JP2009159653A - 直流配電システム - Google Patents

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Hiroyuki Nishino
博之 西野
Eiji Shiohama
英二 塩濱
Yoji Konishi
洋史 小西
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Abstract

【課題】直流供給線路に接続された直流機器について、直流供給線路から印加される電圧を正常に動作可能な許容範囲内に維持することができる直流配電システムを提供する。
【解決手段】直流配電システムは、直流電力を出力する直流電源装置1と、直流電源装置1に接続されておりそれぞれループを形成するように配設された正極および負極の一対の直流供給線路Wdcとを備え、直流供給線路Wdcが形成する前記ループ上の複数箇所に、直流電源装置1からの直流電力により駆動される直流機器102a〜102cがそれぞれ接続される。
【選択図】図1

Description

本発明は、それぞれ直流電力により駆動される複数台の直流機器に対して直流電力を供給する直流配電システムに関するものである。
従来から、発光ダイオード(LED)を光源として備える照明器具や、パーソナルコンピュータなど直流電力の供給を受けて動作する直流機器が種々提供されている。この種の直流機器のうち、商用電源等からの交流電力を供給する一般的な交流コンセントに接続して使用されるものは、整流回路を含み交流電源を直流電源に変換するAC/DC変換回路を具備(内蔵あるいは外付けのACアダプタに具備)することにより、交流コンセントからの電力供給で動作可能な構成を採用している(たとえば特許文献1参照)。
一方、本願出願人は、たとえば住宅などの分電盤内に配設した直流電源装置としてのAC/DCコンバータによって商用電源等の交流電源を直流電源に変換し、各部屋に設置され正極および負極の一対の給電部を有する直流コンセント等の直流アウトレットに対して直流供給線路を介して分電盤から直流電力を配電する直流配電システムを提案している。この直流配電システムにおいて直流機器を使用する場合、直流機器は直流コンセントに接続されることにより交流電力ではなく直流電力が供給されることとなるため、直流機器に上記AC/DC変換回路が不要になる。
特開2007−59156号公報(第4−5頁)
ところで、上述した直流配電システムにおいて、直流供給線路から各直流機器に印加される直流電圧は、直流電源装置(AC/DCコンバータ)から直流供給線路に出力された直流電圧に比べて、直流供給線路での電圧降下分だけ低くなる。したがって、たとえば直流供給線路に接続される直流機器の台数が増えるなどして直流供給線路を流れる電流が増加すると、当該電流増加に伴い直流供給線路の電圧降下が大きくなることにより各直流機器に印加される電圧は低下する。
ここで、電圧降下は直流供給線路の終端(つまり直流電源装置から遠い方の端部)側ほど大きくなるため、直流供給線路の始端(つまり直流電源装置に近い方の端部)側に接続された直流機器においては正常に動作可能な許容範囲内に印加電圧が確保されながらも、直流供給線路の終端側に接続された直流機器においては、印加電圧が大幅に低下し許容範囲を下回ることで正常に動作しないなどの不具合を生じる可能性がある。
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであって、直流供給線路に接続された直流機器について、直流供給線路から印加される電圧を正常に動作可能な許容範囲内に維持することができる直流配電システムを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、直流電力を出力する直流電源装置と、直流電源装置に接続されておりそれぞれループを形成するように配設された少なくとも正極および負極の一対の直流供給線路とを備え、直流電源装置からの直流電力により駆動される直流機器が、直流供給線路が形成する前記ループ上の複数箇所にそれぞれ接続されることを特徴とする。
この構成によれば、直流電源装置に接続された直流供給線路がループを形成するように配設されているので、直流電源装置と直流供給線路に接続される直流機器の各々との間には、前記ループ上における直流電源装置の接続点から前記ループに沿って一方向に向かう経路と、他方向に向かう経路との2つの経路が直流供給線路によりそれぞれ形成されることとなる。したがって、直流電源装置と直流機器とを単一の経路で接続する場合に比べて、直流電源装置と直流機器との間における直流供給線路のインピーダンスが小さくなり、直流電源装置から直流機器に直流電力が供給されるときに直流供給線路で生じる電圧降下を小さく抑えることができる。その結果、直流供給線路に接続された直流機器について、直流供給線路から印加される電圧を正常に動作可能な許容範囲内に維持することができるという利点がある。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより前記直流供給線路を通信路として互いに通信する通信機能を有した複数台の直流機器を備え、当該直流機器のうちマスターとなる直流機器が、スレーブとなる他の各直流機器との間でそれぞれ通信可能であることを特徴とする。
この構成によれば、直流供給線路と別に専用の通信線を設けることなく直流機器間の通信が可能になる。しかも、マスターとなる直流機器が、スレーブとなる各直流機器との間でそれぞれ通信可能に構成されているので、スレーブとなる各直流機器の管理および制御をマスターとなる直流機器で一元的に行うことができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記直流電源装置が、前記直流供給線路が形成する前記ループ上であって互いに近接する位置にそれぞれ接続された主電源および副電源と、主電源と副電源との間の正極の直流供給線路に主電源側をカソードとする形で挿入されたダイオードとを備え、副電源が、ダイオードのアノードの電位が所定の閾値を下回ると、直流供給線路を介して直流機器に直流電力を供給することを特徴とする。
この構成によれば、主電源のみから直流電力が供給されている状態で、たとえば直流供給線路に接続される直流機器の台数が増えるなどして直流供給線路を流れる電流が増加すると、当該電流増加に伴い直流供給線路の電圧降下が大きくなることにより、ダイオードのアノードの電位が低下して副電源からの電力供給が開始する。しかして、直流供給線路上における副電源寄りの位置に接続された直流機器には副電源から電力供給されることとなり、その結果、当該直流機器について、直流供給線路から印加される電圧を正常に動作可能な許容範囲内に維持することができる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記直流電源装置の出力電圧は50V以下であることを特徴とする。
この構成によれば、直流機器への印加電圧が50V以下の比較的狭い範囲に制限されるため、印加電圧が50Vを超える場合に比べて、直流供給線路での電圧降下の影響が大きくなり直流機器が正常に動作しない可能性が高くなるから、直流供給線路での電圧降下が小さく抑えられることは特に有用である。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記直流電源装置を複数台備え、直流電源装置ごとに別系統の前記直流供給線路を有することを特徴とする。
この構成によれば、直流電源装置ごとに出力電圧を異なる値に設定することにより、正常に動作可能となる印加電圧がそれぞれ異なる複数種類の直流機器であっても、各種の直流機器ごとに別系統の直流供給線路と接続することで、これら複数種類の直流機器を使用可能とすることができる。
本発明は、直流供給線路に接続された直流機器について、直流供給線路から印加される電圧を正常に動作可能な許容範囲内に維持できるという利点がある。
以下の各実施形態では、図2に示すように、たとえば住宅などの分電盤110内に配設したAC/DCコンバータ112によって商用電源等の交流電源ACを直流電源に変換し、各部屋に設置され正極および負極の一対の給電部を有する直流コンセント131等の直流アウトレットに対して分電盤110から直流電力を配電する直流配電システムを本発明の例として説明する。
ここで、直流配電システムの基本構成について以下に図2を参照して簡単に説明する。
以下の説明では、直流配電システムを適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、直流配電システムの技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。家屋Hには、図2に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口(給電部)が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器2に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
以下では、上述したAC/DCコンバータ112を直流電源装置の一例として説明するが、本発明の直流配電システムに用いる直流電源装置はAC/DCコンバータ112に限るものではない。ここで、直流電源装置(AC/DCコンバータ112)から出力される直流電圧の大きさは、交流の商用電源に比較して低く(たとえば24V、50Vなど)設定されている。
(実施形態1)
本実施形態の直流配電システムは、図1に示すように、直流供給線路Wdcに接続される複数台(ここでは3台)の直流機器102a〜102c(以下、特に区別しないときは単に直流機器102という)に対して直流電力を供給可能となるものであって、交流電源ACを直流電源に変換するAC/DCコンバータ112からなる直流電源装置1と、直流電源装置1に接続された正極および負極の一対の直流供給線路Wdcとを備えている。なお、図1では交流電源AC、直流電源装置1、直流供給線路Wdc、直流機器102のみを示し、その他の構成(たとえば直流ブレーカ114)の図示は省略している。
図示例において、直流電源装置1は、図3に示すように交流電源ACから供給される交流電圧を整流・平滑し、平滑後の電圧をオンオフ駆動されるスイッチング素子(図示せず)を介して出力トランスT1の1次巻線に印加する主回路2と、出力トランスT1の2次側に生じる出力を整流・平滑するダイオードD1,D2および平滑コンデンサC1とを有する。ここで、出力トランスT1の2次巻線は中間タップを設けて2分割され、それらの出力を整流するようにダイオードD1,D2が全波整流回路を形成ており、平滑コンデンサC1は、各ダイオードD1,D2のカソードと前記中間タップとの間に接続される。
この構成によれば、直流電源装置1は交流電源ACから交流電源が供給されることにより、ダイオードD1,D2を介して出力端となる平滑コンデンサC1の両端に直流電圧(出力電圧)を発生する。さらに、直流電源装置1には、平滑コンデンサC1の両端電圧を所定電圧に維持するように主回路2のスイッチング周波数やオンデューティを制御するフィードバック回路3が設けられ、これにより、直流電源装置1の出力電圧は前記所定電圧に維持される。平滑コンデンサC1の両端に生じる出力電圧は、直流供給線路Wdcを介して直流機器102に供給される。
ところで、本実施形態の直流配電システムにおいて、正極および負極の直流供給線路Wdcは、それぞれループを形成するように配設されており、当該ループ上の1箇所に直流電源装置1の出力端(平滑コンデンサC1の両端)がそれぞれ接続されている。ここに、正極の直流供給線路Wdcと負極の直流供給線路Wdcとは、両者間の距離が一定となるように略平行に配設される。
直流コンセント131、引掛シーリング132等の直流アウトレット(図1および図3では図示を省略する)は、直流供給線路Wdcが形成する前記ループ上の複数箇所に配設され、これら直流アウトレットに直流機器102を接続することにより、直流電源装置1から直流供給線路Wdcを介して直流機器102に直流電力が供給される。なお、直流アウトレットを介すことなく直流供給線路Wdcに対して直流機器102を直接接続してもよく、この場合でも直流電源装置1から直流供給線路Wdcを介して直流機器102に直流電力が供給される。
ここで、上記直流配電システムの一例として、図1に示すように直流供給線路Wdcが形成するループ上において、直流電源装置1の接続点から図中時計回りに、区間aを経て直流機器102a、さらに区間bを経て直流機器102b、さらに区間cを経て直流機器102cが順に接続されている場合を考えると、各直流機器102に印加される電圧の関係は以下のようになる。なお、直流機器102cは、直流供給線路Wdcが形成するループ上において、直流電源装置1の接続点から図中反時計回りに区間dを経て接続されている。
すなわち、たとえば直流機器102aにおいては、直流供給線路Wdcが形成するループのうち、直流電源装置1の接続点から図中時計回りに区間aの経路を経て直流電源装置1からの直流電力が供給されるとともに、直流供給線路Wdcが形成するループのうち、直流電源装置1の接続点から図中反時計回りに区間dと区間cと区間bとの経路を経て直流電源装置1からの直流電力が供給される。要するに、直流機器102aと直流電源装置1との間には、直流電源装置1の正極側および負極側のそれぞれに、区間aの直流供給線路Wdcと、区間d,c,bの直流供給線路Wdcとの並列回路が介在することと等価であり、したがって、直流機器102aと直流電源装置1との間が単一の経路で接続される場合に比べて、直流電源装置1と直流機器102aとの間の直流供給線路Wdcのインピーダンスが小さくなり、直流機器102aへの電力供給時に直流供給線路Wdcで生じる電圧降下を小さく抑えることができる。
同様に、直流機器102bにおいては、直流供給線路Wdcが形成するループのうち、直流電源装置1の接続点から図中時計回りに区間aおよび区間bの経路を経て直流電源装置1からの直流電力が供給されるとともに、直流電源装置1の接続点から図中反時計回りに区間dおよび区間cの経路を経て直流電源装置1からの直流電力が供給される。また、直流機器102cにおいては、直流供給線路Wdcが形成するループのうち、直流電源装置1の接続点から図中時計回りに区間aと区間bと区間cとの経路を経て直流電源装置1からの直流電力が供給されるとともに、直流電源装置1の接続点から図中反時計回りに区間dの経路を経て直流電源装置1からの直流電力が供給される。
以上説明した構成の直流配電システムによれば、直流供給線路Wdcに接続された複数台の直流機器102の全てについて、電力供給時に直流供給線路Wdcで生じる電圧降下を小さく抑えることができ、結果的に、いずれの直流機器102においても、直流供給線路Wdcから印加される電圧を正常に動作可能な共用範囲内に維持することが可能となる。
ところで、本実施形態の直流配電システムにおいて、直流供給線路Wdcに配設された直流アウトレットには種々の直流機器102を接続することができ、たとえば図4に示すように、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することで、直流供給線Wdcを通信路として互いに通信する通信機能を有した直流機器102m,102sを直流アウトレットに接続することもできる。
図示例において、1台のみ設けられたマスターとなる直流機器102mは、複数台設けられたスレーブとなる他の各直流機器102sとの間でそれぞれ双方向の通信が可能に構成されている。これにより、直流供給線路Wdcと別途に専用の通信線を設けることなく、直流機器102間で通信可能となる。ここで、図示例のように、マスターとなる直流機器102mがスレーブとなる各直流機器102sとの間でそれぞれ通信可能に構成されている場合、複数台の直流機器102sの管理および制御を1台の直流機器102mで一元的に行うことができる。
(実施形態2)
本実施形態の直流配電システムは、図5に示すように直流電源装置1の構成が実施形態1の直流配電システムと相違する。
すなわち、本実施形態では直流電源装置1は、直流供給線路Wdcにそれぞれ接続された主電源11および副電源12を備え、定常時には主電源11のみを運転させるように構成されている。ここで、正極の直流供給線路Wdcにおいて主電源11の接続点と副電源12の接続点との間となる位置には、カソードを主電源11側、アノードを副電源12側とするダイオードD3が挿入されており、主電源11から直流供給線路Wdcに電力供給される向きを図中時計回りに規定している。
ここにおいて、正極の直流供給線路Wdcにおける副電源12の接続点(ダイオードD3のアノード)の電位を検出する検出部13が設けられ、副電源12は、検出部13で検出される電位が所定の閾値を下回ったときに、運転を開始して直流電力の出力を行うように構成される。副電源12は主電源11と出力電圧が同一に設定されており、副電源12の運転時においては、副電源12からの直流電力は主電源11と反対側(つまり図中反時計回り)に供給される。副電源12は運転開始から所定のタイマ時間が経過すると、自動的に出力を停止する。検出部13は副電源12の運転中においても電位を検出するが、副電源12は運転開始からタイマ時間が経過するまでの期間には検出部13の出力を無視するように構成されている。そして、タイマ時間の経過後、副電源12は検出部13で検出される電位が閾値を下回ったときに運転を開始する上記動作を繰り返す。
以上説明した構成によれば、主電源11のみが運転している状態で、たとえば直流供給線路Wdcに接続される直流機器102の台数が増えるなどして直流供給線路Wdcを流れる電流が増加すると、当該電流増加に伴い直流供給線路Wdcの電圧降下が大きくなり、正極の直流供給線路Wdcにおける副電源12の接続点の電位が低下する。そして、検出部13は検出した電位が所定の閾値を下回れば副電源12の出力をオンに切り替え、副電源12からの電力供給が開始する。そのため、ダイオードD3のアノード側の直流供給線路Wdcにおける電圧降下が補償される。このとき、直流供給線路Wdc上における副電源12寄りの位置に接続された直流機器102には副電源12から電力供給されることとなり、その結果、当該直流機器102についても、直流供給線路Wdcから印加される電圧を正常に動作可能な許容範囲内に維持することができる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
ところで、上記各実施形態で説明した直流電源装置1を複数台設け、直流電源装置1ごとに別系統の直流供給線路Wdcを接続すれば、直流供給線路Wdcに接続される直流機器102に対して大きさの異なる複数種類の電圧を供給可能な直流電源システムを構築することも可能である。すなわち、直流電源装置1ごとに出力電圧を異なる値に設定することにより、正常に動作可能となる印加電圧がそれぞれ異なる複数種類の直流機器102であっても、各種の直流機器102ごとに別系統の直流供給線路Wdcと接続することで、これら複数種類の直流機器102が使用可能となる。したがって、たとえばサブシステムごとに別系統の直流供給線路Wdcを配線しておけば、サブシステムごとに大きさの異なる直流電圧を供給可能になる。
本発明の実施形態1の構成を示す概略図である。 同上の直流配電システムの全体構成を示すシステム構成図である。 同上の構成を示す概略図である。 同上の使用例を示す概略図である。 本発明の実施形態2の構成を示す概略図である。
符号の説明
1 直流電源装置
11 主電源
12 副電源
102,102a〜102c,102m,102s 直流機器
D3 ダイオード
Wdc 直流供給線路

Claims (5)

  1. 直流電力を出力する直流電源装置と、直流電源装置に接続されておりそれぞれループを形成するように配設された少なくとも正極および負極の一対の直流供給線路とを備え、直流電源装置からの直流電力により駆動される直流機器が、直流供給線路が形成する前記ループ上の複数箇所にそれぞれ接続されることを特徴とする直流配電システム。
  2. 高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより前記直流供給線路を通信路として互いに通信する通信機能を有した複数台の直流機器を備え、当該直流機器のうちマスターとなる直流機器は、スレーブとなる他の各直流機器との間でそれぞれ通信可能であることを特徴とする請求項1記載の直流配電システム。
  3. 前記直流電源装置は、前記直流供給線路が形成する前記ループ上であって互いに近接する位置にそれぞれ接続された主電源および副電源と、主電源と副電源との間の正極の直流供給線路に主電源側をカソードとする形で挿入されたダイオードとを備え、副電源は、ダイオードのアノードの電位が所定の閾値を下回ると、直流供給線路を介して直流機器に直流電力を供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直流配電システム。
  4. 前記直流電源装置の出力電圧は50V以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の直流配電システム。
  5. 前記直流電源装置を複数台備え、直流電源装置ごとに別系統の前記直流供給線路を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の直流配電システム。
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