JP2009161396A - ガラス物品の製造方法、ガラス物品及びガラス熔融面監視システム - Google Patents

ガラス物品の製造方法、ガラス物品及びガラス熔融面監視システム Download PDF

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Abstract

【課題】高温のガラス熔融炉内部の撮影画像を活用し、熔融ガラス中の泡等の欠陥を低減する製造方法とこの製造方法によるガラス物品、さらに本製造方法を支えるガラス熔融面監視システムを提供する。
【解決手段】ガラス物品の製造方法は、ガラス熔融面の映像記録によりガラス物品を製造するもので、10秒から36×102秒の間隔でガラス熔融面を撮影してガラス熔融面画像情報を得る工程と、ガラス熔融面画像情報と、撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報にタイムキーを付与して保存する工程と、この保存データから複数のガラス熔融面画像情報を抽出、比較する工程と、抽出した各ガラス熔融面画像に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報を呼び出して各情報間の相関関係を解析する工程と、解析結果によりガラス操炉条件の変更を行う工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、無機熔融ガラスを均質で欠陥のない所定形状のガラス物品として製造するためのガラス物品の製造方法と、その製造方法により得られるガラス物品、及びこの製造方法に欠くことのできないガラス熔融面を監視するシステムに関する。
ガラス製造業では、無機熔融ガラスを様々な形状のガラス物品となるように成形して数多くの用途に供給している。用途によって要求される性能は多様であるが、製造されるガラス物品の均質性や寸法品位などは、最も基本的な管理項目であり、成形されたガラス物品を検査し、所望の仕様に見合わないものをリサイクル工程へと分別することは従来からおこなわれてきている。しかしながら、このように不具合のあるものを分別によりカレットとしてリサイクルすることが可能ではあっても、良品として採取する比率が少なくなればなるほど、製造費用が割高になるのは必然であり、なるべく高い製造品位と安価な製造費用を維持し続けることは極めて重要なことになる。従ってガラス物品を成形するまでの熔融工程に由来するガラス中の泡、異物、あるいは脈理などのガラスの均質性を脅かす多くの欠陥を極力低減することは、ガラス物品の製造効率を向上させ、成形されるガラス物品の品位を高め、経済的にも優れたものとするために欠くことのできないものである。
このためガラス熔融炉の製造条件を正確に把握し、安定したガラス熔融炉の操業を確保するためにガラス熔融炉内を観察することがこれまでも行われてきた。ガラス熔融炉の正確な情報を得るには、それなりの大きさの開口部を必要とする。しかしながら、ガラス熔融炉内は高温状態にあり、炉壁に大きな開口部を設けてガラス熔融炉内を観察することによって操炉条件を不要に乱すのは、避ける必要性がある。また高温状態の炉内を観察する設備にはそれなりに熱を防ぎ、正確な情報を得るための多くの工夫が必要となる。このような問題を解消するためにこれまでにも多くの発明が行われてきている。
例えば特許文献1では、撮像装置を備えた高温炉内観察装置の前方に反射型フィルターを有し、この反射型フィルターが基盤の片面又は両面に白金80〜100重量%の組成の金属薄膜を形成してなるフィルターを使用することで、撮像装置に至る熱線量を十分に抑制しつつ視認性を容易に確保するという発明が提示されている。
また特許文献2では、熔融炉内のガラスに対して光を照射し、熔融ガラス内部を通して受光部に受光される透過光又は散乱光を熔融ガラス内部の気泡、石等を検知するための情報信号とする検知方法で、受光部に受光される光は熔融ガラスが放射する光の波長よりも短く、かつ熔融ガラスが吸収できる光の波長よりも長い波長領域の光であるという発明もなされている。
また特許文献3では、高温雰囲気炉の内部を観察するために用いられる炉内部観察装置について、炉内部から炉の炉壁に形成された覗き窓を通過して観察位置に至る光路上に、透過性基板に可視光の透過波長領域が選択された波長領域となる多層膜が形成された1枚又は複数枚の干渉板が配置され、少なくとも1枚の前記干渉板が前記光路にそって入射する入射光に対して入射面の傾斜角度が変化するように回転操作が可能であるものを使用することによって、炉内の観察対象を詳細に観察することが可能となるという発明も開示されている。
特許文献4には、ガラス熔融炉内視鏡のサイトグラスの内面に向けて斜め側方から気体を噴出して円筒内回転流を発生させ熔融ガラス面から飛散するミストダストによるサイトグラスの曇りを防止するという発明も開示されている。
また特許文献5では、高温雰囲気炉内の状態を観察する観察装置において、炉の壁面に形成された貫通孔に挿入配置されるとともに、炉内温度よりも軟化点が高く、炉内の観察像を伝送可能な材料で形成された筒状の光学系部材と、炉外に設置され、前記光学系部材の中空部を介して伝送された炉内の観察像を撮像する撮像手段とを備えた炉内観察装置が開示されている。
特開2003−277815号公報 特開昭60−211338号公報 特開2006−258414号公報 実開平7−32600号公報 特開2002−333286号公報
しかしながらこれまでに行われた発明だけでは、得られたガラス熔融炉内の画像をどのように有効に活用するかという点については、効率的な利用方法がなかった。このため、従来発明されたガラス熔融炉内の監視装置は、主にガラス熔融炉に発生する炉壁の剥離や割れ等の早期発見やガラス原料バッチ飛散の状況等の炉内で発生する大きな異常現象を随時に検知するためには大変有効なものであるが、それを操炉条件の変更作業にまで的確に反映させるのは困難であった。
すなわちこれまでに行われてきた方法は、ガラス熔融炉内を撮影する種々の防熱処理を施したカメラや付帯設備等を設置し、通常であれば検知できない高温状態の炉内の明瞭な異常を検出しようとするには有効であり、利用価値のあるものであることは周知のものではあったが、こうして得られたガラス熔融炉内の画像を一層有効なものとするにはどうするのかという点については、得られる画像が不明瞭である場合もあり、得られる画像の活用有無は、主として操炉実務者の判断に委ねられていた。また、明瞭な画像が得られるような高解像度の撮影を行うと、余りに膨大な情報が得られることになってしまうため、情報の蓄積ができても蓄積された膨大な情報を生かしきれない状況となっていた。つまり撮影により得られた膨大な画像はどのように有効に再利用するのかというシステムが十分に整っていないため、画像を有効活用することによってより効率のよいガラス製造を実現するまでには至っていなかった。
このような状況下において、実際のガラス熔融炉の操炉実務者は、前記したような多くの改善によってガラス熔融炉内を観察できるようになったため、監視することのできたガラス熔融炉内を簡単なスケッチを行う等して、その概況を保存するということを行っていたが、このようなスケッチは情報を伝達するという点では正確さに欠け、またスケッチを行う個人の技量や主観によっても伝達される情報は大きく影響を受けるため、この方法を有効かつ効率的に操炉に活用するという水準には至っていなかった。
係る状況に鑑みて、本発明は、高温状態のガラス熔融炉の内部を詳細に撮影した画像を有効かつ効率的に活用することによって、熔融ガラス中の泡、異物あるいは脈理等の不均質な欠陥が成形後のガラス物品中に混入することで良品率が低下するのを低減することができ、安定した高品位のガラス物品を得ることができ、経済的にも優れたガラス製造方法と、このような製造方法によって得られるガラス物品、さらにこのガラス製造方法を支えるガラス熔融面監視システムの提供を行うことを課題とする。
本発明者らは、ガラス熔融炉の高温状態の炉内を監視する装置を如何にして有効に活用するかという点についての詳細な研究を重ね、ガラス熔融炉のガラス熔融面の撮影画像から注目する情報を抽出して解析を行い、その結果をガラス熔融炉の操炉条件に反映させることによって安定した品位のガラス物品が製造されていた際のガラス熔融面の画像情報に漸近させるようにガラス熔融炉の操炉条件を修正、変更することで常にガラス欠陥の発生を低減できることを見出し、ここにその製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス熔融炉内のガラス熔融面の映像記録に基づいてガラス操炉条件を変更しつつガラス物品を製造するガラス物品の製造方法であって、10秒から36×102秒の範囲内の間隔で前記ガラス熔融面の画像を撮影することによりガラス熔融面画像情報を得る画像撮影工程と、該画像撮影工程により得られたガラス熔融面画像情報と、該ガラス熔融面画像情報の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報にタイムキーを付与してこれら3種類の情報を時系列データとして保存する情報記録工程と、保存した時系列データから前記タイムキーにより複数のガラス熔融面画像情報を抽出して各撮影時刻のガラス熔融面画像を比較する抽出比較工程と、抽出した各ガラス熔融面画像の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報を前記タイムキーにより呼び出して3種類の各情報間の相関関係を解析する解析工程と、該解析工程の解析結果に基づいてガラス操炉条件の変更操作を行う操炉条件変更工程とを有することを特徴とする。
ここで、ガラス熔融炉内のガラス熔融面の映像記録に基づいてガラス操炉条件を変更しつつガラス物品を製造するガラス物品の製造方法であって、10秒から36×102秒の範囲内の間隔で前記ガラス熔融面の画像を撮影することによりガラス熔融面画像情報を得る画像撮影工程と、該画像撮影工程により得られたガラス熔融面画像情報と、該ガラス熔融面画像情報の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報にタイムキーを付与してこれら3種類の情報を時系列データとして保存する情報記録工程と、保存した時系列データから前記タイムキーにより複数のガラス熔融面画像情報を抽出して各撮影時刻のガラス熔融面画像を比較する抽出比較工程と、抽出した各ガラス熔融面画像の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報を前記タイムキーにより呼び出して3種類の各情報間の相関関係を解析する解析工程と、該解析工程の解析結果に基づいてガラス操炉条件の変更操作を行う操炉条件変更工程とを有するとは、次のようなものである。すなわち、ガラス熔融炉内で滞留する熔融ガラスの表面を撮影した映像情報の記録を参照し、その参照結果によってガラス熔融炉の操炉条件を適正に修正しながらガラス物品を成形する製造方法において、図1に示すように、映像記録が10秒毎の間隔から3600秒(60分毎)の間隔の範囲内で一定時間毎にガラス熔融面の静止画あるいは動画の画像を断続的に撮影する画像撮影工程と、こうして得られたガラス熔融炉内のガラス熔融面の画像情報を1つ目の情報とし、ガラス熔融炉を所定条件に加熱しガラス物品を製造するために温度や流量等を調整するガラス熔融炉の操炉情報を2つ目の情報とし、さらにこうして製造されたガラス物品について、ガラス熔融面の画像撮影時刻よりも後に判明する泡や異物、脈理、物理計測値、組成分析値、及び不純物分析値等のガラス物品に関する諸検査情報を3つ目の情報とする場合に、これらの3つの情報にタイムキー(時刻索引)を割り当てて時系列のデータとして同じシステム内のデジタルデータとして保存する情報記録工程と、保存した時系列データから前記タイムキーにより複数のガラス熔融面画像情報を抽出して各撮影時刻のガラス熔融面画像を比較する抽出比較工程と、前記したガラス熔融面画像情報、ガラス熔融炉操炉情報、及びガラス物品検査情報の3種類のそれぞれ互いの情報間の相関関係をグラフ可視化手段や係数化手段等を併用することによって解析する解析工程と、解析結果に従ってガラス操炉条件を最適な条件へと変更する操作を行う製造条件変更工程とを有するものであることを意味している。
画像撮影工程における画像撮影間隔を10秒から36×102秒の範囲内とするのは、10秒未満の間隔での撮影は、画像情報が多くなりすぎることになるため、大容量の情報記憶装置を準備する必要性が生じて経済的ではないことに加えて、それだけ短い時間で画像を残してもガラス熔融炉内のガラス熔融面の変化する速度は画像保存間隔に見合うほど大きくはなく、保存されたデータを有効に活用することは実質的に困難だからである。一方画像撮影工程における画像撮影間隔を36×102秒よりも大きくすると、ガラス熔融面の重要となる変化を見逃すことになる場合もあるので好ましくない。以上のような観点から、画像撮影工程における画像撮影間隔としてより好ましい間隔は、20秒以上で18×102秒(30分)の範囲内とすることであり、さらに好ましくは画像撮影工程における画像撮影間隔を30秒から12×102秒(20分)の範囲内とすることである。
また本発明で画像撮影工程における画像撮影間隔を10秒から36×102秒の範囲内とする場合に、より好ましい撮影間隔のタイミングとしては、複数の燃焼バーナーを一定時刻毎に交互に燃焼を繰り返す蓄熱式加熱方式を採用するガラス熔融炉においては、バーナーの切り替え過程に含まれる燃焼が一時的に停止しているタイミングに合わせて撮影を行う方法がある。このようなタイミングで撮影を行うことによって、燃焼炎による撮影の妨げを回避しつつ正確な画像を撮影することが可能となる。またこのような撮影方法を採用することによって、同時刻での炉内温度や他の計測値など、燃焼炎により影響を受けやすい様々な測定値の計測もガス燃焼の炎により妨げられることがないため、測定値は精度の高い値となるので好ましい。
また画像撮影工程において撮影する画像は、デジタル画像であってもアナログ画像であっても、撮影後にデジタル情報へと変換することができればよい。また画像撮影を行う装置については、CCDやCMOS等の固体撮像素子を搭載した画像記録カメラであるのがよいが、それ以外に撮像管等の画像情報を受信する真空管などを使用するシステムであってもよい。またここでの画像とは、静止画や適正な間隔の動画の撮影によるものであってもよい。そしてこの両者を併用したり、通常は静止画であるが、マニュアル操作で動画に切り替えたりするものであってもよく、さらにプログラムによってある一定時刻にだけ指定時間だけ動画撮影を行うというものであってもよい。
また撮影する画像情報の解像度については、必要に応じて高精細のものからそうではないものまでを適宜変更するものであってもよく、さらに上述したと同様の方法によってある一定時刻のみに高精細な画像を撮影し、他の時刻では高精細ではない画像を撮影するといった方式であってもよい。
画像を撮影する際に使用するカメラ等の各種撮影機器は、耐熱性の窓材によって炉内からの熱に対して十分保護されたものを使用する必要がある。このためには、例えば日本電気硝子製の耐熱結晶化ガラスであるネオセラム等を窓板材として使用する構成とすればよい。またそれに加えて水冷や空冷等の付帯設備が必要となるのは言うまでもなく、ペルチェ素子等を使用して冷却するものや、他の適正な冷却媒体を循環させつつ使用するものをカメラ等の精密機器の過熱保護のために適宜使い分けてよい。
撮影された画像は、炉内の斜視像であるため、その画像をより明瞭な情報とするためアフィン変換処理を行うことによって斜視画像から平面画像とした状態で画像の圧縮処理を行えばよい。また撮影された画像が複数台の撮影機器によって得られるものであれば、次の情報記録工程において、それぞれの画像を個別データとして保存しても、また複数の画像を合成した1つの画像とした後に保存してもよい。
情報記録工程は、撮影によって得られたガラス熔融面画像情報の撮影時刻、さらに同時刻のガラス熔融炉の操業条件の計測値や設定値などの操炉情報、そしてその時刻に対応する成形されたガラス物品の計測情報を、ハードディスク等の保存装置にデジタルデータとして保存する工程であり、ここでの撮影時刻がタイムキーとなる。よってガラス熔融面画像情報、ガラス熔融炉操炉情報については、同時刻のデータを保存装置に入力することができるが、ガラス物品検査情報については、検査結果の入力に関し、ガラス溶融成形工程を経るに要する時間を考慮した特定のタイムキーを付与する操作を随時に行うことが可能である。
抽出比較工程は、タイムキーに付随する任意の複数のガラス熔融面画像情報を呼び出して、その画面の画像処理等を施し、画像から特定部位の形状計測情報や変化検出情報などをデータ値として取り出して、そのデータ値にグラフ可視化手段や係数化手段等を併用し、そのデータ値をガラス物品に関する諸検査情報の最適値である際のものと比較して優劣を判断するものである。
操炉条件変更工程は、比較抽出工程における比較作業によって、対処が必要なガラス物品の検査特性を改善する為に調整すべきガラス熔融炉の操炉条件を特定した後に、その特定のガラス熔融炉の操炉条件を最良の条件へと変更していくものである。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加えてガラス熔融面画像情報が、デジタル圧縮化されたものであれば、容量の大きい画像情報であっても効率よく保存することができるので、1年以上の長期に亘り連続稼働するガラス熔融炉の炉内のガラス欠陥に発生に関与する重要な変化を洩らさずに記録することができる。
ガラス熔融面画像情報が、デジタル圧縮化されたものであるとは、ガラス熔融面の撮影された画像がその実質的な性質を保持したままでデータ容量を減少させた異なるデータへと変換することによってデータ保存時の容量負荷を低減したものであることを表している。デジタル圧縮化のためのコーディック(Codec)としては、動画であればMPEG−2、MPEG−4などのMPEG、DV−CODEC、Motion JPEG等を適宜使い分けてよく、静止画であれば、JPEG2000などのJPEG、GIF、BMP、PNG、HD photo等を使用してよい。また静止画や動画のデジタル圧縮についてはこれら以外の仕様を採用しても十分に圧縮が行えるものであれば何ら問題はない。コーディックとは、データ圧縮機能を使用してデータのエンコード(符号化)とデコード(復号)を双方向に行うことを意味している。エンコードとは、アナログ信号やデジタル情報を所定の変換処理によって、後に必要とされる際に元の情報に戻すことができるように変換することであって、デコードはその逆の処理を行うことである。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加えて操炉情報が、少なくとも単位時間当たりの燃料消費量、ガラス流量及び温度計測値を含むものであれば、ガラス熔融炉の操炉条件の内の重要情報であるオイルやガス等の燃料の使用量と燃料の燃焼によって上昇したガラス熔融炉内の温度の計測結果、さらに熔融ガラスの単位時間当たりの流れ量についての情報を把握することができるので、これらの情報を操炉条件の変更に使用することによって大きな条件の変更から細かい条件変更まで、様々な対応をとることができ、状況に応じて最適な対応を選択することができる。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加えてガラス物品検査情報が、泡数計測値、異物数計測値、及び脈理強度計測値の何れか一以上を含むものであれば、ガラス物品の外観品位として最も基本的な情報を活用することができ、寸法精度などのこれら以外のガラス物品の品位についてもこれら諸品位を安定化させることによって総じてガラス欠陥数の少ない良い方向へと移行させることが可能となるので好ましい。
泡数の計測や異物数の計測については、製造工程内に設置した実体顕微鏡による観察や目視による観察によって、その品位を特定するものであっても、定期間毎にサンプリングした試料を後日に計測する方法によって計測値を得る方法によるものであってもよい。また人力に頼らずともセンサー等の計測機器を使用することによって泡数や異物数を計測してもよい。脈理についても光学的な計測機器を使用してその光線強度の変化を計測することで特定してもよい。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加えて抽出比較工程における抽出した各撮影時刻のガラス熔融画面像の比較が、ガラス熔融炉内のガラス原料と熔融ガラス面との界面位置の比較、及び/又は泡層面と熔融ガラス面との界面位置の比較によるものであれば、ガラス原料の溶解レベルを把握することによって熔融初期のガラス化反応の進行度合いを確認することが可能となるので、原料未溶解に起因するガラス欠陥を抑制することでガラス品位の向上に繋げることができる。
抽出比較工程における抽出した各撮影時刻のガラス熔融画面像の比較が、ガラス熔融炉内のガラス原料と熔融ガラス面との界面位置の比較、及び/又は泡層面と熔融ガラス面との界面位置の比較によるものであるとは、デジタル圧縮された画像情報を復元して2以上の画像情報間でガラス原料が残留する熔融ガラス面における境界線の位置や形状あるいは最下流位置や、複数のガラス原料が熱化学反応を起こして原料中のガス化成分が発泡することによって形成された泡層の境界線の位置や形状、あるいは最下流位置を比較することを意味している。
本発明のガラス物品は、本発明のガラス物品の製造方法によって熱間成形法により製造されてなるものであるため、高温状態の熔融ガラスから成形される数多くのガラス物品が安定して高品位なものとすることができ、これまで以上に数多くの用途で使用できるものとなる可能性がある。
熱間成形とは、ガラスの軟化点、すなわち熔融ガラスの粘度が107.6dPa・sに相当する温度以上の温度状態にある時に、その外観形状を成形する方法によってガラス物品を成形することである。熱間成形については、例えば板ガラスの成形方法であれば、オーバーフローダウンドロー法、ロールアウト法あるいはスロットダウンドロー法(スリットダウンドロー法ともいう)などの成形方法があり、管ガラスの成形方法であればダンナー法やミロ法、ダウンドロー法などの成形方法がある。
また本発明のガラス物品は、上述に加えてガラス組成中に実質的に砒素を含有しないものであれば、環境負荷の高くないガラス物品であり、安心して多くの用途で利用することができる。
本願発明においてガラス組成中に実質的に砒素を含有しないというのは、ガラス原料中に含有する不純物などとして混入することになる砒素(元素記号As、ヒ素とも記戴する)は含めないということであって、ガラスの各構成成分を酸化物換算の質量百分率表示で表すならば、ガラス組成中にAs23として0.1%未満の含有量である場合については、砒素が実質的に含有されていないとするものである。
本発明のガラス熔融面監視システムは、ガラス熔融炉内のガラス熔融面を10秒から36×102秒の範囲内の間隔で撮影する撮影手段と、撮影された該ガラス熔融面の画像にアフィン変換処理を行う画像変換手段と、アフィン変換処理された画像データの色調値にデータマイニングを施すことによってガラス熔融面の画像データを可視化する画像変更手段とを有することを特徴とする。
ここで、ガラス熔融炉内のガラス熔融面を10秒から36×102秒の範囲内の間隔で撮影する撮影手段と、撮影された該ガラス熔融面の画像にアフィン変換処理を行う画像変換手段と、アフィン変換処理された画像データの色調値にデータマイニングを施すことによってガラス熔融面の画像データを可視化する画像変更手段とを有するとは、10秒毎の間隔から36×102秒(60分毎)の間隔の範囲内で一定時間毎に静止画あるいは動画の画像を断続的に繰り返し撮影することによって得られた画像に、二値化やコントラスト変換などの二次元変換などのアフィン変換処理を行うことによって所定の画像状態とし、さらに得られた画像の色調値にデータマイニングに係わる各種分析手法を施すことによって、画像データ間に隠された意味ある情報を探し出し、これと関連付けられるガラス欠陥情報を抽出して可視化することを意味している。
本発明のガラス熔融面監視システムは、ガラス熔融炉内のガラス熔融面を10秒から36×102秒の範囲内の間隔で撮影する撮影手段と、撮影された該ガラス熔融面の画像にアフィン変換処理を行う画像変換手段と、アフィン変換処理された画像データの色調値にデータマイニングを施すことによってガラス熔融面の画像データを可視化する画像変更手段とを有することによって、目視だけでは容易に認識することが困難な様々なガラス熔融炉内の変動を明瞭化することができ、ガラス物品に生じる欠陥の原因となるガラス熔融炉内のガラス熔融面の変化を適正な状態へと修正するための変更操作を行うために必要となる操炉条件を特定する一助となる。
例えばガラス熔融炉内の所定時間の熔融ガラス面の二次元変換画像を得た場合に、その画像の輝度値を基準とすると、ガラス原料バッチの未熔融領域は最も輝度の低い領域となり、さらにこのガラス原料バッチが熱化学反応を起こして炭酸ガスなどの泡層の領域についてはガラス原料バッチの未熔融領域よりも明るい輝度となり、ガラスが熔融したミラー面とも呼ばれる表面は最も明るい輝度となるので、輝度に関しての閾値を設けて特定の閾値で2値化処理を施すことによってそれぞれの領域を明瞭化することができ、またそれぞれの領域間の界面を正確に把握することができる。この領域の区分はさらにミラー面であっても高温領域と低温領域とによって複数に細分化することもできる。そしてさらにこうして得られた各領域間の境界界面を、例えば輝度に関わる等高線表示を行って得られる画像を蓄積して、この等高線画像間での類似性や相反性を比較することによって種々の新たな情報を得ることができるものである。
データマイニング(Data mining)とは、KDD(Knowledge−discovery in database)とも呼ばれ、様々な統計学的な解析手法や画像情報から意味あるデータを抽出するパターン認識手法、さらにエキスパートシステムなどに代表される人工知能に関わる手法を駆使することによって、人力では到底処理できないような大量のデータ情報から通常の処理では想像することさえできない知識を獲得することができる手法を表している。
また本発明のガラス熔融面監視システムは、上述に加えて予め登録した監視幅を超える異常値が計測された場合にその計測値に基づいた警報を発することによって監視者へ通知するシステムを有するものであれば、人力ではなし得ない製造監視体制をとることが可能となり、製造されるガラス物品に関わる操業異常を早急に感知することによって速やかな対応ができ、安定した操炉が可能となるので好ましい。
予め登録した監視幅を超える異常値が計測された場合にその計測値に基づいた警報を発するとは、操炉をおこなっているオペレータに警報音を発して通知する以外にも電子メール配信や携帯電話への発信等による警報をも含まれるものである。
予め監視幅を登録する場合について、その目安としては、例えば前述したガラス原料バッチの未熔融領域と泡層の領域との境界線を表す曲線の最も下流側の位置がガラス原料バッチの未熔融領域の流れ方向長さ寸法の10%を超える変動を示した場合には、警報音とメール発信による警報とを発するといったことになる。むろんこの監視幅を、例えば5%を超えるならば警報を発するようにし、より狭くすることによってさらに厳しい監視を行うことも可能である。
(1)以上のように、本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス熔融炉内のガラス熔融面の映像記録に基づいてガラス操炉条件を変更しつつガラス物品を製造するガラス物品の製造方法であって、10秒から36×102秒の範囲内の間隔で前記ガラス熔融面の画像を撮影することによりガラス熔融面画像情報を得る画像撮影工程と、該画像撮影工程により得られたガラス熔融面画像情報と、該ガラス熔融面画像情報の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報にタイムキーを付与してこれら3種類の情報を時系列データとして保存する情報記録工程と、保存した時系列データから前記タイムキーにより複数のガラス熔融面画像情報を抽出して各撮影時刻のガラス熔融面画像を比較する抽出比較工程と、抽出した各ガラス熔融面画像の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報を前記タイムキーにより呼び出して3種類の各情報間の相関関係を解析する解析工程と、該解析工程の解析結果に基づいてガラス操炉条件の変更操作を行う操炉条件変更工程とを有するものであるため、従来は蓄積するだけで十分な活用ができていなかった高温状態のガラス熔融炉の内部の撮影情報を有効かつ効率的に活用することができ、熔融ガラス中の泡、異物あるいは脈理等の不均質な欠陥による成形後のガラス物品中の良品率の低下を低減できるものである。
(2)また本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス熔融面画像情報が、デジタル圧縮化されたものであるならば、長期に亘る製造期間の全期間で発生する様々な炉内の変動に係わる詳細な情報を蓄積することができる。
(3)さらに本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス熔融炉操炉情報が、少なくとも単位時間当たりの燃料消費量、ガラス流量及び温度計測値を含むものであるならば、ガラス製造時に行われる大小の操炉条件の変更を実施する場合に最適な条件を設定することを可能とする。
(4)また本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス物品検査情報が、泡数計測値、異物数計測値、及び脈理強度計測値の何れか一以上を含むものであるならば、製造されるガラス物品の他の性能や品位に関連する基礎情報として解析に使用することによって他の品位のさらなる向上に有効に活用することができる。
(5)さらに本発明のガラス物品の製造方法は、抽出比較工程における抽出した各撮影時刻のガラス熔融画面像の比較が、ガラス熔融炉内のガラス原料と熔融ガラス面との界面位置の比較、及び/又は泡層面と熔融ガラス面との界面位置の比較によるものであれば、複数種のガラス原料が混合されたバッチ原料の溶解レベルを十分に把握することによってガラス熔融初期段階の熱化学反応の進行度合いを的確に評価することが可能となるので、ガラス原料の未溶解やそれに伴う反応後の均質化の遅延などに係わる各種ガラス欠陥を抑制するために活用でき、安定したガラス物品の製造を実現することが可能となる。
(6)本発明のガラス物品は、本発明のガラス物品の製造方法によって熱間成形法により製造されてなるものであるため、液晶表示装置搭載用板ガラスやプラズマ表示装置搭載用板ガラス等の熱間成形において高い成形品位を実現する必要性のあるものとして利用することが可能である。
(7)本発明のガラス物品は、ガラス組成中に実質的に砒素を含有しないものであれば、使用時やリサイクル時にも環境面で特段の注意を払う必要性のないガラス物品となる。
(8)本発明のガラス熔融面監視システムは、ガラス熔融炉内のガラス熔融面を10秒から36×102秒の範囲内の間隔で撮影する撮影手段と、撮影された該ガラス熔融面の画像にアフィン変換処理を行う画像変換手段と、アフィン変換処理された画像データの色調値にデータマイニングを施すことによってガラス熔融面の画像データを可視化する画像変更手段とを有するものであるため、単一槽構成の小型ガラス熔融炉から熔融槽や清澄槽などの複数の、すなわち二以上の構成槽を有する大型ガラス熔融炉までに適用することができ、大量生産から少量生産のガラス物品に至るまでのガラス熔融によって生み出されるガラス物品の生産を的確に監視することができ、高い外観品位、及び寸法品位のガラス物品を製造するために利用することができる。
以下、実施例に基づき、本発明のガラス物品の製造方法と、この製造方法によって生み出されたガラス物品、そして本発明のガラス物品の製造方法に適用されるガラス熔融面監視システムに関して詳細に説明を行う。
液晶表示装置に搭載する板ガラスを製造する設備に使用されるガラス熔融炉については、製造される板ガラスが可視光線を透過させ、画像を表示する用途で使用されるものであるために高い均質性と寸法安定性等が求められる。一方で、液晶表示装置に搭載される板ガラスに採用されているガラス組成は、液晶表示装置に搭載するということから多くの制約の下で開発された難熔融性の無アルカリガラス組成であるため、このガラスの熔融には通常の窓板ガラスなどとは比較にならない高温状態が必要となる。さらに近年では、環境問題からガラス中の有害成分を極力減少させる必要性があり、この材質では通常使用されることの多い砒素(As)を実質的に含有しない構成となっている。よって十分なガラス熔融炉内の管理が行われないと熔融ガラス中にガラス原料に起因する熔融不足のノットや脈理等の欠陥が混入する危険性がある。そのため、ガラス原料投入口から原料投入機であるスクリューチャージャーによって投入されたガラス原料バッチがガス燃焼によって熱化学反応を起こして泡層を形成し、この泡層が無くなってガラスの熔融が完了したミラー面(鏡面)の状態となる一連の反応の過程に異常の発生がないかどうかを監視することは、製造品質を安定する上で欠かせないものである。
このため、従来から行われてきた耐熱環境下でのビデオカメラなどの撮影機器によって得られた画像をモニター表示する、あるいは定期的に人力でその画像をスケッチして記録するという段階から、より監視体制を強化し、さらにその得られた画像をより有効に活用するために、撮影された画像をデジタル圧縮してタイムキーを付与して時系列で保存し、その画像から意味ある情報を導いて活用するガラス熔融面監視システムの導入が行われた。
ここで導入されたガラス熔融面監視システムでは、ガラス溶解槽のガラス表面の画像を撮影した結果を保存する際にその情報にタイムキーを付与して保存するという点に加えて、さらにガラス操炉情報として必要となる各種の情報、すなわちガス燃料の燃料使用量、溶解室天井、溶解室底面等の炉内各所に配した熱電対から得られる温度計測結果、ガラス物品の成形速度によって得られるガラス流量、炉圧、排ガス濃度などを同じタイムキーによって保存する。さらに所定時間の遅延を含み、同じタイムキーを付与するものとしては、ガラス物品の泡検査結果、異物数の計測結果、さらに脈理の計測結果、膨張係数や密度、軟化点などの物理化学計測結果を含むものがあり、これら多数の情報がタイムキーによって一律に呼び出せる構成となっている。
この液晶表示装置の画像表示面として搭載される板ガラス用の原板ガラスを製造するガラス熔融炉では、最初にガラス原料バッチを投入する溶解槽は、そのガラス熔融面の形状が矩形状を呈する一般的な構成となっている。ちなみにこのガラス熔融炉では、溶解槽の先に熔融ガラスを均質化するための清澄槽、攪拌装置などが配されており、最終的に成形域に配された耐火物製のオーバーフローダウンドロー方式の成形が可能となる成形体によって、熱間成形することによって板ガラスを得るものである。
ここ以降での説明のため、ガラス熔融炉内を撮影した際に得られる斜視像の概念図を図2として示す。図2では、10がガラス熔融炉の溶解槽内の熔融ガラス表面、11が炉壁、12がガラス原料バッチ未溶解領域、13がガラス化反応によるガス発生領域(泡層の領域)、14が熔融ガラス面領域(ミラー面領域)、20が溶解槽の川上、30が溶解槽の川下を表している。図2は溶解槽の川下側30のガラス融液面上方から俯瞰撮影されたものであるが、ここに示されるように、このガラス熔融炉の溶解槽では、予めガラスカレットを混入したガラス原料バッチが、溶解槽の川上側20の壁面から挿入されたスクリューチャージャー(図示省略)を使用して連続的に投入されている。投入されたガラス原料バッチは溶解槽の川上側20で溶解槽内に堆積し、溶解槽内に未溶解領域12を形成している。次いでこの未溶解領域12のガラス未溶解原料は、ガラス熔融炉内の加熱された雰囲気によって徐々に高温状態となり、熱化学反応によって炭酸ガス、酸素、水蒸気等の各種成分を含むガスが発生することとなる。これらのガスが大量に発生し続けているために多くの気泡が形成され、ガラス融液表面まで浮上してきている領域が、ガス発生領域(または泡層の領域)13である。そしてこの泡層の領域13は完全に熔融ガラスと化した熔融ガラス面領域14よりも低温状態にある。このため炉内の川下側30から撮影された画像では、ガラス原料未溶解領域12が最も暗く、次いで泡層の領域13、最も明るく見えるのが熔融ガラス面領域14である。
このガラス熔融炉に適用されたガラス熔融面監視システムでは、上記の図2のような画像を10分毎、すなわち600秒毎に静止画として撮影している。撮影に使用しているカメラ機材は、CCDを搭載したデジタルカメラで、日本電気硝子製の商品名ネオセラム窓材を積層した間隙を循環水冷水によって冷却することによって耐熱性を確保した構成である。
このような機材を使用して撮影することによって得られた画像は、ブレードサーバに保管される前にアフィン変換処理を行い、撮影によって得られた原画である斜視像を直交座標系の平面画像へと変換し、JPEG画像にデジタル圧縮している。こうした変換処理によって得られた画像の概念図を図3として示す。ここでは、図2の画像を直交座標系へと変換しただけの画像であるため、ガラス原料未溶解領域12と泡層の領域13の界面、泡層の領域13と熔融ガラス面領域14の界面はいずれも明瞭とは言えない状態である。そこで、この画像をさらに明瞭に比較が行える表示に変換する必要性がある。例えば特定輝度を閾値として二値化処理を複数回繰り返し、その2値化画像の輪郭線を等高線表示するのも、画像情報を明瞭なものとする方法の一つである。このようにして10分毎に保管された画像情報の内で最も成形されたガラス物品の成形品位が良好であった図3の画像と、例えばガラス物品中の泡数が増加して泡品位が悪い状況である場合の画像である図4とを比較しようとする場合に、それぞれの画像を輝度の高低に従って等高線表示画像として表すことができるようになる。例えば泡品位が良好な時の図3は図5に、ガラス物品中の泡品位が不良である時の図4は図6のような画像で表示されることとなる。
図5と図6では、図3や図4よりもガラス原料未溶解領域12と泡層の領域13の界面や泡層の領域13と熔融ガラス面領域14の界面が明瞭に認められる。またこれらの領域に加えてガラス原料の未溶解と泡とが共存する領域15についても認められる。図5と図6とを比較すると、まず図6のガラス原料未溶解領域12の面積が大きくなっていることが目視であっても判明し、この事実から溶解槽内の熔融ガラス表面温度が低温化していることが判る。また図5ではガラス原料未溶解領域12が溶解槽の川上中央から川下中央への幾何学的な直線に対して、ほぼ左右同程度の広がりを見せているが、それに対して図6では左側に偏在する傾向が認められる。
さらにここで得られた知見に加えて、この溶解槽の流れ状態をシミュレートするために相似条件が成立する粘性に合わせた熔融ガラス相当の粘調液体として蜂蜜を使用し、モデル実験により流れの状況を確認したが、同じような現象は確認できなかった。そこでなぜ偏りが生じるのかという点を明瞭にするため、10分毎にタイムキーにより保存された複数の画像の変化の状況に関してデータマイニング処理を施して、多数の画像についての色調に応じた階層表示を行って、変化の明瞭なものを捉えていき、さらに時系列でその変動を捉え、詳細にチェックしていくことによって、図4や図6のような状態は時間とともに反復的に繰り返される傾向があり、さらにガラス原料に関しての調査から、投入される原料バッチ中のカレット含有量が時間と共に変動しており、その変動の間隔と近い変動周期であることが判明した。ただし、原因はそれだけではなく、さらに調査を進めるとこのガラス熔融炉の左側のバーナー位置が右側と若干ずれているにも関わらず、同程度の燃焼条件を採用していたために、熔融初期には大きな差が認められず、徐々に流れに変化が生じ、左側の流れが速くなる傾向が認められ、その結果左側のガラス原料未溶解領域12が膨らんだ様相を呈することが判明した。よってこの2つの原因が関与して図4や図6のような現象が生じたものと判断できた。そこで、原料中の偏析の解消と溶解槽に配設された左側のバーナーの燃焼条件を右側よりも強くして温度を上昇させることにより、左右の不均衡を解消する対応が採られ、その結果ガラス中に混入する泡数を減少させることが可能となった。
このようなガラス物品の製造方法により得られた液晶表示装置に搭載される板ガラスは、砒素の含有量が不純物として含有されるレベルで、化学分析すると0.001ppm(=1×10-6%)オーダーであって実質的に砒素フリーの組成であった。このガラスについて、ガラス原料の溶融不足に起因するCO2含有量の50%以上の組成を有するガス成分を有する気泡の発生率は、熟練作業者が実体顕微鏡により数量を計測した場合であっても、製造された液晶表示装置搭載用の無アルカリ材質の板ガラスの質量1ton当たりで100個未満の数となる優れた品位を有するものとなる。ここで泡中のガス成分の分析は質量分析装置などを使用することで計測したものである。
以上のように、本発明のガラス熔融面監視システムを備えた状況でガラス物品を製造する本発明のガラス物品の製造方法では、通常の目視観察だけでは明瞭に把握することが困難な情報を明確なものとし、撮影されただけで有効に活用されることのなかった数多くの画像情報やそれに付随する製造管理情報などの膨大な情報を的確に処理することによって安定したガラス物品の製造を可能とするものである。
本発明のガラス物品の製造方法のフロー図。 本発明のガラス物品の製造方法を適用されたガラス熔融炉の溶解槽内の熔融ガラス表面状態。 図2の画像の熔融ガラス表面状態のみを直交座標系へと変換した後の画像。 図3と同様の処理を施した泡品位の良好でない状況の画像。 図3の画像を二値化処理して輝度による等高線表示を行った後の画像。 図4の画像を二値化処理して輝度による等高線表示を行った後の画像。
符号の説明
10 ガラス熔融炉の溶解槽内の熔融ガラス表面
10a、10b ガラス熔融炉の溶解槽内の熔融ガラス表面を直交座標系に変換処理した画像
11 炉壁
12 ガラス原料未溶解領域
13 ガス発生領域(泡層の領域)
14 熔融ガラス面領域(ミラー面領域)
15 未溶解ガラス原料と泡とが混在する領域
20 溶解槽の川上側
30 溶解槽の川下側

Claims (8)

  1. ガラス熔融炉内のガラス熔融面の映像記録に基づいてガラス操炉条件を変更しつつガラス物品を製造するガラス物品の製造方法であって、
    10秒から36×102秒の範囲内の間隔で前記ガラス熔融面の画像を撮影することによりガラス熔融面画像情報を得る画像撮影工程と、該画像撮影工程により得られたガラス熔融面画像情報と、該ガラス熔融面画像情報の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報にタイムキーを付与してこれら3種類の情報を時系列データとして保存する情報記録工程と、保存した時系列データから前記タイムキーにより複数のガラス熔融面画像情報を抽出して各撮影時刻のガラス熔融面画像を比較する抽出比較工程と、抽出した各ガラス熔融面画像の撮影時刻に対応するガラス熔融炉操炉情報及びガラス物品検査情報を前記タイムキーにより呼び出して3種類の各情報間の相関関係を解析する解析工程と、該解析工程の解析結果に基づいてガラス熔融炉操炉条件の変更操作を行う操炉条件変更工程とを有することを特徴とするガラス物品の製造方法。
  2. ガラス熔融面画像情報が、デジタル圧縮化されたものであることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. ガラス熔融炉操炉情報が、少なくとも単位時間当たりの燃料消費量、ガラス流量及び温度計測値を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記戴のガラス物品の製造方法。
  4. ガラス物品検査情報が、泡数計測値、異物数計測値、及び脈理強度計測値の何れか一以上を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のガラス物品の製造方法。
  5. 抽出比較工程における抽出した各撮影時刻のガラス熔融画面像の比較が、ガラス熔融炉内のガラス原料と熔融ガラス面との界面位置の比較、及び/又は泡層面と熔融ガラス面との界面位置の比較によるものであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のガラス物品の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5の何れかに記載のガラス物品の製造方法によって熱間成形法により製造されてなることを特徴とするガラス物品。
  7. ガラス組成中に実質的に砒素を含有しないことを特徴とする請求項6に記載のガラス物品。
  8. ガラス熔融炉内のガラス熔融面を10秒から36×102秒の範囲内の間隔で撮影する撮影手段と、撮影された該ガラス熔融面の画像にアフィン変換処理を行う画像変換手段と、アフィン変換処理された画像データの色調値にデータマイニングを施すことによってガラス熔融面の画像データを可視化する画像変更手段とを有することを特徴とするガラス熔融面監視システム。
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