JP2009157990A - 情報記録媒体、その製造方法、その記録方法、およびターゲット - Google Patents

情報記録媒体、その製造方法、その記録方法、およびターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】高転送レートおよび100GB以上の大容量な記録条件でも、記録特性、消去特性、記録マーク保存性、密着性を同時に満足する情報記録媒体を提供する。
【解決手段】光の照射または電気的エネルギーの印加によって情報を記録し得る情報記録媒体100が、相変化を生じ得る記録層115を少なくとも備え、記録層115が、アンチモン(Sb)と、ケイ素(Si)とを含み、好ましくは、Sb100−xSi(式中、xは、原子%で表される組成比を示し、x≦50を満たす)材料を含み、記録層115と接する界面層114および116の少なくとも一つが、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aである。
【選択図】図1

Description

発明は、光学的にまたは電気的に情報を記録、消去、書き換え、及び/または再生する情報記録媒体とその製造方法、および製造に用いるスパッタリングターゲットに関するものである。
ハイビジョン画像の録画媒体として、青紫色レーザを用いて記録再生する、高密度で大容量なBlu−ray Disc(ブルーレイディスク、以下「BD」と略すことがある)規格が2002年に策定された。現在市販されているBDには、25GB容量の単層のBD(片面に情報層を1つ有する)と、50GB容量の2層のBD(片面に情報層を2つ有する)がある。特に、2層BDにおいては、レーザ入射側に位置する半透明な情報層をLayer1(以下、L1と略すことがある)、レーザから遠い方の情報層をLayer0(以下、L0と略すことがある)と呼ぶ。
発明者は、書換え型のBD(以下、BD−RE)を開発し、これは、2004年には1倍速対応の25GBおよび50GB容量の記録媒体として実用化された。1倍速は、データ転送レート36Mbpsに相当する。さらに、2006年には、2倍速対応の25GBおよび50GB容量のBD−REを実用化した。これらの記録媒体へのデータおよび画像の情報の記録または記録した情報の書き換えは、記録層の相変化を利用して行う。具体的には、記録は、記録層をアモルファス状態にすることにより行われる。情報の消去は、記録層を結晶状態にすることにより行われる。書き換えは、記録層をアモルファス状態から結晶状態にした後、さらにアモルファス状態にすることにより行われる。記録層の材料およびその組成は、結晶化速度が倍速に対して最適となるように決められる。
1倍速対応のBDにはGe−Sb−Te系記録材料(例えば、特許文献1参照)が用いられ、2倍速対応BDには結晶化速度がより大きいGe−Bi−Te系記録材料(例えば、特許文献2および3参照)が用いられている。詳しくは、Ge−Sb−Te系記録材料として、GeTeとSbTeが化合した化合物系であり、約44%のGeと約6%のSbを含む組成を有している材料を採用した。また、Ge−Bi−Te系記録材料として、GeTeとBiTeが化合した化合物系で、約45%のGeと約4%のBiを含む組成を有している材料を採用した。
今後、情報記録媒体(特にBD)がさらに高倍速化および大容量化に対応できれば、パソコン用途、レコーダ用途およびゲーム機用途としての使用価値が高まる。たとえば、高速大容量なBDは、データおよび画像ファイルの処理速度の向上、高画質化、高音質化、およびレコーダの機能追加等を可能にする。また、高速大容量なBDは、長時間録画を可能にし、ハードディスクの代替も可能である。このように、今後ますます、高速大容量なBDの必要性が高まると予想されることから、発明者は、次なる開発目標を4倍速(144Mbps)以上で記録が可能であり、かつ100GB以上の容量を有するBD−REと設定した。
4倍速に対応するためには、2倍速対応の記録材料よりも結晶化速度の大きな材料が必要となる。たとえば、Ge−Bi−Te系記録材料では、BiTeの濃度を増やすと結晶化速度が大きくなる。特に、50GB容量の2層BDにおいては、L0の記録層の厚みが約10nmであるのに対し、L1の記録層の厚みは6nmと薄いため、L0とL1の記録層を同じ組成の記録材料で形成すると、L1の記録層の結晶化能は低下してしまう。よって、L1用の記録材料において、BiTeの濃度は、より高くする必要がある。
一方、100GBの大容量化を実現する手法として、例えば、記録密度を2倍に増やす手法、または情報層の数を4層に増やす手法がある。密度を増やすためには、記録マークを小さくしなければならないので、レーザ照射時間も短くなる。よって、短い時間で記録層を結晶化させるためには、記録材料の結晶化速度を大きくしなければならない。また、情報層の数を増やす場合、2層媒体のL1よりも高い透過率を持つ情報層を追加しなければならないので、記録層の膜厚は、例えば3nmといった極めて薄い膜厚に設計されることとなる。このように、大容量化という観点からも、結晶化速度を大きくしなければならないので、例えばGe−Bi−Te系記録材料においては、BiTeの濃度を2層BDのL1用よりも増やして組成を調整しなければならない。
特許第2584741号公報 特許第2574325号公報 国際公開番号WO2006/011285公報
発明者らは、まず4倍速に対応した2層BDを実現するために、Ge−Bi−Te系記録材料のBiTeの濃度の最適値を調べたが、L0およびL1の両方について、最適値を見出せなかった。具体的には、初期特性(記録特性、消去特性)と信頼性(記録マーク保存性)を評価した。その結果、L0において、良好な消去特性を示した組成は、劣悪な記録マーク保存性を示し、実用レベルに達しなかった。L1において、良好な消去特性を示した組成は、小さい信号振幅を与え、不十分な記録特性を示した。その上、その組成は、L0同様、劣悪な記録マーク保存性を示した。したがって、最適な組成が見出せなかった。
これらの結果は、Ge−Bi−Te系記録材料において、BiTeの濃度を増やすと、結晶化速度は大きくなるものの、同時に光学変化が小さくなると共に、結晶化温度が低下してしまうことによる。結晶化速度は消去特性として評価され、結晶化速度が大きいと消去率は高くなる。光学変化は相変化による屈折率変化であり、信号振幅として評価され、光学変化が大きいほど信号振幅は大きくなる。結晶化温度は、記録マークの保存性、すなわちアモルファスの安定性に影響を与える。結晶化温度の低下は、記録マークの保存性を損ねることにつながる。
発明者らは、大容量化に対応した4層BD(100GB)についても同様に記録材料の組成の最適値を求めようと試みた。しかし、4つの情報層のいずれについても、十分な結晶化速度、光学変化、および結晶化温度を有する組成が存在しなかった。L0において、良好な消去特性を示す組成の記録材料で記録層を形成しても、記録マーク保存性が劣悪となり、L0は実用レベルに達しなかった。また、半透明な情報層L3、L2およびL1において、良好な消去特性を示す組成の記録材料で記録層を形成しても、記録マーク保存性が劣悪となり、さらに信号振幅も不足した。なお、情報層L3、L2、L1およびL0はこの順に並び、L3がレーザ入射側に位置する。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、大きな結晶化速度と大きな光学変化と高い結晶化温度を有する相変化記録層を含む情報記録媒体を提供する。また、その記録層と良好に密着する界面層を有する情報記録媒体を提供することを目的とする。併せて、4倍速以上の高データ転送レートの記録条件でも、記録特性、消去特性、記録マーク保存性を同時に満足し、さらに耐湿性にも優れた情報記録媒体を提供することを目的とする。併せて、100GB以上の多層媒体で、記録層を4nm以下と薄くしても、良好な記録特性、消去特性、記録マーク保存性を有し、さらに耐湿性にも優れた多層情報記録媒体を提供することを目的とする。また、その情報記録媒体を製造する製造方法と、その製造で用いるスパッタリングターゲット、その情報記録媒体に記録するための記録方法を提供することも目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、光の照射によって情報を記録し得る情報記録媒体であって、光の照射によって相変化を生じ得る記録層と、厚さ方向において、前記記録層と隣接する二つの界面層とを含み、前記記録層が、SbとSiとを含み、前記界面層のうち少なくとも一つが、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aであることを特徴とする情報記録媒体を提供する。界面層において、前記の組み合わせは、化合物として存在してよく、あるいは化合物を形成することなく存在していてよく、その意味で、「−」の記号を用いている。
界面層Aは、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含んでよい。ここで、「ZnS−SiOの組み合わせ」とは、界面層Aが、ZnSとSiOの両方を含むことを指す。
本発明の情報記録媒体において、界面層Aと記録層は、レーザ光入射側から、界面層A/記録層の順に配置されていてもよいし、記録層A/界面層の順に配置されていてもよい。あるいは、本発明の情報記録媒体は界面層Aを2つ含んでいてよい。その場合、2つの界面層Aと記録層は、界面層A/記録層/界面層Aの順に配置される。
また、本発明の情報記録媒体は、界面層Aと隣接する誘電体層をさらに含んでよい。その場合、その誘電体層は、酸化物、硫化物、窒化物、炭化物及び弗化物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含んでよい。
界面層Aは、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、SiおよびMgOより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含んでよい。また、界面層Aは、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、GaおよびSiCより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含んでよい。界面層Aは、さらにTa−O、Al−O、Si−O、Zr−O、Hf−O、Dy−OおよびLa−Fより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含んでよい。
記録層は、式(1):
Sb100−xSi (1)
(xは、原子%で表される組成比を示し、x≦50を満たす。)
で表される材料を含んでいることが好ましい。
記録層は、さらにB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含んでもよい。その場合、記録層は、式(2):
Sb100−x−ySi (2)
(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)で表される材料を含むことが好ましい。式(2)において、x及びyは、y≦xを満たしてよい。
記録層の膜厚は、15nm以下であってよく、6nm以下であってもよい。
また、本発明は、N個の情報層を含み、Nは2以上の整数であって、情報層のうち少なくとも一つの情報層が上記記録層と上記界面層とを含むことを特徴とする情報記録媒体を提供する。この情報記録媒体において、Nは、3または4であってよい。また、N個の情報層を含む媒体においては、レーザ光入射側に位置する情報層を第N情報層とし、レーザ光入射側から最も遠い情報層を第1情報層としたとき、第1情報層を除く情報層のうち少なくとも一つの情報層、すなわちレーザ光入射側に近い1または複数の情報層が、上記記録層と上記界面層とを含んでよい。
本発明はまた、上記本発明の情報記録媒体を製造する方法であって、SbとSiとを含む記録層を気相法で成膜する工程と、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aを気相法により成膜することを特徴とする製造方法を提供する。この製造方法において、記録層は、さらにB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含むように成膜されてよい。
本発明の製造方法において、記録層は、希ガス、またはN2ガス及びO2ガスから選ばれる少なくとも一種のガスと希ガスとの混合ガスを含む雰囲気中で成膜してよい。界面層Aは、希ガス、またはN2ガス及びO2ガスから選ばれる少なくとも一種のガスと希ガスとの混合ガスを含む雰囲気中で成膜してよい。
本発明はまた、B、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lと、SbおよびSiとを含む記録層を成膜するためのスパッタリングターゲットであって、少なくともSbとSiとを含むことを特徴とするスパッタリングターゲット(以下、ターゲットと略すことがある)を提供する。
ターゲットはLを含んでもよい。Lを含むターゲットは、このターゲットを用いて成膜される記録層が、式(2):Sb100−x−ySi(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)で表される材料を含むようなものであってよい。あるいは、Lを含むスパッタリングは、式(2)で表される材料を含むものであってよい。
本発明はまた、光の照射によって情報を記録し得る情報記録媒体に情報を記録する方法であって、1以上の情報層を含み、前記情報層のうち少なくとも一つの情報層が、相変化を生じ得る記録層と、厚さ方向において、前記記録層と隣接する二つの界面層とを含み、前記記録層がSbとSiとを含み、前記界面層のうち少なくとも一つがIn−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aである情報記録媒体に、波長が390nm〜420nmの範囲内にあるレーザ光を発生させる半導体レーザと、開口数が0.8〜0.9の範囲内にある対物レンズとを使用して、144メガビット毎秒以上のデータ転送レートで情報を記録することを特徴とする情報記録媒体の記録方法を提供する。あるいは、3以上の情報層を含む場合、72メガビット毎秒以上のデータ転送レートで、情報を記録してよい。
また、本発明は、電気的エネルギーの印加によって情報を記録し得る情報記録媒体であって、相変化を生じ得る記録部と、前記記録部の側面の少なくとも一部と接する界面部とを含み、前記記録部がSbとSiとを含み、前記界面部がIn−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含むことを特徴とする情報記録媒体を提供する。
本発明の情報記録媒体は、例えば、BD−REとして実現される場合、優れた記録特性、消去特性、再生特性、記録マーク保存性並びに耐湿性を有する。したがって、本発明によれば、4倍速(144Mbps)以上の高転送レートで情報を記録できるBD−RE、並びに3つ以上の情報層を有する100GB以上の大容量BD−REを実現することができる。
本発明の情報記録媒体の製造方法に従って、例えば、BD−REを製造する場合、優れた記録特性、消去特性、再生特性、記録マーク保存性並びに耐湿性を有する、4倍速(144Mbps)以上の高転送レートで情報を記録できるBD−RE、並びに3つ以上の情報層を有する100GB以上の大容量BD−REを製造することができる。
本発明のターゲットを用いて、例えば、BD−REの記録層をスパッタリングにより形成する場合、優れた記録特性、消去特性、再生特性、記録マーク保存性並びに耐湿性を有する、4倍速(144Mbps)以上の高転送レートで情報を記録できるBD−RE、並びに3つ以上の情報層を有する100GB以上の大容量BD−REを実現する、相変化記録層を成膜することができる。
また、本発明の記録方法は、本発明の情報記録媒体を用いて実施されるものである。よって、本発明の記録方法を、例えば、BD−REに適用する場合、ハイビジョン画像を速やかに良好に情報記録媒体に録画することを可能にする。これは、本発明の情報記録媒体が25GB以上の容量を有し、かつ4倍速以上の高転送レートでの情報の記録を可能にするからである。あるいは、本発明の記録方法は、記録媒体を100GB以上の大容量を有するように構成する場合には、2倍速以上の転送レートで情報の記録が可能であるから、ハイビジョン画像を長時間良好に情報記録媒体に録画することを可能にする。
本発明の情報記録媒体によれば、優れた記録特性、消去特性、再生特性、記録マーク保存性並びに耐湿性を有する、高速で情報を記録できる、大容量な電気的情報記録媒体、例えば電気メモリを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施の形態では、同一の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1として、情報記録媒体(以下の説明を含む明細書において、「記録媒体」または「媒体」とも呼ぶ)の一例を説明する。図1に、その情報記録媒体100の一部断面を示す。情報記録媒体100において、基板101上に成膜された情報層110および透明層102が、順に配置されている。さらに、情報層110において、基板101の一方の表面に成膜された反射層112、誘電体層113、界面層114、記録層115、界面層116および誘電体層117が、この順に配置されてなる。
情報記録媒体100は、波長405nm付近の青紫色域のレーザ光10で情報を記録再生する、25GB以上の容量を有するBlu−ray Discとして使用できる。この構成の情報記録媒体100には、透明層102側からレーザ光10が入射し、それにより情報の記録及び再生が実施される。以下、基板101から順に説明する。
基板101は、主に支持体としての機能を有し、円盤状で、透明且つ表面の平滑なものであることが好ましい。基板101の材料としては、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンもしくはポリメチルメタクリレート(PMMA)のような樹脂、又はガラスを挙げることができる。成形性、価格、及び機械強度を考慮すると、ポリカーボネートが好ましく使用される。図示した形態において、厚さ約1.1mm、直径約120mmの基板101が好ましく用いられる。
基板101の情報層110を形成する側の表面には、レーザ光10を導くための凹凸の案内溝が形成されていてもよい。案内溝を基板101に形成した場合、本明細書においては、レーザ光10に近い側にある面を便宜的に「グルーブ面」と呼び、レーザ光10から遠い側にある面を便宜的に「ランド面」と呼ぶ。たとえば、Blu−ray Discとして使用する場合、グルーブ面とランド面の段差は、10nm以上30nm以下であることが好ましい。また、Blu−ray Discにおいては、グルーブ面のみに記録を行う。Blu−ray Discにおいて、グルーブ−グルーブ間の距離(グルーブ面中心からグルーブ面中心まで)は、約0.32μmである。
次に、透明層102について説明する。情報記録媒体の記録密度を大きくする方法として、短波長のレーザ光を使用して、レーザビームをより小さい面積に絞り込めるように、対物レンズの開口数NAを大きくする方法がある。NAが大きくなると、焦点位置が浅くなるので、BDは、薄い透明層102にレーザ光10が入射するように用いられる。透明層102は、基板101と比べて、より薄く設計される。この構成によれば、より高密度の記録が可能な大容量情報記録媒体100を得ることができる。
透明層102は、基板101同様、円盤状で、透明且つ表面の平滑なものであることが好ましい。透明層102の表面から情報層110の記録層115までの距離、すなわち透明層102の厚さは、80μm以上120μm以下であることが好ましく、90μm以上110μm以下であることがより好ましい。透明層102は、例えば、円盤状のシートと接着層から成ってもよいし、紫外線硬化性樹脂(例えば、アクリル系樹脂、またはエポキシ系樹脂)から成ってもよい。透明層102には、必要に応じて、レーザ光10を導くための凹凸の案内溝が形成されていてもよい。また、誘電体層117の表面に保護層を設け、保護層の上に透明層102を設けてもよい。
いずれの構成の透明層102も、総厚み(例えば、シート厚さ+接着層厚さ+保護層厚さ、または紫外線硬化性樹脂のみの厚さ)が80μm以上120μm以下であることが好ましい。シートは、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、又はPMMAのような樹脂で形成することが好ましく、特にポリカーボネートで形成することが好ましい。また、透明層102の材料は、レーザ光10入射側に位置するため、光学的には短波長域における複屈折が小さいものであることが好ましい。
反射層112は、光学的には記録層115に吸収される光量を増大させる機能、および記録層115が非晶質である場合と結晶である場合の情報記録媒体100の反射率差を大きくする機能を有する。また、熱的には記録層115で生じた熱を速やかに拡散させて、記録層115を急冷し、非晶質化し易くする機能を有する。さらに、反射層112は、誘電体層113から誘電体層117までを含む多層膜を使用環境から保護する機能をも有する。反射層112の材料は、記録層115で生じた熱を速やかに拡散させるよう、大きい熱伝導率を有することが好ましい。また、反射層112の材料は、記録層115に吸収される光量を増大させるよう、使用するレーザ光の波長における光吸収が小さいものであることが好ましい。
反射層112の材料として、例えば、Al、Au、AgおよびCuより選ばれる金属またはこれらの合金を用いることができる。その耐湿性を向上させる、ならびに/あるいは熱伝導率または光学特性(例えば、光反射率、光吸収率または光透過率)を調整することを目的として、上記金属または合金に、他の元素を添加した材料を使用してよい。具体的には、Mg、Ca、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、B、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、Sb、Bi、O、Te、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1つまたは複数の元素を添加してよい。この際、添加濃度は3原子%以下であることが好ましい。特に、Agは波長405nm付近の光吸収が小さいので、その波長のレーザ光を用いて情報を記録する記録媒体においては、Agを97原子%以上含む反射層112が好ましく用いられる。
また、反射層112は、2以上の層で形成されてよい。その場合、基板101側を誘電体材料よりなる層としてもよい。反射層112の厚さは、使用する媒体の線速度および記録層115の組成に合わせて調整し、40nm以上300nm以下であることが好ましい。反射層112の厚さが40nmより薄いと急冷が不十分となるので、記録層の熱が拡散しにくくなり、記録層が非晶質化しにくくなる。反射層112の厚さが300nmより厚いと急冷が過剰になるので、記録層の熱が拡散しすぎて、記録感度が悪化する(すなわち、より大きなレーザパワーが必要になる)。
誘電体層113及び誘電体層117は、光学距離を調節して、記録層115の光吸収効率を高め、結晶相の反射率と非晶質相の反射率との差を大きくして、信号振幅を大きくする機能を有する。また、誘電体層113および117は、記録層115を水分等から保護する機能をも有する。誘電体層は、使用するレーザ波長に対して透明性が高いこと、優れた耐湿性および耐熱性を有する材料で形成されることが好ましい。
誘電体層113及び117の材料としては、酸化物、硫化物、窒化物、炭化物及び弗化物、及びこれらの混合物を用いることができる。
酸化物としては、例えばAl、Bi、CaO、CeO、Cr、Dy、Ga、Gd、GeO、HfO、Ho、In、La、MgO、MgSiO、Nb、Nd、Sb、Sc、SiO、Sm、SnO、Ta、TeO、TiO、WO、Y、Yb、ZnO、ZrO、およびZrSiO等を挙げることができる。
硫化物としては例えばZnS等を用いてもよい。
窒化物としては、例えばAlN、BN、CrN、Ge、HfN、NbN、Si、TaN、TiN、VN、およびZrN等を挙げることができる。炭化物としては、例えばAl、BC、CaC、Cr、HfC、MoC、NbC、SiC、TaC、TiC、VC、WC、WC、およびZrC等を挙げることができる。弗化物としては、例えばCaF、CeF、DyF、ErF、GdF、HoF、LaF、MgF、NdF、YF、およびYbF等を挙げることができる。
混合物としては、例えばZnS−SiO、ZnS−LaF、ZnS−SiO−LaF、ZrO−SiO、ZrO−LaF、ZrO−Cr、ZrO−SiO−Cr、ZrO−Cr−LaF、ZrO−SiO−LaF、ZrO−SiO−Cr−LaF、ZrO−Ga、ZrO−SiO−Ga、ZrO−Ga−LaF、ZrO−SiO−Ga−LaF、ZrO−In、ZrO−SiO−In、ZrO−In−LaF、ZrO−SiO−In−LaF、ZrO−SiO−Cr−Ga、ZrO−SiO−Cr−In、ZrO−SiC、ZrO−SiO−SiC、HfO−SiO、HfO−LaF、HfO−Cr、HfO−SiO−Cr、HfO−Cr−LaF、HfO−SiO−LaF、HfO−SiO−Cr−LaF、HfO−Ga、HfO−SiO−Ga、HfO−Ga−LaF、HfO−SiO−Ga−LaF、HfO−In、HfO−SiO−In、HfO−In−LaF、HfO−SiO−In−LaF、HfO−SiO−Cr−Ga、HfO−SiO−Cr−In、HfO−SiC、HfO−SiO−SiC、SnO−Ga、SnO−In、SnO−SiC、SnO−Si、SnO−Ga−SiC、SnO−Ga−Si、SnO−Nb、SnO−Ta、CeO−Al、CeO−Al−SiO、Nb−TiO、Nb−SiO−TiO等を挙げることができる。
ZrOを含む複合材料もしくは混合材料は、405nm付近の波長に対して透明性が高く、耐熱性にも優れているので、好ましく用いられる。ZrOを含む材料は、ZrOの代わりに、CaO、MgO、Yのいずれかを添加した、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアであってよい。
ZnS−SiOは非晶質で、熱伝導性が低く、高透明性及び高屈折率を有し、また、膜形成時の成膜速度が大きく、機械特性及び耐湿性にも優れた材料である。誘電体層117は、(ZnS)80(SiO20(mol%)の組成を有する材料で形成してよい。
あるいは、誘電体層113もしくは誘電体層117を、上記酸化物等または混合物を積層して2以上の層で形成してもよい。
誘電体層113及び誘電体層117は、各々の光路長(即ち、誘電体層の屈折率nと誘電体層の膜厚dとの積nd)を変えることにより、結晶相の記録層115の光吸収率Ac(%)と非晶質相の記録層115の光吸収率Aa(%)、記録層115が結晶相であるときの情報記録媒体100の光反射率Rc(%)と記録層115が非晶質相であるときの情報記録媒体100の光反射率Ra(%)、記録層115が結晶相である部分と非晶質相である部分の情報記録媒体100の光の位相差Δφを調整する機能を有する。
記録マークの再生信号振幅を大きくして、信号品質を上げるためには、反射率差|Rc−Ra|又は反射率比Rc/Raが大きいことが望ましい。また、記録層115がレーザ光を吸収するように、Ac及びAaも大きいことが望ましい。これらの条件を同時に満足するように誘電体層113及び誘電体層117の光路長を決定する。それらの条件を満足する光路長は、例えばマトリクス法(例えば久保田広著「波動光学」岩波新書、1971年、第3章を参照)に基づく計算によって正確に決定することができる。
レーザ光10の波長をλ(nm)とした場合、光路長ndは、nd=aλで表される。ここで、aは正の数とする。情報記録媒体100の記録マークの再生信号振幅を大きくして信号品質を向上させるには、例えば、情報記録媒体100をBlu−ray Discとして使用する場合、18%≦Rc且つRa≦6%を満足するように、誘電体層113及び117の光路長ndをマトリクス法に基づく計算により、厳密に決定することができる。例えば、屈折率が2〜3である誘電体材料で、誘電体層113及び誘電体層117を形成する場合、誘電体層113の厚さは50nm以下であることが好ましく、3nm以上30nm以下であることがより好ましい。また、誘電体層117の厚さは20nm以上100nm以下であることが好ましく、30nm以上80nm以下であることがより好ましい。
誘電体層113および誘電体層117は、必要に応じて設けることができる。界面層114が上記の誘電体層113としても機能する場合には、誘電体層113は必ずしも設ける必要はない。同様に、界面層116が上記の誘電体層117として機能する場合には、誘電体層117は必ずしも設ける必要はない。例えば、情報層110は、基板101上に、反射層112、界面層114、記録層115、界面層116および誘電体層117が、この順に配置されてなる構成であってもよいし、反射層112、界面層114、記録層115および界面層116が、この順に配置されてなる構成であってもよい。あるいは、情報層110は、基板101上に、反射層112、誘電体層113、界面層114、記録層115および界面層116がこの順に配置されてなる構成であってもよい。
次に、界面層114および界面層116について説明する。界面層114および界面層116は、記録層115と接して設けられる。界面層114および界面層116は、記録層115への密着性が優れている材料で形成される。同時に、界面層114および界面層116は、誘電体層113と記録層115、及び誘電体層117と記録層115の密着性が悪い場合に、接着層としても機能する。あるいは、誘電体層113を設けない構成においては、反射層112と密着性のよい材料で、界面層114を形成してよい。前述のように、誘電体層を設けない場合には、界面層は誘電体層としても機能する。本明細書においては、厚さ方向において記録層と接する層を、界面層と称し、後述するように、特定の元素の組み合わせを含む界面層を、特に界面層Aと称する。
界面層114および界面層116の材料は、後述する、SbとSiを含む記録層115との密着性に加えて、記録層115にレーザ光10を照射した際に、溶けたり分解したりしない、耐熱性の強い材料であることが好ましい。界面層114に含まれる元素は、界面層116に含まれる元素と同じであってよく、あるいは異なる元素であってよい。また、界面層114および116が、同じ元素を含む場合、異なる組成比を有していてもよい。発明者らの実験によると、界面層114は、記録層115により強く密着する材料で形成することが望ましいことがわかった。
界面層114および116は、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含むことが好ましい。各組み合わせにおいて、各元素はいずれの形態で存在していてもよく、例えば、化合物の形態で存在してよく、あるいは他の元素と結合していない状態で存在していてよい。前述のとおり、これらの組み合わせを一つ以上含む界面層は、界面層Aと称される。図示した形態において、界面層114および116のうち、少なくとも一方が界面層Aであることを要し、両方が界面層Aであってよい。
界面層Aは、前記組み合わせとして、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせ(ZnS−SiOの組み合わせを指す)を含んでよい。ZnS−SiOの組み合わせは、一般に混合物として提供される。界面層Aは、これらの化合物および組み合わせを構成する化合物以外の化合物を含んでよい。これらの化合物および組み合わせを構成しない化合物の含有量は、50mol%以下であることが好ましい。
界面層Aは、好ましくは、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、GaおよびSiCより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含む。これらの化合物および組み合わせは、記録層115との密着性により優れていることによる。これらの化合物および組み合わせは、界面層114および界面層116のいずれにも用いることができる。あるいは、界面層114は、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、GaおよびSiCより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含んでよく、界面層116は、ZnS、Si、MgO、Nb、TiO、CeF、BN、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物を含んでよい。
界面層Aを構成する材料は、前記化合物から選択される一つの化合物を含む材料、またはZnS−SiOの組み合わせを含む材料であってよい。あるいは、界面層Aを構成する材料は、前記化合物から選択される二つ以上の化合物を含む材料、または前記化合物から選択される一つ以上の化合物とZnS−SiOの組み合わせとを含む材料であってよい。その場合、二つ以上の化合物を含む材料は、混合材料であってよく、あるいは複合材料であってよい。
より具体的には、界面層Aを構成する材料は、例えば、In−ZnO、In−SnO、In−ZnS−SiO、In−Ga、In−SiC、In−ZnS、In−Si、In−Nb、In−TiO、In−CeF、In−BN、In−MgO、In−Cr、In−AlN、ZnO−SnO、ZnO−ZnS−SiO、ZnO−Ga、ZnO−SiC、ZnO−ZnS、ZnO−Si、ZnO−Nb、ZnO−TiO、ZnO−CeF、ZnO−BN、ZnO−MgO、ZnO−Cr、ZnO−AlN、SnO−ZnS−SiO、SnO−Ga、SnO−SiC、SnO−ZnS、SnO−Si、SnO−Nb、SnO−TiO、SnO−CeF、SnO−BN、SnO−MgO、SnO−Cr、SnO−AlN、ZnS−SiO−Ga、ZnS−SiO−SiC、ZnS−SiO−Si、ZnS−SiO−Nb、ZnS−SiO−TiO、ZnS−SiO−CeF、ZnS−SiO−BN、ZnS−SiO−MgO、ZnS−SiO−Cr、ZnS−SiO−AlN、Ga−SiC、Ga−ZnS、Ga−Si、Ga−Nb、Ga−TiO、Ga−CeF、Ga−BN、Ga−MgO、Ga−Cr、Ga−AlN、SiC−ZnS、SiC−Si、SiC−Nb、SiC−TiO、SiC−CeF、SiC−BN、SiC−MgO、SiC−Cr、SiC−AlN、ZnS−Si、ZnS−Nb、ZnS−TiO、ZnS−CeF、ZnS−BN、ZnS−MgO、ZnS−Cr、ZnS−AlN、Si−Nb、Si−TiO、Si−CeF、Si−BN、Si−MgO、Si−Cr、Si−AlN、Nb−TiO、Nb−CeF、Nb−BN、Nb−MgO、Nb−Cr、Nb−AlN、TiO−CeF、TiO−BN、TiO−MgO、TiO−Cr、TiO−AlN、CeF−BN、CeF−MgO、CeF−Cr、CeF−AlN、BN−MgO、BN−Cr、BN−AlN、MgO−Cr、MgO−AlN、およびCr−AlNから選択される組み合わせを含んでよい。
In、ZnO、SnO、ZnS−SiO、GaおよびSiCより選ばれる化合物または組み合わせは、任意の量で界面層Aに含まれていてよい。界面層Aは、例えば、(In10(ZnO)90、(In50(ZnO)50、(In90(ZnO)10、(In10(ZnO)45(SnO45、(In50(ZnO)25(SnO25、(In90(ZnO)(SnO、[(ZnS)80(SiO2010(SnO90、[(ZnS)80(SiO2050(SnO50、[(ZnS)80(SiO2090(SnO10、(In10(Ga90、(In50(Ga50、(In90(Ga10、(SnO10(SiC)90、(SnO50(SiC)50、または(SnO90(SiC)10(括弧の後の添え字はmol%で示される組成比を表す)を含んでいてよい。あるいは、界面層Aの組成が、上記のいずれかの組成であってよい。
また、界面層Aは、In、ZnO、SnO、ZnS−SiO、GaおよびSiCより選ばれる少なくとも一つの化合物と、ZnS、Si、MgO、Nb、TiO、CeF、BN、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物とを含んでよい。その場合、二つ以上の化合物の組み合わせにおいて、In、ZnO、SnO、ZnS−SiO、GaおよびSiCの割合は、50mol%以上であることが好ましい。界面層Aは、例えば、(In50(Nb50、(In90(Nb10、[(ZnS)80(SiO2050(MgO)50、[(ZnS)80(SiO2090(MgO)10、または(Ga50(Cr50、(Ga90(Cr10(括弧の後の添え字はmol%で示される組成比を表す)を含んでよい。あるいは、界面層Aの組成が、上記のいずれかの組成であってよい。これらの組成物も、記録層115への密着性に優れており、界面層114および界面層116のいずれをも形成するために用いることができる。
あるいは、界面層Aは、ZnS、Si、MgO、Nb、TiO、CeF、BN、CrおよびAlNより選ばれる化合物を、任意の量で含んでよい。界面層Aは、例えば、(ZnS)10(Si90、(ZnS)50(Si50、(ZnS)90(Si10、(TiO10(CeF90、(TiO50(CeF50、(TiO90(CeF10、(BN)10(AlN)90、(BN)50(AlN)50、または(BN)90(AlN)10(括弧の後の添え字はmol%で示される組成比を表す)を含んでよい。あるいは、界面層Aの組成が、上記いずれかの組成であってよい。これらの組成物は、特に、界面層116を構成するのに適している。
あるいは、界面層116は、In、ZnO、SnO、ZnS−SiO、GaおよびSiCより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを50mol%未満含む組成物を有してよい。界面層116は、例えば、(In20(ZnS)80、(In20(Si80、(In20(MgO)80、(In20(Nb80、(In20(TiO80、(In20(CeF80、(In20(BN)80、(In20(Cr80、(In20(AlN)80、(ZnO)20(MgO)80、(SnO20(MgO)80、[(ZnS)80(SiO2020(MgO)80、(Ga20(MgO)80、(SiC)20(MgO)80(括弧の後の添え字はmol%で示される組成比を表す)を含んでよい。あるいは、界面層116の組成が、上記いずれかの組成であってよい。
界面層Aは、さらにTa−O、Al−O、Si−O、Zr−O、Hf−O、Dy−OおよびLa−Fより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含んでもよい。また、それらの組み合わせは、それぞれ、Ta、Al、SiO、ZrO、HfO、DyおよびLaFで表される化合物であってよい。これらの組み合わせおよび化合物は高い透明性を有し、耐熱性にも優れている。よって、これらの化合物は、界面層114または116が界面層Aである場合に、その透明性を高める目的で、および/または耐熱性を高める目的で、用いることができる。これらの化合物の含有量は、50mol%以下であることが好ましい。
これらの化合物は、例えば、In−Ta、In−Al、In−SiO、In−ZrO、In−HfO、In−Dy、In−LaF、ZnO−Ta、ZnO−Al、ZnO−SiO、ZnO−ZrO、ZnO−HfO、ZnO−Dy、ZnO−LaF、SnO−Ta、SnO−Al、SnO−SiO、SnO−ZrO、SnO−HfO、SnO−Dy、SnO−LaF、ZnS−SiO−Ta、ZnS−SiO−Al、ZnS−SiO−ZrO、ZnS−SiO−HfO、ZnS−SiO−Dy、ZnS−SiO−LaF、Ga−Ta、Ga−Al、Ga−SiO、Ga−ZrO、Ga−HfO、Ga−Dy、Ga−LaF、SiC−Ta、SiC−Al、SiC−SiO、SiC−ZrO、SiC−HfO、SiC−Dy、またはSiC−LaFのような組み合わせ(特に混合材料)として、使用することができる。
界面層114および界面層116がともに界面層Aであり、かつ誘電体層113および誘電体層117が設けられている場合、界面層114および116の厚さは0.3nm以上10nm以下であることが好ましく、0.5nm以上7nm以下であることがより好ましい。界面層114および116が厚いと、基板101の表面に形成された反射層112から誘電体層117までの積層体の光反射率及び光吸収率が変化して、記録消去性能に影響を与える。また、界面層114および116の厚さが、0.3nm未満であると、記録層115との密着性が低下する。また、界面層114および116の屈折率nは1.5〜3.0であることが好ましく、消衰係数kは、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。
界面層114が界面層Aであり、かつ誘電体層113が設けられていない場合、界面層114の膜厚は60nm以下であることが好ましく、3nm以上40nm以下であることがより好ましい。界面層116が界面層Aであり、かつ誘電体層117が設けられていない場合、界面層116の膜厚は20nm以上110nm以下であることが好ましく、30nm以上90nm以下であることがより好ましい。界面層114および116がこれらの範囲内にある厚さを有する場合、膜厚が厚いので、消衰係数kは、0.1以下であることがより好ましい。
あるいは、誘電体層113が設けられない場合、界面層114は、先に誘電体層113および117の材料として例示した材料で形成してよい。その場合、界面層114は、界面層Aでないこともある。同様のことは、誘電体層117が設けられない場合の界面層116についてもあてはまる。
記録層115は、光の照射により相変化を生じ得る。記録層115は、アンチモン(Sb)と、シリコン(Si)とを含む。SbとSiを含む材料は、大きな結晶化速度と大きな光学変化と高い結晶化温度を有する、相変化記録材料である。Sbは非常に結晶化しやすい材料であり、結晶化温度が約90℃である。スパッタリングにより形成したSb膜は非晶質状態であるが、室温で放置しておくと徐々に結晶化が進む。したがって、Sbのみで記録層115を形成すると、非晶質状態の安定性に欠ける、すなわち、優れた記録マークの保存性を確保することが困難となる。Siは、このようなSbの課題を解決するために用いられる。SbにSiを添加することにより、大きな結晶化速度を維持して、結晶化温度を200℃以上に上昇させることができる。
また、Siは、記録層115の非晶質状態と結晶状態の間の光学的な変化を大きくする機能をも有する。先に述べたように、SbとSiとを含む記録層115に接する2つの界面層114および116の少なくとも一方は、特定の組み合わせから選択される少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aである。このように特定の記録層と特定の界面層とを組み合わせることにより、記録層と界面層との密着性が向上した媒体が得られる。
また、記録層115は、Sb100−xSi(式中、xは、原子%で表される組成比を示し、x≦50を満たす。)で表される材料を含むことが好ましい。xが50を超えると、記録層115の結晶化速度が低下する。低転送レートでの非晶質状態の安定性を確保するために、xは30以上であることが好ましい。Siの割合は、転送レートに対して最適となるように選ぶことができる。また、x≧3を満たす材料は、200℃を超える高い結晶化温度を有する。
記録層115は、さらにB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含んでよい。元素Lを添加することにより、結晶化速度を調整することができる。Lは、より好ましくは、B、C、N、O、Mg、AlおよびSから選ばれる少なくとも一つの軽元素である。これらの軽元素を含む材料は、製造面、コスト面、および環境面で優れた材料である。
光学的変化を、記録層が非晶質状態であるときの記録層の複素屈折率(n−ik,nは屈折率,kは消衰係数)と記録層が結晶状態であるときの記録層の複素屈折率(n−ik,nは屈折率,kは消衰係数)との差Dn+k(|n−n|+|k−k|)であると定義すると、Dn+kが大きいほど光学変化が大きい。例えば、Sb80Si15のDn+kは1.8であり、Sb80Si15のDn+kも1.8である。これに対し、Sb85Ge15のDn+kは1.6であった。特に、SbにSiと軽元素のLを添加することでkが小さくなり、|k−k|を大きくすることができるようになる。
また、本発明の記録層115は、Sb100−x−ySi(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)で表される材料を含むことが好ましい。この材料において、SiとLを合わせた組成比は、50原子%以下であることが好ましい。50原子%を超えると、記録層115の結晶化速度が低下し、例えば4倍速に相当する転送レートでの結晶化が不十分となり、記録消去特性が悪化する。また、低転送レートでの非晶質状態の安定性を確保するために、本実施の形態では、SiとLを合わせた組成比は30原子%以上であることが好ましい。SiとLを合わせた組成比は、転送レートに対して最適となるように選んでよい。大きな光学的変化と大きな結晶化速度を維持するためには、xおよびyは、x≧yを満たすことが好ましい。
SbおよびSi、ならびに場合によりLを含む記録層の組成は、例えばX線マイクロアナライザー(XMA)で分析することができる。これは、電子線を試料に照射した際に発生する特性X線の波長や強度を測定することによって、試料に含まれる元素の種類と組成を調べることができる分析方法である。
スパッタリングによって形成された記録層115には、スパッタ雰囲気中に存在する希ガス(Ar、Kr、Xe)、水分(O−H)、有機物(C)、空気(N、O)、スパッタ室に配置された冶具の成分(金属)およびターゲットに含まれる不純物(金属、半金属、半導体、誘電体)などが不可避的に含まれ、XMAなどの分析で検出されることがある。これら不可避の成分は記録層に含まれる全原子を100原子%とした場合、10原子%を上限として含まれていてもよく、不可避に含まれる成分を除いて、Sb,SiおよびLが、Sb100−x−ySiの関係にあり、且つx+y≦50を満たせばよい。これは、以降の実施の形態で説明する記録層215,225,315,325,335,415,425,435,445および603にも同様に適用される。
記録層115を形成する材料として、具体的には、Sb−Si−B、Sb−Si−B−C、Sb−Si−B−N、Sb−Si−B−O、Sb−Si−B−Mg、Sb−Si−B−Al、Sb−Si−B−S、Sb−Si−B−Ga、Sb−Si−B−Ge、Sb−Si−B−Ag、Sb−Si−B−In、Sb−Si−B−Sn、Sb−Si−B−Te、Sb−Si−B−Au、Sb−Si−B−Bi、Sb−Si−C、Sb−Si−C−N、Sb−Si−C−O、Sb−Si−C−Mg、Sb−Si−C−Al、Sb−Si−C−S、Sb−Si−C−Ga、Sb−Si−C−Ge、Sb−Si−C−Ag、Sb−Si−C−In、Sb−Si−C−Sn、Sb−Si−C−Te、Sb−Si−C−Au、Sb−Si−C−Bi、Sb−Si−N、Sb−Si−N−O、Sb−Si−N−Mg、Sb−Si−N−Al、Sb−Si−N−S、Sb−Si−N−Ga、Sb−Si−N−Ge、Sb−Si−N−Ag、Sb−Si−N−In、Sb−Si−N−Sn、Sb−Si−N−Te、Sb−Si−N−Au、Sb−Si−N−Bi、Sb−Si−O、Sb−Si−O−Mg、Sb−Si−O−Al、Sb−Si−O−S、Sb−Si−O−Ga、Sb−Si−O−Ge、Sb−Si−O−Ag、Sb−Si−O−In、Sb−Si−O−Sn、Sb−Si−O−Te、Sb−Si−O−Au、Sb−Si−O−Bi、Sb−Si−Mg、Sb−Si−Mg−Al、Sb−Si−Mg−S、Sb−Si−Mg−Ga、Sb−Si−Mg−Ge、Sb−Si−Mg−Ag、Sb−Si−Mg−In、Sb−Si−Mg−Sn、Sb−Si−Mg−Te、Sb−Si−Mg−Au、Sb−Si−Mg−Bi、Sb−Si−Al、Sb−Si−Al−S、Sb−Si−Al−Ga、Sb−Si−Al−Ge、Sb−Si−Al−Ag、Sb−Si−Al−In、Sb−Si−Al−Sn、Sb−Si−Al−Te、Sb−Si−Al−Au、Sb−Si−Al−Bi、Sb−Si−S、Sb−Si−S−Ga、Sb−Si−S−Ge、Sb−Si−S−Ag、Sb−Si−S−In、Sb−Si−S−Sn、Sb−Si−S−Te、Sb−Si−S−Au、Sb−Si−S−Bi、Sb−Si−Ga、Sb−Si−Ga−Ge、Sb−Si−Ga−Ag、Sb−Si−Ga−In、Sb−Si−Ga−Sn、Sb−Si−Ga−Te、Sb−Si−Ga−Au、Sb−Si−Ga−Bi、Sb−Si−Ge、Sb−Si−Ge−Ag、Sb−Si−Ge−In、Sb−Si−Ge−Sn、Sb−Si−Ge−Te、Sb−Si−Ge−Au、Sb−Si−Ge−Bi、Sb−Si−Ag、Sb−Si−Ag−In、Sb−Si−Ag−Sn、Sb−Si−Ag−Te、Sb−Si−Ag−Au、Sb−Si−Ag−Bi、Sb−Si−In、Sb−Si−In−Sn、Sb−Si−In−Te、Sb−Si−In−Au、Sb−Si−In−Bi、Sb−Si−Sn、Sb−Si−Sn−Te、Sb−Si−Sn−Au、Sb−Si−Sn−Bi、Sb−Si−Te、Sb−Si−Te−Au、Sb−Si−Te−Bi、Sb−Si−Au、およびSb−Si−Au−Bi等が挙げられる。
記録層115の膜厚は、15nm以下であることが好ましい。記録層115の膜厚が15nm以下であれば、情報記録媒体100は、25GB以上の容量を有することができ、且つ4倍速以上の転送レートで、良好な記録消去特性を示す。記録層115の膜厚が15nmを超えると、熱容量が大きくなり、記録に要するレーザパワーが大きくなる。また、記録層115で生じた熱が反射層112の方向へ拡散しにくくなり、高密度記録に必要な小さい記録マークの形成が困難となる。記録層115の膜厚は、8nm以上14nm以下であることがより好ましい。膜厚がこの範囲内にあると、4倍速以上の高転送レートに加えて2倍速以下の低転送レートでも、良好な記録消去特性が得られるので、媒体100を回転数一定のConstant Angular Velocity(CAV)仕様の媒体として使用することもできる。
続いて、実施の形態1の情報記録媒体100を製造する方法を説明する。情報記録媒体100は、案内溝(グルーブ面とランド面)が形成された基板101をスパッタリング装置に配置し、基板101の案内溝が形成された表面に、反射層112を成膜する工程、誘電体層113を成膜する工程、界面層114を成膜する工程、記録層115を成膜する工程、界面層116を成膜する工程、および誘電体層117を成膜する工程を順次実施し、さらに、誘電体層117の表面に透明層102を形成する工程を実施することにより、製造される。
ここで、情報記録媒体の製造を行うスパッタリング(成膜)装置の一例を説明する。図9に、二極グロー放電型スパッタリング装置20の一例を示す。スパッタ室21内は、排気口22に真空ポンプ23が接続され、高真空に保たれる。スパッタガス導入口24からは、一定流量のスパッタガス(例えばArガス等)が導入される。基板25は基板ホルダー(陽極)26に取り付けられ、ターゲット(陰極)27はターゲット電極28に固定されており、電源29に接続されている。両極間に高電圧を加えることにより、グロー放電が発生し、例えばAr正イオンを加速してターゲット27に衝突させ、ターゲットから粒子を放出される。放出された粒子は基板25上に堆積し薄膜が形成される。スパッタ中、ターゲット27を冷却するため、電極28には例えば水を循環させる(30)。
陰極へ印加する電源の種類によって、スパッタリング装置は、直流型と高周波型に分けられる。スパッタリング装置20は、スパッタ室21を複数個つないで構成してよい。あるいは、スパッタ室21に複数個のターゲット27を配置してもよく、そのような構造とすることにより、複数の成膜工程を実施して多層膜を積層することができる。以下の実施の形態の媒体の製造で実施するスパッタリングにおいても、同様の装置を用いることができ、基板25として、基板101、201、301、401、501、601を用いることができる。
以下の説明を含む本明細書において、各層に関して、「表面」というときは、特に断りのない限り、各層が形成されたときの露出している表面(厚さ方向に垂直な表面)を指すものとする。
最初に、基板101の案内溝が形成された面に、反射層112を成膜する工程を実施する。反射層112は、反射層112を構成する金属または合金を含むターゲットをスパッタリングすることにより成膜される。スパッタリングは、直流電源または高周波電源を用いて、希ガス雰囲気中、または酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で実施してよい。希ガスは、Arガス、Krガス、Xeガスのいずれでもよい。
反射層112の成膜は、Al、Au、AgおよびCuのうち少なくとも1つを含む材料から成るターゲット、または、それらの合金から成るターゲットを用いて実施してよい。スパッタリング装置によっては、ターゲットの組成と形成される反射層の組成が一致しない場合もある。その場合、ターゲットの組成を調整して、目標の組成の反射層112を得ることができる。ターゲットの製造方法は特に限定されない。ターゲットは、例えば、粉末を溶かして合金化して固めたものであってよく、あるいは粉末を高温高圧下で固めたものであってよい。例えば、反射層112としてAg−Cu系合金から成る層を形成する際には、Ag−Cu系合金ターゲットを用いてよい。
次に、反射層112の表面に、誘電体層113を成膜する工程を実施する。誘電体層113もまた、誘電体層113を構成する元素、混合物または化合物を含むターゲットをスパッタリングすることにより成膜される。スパッタリングは、高周波電源を用いて、希ガス雰囲気中、または酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で実施してよい。可能であれば直流電源やパルス発生式直流電源を用いてもよい。希ガスは、Arガス、Krガス、Xeガスのいずれでもよい。
誘電体層113を成膜するターゲットとしては、酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、もしくは弗化物、またはこれらの混合物から成るターゲットを用いることができ、誘電体層113の材料を形成できるようにターゲットの材料および組成を決める。スパッタリング装置によっては、ターゲットの組成と形成される誘電体層の組成が一致しない場合もある。その場合、ターゲットの組成を調整して、目標の組成の誘電体層113を得ることができる。また、酸化物を含む誘電体層を形成する際には、スパッタリング中に酸素が欠損する場合があるので、酸素欠損を抑えたターゲットを用いてよく、あるいは、10体積%以下の少量の酸素ガスを希ガスに混合した雰囲気中でスパッタリングしてよい。また、金属、半金属及び半導体材料のターゲットを用いて、10体積%以上の酸素ガスおよび/または窒素ガスを希ガスに混合した雰囲気中で、反応性スパッタリングにより誘電体層113を形成してもよい。
あるいは、誘電体層113は、1つの化合物から成る複数のターゲットを複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって、形成することもできる。また、誘電体層113は、2以上の化合物を組み合わせた2元系ターゲットや3元系ターゲットなどを複数用意し、これらを複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。これらのターゲットを使用する場合でも、スパッタリングは、希ガス雰囲気中、または酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で実施してよい。
次に、誘電体層113の表面に、界面層114を成膜する工程を実施する。界面層114もまた、界面層114を構成する元素、混合物または化合物を含むターゲットをスパッタリングすることにより成膜される。スパッタリングは、高周波電源を用いて、希ガス雰囲気中、または酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で実施してよい。可能であれば直流電源やパルス発生式直流電源を用いてもよい。希ガスは、Arガス、Krガス、Xeガスのいずれでもよい。
界面層114を成膜するターゲットとしては、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含むターゲットを用いることができる。あるいは、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含むターゲットを用いることができる。界面層114を成膜するターゲットは、さらにTa−O、Al−O、Si−O、Zr−O、Hf−O、Dy−OおよびLa−Fより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含んでよい。あるいは、界面層114を成膜するターゲットは、Ta、Al、SiO、ZrO、HfO、DyおよびLaFより選ばれる少なくとも一つの化合物をさらに含んでよい。
ターゲットの材料および組成は、所望の組成の界面層114を形成できるように、決める。スパッタリング装置によっては、ターゲットの組成と形成される界面層の組成が一致しない場合もある。その場合はターゲットの組成を調整して、目標の組成の界面層114を得ることができる。また、酸化物を含む界面層を形成する際には、スパッタリング中に酸素が欠損する場合があるので、酸素欠損を抑えたターゲットを用いてよく、あるいは、10体積%以下の少量の酸素ガスを希ガスに混合した雰囲気中でスパッタリングしてよい。
あるいは、金属、半金属及び半導体材料のターゲットを用いて、10体積%以上の多めの酸素ガスおよび/または窒素ガスを希ガスに混合した雰囲気中で、反応性スパッタリングにより界面層114を形成してもよい。
あるいは、界面層114は、各化合物から成るターゲットを複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって、形成することもできる。また、界面層114は、2以上の化合物を組み合わせた2元系ターゲットや3元系ターゲットなどを複数用意し、これらを、複数の電源を用いて、同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。これらのターゲットを使用する場合でも、スパッタリングは、希ガス雰囲気中、または酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で実施してよい。
次に、界面層114の表面に、本発明の記録層115を成膜する工程を実施する。SbとSiとを含む記録層115を成膜する場合、SbとSiとを含むターゲットを、直流電源を用いて、希ガス雰囲気中でスパッタリングすることにより、記録層115は成膜される。高周波電源やパルス発生式直流電源を用いてもよい。あるいは、SbターゲットおよびSiターゲットをそれぞれ電源に接続して、希ガス雰囲気中で同時にスパッタリングすることによって、記録層115を形成することができる。スパッタリングは直流電源を用いて実施してもよいし、高周波電源またはパルス発生式直流電源を用いて実施してもよい。希ガスは、Arガス、Krガス、およびXeガスのいずれでもよい。
記録層115は、式(2):
Sb100−x−ySi (2)
(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)
で表される材料を含む層として、形成することができる。
そのような記録層115は、Sb−Si−Lを含むターゲットを用いて形成してよい。Sb−Si−Lを含むターゲットを用いる場合、スパッタリング装置によってはターゲットの組成と形成される記録層の組成が一致しない場合もある。その場合、Sb−Si−Lを含むターゲットの組成を調整して、式(2)の組成の記録層115を得ることができる。あるいは、複数のターゲットを、同時スパッタリングする場合には、個々の電源の出力を調整して、組成を制御することにより、式(2)の組成の記録層115を得ることができる。
あるいは、式(2)で表される材料を含む記録層115は、反応性スパッタリングにより形成されてよい。その場合には、ターゲットの組成調整もしくは電源の出力調整に加えて、酸素ガスおよび/または窒素ガスの流量、圧力、ならびに希ガスとの流量比および圧力比を調整することにより、式(2)の組成の記録層115を得ることができる。
SbとSiを含み、さらに、元素Lとして、融点200℃以上のB、C、Mg、Al、Ge、Ag、Sn、Te、Au及びBiから選択される少なくとも一つの元素を含む記録層115は、Sb−Si−L(SbとSiとLを含む)ターゲットをスパッタ室に取り付けて、スパッタリングすることによって、成膜され得る。あるいは、組成比の異なるSb−Si−Lターゲットを2以上スパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。あるいは、Sbターゲット、SiターゲットおよびLターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。
あるいは、Sb−Siターゲット、SbターゲットおよびLターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。あるいは、Sb−SiターゲットとLターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。あるいは、Sb−LターゲットとSiターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。あるいは、SbターゲットとSi−Lターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。
上記のターゲットを用いる場合、スパッタリングは、希ガス雰囲気中で実施してよい。希ガスは、Arガス、Krガス、およびXeガスのいずれでもよい。さらに、記録層115がNおよび/またOを含むべき場合、酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングにより記録層115を成膜してもよい。
SbとSi含み、さらに、元素Lとして、融点200℃未満のS、GaおよInのうち少なくとも一つの元素を含む記録層115を成膜する場合、Sb−Si−Lを含むターゲットをスパッタ室に取り付けて、スパッタリングすることによって、記録層115を成膜することができる。あるいは、組成比の異なる2以上のSb−Si−Lターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。あるいは、Sb−LターゲットとSiターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。あるいは、SbターゲットとSi−Lターゲットをスパッタ室に取り付けて、それらを同時にスパッタリングすることによっても、記録層115を形成することができる。
上記のターゲットを用いる場合、スパッタリングは、希ガス雰囲気中で実施してよい。希ガスは、Arガス、Krガス、およびXeガスのいずれでもよい。さらに、記録層115がNおよび/またOを含むべき場合、酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングにより記録層115を成膜してもよい。
SbとSi含み、さらに、元素Lとして、Nおよび/またOを含む記録層115を成膜する場合、Sb−Siを含むターゲットをスパッタ室に取り付けて、酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングすることにより記録層115を成膜することができる。あるいは、SbターゲットとSiターゲットをスパッタ室に取り付けて、酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で、同時に反応性スパッタリングすることにより、記録層115を形成することもできる。あるいは、Nおよび/またはO、ならびにSbおよびSiを含むターゲットを、希ガス雰囲気中、または少量の酸素ガスおよび/または少量の窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングしてよい。
いずれの方法で記録層115を形成する場合においても、上記式(2)で表される材料を含む記録層115を形成することができる。例えば、Sb−Si−Lを含むターゲットを用いる場合、スパッタリング装置によってはターゲットの組成と形成される記録層の組成が一致しない場合もあるので、Sb−Si−Lを含むターゲットの組成を調整して、式(2)の組成の材料を含む記録層115を得ることができる。あるいは、複数のターゲットを用いて、同時にスパッタリングする場合には、個々の電源の出力を調整して組成を制御することにより、式(2)の組成の材料を含む記録層115を得ることができる。あるいは、反応性スパッタリングの場合には、ターゲットの組成調整および/または電源の出力調整に加えて、酸素ガスおよび/または窒素ガスの流量および圧力、希ガスとの流量比および圧力比を調整することにより、式(2)の組成の材料を含む記録層115を得ることができる。
記録層115を成膜するためのターゲットについて説明する。ターゲットは、少なくともアンチモン(Sb)と、ケイ素(Si)とを含む。ターゲットは、さらにB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含んでもよい。そのようなターゲットをスパッタリングすることによって、SbとSiとLとを含む記録層を形成することができる。
融点の高いSiのスパッタ率は、Sbのスパッタ率に比べて低いので、ターゲットに含まれるSiの組成比は、記録層115に含まれるべきSiの組成比よりも、5%〜20%多くすることが好ましい。(ターゲットにおけるSiの組成比)−(記録層115に含まれるべきSiの組成比)は、使用するスパッタリング装置やスパッタリング条件に応じて決定する。例えば、Sb50Si50記録層を成膜するためのターゲットの組成比は、Sb47.5Si52.5〜Sb40Si60の範囲内にあってよい。記録層の組成比をX線マイクロアナライザーで分析して、記録層の組成比が目標の組成比となるように、Sb−SiもしくはSb-Si-Lターゲットの好ましい組成比を決めることができる。
B、C、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiのうち少なくとも一つと、SbとSiとを含む記録層115を成膜する場合、Sb−Si−Lターゲットをスパッタリングしてよい。さらに、記録層115がNおよび/またOを含むべき場合、酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングにより記録層115を成膜してよい。
Nおよび/またOと、SbとSiとを含む記録層115を成膜する場合、Sb−Siターゲットを、酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングにより記録層115を成膜してよい。あるいは、Nおよび/またOと、SbおよびSiを含むターゲットを、希ガス雰囲気中、または少量の酸素ガスおよび/または少量の窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングしてよい。
次に、本発明のターゲットの製造方法の一例を説明する。より具体的には、アンチモン(Sb)と、ケイ素(Si)と、アルミニウム(Al)とを含むターゲットの製造方法について説明する。所定の粒径を有する高純度なSbの粉末、Siの粉末およびAlの粉末を準備し、これらを所定の混合比になるように秤量して混合し、ホットプレス装置に入れる。ホットプレス装置を必要に応じて真空にし、所定の高い圧力と高い温度の条件下で、所定時間保持して、混合粉末を焼結させる。混合を十分に行うことにより、ターゲットの面内および厚み方向の組成が均一になる。また、圧力、温度および時間の条件を最適化することにより、充填性が向上し、高密度なターゲットを製造することが可能になる。
このようにして、SbとSiとAlとを所定の組成比で含むターゲットが完成する。焼結後、ターゲットは、必要に応じてIn等の半田を用いて、例えば表面が平滑な銅板に接着させてもよい。これにより、スパッタリング装置に取り付けてスパッタリングすることができる。ターゲットは、高い密度(粉末の充填率を示し、全く隙間無く粉末が充填されている状態を100%と定義する)を有することが好ましい。ターゲットの密度は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
ここで、ターゲットを作製するための粉末は、Sbの粉末、Siの粉末およびAlの粉末のような単体の粉末に限られず、合金または化合物の粉末であってよい。例えば、所定の粒径を有する高純度なSbの粉末と、Siの粉末と、Sb−Alの粉末とを混合してターゲットを作製してもよいし、Sbの粉末、Al−Siの粉末とを混合して、ターゲットを作製してよい。あるいは、Sb−Siの粉末とAlの粉末とを混合して、ターゲットを作製してよい。いずれの粉末の組み合わせも、上記の方法でターゲットを製造するために用いることができる。
次に、記録層115の表面に、界面層116を成膜する工程を実施する。界面層116は界面層114と同様の製造方法で実施してよい。
次に、界面層116の表面に、誘電体層117を成膜する工程を実施する。誘電体層117は誘電体層113と同様の製造方法で実施してよい。
次に、透明層102を形成する工程を説明する。誘電体層117を成膜した後、反射層112から誘電体層117まで順次積層した基板101をスパッタリング装置から取り出す。それから、誘電体層117の表面に、紫外線硬化性樹脂を例えばスピンコート法により塗布して、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、目標の厚みの透明層102を形成してよい。あるいは、誘電体層117の表面に、紫外線硬化性樹脂をスピンコート法により塗布し、塗布した紫外線硬化性樹脂に、円盤状のシートを密着させて、紫外線をシート側から照射して樹脂を硬化させることによって、透明層102を形成することもできる。あるいは、接着層を有する円盤状のシートを誘電体層117に密着させて、透明層102を形成することもできる。
透明層102は物性の異なる複数の層からなってもよい。あるいは、誘電体層117の表面に他の透明層を設けた後に、透明層102を形成してもよい。あるいは、誘電体層117の表面に透明層102を形成した後、透明層102の表面にさらにもう一層の透明層を形成してもよい。これら複数の透明層の粘度、硬度、屈折率、および透明性は、互いに異なっていてもよい。このようにして、透明層形成工程を終了させる。
透明層形成工程が終了した後は、必要に応じて初期化工程を実施する。初期化工程は、非晶質状態である記録層115に、例えば半導体レーザを照射して、結晶化温度以上に昇温して結晶化させる工程である。半導体レーザのパワー、情報記録媒体の回転速度、半導体レーザの径方向への送り速度およびレーザの焦点位置などを最適化することにより、初期化工程を良好に実施できる。初期化工程は、透明層102形成工程の前に実施してもよい。このように、反射層112を成膜する工程から透明層を形成する工程まで順次実施することにより、実施の形態1の情報記録媒体100を製造することができる。
なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いた。各層の成膜方法は、これに限定されず、他の気相法であってよい。他の気相法は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学的気相成長(CVD)法、および分子線エピタキシ(MBE)法等である。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2として、情報記録媒体の一例を説明する。図2に、情報記録媒体200の一部断面を示す。情報記録媒体200において、基板201上に成膜された第1の情報層210、中間層203、第2の情報層220および透明層202が、順に配置されている。第1の情報層210において、基板201の一方の表面に成膜された反射層212、誘電体層213、界面層214、記録層215、界面層216および誘電体層217がこの順に配置されている。第2の情報層220において、中間層203の一方の表面に成膜された誘電体層221、反射層222、誘電体層223、界面層224、記録層225、界面層226および誘電体層227が、この順に配置されている。
この形態においても、レーザ光10は、透明層202の側から入射される。第1の情報層210の情報の記録または再生は、第2の情報層220を通過したレーザ光10を用いて行う。情報記録媒体200において、情報は、2つの記録層のそれぞれに記録できる。例えば、波長405nm付近の青紫色域のレーザ光を記録再生に使用する場合、上記実施の形態1の2倍程度の50GBの容量を有する、情報記録媒体を得ることができる。情報記録媒体200も、CAV仕様の媒体として使用してよい。
光学的には、2つの情報層の実効反射率はおおよそ同等であることが好ましく、それは第1の情報層210の反射率と第2の情報層220の透過率を各々調整することにより達成される。本実施の形態では、一例として、記録層が結晶相であるときの実効反射率Rcが約5%、記録層が非晶質相であるときの実効反射率Raが約1%となるように設計した構成を説明する。実効反射率は、2つの情報層を積層した状態で測定される、各情報層の反射率であると定義する。第2の情報層220の透過率が約50%となるように設計する場合、第1の情報層210はそれのみで、約20%のRc、約4%のRaを有するように設計され、第2の情報層220はそれのみで、約5%のRc、約1%のRaを有するように、設計される。
まず、第1の情報層210の構成を説明する。基板201および第1の情報層210の反射層212から誘電体層217までの層は、実施の形態1の基板101および情報層110の反射層112から誘電体層117までの層と同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
中間層203は、レーザ光10の第2の情報層220における焦点位置と、レーザ光の第1の情報層210における焦点位置とを分離する機能を有する。必要に応じて、第2の情報層220のための案内溝が、中間層203に形成されてよい。中間層203は、紫外線硬化性樹脂(例えば、アクリル系樹脂、またはエポキシ系樹脂)で形成することができる。中間層203は、レーザ光10が効率よく第1の情報層210に到達するよう、記録再生する波長λの光に対して透明であることが望ましい。
中間層203の厚さは、1)対物レンズの開口数とレーザ光波長により決定される焦点深度以上であり、2)記録層215及び記録層225間の距離が、対物レンズの集光可能な範囲内であり、3)透明層202の厚さと合わせて、使用する対物レンズが許容できる基板厚公差内にあるように、選択することが好ましい。したがって、中間層203の厚さは10μm以上40μm以下であることが好ましい。中間層203は、必要に応じて、樹脂層を複数積層して構成してよい。たとえば、中間層203は、誘電体層217を保護する層と案内溝を有する層とを含む2以上の層で構成してよい。
次に、第2の情報層220の構成について説明する。第2の情報層220は、レーザ光10が第1の情報層210に到達し得るように、高透過率となるように設計される。具体的には、記録層225が結晶相であるときの第2の情報層220の光透過率をTc(%)、記録層225が非晶質相であるときの第2の情報層220の光透過率をTa(%)としたとき、40%≦(Ta+Tc)/2、となることが好ましい。
誘電体層221は、第2の情報層220の光透過率を高める機能を有する。材料は、透明で、波長405nmのレーザ光10に対して、2.4以上の屈折率を有することが好ましい。誘電体層221の屈折率が小さいほど、第2の情報層220の反射率比Rc/Raは大きくなり、光透過率は小さくなる。4以上の反射率比と50%以上の光透過率が得られる屈折率は、2.4以上である。よって、屈折率が2.4未満であると、第2の情報層220の光透過率が低下して、第1の情報層210に十分なレーザ光10が到達し得ない。
誘電体層221は、例えば、ZrO、Nb、Bi、CeO、TiO、およびWOから選択される少なくとも一つの酸化物を含む材料を用いて形成してよい。特に、TiOは、屈折率が2.7と高く、耐湿性にも優れていることから好ましく用いられる。あるいは、ZrO、Nb、Bi、CeO、TiO、およびWOから選択される少なくとも一つの酸化物を50mol%以上含む材料を使用してもよい。例えば、(ZrO80(Cr20、(Bi60(SiO40、(Bi60(TeO40、(CeO50(SnO50、(TiO50(HfO50、(WO75(Y25、(Nb50(MnO)50、(Al50(TiO50等(括弧の後の添え字はmol%で示される組成比を表す)を用いてよい。
あるいは、ZrO、Nb、Bi、CeO、TiOおよびWOから選択される少なくとも2つの酸化物を混合した材料を使用して、誘電体層221を形成してよい。例えば、BiTi11((TiO80(Bi20)、BiTi12((TiO60(Bi40)、Bi12TiO20、(WO50(Bi50、(TiO50(Nb50、(CeO50(TiO50、(ZrO50(TiO50、(WO67(ZrO33等(括弧の後の添え字はmol%で示される組成比を表す)を用いてよい。
光学的計算によれば、誘電体層221の膜厚が、λ/8n(nm)(λはレーザ光の波長、nは誘電体層221の屈折率)またはそれに近い値であると、第2の情報層220の透過率が最大となる。反射率コントラスト(Rc−Ra)/(Rc+Ra)は、誘電体層221の膜厚が(λ/16n)以上(λ/4n)以下の範囲内にあると、最大となる。よって、これらの条件を満たすように、誘電体層221の膜厚は選ばれることが好ましい。誘電体層221の膜厚は、具体的には、9nm以上42nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。誘電体層221は2以上の層からなってもよい。
反射層222は、記録層225の熱を速やかに拡散させる機能を有する。また、上記のように、第2の情報層220は高い光透過率を要するため、反射層222での光吸収は小さいことが望ましい。よって、反射層212と比較して、反射層222の材料及び厚さはより限定される。反射層222は、より小さい厚さを有することが好ましい。また、反射層222は、光学的には小さい消衰係数を有し、熱的には大きい熱伝導率を有する材料で形成されることが好ましい。
具体的には、反射層222は、好ましくは、AgまたはAg合金で形成される。Ag合金は、例えば、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Ga、Ag−Ga−Cu、Ag−Cu、およびAg−In−Cu等である。あるいは、AgもしくはAg−Cuに希土類金属を添加した材料を用いて、反射層222を形成してもよい。特に、Ag−Pd−Cu、Ag−Ga−Cu、またはAg−Cu、Ag−In−Cuは、光吸収が小さく、熱伝導率が大きく、耐湿性にも優れていることから好ましく用いられる。
反射層222の膜厚は、記録層の膜厚を考慮して調整され、好ましくは7nm以上20nm以下である。反射層222が7nmよりも薄いと、熱を拡散させる機能が低下して、記録層225にマークが形成されにくくなる。また、記録層222が20nmよりも厚いと、第2の情報層220の光透過率が40%に満たなくなる。
誘電体層223および227は、光路長ndを調節して、第2の情報層220のRc、Ra、TcおよびTaを調節する機能を有する。例えば、40%≦(Ta+Tc)/2、5%≦Rc、Ra≦1%を満足するように、誘電体層223及び誘電体層227の光路長ndをマトリクス法に基づく計算により厳密に決定することができる。屈折率が2〜3である誘電体材料で誘電体層223及び227を形成する場合、誘電体層227の厚さは好ましくは10nm以上80nm以下であり、より好ましくは20nm以上60nm以下である。また、誘電体層223の厚さは、好ましくは3nm以上40nm以下であり、より好ましくは5nm以上30nm以下である。
誘電体層223および227のための材料は、実施の形態1の誘電体層113および117のための材料と同様である。この実施の形態において、反射層222がAgまたはAg合金で形成される場合、誘電体層223は、硫化物またはZnを含まないことが好ましい。一方、誘電体層227は、透明性の高いZnS−SiOで形成されることが好ましい。
本発明の、界面層224および界面層226は、実施の形態1における界面層114および116と同様の機能を有し、好ましい膜厚も界面層114および116の好ましい膜厚と同様である。実施の形態1と同様、SbとSiとを含む記録層225に隣接する界面層224と界面層226は、特定の組み合わせを含む界面層Aであることが好ましい。また、界面層224を構成するのに適した材料は、界面層114を構成するのに適した材料と同様であり、界面層226を構成するのに適した材料は、界面層116を構成するのに適した材料と同様である。界面層224が上記の誘電体層223としても機能する場合には、誘電体層223は必ずしも設ける必要はない。同様に、界面層226が上記の誘電体層227としても機能する場合には、誘電体層227は必ずしも設ける必要はない。
例えば、情報層220は、中間層203上に、誘電体層221、反射層222、界面層224、記録層225、界面層226および誘電体層227が、この順に配置されてなる構成であってもよいし、誘電体層221、反射層222、界面層224、記録層225および界面層226が、この順に配置されてなる構成であってもよい。あるいは、情報層220は、誘電体層221、反射層222、誘電体層223、界面層224、記録層225および界面層226が、この順に配置されてなる構成であってもよい。誘電体層223および誘電体層227は、必要に応じて設けることができる。
記録層225は、光の照射により相変化を生じ得る。記録層225もまた、SbとSiとを含む。各元素の機能は、実施の形態1に関連して説明したとおりである。また、既に述べたように、第2の情報層220は高い光透過率を要するため、記録層225の膜厚は記録層215の膜厚よりも一般には薄くなり、具体的には、4nm以上10nm以下であることが好ましい。記録層225の膜厚が10nmを超えると、第2の情報層220の光透過率が低下し、4nm未満であると、記録層225の光学的変化が小さくなる。記録層は、膜厚が薄くなると結晶化速度が低下するため、記録層225を構成する材料の組成比は、より大きな結晶化速度を有するように選択することが好ましい。
具体的には、記録層225に含まれる材料を式Sb100−xSi(式中、xは、原子%で表される組成比を示す)で示したときに、xは40以下であることが好ましい。記録層225に含まれる材料において、Siの割合が40原子%以下であれば、例えば4倍速に相当する転送レートに対応できる結晶化速度が確保でき、良好な記録消去特性が得られる。また、低転送レートでの非晶質状態の安定性を確保するために、xは20以上であることが好ましい。Siの組成比xは、転送レートに対して最適となるように選ぶことができる。また、xが3以上であると、200℃を超える高い結晶化温度を得ることができる。
あるいは、本発明の記録層225は、Sb100−x−ySi(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)で表される材料を含んでよい。元素Lおよびより好ましい元素Lは、実施の形態1に関連して説明したとおりである。SiとLを合わせた組成比は、40原子%以下であることが好ましい(即ち、x+y≦40)。SiとLを合わせた組成比が40原子%を超えると、記録層225の結晶化速度が低下し、例えば4倍速に相当する転送レートでの結晶化が不十分となり、記録消去特性が悪化する。また、低転送レートでの非晶質状態の安定性を確保するために、本実施の形態では、SiとLを合わせた組成比は、20原子%以上であることが好ましい。SiとLの組成は、転送レートに対して最適となるように選んでよい。大きな光学的変化と大きな結晶化速度を維持するために、xおよびyは、x≧yを満たすことが好ましい。記録層225の具体的な組成は、Sb−Si−B等、記録層115に関連して説明したとおりである。
Sb、Si、および場合により元素Lを含む記録層は、少なくとも一つの情報層に含まれていればよい。例えば、本実施の形態のように、記録層215と225の両方が、前記特定の元素を含む記録層であってよいし、記録層225が前記特定の元素を含む記録層であって、記録層215が従来の記録材料を用いて形成された記録層であってよい。
前記特定の元素を含む記録層は、大きな光学的変化と大きな結晶化速度を有しているので、記録層の膜厚が薄くても十分な光学的変化と結晶化速度を確保できる。よって、レーザ入射側に設けられた記録層225が前記特定の元素を含む記録層であると、より優れた性能を有する第2の情報層220が得られる。
従来の記録材料としては、GeTe−SbTe、GeTe−BiTe、GeTe−SnTe−SbTe、GeTe−SnTe−BiTe、GeTe−BiTe−InTe、GeTe−SnTe−BiTe−InTe、GeTe−SbTe、GeTe−SnTe−SbTe、GeTe−SnTe−SbTe−BiTe、GeTe−SnTe、GeTe−SnTe−BiTe、GeTe−BiTeなどの化合物組成を含む材料、あるいはSbを50%以上含むGe−Sb、Ga−Sb、In−Sb、Sb−Te、Sb−Te−Geなどを含む材料が挙げられる。
あるいは、記録層215が前記特定の元素を含む記録層である場合には、第2の情報層は、再生専用型情報層もしくは追記型情報層であってよい。記録層225が前記特定の元素を含む記録層である場合には、第1の情報層は、再生専用型情報層もしくは追記型情報層であってよい。追記型情報層において、記録層は、Te−O、Sb−O、Ge−O、Sn−O、In−O、Zn−O、Mo−OおよびW−O等のうち少なくとも一つを含む酸化物、2以上の層を積層して記録時に合金化もしくは反応させる材料、または有機色素系記録材料などを用いて形成してよい。再生専用型情報層は、あらかじめ形成された記録ピット上に、反射層を形成して構成され、反射層は、金属元素、金属合金、誘電体、誘電体化合物、半導体元素、および半金属元素から選択される少なくとも一つを含む材料で形成してよい。たとえば、AgまたはAg合金を含む反射層を形成してよい。
透明層202は、実施の形態1の基板101同様、円盤状で、透明且つ表面の平滑なものであることが好ましい。透明層202は、実施の形態1の透明層102と同様の機能を有し、同様の材料を用いて形成することができる。透明層202の表面から第1の情報層210の記録層215までの距離は、80μm以上120μm以下であることが好ましく、90μm以上110μm以下であることがより好ましい。例えば、中間層203の厚さは25μmであってよく、その場合、透明層202の厚さが75μmであってよい。あるいは、中間層203の厚さは20μmであってよく、その場合、透明層202の厚さは70μmであってよい。あるいは、中間層203の厚さは30μmであってよく、その場合、透明層202の厚さは80μmであってよい。透明層202の膜厚は40μm以上110μm以下であるこがが好ましく、50μm以上100μm以下であることがより好ましい。
続いて、実施の形態2の情報記録媒体200を製造する方法を説明する。情報記録媒体200は、支持体となる基板201上に第1情報層210、中間層203、第2情報層220、および透明層202を順に形成して、製造する。
まず、案内溝(グルーブ面とランド面)が形成された基板201をスパッタリング装置に配置し、基板201の案内溝が形成された表面に、反射層212を成膜する工程から誘電体層217を成膜する工程までを、実施の形態1の反射層112を成膜する工程から誘電体層117を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第1情報層210が基板201上に形成される。
第1の情報層210を形成した基板201を、スパッタリング装置から取り出し、中間層203を形成する。中間層203は次の手順で形成される。まず、誘電体層217の表面に、紫外線硬化性樹脂を例えばスピンコートにより塗布する。次に、中間層に形成すべき案内溝と相補的である凹凸を有するポリカーボネート基板の凹凸形成面を、紫外線硬化性樹脂に密着させる。その状態で紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、凹凸を有するポリカーボネート基板を剥離する。それにより、前記凹凸に相補的な形状の案内溝が紫外線硬化性樹脂に形成されて、形成すべき案内溝を有する中間層203が形成される。基板201に形成された案内溝と中間層203に形成された案内溝の形状は、同様であってもよいし、異なっていてもよい。
別法において、中間層203は、誘電体層217を保護する層を紫外線硬化性樹脂で形成し、その上に案内溝を有する層を形成することにより、形成してよい。その場合、得られる中間層は2層構造である。あるいは、中間層は3以上の層を積層して構成してよい。また、中間層203は、スピンコート工法以外の工法、例えば、印刷工法、インクジェット工法またはキャスティング工法により形成してもよい。
中間層203まで形成した基板201を再びスパッタリング装置に配置して、中間層203の案内溝を有する面に、誘電体層221を成膜する。誘電体層221もまた、誘電体層221を構成する元素、混合物または化合物を含むターゲットをスパッタリングすることにより成膜される。スパッタリングは、高周波電源を用いて、希ガス雰囲気中、または酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で実施してよい。可能であれば直流電源やパルス発生式直流電源を用いてもよい。希ガスは、Arガス、KrガスおよびXeガスのいずれでもよい。
誘電体層221を成膜するターゲットとしては、Zr−O、Nb−O、Bi−O、Ce−O、Ti−O、およびW−Oから選択される少なくとも一つの組み合わせを含む材料から成るターゲットを用いることができる。そのようなターゲットは、Zr−O、Nb−O、Bi−O、Ce−O、Ti−O、およびW−Oから選択される少なくとも一つの組み合わせを化合物として50mol%以上含む材料から成るものであってよい。誘電体層221の材料を形成できるようにターゲットの材料および組成を決める。スパッタリング装置によっては、ターゲットの組成と形成される誘電体層の組成が一致しない場合もある。その場合、ターゲットの組成を調整して、目標の組成の誘電体層221を得ることができる。また、酸化物を含む誘電体層を形成する場合には、スパッタリング中に酸素が欠損する場合があるので、酸素欠損を抑えたターゲットを用いてよく、あるいは10体積%以下の少量の酸素ガスを希ガスに混合した雰囲気中でスパッタリングしてよい。また、金属、半金属及び半導体材料のターゲットを用いて、10体積%以上の酸素ガスを希ガスに混合した雰囲気中、または酸素ガスと窒素ガスを希ガスに混合した雰囲気中で、反応性スパッタリングにより誘電体層221を形成してもよい。
あるいは、誘電体層221は、1つの化合物から成る複数のターゲットを複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって、形成することもできる。また、誘電体層221は、2以上の化合物を組み合わせた2元系ターゲットや3元系ターゲットなどを複数用意し、これらを複数の電源を用いて同時にスパッタリングすることによって形成することもできる。これらのターゲットを使用する場合でも、スパッタリングは、希ガス雰囲気中、または酸素ガスおよび/または窒素ガスと希ガスとの混合ガス雰囲気中で実施してよい。
続いて、誘電体層221の表面に、反射層222を成膜する工程から誘電体層227を成膜する工程までを、実施の形態1の反射層112を成膜する工程から誘電体層117を成膜する工程までと同様にして実施する。
留意すべき点は、既に述べたように、反射層222の好ましい膜厚が5nm以上15nm以下と薄いため、反射層222を成膜する工程では、電源の出力は反射層112を成膜する場合よりも小さくしてもよい点である。また、記録層225の好ましい膜厚が4nm以上10nm以下と小さいため、記録層225を成膜する工程では、電源の出力は記録層115を成膜する場合よりも小さくしてもよい。このようにして、第2の情報層220が中間層203上に形成される。
第2の情報層220まで形成した基板201をスパッタリング装置から取り出す。それから、誘電体層227の表面に、実施の形態1の透明層102を形成する工程と同様にして、透明層202を形成し、透明層202形成工程を終了させる。
透明層202形成工程が終了した後は、必要に応じて、第1の情報層210及び第2の情報層220の初期化工程を実施する。初期化工程は、中間層203を形成する前もしくは後に、第1の情報層210について実施し、透明層202を形成する前もしくは後に、第2の情報層220について実施してよい。あるいは、透明層202を形成する前もしくは後に、第1の情報層210および第2の情報層220について初期化工程を実施してもよい。このようにして、実施の形態2の情報記録媒体200を製造することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、情報記録媒体の一例を説明する。図3に、その情報記録媒体300の一部断面を示す。情報記録媒体300において、基板301上に成膜された第1の情報層310、中間層303、第2の情報層320、中間層304、第3の情報層330および透明層302が、順に配置されている。第1の情報層310において、基板301の一方の表面に成膜された反射層312、誘電体層313、界面層314、記録層315、界面層316および誘電体層317がこの順に配置されている。第2の情報層320において、中間層303の一方の表面に成膜された誘電体層321、反射層322、誘電体層323、界面層324、記録層325、界面層326および誘電体層327がこの順に配置されている。第3の情報層330において、中間層304の一方の表面に成膜された誘電体層331、反射層332、誘電体層333、界面層334、記録層335、界面層336および誘電体層337がこの順に配置されている。
この形態においても、レーザ光10は、透明層302の側から入射される。第1の情報層310の情報の記録再生は、第3の情報層330および第2の情報層320を通過したレーザ光10を用いて行う。情報記録媒体300において、情報は、3つの記録層のそれぞれに記録できる。例えば、波長405nm付近の青紫色域のレーザ光を記録再生に使用する場合、上記実施の形態1の3倍程度の75GBの容量を有する情報記録媒体を得ることができる。あるいは、記録密度を高めて1情報層あたりの容量を約33GBにすれば、100GBの容量を有する情報記録媒体を得ることができる。情報記録媒体300も、CAV仕様の媒体として使用してよい。
光学的には、3つの情報層の実効反射率はおおよそ同等であることが好ましく、それは第1、第2および第3の情報層の反射率と、第2および第3の情報層の透過率を各々調整することにより達成される。本実施の形態では、一例として、記録層が結晶相であるときの実効反射率Rcが約2.5%、記録層が非晶質相であるときの実効反射率Raが約0.5%となるように設計した構成を説明する。第3の情報層330の透過率((Tc+Ta)/2)が約65%、第2の情報層320の透過率が約55%となるように、3つの情報層を設計する場合、第1の情報層310はそれのみで約20%のRc、約4%のRaを有するように設計され、第2の情報層320はそれのみで約6%のRc、約1.2%のRaを有するように設計され、第3の情報層330はそれのみで約2.5%のRc、約0.5%のRaを有するように、設計される。
次に、基板301、中間層303、中間層304および透明層302の機能、材料および厚みについて説明する。基板301は、実施の形態1の基板101と同様の機能を有する。基板301の形状および材料は、基板101のそれらと同様である。
中間層303は、レーザ光10の第2の情報層320における焦点位置と、レーザ光10の第1の情報層310における焦点位置とを分離する機能を有する。必要に応じて、第2の情報層320のための案内溝が、中間層303に形成されてよい。同様に、中間層304は、レーザ光10の第3の情報層330における焦点位置と、レーザ光10の第2の情報層320における焦点位置とを分離する機能を有する。必要に応じて、第3の情報層320のための案内溝が、中間層304に形成されてよい。中間層303および304は、いずれも紫外線硬化性樹脂で形成することができる。透明層302は、実施の形態1の透明層102と同様の機能を有し、同様の材料を用いて形成することができる。
透明層302の表面から第1の情報層310の記録層315までの距離は、実施の形態2同様、80μm以上120μm以下となることが好ましい。さらに、第1の情報層、第2の情報層および第3の情報層からの信号の再生、これら情報層への信号の記録、これらの情報層の信号の消去および書換えが、互いに他の情報層の影響を受けずに良好に行えるよう、中間層303と304の膜厚は異なることが好ましい。各中間層の膜厚は、3μm以上30μm以下の範囲から選ばれることが好ましく、10μm以上30μm以下の範囲から選ばれることがより好ましい。
例えば、透明層302の表面から記録層315までの距離が100μmとなるように、中間層303、中間層304、および透明層302の膜厚を選択してよい。一例として、中間層303の膜厚を23μmとし、中間層304の膜厚を14μmとし、透明層302の膜厚を63μmとしてよい。あるいは、順に、中間層303の膜厚を16μmとし、中間層304の膜厚を24μmとし、透明層302の膜厚を60μmとしてよい。透明層302の膜厚は20μm以上100μm以下であることが好ましく、30μm以上80μm以下であることがより好ましい。本実施の形態においても、中間層は。情報層を保護する層と案内溝を有する層とを含む、2以上の層で構成してよい。
まず、第1の情報層310の構成を説明する。第1の情報層310の反射層312から誘電体層317は、実施の形態1の情報層110の反射層112から誘電体層117と同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
続いて、第2の情報層320の構成について説明する。第2の情報層320は、レーザ光10が第1の情報層310に到達し得るように、高透過率となるように設計される。誘電体層321は、実施の形態2における誘電体層221と同様の機能を有し、誘電体層221の材料として例示した材料で形成してよい。第2の情報層320において、4以上の反射率比と55%以上の光透過率が得られるよう、誘電体層321の膜厚は2nm以上30nm以下であることが好ましい。
反射層322は、実施の形態2における反射層222と同様の機能を有する。反射層322は、反射層222の材料として例示した材料で形成してよい。膜厚は5nm以上18nm以下であることが好ましい。反射層322の膜厚が5nmよりも薄いと、熱を拡散させる機能が低下して記録層325にマークが形成されにくくなる。また、反射層322の膜厚が18nmよりも厚いと、第2の情報層320の光透過率が50%に満たなくなる。
誘電体層323および327は、実施の形態2における誘電体層223および227と同様の機能を有する。誘電体層323および32は、誘電体層223および227の材料(即ち、誘電体層113および117の材料として例示した材料)で形成してよい。屈折率が2〜3である誘電体材料で誘電体層323及び327を形成する場合、誘電体層327の厚さは好ましくは10nm以上80nm以下であり、より好ましくは20nm以上60nm以下である。また、誘電体層323の厚さは、好ましくは2nm以上40nm以下であり、より好ましくは3nm以上30nm以下である。
界面層324および界面層326は、実施の形態1における界面層114および116と同様の機能を有し、好ましい膜厚も界面層114および116の好ましい膜厚と同様である。実施の形態1と同様、SbとSiとを含む記録層325に隣接する界面層324と界面層326は、特定の組み合わせを含む界面層Aであることが好ましい。また、界面層324を構成するのに適した材料は、界面層114を構成するのに適した材料と同様であり、界面層326を構成するのに適した材料は、界面層116を構成するのに適した材料と同様である。界面層324が上記の誘電体層323としても機能する場合には、誘電体層323は必ずしも設ける必要はない。同様に、界面層326が上記の誘電体層327としても機能する場合には、誘電体層327は必ずしも設ける必要はない。
記録層325は、光の照射により相変化を生じ得る。記録層325もまた、SbとSiとを含む。各元素の機能は、実施の形態1に関連して説明したとおりである。また、第2の情報層320は55%以上の光透過率を要するため、記録層325の膜厚は3nm以上9nm以下であることが好ましい。記録層325の膜厚が、9nmを超えると、第2の情報層320の光透過率が低下し、3nm未満であると、記録層325の光学的変化が小さくなる。記録層は、膜厚が薄くなると結晶化速度が低下するため、記録層325を構成する材料の組成比は、より大きな結晶化速度を有するように選択することが好ましい。
記録層325に含まれる材料を式Sb100−xSi(式中、xは、原子%で表される組成比を示す)で示したときに、xは15以上35以下であることが好ましい。記録層325に含まれる材料において、xがこの範囲内にあれば、例えば4倍速に相当する転送レートで良好な記録消去特性が得られ、低転送レートでの非晶質状態の安定性を確保できる。Siの組成比は、転送レートに対して最適となるように選ぶことができる。
また、記録層325は、Sb100−x−ySi(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす)材料を含んでよい。元素Lおよびより好ましい元素Lは、実施の形態1に関連して説明したとおりである。SiとLを合わせた組成比は、15原子%以上35原子%以下であることが好ましい。また、xおよびyは、x≧yを満たすことが好ましい。記録層325の具体的な組成は、Sb−Si−B等、記録層115と同様である。
続いて、第3の情報層330の構成について説明する。第3の情報層330は、レーザ光10が第1の情報層310および第2の情報層320に到達し得るように、第2の情報層320よりも高透過率となるように設計される。誘電体層331は、誘電体層321と同様の機能を有し、誘電体層321と同様の材料で形成してよい。第3の情報層330において、4以上の反射率比と65%以上の光透過率が得られるよう、誘電体層321の膜厚は2nm以上30nm以下であることが好ましい。
反射層332は、反射層322と同様の機能を有し、反射層322と同様の材料で形成してよい。反射層322の膜厚は5nm以上20nm以下であることが好ましい。反射層322の膜厚が5nmよりも薄いと、熱を拡散させる機能が低下して記録層335にマークが形成されにくくなる。また、反射層322の膜厚が20nmよりも厚いと、第3の情報層330の光透過率が60%に満たなくなる。
誘電体層333および337は、誘電体層323および327と同様の機能を有し、誘電体層323および327と同様の材料で形成してよい。誘電体層333および337の好ましい膜厚は、誘電体層323および327のそれと同様である。
界面層334および界面層336は、実施の形態1における界面層114および116と同様の機能を有し、好ましい膜厚も界面層114および116の好ましい膜厚と同様である。実施の形態1同様、SbとSiとを含む記録層335に隣接する界面層334と336は、特定の組み合わせを含む界面層Aであることが好ましい。また、界面層334を構成するのに適した材料は、界面層114を構成するのに適した材料と同様であり、界面層336を構成するのに適した材料は、界面層116を構成するのに適した材料と同様である。界面層334が上記の誘電体層333としても機能する場合には、誘電体層333は必ずしも設ける必要はない。同様に、界面層336が上記の誘電体層337として機能する場合には、誘電体層337は必ずしも設ける必要はない。
記録層335は、光の照射により相変化を生じ得る。記録層335もまた、SbとSiとを含む。各元素の機能は、実施の形態1に関連して説明したとおりである。また、第3の情報層330は65%以上の光透過率を要するため、記録層335の膜厚は2nm以上7nm以下であることが好ましい。記録層335の膜厚が、7nmを超えると第3の情報層330の光透過率が低下し、2nm未満であると記録層335の光学的変化が小さくなる。記録層は、膜厚が薄くなると結晶化速度が低下するため、記録層335を構成する材料の組成比は、より大きな結晶化速度を有するように選択することが好ましい。
記録層335に含まれる材料を式Sb100−xSi(式中、xは、原子%で表される組成比を示す)で示したときに、xは10%以上35%以下であることが好ましい。記録層335に含まれる材料において、xがこの範囲であれば、例えば4倍速に相当する転送レートで良好な記録消去特性が得られ、低転送レートでの非晶質状態の安定性を確保できる。Siの組成比は、転送レートに対して最適となるように選ぶことができる。
また、記録層335は、Sb100−x−ySi(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)で表される材料を含んでよい。元素Lおよびより好ましい元素Lは、実施の形態1に関連して説明したとおりである。SiとLを合わせた組成比は、10原子%以上35原子%以下が好ましい。また、xおよびyは、x≧yを満たすことが好ましい。記録層325の具体的な組成は、Sb−Si−B等、記録層115と同様である。
なお、実施の形態2同様、Sb、Si、および場合により元素Lを含む記録層は、少なくとも一つの情報層に含まれていればよい。例えば、記録層325と335が、前記特定の元素を含む記録層である場合には、記録層315は従来の書換え型記録層であってよい。従来の書換え型記録層を構成する材料は、実施の形態2に関連して説明したとおりである。あるいは、記録層335と325が、前記特定の元素を含む記録層である場合には、情報層310は再生専用型情報層もしくは追記型情報層であってよい。追記型情報層と再生専用型情報層の記録層の材料は、実施の形態2に関連して説明したとおりである。前記特定の元素を含む記録層は、大きな光学的変化と大きな結晶化速度を有しているので、記録層の膜厚が薄くても十分な光学的変化と結晶化速度を確保できる。よって、レーザ入射側に設けられた記録層325および335が前記特定の元素を含む記録層であると、より優れた性能を有する第2の情報層320および第3の情報層330が得られる。
続いて、実施の形態3の情報記録媒体300を製造する方法を説明する。情報記録媒体300は、支持体となる基板301上に第1情報層310、中間層303、第2情報層320、中間層304、第3情報層330、透明層302を順に形成して、製造する。
まず、案内溝(グルーブ面とランド面)が形成された基板301をスパッタリング装置に配置し、基板301の案内溝が形成された表面に、反射層312を成膜する工程から誘電体層317を成膜する工程までを、実施の形態1の反射層112を成膜する工程から誘電体層117を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第1情報層310が基板301上に形成される。
第1の情報層310を形成した基板301を、スパッタリング装置から取り出し、中間層303を形成する。中間層303を形成する工程は、実施の形態2の中間層203を形成する工程と同様にして実施される。中間層303まで形成した基板301を再びスパッタリング装置に配置して、中間層303の案内溝を有する面に、誘電体層321を成膜する工程から誘電体層327を成膜する工程までを、実施の形態2の誘電体層221を成膜する工程から誘電体層227を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第2情報層320が中間層303上に形成される。第2の情報層320まで形成した基板301を、スパッタリング装置から取り出し、中間層303と同様にして、中間層304を形成する。
中間層304まで形成した基板301を再びスパッタリング装置に配置して、中間層304の案内溝を有する面に、誘電体層331を成膜する工程から誘電体層337を成膜する工程までを、上述の誘電体層321を成膜する工程から誘電体層327を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第3情報層330が中間層304上に形成される。
第3の情報層330まで形成した基板301をスパッタリング装置から取り出す。それから、誘電体層337の表面に、実施の形態1の透明層102を形成する工程と同様にして、透明層302を形成し、透明層302形成工程を終了させる。
透明層302形成工程が終了した後は、必要に応じて、第1の情報層310、第2の情報層320及び第3の情報層330の初期化工程を実施する。初期化工程は、中間層303を形成する前もしくは後に、第1の情報層310について実施し、中間層304を形成する前もしくは後に、第2の情報層320について実施し、透明層302を形成する前もしくは後に、第3の情報層330について実施してよい。あるいは、透明層302を形成する前もしくは後に、第1の情報層310、第2の情報層320および第3の情報層330について初期化工程を実施してもよい。本発明の効果は、初期化工程の実施順にかかわらず得られる。このようにして、実施の形態3の情報記録媒体300を製造することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4として、情報記録媒体の一例を説明する。図4に、その情報記録媒体400の一部断面を示す。情報記録媒体400において、基板401上に成膜された第1の情報層410、中間層403、第2の情報層420、中間層404、第3の情報層430、中間層405、第4の情報層440および透明層402が、この順に配置されている。
第1の情報層410において、基板401の一方の表面に成膜された反射層412、誘電体層413、界面層414、記録層415、界面層416および誘電体層417が、この順に配置されている。第2の情報層420において、中間層403の一方の表面に成膜された誘電体層421、反射層422、誘電体層423、界面層424、記録層425、界面層426および誘電体層427が、この順に配置されてなる。第3の情報層430において、中間層404の一方の表面に成膜された誘電体層431、反射層432、誘電体層433、界面層434、記録層435、界面層436および誘電体層437が、この順に配置されている。第4の情報層440において、中間層405の一方の表面に成膜された誘電体層441、反射層442、誘電体層443、界面層444、記録層445、界面層446および誘電体層447がこの順に配置されている。
この形態においても、レーザ光10は、透明層402の側から入射される。第1の情報層410の情報の記録再生は、第4の情報層440、第3の情報層430および第2の情報層420を通過したレーザ光10を用いて行う。情報は、4つの記録層にそれぞれに記録できる。例えば、波長405nm付近の青紫色域のレーザ光を記録再生に使用する場合、上記実施の形態1の4倍程度の100GBの容量を有する情報記録媒体を得ることができる。あるいは、記録密度を高めて1情報層あたりの容量を約33GBにすれば、133GBの容量を有する情報記録媒体を得ることができる。情報記録媒体400も、CAV仕様の媒体として使用してよい。
光学的には、4つの情報層の実効反射率はおおよそ同等であることが好ましく、それは第1、第2、第3および第4の情報層の反射率と、第2、第3および第4の情報層の透過率を各々調整することにより達成される。本実施の形態では、一例として、結晶状態の実効反射率がRcが約1.3%、非晶質状態の実効反射率Raが約0.3%となるように設計した構成を説明する。第4の情報層440の透過率が約68%、第3の情報層430の透過率が約65%、および第2の情報層420の透過率が約55%となるように設計する場合、第1の情報層410はそれのみで約22%のRc、約4%のRaを有するように設計され、第2の情報層420はそれのみで約6%のRc、約1.3%のRaを有するように設計され、第3の情報層430はそれのみで約3%のRc、約0.6%のRaを有するように設計され、第4の情報層440はそれのみで約1.3%のRc、約0.3%のRaを有するように、設計される。
次に、基板401、中間層403、中間層404、中間層405および透明層402の
機能、材料および厚みについて説明する。基板401は、実施の形態1の基板101と同様の機能を有する。基板401の形状および材料は、基板101のそれらと同じである。
中間層403は、レーザ光10の第2の情報層420における焦点位置と、レーザ光10の第1の情報層410における焦点位置とを分離する機能を有する。必要に応じて、第2の情報層420ための案内溝が、中間層403に形成されてよい。同様に、中間層404は、レーザ光10の第3の情報層430における焦点位置と、レーザ光10の第2の情報層420における焦点位置とを分離する機能を有する。必要に応じて、第3の情報層430ための案内溝が、中間層404に形成されてよい。中間層405は、レーザ光10の第4の情報層440における焦点位置と、レーザ光10の第3の情報層430における焦点位置とを分離する機能を有する。必要に応じて、第4の情報層440ための案内溝が、中間層405に形成されてよい。中間層403、404および405は、いずれも紫外線硬化性樹脂で形成することができる。透明層402は、実施の形態1の透明層102と同様の機能を有し、同様の材料を用いて形成することができる。
透明層402の表面から第1の情報層410の記録層415までの距離は、実施の形態2同様、80μm以上120μm以下となることが好ましい。さらに、第1の情報層、第2の情報層、第3の情報層および第4の情報層からの信号の再生、これら情報層への信号の記録、これらの情報層の信号の消去および書換えが、互いに他の情報層からの影響を受けずに良好に行えるよう、中間層403、404および405の膜厚は異なっていることが好ましい。各中間層の膜厚は、3μm以上30μm以下の範囲から選ばれることが好ましく、6μm以上28μm以下の範囲から選ばれることがより好ましい。
例えば、透明層402の表面から記録層415までの距離が100μmとなるように、中間層403、中間層404、中間層405、透明層402の膜厚を設定してよい。一例として、中間層403の膜厚を22μmとし、中間層404の膜厚を18μmとし、中間層405の膜厚を10μmとし、透明層402の膜厚を50μmとしてよい。あるいは、中間層403の膜厚を18μmとし、中間層404の膜厚を25μmとし、中間層405の膜厚を14μmとし、透明層402の膜厚を43μmとしてよい。透明層402の膜厚は10μm以上90μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましい。本実施の形態においても、中間層は情報層を保護する層と案内溝を有する層とを含む、2以上の層で構成してよい。
まず、第1の情報層410の構成を順に説明する。第1の情報層410の反射層412から誘電体層417は、実施の形態1の情報層110の反射層112から誘電体層117と同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
続いて、第2の情報層420の構成について説明する。第2の情報層420は、レーザ光10が第1の情報層410に到達し得るように、高透過率となるように設計される。誘電体層421から誘電体層427は、実施の形態3における第2情報層320の誘電体層321から誘電体層327と同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
続いて、第3の情報層430の構成について説明する。第3の情報層430は、レーザ光10が第1の情報層410並びに第2の情報層420に到達し得るように、第2の情報層420よりも高透過率となるように設計される。誘電体層431から誘電体層437は、実施の形態3における第3の情報層330の誘電体層331から誘電体層337と同様である。誘電体層433および437は、屈折率が2〜3である誘電体材料で形成してよい。誘電体層437の厚さは好ましくは10nm以上80nm以下であり、より好ましくは20nm以上60nm以下である。また、誘電体層433の厚さは、好ましくは2nm以上40nm以下であり、より好ましくは3nm以上30nm以下である。他の構成は、実施の形態3における第3情報層330と同様であるので、省略する。
続いて、第4の情報層440の構成について説明する。第4の情報層440は、レーザ光10が第1の情報層410、第2の情報層420並びに第3の情報層430に到達し得るように、第3の情報層430よりも高透過率となるように設計される。
誘電体層441は、誘電体層431と同様の機能を有し、同様の材料で形成してよい。第4の情報層440において、4以上の反射率比と68%以上の光透過率が得られるよう、誘電体層441の膜厚は2nm以上30nm以下であることが好ましい。
反射層442は、反射層432と同様の機能を有し、同様の材料で形成してよい。反射層442の膜厚は、記録層445が薄いので、やや厚くしてよい。反射層442の膜厚は、反射率比と透過率が良好となるように決める。具体的には、反射層442の膜厚は、5nm以上25nm以下が好ましい。5nmよりも薄いと、熱を拡散させる機能が低下して記録層445にマークが形成されにくくなる。また、25nmよりも厚いと、記録層が薄くても第4の情報層440の光透過率が65%に満たなくなる。
誘電体層443および447は、誘電体層433および437と同様の機能を有し、同様の材料で形成してよい。
界面層444および界面層446は、実施の形態1における界面層114および116と同様の機能を有し、好ましい膜厚も界面層114および116の好ましい膜厚と同様である。実施の形態1と同様、SbとSiとを含む記録層445に隣接する界面層444と界面層446は、特定の組み合わせを含む界面層Aであることが好ましい。また、界面層444を構成するのに適した材料は、界面層界面層114を構成するのに適した材料と同様であり、界面層446を構成するのに適した材料は、界面層116を構成するのに適した材料と同様である。界面層444が上記の誘電体層443としても機能する場合には、誘電体層443は必ずしも設ける必要はない。同様に、界面層446が上記の誘電体層447としても機能する場合には、誘電体層447は必ずしも設ける必要はない。
記録層445は、光の照射により相変化を生じ得る。記録層445もまた、SbとSiとを含む。各元素の機能は、実施の形態1に関連して説明したとおりである。また、第4の情報層440は68%以上の光透過率を要するため、記録層445の膜厚は1nm以上7nm以下であることが好ましい。記録層445の膜厚が7nmを超えると、第4の情報層440の光透過率が低下し、1nm未満であると、記録層445の光学的変化が小さくなる。記録層は、膜厚が薄くなると結晶化速度が低下するため、記録層445を構成する材料は、より大きな結晶化速度を有する組成比を有することが好ましい。
記録層445に含まれる材料を式Sb100−xSi(式中、xは、原子%で表される組成比を示す)で示したときに、xは2以上25以下であることが好ましい。記録層445に含まれる材料において、xがこの範囲内にあれば、例えば4倍速に相当する転送レートで良好な記録消去特性が得られ、低転送レートでの非晶質状態の安定性を確保できる。Siの組成比は、転送レートに対して最適となるように選ぶことができる。
また、記録層445は、Sb100−x−ySi(式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)で表される材料を含んでよい。元素Lおよびより好ましい元素Lは、実施の形態1に関連して説明したとおりである。SiとLを合わせた組成比は、2原子%以上25原子%以下であることが好ましい。また、xおよびyは、x≧yを満たすことが好ましい。記録層445の具体的な組成は、Sb−Si−B等、記録層115と同様である。
実施の形態3同様、Sb、Si、および場合により元素Lを含む記録層は、少なくとも一つの情報層に含まれていればよい。例えば、記録層425、435および445が、前記特定の元素を含む記録層である場合には、記録層415は従来の書換え型記録層であってよい。あるいは、記録層445が前記特定の元素を含む記録層である場合には、記録層415、425および435は、従来の書換え型記録層であってよい。従来の書換え型記録層を構成する材料は、実施の形態2に関連して説明したとおりである。あるいは、記録層445が前記特定の元素を含む記録層である場合には、情報層410、420および430は、再生専用型情報層もしくは追記型情報層であってよい。記録層435と425が本発明の記録層である場合には、情報層410および440は再生専用型情報層もしくは追記型情報層であってよい。追記型情報層と再生専用型情報層の記録層の材料は、実施の形態2に関連して説明したとおりである。
続いて、実施の形態4の情報記録媒体400を製造する方法を説明する。情報記録媒体400は、支持体となる基板401上に第1情報層410、中間層403、第2情報層420、中間層404、第3情報層430、中間層405、第4情報層440、透明層402を順に形成して、製造する。
案内溝(グルーブ面とランド面)が形成された基板401をスパッタリング装置に配置し、基板401の案内溝が形成された表面に、反射層412を成膜する工程から誘電体層417を成膜する工程までを、実施の形態1の反射層112を成膜する工程から誘電体層117を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第1情報層410が基板401上に形成される。第1の情報層410を形成した基板401を、スパッタリング装置から取り出し、中間層403を形成する。中間層403を形成する工程は、実施の形態2の中間層203を形成する工程と同様にして実施される。
中間層403まで形成した基板401を再びスパッタリング装置に配置して、中間層403の案内溝を有する面に、誘電体層421を成膜する工程から誘電体層427を成膜する工程までを、実施の形態2の誘電体層221を成膜する工程から誘電体層227を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第2情報層420が中間層403上に形成される。第2の情報層420まで形成した基板401を、スパッタリング装置から取り出し、中間層403と同様にして、中間層404を形成する。
中間層404まで形成した基板401を再びスパッタリング装置に配置して、中間層404の案内溝を有する面に、誘電体層431を成膜する工程から誘電体層437を成膜する工程までを、上述の誘電体層421を成膜する工程から誘電体層427を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第3情報層430が中間層404上に形成される。第3の情報層430まで形成した基板401を、スパッタリング装置から取り出し、中間層404と同様にして、中間層405を形成する。
中間層405まで形成した基板401を再びスパッタリング装置に配置して、中間層405の案内溝を有する面に、誘電体層441を成膜する工程から誘電体層447を成膜する工程までを、上述の誘電体層431を成膜する工程から誘電体層437を成膜する工程までと同様にして実施する。このようにして、第4情報層440が中間層405上に形成される。
第4の情報層440まで形成した基板401をスパッタリング装置から取り出す。それから、誘電体層447の表面に、実施の形態1の透明層102を形成する工程と同様にして、透明層402を形成し、透明層402形成工程を終了させる。
透明層402形成工程が終了した後は、必要に応じて、第1の情報層410、第2の情報層420、第3の情報層430及び第4の情報層440の初期化工程を実施する。初期化工程は、中間層403を形成する前もしくは後に、第1の情報層410について実施し、中間層404を形成する前もしくは後に、第2の情報層420について実施し、中間層405を形成する前もしくは後に、第3の情報層430について実施し、透明層402を形成する前もしくは後に、第4の情報層440について実施してよい。
あるいは、透明層402を形成する前もしくは後に、第1の情報層410、第2の情報層420、第3の情報層430および第4の情報層440について初期化工程を実施してもよい。本発明の効果は、初期化工程の実施順にかかわらず得られる。このようにして、実施の形態4の情報記録媒体400を製造することができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5として、情報記録媒体の一例を説明する。図5に、その情報記録媒体500の一部断面を示す。情報記録媒体500において、基板501上に第1の情報層510、第2の情報層520、第3の情報層530、・・・および第Nの情報層5N0が位置し、各情報層の間に中間層が位置し、第Nの情報層5N0の上に透明層502が位置する。各情報層は、例えば、実施の形態2〜4の各情報層と同じ構成を有する。この媒体500においても、少なくとも一つの情報層の記録層が、Sb、Si、および場合により元素Lを含み、その記録層に隣接する二つの界面層のうち、少なくとも一つの界面層が界面層Aである。
この形態においても、レーザ光10は、透明層502の側から入射される。第1の情報層510には、第Nの情報層5N0、・・・第3の情報層530および第2の情報層520を通過したレーザ光10で記録再生する。情報記録媒体500においては、N個の記録層にそれぞれ情報を記録できる。例えば、N=5であれば、波長405nm付近の青紫色域のレーザ光を記録再生に使用する場合、上記実施の形態1の5倍程度の125GB以上の容量を有する情報記録媒体を得ることができる。あるいは、記録密度を高めて1情報層あたりの容量を約33GBにすれば、165GBの容量を有する情報記録媒体を得ることができる。情報記録媒体500も、CAV仕様の媒体として使用してもよい。
実施の形態4同様、Sb、Si、および場合により元素Lを含む記録層は、少なくとも一つの情報層に含まれていればよい。例えば、第Nの情報層5N0が、前記特定の元素を含む記録層である場合には、第1から第(N−1)の情報層に含まれる記録層は各々、従来の書換え型記録層、再生専用型記録層、または追記型記録層であってよい。あるいは、第1の情報層510が、前記特定の元素を含む記録層を含む場合には、第2から第Nの情報層に含まれる記録層は各々、従来の書換え型記録層、再生専用形記録層、または追記形記録層であってよい。前記特定の元素を含む記録層は、大きな光学的変化と大きな結晶化速度を有しているので、記録層の膜厚が薄くても十分な光学的変化と結晶化速度を確保できる。よって、第2から第N情報層の記録層の少なくとも一つまたは全部が、前記特定の元素を含む記録層であることが好ましい。
各情報層の構成は、既に述べた実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。また、情報記録媒体500は、上記実施の形態と同様、基板501の溝が形成された面に、情報層と中間層を交互に積層することにより製造できる。成膜工程、中間層形成工程、透明層形成工程、および初期化工程は、実施の形態1〜4で述べたとおりであるので、その説明を省略する。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6として、本発明の情報記録媒体の別の例を説明する。電気的情報記録媒体の一構成例を図6に模式的に示す。電気的情報記録媒体600は、電気的エネルギー(特に電流)の印加によって、情報の記録再生が可能な情報記録媒体である。
情報記録媒体600は、基板601の表面に形成された、下部電極602、記録部603、記録部603を取り囲む界面部612、および上部電極604により、構成されている。下部電極602、及び上部電極604は、記録部603に電流を印加するために形成する。基板601として、具体的には、Si基板などの半導体基板、ポリカーボネート基板、ならびにSiO基板およびAl基板などの絶縁性基板を使用できる。下部電極602および上部電極604は、導電材料、例えば、Cu、Au、Ag、Pt、Al、Ti、WおよびCr、ならびにこれらの混合物から選択される金属または合金で形成してよい。
記録部603は、電気的エネルギーを印加することにより生じるジュール熱によって、結晶相と非晶質相との間で可逆的相変化を生じ得る。記録部603は、SbとSiとを含む。各元素の機能は、実施の形態1に関連して説明したとおりである。Siの組成比は、50原子%以下であることが好ましい。記録部は、さらに、B、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含んでよい。その場合、SiとLを合わせた組成比が、50原子%以下であることが好ましい。
界面部612は、記録部603の側面の少なくとも一部と接しており、記録部603と密着性のよい材料で形成される。界面部602は、記録部603を電気的および熱的に絶縁する機能を有する。したがって、界面部206は、断熱部と称することもできる。界面部602は、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む。界面部602を構成するのに適した材料は、実施の形態1に関連して説明した界面層Aの材料と同様である。即ち、界面部は、前記少なくとも一つの組み合わせとして、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNから選択される、少なくとも一つの化合物または組み合わせを含んでよい。
さらに、界面部は、Ta−O、Al−O、Si−O、Zr−O、Hf−O、Dy−OおよびLa−Fより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含んでよい。これらの組み合わせは、酸化物または弗化物として含まれてよい。
下部電極602および上部電極604は、スパッタリング法により形成することができる。具体的には、下部電極602および上部電極604は、Arガス雰囲気中、またはArガスと反応ガス(O2ガスまたはN2ガスから選ばれる少なくとも1種のガス)との混合ガス雰囲気中で、金属ターゲットまたは合金ターゲットをスパッタリングすることによって形成できる。なお、電極の成膜方法は、スパッタリングに限定されず、他の気相法、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学的気相成長(CVD)法、または分子線エピタキシ(MBE)法等であってよい。
記録部603を成膜する工程は、実施の形態1の記録層115を成膜する工程と同様にして実施される。また、界面部612を成膜する工程は実施の形態1の界面層114を成膜する工程と同様にして実施される。記録部603と界面部612は互いに積層しないように、例えば成膜すべき面以外の領域をマスク治具で覆って、スパッタリングにより形成してよい。
電気的情報記録媒体600に、印加部609を介して、電気的情報記録再生装置610を電気的に接続する。この電気的情報記録再生装置610により、下部電極602と上部電極604の間には、パルス電源605が、スイッチ608を介して接続される。パルス電源605は、記録部603に電流パルスを印加するために用いられる。また、記録部603の相変化による抵抗値の変化を検出するために、下部電極602と上部電極604の間に、スイッチ607を介して抵抗測定器606が接続される。
非晶質相(高抵抗状態)にある記録部603を、結晶相(低抵抗状態)に変化させるためには、スイッチ608を閉じて(スイッチ607は開く)、電極間に電流パルスを印加して、電流パルスが印加される部分の温度が、記録部603の材料の結晶化温度より高く、且つ融点より低い温度に、結晶化時間の間、保持されるようにする。結晶相から再度非晶質相に戻す場合には、結晶化の時よりも相対的に高い電流パルスを、より短い時間で印加して、電流パルスが印加される部分の温度が、記録部603の材料の融点より高い温度となるようにし、材料を溶融させる。その後、急激に冷却することによって、非晶質相が得られる。電気的情報記録再生装置610のパルス電源605は、記録パルスおよび消去パルスを出力できる電源である。
この電気的情報記録媒体600をマトリクス的に多数配置することによって、図7に示すような大容量の電気的情報記録媒体700を構成することができる。各メモリセル703には、電気的情報記録媒体600と同様の構成が形成された微小領域を有する。各々のメモリセル703への情報の記録再生は、アドレス指定回路715(図8に示す)により、ワード線701及びビット線702をそれぞれ一つ指定することによって行う。
図8は電気的情報記録媒体700を用いた、情報記録システムの一構成例を示したものである。記憶装置712は、電気的情報記録媒体700と、アドレス指定回路715によって構成される。また、記憶装置712を、少なくともパルス電源713と抵抗測定器714から構成される外部回路711に電気的に接続することにより、電気的情報記録媒体700への情報の記録再生を行うことができる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7として、情報記録媒体の一例を説明する。図11に、その情報記録媒体800の一部断面を示す。情報記録媒体800は、波長405nm付近の青紫色域のレーザ光10で情報を記録再生する、15GB以上の容量を有するHD DVD(High Definition DVD)として使用できる。この構成の情報記録媒体800には、基板802側からレーザ光10が入射し、それにより記録層815への情報の記録及び記録層815からの情報の再生が実施される。本発明の適用により、HD DVDにおいても、72メガビット毎秒以上、さらには144メガビット毎秒以上の高データ転送レートを実現でき、優れた耐湿性を実現することができる。
以下、基板802から順に説明する。情報記録媒体800においては、基板802上に情報層810が配置され、接着層806を介して基板801が貼り合わされている。さらに、情報層810において、基板802の一方の表面に成膜された誘電体層817、界面層816、記録層815、界面層814、誘電体層813、および反射層812が、この順に配置されてなる。
基板802は、実施の形態1の基板101と同様の材料を用いて、形成することができる。HD DVDの記録再生においては、開口数0.65の対物レンズを使用するため、レーザ入射側の基板802は、図示した形態において、約0.6mmの厚さを有し、約120mmの直径を有することが好ましい。基板802の情報層810を形成する側の表面には、レーザ光10を導くための凹凸の案内溝が形成されていてもよい。媒体をHD DVDとして使用する場合、グルーブ面とランド面の段差は、20nm以上60nm以下であることが好ましい。また、HD DVDにおいては、グルーブ面およびランド面に記録を行う。HD DVDにおいて、グルーブ−ランド間の距離(グルーブ面中心からランド面中心まで)は、約0.33μm〜約0.37μmである。
基板801は機械的強度を保って、反りを抑制する機能を持ち、その材料および形状は、基板802のそれらと同様である。基板801において、案内溝はなくてもよいし、形成されていてもよい。
情報層810を構成している、誘電体層817、界面層816、記録層815、界面層814、誘電体層813、および反射層812の材料および膜厚はそれぞれ、実施の形態1の誘電体層117、界面層116、記録層115、界面層114、誘電体層113、および反射層112の材料および膜厚と同じであってよい。
次に、情報記録媒体800の製造方法の一例を説明する。基板802をスパッタ装置に取り付けて、誘電体層817、界面層816、記録層815、界面層814、誘電体層813、および反射層812を順にスパッタリングにより成膜する。実施の形態1と成膜順が逆になるものの、これらの層の成膜条件はそれぞれ、実施の形態1の誘電体層117、界面層116、記録層115、界面層114、誘電体層113、および反射層112の成膜条件と同じにすることができる。
反射層812まで積層した基板802をスパッタ装置から取り出し、貼り合わせ装置に配置して、反射層812の露出面に紫外線硬化性樹脂(たとえばアクリル系樹脂)をスピンコートして、接着層806を形成する。その後、紫外線硬化性樹脂の上に基板801を密着させて、基板801側から紫外線を照射して、接着層806の紫外線硬化性樹脂を硬化させる。このようにして、基板801の貼り合わせが完了する。
貼り合わせ後、必要に応じて、半導体レーザを用いる初期化工程を実施する。初期化工程は、基板801を貼り合わせる前に実施してもよい。このように、誘電体層817を成膜する工程から基板801を貼り合わせる工程まで順次実施することにより、実施の形態7の情報記録媒体800を製造することができる。
あるいは、案内溝付き基板801上に、情報層810を形成して、接着層を介して基板802を貼り合わせる方法で、情報記録媒体800を製造してよい。この場合、接着層と基板802は、合わせて約0.6mmの厚みを有することが好ましい。いずれの方法で製造しても、製造した情報記録媒体において、本発明の効果を得ることができる。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8として、情報記録媒体の一例を説明する。図12に、その情報記録媒体900の一部断面を示す。情報記録媒体900は、2つの情報層を有するHD DVDであって、波長405nm付近の青紫色域のレーザ光10で情報を記録再生する、30GB以上の容量を有するHD DVDとして使用できる。この構成の情報記録媒体900には、基板902側からレーザ光10が入射し、それにより情報の記録及び再生が実施される。本発明の適用により、HD DVDにおいても、36メガビット毎秒以上、さらには72メガビット毎秒以上の高データ転送レートを実現できるとともに、優れた耐湿性を実現することができる。
以下、基板902から順に説明する。情報記録媒体900においては、基板901上の第1の情報層910が、接着層906を介して、基板902上の第2の情報層920と貼り合わされている。さらに、第1の情報層910において、基板901の一方の表面に成膜された反射層912、誘電体層913、界面層914、記録層915、界面層916、および誘電体層917が、この順に配置されてなる。また、基板902の一方の表面に成膜された誘電体層927、界面層926、記録層925、界面層924、誘電体層923、反射層922、および誘電体層921が、この順に配置されてなる。
基板901および902は、実施の形態1の基板101と同様の材料を用いて形成することができる。実施の形態7の基板802と同様に、基板901および902は、約0.6mmの厚さ、および約120mmの直径を有することが好ましい。基板901の第1情報層910を形成する側の表面、および基板902の第2情報層920を形成する側の表面には、レーザ光10を導くための凹凸の案内溝が形成されていてもよい。その場合、案内溝の形状および寸法は、実施の形態7で説明したそれらと同じであってよい。
第1の情報層910を構成している、反射層912、誘電体層913、界面層914、記録層915、界面層916、および誘電体層917の材料および膜厚はそれぞれ、実施の形態2の反射層212、誘電体層213、界面層214、記録層215、界面層216および誘電体層217の材料および膜厚と同じであってよい。また、第2の情報層920を構成している、誘電体層927、界面層926、記録層925、界面層924、誘電体層923、反射層922、および誘電体層921の材料および膜厚はそれぞれ、実施の形態2の誘電体層227、界面層226、記録層225、界面層224、誘電体層223、反射層222、および誘電体層221の材料および膜厚と同じであってよい。
次に、情報記録媒体900の製造方法の一例を説明する。基板901をスパッタ装置に取り付けて、反射層912、誘電体層913、界面層914、記録層915、界面層916、および誘電体層917を順にスパッタリングにより成膜する。これらの層はそれぞれ、実施の形態2の第1の情報層210の形成で用いた成膜順序と同じ順序で、反射層212、誘電体層213、界面層214、記録層215、界面層216、および誘電体層217の成膜条件と同じ条件で形成できる。誘電体層917まで積層した基板901をスパッタ装置から取り出して保管しておく。次に、基板902をスパッタ装置に取り付けて、誘電体層927、界面層926、記録層925、界面層924、誘電体層923、反射層922、および誘電体層921を順にスパッタリングにより成膜する。これらの層は、実施の形態2の第2の情報層220の形成で用いた成膜順とは逆の順序で形成される。これらの層はそれぞれ、実施の形態2の誘電体層227、界面層226、記録層225、界面層224、誘電体層223、反射層222、および誘電体層221の成膜条件と同じ条件で形成できる。誘電体層921まで積層した基板902をスパッタ装置から取り出す。
保管しておいた第1情報層910を成膜した基板901を貼り合わせ装置に配置し、誘電体層917の露出面に紫外線硬化性樹脂(たとえばアクリル系樹脂)をスピンコートして、接着層906を形成する。紫外線硬化性樹脂の上に、第2情報層920を成膜した基板902の誘電体層921の露出面を密着させて、基板902側から紫外線を照射して、接着層906の紫外線硬化性樹脂を硬化させる。このようにして、基板901と902との貼り合わせが完了する。
貼り合わせ後、必要に応じて、半導体レーザを用いる初期化工程を実施する。初期化工程は、貼り合わせ工程の前に実施してもよい。このように、第1情報層910を成膜する工程、第2の情報層920を成膜する工程、および基板901と基板902を貼り合わせる工程を順次実施することにより、実施の形態8の情報記録媒体900を製造することができる。
あるいは、基板902上に、第2の情報層920、案内溝を有する中間層、および第1の情報層910を形成した後、接着層を介して基板901を貼り合わせる方法で、情報記録媒体900を製造することも可能である。あるいは、基板901上に、第1の情報層910、案内溝を有する中間層、および第2の情報層920を形成した後、接着層を介して基板902を貼り合わせる方法で、情報記録媒体900を製造することも可能である。この場合、接着層と基板902は、合わせて約0.6mmの厚みを有することが好ましい。いずれの方法で製造しても、製造した情報記録媒体において、本発明の効果を得ることができる。また、HD DVDにおいて、情報層の数が3以上であっても、本発明を適用することができ、本発明の適用により、本発明の効果を得ることができる。
次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、図1の情報記録媒体100を製造し、界面層114および116の材料と、記録層115との密着性の関係を調べた。界面層114および116を、In、ZnO、SnO、(ZnS)80(SiO20(mol%)、GaおよびSiCで形成した6種類の媒体(媒体番号を100−1〜6)を作製した。比較のために、界面層114および116を、Ta、Al、SiO、ZrO、およびLaFで形成した媒体(媒体番号1−1〜5)を作製し、界面層と記録層との密着性を調べた。記録層115は、Sb50Si50(原子%)で形成した。「原子%」の表示は、元素の後の添え字が原子%で表される組成比を示すことを意味する、以下においても同様である。「mol%」の表示は、括弧の後の添え字がmol%で表される組成比であることを意味する。以下においても同じである。
以下に、この実施例をより具体的に説明する。はじめに、情報記録媒体100の製造方法について説明する。製造には図9に示すスパッタリング(成膜)装置を用いた。媒体番号100−1〜6および1−1〜5の媒体において、各層は、界面層114および116を除いて、同じスパッタリング条件で、同じ材料で、同じ膜厚となるように形成した。
各層の材料と膜厚を説明する。基板101として、案内溝(深さ20nm、グルーブ−グルーブ間0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1.1mm)を準備し、スパッタリング装置内に取り付けた。基板101の案内溝形成側表面に、反射層112として、厚さ100nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層113として、厚さ10nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を形成した後、厚さ5nmの界面層114を形成し、さらに、記録層115として厚さ10nmのSb50Si50(原子%)層を形成し、記録層115の上に厚さ5nmの界面層116を形成し、誘電体層117として、厚さ45nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、情報層110が形成された。
各層のスパッタリング条件を説明する。用いたターゲットはすべて、円盤形状を有し、その直径は100mm、厚さは6mmであった。反射層112は、Ag−Cu系合金ターゲットを、圧力0.4PaのArガス雰囲気中で、直流電源を用いて200Wの出力でスパッタリングして形成した。誘電体層113は、(ZrO25(SiO25(Cr50ターゲットを、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、高周波電源を用いて200Wの出力でスパッタリングして形成した。
界面層114と116のスパッタリング条件について、媒体番号毎に説明する。高周波電源を用いて、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、ターゲットを200Wの出力でスパッタリングする条件は、すべての媒体において共通させた。
媒体番号100−1の界面層114および116は、Inターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号100−2の界面層114および116は、ZnOターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号100−3の界面層114および116は、SnOターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号100−4の界面層114および116は、(ZnS)80(SiO20ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号100−5の界面層114および116は、Gaターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号100−6の界面層114および116は、SiCターゲットをスパッタリングして形成した。いずれの媒体においても、界面層114および116の組成は、ターゲットの組成と同じであった。
媒体番号1−1の界面層114および116は、Taターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号1−2の界面層114および116は、Alターゲットをスパッタリングして形成した。媒体願号1−3の界面層114および116は、SiOターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号1−4の界面層114および116は、ZrOターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号1−5の界面層114および116は、LaFターゲットをスパッタリングして形成した。いずれの媒体においても、界面層114および116の組成は、ターゲットの組成と同じであった。
記録層115は、Sb45Si55ターゲットを、直流電源を用いて、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、100Wの出力でスパッタリングして形成した。その結果、Sb50Si50(原子%)の組成を有する層が形成された。誘電体層117は、(ZnS)80(SiO20ターゲットを、圧力0.13PaのArガスとOガスの体積比が97:3である混合ガス雰囲気中で、高周波電源を用いて400Wの出力でスパッタリングして形成した。
以上のようにして基板101の上に反射層112、誘電体層113、界面層114、記録層115、界面層116および誘電体層117を順次成膜した基板101をスパッタリング装置から取り出した。それから、誘電体層117の表面に紫外線硬化性樹脂(アクリル系樹脂)をスピンコート法で100μmの厚さとなるように塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、透明層102を形成した。
透明層形成工程終了後、初期化工程を実施した。初期化工程においては、波長810nmの半導体レーザを使って、情報記録媒体100の記録層115を、半径22〜60mmの範囲の環状領域内でほぼ全面に亘って結晶化させた。これにより初期化工程が終了し、100−1〜6の情報記録媒体100及び1−1〜4の作製が完了した。これらの情報記録媒体は、鏡面部において、約21%のRc、および約4%のRaを有していた。
次に情報記録媒体の評価手法について説明する。情報記録媒体100における界面層の密着性は、高温高湿条件下での剥離の有無に基づいて評価した。具体的には、初期化工程後の情報記録媒体100を、温度85℃で相対湿度85%の高温高湿槽に100時間放置した後、記録層とこれに接する界面層の間、より詳細には記録層115と界面層114の界面及び記録層115と界面層116の界面の少なくとも一方で剥離が発生していないかどうかを、光学顕微鏡を使って目視で調べた。透明層102側からの反射光を観察すると、剥離は丸や楕円の干渉縞となって見える。当然のことではあるが、剥離の無い試料は良好な密着性を有すると評価され、剥離の有る試料は密着性に劣ると評価される。その評価結果を(表1)に示す。
Figure 2009157990
(表1)に示す様に、実施例の媒体100−1〜6において、剥離が発生せず、界面層114および116は良好な密着性を示した。これに対し比較例の媒体1−1〜5のすべてにおいて、剥離が発生した。この実施例より、界面層114および116が、In、ZnO、SnO、(ZnS)80(SiO20、GaおよびSiCより選ばれる少なくとも一つの材料を含む界面層Aである場合には、SbとSiを含む記録層115と良好な密着性を示すことがわかった。
(実施例2)
実施例2では、図2の情報記録媒体200を製造し、界面層226の材料と記録層225との密着性の関係を調べた。この実施例では、界面層224がInから成る層であり、界面層226がそれぞれ、In、ZnO、SnO、(ZnS)80(SiO20(mol%)、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNから成る層である、15種類の媒体(媒体番号200−1〜15)を作製した。比較のために、界面層226がそれぞれ、Ta、Al、SiO、ZrO、およびLaFである媒体(媒体番号2−1〜5)を作製した。記録層225はSb60Si40(原子%)から成る層とした。
以下に、この実施例をより具体的に説明する。はじめに、情報記録媒体200の製造方法について説明する。製造には図9に示すスパッタリング装置を用いた。媒体番号200−1〜15および比較例2−1〜5の媒体において、各層は、界面層226を除いて、同じスパッタリング条件で、同じ材料で、同じ膜厚となるように形成した。
各層の材料と膜厚を説明する。基板201として、実施例1の基板101と同様の基板を準備し、スパッタリング装置内に取り付けた。基板201の案内溝形成側表面に、反射層212として、厚さ100nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層213として、厚さ10nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を、界面層214として、厚さ5nmのZnOを、記録層215として、厚さ10nmのSb50Si50(原子%)層を、界面層216として、厚さ5nmのSnO層を、誘電体層217として、厚さ45nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、情報層210が形成された。
次に、誘電体層217の表面に、案内溝を有する中間層203を25μmの厚さで形成した。中間層203の案内溝形成側表面に、誘電体層221として、厚さ18nmのTiO層を、反射層222として、厚さ13nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層223として厚さ7nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を7nm、界面層224として、厚さ5nmのIn層を、記録層225として、厚さ6nmのSb60Si40(原子%)層を形成した後、厚さ5nmの界面層226を形成し、さらに、誘電体層227として、厚さ35nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、第2の情報層220が形成された。
各層のスパッタリング条件を説明する。用いたターゲットはすべて、円盤形状を有し、その直径は100mm、厚さは6mmであった。反射層212から誘電体層217を、実施例1の反射層112から誘電体層117と同様の条件で形成した。以上のようにして第1の情報層210を成膜した基板201を、スパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして記録層215の初期化工程を実施した。
次に、中間層203を、次の手順で形成した。まず、誘電体層217の表面に、紫外線硬化性樹脂(アクリル系樹脂)をスピンコートにより塗布した。次に、中間層に形成すべき案内溝と相補的である凹凸(深さ20nm、グルーブ−グルーブ間0.32μm)を有するポリカーボネート基板の凹凸形成面を、紫外線硬化性樹脂に密着させた。その状態で紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、凹凸を有するポリカーボネート基板を剥離した。それにより、基板201と同様の形状の案内溝が中間層203の表面に形成された。
中間層203まで形成した基板201を再びスパッタリング装置に配置して、中間層203の表面に第2の情報層220を形成した。まず、中間層203上に、誘電体層221を形成する。誘電体層221は、TiOターゲットを、圧力0.13PaのArガスとOガスの体積比が97:3である混合ガス雰囲気中で、高周波電源を用いて400Wの出力でスパッタリングして形成した。続いて、反射層222は、Ag−Cu系合金ターゲットを、圧力0.4PaのArガス雰囲気中で、直流電源を用いて100Wの出力でスパッタリングして形成した。誘電体層223は、実施例1の誘電体層113と同様にして形成した。界面層224は、Inターゲットを、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、高周波電源を用いて200Wの出力でスパッタリングして形成した。記録層225は、直流電源を用いて、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、Sb55Si45ターゲットを50Wの出力でスパッタリングして形成した。
界面層226のスパッタリング条件を、媒体番号毎に説明する。高周波電源を用いて、ターゲットを200Wの出力でスパッタリングする条件は、すべての媒体において共通させた。また、特に記載が無い場合、スパッタリング雰囲気は、圧力0.13PaのArガスである。
媒体番号200−1〜200−6の界面層226は、それぞれ実施例1の媒体番号1001〜100−6の界面層と同様にして形成した。
媒体番号200−7の界面層226は、ZnSターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号200−8の界面層226は、Siターゲットを、圧力0.4PaのArガスとNガスの体積比が95:5である混合ガス雰囲気中で、スパッタリングして形成した。媒体番号200−9の界面層226は、Nbターゲットをスパッタリングして形成した。いずれの媒体においても、界面層226の組成は、ターゲットの組成と同じであった。
媒体番号200−10の界面層226は、TiOターゲットを、圧力0.13PaのArガスとOガスの体積比が97:3である混合ガス雰囲気中で、スパッタリングして形成した。媒体番号200−11の界面層226は、CeFターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号200−12の界面層226は、BNターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号200−13の界面層226は、MgOターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号200−14の界面層226は、Crターゲットをスパッタリングして形成した。媒体番号200−15の界面層226は、AlNターゲットを、圧力0.4PaのArガスとNガスの体積比が95:5である混合ガス雰囲気中で、スパッタリングして形成した。いずれの媒体においても、界面層226の組成は、ターゲットの組成と同じであった。
比較例の2−1〜2−5の界面層226は、実施例1の媒体番号1−1〜1−5の界面層と同様にして形成した。
誘電体層227は、実施例1の誘電体層117と同様にして形成した。以上のようにして中間層203の上に第2の情報層220を成膜した基板201をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして、記録層225の初期化工程を実施した。それから、誘電体層227の表面に紫外線硬化性樹脂(アクリル系樹脂)をスピンコート法により75μmの厚さとなるように塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、透明層202を形成した。これにより透明層形成工程が終了し、媒体番号200−1〜15、2−1〜5の情報記録媒体200の作製が完了した。
作製した媒体番号200−1〜15、2−1〜5は、第1の情報層210および第2の情報層220ともに、鏡面部にて、実効反射率Rc約5%、Ra約1%であった。第1の情報層210の反射率は、第2の情報層220を通ったレーザ光10で測定した。また、第2の情報層220の光透過率はTc約55%、Ta約50%であった。透過率の測定には基板201に第2の情報層220と透明層202を形成した測定用媒体を用い、半面初期化して分光光度計で測定した。
完成した計20枚の情報記録媒体200を実施例1と同様に、温度85℃で相対湿度85%の高温高湿槽に100時間放置した後、記録層225と界面層226の界面で剥離が発生していないかどうかを、光学顕微鏡を使って目視で調べた。その評価結果を(表2)に示す。
Figure 2009157990
(表2)に示す様に、実施例の媒体200−1〜15において、剥離が発生せず、界面層226は良好な密着性を示した。これに対し比較例の媒体2−1〜5のすべてにおいて、剥離が発生した。この実施例より、界面層226が、In、ZnO、SnO、(ZnS)80(SiO20、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの材料を含む界面層Aである場合には、SbとSiを含む記録層225と良好な密着性を示すことがわかった。
(実施例3)
実施例3では、図2の情報記録媒体200を製造し、界面層224の材料と記録層225との密着性の関係を調べた。この実施例では、界面層226がSiCから成る層であり、界面層224がそれぞれ、In、ZnO、SnO、(ZnS)80(SiO20(mol%)、Ga、SiC、ZnS、SiおよびMgOから成る層である、9種類の媒体(媒体番号を200−21〜29)を作製した。比較のために、界面層224がそれぞれ、Ta、Al、SiO、ZrO、およびLaFである媒体(媒体番号2−11〜15)を作製して、界面層224と記録層225の密着性を調べた。記録層225は、Sb60Si40(原子%)から成る層とした。
媒体はそれぞれ、界面層224と226の材料を除いて、実施例2と同様にして作製した。完成した計14枚の情報記録媒体200を実施例1と同様に、温度85℃で相対湿度85%の高温高湿槽に100時間放置した後、記録層225と界面層224の界面で剥離が発生していないかどうかを、光学顕微鏡を使って目視で調べた。その評価結果を(表3)に示す。
Figure 2009157990
(表3)に示す様に、実施例の媒体200−21〜29において、剥離が発生せず、界面層224は良好な密着性を示した。これに対し比較例の媒体2−11〜15のすべてにおいて、剥離が発生した。このように、界面層224が、In、ZnO、SnO、(ZnS)80(SiO20、Ga、SiC、ZnS、SiおよびMgOより選ばれる少なくとも一つの材料を含む界面層Aである場合には、SbとSiを含む記録層225と良好な密着性を示すことがわかった。
(実施例4)
実施例4では、図3の情報記録媒体300を製造し、界面層336の材料と記録層335との密着性の関係を調べた。この実施例では、界面層334がZnOから成る層であり、界面層336が、Inに、さらにTa、Al、SiO、ZrO、HfO、DyおよびLaFより選ばれる少なくとも一つを添加した材料から成る媒体を作製した。前記7種類の化合物の添加量を、Inの割合が90、70および50mol%となるように調整して、21種類の材料を準備し、これらを用いて界面層336を形成した。それにより、21種類の媒体(媒体番号300−1〜21)が得られた。記録層335は、Sb70Si30(原子%)から成る層とした。
以下に、この実施例をより具体的に説明する。はじめに、情報記録媒体300の製造方法について説明する。製造には図9に示すスパッタリング装置を用いた。媒体番号300−1〜21の媒体において、各層は、界面層336を除いて、同じスパッタリング条件で、同じ材料で、同じ膜厚となるように形成した。
各層の材料と膜厚を説明する。基板301として、実施例1の基板101と同様の基板を準備し、スパッタリング装置内に取り付けた。基板301の案内溝形成側表面に、反射層312として、厚さ100nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層313として、厚さ10nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を、界面層314として、厚さ5nmのGa層を5nm、記録層315として、厚さ10nmのSb50Si50(原子%)層を、界面層316として、厚さ5nmのGa層を、誘電体層317として、厚さ45nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を、形成した。それにより、第1の情報層310が形成された。
次に、誘電体層317の表面に、案内溝を有する中間層303を23μmの厚さで形成した。中間層303の案内溝形成側表面に、誘電体層321として、厚さ11nmのTiO層を、反射層322として、厚さ10nmのAg−Cu系合金層を10nm、誘電体層323として、厚さ5nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を5nm、界面層324として、厚さ5nmのIn層を5nm、記録層325として、厚さ5.5nmのSb60Si40(原子%)層を、界面層326として、厚さ5nmのIn層を、誘電体層327として、厚さ44nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、第2の情報層320が形成された。
次に、誘電体層327の表面に、案内溝を有する中間層304を14μmの厚さで形成した。中間層304の案内溝形成側表面に、誘電体層331として、厚さ19nmのTiO層を、反射層332として、厚さ10nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層333として、厚さ6nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を6nm、界面層334として、厚さ5nmのZnO層を、記録層335として、厚さ4.5nmのSb70Si30(原子%)層を形成した後、厚さ5nmの界面層336を形成し、誘電体層337として、厚さ32nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、第3の情報層330が形成された。
各層のスパッタリング条件を説明する。用いたターゲットはすべて、円盤形状を有し、その直径は100mm、厚さは6mmであった。反射層312から誘電体層317を、実施例1の反射層112から誘電体層117と同様の条件で形成した。それから、第1の情報層310を成膜した基板301をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして記録層315の初期化工程を実施した。次に、中間層303を実施例2の中間層203と同様の条件で形成した。
中間層303まで形成した基板301を再びスパッタリング装置に配置して、中間層303の表面に第2の情報層320を形成した。誘電体層321から誘電体層327を、実施例2の誘電体層221から誘電体層227と同様の条件で形成した。以上のようにして第2の情報層320まで成膜した基板301をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして記録層325の初期化工程を実施した。次に、中間層304を実施例2の中間層203と同様の条件で形成した。
中間層304まで形成した基板301を再びスパッタリング装置に配置して、中間層304の表面に第3の情報層330を形成した。まず、中間層304上に、誘電体層331から誘電体層333を、実施例2の誘電体層221から誘電体層223と同様の条件で形成した。次に、界面層334を実施例1の界面層114と同様の条件で形成した。記録層335は、直流電源を用いて、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、Sb66Si34ターゲットを、50Wの出力でスパッタリングして形成した。
界面層336のスパッタリング条件を、媒体番号ごとに説明する。高周波電源を用いて、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、ターゲットを200Wの出力でスパッタリングする条件は、すべての媒体において共通させた。
媒体300−1の界面層336は、(In90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。300−2の界面層336は、(In70(Ta30ターゲットをスパッタリングして形成した。300−3の界面層36は、(In50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−4の界面層336は、(In90(Al10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−5の界面層336は、(In70(Al30ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−6の界面層336は、(In50(Al50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−7の界面層336は、(In90(SiO10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−8の界面層336は、(In70(SiO30ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−9の界面層336は、(In50(SiO50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−10の界面層336は、(In90(ZrO10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−11の界面層336は、(In70(ZrO30ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−12の界面層336は、(In50(ZrO50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−13の界面層336は、(In90(HfO10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−14の界面層336は、(In70(HfO30ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−15の界面層336は、(In50(HfO50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−16の界面層336は、(In90(Dy10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−17の界面層336は、(In70(Dy30ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−18の界面層336は、(In50(Dy50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−19の界面層336は、(In90(LaF10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−20の界面層336は、(In70(LaF30ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−21の界面層336は、(In50(LaF50ターゲットをスパッタリングして形成した。いずれの媒体においても、界面層336の組成は、ターゲットの組成と同じであった。
誘電体層337は、実施例1の誘電体層117と同様にして形成した。以上のようにして中間層304の上に第3の情報層330を成膜した基板301をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして、記録層335の初期化工程を実施した。それから、誘電体層337の表面に紫外線硬化性樹脂(アクリル系樹脂)をスピンコート法により63μmの厚みとなるように塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、透明層302を形成した。これにより透明層形成工程が終了し、媒体番号300−1〜21の情報記録媒体300の作製が完了した。
作製した媒体番号300−1〜21は、第1の情報層310、第2の情報層320および第3の情報層330ともに、鏡面部にて、実効反射率Rc約2.5%、Ra約0.5%であった。第1の情報層310の反射率は、第2の情報層320と第3の情報層330を通ったレーザ光10で測定した。同様に、第2の情報層320の反射率は、第3の情報層330を通ったレーザ光10で測定した。第2の情報層320の光透過率は、Tc約58%、Ta約54%であった。第3の情報層330の光透過率はTc約67%、Ta約63%であった。透過率の測定は実施例2と同様にして行った。
完成した計21枚の情報記録媒体300を実施例1と同様に、温度85℃で相対湿度85%の高温高湿槽に100時間放置した後、記録層335と界面層336の界面で剥離が発生していないかどうかを、光学顕微鏡を使って目視で調べた。その評価結果を(表4)に示す。
Figure 2009157990
(表4)に示す様に、媒体300−1〜21において、剥離が発生せず、良好な密着性を示した。このように、界面層336は、Inを含む界面層Aであって、さらにTa、Al、SiO、ZrO、HfO、DyおよびLaFより選ばれる少なくとも一つの化合物を含む場合にも、SbとSiを含む記録層335と良好な密着性を示すことがわかった。また、Inを50mol%以上含むと、良好な密着性を得ることができた。
(実施例5)
実施例5においても、図3の情報記録媒体300を製造し、界面層336の材料と記録層335との密着性の関係を調べた。この実施例では、界面層334がZnOから成る層であり、界面層336が、In、ZnO、SnO、(ZnS)80(SiO20、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせに、さらにTaを添加した材料から成る媒体を作製した。この実施例では、前記15種類の化合物の割合を、Taの割合が、50、10mol%となるように調整して、30種類の材料を準備し、これらを用いて界面層336を形成した。それにより、30種類の媒体(媒体番号300−1,3,31〜58)が得られた。記録層335には、Sb70Si30(原子%)から成る層とした。
本実施例において、媒体は、界面層336の材料が異なること以外は、実施例4と同様にして作製した。界面層336のスパッタリング条件を以下に説明する。高周波電源を用いて、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、ターゲットを200Wの出力でスパッタリングする条件は、すべての媒体において共通させた。媒体300−1と3の界面層336のスパッタリング条件は、実施例4で説明したとおりである。
媒体300−31の界面層336は、(ZnO)90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−32の界面層336は、(ZnO)50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−33の界面層336は、(SnO90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−34の界面層336は、(SnO50(Ta50ターゲットをスパッタリングして、(SnO50(Ta50形成した。
媒体300−35の界面層336は、[(ZnS)80(SiO2090(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−36の界面層336は、[(ZnS)80(SiO2050(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−37の界面層336は、(Ga90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−38の界面層336は、(Ga50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−39の界面層336は、(SiC)90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−40の界面層336は、(SiC)50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−41の界面層336は、(ZnS)90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−42の界面層336は、(ZnS)50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−43の界面層336は、(Si90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−44の界面層336は、(Si50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−45の界面層336は、(Nb90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−46の界面層336は、(Nb50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−47の界面層336は、(TiO90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−48の界面層336は、(TiO50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−49の界面層336は、(CeF90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−50の界面層336は、(CeF50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−51の界面層336は、(BN)90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−52の界面層336は、(BN)50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−53の界面層336は、(MgO)90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−54の界面層336は、(MgO)50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−55の界面層336は、(Cr90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−56の界面層336は、(Cr50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。
媒体300−57の界面層336は、(AlN)90(Ta10ターゲットをスパッタリングして形成した。媒体300−58の界面層336は、(AlN)50(Ta50ターゲットをスパッタリングして形成した。いずれの媒体においても、界面層336の組成は、ターゲットの組成と同じであった。
他の層の材料、膜厚およびスパッタリング条件、ならびに初期化工程、中間層形成工程および透明層形成工程は、実施例4と同様である。完成した計30枚の情報記録媒体300を実施例1と同様に、温度85℃で相対湿度85%の高温高湿槽に100時間放置した後、記録層335と界面層336の界面で剥離が発生していないかどうかを、光学顕微鏡を使って目視で調べた。その評価結果を(表5)に示す。
Figure 2009157990
(表5)に示す様に、媒体300−1,3,31〜58において、剥離が発生せず、界面層336は良好な密着性を示した。このように、界面層336が、In、ZnO、SnO、ZnS−SiO、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含む界面層Aであって、さらにTaを含む場合にも、SbとSiを含む記録層335と良好な密着性を示すことがわかった。また、In、ZnO、SnO、ZnS−SiO、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを50mol%以上含むと、良好な密着性を得ることができた。
(実施例6)
実施例6においても、図3の情報記録媒体300を製造し、界面層336の材料と記録層335との密着性の関係を調べた。この実施例では、界面層336の材料以外は、実施例4と同様にして、媒体を作製した。この実施例では、界面層336を、Inの代わりに、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNを用い、それぞれにAl、SiO、ZrO、HfO、DyおよびLaFより選ばれる少なくとも一つの化合物を添加した材料で形成した。界面層336と記録層335の密着性を評価した。その結果、実施例4と同様に、これらの材料で形成した界面層336は、SbとSiを含む記録層335と良好な密着性を示した。
(実施例7)
実施例7では、図1の情報記録媒体100を製造し、誘電体層113の材料を変えて、本発明の効果を調べた。界面層114および116が、Inから成り、誘電体層113がそれぞれ、Si、ZrC、およびDyFから成る3種類の媒体(媒体番号100−11〜13)を作製した。記録層115は、Sb50Si50(原子%)から成る層とした。
誘電体層113の材料を除いて、媒体の構成および製造方法は実施例1の媒体110−1と同様にした。誘電体層113のスパッタリング条件は次のとおりであった。高周波電源を用いてターゲットを200Wの出力でスパッタリングする条件は、すべての媒体において共通させた。媒体100−11の誘電体層113は、Siターゲットを、圧力0.4PaのArガスとNガスの体積比が95:5である混合ガス雰囲気中でスパッタリングして形成した。媒体100−12の誘電体層113は、ZrCターゲットを圧力0.13PaのArガス雰囲気中でスパッタリングして形成した。媒体100−13の誘電体層113は、DyFターゲットを、圧力0.13PaのArガス雰囲気中でスパッタリングして形成した。
完成した計3枚の情報記録媒体100を実施例1と同様に、温度85℃で相対湿度85%の高温高湿槽に100時間放置した後、記録層115と界面層114の界面及び記録層115と界面層116の界面の少なくとも一方で剥離が発生していないかどうかを、光学顕微鏡を使って目視で調べた。その評価結果を(表6)に示す。
Figure 2009157990
(表6)に示す様に、媒体100−11〜13において、剥離が発生せず、界面層114および116は、良好な密着性を示した。このように、界面層114および116が界面層Aである場合には、誘電体層113と117が、酸化物、硫化物、窒化物、炭化物及び弗化物から選ばれる少なくとも一つを含む材料を含んでいると、良好な密着性を示すことがわかった。
(実施例8)
実施例8では、図4の情報記録媒体400を製造し、記録層445の材料と、記録再生特性および信頼性との関係を調べた。記録層445が、Sb80Si15(原子%)(式中、Lは、B、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素である。)から成り、Lがそれぞれ異なる記録層445を有する情報記録媒体400を15種類(媒体番号400−1〜15)作製した。また、Lを有しない、Sb80Si20記録層を有する媒体(媒体番号400−16)を作製した。比較のために、記録層445がそれぞれ、Sb80Dy20、Sb80Mn20、Sb80Fe20、Sb80Pd20、およびSb80Co20から成る媒体(媒体番号8−1〜5)を作製した。
以下に、この実施例をより具体的に説明する。はじめに、情報記録媒体400の製造方法について説明する。製造には図9に示すスパッタリング装置を用いた。実施例の媒体400−1〜15の媒体において、各層は、記録層445を除いて、同じスパッタリング条件で、同じ材料で、同じ膜厚となるように形成した。
各層の材料と膜厚を説明する。基板401として、実施例1の基板101と同様の基板を準備し、スパッタリング装置内に取り付けた。基板401の案内溝形成側表面に、反射層412として、厚さ100nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層413として、厚さ10nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を、界面層414として、厚さ5nmのZnO層を、記録層415として、厚さ10nmのSb50Si50(原子%)層を、界面層416として、厚さ5nmのZnO層を、誘電体層417として、厚さ48nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、第1の情報層410が形成された。
次に、誘電体層417の表面に、案内溝を有する中間層403を18μmの厚さで形成した。中間層403の案内溝形成側表面に、誘電体層421として、厚さ11nmのTiO層を11nm、反射層422として、厚さ10nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層423として厚さ5nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を、界面層424として、厚さ5nmのSnO層を、記録層425として、厚さ5.5nmのSb60Si40(原子%)層を、界面層426として、厚さ5nmのSnO層を、誘電体層427として、厚さ44nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、第2の情報層420が形成された。
次に、誘電体層427の表面に、案内溝を有する中間層404を25μmの厚さで形成した。中間層404の案内溝形成側表面に、誘電体層431として、厚さ18nmのTiO層を、反射層432として、厚さ10nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層433として、厚さ5nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を、界面層434として、厚さ5nmのGa層を、記録層435として、厚さ4.5nmのSb70Si30(原子%)層を、界面層436として、厚さ5nmのGa層を、誘電体層437として、厚さ35nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を順に形成した。それにより、第3の情報層430が形成された。
次に、誘電体層437の表面に、案内溝を有する中間層405を14μmの厚さで形成した。中間層405の案内溝形成側表面に、誘電体層441として、厚さ14nmのTiO層を、反射層442として、厚さ10nmのAg−Cu系合金層を、誘電体層443として、厚さ5nmの(ZrO25(SiO25(Cr50(mol%)層を、界面層444として、厚さ5nmのIn層を形成した後、厚さ4nmの記録層445を形成し、さらに界面層446として、厚さ5nmのIn層を、誘電体層447として、厚さ33nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成した。それにより、第4の情報層440が形成された。
各層のスパッタリング条件を説明する。用いたターゲットはすべて、円盤形状を有し、その直径は100mm、厚さは6mmであった。反射層412から誘電体層417を、実施例1の反射層112から誘電体層117と同様の条件で形成した。第1の情報層410を成膜した基板401をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして記録層415の初期化工程を実施した。次に、中間層403を実施例2の中間層203と同様の条件で形成した。
中間層403まで形成した基板401を再びスパッタリング装置に配置して、中間層403の表面に第2の情報層420を形成した。まず、中間層403上に、誘電体層421から誘電体層423を、実施例2の誘電体層221から誘電体層223と同様の条件で形成した。次に界面層424を実施例1の界面層114と同様の条件で形成した。次に記録層425を、実施例2の記録層225と同様の条件で形成した。次に界面層426と誘電体層427を、実施例1の界面層116と誘電体層117と同様の条件で形成した。第2の情報層420まで成膜した基板401をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして記録層425の初期化工程を実施した。次に、中間層404を実施例3の中間層203と同様の条件で形成した。
中間層404まで形成した基板401を再びスパッタリング装置に配置して、中間層404の表面に第3の情報層430を形成した。まず、中間層404上に、誘電体層431から誘電体層433を、実施例2の誘電体層221から誘電体層223と同様の条件で形成した。次に界面層434を、実施例1の界面層114と同様の条件で形成した。次に記録層435を、実施例4の記録層335と同様の条件で形成した。次に界面層436と誘電体層437を、実施例1の界面層116と誘電体層117と同様の条件で形成した。第3の情報層430まで成膜した基板401をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして記録層435の初期化工程を実施した。次に、中間層405を実施例3の中間層203と同様の条件で形成した。
中間層405まで形成した基板401を再びスパッタリング装置に配置して、中間層405の表面に第4の情報層440を形成した。まず、中間層405上に、誘電体層441から誘電体層443を実施例2の誘電体層221から誘電体層223と同様の条件で形成した。次に界面層444を実施例1の界面層114と同様の条件で形成した。
次に、記録層445のスパッタリング条件を媒体番号ごとに説明する。直流電源を用いて50Wの出力で、圧力0.13Paの雰囲気中でスパッタリングする条件は、すべての媒体において共通させた。
媒体400−1の記録層445は、Sb77Si18ターゲットをArガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15の組成を有していた。媒体400−2の記録層445は、Sb77Si18ターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15の組成を有していた。媒体400−3の記録層445は、Sb77Si23ターゲットを、ArガスとNガスの体積比が95:5である混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングして形成し、Sb80Si15の組成を有していた。媒体400−4の記録層445は、Sb77Si23ターゲットを、ArガスとOガスの体積比が95:5である混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングして形成し、Sb80Si15の組成を有していた。媒体400−5の記録層445は、Sb77Si18Mgターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Mgの組成を有していた。
媒体400−6の記録層445は、Sb77Si18Alターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Alの組成を有していた。媒体400−7の記録層445は、Sb77Si18ターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15の組成を有していた。媒体400−8の記録層445は、Sb77Si18Gaターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Gaの組成を有していた。媒体400−9の記録層445は、Sb77Si18Geターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Geの組成を有していた。媒体400−10の記録層445は、Sb77Si18Agターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Agの組成を有していた。
媒体400−11の記録層445は、Sb77Si18Inターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Inの組成を有していた。媒体400−12の記録層445は、Sb77Si18Snターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Snの組成を有していた。媒体400−13の記録層は、Sb77Si18Teターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Teの組成を有していた。媒体400−14の記録層445は、Sb77Si18Auターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Auの組成を有していた。媒体400−15の記録層445は、Sb77Si18Biターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si15Biの組成を有していた。媒体400−16の記録層445は、Sb77Si23ターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Si20の組成を有していた。
媒体8−1の記録層445は、Sb−Dyターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Dy20の組成を有していた。媒体8−2の記録層445は、Sb−Mnターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Mn20の組成を有していた。媒体8−3の記録層445は、Sb−Feターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Fe20の組成を有していた。媒体8−4の記録層445は、Sb−Pdターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Pd20の組成を有していた。媒体8−5の記録層445は、Sb−Coターゲットを、Arガス雰囲気中でスパッタリングして形成し、Sb80Co20の組成を有していた。
次に、界面層446と誘電体層447を、実施例1の界面層116と誘電体層117と同様の条件で形成した。第4の情報層440まで成膜した基板401をスパッタリング装置から取り出した。その後、実施例1と同様にして、記録層445の初期化工程を実施した。それから、誘電体層447の表面に紫外線硬化性樹脂(アクリル系樹脂)をスピンコート法で43μmの厚さとなるように塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、透明層402を形成した。これにより透明層形成工程が終了し、媒体番号400−1〜15の情報記録媒体400の作製が完了した。
作製した媒体番号400−1〜15において、第1の情報層410、第2の情報層420、第3の情報層430および第4の情報層440はすべて、鏡面部にて、実効反射率Rc約1.3%、Ra約0.3%であった。第1の情報層410の反射率は、第2の情報層420、第3の情報層430および第4の情報層440を通ったレーザ光10で測定した。同様に、第2の情報層420の反射率は、第3の情報層430および第4の情報層440を通ったレーザ光10で測定した。同様に、第3の情報層430の反射率は、第4の情報層440を通ったレーザ光10で測定した。第2の情報層420の光透過率は、Tc約57%、Ta約53%であった。第3の情報層430の光透過率は、Tc約67%、Ta約63%であった。第4の情報層440の光透過率は、Tc約71%、Ta約66%であった。透過率の測定は実施例2と同様にして行った。
次に、情報記録媒体400の記録再生評価方法について説明する。図10に示すように情報記録媒体50を回転させるスピンドルモータ51と、レーザ光10を発する半導体レーザ53を備えた光学ヘッド54と、レーザ光10を情報記録媒体50の記録層上に集光させる対物レンズ55とを具備した一般的な構成の記録再生装置を用いた。本実施例では、情報記録媒体50として情報記録媒体400を用い、第4の情報層440の記録層445に情報を記録した。
情報記録媒体400の評価においては、波長405nmの半導体レーザ53と開口数0.85の対物レンズ55を使用し、25GB容量相当の記録を行った。用いた記録再生装置のレーザ光10のレーザパワー上限は、媒体の盤面で30mWである。
記録は、2倍速(9.84m/秒、72メガビット毎秒(Mbps))と4倍速(19.68m/秒、144Mbps)で、半径50mmの位置で実施した。記録した信号の再生評価は、1倍速で1.2mWのレーザ光を照射して実施した。なお、再生評価条件は、1倍速より大きな線速度で実施してもよく、再生パワーも1.2mW以外のパワーであってよい。
記録再生評価は、信号振幅対ノイズ比(CNR)と消去率の測定に基づいて実施した。CNRの測定方法は次の通りである。レーザ光10を、高パワーレベルの記録パワー(mW)と低パワーレベルの消去パワー(mW)との間でパワー変調しながら、情報記録媒体100に向けて照射して、2T(マーク長0.149μm)の単一信号と9T(マーク長0.671μm)の単一信号を、交互に計11回、グルーブ面に記録した。記録に用いるパルスの波形は、マルチパルスであった。11回目の2T信号が記録された状態で、スペクトラムアナライザーで振幅(C)(dBm)とノイズ(N)(dBm)を測定し、その差からCNR(dB)を測定した。
消去率の測定方法は次のとおりである。上記の11回目の2T信号の振幅を測定し、12回目に9T信号を記録して、2T信号がどれだけ減衰したかスペクトラムアナライザーで測定した。この減衰量を消去率(dB)と定義した。
CNR測定の際の記録パワーを決めるために、記録パワー(Pw)及び消去パワー(Pe)を以下の手順で設定した。消去パワーを一定の適切な値に固定し、2T振幅の記録パワー依存性を測定した。これにより、所定のPw1を設定した。記録パワーをPw1に固定し、CNRと消去率の消去パワー依存性を測定した。これにより、所定の低パワー側Pe0と高パワー側Pe1の平均値をPeとした。消去パワーをPeに固定し、再び2T振幅の記録パワー依存性を測定した。これにより、所定のPwを設定した。この手順で、2倍速および4倍速のPwとPeをそれぞれ決めた。
情報記録媒体400−1〜15について、上記手順で求めたPwとPeを用いて、CNRと消去率を、2倍速と4倍速の条件で測定した((1)2TCNR、(2)2T消去率)。
次に信頼性評価方法について説明する。信頼性評価は、記録した信号が高温高湿条件下に置かれても保存されるかどうかを調べるために実施する。評価には、上記の記録再生装置を用いた。まず、情報記録媒体400−1〜15に、上記のPwおよびPeのパワーで2T信号と9T信号を交互に計11回、同一トラックのグルーブ面に記録した。これを、2倍速と4倍速の条件で、複数トラックで実施し、2TCNRを測定した。
続いて、温度85℃、相対湿度85%の高温高湿槽にこれらの媒体を100時間放置した後、取り出した。取り出した後、記録しておいた2T信号を1倍速で再生してCNRを測定した(記録保存性)。恒温槽に放置する前のCNR(B)と放置した後のCNR(A)との差(即ち、CNR(A)−CNR(B))から記録保存性を評価した((3)CNR変化)。放置後のCNRが低下していると信頼性は芳しくない。記録保存性は低倍速で劣化しやすい。
2倍速および4倍速における(1)2TCNR、(2)2T消去率、(3)CNR変化の評価結果を(表7)に示す。表中、(1)2TCNRは、45dB以上を◎、40dB以上45dB未満を○、35dB以上40dB未満を△、35dB未満は×、(2)2T消去率は、25dB以上であれば◎、20dB以上25dB未満であれば○、15dB以上20dB未満であれば△、15dB未満であれば×、(3)CNR変化は、1dB未満を◎、1dB以上3dB未満を○、3dB以上5dB未満を△、5dB以上を×とした。◎と○と△評価は使用可能であることを示す。◎評価がもっとも好ましく、○評価は△評価よりも好ましい。×評価は、その記録条件での使用が困難であることを示す。
また、総合評価は、全ての評価項目で◎が得られれば、◎と評価し、全ての評価項目で◎または○が得られれば、○と評価し、1つ以上の評価項目で△があれば△と評価し、1つ以上の評価項目で×があれば、×と評価した。◎評価が最も好ましく、○評価がより好ましく、△評価が好ましい。×評価は使用困難であることを示す。
Figure 2009157990
(表7)に示す様に、媒体400−1〜16は、すべての項目で◎、○または△評価が得られ、72Mbps以上の速度で使用可能であった。特に、Lとして、B,C,Mg,Al,Ga,Ge,In,またはAuを添加した材料を用いた媒体は、優れた特性を示した。また、SnまたはBiを添加した材料を用いた媒体は、結晶化速度が大きいので、180Mbpsでも使える可能性を有している。また、N,O,S,またはTeを添加した材料を用いた媒体は、○または△評価が含むものの、透明性が高いので、図5に示すような、より多層な情報記録媒体のレーザ入射側の記録層に用いることも可能である。これに対し比較のために作製した媒体8−1〜5は、2T消去率およびCNR変化において劣っており、使用が困難であった。媒体400−1〜16について、2倍速のPwとPeはそれぞれ、10mWと約4mWであり、4倍速のPwとPeはそれぞれ、約12mWと約4mWであった。
このように、4つの情報層を有する情報記録媒体400の、レーザ入射側に設けられた第4の情報層440の記録層445が、Sb100−xSiで表され、x≦50を満たす材料で形成されると、記録層445の膜厚が非常に薄くても(4nm)、72Mbps以上、さらには144Mbpsでの記録消去が可能になった。さらに、記録層445が、B、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含んでいても、72Mbps以上での記録消去が可能であった。
また、SbとSiとを含む記録層445と、Inから成る界面層444と446とを組み合わせて用いると、温度85℃、相対湿度85%で100時間放置しても、記録層−界面層の間で剥離が生じず、CNR変化も小さく、良好な信頼性が得られた。
(実施例9)
実施例9では、実施例8と同様に、図4の情報記録媒体400を製造し、記録層415、425、435、445の材料と、記録再生特性および信頼性との関係を調べた。本実施例では、第1の情報層410の記録層415、第2の情報層420の記録層425、第3の情報層430の記録層435および第4の情報層440の記録層445に、情報を記録した。記録層415として、厚さ15nmのSb50Si30Mg20(原子%)層を、記録層425として、厚さ5.5nmのSb60Si24Al16(原子%)層を、記録層435として、厚さ4.5nmのSb70Si18Ga12(原子%)層を、記録層445として厚さ4nmのSb80Si12Au(原子%)層を、いずれも実施例8と同様の条件で形成した。
記録層415の成膜に使用したターゲットの組成は、Sb46Si35Mg19であった。記録層425の成膜に使用したターゲットの組成は、Sb56Si28Al16であった。記録層435の成膜に使用したターゲットの組成は、Sb67Si21Ga12であった。記録層445の成膜に組成したターゲットの組成は、Sb77Si15Auであった。
他の層の膜厚、材料およびスパッタリング条件、ならびに記録層の初期化工程、中間層形成工程、および透明層形成工程は、実施例8のそれらと同様である。この情報記録媒体400の媒体番号は、400−21とした。媒体400−21について、実施例8と同様の方法で、記録再生評価および信頼性評価を実施した。その結果を(表8)に示す。◎、○、△、×の定義は実施例8で説明したとおりである。
Figure 2009157990
(表8)に示すように、媒体400−21の第1情報層410,第2情報層420、第3情報層430および第4情報層440について、すべての項目で、◎評価が得られた。したがって、この媒体は、72Mbps以上の速度で使用可能であった。第1情報層410の2倍速のPwおよびPeはそれぞれ、25mWおよび10mWであり、4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、29mWおよび12mWであった。第2情報層420の2倍速のPwおよびPeはそれぞれ、25mWおよび8mWであり、4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、29mWおよび9mWであった。第3情報層430の2倍速のPwおよびPeはそれぞれ、17mWおよび5mWであり、4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、20mWおよび6mWであった。第4情報層440の2倍速のPwおよびPeはそれぞれ、10mWおよび3mWであり、4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、12mWおよび4mWであった。
このように、4つの情報層を有する情報記録媒体400の、記録層415,425,435および445が、Sb100−x−ySi(LはB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素)で表され、xおよびyがx+y≦50を満たす材料を含むと、4つの情報層で、72Mbps以上、さらには144Mbpsでの記録消去が可能になった。また、これらの記録層415,425,435および445に隣接する界面層414と416、424と426、434と436、444と446を界面層Aであると、温度85℃、相対湿度85%で100時間放置しても、記録層−界面層で剥離が生じず、CNR変化も小さく、良好な信頼性が得られた。
(実施例10)
実施例10では、実施例4の媒体300−6の、記録再生特性並びに信頼性を調べた。本実施例では、第1の情報層310の記録層315、第2の情報層320の記録層325および第3の情報層330の記録層335に、情報を記録した。実施例8と同様に、2倍速(72Mbps)と4倍速(144Mbps)で情報を記録消去し、記録した信号の再生評価は、1倍速で0.9mWのレーザ光を照射して実施した。その結果を(表9)に示す。◎、○、△、×の定義は実施例8で説明したとおりである。
Figure 2009157990
(表9)に示すように、媒体300−6は、第1情報層310,第2情報層320および第3情報層330について、すべての項目で◎評価が得られた。したがって、この媒体は、72Mbps以上、さらには144Mbpsの速度で使用可能であった。第1情報層310の2倍速のPwおよびPeはそれぞれ、16mWおよび6mWであり、4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、19mWおよび8mWであった。第2情報層320の2倍速のPwおよびPeはそれぞれ、17mWおよび5mWであり、4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、20mWおよび6mWであった。第3情報層330の2倍速のPwおよびPeはそれぞれ、11mWおよび4mWであり、4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、13mWおよび4mWであった。
このように、3つの情報層を有する情報記録媒体300の、記録層315,325,335が、Sb100−xSiで表され、x≦50を満たす材料を含むと、3つの情報層で、72Mbps以上、さらには144Mbpsでの記録消去が可能になった。また、これらの記録層315,325,335に隣接する界面層314と316、324と326、334と336が界面層Aであると、温度85℃、相対湿度85%で100時間放置しても、記録層−界面層で剥離が生じず、CNR変化も小さく、良好な信頼性が得られた。
(実施例11)
実施例11では、実施例2と同様に、図2の情報記録媒体200を製造し、記録再生特性並びに信頼性を調べた。本実施例では、第1の情報層210の記録層215および第2の情報層220の記録層225に、情報を記録した。記録層215は、Sb80Si10Sn10(原子%)層とし、記録層225は、Sb90SiBi(原子%)層とし、界面層226はSiC層とした。この媒体の媒体番号は、200−31とした。
記録層215は、直流電源を用いて100Wの出力で、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、Sb77Si12Sn11ターゲットをスパッタリングして形成し、Sb80Si10Sn10の組成を有していた。記録層225は、直流電源を用いて50Wの出力で、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、Sb89SiBiターゲットをスパッタリングして形成し、Sb90SiBiの組成を有していた。他の層の材料、膜厚およびスパッタリング条件、ならびに記録層の初期化工程、中間層形成工程、および透明層形成工程は、実施例2のそれらと同様である。
本実施例では、25GB容量相当の記録を行った。記録は、4倍速(19.68m/秒、144Mbps)と6倍速(29.52m/秒、216Mbps)で、半径50mmの位置で実施した。記録した信号の再生評価は、1倍速で0.6mWのレーザ光を照射して実施した。なお、再生評価条件は、1倍速より大きな線速度で実施してもよく、再生パワーも0.6mW以外のパワーであってよい。その結果を(表10)に示す。◎、○、△、×の定義は、実施例8で説明したとおりである。
Figure 2009157990
(表10)に示すように、媒体200−31の第1情報層210および第2情報層220について、すべての項目で◎評価が得られた。したがって、この媒体は、144Mbps以上、さらには216Mbpsの速度で使用可能であった。第1情報層210の4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、13mWおよび5mWであり、6倍速のPwおよびPeはそれぞれ、15mWおよび6mWであった。第2情報層320の4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、11mWおよび4mWであり、6倍速のPwおよびPeはそれぞれ、13mWおよび4mWであった。
このように、2つの情報層を有する情報記録媒体200の、記録層215および225が、Sb100−x−ySi(LはB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素)で表され、x+y≦50且つy≦xを満たす材料を含むと、2つの情報層で、144Mbps以上、さらには216Mbpsでの記録消去が可能になった。また、これらの記録層215および225に隣接する界面層214と216、224と226が界面層Aであると、温度85℃、相対湿度85%で100時間放置しても、記録層−界面層で剥離が生じず、CNR変化も小さく、良好な信頼性が得られた。
(実施例12)
実施例12では、実施例1と同様に、図1の情報記録媒体100を製造し、記録再生特性および信頼性を調べた。本実施例では、第1の情報層110の記録層115に、情報を記録した。界面層114として、厚さ5nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を、記録層115として、厚さ15nmのSb80Si10Ge10(原子%)層を、界面層116として、厚さ50nmの(ZnS)80(SiO20(mol%)層を形成し、誘電体層117は設けなかった。他の層の組成および膜厚は、実施例1の媒体のそれらと同じであった。これにより、情報層110が形成された。この媒体の媒体番号は、100−21とした。
記録層115は、直流電源を用いて100Wの出力で、圧力0.13PaのArガス雰囲気中で、Sb77Si12Ge11ターゲットをスパッタリングして形成し、Sb80Si10Ge10の組成を有していた。その他の層の材料、膜厚およびスパッタリング条件、ならびに初期化工程および透明層形成工程は、実施例1のそれらと同様である。
本実施例では、実施例11同様、25GB容量相当の記録を行った。記録は、4倍速と6倍速の条件で、半径50mmの位置で実施した。記録した信号の再生評価は、1倍速で0.3mWのレーザ光を照射して実施した。なお、再生評価条件は、1倍速より大きな線速度で実施してもよく、再生パワーも0.3mW以外のパワーであってよい。その結果を(表11)に示す。◎、○、△、×の定義は実施例8で説明したとおりである。
Figure 2009157990
(表11)に示すように、媒体100−21は、すべての項目で◎評価が得られ、144Mbps以上、さらには216Mbpsで使用可能であった。第1情報層110の4倍速のPwおよびPeはそれぞれ、7mWおよび3mWであり、6倍速のPwおよびPeはそれぞれ、8mWおよび3mWであった。
このように、1つの情報層を有する情報記録媒体100の、記録層115が、Sb100−x−ySi(LはB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素)で表され、xおよびyがx+y≦50且つy≦xを満たす材料を含むと、1つの情報層で、144Mbps以上、さらには216Mbpsでの記録消去が可能になった。また、記録層115に隣接する界面層114と116が界面層Aであると、温度85℃、相対湿度85%で100時間放置しても、記録層−界面層で剥離が生じず、CNR変化も小さく、良好な信頼性が得られた。
(実施例13)
実施例13では、電気的エネルギーを印加することによって、情報を記録するメモリを作製し、評価した。図6に、電気的手段によって情報を記録する情報記録媒体と、それに情報を記録するシステムを示す。本実施例では、図6に示す情報記録媒体600の記録部603をSbおよびSiを含む層とした。
本実施例の情報記録媒体600は次のようにして作製した。まず、表面を窒化処理したSi基板601を準備した。この基板601の上に、Auの下部電極602を、6μm×6μmの正方形の領域に、厚さ100nmとなるように形成した。下部電極602の上に、Sb70Si30記録部603を、3μm×3μmの正方形の領域に、厚さ50nmとなるように形成した。記録部603の外側に、1μm幅のIn界面部612を、厚さ50nmとなるように形成した。Auの上部電極604を、5μm×5μmの領域に、厚さ100nmとなるように形成した。
下部電極602、記録部603、界面部612及び上部電極604は、いずれも直径100mmで厚さ6mmの円盤形状のターゲットを、圧力0.13PaのArガス雰囲気中でスパッタリングすることにより形成した。下部電極602は、基板601を成膜装置に取り付け、直流電源を用いて、Auターゲットを出力200Wでスパッタリングして形成した。続いて、下部電極602の外周部をマスクで覆い、記録部603を、下部電極602上の3μm×3μmの正方形の領域に形成した。記録部603は、Sb66Si34ターゲットを、直流電源を用いて出力100Wでスパッタリングして形成した。
続いて、記録部603の表面および下部電極602の表面の一部をマスクで覆い、記録部603の周りに、1μm幅の界面部612を形成した。界面部612は、Inターゲットを、高周波電源を用いて200Wの出力でスパッタリングすることにより形成した。続いて、記録部603および界面部612の上に、上部電極604を、Auターゲットを、直流電源を用いて200Wの出力でスパッタリングして形成した。上部電極604は上から見たときに、5μm×5μmの正方形の形状を有していた。
続いて、下部電極602及び上部電極604に、Auリード線をボンディングし、Auリード線を印加部609に接続して、電気的情報記録再生装置610を、情報記録媒体600に接続した。この電気的情報記録再生装置610において、下部電極602と上部電極604の各々に接続されている印加部609の間には、パルス電源605が、スイッチ608を介して接続されていた。さらに、記録部603の相変化による抵抗値の変化は、下部電極602と上部電極604の間に、スイッチ607を介して接続された抵抗測定器606によって検出した。
記録部603が非晶質相のとき、下部電極602と上部電極604の間に、4mA、50nsの電流パルスを印加したところ、記録部603が非晶質相から結晶相に転移した。また、記録部603が結晶相のとき、下部電極602と上部電極604の間に、9mA、10nsの電流パルスを印加したところ、記録部603が結晶相から非晶質相に転移した。すなわち、可逆的相変化が確認された。これにより、界面部612が断熱部として良好に機能して、記録部603に流れた電流が周辺部に逃げることを防止して、記録部603の温度を効率的に上昇させることが確認された。
この結果から、記録部603がSb70Si30から成り、界面部612がInから成るメモリに、電気的エネルギーを付与することによって、相変化を生じさせ得ることがわかった。記録部603が、Sb70Si2010、Sb70Si2010、Sb70Si2010、Sb70Si2010、Sb70Si20Mg10、Sb70Si20Al10、Sb70Si2010、Sb70Si20Ga10、Sb70Si20Ge10、Sb70Si20Ag10、Sb70Si20In10、Sb70Si20Sn10、Sb70Si20Te10、Sb70Si20Au10およびSb70Si20Bi10のいずれかから成り、界面部612が、In、ZnO、SnO、ZnS−SiO、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含む材料から成る場合にも、電流パルスの印加により非晶質相から結晶相、および結晶相から非晶質相の高速転移が生じた。また、記録部603と界面部612との間で、良好な密着性が得られた。よって、情報記録媒体600は、情報を高速記録消去するために用いられ得ることが、確認できた。
以上のようにして製造した情報記録媒体600に、電気的エネルギーを印加することによって記録部603にて可逆的相変化が起こることを、図6に示すシステムにより確認した。この情報記録媒体600を複数個つないで使用することにより、メモリ容量を増やすこと、アクセス機能及びスイッチング機能を向上させることが可能となる。
以上、種々の実施例により説明したように、光学的手段で記録する情報記録媒体及び電気的手段で記録する情報記録媒体のいずれにも、SbおよびSiを含む記録層と、特定の元素の組み合わせを含む界面層との組み合わせを用いることができる。実施例において、情報記録媒体としてBlu−ray Discを製造した。本発明は、HD DVDにも適用することが可能である。本発明の情報記録媒体によれば、これまで実現されなかった4倍速以上の高データ転送レートおよび100GB以上の大容量な記録条件でも、良好な記録特性、消去特性、および記録マーク保存性を満足する情報記録媒体が得られる。
本発明の情報記録媒体は、書換形Blu−ray Disc、書換え型多層Blu−ray Disc、書換え型HD DVD、および書換え型多層HD DVD等の大容量の光学的情報記録媒体として有用である。さらに、本発明の情報記録媒体は、電気的な高速スイッチング素子のような電気的情報記録媒体としても有用である。
本発明の情報記録媒体の一例を示す部分断面図 本発明の情報記録媒体のさらに別の例を示す部分断面図 本発明の情報記録媒体のさらに別の例を示す部分断面図 本発明の情報記録媒体のさらに別の例を示す部分断面図 本発明の情報記録媒体のさらに別の例を示す部分断面図 本発明の情報記録媒体、及び電気的情報記録再生装置の構成の一部を模式的に示す図 本発明の電気的情報記録媒体の構成の一部を模式的に示す図 本発明の電気的情報記録媒体とその記録再生システムの構成の一部を模式的に示す図 本発明の情報記録媒体の製造方法で使用するスパッタリング装置の一例を示す模式図 本発明の記録方法で使用する記録再生装置の一例を示す模式図 本発明の情報記録媒体のさらに別の例を示す部分断面図 本発明の情報記録媒体のさらに別の例を示す部分断面図
符号の説明
10 レーザ光
50,100,200,300,400,500,600,700,800,900 情報記録媒体
25,101,201,301,401,501,601,801,802,901,902 基板
110,210,220,310,320,330,410,420,430,440,510,520,530,5N0,810,910,920 情報層
112,212,222,312,322,332,412,422,432,442,812,912,922 反射層
113,117,213,217,221,223,227,313,317,321,323,327,331,333,337,413,417,421,423,427,431,433,437,441,443,447,813,817,913,917,921,923,927 誘電体層
114,116,214,216,224,226,314,316,324,326,334,336,414,416,424,426,434,436,444,446,814,816,914,916,924,926 界面層
115,215,225,315,325,335,415,425,435,445,815,915,925 記録層
203,303,304,403,404,405,503,504,505 中間層
102,202,302,402,502 透明層
806,906 接着層
602 下部電極
604 上部電極
603 記録部
612 界面部
605,713 パルス電源
606,714 抵抗測定器
607,608 スイッチ
609 印加部
610 電気的情報記録再生装置
701 ワード線
702 ビット線
703 メモリセル
711 外部回路
712 記憶装置
715 アドレス指定回路
20 スパッタリング(成膜)装置
21 スパッタ室
22 排気口
23 真空ポンプ
24 スパッタガス導入口
26 基板ホルダー(陽極)
27 ターゲット(陰極)
28 ターゲット電極
29 電源
30 循環水
51 スピンドルモータ
53 半導体レーザ
54 光学ヘッド
55 対物レンズ

Claims (26)

  1. 光の照射によって情報を記録し得る情報記録媒体であって、光の照射によって相変化を生じ得る記録層と、厚さ方向において、前記記録層と隣接する二つの界面層とを含み、前記記録層が、SbとSiとを含み、前記界面層のうち少なくとも一つが、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aであることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記界面層Aが、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、Si、Nb、TiO、CeF、BN、MgO、CrおよびAlNより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含む請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記記録層および前記界面層Aが、レーザ光入射側から、前記界面層A/前記記録層の順に配置されている請求項1または2に記載の情報記録媒体。
  4. 前記記録層および前記界面層Aが、レーザ光入射側から、前記記録層/前記界面層Aの順に配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  5. 前記界面層Aが、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、Ga、SiC、ZnS、SiおよびMgOより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  6. 前記界面層Aが、In、ZnO、SnO、ZnS−SiOの組み合わせ、GaおよびSiCより選ばれる少なくとも一つの化合物または組み合わせを含む、請求項2または4に記載の情報記録媒体。
  7. 前記界面層Aが、さらにTa−O、Al−O、Si−O、Zr−O、Hf−O、Dy−OおよびLa−Fより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  8. 厚さ方向において、前記界面層Aと隣接する誘電体層をさらに含み、前記誘電体層が酸化物、硫化物、窒化物、炭化物及び弗化物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  9. 前記記録層が、式(1):
    Sb100−xSi (1)
    (式中、xは、原子%で表される組成比を示し、x≦50を満たす。)
    で表される材料を含む、請求項1に記載の情報記録媒体。
  10. 前記記録層が、さらにB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含む請求項1に記載の情報記録媒体。
  11. 前記記録層が、式(2):
    Sb100−x−ySi (2)
    (式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)
    で表される材料を含む、請求項10に記載の情報記録媒体。
  12. 前記x及び前記yが、y≦xを満たす請求項11に記載の情報記録媒体。
  13. 前記記録層の膜厚が15nm以下である請求項1に記載の情報記録媒体。
  14. 前記記録層の膜厚が6nm以下である請求項1に記載の情報記録媒体。
  15. N個の情報層を含み、Nは2以上の整数であって、前記情報層のうち少なくとも一つの情報層が前記記録層と前記界面層Aとを含む請求項1に記載の情報記録媒体。
  16. 前記Nが、3または4である請求項15に記載の情報記録媒体。
  17. レーザ光入射側に位置する情報層を第N情報層とし、レーザ光入射側から最も遠い情報層を第1情報層としたとき、第1情報層を除く情報層のうち少なくとも一つの情報層が、前記記録層と前記界面層Aとを含む請求項15または16に記載の情報記録媒体。
  18. SbとSiとを含む記録層を気相法により成膜することと、In−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aを気相法により成膜することとを少なくとも含む、情報記録媒体の製造方法。
  19. 前記記録層が、さらにB、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lを含む請求項18に記載の情報記録媒体の製造方法。
  20. 前記記録層を、希ガス、またはN2ガス及びO2ガスから選ばれる少なくとも一種のガスと希ガスとの混合ガスを含む雰囲気中で成膜し、前記界面層Aを、希ガス、またはN2ガス及びO2ガスから選ばれる少なくとも一種のガスと希ガスとの混合ガスを含む雰囲気中で成膜する、請求項18に記載の情報記録媒体の製造方法。
  21. B、C、N、O、Mg、Al、S、Ga、Ge、Ag、In、Sn、Te、Au及びBiから選ばれる少なくとも一つの元素Lと、SbおよびSiとを含む記録層を成膜するためのスパッタリングターゲットであって、少なくともSbとSiとを含むスパッタリングターゲット。
  22. 前記元素Lを含む請求項21に記載のスパッタリングターゲット。
  23. 前記記録層が、式(2):
    Sb100−x−ySi (2)
    (式中、xおよびyは、原子%で表される組成比を示し、x+y≦50を満たす。)
    で表される、請求項22に記載のターゲット。
  24. 光の照射によって情報を記録し得る情報記録媒体に情報を記録する方法であって、1以上の情報層を含み、前記情報層のうち少なくとも一つの情報層が、相変化を生じ得る記録層と、厚さ方向において、前記記録層と隣接する二つの界面層とを含み、前記記録層がSbとSiとを含み、前記界面層のうち少なくとも一つがIn−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aである情報記録媒体に、波長が390nm〜420nmの範囲内にあるレーザ光を発生させる半導体レーザと、開口数が0.8〜0.9の範囲内にある対物レンズとを使用して、144メガビット毎秒以上のデータ転送レートで情報を記録することを特徴とする情報記録媒体の記録方法。
  25. 光の照射によって情報を記録し得る情報記録媒体に情報を記録する方法であって、3以上の情報層を含み、前記情報層のうち少なくとも一つの情報層が、相変化を生じ得る記録層と、厚さ方向において、前記記録層と隣接する二つの界面層とを含み、前記記録層がSbとSiとを含み、前記界面層のうち少なくとも一つがIn−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含む界面層Aである情報記録媒体に、波長が390nm〜420nmの範囲内にあるレーザ光を発生させる半導体レーザと、開口数が0.8〜0.9の範囲内にある対物レンズとを使用して、72メガビット毎秒以上のデータ転送レートで情報を記録することを特徴とする情報記録媒体の記録方法。
  26. 電気的エネルギーの印加によって情報を記録し得る情報記録媒体であって、相変化を生じ得る記録部と、前記記録部の側面の少なくとも一部と接する界面部とを含み、前記記録部がSbとSiとを含み、前記界面部がIn−O、Zn−O、Sn−O、Zn−S−Si−O、Ga−O、Si−C、Zn−S、Si−N、Nb−O、Ti−O、Ce−F、B−N、Mg−O、Cr−OおよびAl−Nより選ばれる少なくとも一つの組み合わせを含むことを特徴とする情報記録媒体。
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