JP2009161485A - 脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 副作用が弱く、優れた脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体は、酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVであり、還元状態にある。このテルペノイド誘導体はテルペノイド骨格に2分子のパラ−クマル酸がエステル結合により結合している。また、テルペノイド誘導体はトリペプチドと結合している。このトリペプチドはシステイン、フェニルアラニン、システインがペプチド結合し、さらに、テルペノイドのカルボン酸とトリペプチドのN末端がペプチド結合している。テルペノイド誘導体の製造方法とはサージの実の粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加し、発酵した溶液を濾過後、水を添加して抽出した発酵液をアルカリ還元処理する工程からなる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体に関するものである。また、前記のテルペノイド誘導体の製造方法に関するものである。
メタボリックシンドロームを煩っている日本人の数は、1000万人とも、2000万人とも言われている。メタボリックシンドロームにあらわされるような脂肪の蓄積による内臓脂肪の増加と生活習慣病との関連性が話題となり、生活習慣の改善策として食事の見直し、運動の導入が啓蒙されている。
また、メタボリックシンドロームに関連した疾患である高血圧、糖尿病、動脈硬化症、高脂血症に対する治療費や薬剤費は莫大であり、年間に数兆円とも、言われており、国民医療費の負担が非常に大きい。厚生労働省も健康日本21の中で、このメタボリックシンドロームと生活習慣病の減少を目標としている。
生活習慣病に至るメタボリックシンドロームの根源は、脂肪の蓄積であると報告されている。
メタボリックシンドロームを解決すべく脂肪の減少を期待した様々な取り組みがなされているものの、体脂肪の蓄積の完全なる解決には至っていない。
医薬品として利用されているクロフィブラート系薬剤は、肝臓において中性脂肪の合成を抑制する働きを有するものの、副作用として肝機能障害が認められ、また、コレステロール合成を抑制するスタチン系薬剤には筋肉障害や肝臓障害の副作用が認められている。
また、マジンドールなどの合成の脂肪分解性の薬剤には副作用が報告されている。
天然由来の中性脂肪を減少させる有用成分として特定保健用食品として市販されているものとして、グロビン蛋白分解物、ウーロン茶重合ポリフェノール、ジアシルグリセロールなどが知られている。しかし、それぞれの成分の働きは軽度であり、また、大量の摂取を継続する必要がある。
これらの点に着目し、天然物由来成分を利用した中性脂肪を低下させる発明としては、チンピ、茶、蓮 肉およびシコンから選ばれる一種または二種以上の抽出物を含有することを特徴とする痩身用化粧料およびチンピ、蓮肉、カミツレおよびシコンから選ばれる一種または二種以上の抽出物を含有することを特徴とする脂肪分解促進剤に関する発明がみられる(例えば、特許文献1参照。)。
また、蓮植物体から得られた抽出物、該抽出物の製造方法及び肥満防止剤として、蓮植物体を含水アルコールで抽出した抽出液を合成高分子系樹脂又はイオン交換樹脂に通液させることによって総アルカロイドと総ポリフェノールを高濃度に溶出させて得られる抽出物は、脂肪や澱粉の体内における分解を阻害し、かつ代謝を高めて肥満を解消するという発明がある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、シクロアルタン型トリテルペノイド又はその配糖体を含有することを特徴とする血中中性脂肪低下剤の発明があり、限定されたテルペノイド類の脂肪分解作用が報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、ジテルペノイドを人体に安全な媒体中に含有することを特徴とする化粧料または皮膚用薬組成物の発明があり、肌の脂肪分解を促進する組成物について報告されている(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、上記のいずれの発明においても、有用な物質として特定された成分や誘導体は同定されておらず、また、その働きについても、確認されていない。
これらの現状から、医薬品、化粧料、食品などの産業界では、国民医療費を圧迫するメタボリックシンドロームに対して、副作用が少なく、優れた脂肪分解作用を呈する長期間使用ができる天然の植物由来の成分とそれを利用した医薬品、化粧料、食品が切望されている。
特許第3696965号公報 特許第3671190号公報 特開2006−290882 特開2004−346060
従来の中性脂肪を減少させる素材としては、グロビン蛋白分解物、ウーロン茶ポリフェノール、ジアシルグリセロールなどが使用されているものの、それらの働きは軽度であり、十分な脂肪減少とメタボリックシンドロームの解決法としては不十分である。
また、化学合成された脂肪分解作用を呈する化合物、たとえば、合成された薬であるマジンドールには依存性、肺性高血圧、口の渇き、便秘、嘔吐、不眠、頭痛、脱力感、めまい、だるい、いらいら感、神経過敏、興奮、動悸、血圧変動などの副作用が報告され、また、作用の耐性もあることから、長期間服用することができない問題点がある。
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体を提供することにある。
また、効率良いテルペノイド誘導体の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVであり、脂肪分解作用を呈する下記の式(1)で示されるテルペノイド誘導体に関するものである。
Figure 2009161485
請求項2に記載の発明は、サージの実の粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加し、発酵した溶液をアルカリ還元処理する工程からなるテルペノイド誘導体の製造方法に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVであるテルペノイド誘導体によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
請求項2に記載のサージの実の粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加し、発酵した溶液をアルカリ還元処理する工程からなる製造方法によれば、効率良くテルペノイド誘導体を得ることができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVであり、脂肪分解作用を呈する下記の式(1)で示されるテルペノイド誘導体について説明する。
Figure 2009161485
ここでいうテルペノイド誘導体のうち、核となるテルペノイドはマスリン酸系のテルペノイド系の物質である。
ここでいうテルペノイド誘導体は、式(1)で示されるように、テルペノイド1分子に2分子のパラ−クマル酸が結合している。
このテルペノイド誘導体では、テルペノイド骨格の水酸基にパラ−クマル酸のカルボン酸がエステル結合している。
また、テルペノイド骨格1分子にトリペプチドが1分子結合している。この結合はテルペノイド骨格のカルボン酸とトリペプチドのアミノ基とのペプチド結合である。
トリペプチドの配列は、システインとフェニルアラニンとシステインであり、N末端からシステイニルフェニルアラニルシステインである。ここでN末端のシステインとテルペノイドのカルボン酸とが結合している。アミノ酸はすべてL型である。
トリペプチドのシステインとフェニルアラニンは還元作用を強くし、疎水性を高めて脂肪組織に浸透しやすくする。システインのSH基が還元状態を維持するために、作用している。
目的とするテルペノイド誘導体は、酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVである。酸化還元電位とは、粉末の場合、溶液にした場合の酸化度及び還元度の指標である。0mVより高いプラスの場合には、酸化状態であり、0mVより低いマイナスの場合には還元状態にある。
目的とするテルペノイド誘導体は、酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVであることから、溶液とした場合、還元状態にあることを示している。
脂肪は酸化されることにより、血管の内皮部分に侵入し、動脈硬化の原因となる。これが心筋梗塞や脳梗塞に至る。また、脂肪が分解される際にも、酸化が生じやすく、脂肪酸が酸化される。したがって、脂肪の酸化を防止することが重要である。
酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVであり、還元状態にあることから、脂肪が酸化されることを防止し、分解された脂肪酸の変化を抑制する。また、還元状態を維持することにより、遺伝子の酸化ストレスによる障害から防御でき、動脈硬化の発症、発がんの抑制や癌の消失も促進する。
前記のテルペノイド誘導体は、母核のテルペノイド骨格にパラ−クマル酸が結合していることは、パラ−クマル酸のヒドロキシフェニル基が血流を改善し、血液の流動性を高めることにより、脂肪組織への到達を促進することから好ましい。
さらに、分解された脂肪酸とグリセリンが血液を介して放出されることから、脂肪が利用されやすくなることから、好ましい。
前記のテルペノイド誘導体の骨格であるテルペンのマスリン酸はサージの実、茎、葉や根に分布しているものの、マスリン酸の構造が不安定であるという欠点があり、これに比して目的とするテルペノイド誘導体は構造的に安定であり、還元作用と脂肪分解作用に優れていることから好ましい。
そのため、サージの実、茎、葉や根に含有されるマスリン酸を大豆や納豆菌とともに発酵させることにより、マスリン酸にパラ−クマル酸とトリペプチドが結合する酵素反応と生合成反応が誘導され、目的とするテルペノイド誘導体が生成される。
前記のテルペノイド誘導体は中性脂肪を分解する酵素を誘導して脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪を分解する。
前記のテルペノイド誘導体はパラ−クマル酸側鎖とフェニルアラニン側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、中性脂肪に浸透しやすく、リパーゼなどの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。
前記のテルペノイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪やリン脂質を分解するリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、脂肪を分解する。
前記のテルペノイド誘導体はパラ−クマル酸側鎖とフェニルアラニン側鎖が結合していることから疎水性が高く、単純なテルペノイド類に比して小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、体内に吸収されやすい。
前記のテルペノイド誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてマスリン酸、トリペプチドまたはアミノ酸、パラークマル酸に分解される。分解されて得られるマスリン酸、トリペプチドまたはアミノ酸、パラークマル酸は、食経験も豊富であり、安全性も確認されていることから好ましい。
また、テルペノイド誘導体をサージの実を原料として加工し、粉砕して有機溶媒や植物油により抽出し、精製することは入手が容易で、経済的であることから、好ましい。
ここで抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。また、松の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや柿の葉エキスを含有した有機溶媒などを用いることにより、抗酸化作用により目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
抽出に用いる植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧料に用いられる油が用いられる。
サージ、大豆などの原料から生化学的な酵素反応によりテルペノイド誘導体を得る場合には、エステル結合反応を生じる酵素、たとえば、アマノエンザイム製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどが用いられる。
また、化学合成反応による場合には、マグネシウム、アルミニウムなどの金属触媒とともに、加温される。これらの原料は、反応槽に入れられ、前記の有機溶媒とともに、反応が行われる。この反応物は、前記の有機溶媒を用いて抽出し、その溶媒を除去して粗生成物として得ることは、精製に要するコストを削減できることから、好ましい。
目的とするテルペノイド誘導体を天然の素材から前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出し、さらに、精製することにより得ることができる。天然の素材としては、サージの実などの植物の他、海藻、キノコ、食用動物、食用魚類、軟体動物、昆虫、甲殻類などがある。
前記のテルペノイド誘導体を微生物や酵母を用いた発酵により得ることは、発酵技術が古くから安全性が確認され、食経験も豊富であることから好ましい。この場合、納豆菌、乳酸菌、紅麹、枯草菌があり、酵母としてはビール酵母や酒精酵母が用いられる微生物であり、特に、納豆菌はエステル交換作用に優れていることから好ましい。
前記の発酵はサージの実、食用魚類、食用魚類の頭部や内臓、大豆や牛乳などの発酵ベースに前記の微生物又は酵母を添加して発酵タンクを用いて実施される。この発酵後、微生物又は酵母と発酵液の混合物から目的とする前記のテルペノイド誘導体を前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出することにより得ることができる。
さらに、還元状態を増強することにより、酸化還元電位をマイナス1mVからマイナス800還元状態にすることができる。
還元状態を増強する方法としては、水素ガスの添加、アルカリ還元装置によるアルカリ還元化などの方法がある。
アルカリ還元化としては、アルカリ還元装置やアルカリ還元整水器により実施されることが好ましい。たとえば、ゼマイティス製のアルカリ還元水・強酸化水連続生成器「プロテックATX−501」、エヌアイシー製のアルカリ還元水製造装置「テクノスーパー502」、マルタカ製「ミネリア・CE−212」、クレッセント製「アキュラブルー」、株式会社日本鉱泉研究所製「ミネラル還元整水器「元気の水」」などの装置が好ましい。これらの操作により発酵物はアルカリ還元される。
植物から抽出する場合、サージの果実、種子、葉、根や茎などの植物体、緑茶、ギョウジャニンニク、タマネギ、ニンニク、大豆、ギジギシ、カンゾウ、ツリフネソウ、ハナイカダ、大麦若葉、葛の花、トウガラシ、カキ、梨、栗、タラ、ワサビ、ワラビ、稲、小麦、トウモロコシ、ダイコン、菜の花、サクラ、マツ、アオキ、アカネ、アカメガシワ、アケビ、アマチャズル、アマドコロ、アロエ、イカリソウ、イタドリ、イノコズチ、イブキジャコウソウ、ウコギ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、エビスグサ、オウレン、オオバコ、オケラ、オクラ、オトギリソウ、オナモミ、オミナエシ、カキドオシ、カラスウリ、カラスビシャク、カワラケツメイ、カワラナデシコ、カンアオイ、キクイモ、キキョウ、キササゲ、キハダ、キランソウ、キンミズヒキ、クガイソウ、クサボケ、クズ、クチナシ、コウホネ、コブシ、サイカチ、サボンソウ、サルトリイバラバッケツ、サンシュユ、ジャノヒゲ、シラン、スイカズラ、セリ、センブリ、タムシバ、タラノキ、タンポポ、チガヤ、ツリガネニンジン、ツワブキ、トチノキ、トチバニンジン、ナンテン、ノイバラ、ハコベ、ハトムギ、ハハコグサ、ヒキオコシ、ヒシ、ヒトツバ、ビワ、フキ、フクジュソウ、フジ、マタタビ、マンゴスチン、メハジキ、ヤマノイモ、ユキノシタ、ヨモギ、リンドウ、レンギョウ、ロウバイ、ワレモコウなどの葉、茎、花、実又は根は、入手しやすいことから好ましい。
このうち、ここでいうサージとは、学名Hippophae rhamnoidesであり、中国名は沙棘、日本での別呼びはサジーである。英名はSea Buckthornである。
日本をはじめとしたユーラシア大陸中央部から中国、ヨーロッパの広範囲地域に生育し、その木は樹高2m〜3mであり、枝葉は細く銀葉で枝垂れ柳に類似している。雌木と雄木があり、栽培では混植が必要となる。野生種はトゲが多く鋭いが、黄色からオレンジ色の実を着けるが、赤味の多い品種もある。ここで用いるサージはいずれの産地でも良い。
このうち、サージの実、葉や茎は食経験も豊富であり、目的とするテルペノイド誘導体を安定的に供給できることから好ましい。
前記のテルペノイド誘導体は前記の有機溶媒又は植物油で抽出される。つまり、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧料に用いられる油が用いられる。
また、目的とするテルペノイド誘導体の分離には、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。分離する場合、前記の有機溶媒や植物油が用いられる。
前記の反応物や組成物から、目的とするテルペノイド誘導体を精製することは純度の高い物質として摂取した場合にその摂取量を減少させることができる点から好ましい。高度に精製される場合、分離用担体又は樹脂が利用され、精製される。分離用担体又は樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300マイクロmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体又は樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。
また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体又は樹脂として利用される。
アフィニティ担体又は樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体又は樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体又は樹脂、分配性担体又は樹脂、分子篩用担体又は樹脂及びイオン交換担体又は樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体又は樹脂及び分配性担体又は樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として前記の有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体又は樹脂が用いられる。また、医薬品製造又は食品製造に利用される担体又は樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2又はXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体又は樹脂を膨潤化させるための溶媒に懸濁される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜60℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、又は、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸又はそれらの混合液が好ましい。ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコールと水の混合液が好ましい。
分離された分画を採取後、乾燥又は真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするテルペノイド誘導体を粉末又は濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
前記のテルペノイド誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたテルペノイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧料、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
前記の化粧料としては、セルライトや皮下脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧料、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧料、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧料やペットに用いる化粧料としても利用される。
前記の医薬品、食品、化粧料は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のテルペノイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
また、前記のテルペノイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした保存容器やトイレ、バス用品などに利用される。
次に、サージの実の粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加し、発酵した溶液をアルカリ還元処理する工程からなる前記のテルペノイド誘導体の製造方法について説明する。
ここでいうテルペノイド誘導体とは、前記と同様、マスリン酸系のテルペノイド系の物質であり、テルペノイド1分子に2分子パラ−クマル酸が結合している。このテルペノイド誘導体では、テルペノイド骨格の水酸基にパラ−クマル酸のカルボン酸がエステル結合している。
また、テルペノイド骨格1分子にトリペプチドが1分子結合している。この結合はテルペノイド骨格のカルボン酸とトリペプチドのアミノ基とのペプチド結合である。
トリペプチドの配列は、システインとフェニルアラニンとシステインであり、N末端からシステイニルフェニルアラニルシステインである。ここでN末端のシステインとテルペノイドのカルボン酸とが結合している。アミノ酸はすべてL型である。
トリペプチドのシステインとフェニルアラニンは還元作用を強くし、疎水性を高めて脂肪組織に浸透しやすくする。システインのSH基が還元状態を維持するために、作用している。
目的とするテルペノイド誘導体は、酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVである。酸化還元電位とは、粉末の場合、溶液にした場合の酸化度及び還元度の指標である。0mVより高いプラスの場合には、酸化状態であり、0mVより低いマイナスの場合には還元状態にある。
このテルペノイド誘導体は、脂肪分解作用があり、中性脂肪を分解し、内臓脂肪や皮下脂肪を分解し、メタボリック症候群や癌の予防と改善に働く。
原料となるサージの実とは、サージから得られる果実である。サージとは、学名Hippophae rhamnoidesであり、中国名は沙棘、日本での別呼びはサジーである。英名はSea Buckthornである。
日本をはじめとしたユーラシア大陸中央部から中国、ヨーロッパの広範囲地域に生育し、その木は樹高2m〜3mであり、枝葉は細く銀葉で枝垂れ柳に類似している。雌木と雄木があり、栽培では混植が必要となる。野生種はトゲが多く鋭いが、黄色からオレンジ色の実を着けるが、赤味の多い品種もある。ここで用いるサージはいずれの産地でも良い。
サージの実は、採取された後に、水洗されることは雑菌を除外できる点から好ましい。水洗後、乾燥後、粉砕することは、以降の工程を効率良く行うことができる点から好ましい。
乾燥機として西村鐵工所製のCDドライヤー、株式会社大川原製作所製のバイブロンやロートスルー、株式会社奈良機械製作所製の旋回気流乾燥機、トルネッシュドライヤー、流動層乾燥機、粉砕機として株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
原料となる大豆粉末は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地の大豆でも利用でき、使用に際して中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕される。
原料となる納豆菌とは、納豆や食品の加工用に用いられる枯草菌の一種である。納豆素本舗製の納豆菌は発酵に適していることから、好ましい。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、サージの果実1重量に対し、大豆粉末は0.6〜4重量が好ましく、納豆菌は0.003〜0.06重量が好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は、33〜56℃に加温され、発酵は、24〜98時間行われる。発酵後に、以下の抽出を効率良く実施するために、水道水で希釈される。
この発酵の工程によって、大豆由来のたんぱく質が分解されて得られたペプチドがサージ由来のテルペノイドと結合する。しかし、発酵工程では酸化された状態にあり、構造的に不安定である。テルペノイド誘導体の分解を防御させる目的で、還元させて酸化還元電位を低く維持することは、その構造が安定させる。
前記の発酵により生成された発酵物は35〜59℃の温水で抽出され、この製造工程により、生成物を分解から守り、効率良く回収でき、かつ、次の工程を実施しやすい。
得られた発酵物は真空乾燥や凍結乾燥などにより、濃縮することは、好ましい。
この発酵物はアルカリ還元される。アルカリ還元の工程は、アルカリ還元装置やアルカリ還元整水器により実施されることが好ましい。たとえば、ゼマイティス製のアルカリ還元水・強酸化水連続生成器「プロテックATX−501」、エヌアイシー製のアルカリ還元水製造装置「テクノスーパー502」、マルタカ製「ミネリア・CE−212」、クレッセント製「アキュラブルー」、株式会社日本鉱泉研究所製「ミネラル還元整水器「元気の水」」などの装置が好ましい。これらの装置により発酵物はアルカリ還元される。
この還元工程により、酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVに還元され、目的とするキサントン誘導体が安定される。
前記の還元反応物から、目的とするテルペノイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
分離用担体または樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、有機溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
分離用溶媒としてはメタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノールまたは含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体または粉末として得られる。得られたテルペノイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧料、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
前記の化粧料としては、セルライトや皮下脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧料、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧料、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧料やペットに用いる化粧料としても利用される。
前記の医薬品、食品、化粧料は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のテルペノイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
また、前記のテルペノイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした保存容器やトイレ、バス用品などに利用される。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。まず、サージを発酵させたテルペノイド誘導体の製造について説明する。
岐阜県で無農薬で栽培されたサージより果実を採取した。これを水洗後、乾燥機により乾燥し、粉砕機(クイジナート)により粉砕して、サージ果実の粉砕物1kgを得た。
北海道産大豆をミキサー(クイジナート)に供し、大豆の粉砕物1kgを得た。これらを清浄な発酵タンク(滅菌された発酵用丸形20リットルタンク)の容器に0.5kgずつを入れてさらに、水道水5kgを添加し、攪拌した。
これに、粉末納豆菌(納豆素本舗製)55gを発酵タンクに供し、攪拌後、39〜43℃の温度範囲内で発酵させた。
発酵過程の途中段階で3回攪拌した。発酵終了の判定には、目的とするテルペノイド誘導体またはその酸化物の生成を指標とした。
その方法は、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)に発酵液を供して分析し、目的とする物質の生成を確認した。
その結果、発酵46時間後に、目的とするテルペノイド誘導体が十分量生成されたため、発酵時間を47時間として発酵を終了させた。発酵液に43℃の温水2kgを添加した。
この発酵液を珪藻土を敷いたろ過器に供し、ろ過した。得られたろ過液をセルラキッス(株式会社ゼノン製)に供し、アルカリ還元装置(ゼマイティス製のアルカリ還元水・強酸化水連続生成器「プロテックATX−501」)に供してアルカリ還元化させた。
こうして得られたアルカリ還元物を日本エフディ製の凍結乾燥機に供し、目的とするテルペノイド誘導体を粉末として455g得た。これを検体1とした。
以下に、テルペノイド誘導体の精製物について説明する。
実施例1で得られたテルペノイド誘導体100gをエタノール500mLに懸濁し、三菱化学製ダイヤイオンの880gを充填したカラムに供した。これを5%エタノール含有水1000mLで洗浄した。さらに20%エタノール含有水950mLで洗浄後、70%エタノール含有水900mLで溶出し、次いで90%エタノール含有水の分画を採取した。
この分画を減圧乾燥機に供してエタノールと水を留去した後、日本エフディ製の凍結乾燥機によりテルペノイド誘導体の油状の精製物30gを得た。これを実施例2の検体とした。
以下に、テルペノイド誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた実施例1及び実施例2で得られたそれぞれのテルペノイド誘導体を精製エタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析し、さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)お呼びアミノ酸分析装置(島津製)により解析した。
その結果、実施例1及び実施例2の検体1及び2から、テルペノイド誘導体としてマスリン酸にパラ−クマル酸、システイン、フェニルアラニン、システインよりなるトリペプチドからなる目的とするテルペノイド誘導体が同定された。
以下に、SCIDマウスとヒト由来脂肪細胞を用いた脂肪減少効果の試験について説明する。
(試験例2)
ここで用いたSCIDマウスとは重症複合免疫不全マウスであり、免疫機能が低下していることから、種々のヒト由来細胞や組織が移植可能で、ヒト由来脂肪細胞を体内で増殖及び成育させることができ、この方法は試験例が豊富であり、医薬品の開発及び研究にも利用されている。和光純薬製のヒト由来白色脂肪細胞培養キットを購入し、培養することにより増殖させ、ヒト由来脂肪細胞とした。
このSCIDマウスの背部に、前記のように培養したヒト由来脂肪細胞10万個を移植した。餌としてマウス飼育用固形試料を食べさせた。移植の翌日より、実施例1で得られた検体1および陽性対照としたマジンドール(Sigma製)を0.2%アラビアゴム水に懸濁して14日間、経口投与した。また、水摂取対照群には、0.2%アラビアゴム水のみを投与した。
1群の動物数を5匹とし、投薬14日後に、エーテル麻酔下で、腹部動脈より採血し、遠心分離して得られた血清を用いて血中中性脂肪量を和光純薬製キット(アセチルアセトン法)にて測定した。
その結果、水摂取対照群の血中中性脂肪値に比し、実施例1のテルペノイド誘導体1mgを経口投与したSCIDマウスの血中中性脂肪値は、平均値として45%となり、検体による血中の中性脂肪値の減少効果が確認された。また、マジンドールの1mg投与では、平均値として78%となった。
これらの結果から、実施例1で得られたテルペノイド誘導体は、マジンドールより優れた中性脂肪を減少させる作用が確認された。
また、テルペノイド誘導体1mg投与した動物の背部に移植したヒト由来脂肪組織の重量は、水摂取の対照群の値に比し、34%となり、脂肪組織の減少作用が認められた。また、マジンドール1mg投与では、77%になった。
一方、溶媒のみを投与した動物の背部に移植したヒト由来脂肪組織の重量は、水摂取対照群の値に比し、101%となり、脂肪組織に変化は認められなかった。
さらに、テルペノイド誘導体1mg投与した動物の体重は、水摂取対照群の値に比し、67%となり、体重の減少作用も認められた。また、マジンドール投与では、88%となった。
一方、溶媒のみを投与した動物の体重は、水摂取対照群の値に比し、99%となり、体重に変化は認められなかった。
これらの結果から、実施例1で得られたテルペノイド誘導体には、マジンドールより著しい体重減少、脂肪減少、血中中性脂肪値の減少の効果が認められた。しかし、投薬期間の症状、その他の臓器には肉眼的に異常は認められず、毒性は確認できなかった。
以下に、テルペノイド誘導体を含有する食品製剤の製造について記載する。
前記の実施例1で得られたテルペノイド誘導体90gを食品加工用混合器(ツカサ製、パウミキサー、シングルタイプ)に入れ、株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油20gを添加した。これに、株式会社東洋発酵製の松の葉エキス含有大豆油10gを添加し、攪拌しながらこれを45℃で12時間加温して冷却後、組成物約120gを得た。
この組成物120gに、食用セルロース200g、アスコルビン酸1.1g及び食用香料10gを食品加工用ミキサー(ツカサ製、パウミキサー、Wタイプ)に添加し、混合した。これを常法により粉末化し、乾燥後、ブタ由来ゼラチン製ハードカプセルに、1粒280mgとして充填し、食品製剤を得た。これを実施例3の検体とした。
以下に、中性脂肪の高い方に対する食品製剤の試験について説明する。
(試験例3)
230〜540mg/dLの中性脂肪値を示す男性10名及び女性10名に、実施例3で得られた食品製剤を毎食後に3錠(840mg)ずつ、1日3回、28日間摂取させた。試験実施前及び摂取28日間後の血中中性脂肪値を検査した。
その結果、実施例3の食品製剤の摂取は、摂取前に比して中性脂肪値が男性の平均値で30%、女性の平均値で25%となり、いずれも減少させた。また、血糖値も男性の平均値で20%、女性の平均値で15%、摂取前に比していずれも減少が認められた。さらに、
なお、食品製剤摂取による体調の変化はなく、血液検査、その他の血液生化学検査、尿検査の検査値にも、いずれも、副作用は認められなかった。
これらの結果、実施例3の食品製剤は、中性脂肪の高めの方に対して中性脂肪及び血糖値を減少させた。また、実施例3の食品製剤摂取による副作用は認められず、安全性が確認された。
以下に、テルペノイド誘導体からなる化粧料の製造について説明する。
前記の実施例1で得られたテルペノイド誘導体30gを化粧料加工用混合器(寿工業製、ポーレコンテナミキサー)に入れ、株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油10gを添加した。これに、株式会社東洋発酵製の松の葉エキス含有大豆油20gを添加し、攪拌しながらこれを37℃で24時間加温して冷却後、組成物約50gを得た。
この組成物40gを前記の混合器に入れ、ミツロウ(アピ製)300g及びスクワラン(日本水産製)1gを添加し、混合して、化粧料製剤としてクリームを得た。これを実施例4の検体とした。同時に、実施例1で得られたテルペノイド誘導体を除いた基材のみのクリームを調製した。
以下に、化粧料の効果及び副作用について評価した試験例を示す。
(試験例4)
両足の大腿部にセルライトが認められる48〜68才の女性10人に対し、右足大腿部に実施例4で得られたクリーム1gを、毎日、左足大腿部に基材のみからなるクレーム1gを14日間塗布した。塗布終了後に、油分(モリテックス製、トリプルセンス)及び皮膚弾性力(インテグラル製、衝撃波測定装置、RVM600)を測定した。
その結果、テルペノイド誘導体を含有するクリームを塗布した右足の油分は、基材のみを塗布した左足の油分に比して、55%となった。また、右足の皮膚の弾性力は、左足に比して156%となり、弾性力の向上が認められた。
さらに、大腿部の観察により、テルペノイド誘導体を含有するクリームを塗布した右足の大腿部ではセルライトが減少しており、大腿部の周囲の長さも左足に比して減少していた。
これらの結果は、実施例4の化粧料は中性脂肪を減少させ、セルライトを減少させることが判明した。さらに、この化粧料の塗布による副作用は認められず。安全性が確認された。
以下に、テルペノイド誘導体からなる抗肥満薬について述べる。
清浄なステンレス製溶解槽に、前記の実施例1で得られたテルペノイド誘導体10g、ラノリン100g、マクロゴールド120g、ミツロウ10g、オゾケライト20gを添加し、37℃で1時間溶解した。これを混練機に供し、混合した。これを再度、溶解槽で溶解して、過熱し、脱気装置により脱気させて、目的とする抗肥満薬を軟膏剤として得た。
なお、対照として前記の実施例1で得られたテルペノイド誘導体の代わりとしてラノリンを用いた対照となる検体を作製し、対照検体として試験に用いた。
以下に、抗肥満薬を用いた試験について説明する。
(試験例5)
前記の抗肥満薬を用いた臨床試験を実施した。すなわち、肥満度(BMI、体重(kg)を身長(m)の二乗で除した値)が30以上、体脂肪率(タニタ製体脂肪計にて測定)29%以上の女性10名に、前記の実施例5で得られた軟膏剤を腹部に3gを供し、塗布した。塗布は一日一回とし、30日間行った。塗布30日後に、体脂肪率、体重、血中中性脂肪値を測定した。
その結果、塗布30日後の平均値は塗布前に比し、肥満度については44%低下し、体脂肪率については41%低下した。また、血中中性脂肪量については34%減少した。これらの結果、実施例6の軟膏剤は、腹部の肥満に対して改善効果を発揮することが確認できた。
なお、血糖値にも23%の低下が認められた。一方、自覚症状、血液検査値、その他の血液生化学検査などには、異常は認められず、実施例5の抗肥満薬の安全性が確認された。
なお、ラノリンなどの基材のみを用いた軟膏剤では、使用前の値に比して肥満度では103%、体脂肪率では100%、血中中性脂肪については101%であり、変化はいずれも認められなかった。
本発明である脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体は、全身及び内臓の脂肪の過剰な蓄積を防止及び改善した副作用の弱い、優れた働きを示し、肥満、内臓脂肪の蓄積、皮下脂肪の蓄積に苦しむ患者、肥満、生活習慣病の患者又はその予備軍のQOLを改善するものである。
また、本発明である脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体からなる食品製剤は、メタボリックシンドロームの原因である内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積を改善又は予防し、国民生活の質的向上に寄与するものである。
さらに、脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体からなる化粧料は、セルライトや脂肪による皮膚の凹凸に対して改善又は予防効果を示し、国民のQOLを向上させるものである。
加えて、脂肪分解作用を有するテルペノイド誘導体からなる抗肥満薬によれば、メタボリックシンドロームの原因である肥満に対して脂肪を減少させて肥満を改善又は予防に貢献し、国民生活を向上させる。この抗肥満薬は副作用が少なく、優れた脂肪分解作用を発揮することにより、医療及び医薬品業界の活性化に寄与するものである。

Claims (2)

  1. 酸化還元電位がマイナス1mV〜マイナス800mVであり、脂肪分解作用を呈する下記の式(1)で示されるテルペノイド誘導体。
    Figure 2009161485
  2. サージの実の粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加し、発酵した溶液をアルカリ還元処理する工程からなる請求項1に記載のテルペノイド誘導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN117025499A (zh) * 2023-05-24 2023-11-10 汕头市中心医院 香豆酸在促进细菌代谢生成小分子肽和促进细菌生长中的应用

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