以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明のガラス溶融炉内監視システムが適用されるガラス溶融炉の例について説明する。図1は、そのようなガラス溶融炉の例を示す平面図である。ガラス溶融炉1は、底面、上流壁(上流側の壁)7、側壁6、下流壁(下流側の壁)8および天井(図示略)に囲まれた空間内で、熱によってガラス原料を溶解させる。上流壁7には、原料を投入する投入口3a,3bが設けられ、下流壁8には、溶解させたガラス原料を排出する排出口4が設けられている。また、側壁6には、それぞれ、観察窓2とバーナー5が設けられている。図1では、投入口3a,3bが設けられている場合を示したが、投入口の数は2つに限定されない。
投入口3a,3bからは、固体状態のガラス原料が投入される。ガラス溶融炉内がバーナー5から吹き出された炎で加熱されるため、この原料は徐々に溶解していき、溶解した原料は、徐々に下流側に移動して排出口4から排出される。ガラス溶融炉1内で固体状態で積もっている原料がバッチ山10である。バッチ山10は、時間経過とともに下流側に移動しつつ溶解していく。
本発明のガラス溶融炉内監視システムは、カメラ11a,11bを備え、ガラス溶融炉内における液面の一定領域9a,9bを監視する。図1では、2つの一定領域9a,9bによって、炉内の液面のうち各カメラの正面方向における側壁間の領域がカバーされるように、2つの一定領域9a,9bを定めた場合を例示している。カメラ11aは、上流側から見て右側の一定領域9a(以下、単に一定領域9aと記す。)を撮影し、カメラ11bは、上流側から見て左側の一定領域9b(以下、単に一定領域9bと記す。)を撮影する。本発明では、ガラス溶融炉内監視システムが2台のカメラ11a,11bを備える場合を例に説明するが、ガラス溶融炉内監視システムが備えるカメラの台数は2台に限定されない。
なお、一定領域9a,9bは、投入口3a,3b付近から離して定める。投入口3a,3bの直近の領域を一定領域として撮影した場合、撮影画像内で一定領域に該当する部分が全てバッチ山となり、背景となる泡が写らない可能性が高く、その場合、バッチ山に関するデータを算出できないためである。
[実施形態1]
図2は、本発明の第1の実施形態のガラス溶融炉内監視システムの構成例を示すブロック図である。第1の実施形態のガラス溶融炉内監視システムは、カメラ11aと、カメラ11bと、画像処理装置13とを備える。ガラス溶融炉内監視システムは、カメラ11a,11bが撮影した画像に対してそれぞれ同様の処理を行う。そのため、以下、カメラ11aに関して説明し、カメラ11bに関する説明は、適宜省略する。
カメラ11aは、ガラス溶融炉の観察窓2(図1参照)を介して、液面の一定領域9aの画像を繰り返し撮影する。この画像は静止画像である。同様に、カメラ11bも、ガラス溶融炉の観察窓2(図1参照)を介して、液面の一定領域9bの静止画像を繰り返し撮影する。カメラ11a,11bの撮影間隔は、予め定めておけばよい。
なお、カメラ11aの撮影範囲(視野の範囲)には、一定領域9aだけでなく、一定領域9a近辺の液面や、カメラ11aに対向する側壁も収められる。従って、カメラ11aの撮影画像には、一定領域9aおよびその近傍の液面や、対向する側壁も写っている。カメラ11bに関しても同様である。
カメラ11a,11bで撮影された画像は、画像処理装置13に入力される。
画像処理装置13は、カメラ11aで撮影された画像に対して画像処理を行い、一定領域9aにおけるバッチ山に関する種々のデータ(例えば、配置や動きに関するデータ)を算出する。同様に、画像処理装置13は、カメラ11bで撮影された画像に対して画像処理を行い、一定領域9bにおけるバッチ山に関する種々のデータを算出する。カメラ11a,11bが撮影した画像に基づいて算出されたバッチ山のデータを以下、観察データと記す。
画像処理装置13は、前処理手段19と、画像記憶手段12と、姿勢特定手段14と、背景画像作成手段15と、画像較正手段16と、差分演算手段17と、観察データ算出手段18とを備える。
前処理手段19は、カメラ11aが撮影した画像に基づいて、原料粉やフレーム(バーナー5から吹き出された炎)が写っていない状態の画像を生成する。ガラス溶融炉内に浮遊する原料粉やフレームが画像に写ると、バッチ山の画像が不鮮明になる。前処理手段19は、カメラ11aが撮影した複数の画像を用いて、原料粉やフレーム等の外乱の影響を受けずにバッチ山が鮮明に写った状態の画像を生成する。前処理手段19は、カメラ11bが撮影した画像に関しても同様の処理を行う。このように、原料粉やフレームの影響を除去した画像を生成することを前処理と記す。また、前処理手段19がカメラによって撮影された複数の画像から生成した画像を、以下、前処理画像と記す場合がある。ただし、前処理画像は、原料粉やフレームの影響を除去してバッチ山をより鮮明にしたという点を除けば、各カメラが撮影した画像と同様であり、前処理画像を、単に撮影画像と記す場合もある。すなわち、カメラが撮影した画像そのものと同様に撮影画像と称する場合がある。前処理手段19は、カメラ11aに基づいて得られた前処理画像、および、カメラ11bに基づいて得られた前処理画像を、それぞれ、画像記憶手段12に記憶させる。
なお、ガラス溶融炉によっては、前処理が全く必要なかったり、あるいは、一部必要なかったりする場合もある。例えば、フレームの影響が少なかったり、浮遊する原料粉が少なかったりするガラス溶融炉では、前処理を行わなくてもよい。その場合、画像処理装置13は、各カメラ11a,11bから入力された画像をそのまま画像記憶手段12に記憶させればよい。
画像記憶手段12は、画像を記憶する記憶装置である。前述のように、前処理手段19が各カメラ11a,11bから入力された画像に対して前処理を行った場合には、その前処理によって得られた前処理画像を記憶する。また、前処理を行わない場合には、各カメラ11a,11bから入力された画像をそのまま記憶する。
以下、前処理手段19が前処理を行い、画像記憶手段12が前処理画像を記憶する場合を例にして説明する。
姿勢特定手段14は、カメラ11aによる撮影画像(本例では前処理画像)から、カメラ11aの姿勢を特定する。ここで、姿勢とは、カメラの位置および向きを意味する。姿勢特定手段14は、カメラ11bに関しても同様の処理を行う。
図3は、カメラ11aによる撮影画像(本例では、カメラ11aが撮影した画像に基づいて生成された前処理画像)の例を示す説明図である。この撮影画像は、一定領域9a方向を写した画像である。カメラ11aによる撮影画像には、バッチ山10における液面25より上の部分の他に、対向する側壁6や観察窓2の一部も写っている。側壁6や観察窓2の画像は、カメラの向きおよび位置(カメラの姿勢)を特定するために利用される。すなわち、側壁6を形成するレンガ同士の境界線(溝)、その境界線同士の交差部、および観察窓2の角部(コーナー部)は、撮影画像内において特徴的なパターンとして現れる。以下、このような特徴的なパターンを基準パターンと記す。基準パターンは、撮影したときに同一画像中に似たパターンが存在しないパターンである必要がある。例えば、窓等のコーナーの形状、線や点等の組み合わせが特徴的なパターンとなるのであれば、そのような組み合わせを基準パターンにしてもよい。また、後述するように、姿勢特定手段14が、基準パターンの画像として記憶する画像を逐次更新してもよい。カメラの姿勢が変化しなければ、基準パターンは、撮影画像内におけるほぼ一定の位置(座標)に現れる。一方、清掃時等にカメラの姿勢が変化すると、撮影画像内における基準パターンの位置も変化する。姿勢特定手段14は、カメラ11aによる撮影画像における基準パターンの位置に基づいて、カメラ11aの姿勢のずれの有無を判定する。すなわち、基準パターンは、カメラの姿勢のずれが生じたか否かを判定するために用いられる。なお、画像内における位置を表す座標を、以下、画像座標と記す。
また、カメラの姿勢ずれ判定の信頼性を増す観点から、画像内に基準パターンが複数個存在していることが好ましい。
姿勢特定手段14は、基準パターンの画像および撮影画像内における基準パターンの画像座標を記憶する。基準パターンの画像座標は、例えば、基準パターンの中心位置の画像座標であってもよい。姿勢特定手段14は、例えば、観察窓2のコーナー部の点21aおよびその周辺の画像を基準パターンの画像として記憶するとともに、その位置の画像座標を記憶する。この場合の基準パターンの画像の例、および基準パターンを用いたマッチングの例を、図4に示す。図4(a)は、基準パターンの画像の例を示す。図4(b)は、基準パターンとのマッチングを行う撮影画像の例を示す。図4(b)では、図3と同様の撮影画像を例示している。図4(b)において、図3に示す要素と同一の要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。また、図4(a)では、基準パターンを分かりやすくするため、撮影画像と比較して大きく図示している。姿勢特定手段14は、撮影画像と、記憶している各基準パターンの画像との間でパターンマッチングを行い、記憶している各基準パターンの画像に該当する撮影画像内の部分の画像座標を特定する。姿勢特定手段14は、その画像座標と、記憶している画像座標とを比較して、カメラ11aの姿勢にずれが生じたか否かを判定する。なお、パターンマッチングでは、類似する程度の指標値となる類似度を計算する。
例えば、姿勢特定手段14は、図4(a)に例示する基準パターンの画像と、図4(b)に示す撮影画像との間でパターンマッチングを行い、撮影画像内の部分81(図4(b)参照)を特定し、その部分81の画像座標(例えば、撮影画像内の部分81の中心座標)を特定する。そして、姿勢特定手段14は、その座標と、予め記憶している画像座標とを比較して、カメラ11aの姿勢にずれが生じたか否かを判定すればよい。
また、カメラの姿勢推定に用いる特徴的な点を基準点と記す。基準点群の中に、基準パターン内の点(例えば、観察窓2のコーナー部の点21a)が含まれていてもよい。図3では、点21a〜21eを基準点とする場合を例示している。姿勢特定手段14は、基準点に関する情報として、基準点の画像座標と、実空間における基準点の3次元座標とを記憶する。姿勢特定手段14は、「基準パターンの画像およびその画像座標」と「基準点の画像座標および3次元座標」を記憶しているので、画像上における基準パターンと基準点の相対的な位置関係を判断できる。
カメラ11aが基準パターンおよび一定領域9aを含む画像を撮影し、カメラ11bが基準パターンおよび一定領域9bを含む画像を撮影する処理は、画像撮影ステップに相当する。
図5は、姿勢特定手段14が行う姿勢推定動作の例を示すフローチャートである。姿勢特定手段14は、前述のように撮影画像内における基準パターンの画像座標と、記憶している画像座標とを比較し、カメラ11aの姿勢にずれが生じたと判定した場合、それらの画像座標を用いて、姿勢のずれ量を計算する(ステップS51)。すなわち、姿勢特定手段14は、基準パターンが撮影画像内でどれだけずれたかを計算する。
そして、姿勢特定手段14は、撮影画像内における基準パターンのずれた量を、記憶している基準点の画像座標に反映する(ステップS52)。すなわち、姿勢特定手段14は、カメラ11aの姿勢にずれが生じたことによって撮影画像内での基準パターンの画像座標がずれた分だけ、各基準点の画像座標をずらす(基準点の画像座標の値を変化させる)。
そして、姿勢特定手段14は、その基準点の画像座標と、実空間における基準点の3次元座標とを用いて、カメラキャリブレーション処理を行い、カメラ11aの姿勢を推定する。具体的には、姿勢特定手段14は、カメラ11aの各種姿勢における個々の基準点の画像座標を、実空間における各基準点の3次元座標から算出する(ステップS53)。そして、姿勢特定手段14は、各基準点の3次元座標から算出した画像座標が、上記のように基準パターンの画像座標のずれに合わせてずらした基準点の画像座標に最も近い座標となるときの姿勢を、カメラ11aの姿勢であると判定する(ステップS54)。
ここでは、カメラ11aを例にして説明したが、姿勢特定手段14は、カメラ11bに関する姿勢のずれの有無の判定や姿勢推定も同様に行う。
画像較正手段16は、姿勢特定手段14が特定したカメラ11aの姿勢に応じて、撮影画像内(本例では、前処理画像内)において一定領域9aに該当する範囲を特定する。図6は、カメラ11aによる撮影画像のうち、溶解した原料の液面25に該当する範囲を抜き出した模式図である。なお、図6の右側および左側はそれぞれガラス溶融炉の上流および下流である。この液面25の画像のうち、太い実線で囲んだ範囲31aが、実空間における一定領域9aに該当する。画像較正手段16は、カメラ11aの姿勢に応じて、一定領域9aに該当する範囲31aを特定し、抽出する。
ただし、ガラス溶融炉内での液面の高さは一定であるとする。この高さにおける一定領域9aの範囲は予め定められている。すなわち、一定領域9aの範囲(位置)は、実空間内における一定の高さの面内における領域の位置として予め規定されている。従って、カメラ11aの姿勢が特定されると、そのカメラ11aによる撮影画像内における一定領域9aに該当する範囲も定めることができる。すなわち、画像較正手段16は、実空間において一定の高さにおける一定領域9aを、姿勢が既知となったカメラ11aの撮影画像に射影したときの画像内における範囲31aを特定すればよい。
なお、ガラス溶融炉内での液面の高さが一定であるとした場合、撮影画像における一画素分のずれが、実空間において何mmずれているかを調査することにより、撮影画像における画素分解能(mm/pixel)を把握することができる。
また、画像較正手段16は、画像内で一定領域9aに該当する範囲31aを特定する処理の他に、その範囲31aの画像を、一定領域9aを真上(換言すれば、液面に対向する上方)から観察したときの画像に変換する処理も行う。すなわち、図6に例示する画像は、カメラ11aの視点(液面に対して傾斜方向)で一定領域9aを観察した場合の画像であるが、画像内の範囲31aに関して、視点を一定領域9aの真上に変化させた場合の画像に変換する。この変換結果の例を図7に例示する。このように、画像較正手段16は、画像内で一定領域9aに該当する範囲31aに関して、視点を一定領域9aの真上に変化させる視点変換処理を行い、その視点から観察される画像を生成すればよい。
なお、画像較正手段16が、一定領域9aを真上から観察したときの画像に変換する対象となるのは、カメラ11aによる撮影画像から抽出された範囲31aに限らない。例えば、画像処理(例えば、後述の背景画像作成処理)によって得られた画像に対しても、画像較正手段16は同様の変換を行う。
画像較正手段16は、カメラ11bによる撮影画像(本例では、前処理画像)に関しても同様の処理を行う。
背景画像作成手段15は、前処理手段19によって順次生成される複数の前処理画像から画像較正手段16によって抽出された範囲31a(一定領域9aに該当する範囲31a)の画像を用いて、バッチ山が存在しない場合の液面の画像を作成する(背景画像作成処理)。この範囲31aは一定領域9aに該当する画像であるので、泡を背景としてバッチ山を写した画像となる。また、バッチ山の移動速度や溶解速度は緩やかであるので、範囲31aには、常に(あるいは、高い頻度で)バッチ山が写っている。そのため、一定領域9aに該当する範囲31aとして、泡(背景)だけが写った状態の画像を直接撮影することは困難である。そこで、背景画像作成手段15は、複数の画像から抽出された範囲31aを用いて、バッチ山が存在しない背景画像を作成する。
液面においてバッチ山が存在しない箇所には泡が存在する。また、バッチ山は、徐々に下流方向に移動しなから溶解していく。従って、ある画像から抽出された範囲31aにおいてバッチ山に該当した画素も、別の画像から抽出された範囲31aでは泡を表すことになる。背景画像作成手段15は、複数の画像から抽出された、一定領域9aに該当する範囲31aにおける対応する画素の組毎に(換言すれば、一定領域9a内の同じ位置に該当する画素の組毎に)、泡に該当する輝度を特定することによって、バッチ山が存在せずにバッチ山の背景のみを表した画像を作成する。なお、ここでは、複数の画像から抽出された範囲31aにおける対応画素の組毎に処理を行う場合を例にしたが、複数の画像から抽出された範囲31aにおける対応するエリア毎に、泡に該当する輝度を特定してもよい。エリアは、連続する画素が集まって形成する領域である。
背景画像作成手段15は、カメラ11bによる撮影画像(本例では、前処理画像)に関しても同様の処理を行う。
差分演算手段17は、2枚の画像間における対応する画素間の差分を計算する。具体的には、バッチ山を写した画像の各画素の輝度値から、背景画像における対応画素の輝度値を減算する。この減算処理によって、バッチ山を写した画像から背景部分が除去された画像が得られる。ただし、泡の輝度にも多少の変化はある。従って、バッチ山を写した画像内における泡に該当する画素の輝度から、背景画像における対応画素の輝度値を減算した結果が0になるとは限らない。そこで、差分演算手段17は、バッチ山を写した画像の各画素の輝度値から、背景画像における対応画素の輝度値を減算した後、画素毎の減算結果を“0”または“1”に二値化する処理を行うことが好ましい。この二値化処理では、差分演算手段17は、画素毎に、減算結果が所定値以上であれば、減算結果を“1”に切り上げ、減算結果がその所定値未満であれば、減算結果を“0”に切り下げればよい。この二値化処理を行うことで、バッチ山に該当する領域(輝度値が“1”の領域)と、背景に該当する領域(輝度値が“0”の領域)とを、より明確に区別することができる。
観察データ算出手段18は、背景部分が除去され、バッチ山に該当する部分が残された画像から、バッチ山の観察データを算出する。観察データの例として、例えば、バッチ山の先端位置、バッチ山の移動速度、バッチ山の溶解速度(バッチ山の減少率)、一定領域9a,9bそれぞれにおけるバッチ山の占有率等が挙げられる。また、これらの観察データに関して、一定領域9aにおける値と、一定領域9bにおける値との差を算出し、その差を観察データとしてもよい。
また、一定領域9aを側壁側の領域と、ガラス溶融炉の幅方向の中央側の領域とに二等分し、その二つ領域におけるバッチ山の占有率の比(以下、内外比と記す。)を観察データとして計算してもよい。同様に、一定領域9bに関しても、側壁側の領域と、ガラス溶融炉の内側の領域とに二等分し、その二つ領域におけるバッチ山の占有率の比(内外比)を観察データとして計算してもよい。
前処理手段19、姿勢特定手段14、背景画像作成手段15、画像較正手段16、差分演算手段17および観察データ算出手段18は、例えば、プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。この場合、例えば、コンピュータのプログラム記憶装置(図示略)に記憶されたプログラムをCPUが読み込み、CPUがそのプログラムに従って、前処理手段19、姿勢特定手段14、背景画像作成手段15、画像較正手段16、差分演算手段17および観察データ算出手段18として動作すればよい。
次に、動作について説明する。
まず、前処理手段19による前処理について説明する。カメラ11aは、定期的に一定領域9a方向を撮影し、その画像を順次、前処理手段19に入力する。前処理手段19は、一定の周期(例えば、数秒の周期)毎に、その周期内にカメラ11aから入力された複数の画像に基づいて、前処理画像を生成する。具体的には、前処理手段19は、1周期内で入力された個々の画像に関して、画像内のエッジの数をカウントする。なお、エッジとは、画像内に現れる線である。画像内におけるエッジの数のカウント対象とする領域を、例えば、壁面に相当する領域および一定領域9aに相当する領域に限定してもよい。前処理手段19による処理周期は短く、その周期内でカメラ11aから入力される各画像において、写っているバッチ山の数の多さが変化しない場合が多い。また、画像に写るバッチ山の多さが変化しないということは、フレームや原料粉の影響がなければ、エッジの数もある程度の多さを維持しているはずである。このことを利用して、前処理手段19は、1周期内でカメラ11aから入力された複数の画像の中から、エッジの数のカウント結果が多い状態を保っている連続する複数の画像を選択する。なお、画像内におけるエッジの数のカウント結果の多寡を判断する基準として、例えば、予め定められた閾値を用いてもよい。具体的には、前処理手段19は、カウント結果として得られたエッジ数が、エッジ数に関して予め定められた閾値以上であるという条件を満たしている場合に、画像内のエッジ数が多いと判定し、エッジ数が閾値以上である画像を選択すればよい。また、前処理手段19は、カウント結果として得られたエッジ数が閾値未満である場合に、画像内のエッジ数が少ないと判定し、エッジ数が閾値未満である画像を選択しない。あるいは、入力された各画像におけるエッジの数のカウント結果に応じて、エッジの数の多寡の判断基準を変動させてもよい。
また、上記の説明では、前処理手段19が連続する複数の画像を選択する場合を例にして説明したが、前処理手段19が選択する複数の画像は連続する画像でなくてもよい。
また、前処理手段19は、画像内の明暗のコントラストを表す量を算出し、そのコントラストを表す量に関して予め定められた条件を満たす画像を選択すればよい。前述のエッジ数は、画像内の明暗のコントラストを表す量の一例である。また、エッジ数が閾値以上であるという条件は、明暗のコントラストを表す量に関して予め定められた条件の一例である。前処理手段19がエッジ数に基づく画像選択方法以外の方法で画像を選択する例を以下に示す。例えば、前処理手段19は、カメラ11aから入力された画像毎に、画像の明暗のコントラストを表す量として輝度値の標準偏差を算出してもよい。このとき、前処理手段19は、画像全体に含まれる各画素の輝度値の標準偏差を算出してもよい。あるいは、画像内において、レンガ同士の境界線が写る領域を予め定めておき、前処理手段19は、画像内のその領域における輝度値の標準偏差を算出してもよい。また、画像を選択する条件の一例として、画像のコントラストを表す量がその前の画像のコントラストを表す量よりも一定値以上低下する事象の発生時からその一定時間経過後までの画像を除外し、除外されずに残った画像を選択するという条件が挙げられる。例えば、この条件を採用し、明暗のコントラストを表す量として輝度値の標準偏差を算出する場合、前処理手段19は、ある画像で、輝度値の標準偏差が前の画像の輝度値の標準偏差よりも一定値以上低下した場合、その時点から一定期間が経過するまでに生成された画像をその後の処理の対象から除外し、除外されずに残った画像を選択すればよい。そして、前処理手段19は、選択した複数の画像から前処理画像を生成する。なお、画像内の明暗のコントラストを表す量が一定値以上低下したということは、コントラストが急に低下したということであり、原料粉が舞い上がる等の現象が生じたとみなすことができる。
以下の説明では、前処理手段19が、画像内のエッジ数に基づいて画像を選択する場合を例にして説明する。
前処理手段19は、選択した複数の画像を用いて、前処理画像における個々の画素の輝度値を決定することにより、前処理画像を生成する。選択した複数の画像において、対応する画素(同じ画像座標の画素)に着目し、その画素の中で最小となる輝度値を特定する。そして、前処理手段19は、その輝度値を、前処理画像における対応画素の輝度値として定める。例えば、前処理手段19は、選択した各画像における画像座標(x1,y1)の輝度値を読み込み、画像座標(x1,y1)における輝度値のうちの最小値を特定する。そして、前処理手段19は、その最小となっている輝度値を、前処理画像の画像座標(x1,y1)における輝度値として定める。前処理手段19は、この処理を画素毎に行う。そして、前処理手段19は、生成した前処理画像を画像記憶手段12に記憶させる。前処理手段19は、この処理を一定周期で繰り返す。従って、カメラ11aが撮影した画像に基づいて生成された前処理画像が順次、画像記憶手段12に蓄積されていく。
なお、前処理において、カメラ11aから入力された複数の画像のうち、「エッジのカウント結果が多い状態を保っている連続する複数の画像」以外の画像については、無視してよい。
ここでは、カメラ11aが撮影した画像を用いる場合を例にして説明したが、カメラ11bも、定期的に一定領域9b方向を撮影し、その画像を順次、前処理手段19に入力する。前処理手段19は、カメラ11bが撮影した画像からも、同様に前処理画像を生成し、画像記憶手段12に記憶させていく。
エッジのカウント結果が多い状態を保っている連続する複数の画像は、フレームや原料粉があまり写っていない画像であるということができる。フレームや浮遊する原料粉が多く写った画像では、バッチ山や側壁が不鮮明になり、画像内のエッジ数が減少するからである。また、フレームが写っている場合、画像内でフレームに該当する箇所の輝度値は高い値となる。従って、上記のように、フレームや原料粉があまり写っていない画像を複数選択し、さらにそれらの画像における対応画素のうち、最小の輝度値を特定することで、フレームや原料粉が写っていない状態の画像における輝度値を選択することができる。そのような輝度値を有する画像として前処理画像を定めるので、カメラ11aが撮影した画像の一部に、炉内で浮遊する原料粉やフレームが写ったとしても、そのような原料粉やフレームを排除した前処理画像を生成することができる。すなわち、監視対象とするバッチ山が鮮明に写った画像を得ることができる。前処理手段19が前処理画像を生成する動作は、前処理ステップに相当する。
なお、既に説明したように、フレームの影響が少なかったり、浮遊する原料粉が少なかったりするガラス溶融炉では、上記のような前処理を行う必要はない。その場合には、画像処理装置13は、カメラ11a,11bが撮影した画像を、そのまま画像記憶手段12に記憶させればよい。
次に、姿勢特定手段14が、カメラの姿勢を判断する動作について説明する。ここでは、カメラ11aの姿勢を判断する場合を例にするが、カメラ11bの姿勢判断処理も同様である。図8は、カメラの姿勢判断処理の処理経過の例を示すフローチャートである。なお、本例では、姿勢特定手段14が複数の基準パターンの画像およびその画像座標を記憶している場合を例に説明する。
上述のように、前処理手段19は、一定の周期(例えば、数秒の周期)毎に、カメラ11aが撮影した画像から前処理画像を生成し、その画像を画像記憶手段12に記憶させる。
姿勢特定手段14は、画像記憶手段12に記憶された複数の撮影画像(本例では、カメラ11aが撮影した画像に基づいて生成された前処理画像)を読み込んで、カメラ11aの姿勢にずれが生じたか否かを判断する処理を定期的に行う。ただし、前処理手段19の処理周期が例えば数秒であるのに比べ、姿勢特定手段14の処理周期は、前処理手段19による処理周期よりも長い。例えば、姿勢特定手段14の処理周期は数時間としてもよい。
姿勢特定手段14は、処理開始タイミングになったと判断すると、画像記憶手段12に記憶された直近の所定枚数の撮影画像(カメラ11aが撮影した画像に基づいて生成された前処理画像)を読み込む。この所定枚数は予め定めておけばよい。姿勢特定手段14は、読み込んだ直近の所定枚数の撮影画像(前処理画像)の平均画像を生成する(ステップS1)。具体的には、姿勢特定手段14は、読み込んだ所定枚数の撮影画像に関して、対応する画素毎に輝度値の平均値を計算し、その平均値を輝度値とする画像を生成し、その画像を平均画像とすればよい。本例では、平均画像を生成する場合を例示したが、対応する画素毎に輝度値の中間値を計算し、その中間値を輝度値とする画像(中間値画像)を生成してもよい。
また、本例では、ステップS1で複数の画像から平均画像を生成する場合を例示したが、画像記憶手段12に記憶された1枚の画像に対してステップS2以降の処理を行ってもよい。すなわち、ステップS1の処理を省略してもよい。
姿勢特定手段14は、ステップS1で生成した平均画像に対して、姿勢特定手段14が予め記憶している複数の基準パターンに関するパターンマッチングを行う(ステップS2)。本例では、画像同士が類似する程度が高いほど、計算される類似度の値が小さくなる場合を例にして説明する。ステップS2において、姿勢特定手段14は、予め記憶している基準パターンの画像と平均画像内の各部とで、類似度を計算する。そして、類似する程度が最も高い(本例では、類似度が最も小さい値となる)画像内の位置を特定する。例えば、図4に例示する基準パターンの画像およびその画像座標を予め記憶していたとすると、姿勢特定手段14は、平均画像内から、図4に例示する基準パターンの画像との類似度の値が閾値以下となっている箇所を特定し、さらにそれらの箇所の中から、類似度の値が最も小さい箇所を特定する。この箇所が、平均画像内において基準パターンに相当する部分である。さらに、姿勢特定手段14は、例えば、特定した箇所の中心画素の画像座標を特定する。すなわち、姿勢特定手段14は、図4に例示する基準パターンの画像に最も類似する箇所を平均画像から特定し、例えば、その中心画素の画像座標を特定する。姿勢特定手段14は、この処理を、予め記憶していた基準パターンの画像毎に行う。
類似度の計算は、公知の方法で行えばよい。例えば、類似度の例として、SSD(Sum of Squared Difference )やSAD(Sum of Absolute Difference)が挙げられる。SSDは、類似度算出対象となる一対の画像における対応する画素同士の輝度値の差の二乗の合計値である。従って、姿勢特定手段14は、類似度算出対象となる一対の画像における対応する画素同士の組毎に、輝度値の差の二乗を計算し、さらにその合計値を計算することで、SSDを算出すればよい。また、SADは、類似度算出対象となる一対の画像における対応する画素同士の輝度値の差の絶対値の合計値である。従って、姿勢特定手段14は、類似度算出対象となる一対の画像における対応する画素同士の組毎に、輝度値の差の絶対値を計算し、さらにその合計値を計算することで、SADを算出すればよい。また、類似度算出対象となる画像が二値画像である場合には、姿勢特定手段14は、類似度算出対象となる一対の画像における対応する画素同士の組毎に、XOR(eXclusive OR:排他的論理和)を計算し、さらにその合計値を計算して、その計算結果を類似度としてもよい。SSD、SAD、および画素同士の組毎のXORの合計値はいずれも、画像同士が類似する程度が高いほど値が小さくなる類似度である。
なお、本例では、画像同士が類似する程度が高いほど値が小さくなる類似度を用いる場合を例に説明しているが、他の類似度を用いてもよい。例えば、姿勢特定手段14は、類似度として、正規化相互相関(NCC:Normalized Cross-Correlation)を計算してもよい。正規化相互相関は、画像同士が類似する程度が高いほど値が1に近くなる。従って、姿勢特定手段14は、類似度として正規化相互相関を算出する場合には、その類似度(正規化相互相関)の値が1に最も近い箇所を特定すればよい。
次に、姿勢特定手段14は、基準パターン毎に、ステップS2で特定した、類似する程度が最も高い箇所(本例では、類似度の値が最も小さくなる箇所)の画像座標と、予め記憶していた基準パターンの画像座標との差(すなわち、距離)を計算し、その距離に基づいて、カメラ11aの姿勢にずれが生じたか否かを判定する(ステップS3)。姿勢特定手段14は、ステップS2で特定した画像座標と、予め記憶していた特徴座標との距離と、閾値とを比較し、座標間の距離が閾値以上であれば、カメラの姿勢にずれが生じたと判定し、座標間の距離が閾値未満であれば、カメラの姿勢にずれは生じていないと判定すればよい。なお、姿勢特定手段14は、予め複数の基準パターンを記憶しているので、基準パターン毎に座標間の距離(ステップS2で特定した画像座標と、予め記憶していた特徴座標との差)を計算する。この複数の距離と閾値とを比較して、カメラの姿勢にずれが生じているか否かを判定する基準は、特に限定されない。例えば、基準パターン毎に計算して得られた複数の座標間距離のうち、所定個以上が閾値以上になっていることを条件に、カメラの姿勢にずれが生じたと判定してもよい。あるいは、全ての座標間距離が閾値以上になっていることを条件に、カメラの姿勢にずれが生じたと判定してもよい。ここでは2つの基準を例示したが、他の基準に従ってカメラの姿勢にずれが生じたか否かを判定してもよい。
カメラの姿勢にずれが生じていると判定した場合(ステップS3におけるYes)、姿勢特定手段14は、予め記憶していた基準パターンの画像およびその画像座標の組における画像座標を、ステップS2で特定した画像座標に置換することにより、記憶しておく基準パターンの画像および画像座標の組における画像座標を更新する(ステップS4)。すなわち、姿勢特定手段14は、平均画像内で基準パターンに該当する箇所として特定した箇所の画像座標(上記の例では、その箇所の中心画素の画像座標)を、その基準パターンの画像と組になる画像座標として、記憶する画像座標を更新する。ステップS4の処理により、カメラの姿勢のずれに合わせて、平均画像内における基準パターンの座標(画像座標)が更新されることになる。ただし、姿勢特定手段14は、更新前の画像座標に関しても、ステップS5の処理で用いる。ステップS5で用いるまで、更新前の画像座標も記憶しておく。
ステップS4の後、姿勢特定手段14は、基準点を用いてカメラ11aの姿勢を推定する(ステップS5)。ステップS5において、姿勢特定手段14は以下の処理を行えばよい。姿勢特定手段14は、更新前の基準パターンの画像座標(予め記憶していた基準パターンの画像座標)と、更新後の基準パターンの画像座標とに基づいて、基準パターンが画像内でどれだけ、どの方向にずれたかを計算する。基準パターンが複数存在する場合には、例えば、基準パターン毎のずれ量の平均や、ずれの方向の平均を計算し、その平均値を基準パターンのずれ量、およびずれの方向とすればよい。あるいは他の基準で、更新前後における基準パターンのずれ量およびずれの方向を定めてもよい。姿勢特定手段14は、基準パターンのずれの方向、およびずれ量に合わせて、予め記憶している基準点の画像座標をずらす。すなわち、更新前後での基準パターンのずれに合わせて、基準点の画像座標の座標値を更新する。そして、姿勢特定手段14は、カメラ11aの各種姿勢における個々の基準点の画像座標を、実空間における各基準点の3次元座標から算出する。そして、姿勢特定手段14は、各基準点の3次元座標から算出した画像座標が、更新後の各基準点の画像座標に最も近くなる姿勢を特定し、その姿勢がカメラ11aの姿勢であると判定する。そして、指定推定処理(すなわち、ステップS5の処理)を終了する。
また、カメラの姿勢にずれが生じていないと判定した場合(ステップS3におけるNo)、姿勢特定手段14は、ステップS2で特定した、平均画像内における基準パターンに相当する箇所の画像で、予め記憶していた基準パターンの画像を更新する(ステップS6)。すなわち、ステップS2において、平均画像内で基準パターンに相当する箇所として特定した部分の画像を抽出し、その画像を新たな基準パターンの画像として記憶する。姿勢特定手段14は、この処理を基準パターン毎に行う。このステップS6の処理により、姿勢特定手段14が予め記憶していた基準パターンの画像およびその画像座標の組における基準パターンの画像が更新される。
ガラス溶融炉内における側壁の状態が徐々に変化し、画像内で基準パターンに相当する箇所と、姿勢特定手段14が記憶している基準パターンの画像との類似する程度が低下することがある。例えば、図4に示すように観察窓のコーナー付近のパターンを基準パターンとしている場合であっても、コーナー部分に原料粉が徐々に付着していくことにより、撮影画像内における基準パターン部分の画像は、直角なコーナーの画像から、丸みのあるコーナーの画像に徐々に変化することがある。記憶している基準パターンの画像を更新しないと仮定すると、この変化が大きくなり、新たな画像が撮影されたときに、その画像と、図4に例示する基準パターンの画像とのマッチングを行えなくなる。しかし、ステップS5において、平均画像におけるパターンマッチングの結果に基づいて、記憶しておく基準パターンの画像を更新することにより、次回のパターンマッチングを精度よく行うことができる。例えば、予め記憶していた図4に例示する基準パターンの画像を、コーナー部分に丸みのある基準パターンの画像に徐々に更新していくことができる。この結果、次回のパターンマッチングを精度よく行うことができ、カメラの姿勢判定も精度よく行うことができる。
姿勢特定手段14は、カメラ11aが撮影した画像に基づいて生成され、画像記憶手段12に記憶された前処理画像に関して、一定の周期毎に、ステップS1以降の処理を行えばよい。同様に、カメラ11bが撮影した画像に基づいて生成され、画像記憶手段12に記憶された前処理画像に関しても、一定の周期毎に、ステップS1以降の処理を行えばよい。
また、前処理が行われず、カメラ11a,11bが撮影した画像が、そのまま画像記憶手段12に記憶される場合であっても、姿勢特定手段14は、カメラ11aが撮影した画像に対して、一定の周期毎に、ステップS1以降の処理を行えばよい。そして、同様に、カメラ11bが撮影した画像に対して、一定の周期毎に、ステップS1以降の処理を行えばよい。
次に、真上から観察したときの一定領域におけるバッチ山の配置画像(図7参照)を作成し、観察データを算出する動作について説明する。図9は、この動作の処理経過の例を示すフローチャートである。ここでは、カメラ11aによる撮影画像(本例では、カメラ11aが撮影した画像に基づいて生成された前処理画像)に対して画像処理装置13が処理を行う場合を例にして説明するが、画像処理装置13は、カメラ11bによる撮影画像(本例では、カメラ11bが撮影した画像に基づいて生成された前処理画像)に対しても同様の処理を行う。
まず、画像較正手段16は、画像記憶手段12に記憶されているカメラ11aによる撮影画像(本例では、前処理画像)を新しい方から順に複数枚読み込む。このとき読み込む撮影画像の枚数は予め定めておけばよい。そして、画像較正手段16は、その各撮影画像から、実空間における一定領域9aに該当する範囲31a(図6参照)を抽出する(ステップS10)。抽出された範囲31aが示す画像(以下、抽出画像と記す。)は、泡を背景とするバッチ山の画像である。ここでは便宜的に、カメラ11aの姿勢が変化していなかった場合を例にして説明するが、カメラ11aの姿勢が変化した場合、画像較正手段16は、画像撮影時のカメラ11aの姿勢に基づいて、撮影画像から、実空間における一定領域9aに該当する範囲31aを抽出すればよい。
なお、前処理が行われず、カメラ11a,11bが撮影した画像が、それぞれ、そのまま画像記憶手段12に記憶された場合、画像較正手段16は、ステップS10において、カメラ11aが撮影してそのまま画像記憶手段12に記憶された撮影画像を、新しい方から順に複数枚読み込み、各撮影画像から抽出画像を抽出すればよい。また、カメラ11bが撮影してそのまま画像記憶手段12に記憶された撮影画像に関しても、同様である。他の点に関しては、前処理を行った場合でも、行っていない場合でも同様である。ステップS10は、領域抽出ステップに相当する。
次に、背景画像作成手段15は、複数枚の撮影画像からそれぞれ抽出された抽出画像に基づいて、バッチ山が存在しない場合の画像を作成する。すなわち、バッチ山の背景となる背景画像を作成する(ステップS11)。ステップS11では、最新の撮影画像から抽出された抽出画像と共通の画像座標の画素を有し、その画素の輝度値が泡を表す背景画像を作成する。ステップS11は、背景画像作成ステップに相当する。
図10は、ステップS11の背景画像作成処理の処理経過の例を示すフローチャートである。
背景画像作成処理において、背景画像作成手段15は、最新の撮影画像から抽出された抽出画像における個々の画素を選択し、選択した画素、およびその画素に対応する他の抽出画像内の画素の輝度値に基づいて、選択した画素において背景を表す輝度値を決定する。この結果、バッチ山が存在しない場合の背景画像を得る。以下、図10を参照してこの処理を説明する。なお、ここでは、画素毎に、背景を表す輝度値を決定する場合を例にして説明するが、背景画像作成手段15は、抽出画像における個々のエリア毎に、背景を表す輝度値を決定してもよい。
背景画像作成手段15は、最新の撮影画像から抽出された抽出画像の画素の中から1つの画素を選択する(ステップS21)。次に、背景画像作成手段15は、ステップS10(図9参照)で他の撮影画像から抽出された各抽出画像から、選択した画素に対応する画素(すなわち、一定領域9a内の同じ位置に該当する画素)を抽出する(ステップS22)。
次に、背景画像作成手段15は、ステップS21で選択した画素、およびその画素に対応する他の抽出画像内の画素(すなわち、ステップS22で得た画素)を対象にして、輝度値毎に、その輝度値に該当する画素数をカウントする(ステップS24)。ステップS24の処理は、ヒストグラム作成処理であるということができる。
続いて、背景画像作成手段15は、画素のカウント数(度数)が多くなっている輝度値の範囲内における輝度値のばらつきを評価する(ステップS25)。カウント数が多くなっている輝度値の範囲とは、例えば、カウント数が閾値(カウント数に対して定められた閾値)以上となる輝度値が連続して続く範囲である。図11および図12は、ステップS24の結果得られたヒストグラムである。図11に示す例では、画素のカウント数が多くなっている輝度値の範囲は、k1〜k2である。図12に示す例では、画素のカウント数が多くなっている輝度値の範囲は、k3〜k4である。ばらつきを評価する評価値として、例えば、このような範囲内でカウントされた画素の輝度値の標準偏差や分散を用いればよい。あるいは、画素のカウント数が多くなっている輝度値の範囲の幅を評価値として用いればよい。ステップS25では、このような評価値を算出すればよい。例示した標準偏差、分散、あるいは、画素のカウント数が多くなっている輝度値の範囲の幅等を評価値として算出する場合、評価値が小さいほど、輝度値のばらつきが小さいことになる。また、他の指標値を、ばらつきの評価値として用いてもよい。
ステップS25の後、背景画像作成手段15は、ステップS25で算出した評価値に基づいて、画素のカウント数が多くなっている輝度値の範囲内における輝度値のばらつきが大きいか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26では、予め定められた閾値(ばらつきの評価値に対する閾値)と評価値とを比較することによって、ばらつきが大きいか否かを判定すればよい。例えば、輝度値の標準偏差を評価値として計算した場合、評価値が閾値(評価値に対して定められた閾値)以上であれば、ばらつきが大きいと判定し、評価値が閾値未満であれば、ばらつきが小さいと判定すればよい。閾値の値は、評価値として採用する指標値(標準偏差、分散等)に応じて予め定めておけばよい。
輝度値のばらつきが小さいと判定した場合(ステップS26におけるNo)、背景画像作成手段15は、カウント値が多くなっている輝度値の範囲内における最頻輝度値を判定する(ステップS28)。図11は、輝度値のばらつきが小さい場合のヒストグラムの例である。図11を例にすると、カウント値が多くなっている輝度値の範囲は、k1〜k2であり、この範囲内での最頻輝度値(画素のカウント数が最大になっている輝度値)は、Sである。よって、背景画像作成手段15は、ステップS28において、Sの値を特定する。そして、そのSの値を、ステップS21で選択した座標の画素における輝度値として決定する。選択した座標において、輝度値のばらつきが小さいということは、その座標にはバッチ山は写らず、背景が写り続けたと言うことができる。よって、ばらつきが小さい場合には、上記のように最頻輝度値Sを、背景となる泡の輝度値として決定することができる。なお、上記のように最頻輝度値Sの代わりに、カウント値が多くなっている輝度値の範囲k1〜k2に該当する画素の輝度値の平均値を算出し、その平均値を、背景を表す輝度値として決定してもよい。あるいは、輝度値の範囲k1〜k2の中央値を、背景を表す輝度値として決定してもよい。
一方、輝度値のばらつきが大きいと判定した場合(ステップS26におけるYes)、背景画像作成手段15は、カウント値が多くなっている輝度値の範囲内における判別基準値よりも大きな輝度値に該当する各画素の輝度値の平均値を算出する(ステップS27)。図12は、輝度値のばらつきが大きい場合のヒストグラムの例である。図12を例にすると、カウント値が多くなっている輝度値の範囲は、k3〜k4である。また、判別基準値がTであるとする。このとき、背景画像作成手段15は、輝度値がTよりも大きく、k4までの範囲に該当する画素の輝度値の平均値を計算する。そして、背景画像作成手段15は、その平均値を、ステップS21で選択した座標の画素における輝度値として決定する。選択した座標において、輝度値のばらつきが大きいということは、その座標にバッチ山が写ったり、背景となる泡が写ったりしていると言うことができる。そして、泡の輝度値は、バッチ山の輝度値よりも大きい。よって、上記のように判別基準値よりも大きな範囲に該当する画素の輝度値の平均を、背景となる泡の輝度値として決定することができる。なお、上記のように平均値を算出する代わりに、カウント値が多くなっている輝度値の範囲内における判別基準値よりも大きな範囲(図12に示す例ではT〜k4の範囲)での最頻輝度値を判定し、その最頻輝度値を、選択した座標の画素における輝度値として決定してもよい。あるいは、T〜k4の範囲における中央値を、選択した座標の画素における輝度値として決定してもよい。
なお、判別基準値は、ばらつきの大きい範囲(本例では、輝度値の範囲)を2つに分離するための閾値であり、非特許文献3に記載された判別分析二値化法における閾値に該当する。従って、背景領域とバッチ山領域に関するクラス内分散とクラス間分散の分散比が最大となる閾値を判別基準値Tとすればよい。
ここでは、判別分析二値化法で輝度値の範囲k3〜k4を2つのクラスに分割する場合を示したが、他の方法で、輝度値の範囲k3〜k4を2つのクラスに分割してもよい。例えば、モード法や、2つの正規分布を当てはめる方法等で輝度値の範囲k3〜k4を2つのクラスに分割してもよい。そして、輝度値の高い方のクラスから、上記と同様に、選択した座標の画素における輝度値を決定すればよい。
背景画像作成手段15は、図10のフローチャートを用いて説明した上記の処理を、画素毎に行い、ステップS27またはステップS28で求めた輝度値を、ステップS21で選択した画素に対応する背景画像の画素の輝度値として決定する。この結果、最新の撮影画像から抽出された抽出画像において、バッチ山を除去した画像が得られる。また、この画像は、カメラ11aの視点で観察した場合の背景画像である。
また、背景画像作成手段15は、抽出画像を分割して得られる個々のエリア毎に、背景を表す輝度値を決定してもよい。この場合、ステップS21において、背景画像作成手段15は、最新の撮影画像から抽出された抽出画像から1つのエリアを選択する。エリアの定め方は特に限定されない。そして、背景画像作成手段15は、ステップS22では、他の撮影画像から抽出された各抽出画像から、選択したエリアに対応するエリア(一定領域9a内の同じ部分に該当するエリア)を抽出する。そして、ステップS24以降では、ステップS21で選択したエリア、およびそのエリアに対応するエリア(ステップS22で得たエリア)に属する各画素を対象にして、ヒストグラムを作成し、輝度値のばらつきの評価値を算出し、ばらつきが大きいか否かに応じて、輝度値を算出すればよい(ステップS24〜S28)。背景画像作成手段15は、この処理を、抽出画像を分割して得られる個々のエリア毎に行い、ステップS27またはステップS28で求めた輝度値を、ステップS21で選択したエリアに対応する背景画像のエリア内の各画素の輝度値として決定すればよい。
背景画像作成処理の後、ステップS12(図9参照)に移行する。ステップS12において、画像較正手段16は、背景画像作成処理(ステップS11)で得られた背景画像を、一定領域9aを真上から観察したときの画像に変換する(ステップS12)。すなわち、ステップS11で得られた背景画像に関して、視点をカメラ11aの位置から一定領域9aの真上に変化させる視点変換処理を行い、その視点から観察した場合の背景画像を作成する。この結果、一定領域9aにバッチ山が存在しない状態で、一定領域9aを真上から観察した場合の画像が得られる。ステップS12は、背景画像変換ステップに相当する。
次に、画像較正手段16は、ステップS10において、最新の撮影画像から抽出された抽出画像を、一定領域9aを真上から観察したときの画像に変換する(ステップS13)。すなわち、最新の撮影画像から抽出された抽出画像に関して、視点をカメラ11aの位置から一定領域9aの真上に変化させる視点変換処理を行い、その視点から観察した場合の画像に変換する。この変換後の画像には、バッチ山および背景が写っている。ステップS12,S13における変換処理は、同様の変換処理である。ステップS13は、抽出画像変換ステップに相当する。
なお、ステップS12,S13における変換後の画像の大きさが異なる場合、画像較正手段16は、ステップS12,S13における変換後の画像の大きさを揃えるように補正を行ってよい。
ステップS12,S13で得た変換後の画像をそのまま用いて、後述のステップS14以降の処理を実行してもよい。
あるいは、最新の撮影画像を検出する毎に、画像処理装置13は、ステップS10からステップS13までの処理を実行し、画像較正手段16は、ステップS12において得られる画像(一定領域9aを真上から観察したときの背景画像)と、ステップS13において得られる画像(一定領域9aを真上から観察したときの画像)をそれぞれ、複数枚記憶してもよい。そして、画像較正手段16は、ステップS12を実行する毎に得られる画像を、最新の所定枚数分選択し、選択した画像を合成し(例えば、平均画像を生成し)、同様に、ステップS13を実行する毎に得られる画像を、最新の所定枚数分選択し、選択した画像を合成してもよい。そして、ステップS12を実行する毎に得られる画像の合成画像(一定領域9aを真上から観察したときの背景画像)と、ステップS13を実行する毎に得られる画像の合成画像(一定領域9aを真上から観察したときの画像)とを用いて、後述のステップS14以降の処理を実行してもよい。
固体状態の原料の多くは液面よりも下に存在する。そのため、ステップS12,S13でそれぞれ1枚ずつ得た画像を用いて、次のステップS14以降の処理を行うよりも、ステップS12毎に得た複数枚の画像の合成画像と、ステップS13毎に得た複数枚の画像の合成画像とを用いて、次のステップS14以降の処理を行った方が、得られる観察データから、固体状態の原料の全体像を把握しやすい。従って、上記のように、ステップS12を実行する毎に得られる画像を複数枚合成し、同様に、ステップS13を実行する毎に得られる画像を複数枚合成し、それらの合成画像を用いて、ステップS14以降の処理を実行することが好ましい。
ステップS13を実行する毎に得られる複数枚の画像を合成する場合、画像較正手段16は、例えば、複数の画像において対応する各画素の輝度値の平均値を計算し、その平均値を合成画像における対応画素の輝度値とすればよい。この処理を画素毎に行い、合成画像の各輝度値を定めることにより合成画像を生成すればよい。また、対応する各画素の輝度値の平均値の代わりに、対応する各画素の輝度値に最小値を特定し、その輝度値の最小値を、合成画像における対応画素の輝度値としてもよい。
画像較正手段16は、ステップS12を実行する毎に得られる複数枚の画像を合成する場合にも同様の処理を行うことによって合成画像を生成すればよい。
また、観察データとしてバッチ山の移動速度を算出する場合には、上記のような合成画像を生成せずに、ステップS12,S13で得られた各画像を用いて、ステップS14以降の処理を行えばよい。また、バッチ山の移動速度を算出する場合には、カメラ11a,11bが撮影した画像そのものを用いて、ステップS10以降の処理を行う。
次に、差分演算手段17は、ステップS13の変換後の画像とステップS12の変換後の背景画像との間で、対応する画素同士の輝度値の差を算出する(ステップS14)。ここで、ステップS13の変換後の画像とは、ステップS13で得られた1枚の画像であっても、ステップS13の実行毎に得られた複数枚の画像の合成画像であってもよい。同様に、ステップS12の変換後の背景画像とは、ステップS12で得られた1枚の画像であっても、ステップS12の実行毎に得られた複数枚の画像の合成画像であってもよい。
ステップS14において、差分演算手段17は、ステップS13の変換後の画像(バッチ山および背景が写った画像)の画素の輝度値から、ステップS12の変換後の背景画像の画素の輝度値を減算する。差分演算手段17は、この減算処理を、対応する画素同士の組毎に行う。
図13は、ステップS13の変換後の画像の例を示す。この画像には、背景とバッチ山10とが写っている。図14は、ステップS12の変換後の背景画像の例を示す。図15は、この2つの画像に対してステップS14の処理を行った結果の画像の例を示す。既に説明したように、泡の輝度にも多少の変化はあるので、ステップS14の処理後において、背景に該当する画素の輝度値が0になるとは限らない。
ステップS14の後、差分演算手段17は、ステップS14で得た画像(図15参照)に対して、二値化処理を行う(ステップS15)。すなわち、差分演算手段17は、画像内の画素毎に、二値化処理用に予め定めた閾値以上の輝度値を“1”に置き換え、その閾値未満の輝度値を“0”置き換える処理を行う。背景に該当する画素の輝度値は、ステップS14の減算処理によって0近辺の値になっているので、二値化処理により“0”となる。また、バッチ山10に該当する画素の輝度値は、ステップS14の減算処理で値が大きく減少することはないので、二値化処理により“1”となる。この結果、背景に該当する画素の輝度値は“0”になり、バッチ山10に該当する画素の輝度値は“1”となる。二値化処理後の画像の例を図16に示す。二値化処理後の画像は、最新の撮影画像から抽出された抽出画像に基づいて作成された一定領域9aにおけるバッチ山の位置を表している。なお、この画像は、一定領域9aの真上の視点から観察した状態を示しており、バッチ山の高さの情報は含んでいない。差分演算手段17は、ステップS15で生成した画像(以下、二値化画像)を記憶する。ステップS14,S15は、背景除外画像生成ステップに相当する。
ステップS15の後、観察データ算出手段18は、ステップS15で生成された二値化画像を用いて、一定領域9a内に存在するバッチ山の観察データを算出する(ステップS16)。ただし、ステップS16では、直近に生成された二値化画像だけでなく、過去に遡って連続する二値化画像も用いて観察データを算出してもよい。また、ここでは、一定領域9aに関する二値化画像の生成について説明したが、画像処理装置13は、カメラ11bによる撮影画像に基づいて、一定領域9bに関する二値化画像も生成する。観察データ算出手段18は、一定領域9a,9bそれぞれの二値化画像に基づいて観察データを算出してもよい。ステップS16は、観察データ算出ステップに相当する。
以下、ステップS16で算出する観察データの例を示す。観察データの例として、一定領域9a,9bそれぞれの内外比が挙げられる。図17は、一定領域9a,9bを側壁6側の領域とガラス溶融炉の中央側の領域とに二等分した領域を示す説明図である。図1に示す要素と同様の要素については、図1と同一の符号を付し説明を省略する。領域51,52は、一定領域9aを側壁6側の領域と中央側の領域とに二等分した領域であり、領域51が側壁6側の領域であり、領域52が中央側の領域である。同様に、領域41,42は、一定領域9bを側壁6側の領域と中央側の領域とに二等分した領域であり、領域41が側壁6側の領域であり、領域42が中央側の領域である。観察データ算出手段18は、一定領域9aに関する内外比として、領域51内のバッチ山の占有率と、領域52内のバッチ山の占有率の比を表す評価値を計算すればよい。また、同様に、一定領域9bに関する内外比として、領域41内のバッチ山の占有率と、領域42内のバッチ山の占有率との比を表す評価値を計算すればよい。
例えば、側壁6側の領域(すなわち、領域51や領域41)におけるバッチ山の占有率をQとし、中央側の領域(すなわち、領域52や領域42)におけるバッチ山の占有率をRとした場合、観察データ算出手段18は、以下の式(1)で表される評価値を内外比として計算してもよい。ただし、Q,Rは百分率で表され、それぞれ0〜100の範囲の値である。
内外比=(R−Q)/(R+Q+α) 式(1)
式(1)においてαは定数であり、例えば、α=100としてもよい。この場合、内外比は、−0.5〜0.5の範囲の値となる。観察データ算出手段18は、一定領域9a,9bに関してそれぞれ、内外比を算出すればよい。
固体状態の原料が側壁6側に寄りすぎていると、原料が未溶解のままガラス溶融炉から流れ出ることがあり、その場合、ガラスの品質が低下する。内外比によって、固体状態の原料が側壁6側に寄りすぎていないかどうかを確認することができる。固体状態の原料が側壁6側に寄りすぎていると判断される場合は、バッチ山が中央に寄るように、ガラス溶融炉を操作すればよい。
また、観察データ算出手段18は、一定領域9a,9bそれぞれにおけるバッチ山の占有率を算出してもよい。
また、観察データ算出手段18は、一定領域9a,9bそれぞれにおけるバッチ山の先端位置(例えば、バッチ山の先端位置の座標)を算出してもよい。
また、バッチ山の状態や、フレームの広がり等が原因となり、二値化画像にバッチ山の先端位置が写っていない場合がある。この場合、観察データ算出手段18は、一定領域9aを溶解した原料の進行方向に垂直な方向に分割し、各分割領域におけるバッチ山の面積を算出する。そして、上流側の分割領域から下流側の分割領域方向へのバッチ山の面積の変化が線形変化であるものとして、バッチ山の面積が0になる位置を算出し、その位置をバッチ山の先端位置と判定してもよい。一定領域9bに関しても同様である。
バッチ山の先端位置が下流側に伸びすぎると、未溶解のまま流れ出る可能性が生じる。観察データ算出手段18が算出したバッチ山の先端位置が下流側に伸びすぎている場合には、バッチ山の先端位置が上流側に戻るようにガラス溶融炉を操作すればよい。
また、観察データ算出手段18は、上流側から見て右側の一定領域9aにおける観察データの値と、上流側から見て左側の一定領域9bにおける観察データの値との差を、観察データとして算出してもよい。例えば、観察データ算出手段18は、一定領域9aにおけるバッチ山の占有率と、一定領域9bにおけるバッチ山の占有率との差を算出してもよい。また、観察データ算出手段18は、一定領域9aにおけるバッチ山の先端位置と、一定領域9bにおけるバッチ山の先端位置との差を算出してもよい。以下、一定領域9a,9bにおける観察データの値の差を左右差と記す。この左右差も観察データの1つとして算出することで、上流側から見て右側と左側とで固体原料の状態に偏りがないかを確認することができる。例えば、上流側から見て右側と左側のいずれか一方のみで溶解が進み、他方では溶解が遅れている等の状況を確認することができ、その状況に応じて、ガラス溶融炉を操作するように判断できる。
例えば、ステップS16で算出された左右差により、一定領域9a,9bのいずれか一方における原料の溶解が遅れていると判断される場合は、原料の溶解が遅れている方の一定領域に近い側壁のバーナーへの燃料投入量を増加する(すなわち、バーナーの火力を強める)等の操作を行えばよい。
なお、上記の例では、バッチ山の占有率や先端位置に関する左右差を算出する場合を説明したが、観察データ算出手段18は、他の観察データに関する左右差を算出してもよい。
また、バッチ山の占有率、先端位置、およびそれらの左右差は、直近の1枚の二値化画像から算出してもよいが、直近の複数の二値化画像の合成画像から算出してもよい。なお、既に説明したように、固体状態の原料の全体像を把握する観点からは、ステップS12毎に得られる各画像を合成し、また、ステップS13毎に得られる各画像を合成し、それらの合成画像を用いて、ステップS14以降の処理を行って、二値化画像を生成することが好ましい。
また、観察データ算出手段18は、連続する複数の二値化画像における同一のバッチ山の位置と、カメラの撮影間隔に基づいて、バッチ山全体の移動速度を算出してもよい。バッチ山全体の移動は緩やかであるので、連続する複数の二値化画像において、同一のバッチ山の位置の変化は少ない。よって、観察データ算出手段18は、連続する複数の二値化画像において、位置座標が最も近いバッチ山同士が同一のバッチ山であると判定すればよい。そして、同一のバッチ山の座標の変化から、そのバッチ山の移動距離を算出し、その移動距離と撮影間隔からバッチ山全体の移動速度を算出すればよい。本例では、一つのバッチ山の移動速度を、バッチ山全体の移動速度とみなしていることになる。なお、観察データとしてバッチ山の速度を算出する場合には、カメラ11a,11bが撮影した画像そのものを用いて、ステップS10以降の処理を行う。さらに、ステップS12で得られた1枚の画像と、ステップS13で得られた1枚の画像を用いて、ステップS14以降の処理を行う。
また、観察データ算出手段18は、連続する複数の二値化画像における同一のバッチ山の位置に基づいて、バッチ山の移動方向を算出してもよい。
また、観察データ算出手段18は、連続する複数の二値化画像から、バッチ山の減少率を算出してもよい。例えば、観察データ算出手段18は、連続する各二値化画像で、同一のバッチ山を判定し、各二値化画像において、バッチ山の面積や長さの減少率を算出してもよい。なお、長さの減少率を算出する際、原料の流れる方向に沿った長さに基づいて減少率を算出してもよく、あるいは、原料の流れる方向に垂直な方向に沿った長さに基づいて減少率を算出してもよい。
なお、観察データ算出手段18は、バッチ山全体の移動速度、バッチ山の移動方向、バッチ山の減少率等を算出する際、連続する複数の二値化画像を用いることが好ましいが、連続していない複数の二値化画像を用いてもよい。
このバッチ山の減少率は、バッチ山の高さの減少率との間に相関を有していると考えられ、バッチ山の減少率によりバッチ山の高さを判断することができる。バッチ山が高すぎると、溶解するのに時間がかかり、先端位置が伸びてしまう。
さらに、観察データ算出手段18は、二値化画像から、個々のバッチ山の向き(バッチ山の伸びている方向)を算出してもよい。このような方向は、予め、基準となる方向を定めておき、その基準方向とのなす角度によって表せばよい。
また、観察データ算出手段18は、二値化画像から、個々のバッチ山の大きさを算出してもよい。
また、観察データ算出手段18は、二値化画像と、ステップS13で得られた画像とに基づいて、バッチ山におけるガスの吹き出し状態を評価する評価値を計算してもよい。バッチ山からガスが吹き出していると、画像内においてバッチ山の表面に陥没した穴が観察され粗く見える。よって、観察データ算出手段18は、ステップS13で得られた画像のうち、バッチ山に相当する領域を二値化画像を用いて判定し、その領域における輝度値の標準偏差を計算し、その標準偏差を、ガスの吹き出し状態の評価値としてもよい。
また、ガスの吹き出しによって陥没した部分は、黒い領域として観察される。よって、観察データ算出手段18は、ステップS13で得られた画像のうち、バッチ山に相当する領域を二値化画像を用いて判定し、その領域内における黒色画素の総数をカウントし、そのカウント結果を、ガスの吹き出し状態の評価値としてもよい。
非特許文献1や特許文献1では、バッチ山の占有率やバッチ山の先端位置(最下流位置)を評価することが記載されていたが、本発明では、それらに限らず、内外比、左右差、バッチ山の速度や移動方向、バッチ山の減少率、個々のバッチ山の向きや大きさ、バッチ山でのガスの吹き出し状態の評価値等の種々の観察データを測定することにより、バッチ山の定量的評価を安定的に行うことができる。また、その結果に基づいて、ガラス溶融炉を適切に運転することで高品質のガラスを製造することができる。
また、本発明によれば、姿勢特定手段14が、撮影画像(より具体的には撮影画像の平均画像)に対して、基準パターンのパターンマッチングを行い、撮影画像内における基準パターンの画像座標に基づいて、カメラの姿勢のずれの有無を判定し、ずれが生じたと判定した場合には、姿勢のずれ量を用いて、カメラの姿勢(位置および向き)を特定する。そして、画像較正手段16が、カメラの姿勢に基づいて、実空間における一定領域9a,9bに該当する範囲を撮影画像から抽出する。さらに、背景画像作成手段15が、その抽出画像から背景画像を作成し、画像較正手段16が、抽出画像および背景画像を、視点をカメラの位置から一定領域の真上に変化させる視点変換処理を行い、差分演算手段17が両者の輝度値の差分を計算する。従って、清掃時等にカメラの姿勢が変化してしまったとしても、ガラス溶融炉内の一定の領域の観察を良好に継続することができる。
また、前処理手段19は、前処理として、カメラから入力された複数の画像の中から、エッジのカウント結果が多い状態を保っている連続する複数の画像を選択する。そして、前処理手段19は、選択した複数の画像において、対応する画素に着目し、その画素の中で最小となる輝度値を特定し、その輝度値を、前処理画像における対応画素の輝度値として定める。前処理手段19は、この処理を対応画素毎に行う。カメラが撮影した画像によっては、炉内で浮遊する原料粉が写ったり、フレームが写ったりして、背景やバッチ山が不鮮明になる場合もあるが、上記のように前処理を行うことで、フレームや原料粉等の外乱の影響が少ない画像を作成することができる。そして、このような画像を用いて、ステップS10以降の処理(図9参照)を行うことで、外乱の影響のすくない良好な背景画像や、バッチ山のみを示す画像も良好な画像を得ることができ、一定領域におけるバッチ山の状態を正確に監視することができる。
よって、本実施形態によれば、ガラス溶融炉内の一定の領域の観察を継続し、その一定領域におけるバッチ山の状態を良好に監視することができる。なお、既に説明したように、原料粉やフレームの影響が少ないガラス溶融炉を監視する場合には、前処理を行わなくてもよい。その場合、カメラが炉内を撮影して生成した画像そのものを用いて、ステップS10以降の処理(図9参照)を行ってもよい。
また、本実施形態において、姿勢特定手段14が、撮影画像に対して、複数の基準パターンのパターンマッチングを行い、カメラの姿勢を特定する。このように、複数の基準パターンを用いるので、カメラの姿勢ずれ判定の信頼性が増す。
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。上記の第1の実施形態では、背景画像および最新の撮影画像から抽出された抽出画像に関して、それぞれ変換処理(ステップS12,S13。図9参照。)を行ってから、差分を計算する処理(ステップS14。図9参照。)を行う場合を示した。先に、画素同士の差分を計算する処理を行ってから、変換処理を行ってもよい。図18は、このような第1の実施形態の変形例におけるガラス溶融炉内監視システムの構成例を示すブロック図である。図18に示す各手段は、図2に示す各手段と同様の手段であり、図2と同一の符号で示す。ただし、本変形例では、各種画像の流れが、上記の第1の実施形態とは一部異なっているので、各種画像の流れを示す矢印が図2とは異なる。また、図19は、このような第1の実施形態の変形例における観察データ算出までの処理経過の例を示すフローチャートである。第1の実施形態で説明した処理と同様の処理に関しては図9と同一の符号を付し、説明を省略する。
本変形例では、ステップS10,S11の後、差分演算手段17が、最新の撮影画像から抽出された抽出画像と、ステップS11で作成された背景画像との間で、対応する画素同士の輝度値の差を算出する(ステップS31)。このとき、差分演算手段17は、最新の撮影画像から抽出された抽出画像(バッチ山および背景が写った画像)の画素の輝度値から、背景画像の画素の輝度値を減算する。差分演算手段17は、この減算処理を、対応する画素同士の組毎に行う。この結果、カメラの視点から見た一定領域の画像であって、背景が除去された画像が得られる。ただし、上記の減算結果において、背景に該当する画素の輝度値が0になっているとは限らない。
そのため、差分演算手段17は、ステップS31の後、ステップS31で得られた画像に対して二値化処理を行う(ステップS32)。この結果、カメラの視点から見た一定領域の画像であって、背景に該当する画素の輝度値が“0”であり、バッチ山10に該当する画素の輝度値が“1”となる二値化画像が得られる。ステップS31,S32は、背景除外画像生成ステップに相当する。
ステップS32の後、画像較正手段16は、ステップS32で生成された二値化画像に関して、視点をカメラの位置から一定領域の真上に変化させる視点変換処理を行う(ステップS33)。この結果、既に説明したステップS15(図9参照)で得た二値化画像と同様の二値化画像が得られる。ステップS33は、背景除外画像変換ステップに相当する。
ステップS32の後、観察データ算出手段18は、ステップS32における変換処理後の二値化画像を用いて、一定領域内に存在するバッチ山の観察データを算出する(ステップS16)。この処理は、既に説明したステップS16の処理と同様である。
[実施形態2]
図20は、本発明の第2の実施形態のガラス溶融炉内監視システムの構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素は、図2と同一の符号を付し、説明を省略する。第2の実施形態のガラス溶融炉内監視システムは、カメラ11aと、カメラ11bと、画像処理装置13aとを備える。画像処理装置13aは、前処理手段19、画像記憶手段12、姿勢特定手段14、背景画像作成手段15、画像較正手段16、差分演算手段17、および観察データ算出手段18に加え、観察データ解析手段61と、溶融炉制御手段62とを備える。また、画像処理装置13aは、図18に示すガラス溶融炉内監視システムの画像処理装置に観察データ解析手段61および溶融炉制御手段62を追加した構成であってもよい。
観察データ解析手段61は、観察データ算出手段18によって値が算出される種々の観察データと、ガラス溶融炉の種々の運転パラメータとの相関の程度を判定する。換言すれば、観察データ解析手段61は、ガラス溶融炉の種々の運転パラメータが、観察データ算出手段18によって値が算出される種々の観察データに及ぼす影響の度合を導出する。観察データの例として、一定領域9a,9bそれぞれにおけるバッチ山の占有率、バッチ山の先端位置、およびそれらの観察データの左右差、一定領域9a,9bにおける内外比、バッチ山の移動速度、バッチ山の減少率等が挙げられるが、観察データはこれらに限定されない。また、運転パラメータとして、バーナー燃料の燃焼条件(例えば、燃焼量等)、原料の投入条件(例えば、投入量等)、バッチ・カレット比等が挙げられるが、運転パラメータもこれらに限定されない。
観察データ解析手段61は、例えば、主成分分析および多変量解析(例えば、重回帰分析)によって、観察データと運転パラメータの相関の程度を判定する。例えば、観察データ解析手段61は、主成分分析を行い主成分を求め、その主成分を利用して多変量解析を行う。そして、観察データ解析手段61は、上記の過程で使用している係数を利用することで、各パラメータの影響度を導出する。パラメータの影響度とは、具体的には、運転パラメータが観察データに及ぼす影響の度合である。観察データ解析手段61がパラメータの影響度を導出する処理は、影響度導出ステップに相当する。
図21は、1つの観察データ(ここでは、観察データAとする。)に対する運転パラメータの影響度を計算した結果の例を示すグラフである。図21では、観察データAと、運転パラメータである投入条件A(原料の投入量とする)、投入条件B、燃焼パラメータA〜Dとの相関を示している。図21の縦軸は、各運転パラメータの影響度である。燃焼パラメータA〜Dは、各場所のバーナーにおける燃焼量である。運転パラメータの影響度の値が正であれば、観察データとの間に正の相関があり、運転パラメータの影響度の値が負であれば、観察データとの間に負の相関がある。また、影響度の値の絶対値が大きいほど、運転パラメータと観察データとの相関の度合いが強いことを表す。
例えば、図21に示す結果から、投入条件A(原料の投入量)を増加させれば、観察データAの値も増えることを意味する。また、燃焼パラメータAを増加させれば、観察データAの値は減少することを意味する。
溶融炉制御手段62は、観察データ算出手段18によって算出された観察データを参照し、その観察データが、ガラス溶融炉の運転状況を変更すべき値に達していたら、その観察データとの間に相関性を有する運転パラメータを変更する。ここで、観察データとの間に相関性を有する運転パラメータとは、例えば、観察データに対する影響度の絶対値が予め定められた値以上になっている運転パラメータである。例えば、観察データの値が上限値を越え、高くなりすぎている場合には、その観察データとの間に正の相関を有する運転パラメータの値を減少させたり、あるいは、その観察データとの間に負の相関を有する運転パラメータの値を増加させたりする。また、例えば、観察データの値が下限値未満となり、低くなりすぎている場合には、その観察データとの間に正の相関を有する運転パラメータの値を増加させたり、あるいは、その観察データとの間に負の相関を有する運転パラメータの値を減少させたりする。具体例としては、観察データであるバッチ山の占有率と、運転パラメータである炉内温度との間に負の相関があると判定され、バッチ山の占有率が上限値を超えた場合、溶融炉制御手段62は、炉内温度を上昇させるようにガラス溶融炉を操作すればよい。すなわち、バーナーの火力を上昇させればよい。このように溶融炉制御手段62が運転パラメータを変更する処理は、溶融炉制御ステップに相当する。
また、溶融炉制御手段62は、観察データの値が上限値を越えたり、下限値未満になったりしたときに警報を出力してもよい。
なお、ガラス溶融炉の運転パラメータの変更は、オペレータが行ってもよい。この場合、溶融炉制御手段62は備えられていなくてもよい。また、この場合、オペレータが、観察データ算出手段18によって算出された観察データと、観察データ解析手段61によって算出された観察データと運転パラメータとの間の影響度とを参照して、どの運転パラメータをどのように変更するかを判断すればよい。
本実施形態によれば、観察データ解析手段61が、観察データに対する運転パラメータの相関の程度を示す影響度を算出するので、監視したバッチ山の状態に応じて、ガラス溶融炉のどの運転パラメータを調節すればよいかを明確化することができる。
さらに、溶融炉制御手段62を設けることで、オペレータに依らずに、自動的にガラス溶融炉を適切な状態に制御することができる。
上記の説明では、観察データ解析手段61が観察データに対する運転パラメータの影響度を算出する場合を示した。その他に、原料の状態の品質を表す品質データ(例えば、泡個数等)が得られる場合には、観察データ解析手段61は、品質データに対する観察データや運転パラメータの相関の程度を表す影響度を算出してもよい。この影響度も、例えば、主成分分析および多変量解析によって行えばよい。なお、泡個数が多いほど、窯の状態が悪いことを意味する。
図22は、1つの品質データである泡個数に対する観察データA,Bおよび運転パラメータである温度A〜Dの影響度を計算した結果を示すグラフである。観察データA,Bは、撮影画像に基づいて生成した二値化画像により観察データ算出手段18が算出したデータである。温度A〜Dは、ガラス溶融炉の各場所の温度を計測することによって得られた値である。図22に示す例においても、影響度の値が正であれば、観察データや温度と品質データとの間には正の相関があり、影響度の値が負であれば、観察データや温度と品質データとの間には負の相関がある。また、影響度の値の絶対値が大きいほど、相関の度合いが大きいことを示す。
例えば、図22に示す結果から、観察データA,Bの値が大きいほど、泡個数が増えている(品質が悪くなっている)ことが分かる。また、温度Aの値が低いほど、泡個数が増えていることが分かる。
なお、ある条件のもとで、ある観察データと品質データとの間に相関があると判定されたとしても、別の条件の下では、他の観察データとその品質データとの間に相関があると判定されることもある。図23は、観察データと品質データとの相関が失われたり新たに現れたりする状況の変化を示すグラフである。図23に示す左側の縦軸は、観察データの値を示す。右側の縦軸は品質データ(ここでは泡個数)の値を示す。横軸は、時間の経過を表す。図23に示す例では、計測期間の途中までは、観察データAと品質データとの間に相関が認められたが、後半になると、その相関は失われた。また、計測期間の途中までは、観察データBと品質データとの間に相関はなかったが、後半になると、観察データBと品質データとの相関が認められた。
従って、観察データ解析手段61は、繰り返し、観察データと品質データとの間の影響度を算出することが好ましい。
なお、第2の実施形態では、観察データ解析手段61が算出した影響度に基づいて、観察データと相関を有する運転パラメータを判定し、観察データに応じてその運転パラメータを変更する場合を示した。オペレータが、二値化画像を参照して、どの運転パラメータを操作すべきかを判断できる場合、オペレータが二値化画像を参照をして、運転パラメータを増減させてもよい。例えば、二値化画像から、上流壁から見て右側のバッチ山の溶解が遅いと判断した場合、オペレータは、上流壁から見て右側のバーナーの火力を上昇させてもよい。
また、上記の各実施形態において、カメラ11aが一定領域9aを真上から撮影する位置に配置され、カメラ11bが一定領域9bを真上から撮影する位置に配置されていてもよい。この場合にも、特徴的な物(例えば、側壁、バーナー等)が撮影範囲に含まれ、基準パターンや基準点も撮影されるものとする。このように、カメラ11aが一定領域9aを真上から撮影する位置に配置され、カメラ11bが一定領域9bを真上から撮影する位置に配置される場合、視点を一定領域9aや一定領域9bの真上に変化させる視点変換処理を行わなくてよい。すなわち、ステップS12,S13(図9参照)の視点変換処理を行わなくてよい。また、実施形態の変形例として示した処理経過(図19参照)において、ステップS33の視点変換処理を行わなくてよい。
[実施形態3]
次に、本発明の第3の実施形態として、ガラス物品の製造方法について説明する。本発明のガラス物品の製造方法には、第1の実施形態で説明したガラス溶融炉内監視方法が適用される。さらに、本発明のガラス物品の製造方法に、第2の実施形態で説明した観察データと運転パラメータとの相関の程度の判定、および運転パラメータの変更処理を適用してもよい。図24は、本実施形態のガラス物品の製造方法で用いるガラス物品の製造ラインの一例を示す模式図である。なお、図24では、カメラ11a,11bおよび画像処理装置13の図示を省略しているが、ガラス溶融炉1の近傍にはカメラ11a,11bが配置される。また、画像処理装置13も配置される。ただし、画像処理装置13の配置位置は限定されない。また、第2の実施形態で説明した画像処理装置13aを配置してもよい。
ガラス物品の製造ラインには、ガラス溶融炉1と、清澄槽30とが設けられる。なお、清澄槽30の種類は限定されない。清澄槽30は、槽の内部を減圧状態にして泡を除去する減圧タイプの清澄槽であってもよい。あるいは、清澄槽30は、槽の内部を高温にして泡を除去する高温タイプの清澄槽であってもよい。
ガラス溶融炉1(図24および図1参照)は、ガラスの原料を溶解させて、溶融ガラス71に変化させる。図24では、バッチ山の図示を省略している。清澄槽30は、溶融ガラス71に生じた泡を除去する。泡が除去された溶融ガラスは、成形ステップ、徐冷ステップに移行する。
図25は、本実施形態のガラス物品の製造方法の例を示すフローチャートである。まず、ガラス溶融炉1にガラスの原料が投入される。ガラス溶融炉1は、バーナー5(図1参照)を備え、ガラス溶融炉1の内部を高温に維持している。そして、ガラス溶融炉1においてガラスの原料を加熱することにより、溶融ガラス71を製造する(ステップS91、ガラス溶融ステップ)。
ステップS91では、カメラ11a,11bがガラス溶融炉1の内部を撮影し、その結果得られた画像に対して画像処理装置13が第1の実施形態と同様の処理を行う。すなわち、ステップS51〜S54(図5参照)、ステップS1〜S6(図8参照)、ステップS10〜S16(図9または図19参照)、ステップS21〜S28(図10参照)等の処理を行う。この処理によって、観察データが得られ、ガラス溶融炉1の内部を良好に監視することができる。また、第2の実施形態で説明した画像処理装置13aが、第2の実施形態と同様に、観察データとガラス溶融炉1の運転パラメータとの相関の程度の判定し、ガラス溶融炉1の運転パラメータを変更してもよい。
ステップS91で製造された溶融ガラス71は、清澄槽30に流される。この溶融ガラス71には泡が存在し、溶融ガラス71の表面に泡層(図示略)が生じる。清澄槽30の内部で、溶融ガラス71の泡を除去する(ステップS92、清澄ステップ)。
ステップS92の後、泡が除去された溶融ガラスを成形する(ステップS93、成形ステップ)。成形ステップでは、例えば、フロート法によって溶融ガラスを成形すればよい。具体的には、泡が除去された溶融ガラス71を溶融錫(図示せず)上に浮かせて、搬送方向に進行させることによって連続した板状のガラスリボンとする。このとき、所定の板厚のガラスリボンを成形するために、ガラスリボンの両サイド部分に回転するロールを押圧し、ガラスリボンを幅方向(搬送方向に直角な方向)外側に引き伸ばす。
次に、ステップS93で成形されたガラスリボンを徐冷する(ステップS94、徐冷ステップ)。徐冷ステップでは、ガラスリボンを溶融錫から引き出し、徐冷炉(図示せず)の内部で徐々にガラスリボンを冷却する。徐冷炉の外部に搬送した後でも、さらに常温近くまでガラスリボンを徐冷する。
徐冷ステップの後、徐冷ステップで固化したガラスリボンを必要に応じて加工する(ステップS95、加工ステップ)。ステップS95における加工の例として、例えば、切断や研磨が挙げられる。ただし、切断や研磨に限定されず、他の加工処理を行ってもよい。
本実施形態のガラス物品の製造方法によれば、ガラス溶融炉内の一定の領域の観察を良好に継続しつつ、ガラス物品を製造することができる。特に、画像処理装置13aが、第2の実施形態と同様に、観察データとガラス溶融炉1の運転パラメータとの相関の程度の判定し、ガラス溶融炉1の運転パラメータを変更すれば、炉内の観察結果に応じた適切な運転パラメータでガラス溶融炉1を運転して、ガラス物品を製造することができる。
本出願を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2011年5月6日出願の日本特許出願(特願2011-103601)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
産業上の利用の可能性
本発明は、ガラス溶融炉内のバッチ山を監視するガラス溶融炉内監視システムに好適に適用される。