ配置すると共に、これら各楔状部分のうちの少なくとも何れかの楔状部分を、径方向一方に付勢している。
特に、本発明の伸縮軸の場合、上記両シャフトの何れにもトルクが作用していない中立状態で、上記楔状部分の両面のうちの少なくとも何れかの面と、この面と円周方向に対向する、上記両係合部の円周方向に関する各側面のうちの何れかの側面との間に、上記両シャフトの径方向外方に向かう程互いの間隔が大きくなる隙間を設けている。
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記両シャフトのうちの何れか一方のシャフトと緩衝材との間に、各楔状部分のうちの少なくとも何れかの楔状部分を径方向一方に付勢する弾性体を設ける。
又、各インナー側係合部の円周方向に関する両側面と、各アウター側係合部の円周方向に関する両側面とのうち、上記何れか一方のシャフトに設けた係合部に関する両側面を、互いに平行に形成すると共に、当該係合部(両側面を互いに平行にした、各インナー側係合部又は各アウター側係合部)の中心線の方向と上記一方のシャフトの径方向とを一致させる。
上述の様な本発明の伸縮軸によれば、緩衝材の各楔状部分の径方向外方部分で劣化を生じにくくして、伸縮軸の耐久性の向上を図れる。
即ち、本発明の場合、上記楔状部分の両面のうちの少なくとも何れかの面と、この面と円周方向に対向する、上記両係合部の円周方向に関する各側面のうちの何れかの側面との間に、両シャフトの径方向外方に向かう程互いの間隔が大きくなる隙間を設けている。この為、これら両シャフト同士の間でトルク伝達が行われた場合に、上記両面同士の接触部の径方向外方部分での接触面圧を低減できる。この結果、この接触部の径方向外方部分で劣化を生じにくくして、伸縮軸の耐久性の向上を図れる。
又、請求項2に記載した発明によれば、緩衝材の一部に形成した各楔状部分が、インナーシャフトの外周面とアウターシャフトの内周面との間に存在する各楔状空間内で、これら各楔状空間の円周方向に関する幅が狭くなる方向に効率良く付勢される。
即ち、各インナー側係合部の円周方向に関する両側面と、各アウター側係合部の円周方向に関する両側面とのうち、何れか一方の両側面を、互いに平行に形成すると共に、当該係合部の中心線と、この一方の両側面に関するシャフトの径方向とを一致させている為、弾性体により楔状部分を径方向一方に付勢した場合に、上記一方の両側面に沿って、この付勢する力が効率良く作用する。即ち、上記弾性体により付勢する方向と楔状空間の幅が狭くなる方向とが一致している。この結果、この楔状部分をこの楔状空間の幅が狭くなる方向に効率良く付勢でき、伸縮軸としてがたつきが生じにくい構造を、安定して得られる。
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、本発明を、電動式パワーステアリング装置を構成するステアリングシャフト又は中間シャフトに適用する場合に就いて示している。先ず、この電動式パワーステアリング装置に就いて、図1により説明する。この図1に示す電動式パワーステアリング装置9は、後端部(図1の右端部)にステアリングホイール10を固定したステアリングシャフト11と、このステアリングシャフト11を挿通自在なステアリングコラム12と、このステアリングシャフト11に補助トルクを付与する為の操舵力補助装置(アシスト装置)13と、上記ステアリングシャフト11の回転に基づきタイロッド14、14を変位させる(押し引きする)為のステアリングギヤユニット15とを備える。このうちのステアリングシャフト11は、インナーシャフト16とアウターシャフト17とを、回転力の伝達自在に、且つ軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成る。これらインナーシャフト16とアウターシャフト17とは、軸方向に相対変位する事で上記ステアリングホイール10の前後位置の調節を可能にする他、衝突事故の際には上記ステアリングシャフト12の全長を縮める。
又、上記ステアリングシャフト11を挿通した筒状の上記ステアリングコラム12は、インナーコラム18とアウターコラム19とをテレスコープ状に組み合わせて成り、上記ステアリングホイール10の前後位置の調節を可能にする他、衝突事故の際には、上記ステアリングシャフト11と共に全長を縮める。上記インナーコラム18の前端部(図1の左端部)は、上記操舵力補助装置13を構成するギヤハウジング20の後端面に結合固定している。又、上記インナーシャフト16は、このギヤハウジング20内に挿入し、このインナーシャフト16の前端部を、上記操舵力補助装置13を構成する入力軸に結合している。又、この入力軸にトーションバーを介して連結された、同じく上記操舵補助装置13を構成する出力軸21の前端部を、上記ギヤハウジング20の前端面から突出させている。
又、上記ステアリングコラム12は、その中間部を支持ブラケット22により、ダッシュボードの下面等、車体23の一部に支承している。又、この支持ブラケット22と車体23との間に、図示しない係止部を設けて、この支持ブラケット22に前方に向かう方向の衝撃が加わった場合に、この支持ブラケット22が上記係止部から外れる様にしている。又、チルト機構及びテレスコピック機構を設ける事により、前記ステアリングホイール10の前後位置及び高さ位置の調節を自在としている。この様なチルト機構及びテレスコピック機構は、従来から周知な構造と同様であり、本発明の要旨とも関係しない為、詳しい図示並びに説明は省略する。
又、上記操舵力補助装置13を構成する上記出力軸21の前端部は、自在継手24を介して、中間シャフト25の後端部に連結している。又、この中間シャフト25の前端部に、別の自在継手26を介して、前記ステアリングギヤユニット15の入力軸27を連結している。上記中間シャフト25は、インナーシャフト28とアウターシャフト29とを、回転力の伝達自在に、且つ軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成る。これらインナーシャフト28とアウターシャフト29とは、衝突時に互いに軸方向に相対変位する事で、上記中間シャフト25の全長を縮める。
又、上記ステアリングギヤユニット15は、図示しないラックとピニオンとを備え、このうちのピニオンに上記入力軸27を結合している。又、このピニオンと噛合する上記ラックは、両端部に前記タイロッド14、14を連結しており、このラックの軸方向変位に基づいてこれら各タイロッド14、14を押し引きする事で、図示しない操舵輪に所望の舵角を付与する。又、上記操舵力補助装置13は、電動モータ30によりウォーム減速機を介して、前記出力軸21に、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを付与する。
上述の様に構成する電動式パワーステアリング装置9の場合、上記操舵力補助装置13の出力軸21から出力されるトルクは、前記ステアリングホイール10から前記ステアリングシャフト11に加えられるトルクよりも大きくできる。即ち、上記出力軸21から出力されるトルクを、上記操舵力補助装置13を構成する上記電動モータ30から上記ウォーム減速機を介して加えられる補助動力分だけ大きくできる。従って、上記操舵輪に舵角を付与する為に運転者が上記ステアリングホイール10を操作する為に要する力を、上記操舵力補助装置13の補助動力分だけ小さくできる。尚、ステアリングギヤユニット15の周辺部に操舵力補助装置を設ける事により、電動式パワーステアリング装置を構成する場合もある。
本例の場合、上述の様に構成され作用する電動式パワーステアリング装置10に組み込まれる、ステアリングシャフト11若しくは中間シャフト25を、図2、3に示す様な伸縮軸31により構成している。この伸縮軸31は、インナーシャフト32(上述のインナーシャフト16、28に相当)とアウターシャフト33(上述のアウターシャフト17、29に相当)との間に、緩衝材34を配置して成る。この緩衝材34は、複数の緩衝素子35、35から構成される。これら各緩衝素子35、35は、後述する、上記インナーシャフト32の外周面に形成した複数の突条36、36に、それぞれ、やはり後述する「実施の形態の第5例」で述べる図15の構造と同様に、外嵌している。尚、図15に示した構造の場合、緩衝材として一体に形成されたものを示しているが、本例の場合、上記各緩衝素子35、35は、それぞれが独立した(分離した)状態で配置されている。
上記緩衝材34は、例えば、合成樹脂、ゴム、これらの混合物等の高分子材料、或は、ばね鋼等の十分な弾性を有する金属により構成する。このうちの合成樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フェノール樹脂、アセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹脂のうち、1種類の合成樹脂若しくは複数種類の合成樹脂を含むものが挙げられる。又、これらの合成樹脂に、二硫化モリブデン(MoS2)、グラファイト、フッ素化合物等の固体潤滑剤のうちの1種類或は複数種類の固体潤滑剤を含ませても良い。更に、炭素繊維、カーボンビーズの何れか或は双方を含ませても良い。
又、上述の様な合成樹脂材料以外の高分子材料としては、天然ゴム、合成ゴム、或は、これらの混合物から成るゴムを使用する事もできる。更に、これらのゴム材に、二硫化モリブデン(MoS2)、グラファイト、フッ素化合物等の固体潤滑剤のうちの1種類或は複数種類の固体潤滑剤を含ませても良い。
又、前記インナーシャフト32とアウターシャフト33とは、例えば、鉄に炭素が0.04重量%以上含まれた炭素鋼製としている。尚、軽量化を図るべく、上記両シャフト32、33の一方又は双方(耐食性を考慮して、好ましくは双方)を、アルミニウム合金製としても良い。又、本例の様に、電動式パワーステアリング装置9に組み込む場合、上記インナーシャフト32の外接円の直径は、20〜40mm程度とする事が好ましい。又、上記両シャフト32、33の成形方法としては、冷間鍛造、熱間鍛造、プレス、スウェージング、引抜成形、押出成形、切削等の機械加工が挙げられる。
上記両シャフト32、33のうちのインナーシャフト32は、外周面の円周方向複数個所(図示の例では3個所)に、径方向外方に突出する、前記突条36、36を形成している。これら各突条36、36が、特許請求の範囲に記載したインナー側係合部に相当する。又、上記アウターシャフト33は、内周面の円周方向複数個所でこれら各突条36、36と整合する位置に、径方向外方に凹む凹溝37、37を形成している。これら各凹溝37、37が、特許請求の範囲に記載したアウター側係合部に相当する。上記インナーシャフト32を上記アウターシャフト33内に挿入した状態では、上記各凹溝37、37内に上記各突条36、36が進入する。従って、上記両シャフト32、33が回転方向に相対変位すると、上記各突条36、36と上記各凹溝37、37とが互いに噛み合う。上記インナーシャフト32とアウターシャフト33とを組み付ける場合には、上記各突条36、36を上記各凹溝37、37内に進入させる。上記インナーシャフト32の外周面には、前述の様に、緩衝材34を構成する各緩衝素子35、35が外嵌されている為、上記両シャフト32、33同士の組み付け後には、上記各突条36、36と上記各凹溝37、37との間に、それぞれ上記各緩衝素子35、35が存在する状態となる。
又、本例の場合、上記各突条36、36の円周方向に関する両側面38、38を、互いに平行に形成している。又、これら各突条36、36の中心線の方向と上記両シャフト32、33の径方向(アウターシャフト33に就いては、中立状態での径方向)とを一致させている。尚、各突条36、36の中心線とは、上記両側面38、38同士の中央部(両側面38、38同士の間に存在し、それぞれの側面38、38からの距離が同じ部分)を通る線を言う。本例の場合、これら両側面38、38は互いに平行である為、これら両側面38、38と上記中心線とは平行になる。又、上記各凹溝37、37の円周方向に関する両側面39、39を、上記両シャフト32、33の径方向外方に向かう程互いに近づく方向に傾斜した状態で形成している。この為、径方向外方に向かう程、上記両側面38、39同士の間隔(円周方向に関する幅)が狭くなる。そして、これら両側面38、39同士の間部分を、楔状空間40、40としている。
又、前記緩衝材34の円周方向複数個所には、上記両シャフト32、33の径方向外方に向かう程円周方向に関する厚さが小さくなる楔状部分41、41を、上記各楔状空間40、40と同数設けている。即ち、上記緩衝材34を構成する各緩衝素子35、35毎に、上記楔状部分41、41を1対ずつ設けている。これら各楔状部分41、41は、上記緩衝材35を上記両シャフト32、33同士の間に配置した状態で、上記各楔状空間40、40内にそれぞれ配置される。
又、本例の場合、上記各突条36、36の円周方向に関する両側面38、38と、上記各凹溝37、37の円周方向に関する両側面39、39とのうち、円周方向に関して互いに対向する側面38、39同士が成す角度(楔角度)θを、摩擦角よりも小さくしている。この摩擦角とは、上記両シャフト32、33の間で回転トルクが作用した場合に、上記緩衝材35を構成する楔状部分41、41が、上記両側面38、39との係合に基づいて、上記楔状空間40、40内をこれら両側面38、39に沿って、上記両シャフト32、33の径方向に移動を開始する角度である。上述の様な楔角度θは、上記両シャフト32、33の間で作用する回転トルクの最大値、上記各楔状部分41、41と上記各側面38、39との間の摩擦係数(∝摩擦角)、後述する弾性体42、42の弾力等を考慮して定める。
又、本例の場合、上記両シャフト32、33の何れにもトルクが作用していない中立状態で、上記各楔状部分41、41の両側面43a、43bのうちの外側面43aと、この外側面43aと円周方向に対向する、上記各凹溝37、37の側面39との間に、上記両シャフト32、33の径方向外方に向かう程互いの間隔が大きくなる、隙間44を設けている。即ち、本例の場合、上記各楔状部分41、41の両側面43a、43b同士が成す角度φを、上記楔角度θよりも大きく(φ>θ)している。これにより、中立状態で、上記外側面43aとこの外側面43aと対向する上記側面39との間に、上記隙間44を設けている。尚、この様な隙間44は、上記各楔状空間41、41の内側面43bと、この内側面43bと円周方向に対向する前記各突条36、36の側面38との間に設けても良いし、上記各楔状空間41、41の両側面43a、43bと、上記各凹溝37、37の側面39及び上記各突条36、36の側面38との間に、それぞれ設けても良い。但し、本例の様に、これら各突条36、36の側面38、38を互いに平行すると共に、これら各突条36、36の中心軸を径方向と一致させている場合、上記隙間44は、図示の例の様に、外側面43aと各凹溝37、37の側面39との間にのみ設ける事が好ましい。これにより、後述する様に、各楔状部分41、41を各弾性体42、42により付勢した場合に、この付勢する力が、これら各楔状部分41、41に対し、各突条36、36の側面38に沿って効率良く作用する。
又、上記インナーシャフト32の突条36、36の先端面45と、上記緩衝材34を構成する各緩衝素子35、35との間には、上記各楔状部分41、41を径方向外方に付勢する、上記各弾性体42、42を、それぞれ設けている。この為に、上記各緩衝素子35、35を、上記各突条36、36の両側面38、38と上記各凹溝37、37の両側面39、39との間にそれぞれ存在する、1対の楔状部分41、41同士を、上記各突条36、36の先端面45と上記各凹溝37、37の底面46との間の隙間47を介して連続させた構造としている。そして、上記各緩衝素子35、35を構成し、この隙間47内に存在する連続部48と、上記各突条36、36の先端面45との間に、上記各弾性体42、42を、それぞれ配置している。
上記弾性体42、42は、図4に示す様に、金属板等の弾性力を有する材料製で、上記両シャフト32、33の軸方向に長い板材を、この板材の長さ方向に関して、厚さ方向に交互に逆方向に曲げる(湾曲させる)事により、波形状に形成している。この様な弾性体42、42を、上記各緩衝素子35、35の連続部48と、上記各突条36、36の先端面45との間に配置した状態で、上記板材の折り曲げた部分が弾性的に伸びる方向に圧縮している。この様な弾性体42、42を使用する事により、これら各弾性体42、42として簡単な構造で、且つ、上記両シャフト32、33の軸方向に関し広い範囲で、上記各緩衝素子35、35の連続部48に、上記各突条36、36の先端面45から離れる方向の弾力を付与できる。
尚、上述の様に、各緩衝素子35、35に弾力を付与する弾性体として、例えば、図5に示す様な弾性体42aを使用しても良い。この弾性体42aは、図5(B)に示す様に、この弾性体42aの両端部側に比較的小さな曲率半径を有する湾曲部49a、49aを、同じく中央部分にこれら両湾曲部49a、49aよりも曲率半径が大きい湾曲部49bを、それぞれ形成している。そして、これら各湾曲部49a、49b同士を滑らかな曲線を介して連続させている。これら各湾曲部49a、49bのうち、曲率半径の小さい湾曲部49a、49aのみが圧縮された場合には、これら両湾曲部49a、49aのみにより、上記各緩衝素子35、35に弾力を付与する。一方、上記曲率半径の大きい湾曲部49bも圧縮された場合には、上記曲率半径の小さい両湾曲部49a、49aに加えて、この湾曲部49bによっても、上記各緩衝素子35、35に弾力を付与する。即ち、図5に示した弾性体42aは、2段階にばね定数が変化する。
この様な弾性体42aを使用した場合、2段階にばね定数が変化する為、例えば、組み付け誤差や、両シャフト32、33にモーメントが作用する等して、緩衝素子35、35がインナーシャフト32の突条36、36の先端面45に向けて強く押し付けられる状態となっても、上記各緩衝素子35、35に対して十分な弾力を付与できる。言い換えれば、これら各緩衝素子35、35の状態に拘らず、安定して弾力付与を行える。
又、図示は省略するが、上述の様に、各緩衝素子35、35に弾力を付与する弾性体として、合成樹脂製のものを使用しても良い。この場合、この弾性体と上記各緩衝素子35、35とを二色成形により一体に形成する事もできる。二色成形する場合には、例えば、弾性体を成形した後、この弾性体を上記各緩衝素子35、35を成形するキャビティ内の所定位置に配置して、このキャビティ内に合成樹脂を流し込む事により、上記弾性体と上記各緩衝素子35、35とを一体に形成する。これにより、別途、弾性体をこれら各緩衝素子35、35に接着したり、組み付ける必要がなく、組み付け性が良好になる。
何れにしても、上記緩衝材34を構成する各緩衝素子35、35の連続部48が、前記各弾性体42、42(或は42a、42a又は合成樹脂製の弾性体)によりそれぞれ付勢され、この連続部48の両隣に存在する1対の楔状部分41、41が径方向外方に付勢される。この様な構成により、これら両楔状部分41、41を、前記各楔状空間40、40の(円周方向に関する)幅が狭い方向に付勢し、これら両楔状部分41、41の両側面43a、43bを、円周方向に関して互いに対向する、上記各突条36、36の側面38と、上記各凹溝37、37の側面39に押し付ける。尚、中立状態では、上記両楔状部分41、41の外側面43aと上記各凹溝37、37の側面39とは、径方向内方の一部のみで当接する。
上述の様に、緩衝素子35、35及び弾性体42、42をインナーシャフト32の各突条36、36に配置したならば、後述する前記図15に示す様に、これら各突条36、36の先端面45の軸方向2個所位置で上記各緩衝素子35、35の連続部48、48に隣接する部分をかしめて、係止突部50、50を設ける。そして、この様な各係止突部50、50により上記各緩衝素子35、35を軸方向両側から挟持して、これら各緩衝素子35、35が上記インナーシャフト32の軸方向に脱落する事を防止する。この様に緩衝素子35、35を外嵌したインナーシャフト32を前記アウターシャフト33内に挿入する事により、上述した様に、これら両シャフト32、33の間に上記各緩衝素子35、35から構成される緩衝材34が配置される。尚、上記各係止突部50、50の全部又は一部は、上記インナーシャフト32の外周面に、上記緩衝材34を配置するのに先立って形成しておいても良い。
上述の様な本例の伸縮軸31によれば、上記緩衝材34の一部に形成した上記各楔状部分41、41が、インナーシャフト32の外周面とアウターシャフト33の内周面との間に存在する各楔状空間40、40内で、これら各楔状空間40、40の幅が狭くなる方向に効率良く付勢されると共に、上記各楔状部分41、41が早期に擦り減る事を防止できる。
即ち、本例の場合、上記インナーシャフト32の外周面に形成した各突条36、36の円周方向に関する両側面38、38を、互いに平行に形成すると共に、これら各突条36、36の中心線と上記両シャフト32、33の径方向とを一致させている。この為、前記各弾性体42、42により、上記各楔状部分41、41を径方向外方に付勢した場合に、上記両側面38、38に沿って、この付勢する力が効率良く作用する。又、本例の場合、上記各楔状空間40、40の楔角度を摩擦角よりも小さくしている為、上記両シャフト32、33同士の間に回転トルクが作用した場合にも、上記各楔状部分41、41が上記各楔状空間40、40内を移動する事はない。この結果、これら各楔状部分41、41が早期に擦り減る事を防止でき、長期に亙ってがたつきを十分に防止できる。
又、本例の場合、緩衝材34を、それぞれが独立した複数の緩衝素子35、35により構成している為、これら各緩衝素子35、35の構造が簡単になり、製造コストを低減できる。又、上記各緩衝素子35、35の構造が単純な為、取り扱いが容易になる。即ち、緩衝材の構造が複雑な場合、搬送時に互いに絡まり易い等、取り扱いが難しくなる可能性があるが、本例の様に、緩衝材34を単純な構造を有する各緩衝素子35、35により構成すれば、搬送時に絡まったりする事はない。又、これら各緩衝素子35、35は、互いに独立した状態で配置される為、隣接する緩衝素子35の影響を受けずに、両シャフト32、33の径方向に変位可能となる。従って、高い寸法精度が要求されない。又、温度変化により上記各緩衝素子35、35に熱変形が生じても、互いに影響を及ぼす事がなく、それぞれが径方向に変位する等してこの熱変形を吸収する。この結果、温度変化により上記各緩衝素子35、35と上記両シャフト32、33との間の摺動抵抗の変化を小さくして、これら両シャフト32、33の摺動性能に影響を及ぼす事を抑えられる。
特に、本例の場合、上記緩衝材34の各楔状部分41、41の径方向外方部分で劣化を生じにくくして、伸縮軸31の耐久性の向上を図れる。
即ち、本例の場合、上記各楔状部分41、41の外側面43aと、この外側面43aと円周方向に対向する、前記各凹溝37、37の側面39との間に、上記両シャフト32、33の径方向外方に向かう程互いの間隔が大きくなる隙間44を設けている。この為、上記両シャフト32、33同士の間でトルク伝達が行われた場合に、上記外側面43aと上記側面39との接触部の径方向外方部分での接触面圧を低減できる。この結果、この接触部の径方向外方部分で劣化を生じにくくして、上記伸縮軸31の耐久性の向上を図れる。
上述の作用に就いて、図2、3に図6〜8を加えて説明する。先ず、図6に示す様に、緩衝材34aを構成する各緩衝素子35a、35aの楔状部分41a、41aの両側面と、各突条36、36の側面38及び各凹溝37、37の側面39とが、両シャフト32、33の径方向全体に亙って当接している場合、これら両シャフト32、33同士の間でのトルク伝達時に、上記各緩衝素子35a、35の両側面と上記側面38、39との径方向外方部分で接触面圧が高くなる。尚、図6は、弾性体を省略して示している。即ち、図7に示す様に、点Oを中心としたトルクを、アウターシャフト33からインナーシャフト32に伝達する場合、このインナーシャフト32を固定して考えると、上記アウターシャフト33の凹溝37の側面39(鎖線)とこのインナーシャフト32の突条36の側面38との間隔が、径方向外方部分で小さくなる。この結果、上記両側面38、39同士の間に存在する緩衝素子35a、35aの楔状部分41a、41aが径方向外方部分で大きく圧縮され(変形量が大きくなり)、これら各楔状部分41a、41aの応力分布が、図8(A)に示す様に、径方向外側で大きくなる。
一方、本例の様に、緩衝材34を構成する各緩衝素子35、35の楔状部分41、41の外側面43aと、アウターシャフト33の各凹溝37、37の側面39との間に、径方向外方に向かう程間隔が大きくなる隙間44を設ければ、両シャフト32、33同士の間でトルク伝達が行われても、上記各楔状部分41、41の変形量をこれら両シャフト32、33の径方向に関して均一にでき、図8(B)に示す様に、上記各楔状部分41、41の応力部分を径方向に関して均一にできる。この結果、これら各楔状部分41、41の両側面43a、43bと上記側面38、39との接触面圧を径方向に関して均一にでき、上記各楔状部分41、41が径方向外方部分で早期に劣化する事を防止できる。
[実施の形態の第2例]
図9〜10は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、緩衝材34b、34cの楔状部分41b、41cを、複数枚重ねている。即ち、図9に示す構造の場合、緩衝材34bは、複数個(図示の例では3個)の緩衝素子35b、35bをインナー、アウター両シャフト32、33の径方向に重ねる事により構成している。そして、上記各緩衝素子35b、35bのそれぞれの楔状部分41b、41bを、同じく径方向に重ねている。又、図10に示す構造の場合、緩衝材34cを構成する緩衝素子35cの楔状部分41c、41cを、径方向に分割する事により、これら各楔状部分41c、41cを径方向に重ねている。これにより、上記両シャフト32、33の寸法精度を高くしたり、上記各緩衝素子35b、35cに弾力を付与する弾性体のストロークを大きくする必要がなく、製造コストの低減を図れる。
即ち、上記両シャフト32、33同士の摺動抵抗を抑えるべく、上記緩衝材34b、34cとして摩擦係数の小さい材料を使用したり、上記両シャフト32、33同士の間にグリースを充填する場合がある。この場合、上記緩衝材34b、34cの楔状部分41b、41cの楔効果を確保する為の摩擦角度が小さくなる。この様に摩擦角度が小さくなると、上記両シャフト32、33等の各部品の寸法交差(ばらつき)を吸収する為に上記弾性体のストローク(弾性変形量)を大きくしたり、これら各部品の寸法公差を小さくする為にこれら各部品の加工精度を高くする必要が生じ、製造コストが高くなる。一方、上記両シャフト32、33は、塑性加工により形成する為、上述の様な寸法公差を大きくしておきたいと言う要求がある。
これに対して、本例の場合、上記緩衝材34b、34cを構成する各緩衝素子35b、35cの楔状部分41b、41cを複数枚重ねる事により、互いに重なり合う各楔状部分41b、41c同士の間でも摩擦が生じる(摩擦部が多くなる)為、上記摩擦角度を小さくしなくても、これら各楔状部分41b、41cの楔効果を確保できる。この結果、上記摩擦角度を小さくする必要がなくなり、上記両シャフト32、33の寸法精度を高くしたり、上記各緩衝素子35b、35cに弾力を付与する弾性体のストロークを大きくする必要がなく、製造コストの低減を図れる。又、上記両シャフト32、33の寸法公差を大きくしておきたいと言う要求を満たす事もできる。その他の構造及び作用は、上述の実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
図11〜13は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、緩衝材34dを構成する各緩衝素子35d、35dは、インナーシャフト32の各突条36、36のうち、円周方向に隣り合う突条36、36同士の間に配置している。即ち、上述した各例の様に、各突条36、36の先端部を覆う様に配置していない。この様な各緩衝素子35d、35dは、楔状部分41d、41dと、これら両楔状部分41d、41d同士の間でこれら両楔状部分41d、41dの長さ方向(図13の左右方向)中央部に配置された弾性部51とを一体的に形成して成る。言い換えれば、上記両楔状部分41d、41dを、長さ方向中央部で上記弾性部51により接続している。又、この弾性部51には、他の部分よりも肉厚が薄くなったえぐれ部52を形成している。図示の例の場合、正面から見た場合に略楕円状に形成された、上記弾性部51の周縁部を除いて、上記えぐれ部52としている。又、上記両楔状部分41d、41dは、上記弾性部51から離れる程肉厚が薄くなる様に形成されている。
この様な各緩衝素子35d、35dは、上記インナーシャフト32の外周面のうち、円周方向に隣り合う突条36、36同士の間に配置される。そして、上記両楔状部分41d、41dを、隣り合う両突条36、36のうちの一方の突条36の側面38上と、他方の突条36の側面38上とに、それぞれ配置する。又、この様に、両楔状部分41d、41dを配置した状態で、これら両楔状部分41d、41d同士を接続する上記弾性部51を、これら両楔状部分41d、41dが互いに近づく方向に圧縮する。そして、この状態で、上記各緩衝素子35d、35dを配置した上記インナーシャフト32を、アウターシャフト内に挿入する。この結果、上記両楔状部分41d、41dが、これら両シャフト32、33同士の間に存在する各楔状空間に配置され、上記弾性部51の弾力によりこれら各楔状空間の幅が狭い方向に付勢される。
本例の場合、上記弾性部51を上記各緩衝素子35d、35dと一体的に形成している為、上述した各例の様に、各緩衝素子とは別の弾性体が必要ない。この為、部品点数を減らす事ができると共に、組み付け性も良好になり、製造コストの低減を図れる。尚、本例の場合、上記弾性部51にえぐれ部52を形成する事により、この弾性部51を弾性変形し易くして、上記両楔状部分41d、41dに弾力を付与する構造としている。従って、上記弾性部51の強度は、他の部分に比べて低くなる。一方、上記各緩衝素子35d、35dには、使用時に捩りや曲げ力が作用するが、これら各緩衝素子35d、35dの中央部には、この様な力による負荷は殆ど作用しない。上記弾性部51は、これら各緩衝素子35d、35dの中央部に存在する為、上記えぐれ部52により強度が低下しても問題はない。尚、上述の様な弾性部51の形状及びえぐれ部52の大きさは、図示の例に限らず、適宜選択可能である。その他の構成及び作用は、前述の実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第4例]
図14は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合、インナーシャフト32aの外周面の円周方向複数個所に、径方向内方に凹む凹溝37aを形成している。これら各凹溝37aが、特許請求の範囲に記載したインナー側係合部に相当する。又、アウターシャフト33aの内周面の円周方向複数個所で上記各凹溝37aと整合する位置に、これら各凹溝37aに進入可能な突条36aを形成している。これら各突条36aが、特許請求の範囲に記載したアウター側係合部に相当する。そして、これら各突条36aの先端面45aと、上記各凹溝37aの底面46aとの間の隙間47aに、緩衝材34eを構成する各緩衝素子35eの連続部48と弾性体42とを、それぞれ配置している。本例の場合、これら各弾性体42は、上記先端面45aと上記連続部48との間に設置されており、この連続部48を径方向内方に付勢している。
又、本例の場合、上記各突条36aの両側面38a、38aを、互いに平行に形成すると共に、これら各突条36aの中心線と上記両シャフト32a、33aの径方向(インナーシャフト32aに関しては、中立状態での径方向)とを一致させている。一方、上記各凹溝37aの両側面39a、39aを、径方向内方に向かう程互いに近づく方向に傾斜させている。従って、上記両側面38a、39aとの間に存在する楔状隙間40a、40aは、径方向内方に向かう程、円周方向に関する幅が狭くなる。これに合わせて、上記緩衝材34eを構成する各緩衝素子35eの楔状部分41e、41eも、径方向内方に向かう程、円周方向に関する幅が狭くなる様に形成している。又、本例の場合も、上述した各例と同様に、中立状態で、上記各楔状部分41e、41eの両側面43c、43dのうちの外側面43cと、この外側面43cと円周方向に対向する、上記各凹溝37aの側面39aとの間に、上記両シャフト32a、33aの径方向外方に向かう程互いの間隔が大きくなる隙間44aを設けている。その他の構成及び作用は、両シャフト32a、33aの径方向に関して逆となるだけで、実質的に前述の実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第5例]
図15は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合、インナーシャフト32bとアウターシャフト(図示省略)とを、断面略十字型に形成している。即ち、このうちのインナーシャフト32bは、外周面の円周方向に関して4個所に、径方向外方に突出する突条36b、36bを形成している。又、上記アウターシャフトは、内周面の円周方向に関して4個所で上記各突条36b、36bと整合する位置に、径方向外方に凹む凹溝を形成している。又、上記インナーシャフト32bの外周面には、緩衝材34fが外嵌されている為、このインナーシャフト32bを上記アウターシャフトに組み付けた後には、上記各突条36b、36bと上記各凹溝との間に、上記緩衝材34fが存在する状態となる。又、この緩衝材34fのうち、各楔状部分41f、41f同士の連続部48a、48aと、上記各突条36b、36bの先端面45b、45bとの間の少なくとも1個所に、上記各楔状部分41f、41fを径方向外方に付勢する弾性体を、それぞれ配置している。
又、上記緩衝材34fは、上述した各例と異なり、全体を一体に形成している。即ち、この緩衝材34fを構成する上記各楔状部分41f、41fのうち、円周方向に隣り合う両突条36b、36b同士の間部分を、他の部分よりも剛性が低い撓み部53、53により連続させている。これら各撓み部53、53を弾性的に拡げれば、上記緩衝材34fを上記インナーシャフト32bに外嵌する作業を容易に行える。又、上記インナーシャフト32b及びアウターシャフト若しくは緩衝材34fの寸法にばらつきが生じた場合でも、剛性の低い、上記各撓み部53、53が変形して、このばらつきを吸収する。更に、上記緩衝材34fを前記インナーシャフト32bに外嵌した状態で、このインナーシャフト32bの径方向に弾性変形する事により撓む。そして、上記各撓み部53、53の弾性復元力により、上記緩衝材34fと上記インナーシャフトとの間に設けた上記各弾性体と共に、上記各楔状部分41f、41fに付勢する。その他の構成及び作用は、前述の実施の形態の第1例と同様である。
尚、上述した実施の形態の各例では、本発明を電動式パワーステアリング装置を構成するステアリングシャフト11或は中間シャフト25に適用した場合に就いて説明したが、その他の構造のステアリング装置を構成するステアリングシャフトや中間シャフトにも、勿論適用可能である。又、この様なステアリング装置以外にも、互いに回転伝達可能で、且つ、伸縮自在な構造であれば、本発明を適用できる。更に、上述の各実施の形態に関しては、適宜組み合わせて実施する事もできる。
本発明の伸縮軸を組み込む電動式パワーステアリング装置の1例を示す、部分切断側面図。 本発明の実施の形態の第1例を示す、シャフトの中心軸に対し直交する仮想平面に関する断面図。 図2のイ部拡大図。 本発明に組み込む弾性体の1例を示す、平面図及び側面図。 同じく別例を示す、平面図及び側面図。 本発明の効果を説明する為に示す比較例を表した、図2と同様の図。 トルクが伝達されていない状態とトルクが伝達されている状態との、インナーシャフトの突条の側面とアウターシャフトの凹溝の側面と位置関係を示す模式図。 トルク伝達時に緩衝材の各楔状部分に作用する応力分布で、(A)は図6の比較例の構造の場合を、(B)は本発明の構造の場合を、それぞれ示す模式図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図2のロ部に相当する図。 同じく別例を示す、図9と同様の図。 本発明の実施の形態の第3例を、インナーシャフトの外周面に緩衝材を外嵌した状態で示す斜視図。 緩衝材を構成する緩衝素子のみを取り出して示す斜視図。 同じく図12のハ矢視図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図2の上部を拡大した図に相当する図。 同じく第5例を、インナーシャフトの外周面に緩衝材を外嵌した状態で示す斜視図。 従来構造の第1例を示す、図2と同様の図。 同じく第2例を示す、図2と同様の図。
符号の説明
1、1a 伸縮軸
2、2a インナーシャフト
3、3a アウターシャフト
4、4a スリーブ
5 楔状部材
6 ばね
7 楔状部分
8 ばね
9 電動式パワーステアリング装置
10 ステアリングホイール
11 ステアリングシャフト
12 ステアリングコラム
13 操舵力補助装置
14 タイロッド
15 ステアリングギヤユニット
16 インナーシャフト
17 アウターシャフト
18 インナーコラム
19 アウターコラム
20 ギヤハウジング
21 出力軸
22 支持ブラケット
23 車体
24 自在継手
25 中間シャフト
26 別の自在継手
27 入力軸
28 インナーシャフト
29 アウターシャフト
30 電動モータ
31 伸縮軸
32、32a、32b インナーシャフト
33、33a アウターシャフト
34、34a〜34f 緩衝材
35、35a〜35e 緩衝素子
36、36a、36b 突条
37、37a 凹溝
38、38a 側面
39、39a 側面
40、40a 楔状空間
41、41a〜41f 楔状部分
42、42a 弾性体
43a〜43d 側面
44、44a 隙間
45、45a、45b 先端面
46、46a 底面
47、47a 隙間
48、48a 連続部
49a、49b 湾曲部
50 係止突部
51 弾性部
52 えぐれ部
53 撓み部

Claims (2)

  1. 外周面の円周方向複数個所に、径方向外方に突出するインナー側突条と径方向内方に凹むインナー側凹溝とのうちの何れかであるインナー側係合部を軸方向に設けたインナーシャフトと、このインナーシャフトを挿入自在で、内周面の円周方向複数個所で上記各インナー側係合部と整合する位置に、上記各インナー側突条がそれぞれ進入可能なアウター側凹溝と上記各インナー側凹溝にそれぞれ進入可能なアウター側突条とのうちの何れかであるアウター側係合部を軸方向に設けたアウターシャフトと、これらインナーシャフトとアウターシャフトとの間に存在する緩衝材とを備え、このインナーシャフトをこのアウターシャフト内に挿入した状態で、これら両シャフト同士の間で上記緩衝材を介して回転の伝達が可能で、且つ、これら両シャフト同士が互いに軸方向に摺動可能としており、上記各インナー側係合部の円周方向に関する両側面と、上記各アウター側係合部の円周方向に関する両側面とのうち、円周方向に関して互いに対向する側面同士の間部分を、上記両シャフトの径方向一方に向かう程互いの間隔が狭くなる楔状空間としており、上記緩衝材の円周方向複数個所に設けた、上記両シャフトの径方向一方に向かう程円周方向に関する厚さが小さくなる楔状部分を、上記各楔状空間にそれぞれ配置すると共に、これら各楔状部分のうちの少なくとも何れかの楔状部分を径方向一方に付勢した伸縮軸であって、
    上記両シャフトの何れにもトルクが作用していない中立状態で、上記楔状部分の両面のうちの少なくとも何れかの面と、この面と円周方向に対向する、上記両係合部の円周方向に関する各側面のうちの何れかの側面との間に、上記両シャフトの径方向外方に向かう程互いの間隔が大きくなる隙間を設けている伸縮軸。
  2. 両シャフトのうちの何れか一方のシャフトと緩衝材との間に、各楔状部分のうちの少なくとも何れかの楔状部分を径方向一方に付勢する弾性体を設けており、各インナー側係合部の円周方向に関する両側面と、各アウター側係合部の円周方向に関する両側面とのうち、上記何れか一方のシャフトに設けた係合部に関する両側面を、互いに平行に形成すると共に、当該係合部の中心線の方向と上記一方のシャフトの径方向とを一致させている、請求項1に記載した伸縮軸。
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