JP2009155214A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】(A)ヒトディフェンシンを組成物全体の0.00025〜0.05質量%と、(B)デキストラナーゼとを含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
【効果】本発明の口腔用組成物は、口腔内のバイオフィルムに対する優れた抗菌効果を発揮し、特に口腔バイオフィルム中のう蝕原性細菌に対して選択的な効果を示すもので、う蝕などの口腔疾患の予防に有効である。
【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内のバイオフィルムに対する抗菌効果に優れ、かつう蝕原性細菌に対する選択的抗菌効果を有する口腔用組成物に関する。
デンタルプラークはバイオフィルムと捉えられ(非特許文献1)、う蝕や歯周病などの口腔疾患の主要因子であるため、その殺菌及び除去がそのリスク低減に重要であるとされている。
口腔内のバイオフィルム中の細菌は、浮遊性細菌と比較してその性状に大きな違いがあり、これまでに提案されてきたトリクロサンなどの殺菌剤は、浸透性の低さからバイオフィルムに対しては有効ではないことが明らかになってきた。
また、従来の殺菌剤以外でも、宿主由来のペプチドであるディフェンシンにおいて、口腔内病原性細菌に対する抗菌作用が認められているが(非特許文献2)、バイオフィルムに対しては十分な効果がなく、口腔疾患のリスクをゼロにすることは困難であった。
この問題を解決するために、従来の殺菌剤とグリセロールリン酸などの組み合わせによりバイオフィルムへの効果を向上できるようになったが(特許文献1)、非特異的な殺菌であるために病原性リスクのみを低減することが困難であり、抜本的解決には至っていない。
このような現状から、バイオフィルム中の細菌に対して有効に働き、かつ病原性細菌、特にう蝕原性細菌に対して選択的に効果を示すバイオフィルム抑制剤の開発が強く望まれている。
Costerton,J.W.,Stewart,P.S. and Greenberg,E.P.:Bacterial biofilms:a common cause of persistent infections.Science 284:1318−1322,1999. Sophie Joly,Connie Maze,Paul B. McCray,Jr., and Janet M.Guthmiller:Human β−Defensins 2 and 3 demonstrate strain−selective activity against oral microorganisms.Journal of clinical microbiology, Mar.2004,p.1024−1029 特開2005−47855号公報 特開平7−133215号公報 特開2001−288105号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内のバイオフィルムに対する抗菌効果に優れ、かつう蝕原性細菌への選択的抗菌効果を示す口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、(A)ヒトディフェンシンと(B)デキストラナーゼとを配合することにより、高い口腔内バイオフィルム抗菌効果を発揮し、かつう蝕原性細菌に選択的な抗菌効果を示す口腔用組成物が得られることを初めて見出した。
なお、ヒトディフェンシンやデキストラナーゼは、例えば特許文献2及び3に選択可能な成分として記載されているが、特定量の(A)ヒトディフェンシンと、(B)デキストラナーゼとを併用することにより、両成分の相乗的作用によって、これら成分を単独で使用したり、両成分を併用しても不適当な配合量で併用した場合に比較して予想外の口腔内バイオフィルム抗菌効果とバイオフィルム中のう蝕原性細菌選択的抗菌効果を示し、う蝕等の口腔疾患を効果的に予防することが可能となったもので、このことは本発明者らの新知見である。
従って、本発明は、(A)ヒトディフェンシンを組成物全体の0.00025〜0.05質量%と、(B)デキストラナーゼとを含有してなることを特徴とする口腔用組成物を提供する。
この場合、(B)デキストラナーゼの配合量は、デキストラナーゼとして10,000単位/gのものを用いた場合に組成物全体の0.05〜0.5質量%に相当する量であり、特に(A)ヒトディフェンシンの配合量が組成物全体の0.0005〜0.025質量%であり、(B)デキストラナーゼの配合量が、デキストラナーゼとして10,000単位/gのものを用いた場合に組成物全体の0.1〜0.3質量%に相当する量であることが有効である。
本発明の口腔用組成物は、口腔内のバイオフィルムに対する優れた抗菌効果を発揮し、特に口腔バイオフィルム中のう蝕原性細菌に対して選択的な効果を示すもので、う蝕などの口腔疾患の予防に有効である。
本発明の口腔用組成物は、(A)ヒトディフェンシン及び(B)デキストラナーゼを含有する。
本発明における(A)ヒトディフェンシンには、ヒトディフェンシンα、ヒトディフェンシンβとしてヒトディフェンシンβ−1、ヒトディフェンシンβ−2、ヒトディフェンシンβ−3の種類があり、バイオフィルム中のう蝕原性細菌の選択的抗菌効果の面からヒトディフェンシンβ−2及びヒトディフェンシンβ−3であることが好ましい。
ヒトディフェンシンは、市販品を使用することができ、例えばペプチド研究所社製のヒトディフェンシンβ−2やバイオデザインインターナショナル社製のヒトディフェンシンβ−2及びAnygen社製のヒトディフェンシンβ−3などとして入手できる。
(A)ヒトディフェンシンの配合量は、組成物全体の0.00025〜0.05%(質量%、以下同様)が必須であり、好ましくは0.0005〜0.025%、より好ましくは0.0005〜0.01%である。配合量が0.00025%未満の場合は口腔内バイオフィルムの抗菌効果が得られず、0.05%を超えるとう蝕原性細菌への選択的抗菌性が失われる。
本発明における(B)デキストラナーゼは、市販品を用いることができ、例えば、三菱化学フーズ社製のデキストラナーゼなどを用いることができる。前記デキストラナーゼとしては、ケトミウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、スピカリア属、ラクトバチルス属、セルビブリオ属等に属する公知のデキストラナーゼ生成菌により公知の方法により得られるデキストラナーゼはもちろん、他の微生物により生産されるデキストラナーゼも使用することができる。
(B)デキストラナーゼは、組成物1gあたり5〜50単位(ここで、1単位とはデキストランを基質として反応を行った場合、1分当たりグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じる酵素量をいう)で、その配合量は、例えば10,000単位/gのデキストラナーゼを用いた場合、組成物中0.05〜0.5%となることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4%、更に好ましくは0.1〜0.3%である。配合量が0.05%未満の場合は口腔バイオフィルムに対する抗菌効果が十分に得られない場合があり、0.5%を超えるとう蝕原性細菌への選択的抗菌性が失われる可能性がある。
本発明の口腔用組成物は、常法により製造することができ、固体、固形物、液体、液状、ゲル体、ペースト状、ガム状等の形状に調製され、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨等の歯磨類、洗口剤、口中清涼剤、歯間ケア剤、舌ケア剤等として調製でき、上述した成分に加えて更にその目的、剤型等に応じた適宜な他の任意成分を配合することができる。例えば歯磨類の場合は、各種研磨剤、湿潤剤、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味料、香料、着色剤、防腐剤、その他の有効成分などを、本発明の効果を妨げない範囲で通常量で用いることができる。
例えば、研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム等の1種以上を配合し得る(配合量は、歯磨類の場合には5〜55%)。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤の1種以上を配合し得る。
陰イオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
また、非イオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミドなどの脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が用いられる。
両性イオン界面活性剤としては、N−ミリスチルジアミノエチルグリシンなどのN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウムなどが用いられる。
上記陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤の配合量は、好ましくは組成物全体に対して0.1〜3%である。
粘結剤としては、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビヤガムなどのガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドンなどの合成粘結剤、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル、ビーガム、ラポナイトなどの無機粘結剤等の1種以上が配合され得る(配合量通常0.1〜5%)。
粘稠剤としては、グリセリンや、ソルビット、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等の糖アルコールを1種以上配合し得る(配合量通常5〜35%)。
アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロパノール等の低級一価アルコールを、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200〜20,000、ポリプロピレングリコール300〜4,000等を挙げることができ、1種以上を配合し得る。アルコール及び多価アルコールの合計配合量は、純分換算して通常0.1〜20%である。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、これら天然香料を加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができ、実施例の香料に限定されない。
また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、製剤組成中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を併用した賦香用香料としては、製剤組成中に0.1〜2.0%使用するのが好ましい。
有効成分としては、例えばデカリニウムクロライド、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムなどの陽イオン性殺菌剤、トリクロサン、ヒノキチオール等のフェノール性化合物、ムタナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキサイドなどの酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウムなどのアルカリ金属モノフルオロホスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第1錫などのフッ化物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレスタノール、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビサボロール、グリセロホスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物等の有効成分を1種以上配合し得る。上記有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
以下、実験例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において、配合量はいずれも質量%である。
〔実験例〕
表1に示す組成の試験組成物を下記方法で調製し、その次に示す方法で口腔バイオフィルム抗菌効果及びバイオフィルム中のミュータンス菌抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
試験組成物(比較例及び実施例)の調製法:
ヒトディフェンシン、デキストラナーゼ、及びその他の成分を秤取し、精製水を添加することで全量が100gになるように調製した。その後、室温で1時間撹拌することにより分散・溶解させたものを、直ちに実験に用いた。
[バイオフィルム抗菌効果及びバイオフィルム中ミュータンス菌抑制効果の評価方法]
ライオン株式会社オーラルケア研究所において継代保存(凍結保存)してあったアクチノマイセス ナイスランディー(Actinomyces naeslundii)T14V株、フゾバクテリウム ニュークレアタム(Fusobacterium nucleatum)ATCC10953株、ポルフィロモーナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)W50株、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC25175株の各菌液40μLをそれぞれ、121℃で15分間オートクレーブした5mg/Lヘミン(シグマ アルドリッチ社製)及び1mg/L ビタミンK(和光純薬工業社製)を含むトッドへーウィットブロース(Becton and Dickinson社製)(THBHM*1)4mLに添加し、37℃で一晩嫌気培養(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)した。培養後、各菌液(4種)から300μLを採取し、それぞれ30mLのTHBHMに添加し、更に一晩培養した。再培養後、各菌液を遠心分離(10,000rpm、10min)し、上清を廃棄した。各沈渣(細菌)に対して121℃で15分間オートクレーブしたベイサルメディウムムチン培地(BMM*2)を添加し再懸濁した後、予めBMM1,000mLを入れた培養槽(直径140mm×高さ200mm)に、上記各菌数がそれぞれ1×107個/mLになるように接種し、撹拌子(直径10mm×長さ51mm)を用いて撹拌(約100rpmで回転)しながら、37℃、嫌気条件下(95vol%窒素、5vol%二酸化炭素)で一晩培養した。その後、BMMを100mL/hの速度で供給すると共に、同速度で培養液を排出した。上記培養槽から排出された培養液は、液量が300mLに保たれる別の培養槽(直径90mm×高さ190mm)に連続的に供給した。
この培養槽内の回転盤(約80rpmで回転)には、付着担体であるハイドロキシアパタイトディスク(直径7mm×高さ3.5mm)を装着し、その表面にバイオフィルムを形成させた。
上記方法による培養は14日間行った。前半の7日間は培養のみを行い、後半の7日間は試験組成物を用いて次に示す処置を行った。即ち、1日3回、バイオフィルムが付着したハイドロキシアパタイトディスクを培養槽から取り出し、それぞれを各シャーレ(直径35mm×高さ14mm)に移し、各試験組成物(実施例1〜23及び比較例1〜11)5gにそれぞれ30秒間浸漬した。その後、生理食塩水5gで3回洗浄後、再び培養槽内に戻した。同操作(各試験組成物への浸漬と生理食塩水による洗浄)は1日3回、7日間実施した。
培養終了時には、試験組成物のバイオフィルム抗菌効果及びバイオフィルム中ミュータンス菌抑制効果を評価するため、バイオフィルムの付着したハイドロキシアパタイトディスクを4mLのTHBHMを添加した試験管(直径13mm×100mm)に移した。直ちに超音波破砕(200μAの出力で10秒間)、段階希釈(10倍希釈を6段階)を行い、常法で作製した総生細菌数測定用培地(血液寒天平板培地)とミュータンス菌用選択培地(TSYBS寒天培地)に各菌液を塗沫した。上記平板培地は、肉眼でコロニーが確認できるまで嫌気培養(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)した。各平板培地のコロニー数をカウント後、生菌数を算出した。結果は、下式より比較例1を対照とした試験組成物の効果を算出した後、下記の評価基準で求めた。
Figure 2009155214
評価基準:
比較例1を対照とした試験組成物のバイオフィルム抗菌効果が
3.5以上 :非常に高いバイオフィルム抗菌効果が認められる
2.5以上3.5未満:高いバイオフィルム抗菌効果が認められる
1.5以上2.5未満:ややバイオフィルム抗菌効果が認められる
0.5以上1.5未満:わずかにバイオフィルム抗菌効果が認められる
0.5未満 :バイオフィルム抗菌効果が対象と同等、もしくは劣る。
Figure 2009155214
評価指標:
ミュータンス菌抑制効果は下記の指標で求めた。
比較例1を対照とした試験組成物のバイオフィルム中ミュータンス菌残存比率が
20%未満 :非常に高いミュータンス菌抑制効果が認められる
20%以上40%未満:高いミュータンス菌抑制効果が認められる
40%以上60%未満:ややミュータンス菌抑制効果が認められる
60%以上80%未満:わずかにミュータンス菌抑制効果が認められる
80%以上 :ミュータンス菌抑制効果が対象と同等、もしくは劣る
Figure 2009155214
1)ヒトディフェンシンβ−2(ペプチド研究所社製)
2)ヒトディフェンシンα(ペプチド研究所社製)
3)ヒトディフェンシンβ−3(ペプチド研究所社製)
4)ヒトディフェンシンβ−1(ペプチド研究所社製)
5)デキストラナーゼ(10000U/g:三共社製)
6)トリクロサン(チバガイギー社製)
7)ペクチナーゼ(MPバイオメディカルズ社製)
*1 THBHMの組成:1リットル中の質量で表す。
トッドへーウィットブロース(Becton and Dickinson社製):
30g/L
ヘミン(シグマ アルドリッチ社製): 5mg/L
ビタミンK(和光純薬工業社製): 1mg/L
精製水: 残
(全量が1Lになるようにメスアップした)
*2 BMMの組成:1リットル中の質量で表す。
プロテオースペプトン(Becton and Dickinson社製):
2g/L
トリプトン(Becton and Dickinson社製): 1g/L
ムチン(シグマ アルドリッチ社製): 2.5g/L
ヘミン(シグマ アルドリッチ社製): 1mg/L
ビタミンK(和光純薬工業社製): 0.2mg/L
KCl(和光純薬工業社製): 0.5g/L
システイン(和光純薬工業社製): 0.1g/L
精製水: 残
(全量が1Lになるようにメスアップした)
総生細菌数測定用培地
血液寒天平板培地の組成:1リットル中の質量で表す。
トッドへーウィットブロース(Becton and Dickinson社製):
30g/L
寒天(Becton and Dickinson社製): 15g/L
ヘミン(シグマ アルドリッチ社製): 5mg/L
ビタミンK(和光純薬工業社製): 1mg/L
精製水: 残
(全量が1Lになるようにメスアップした)
羊脱繊維素血液: 50mL添加
(上記組成1Lを121℃で15分間オートクレーブした後45℃に冷却後、添加)
ストレプトコッカス ミュータンス用選択培地
TSYBS寒天培地の組成:1リットル中の質量で表す。
トリプチケースソイアガー(Becton and Dickinson社製):
40g/L
イーストエクストラクト(Becton and Dickinson社製):
10g/L
寒天(Becton and Dickinson社製): 5g/L
ショ糖(和光純薬工業社製): 200g/L
精製水: 残
(全量が1Lになるようにメスアップした)
バシトラシン(200U/mL*3): 1g/L
(上記組成1Lを121℃で15分間オートクレーブした後45℃に冷却後、添加)
*3バシトラシン(200U/mL)の調製:
バシトラシン(シグマ アルドリッチ社製)0.026gに精製水10mLを加え、0.22μmフィルター(MILLIPORE社製)を用いてろ過滅菌した。
表1の結果より、(A)ヒトディフェンシンを単独配合した場合(比較例1〜3)、(B)デキストラナーゼを単独配合した場合(比較例4〜7)、また、(B)デキストラナーゼと、上記(A)成分の代わりにトリクロサンを配合した場合(比較例8)、(A)ヒトディフェンシンと上記(B)成分の代わりにペクチナーゼを配合した場合(比較例9)、上記(A)成分と(B)成分を併用しても(A)成分が0.053%の場合(比較例10)、上記(A)成分と(B)成分を併用しても(A)成分が0.00022%の場合(比較例11)のいずれにおいても、バイオフィルム抗菌効果及びバイオフィルム中のミュータンス菌抑制効果(う蝕原性細菌の選択的抗菌性)の両方を満足させることはできなかった。なお、比較例11はバイオフィルム抗菌効果には優れるが、非特異的な殺菌によりバイオフィルム中のミュータンス菌抑制効果(う蝕原性細菌の選択的抗菌性)の点では良好な結果が得られなかった。これに対して、(A)ヒトディフェンシンが0.00025〜0.05%の範囲で配合され、更に(B)デキストラナーゼが0.05〜0.5%の範囲で配合されている場合(実施例1〜23)は、これらの成分の相乗的な効果が発現し、バイオフィルム抗菌効果及びバイオフィルム中ミュータンス菌抑制効果の全ての項目で良好な結果が得られ、本発明の有効性が認められた。
本発明のメカニズムの詳細は不明であるが、(A)ディフェンシンと(B)デキストラナーゼが複合体を形成し、両成分が相乗的な効果を発現することにより、口腔バイオフィルムへの抗菌効果かつバイオフィルム中のミュータンス菌抑制効果が得られると考えられる。
〔実施例24〕液状歯磨
デキストラナーゼ(10,000U/g:三共社製) 0.2%
ヒトディフェンシンβ−2(ペプチド研究所社製): 0.0005
ヒトディフェンシンβ−3(ペプチド研究所社製): 0.0005
無水ケイ酸 18.0
キサンタンガム 0.2
ポリアクリル酸ナトリウム 0.1
70%ソルビット液 35.0
グリセリン 17.0
プロピレングリコール 5.0
塩化セチルピリジニウム 0.05
香料A 0.8
精製水: 残
計 100.0%
〔実施例25〕練歯磨
デキストラナーゼ(12,000U/g:三菱化学フーズ社製) 0.2%
ヒトディフェンシンβ−2(バイオデザインインターナショナル社製) 0.001
第2リン酸カルシウム 47.0
無水ケイ酸 2.5
70%ソルビット液 24
プロピレングリコール 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
アルギン酸ナトリウム 0.2
サッカリンナトリウム 1.0
香料A 1.0
精製水: 残
計 100.0%
〔実施例26〕洗口剤
デキストラナーゼ(10,000U/g:三共社製) 0.2%
ヒトディフェンシンβ−3(Anygen社製) 0.001
エタノール 10.0
グリセリン 20.0
サッカリンナトリウム 0.3
香料B 0.5
塩化セチルピリジニウム 0.01
精製水: 残
計 100.0%
なお、組成物中の香料A,Bは下記の香料組成を用いた。
Figure 2009155214
Figure 2009155214
以上、実施例24〜26に対して実験例と同様な評価を行った結果、いずれもバイオフィルム抗菌効果及びバイオフィルム中のミュータンス菌抑制効果の点で良好な結果が得られた。

Claims (4)

  1. (A)ヒトディフェンシンを組成物全体の0.00025〜0.05質量%と、(B)デキストラナーゼとを含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
  2. (A)ヒトディフェンシンが、ヒトディフェンシンβ−2及び/又はヒトディフェンシンβ−3である請求項1記載の口腔用組成物。
  3. (B)デキストラナーゼの配合量が、デキストラナーゼとして10,000単位/gのものを用いた場合に組成物全体の0.05〜0.5質量%に相当する量である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
  4. (A)ヒトディフェンシンの配合量が組成物全体の0.0005〜0.025質量%であり、(B)デキストラナーゼの配合量が、デキストラナーゼとして10,000単位/gのものを用いた場合に組成物全体の0.1〜0.3質量%に相当する量である請求項3記載の口腔用組成物。
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