JP2009154447A - 金属張積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な処理によってポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与し、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りを発生させないHDDサスペンション用として好適な金属張積層体を提供する。
【解決手段】金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される金属張積層体であって、ポリイミド樹脂層Bの熱線膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)であり、接着性層Cがポリイミド樹脂層Bの前駆体であるポリアミド酸の溶液を金属層Aに直接塗布、乾燥して形成した単一層のポリアミド酸層の表面側の層に、芳香族アミノ化合物又は脂肪族アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸し、乾燥及び熱処理することによって形成された改質ポリイミド樹脂層であり、接着性層Cの厚みが0.001〜1.0μmである金属張積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属張積層体及びその製造方法に関し、より詳しくは、ハードディスクドライブ(HDD)サスペンション用途に適した金属張積層体に関する。
HDDは、近年のパーソナルコンピュータの需要増加や家電、カーナビ等への新規搭載などに伴い、その生産量が増加している。また、HDDは今後、大容量化や小型化が進むと予想され、HDDにおいて磁気を読み取るフレクシャーブランクを構成するサスペンション部分は、小型化及び配線の多様化、細線化が進んでいる。高容量化が進むに従い、従来使用されてきたワイヤレスタイプのサスペンションから、記憶媒体であるディスクに対し浮力と位置精度が安定した配線一体型のサスペンションへと大半が置き換わっている。配線一体型サスペンションの中で、TSA(トレース サスペンション アッセンブリ)法と呼ばれるステンレス箔−ポリイミド樹脂−銅箔の積層体をエッチング加工により所定の形状に加工するタイプがある。
ポリイミドをエッチングする手法としてはプラズマ方式を用いたドライエッチングタイプとアルカリ液を使用したウェットエッチングタイプに大別されるが、加工コスト等の観点から近年後者のウェットエッチングタイプ方式の適用が進んでいる。また、フライハイコントロール、マイクロアクチュエーター等のサスペンションの技術革新に伴って、信号線の本数も増加しており、これによって配線の細線化が進んでいる。そして、HDDサスペンション材料として使用される金属張積層体には金属―ポリイミド間の接着強度や回路加工時の寸法安定性も要求される。また、ポリイミド加工時におけるエッチング精度に関しても例外ではなく、エッチング後の加工形状等に関してもその要求は厳しい。一般的に、これらのサスペンション材料で使用されるポリイミドは金属を熱圧着する際の金属―ポリイミド間の接着強度を発現させるために、熱可塑性のポリイミドと低熱膨張性ポリイミドを使用した三層構造から構成されている。ここで使用される熱可塑性ポリイミドと低熱膨張性ポリイミドはアルカリ処理液等による溶解速度(エッチング速度)が異なるため、例えば熱可塑性のポリイミドのエッチング速度が低熱膨張性ポリイミドのエッチング速度と比較して速い場合は、エッチング加工時にアンダーカットを生じたり、逆に遅い場合はエッチング後にエッチング速度の遅い熱可塑性ポリイミド層が庇状に残存したりする。クリーン度の要求が厳しいサスペンションに関してこのようなポリイミド形状不良は、超音波洗浄時のパーティクル発生を招いたり、場合によってはハードディスク搭載時の誤作動等を引き起こす可能性がある。
これに対して、熱可塑性ポリイミドの厚みを薄くする手法や熱可塑性ポリイミドを含まない材料が提案されている。例えば、特開2006−190824号公報(特許文献1)では、COF(チップオンフィルム)の製造工程におけるICチップ実装時の配線沈み込みを防止するために導体と接するポリイミド層の厚みを2.0μm以下の積層板が提案されている。しかしながら、このような積層板は、非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドのエッチング速度の違いを考慮しておらず、ポリイミド樹脂層のエッチング加工後の形状不良を生じやすい傾向にあった。
一方、非熱可塑性ポリイミドの最外層にある熱可塑性ポリイミドの厚み比率を規定し、ウェットエッチング時のオーバーエッチングやアンダーカットを制御する手法が提案されている(特許文献2)。しかしこの方法では非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドのエッチング速度のエッチング速度を完全に一致させることが困難であるため、オーバーエッチングやアンダーカット含めたエッチング形状を精度よく制御することは困難であった。
また、ウェットエッチング時のオーバーエッチングやアンダーカットを制御するために、ポリイミド樹脂層を単一層とする金属積層体が提案されている(特許文献3)。しかしながら、このようなポリイミド樹脂層は熱可塑性であり、その分子構造から熱膨張係数が金属と比べて大きく、材料の寸法安定性に課題があると考えられる。また、特許文献4はポリイミド樹脂を直接アミン処理することにより接着強度を向上させる方法が開示されている。しかし、この方法ではアミン処理層の厚みを制御することが困難であるため、金属層との接着に必要な改質効果を得られにくく、また、ポリイミド樹脂の表面処理層面にエポキシ樹脂を設ける必要があるため、絶縁樹脂層が厚くなるという問題がある。
特開2006−190824号公報 特開2005−111858号公報 特開2004−276413号公報 特開7−286041号公報
本発明は、ポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与しつつ、金属張積層体としての寸法安定性を向上させ、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りの発生を防止でき、更に高レベルの微細回路化の要求に十分に対応できるHDDサスペンション用途に適する金属張積層体を提供することを目的とする。他の目的は、上記金属張積層体から製造されるHDDサスペンションを提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリイミド樹脂層及び金属層の間に特定の接着性層を存在させると、製造される積層体の金属層と絶縁樹脂層との面間での密着性の均一性に優れるものとなること、積層体の寸法変化率を制御し、反り等の発生しない材料となること、ポリイミドエッチング時の形状を制御することが容易となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される金属張積層体であって、ポリイミド樹脂層Bの熱線膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)であり、接着性層Cがポリイミド樹脂層Bの前駆体であるポリアミド酸の溶液を金属層Aに直接塗布、乾燥して形成した単一層のポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸し、乾燥及び熱処理することによって形成された改質ポリイミド樹脂層であり、厚みが0.001μm以上、1.0μm以下であることを特徴とする金属張積層体である。
ここで、上記アミノ化合物としては、第1級若しくは第2級のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物、又は少なくとも3つの第1級のアミノ基を官能基として有する脂肪族アミノ化合物が好適である。
また、1)ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cの厚みの合計が5〜50μmの範囲にあること、2)金属層Aが10〜50μmの厚みのステンレス層であり、金属層Dが0.01〜50μmの厚みの導体金属層であること、又は、3)金属層Aが0.1〜50μmの厚みの導体金属層であり、金属層Dが10〜50μmの厚みのステンレス層であることのいずれか1以上を満足することはより優れた金属張積層体を与える。
また、本発明は、上記の金属張積層体からなること特徴とするHDDサスペンション用金属張積層体及びこの金属張積層体を加工してなるHDDサスペンションである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の金属張積層体は、金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される。
本発明の金属張積層体で使用する金属層A及び金属層Dは、金属からなる層であればその材質に特に制限はないが、例えば、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、ステンレス、タンタル、チタン、銅、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金からなる金属が挙げられる。この中でも、ステンレス、銅又は銅合金が適する。
金属層A又は金属層Dがバネ特性や寸法安定性を要求される用途に使用される場合には、その材質はステンレスであることが好ましい。電導性を要求される場合には、その材質は銅又は銅合金のような導体金属であることが好ましい。金属層A又は金属層Dの一方がバネ特性や寸法安定性を要求され、他方が電導性を要求される場合には、一方の材質をステンレスとし、他方の材質を導体金属とすることが好ましい。かかる場合が生じる用途としては、HDDサスペンション用途がある。また、両方が電導性を要求される用途としては、両面フレキシブルプリント基板(両面FPC)用途がある。
ステンレスとしては、例えばSUS304のような高弾性、高強度のステンレスが好ましい。更には、金属張積層体の反りを抑制するため、300℃以上の温度でアニール処理されたSUS304が好ましい。金属張積層体をHDDサスペンション用途として適用する場合、ステンレス層の厚みは10〜50μmが好ましいが、より好ましくは10〜30μmがよく、更に好ましくは15〜25μmがよい。ステンレス層の厚みが10μm未満であるとスライダの浮上量を十分に抑えるバネ性を確保できない問題が生じ、一方、50μmを超えると剛性が高くなり、搭載されるスライダの低浮上化が困難となる。
導体金属としては、銅又は銅合金が好ましい。ここで、銅合金とは、銅を必須として含有し、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等の銅以外の少なくとも1種以上の異種の元素を含有する合金を指し、銅含有率90重量%以上のものを言う。銅合金としては、銅含有率95重量%以上のものを使用することが好ましく、銅が含有している金属としては、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等を挙げることができる。また、これらの金属が2種類以上含有される合金であっても良い。
また、導体金属層は、圧延銅箔又は電解銅箔からなることも有利である。圧延銅箔及び電解銅箔は、公知の方法で製造することができ、前者は銅インゴットを所定厚みまで圧延、熱処理をくりかえすことにより製造可能である。また電解銅箔は硫酸銅を主成分として電解液から電気分解により析出させて得ることができる。HDDサスペンション用途として使用する場合、例えば、回路幅が40μmピッチ以下の微細なフライングリードを形成した場合には、断線などの問題が特に生じやすくなるため、積層後の銅箔の引張強度が400MPa以上にあるものがよく、上限は特に限定されないが、1000MPa以下が好ましい。用いられる銅又は銅合金の厚みの範囲は5〜25μmが好ましいが、より好ましくは7〜12μmの範囲内、更に好ましくは8〜10μmの範囲内にあることがよい。特に、導体金属層の厚みが5〜10μmの範囲内にある場合には、高導電性の電解銅箔を使用することが好ましく、導電率は95%以上、好ましくは97%以上、更に好ましくは98%以上であることがよい。このような金属層を使用することによって、電気抵抗を生じやすく熱発散を低く抑えることができ、この結果としてインピータンスを制御しやすい。
導体金属層が0.1〜9μmの厚みある場合は、積層体製造工程におけるハンドリング性の観点から、導体金属層が剥離層を介して支持体金属層を積層している支持体付きの導体金属層を使用することが好ましい。支持体金属層を剥離した導体金属層は、サブトラクティブ法ないしはセミアディティブ法で回路形成を行うこともできる。導体金属層の表面粗度は特に限定しないが、フラッシュエッチング性の観点から好ましくはRzがJIS=2.0μm以下、より好ましくはRzがJIS=1.5μm以下がよい。なお、上記Rzは、表面粗さにおける十点平均粗さ(JIS B0601−1994)を示す。
ここで、支持体金属層と導体金属層の剥離強度は、1N/m以上100N/m以下であることがよい。好ましくは1N/m〜50N/mがよく、より好ましくは3N/m〜15N/mがよく、更に好ましくは4N/m〜10N/mがよい。剥離強度が1N/m未満では、積層体製造工程において、導体金属層が支持体金属層から剥離する場合があり、安定操業に問題がある。また、剥離強度が100N/mを超えると、支持体金属層の剥離後の積層体に反りが生じ易くなる。なお、ここでいう剥離強度とは、金属箔1mm幅90°引き剥がし法(JIS C6471)を示す。この剥離強度は支持体金属層と導体金属層の接着強度を調整すること(剥離剤や低粘着性材料の使用により)変化可能である。
導体金属層が0.001〜1.0μmの厚みある場合には、例えば、スパッタリング法により導体金属層を形成することが可能である。詳細については後述するが、導体金属層を更に厚くする場合には、無電解めっき又は電解めっきによって厚膜にすることもできる。金属層A及び金属層Dをいかなる金属層とするかは、金属張積層体の用途、金属層とポリイミド樹脂層の接着性、金属張積層体の製造のしやすさ等によって定められる。
本発明の金属張積層体は、金属層A、金属層Dの他に、ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cを有する。ポリイミド樹脂層Bは、実質的に単一層から形成されるものである。層構造が簡単である単一層は、工業的に有利に得ることができる。
ポリイミド樹脂層Bを形成するポリイミド樹脂としては、いわゆるポリイミド樹脂を含めて、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有する耐熱性樹脂がある。また、ポリイミド樹脂層Bを形成するために、市販のポリイミド前駆体樹脂(ポリアミック酸ともいう)のワニスも利用可能であり、例えば宇部興産株式会社製のポリアミック酸ワニスであるU-ワニス-A(商品名)、U-ワニス-S(商品名)等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂層Bは、金属層A又は金属層Dをエッチング除去した際の積層体の反りを軽減する観点から、ポリイミド樹脂層Bの熱線膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)の範囲内にあり、好ましくは13×10-6〜25×10-6(1/K)の範囲内、更に好ましくは15×10-6 〜23×10-6(1/K)の範囲内にあることがよい。このようなポリイミド樹脂は、非熱可塑性のポリイミド樹脂である。
ポリイミド樹脂層Bを構成するポリイミド樹脂としては、一般式(1)で現される構造単位を有するポリイミド樹脂が好ましい。一般式(1)において、Ar1は式(2)又は式(3)で表される4価の芳香族基を示し、Ar3は式(4)又は式(5)で表される2価の芳香族基を示し、R1は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、X及びYは独立に単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、O、S、CO、SO2若しくはCONHから選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示し、qは構成単位の存在モル比を示し、0.1〜1.0、好ましくは0.5〜1.0の範囲である。
Figure 2009154447
上記構造単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構造単位として存在してもよい。構造単位を複数有する共重合体である場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在してもよい。
ポリイミド樹脂は、一般に、ジアミンと酸無水物とを反応させて製造されるので、ジアミンと酸無水物を説明することにより、ポリイミド樹脂の具体例が理解される。上記一般式(1)において、Ar3はジアミンの残基ということができ、Ar1は酸無水物の残基ということができるので、好ましいポリイミド樹脂をジアミンと酸無水物により説明する。しかし、この方法によって得られるポリイミド樹脂に限定されない。
ジアミンとしては、例えば、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノ-2'-メトキシ-ベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル、3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノベンズアニリド、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等を挙げることができる。この中でも、特にHDDサスペンション用途として使用する好ましいジアミンとしては、4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル(m-TB)、4,4'-ジアミノ-2'-メトキシベンズアニリド(MABA)、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,7'-ビス(4-アミノフェノキシ)ナフタレン(NBOA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)から選ばれる1種以上のジアミンがある。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等が好ましく挙げられる。また、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等を挙げることもできる。この中でも、特にHDDサスペンション用途として使用する好ましい酸無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から選ばれる1種以上の酸無水物がある。
上記ジアミン及び酸無水物については、それぞれその1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。上記のジアミン及び酸無水物を選択し、使用することで、熱的寸法安定性が保てる。また、上記以外のジアミン及び酸無水物を併用することもでき、この場合、上記以外のジアミン又は酸無水物の使用割合は90モル%以下、好ましくは50モル%以下とすることがよい。ジアミン及び酸無水物の種類や、2種以上のジアミン又は酸無水物を使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移点(Tg)等を制御することができる。
ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の合成は、ほぼ等モルのジアミン及び酸無水物を溶媒中で反応させることにより行うことができる。使用する溶媒については、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
合成されたポリアミド酸は溶液とされて使用される。通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。
ポリイミド樹脂層Bは、熱線膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂から構成されるが、このような低熱膨張性のポリイミド樹脂層は金属層との接着強度が低い傾向にある。従って、ポリイミド樹脂層Bと金属層Aとの接着強度を担保するため、ポリイミド樹脂層Bの金属層Aへの積層方法は、ポリイミド樹脂層Bの前駆体であるポリアミド酸の溶液を金属層Aに直接塗布する方法(以下、塗布法ともいう)を採用する。この方法によって、金属層Aとポリイミド樹脂層Bとの密着性のばらつきを抑制でき、接着強度を向上することができる。具体的には、金属層Aとポリイミド樹脂層Bの接着強度は、0.5kN/m以上であることが好ましい。
ポリアミド酸の樹脂溶液を金属層Aに塗布する方法としては特に制限されず、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。金属層Aとしては、0.1〜50μm厚みの導体金属層又は10〜50μm厚みのステンレス層が適する。ポリアミド酸の塗布後、乾燥させてポリアミド酸とする。
また、ポリイミド樹脂層Bと接する金属層Aの表面には、更に接着強度を向上させるために、シランカップリング剤処理等の有機表面処理剤が施されていてもよい。
上記塗布法によって、ポリイミド樹脂層Bが絶縁樹脂層としての低熱膨張特性及び金属層Aとの接着特性を向上することが可能になるが、ポリイミド樹脂層B側のもう一方の面に金属層Dを積層する場合には、接着性向上のための上記塗布法の適用は事実上不可能である。従って、金属層Dとの接着強度を担保するため、接着性層Cを設けるが、接着性層Cについては後で説明する。低熱膨張特性を有しつつ、塗布法によって効果的に接着特性を向上できるポリイミド樹脂層Bを得るためには、ジアミン成分100モル%とした場合、ジアミンとして4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル(m-TB)を必須成分とし、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは60〜90モル%を使用することがよい。
また、m-TB以外のジアミンを併用する場合には、2,7'-ビス(4-アミノフェノキシ)ナフタレン(NBOA)及び1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)の少なくとも1種の10〜30モル%を使用することが好ましく、より好ましくはMBOA及びTPE-Rの少なくとも1種の10〜30モル%、並びに3,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)及び4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)の少なくとも1種の1〜20モル%を使用することが好ましい。
更に、酸無水物成分100モル%とした場合、酸無水物として無水ピロメリット酸(PMDA)及び3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から選ばれる1種又は2種の100モル%を使用することが好ましく、より好ましくはPMDAのみを100モル%を使用することがよい。このようなジアミン及び酸無水物を使用することで、低熱膨張特性を向上しつつ、金属層Aとの十分な接着強度を担保することができるのみならず、高耐熱性、強靭性等の性質を向上させることも可能となる。ポリイミド樹脂層の強靭性等の性質は、上記モノマーを反応させて得られるポリアミド酸の重量平均分子量を制御することによって向上することができる。
具体的には、重量平均分子量(Mw)は15万〜80万の範囲、好ましくは20万〜80万の範囲になるように制御することがよい。なお、ポリアミド酸の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した標準ポリスチレン換算重量平均分子量の値を求めることができる。
乾燥させる方法としては、特に制限されず、例えば、60〜200℃の温度条件で1〜60分行うことがよい。この乾燥工程においては、接着性層を形成する側において、ポリアミド酸の脱水閉環の進行によるイミド化を完結させないように温度を制御する。このためには、60〜150℃の温度条件で乾燥を行うことが好ましい。接着性層を形成する側にポリアミド酸の状態を残すことは、アミノ化合物の溶液を含浸させるために必要である。乾燥後のポリアミド酸層は上記のようにポリアミド酸構造の一部がイミド化していても差し支えないが、イミド化率は50%以下、より好ましくは20%以下としてポリアミド酸構造を50%以上残すことがよい。なお、ポリアミド酸のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、透過法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1,000cm-1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1,720cm-1のイミド基由来の吸光度から算出される。また、ポリアミド酸層の厚み(乾燥後)は、5〜50μmの範囲にあることがよい。
上記のようにして形成したポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸し、乾燥及び熱処理することによってポリイミド樹脂層B及び接着性層Cを形成する。この接着性層Cは、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液がポリアミド酸層に含浸した層を、乾燥及び熱処理することによって生成する改質ポリイミド樹脂層である。
ポリイミド樹脂層Bは、低熱膨張性であるため接着力が劣るので、金属層Dの間に接着性層Cを有する。接着性層Cは、ポリイミド樹脂層Bの表面側の層(金属層D側の層)の一部が、ポリアミド酸とアミノ化合物とのカップリング反応によって形成された改質ポリイミド樹脂層からなる。接着性層Cはポリイミド樹脂層Bの特性、例えば、エッチング特性等を可及的に維持しつつ接着性を向上させた層である。ここで、接着性層は改質ポリイミド樹脂層であるので、ポリイミド樹脂層としての特性をも有する。
接着性層Cは、ポリイミド樹脂層Bと金属層Dの接着性を改良する機能を有する。このような接着性層Cを得る方法の一例は、金属層Aの上にポリイミド樹脂層Bとなるポリアミド酸層を積層した金属張積層板を製造する工程(工程a)と、次にそのポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物の極性溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド酸層中にアミノ化合物を含浸させる工程(工程b)と、乾燥及び熱処理して、イミド化反応と共にポリアミド酸とアミノ化合物を反応させることによってポリイミド樹脂層Bと接着性層Cを形成する工程(工程C)とを有する。ここで、工程bにおいて、ポリアミド酸層はポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥させて得られたものであり、有利には工程aに引き続いて工程bに付すことがよい。
上記アミノ化合物としては、ポリアミド酸のカルボキシ基と反応性のアミノ基を有する化合物が使用できる。好ましくは、第1級若しくは第2級のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物又は少なくとも3つの第1級のアミノ基を官能基として有する脂肪族アミノ化合物である。
芳香族アミノ化合物としては、特に、第1級のアミノ基が芳香族環に置換した芳香族アミンがよい。アミノ基の数は1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは2である。芳香族アミノ化合物の分子量は、90〜1000、好ましくは100〜600、より好ましくは110〜500であることがよい。また、芳香族アミノ化合物としては例えば、少なくとも1個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜4個の芳香族環を有する化合物が挙げられ、芳香族環はアミノ基以外の置換基で置換されていても、いなくてもよい。アミノ基以外の置換基としては、ポリアミド酸層に存在する末端カルボキシル基と縮合重合を可能とする官能基、例えば水酸基、メルカプト基等を有するものが好ましい。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の縮合環がある。複数個の芳香族環を有する化合物としては、ビフェニル環等の他に、Ar-X-Ar、Ar-Y-Ar-X-Ar-Y-Ar(ただし、Arはベンゼン環等の芳香族環、X及びYは独立にCO、O、S、SO、SO2、CONH、CnH2n等の2価の基)にアミノ基が置換した化合物がある。アミノ基以外の置換基としては、例えば分枝鎖でも直鎖でもよい炭素原子数1〜18のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)、炭素原子数6〜13の芳香族基(例えば、フェニル)、炭素原子数7〜12のアリールアルキル基(例えば、ベンジル)等が挙げられる。ヒドロキシル基も芳香族環の置換基として利用できる。芳香族環をヒドロキシル基で置換した化合物の1例はアミノフェノールである。更に、炭素原子数10〜20の縮合環系も本発明の芳香族アミン基含有化合物として利用できる。本発明に利用可能な縮合環系の1例はジアミノナフタレンである。
芳香族アミノ化合物の具体例を次に示すが、これには限られない。また、芳香族アミノ化合物は1種類以上を使用することができる。
アニリン、トルイジン、アミノナフタレン、アミノビフェニル、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等を挙げることができる。
脂肪族アミノ化合物としては、炭素原子、水素原子及び窒素原子のみで構成される少なくとも3つの第1級のアミノ基を官能基として有する化合物が好ましく挙げられるが、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、フッ素原子、燐原子を有していてもよい。具体例として、トリス(2−アミノエチル)アミンがある。第1級のアミノ基が1つ又は2つである場合には、高い反応性を持つ脂肪族アミンによってポリイミドの低分子量化が著しく進行し、ポリイミド樹脂層が脆くなるため、接着強度を発現しにくい。
これらのアミノ化合物は1種類以上を使用することができる他、芳香族アミノ化合物及び脂肪族アミノ化合物から選ばれる2種類以上を使用することができる。
これらのアミノ化合物は、極性溶媒の溶液として使用する。極性溶媒としては、アミノ化合物を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、水又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、もしくはアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、あるいはN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の3級アミン類、ジメチルスルホキサイド等が挙げられ、これらは、単独で用いても、数種を混合させて用いてもよく、水と混合してもよい。好ましくは、メタノールである。
これらのアミノ化合物を含む極性溶媒の溶液の濃度は、アミノ化合物の濃度として、0.0001〜1M(0.0001〜1モル/L)、好ましくは0.0001〜0.1M、より好ましくは0.0005〜0.1M、更に好ましくは0.001〜0.05Mの範囲にあることが適当である。
アミノ化合物の濃度が高いと、アミノ化合物溶液がポリアミド酸層に含浸するにとどまらず、ポリアミド酸層面上に付着する量が多くなるので、高濃度は望ましくない。
含浸方法は、ポリアミド酸層面にアミノ化合物を含む極性溶媒の溶液が接触することができる方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。温度は0〜100℃、好ましくは10〜40℃付近の常温でよい。また、含浸時間は、浸漬法を適用する場合、30秒〜1時間、好ましくは1〜15分間処理することが有効である。
塗布法を適用する場合、その塗布厚み(以下、ウェット厚みということもある)を1.0μm以上とし、後の接着性層形成工程で形成される接着性層の厚みが1.0μm未満、好ましくは0.05〜0.8μm、より好ましくは0.1〜0.5μmの範囲にあるようにすることがよい。アミノ化合物の極性溶媒溶液のウェット厚みは、好ましくは10〜70μm、より好ましくは20〜50μmがよく、このような範囲に制御することで、接着性層形成工程で形成される接着性層Cの厚みを上記範囲内とすることが可能となる。また、アミノ化合物の極性溶媒溶液を塗布する方法は特に制限されず、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターもしくはグラビア印刷法にて塗布することができ、塗布は数回に分けて行っても差し支えないが、1回の塗布で上記ウェット厚みにすることが工業的にも有利である。所望のウェット厚みが30μm以上であり、1回のみの塗布によって所望のウェット厚みとする場合には、例えば、ウェット厚みと同等の吐出口高さを有するダイコーターを使用することや、樹脂層面とのギャップ間距離をウェット厚みとするリップコーターを使用することが好ましい。また、含浸方法は、特段の操作を必要とせず、上記の塗布及び後述する乾燥による操作の過程で、含浸を行うことができる。たとえば、乾燥温度を低めに設定することで含浸時間を長くとることが可能である。
乾燥後、ポリアミド酸層面上に余分に付着したアミノ化合物がある場合は、水又は有機溶剤で洗浄することが好ましい。この洗浄に用いる有機溶剤は、炭素数1〜8の炭化水素系アルコール類、炭素数3〜6の炭化水素系ケトン類、炭素数4〜12の炭化水素系エーテル類、炭素数3〜7の炭化水素系エステル類、炭素数3〜6のアミド類、炭素数4〜8の炭化水素化合物等を用いることができるが、これに限定されるものではない。経済的観点から、安価なメタノールが好適に用いられる。また、エアガンにより余分に付着したアミノ化合物を吹き飛ばすことも有効である。
また、乾燥の方法も特に制限されず、自然乾燥、エアガンによる吹きつけ乾燥、あるいはオーブンによる乾燥等を用いることができる。乾燥条件は、極性溶媒の種類にもよるが、10〜150℃で5秒〜60分間、好ましくは25〜150℃で10秒〜30分間、更に好ましくは30〜120℃で、1分〜10分間である。
この含浸・乾燥処理では、アミノ化合物を含む極性溶媒の溶液がポリアミド酸層面からその内部に浸透して、アミノ化合物含有層が形成される。浸透する厚み、すなわちアミノ化合物含有層の厚みは、ポリアミド酸層厚みの1/200〜1/2の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1/100〜1/5の範囲がよい。また、別の観点からは0.01〜3.0μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.0μm、更に好ましくは0.1〜1.0μmがよい。このような厚みの範囲とすることで、金属箔の熱圧着に有利となる。また、別の観点からは0.005〜0.1μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1μm、更に好ましくは0.05〜0.1μmがよい。このような厚みの範囲とすることで、金属薄膜形成に有利となる。このようにして得られたポリアミド酸層は、表面が改質され、その後のイミド化処理によって接着性が向上した表面処理ポリイミド樹脂層となる。
次いで、アミノ化合物含有層が形成されたポリアミド酸層を熱処理して、ポリアミド酸をイミド化するとともにアミノ化合物と反応させることにより、ポリイミド樹脂層と接着性層を形成する。ポリアミド酸層と、アミノ化合物を含有するポリアミド酸層を有する層を熱処理にすることにより、ポリアミド酸がイミド化してポリイミド樹脂となる。更に、アミノ化合物含有層では、ポリアミド酸がイミド化する反応と、アミノ化合物のアミノ基とポリアミド酸のカルボキシル基の反応が生じる。接着性層の厚みは0.001μm以上、1.0μm以下である。この厚みは、上記浸透厚みにほぼ対応し、厚み断面の電子顕微鏡観察等の手段により測定される。
上記熱処理でイミド化を行う場合は、100〜400℃、好ましくは150〜400℃の温度で完全にイミド化を行うことがよく、イミド化が不十分である場合には、触媒による化学的イミド化を併用してもよい。このイミド化処理では、ポリアミド酸のイミド化が主として生じるが、アミノ化合物とポリイミド樹脂、特にポリアミド酸に存在する末端カルボキシル基又は主鎖中に存在するカルボキシル基が反応してイミド化又はアミド化する反応が同時に生じると考えられる。したがって、この熱処理工程cにおいては、ポリアミド酸層の表面側にあるアミノ化合物含有層が低分子量化された状態でイミド化され、末端が安定化され、その結果、接着性が向上した改質ポリイミド樹脂層、すなわち接着層になると考えられる。
金属層Dは接着性層Cの上に設けるが、金属層Dを設ける方法としては、接着性層Cの表面に金属箔を重ね合わせ、熱圧着する方法、又は金属薄膜層を形成する方法がある。本発明の金属張積層体における金属層Dの積層は、熱圧着を適用することで、より高い接着強度を得ることが可能となる。従って、金属層Dを設ける方法は、熱圧着が好ましい。このような接着効果は、接着性層Cの厚みを制御することで、より有利に発揮される。
金属層A又は金属層Dは、ポリイミド樹脂層が積層する側の面にシランカップリング剤処理が施されていてもよい。特に、熱圧着する場合であって、金属層A又は金属層Dがステンレス層であるときには、シランカップリング剤処理を施すことが好ましい。シランカップリング剤は、アミノ基又はメルカプト基等の官能基を有するシランカップリング剤が好ましく、より好ましくはアミノ基を有するシランカップリング剤がよい。具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。この中でも、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン及びN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランから選択される少なくとも1種であることがよい。特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤は極性溶媒の溶液として使用する。極性溶媒としては、水又は水を含有する極性有機溶媒が適する。極性有機溶媒としては、水との親和性を有する極性の液体であれば、特に限定されない。このような極性有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。シランカップリング剤溶液は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%濃度の溶液がよい。
シランカップリング剤処理は、シランカップリング剤を含む極性溶媒の溶液が接触する方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。温度は0〜100℃、好ましくは10〜40℃付近の常温でよい。また、浸漬時間は、浸漬法を適用する場合、10秒〜1時間、好ましくは30秒〜15分間処理することが有効である。処理後、乾燥する。乾燥方法は、特に限定されず、自然乾燥、エアガンによる吹きつけ乾燥、あるいはオーブンによる乾燥等を用いることができる。乾燥条件は、極性溶媒の種類にもよるが、10〜150℃で5秒〜60分間、好ましくは25〜150℃で10秒〜30分間、更に好ましくは30〜120℃で1分〜10分間である。
本発明の金属張積層体は、HDDサスペンション用途として適用する場合、ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cの厚みの合計が5〜50μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは7〜25μmの範囲内、更に好ましくは8〜12μmの範囲内にあることがよい。また、金属層A及び金属層Dは金属層Aが10〜50μmの厚みのステンレス層であり、金属層Dが0.01〜50μmの厚みの導体金属層であること、あるいは金属層Aが0.1〜50μmの厚みの導体金属層であり、金属層Dが10〜50μmの厚みのステンレス層であることが好ましい。更に、導体金属層が、例えば、回路幅が40μmピッチ以下の微細なフライングリードとして形成される場合には、面内での密着性のばらつき又は耐薬品性の観点から、金属張積層体の層構成は、導体金属層/ポリイミド樹脂層/接着性層/ステンレス層であることが好ましい。なお、各層の材質及び厚さの範囲は、上述したとおりである。
次に、金属層Dを設ける方法と本発明の金属張積層体の製造方法について詳細に説明する。一例として、金属張積層体の製造方法は、上記で説明した工程a〜cに加えて、金属層Dを設ける工程(工程d)を備えることで行うことができる。
工程dは、工程cで形成された接着性層Cに金属層Dを設ける工程である。金属層Dを設ける方法としては、接着性層Cの表面に金属箔を重ね合わせ、熱圧着する方法(工程d1)、又は金属薄膜を形成する方法(工程d2)がある。
工程d1において、熱圧着する方法は特に制限されず、適宜公知の方法を採用することができる。金属箔を張り合わせる方法としては、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、連続式熱ラミネータ等を挙げることができる。金属箔を張り合わせる方法の中でも、十分なプレス圧力が得られ、残存揮発分の除去も容易に行え、更に金属箔の酸化を防止することができるという観点から真空ハイドロプレス、連続式熱ラミネータを用いることが好ましい。
また、熱圧着は、150〜450℃の範囲内に加熱しながら金属層Dとなる金属箔をプレスすることが好ましい。より好ましくは150〜400℃の範囲内である。更に、好ましくは150〜380℃の範囲内である。別の観点からはポリイミド樹脂層又は改質イミド化層のガラス転移温度以上の温度であることがよい。また、プレス圧力については、使用するプレス機器の種類にもよるが、通常、1〜50MPa程度が適当である。
金属箔としては、鉄箔、ニッケル箔、ベリリウム箔、アルミニウム箔、亜鉛箔、インジウム箔、銀箔、金箔、スズ箔、ジルコニウム箔、ステンレス箔、タンタル箔、チタン箔、銅箔、鉛箔、マグネシウム箔、マンガン箔及びこれらの合金箔が挙げられる。この中でも、ステンレス箔、銅箔又は銅合金箔が適する。厚みは0.1〜50μmの範囲であることがよい。
工程d2において、金属薄膜層は蒸着法により形成する。蒸着法は、特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等を使用でき、特に、スパッタリング法が好ましい。このスパッタリング法はDCスパッタ、RFスパッタ、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、ECスパッタ、レーザービームスパッタ等各種手法があるが、特に制限されず、適宜採用することができる。スパッタリング法による金属薄膜層の形成条件については、例えば、アルゴンガスをスパッタガスとして使用し、圧力は好ましくは1×10-2〜1Pa、より好ましくは5×10-2〜5×10-1Paであり、スパッタ電力密度は、好ましくは1〜100Wcm-2、より好ましくは1〜50Wcm-2の条件で行う方法がよい。この場合、金属薄膜層からなる金属層は十分に薄いものとすることができる。このようにして形成した金属薄膜層の上に、適宜、無電解めっき又は電解めっきによって厚膜の導体金属層としてもよい。すなわち、0.01〜50μm、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜1.0μmの厚みとすることができる。
蒸着で設ける金属薄膜層に適した金属としては、銅、ニッケル、クロムやこれらの合金がある。蒸着法においては、金属の薄膜を形成できるという利点があるが、厚膜を形成するには不向きである。そこで、金属薄膜層を厚くして電気抵抗を下げたり、強度を高める場合は、その上に比較的厚い銅薄膜層を設けてもよい。すなわち、0.001〜0.5μm程度の厚みの金属の薄膜を蒸着法で形成し、それ以上の厚みとするときはメッキ層を設けてもよい。蒸着法としては、スパッタリング、CVD等の公知の方法が採用できる。
蒸着法による金属薄膜の形成は、銅を薄膜層として用いることが好ましい。この際、接着性をより向上させる下地金属薄膜層を表面処理ポリイミド樹脂層に設け、その上に銅薄膜層を設けてもよい。下地金属薄膜層としては、ニッケル、クロムやこれらの合金層がある。下地金属薄膜層を設ける場合、その厚みは銅薄膜層厚みの1/2以下、好ましくは1/5以下で、1〜50nm程度の厚みとすることがよい。この下地金属薄膜層もスパッタリング法により形成することが好ましい。
ここで用いられる銅は一部に他の金属を含有する合金銅でも良い。スパッタリング法により形成させる銅又は銅合金は好ましくは銅含有率が90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上のものである。銅が含有し得る金属としては、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等を挙げることができる。また、これらの金属が2種類以上含有される銅合金であってもよい。
工程d2において形成される金属薄膜層の厚みは、0.01〜1.0μmの範囲であることがよく、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。薄膜層を更に厚くする場合には、無電解めっき又は電解めっきによって、厚膜にしてもよい。このようにして形成される金属層は、サブトラクティブ法ないしはセミアディティブ法で回路形成を行うこともできる。
本発明の金属張積層体は、両面FPC、HDDサスペンション用途等に適する。本発明のHDDサスペンション用金属張積層体は、本発明の金属張積層体であって、金属層の1層がステンレス層からなり、他の1層が銅等の導体金属層からなる。
本発明のHDDサスペンションは、上記の金属張積層体を加工することにより得ることができる。好ましい加工方法として、TSA法と呼ばれるステンレス箔−ポリイミド樹脂−銅箔の積層体をエッチング加工により所定の形状に加工して、配線一体型サスペンションとする方法がある。
本発明によれば、簡便な処理によってポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与し、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りを発生させないので、優れた金属張積層体を提供することが可能となる。また、本発明で得られる接着性層は、高温加熱下における発泡の発生による不具合を抑制することができるので、その工業的価値は高いものである。従って、高密度、超微細配線化するHDDサスペンションの要求に応え、信頼性の高い高精度のHDDサスペンションの提供が可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種評価は下記によるものである。
[接着強度の測定]
金属層とポリイミド樹脂層との間の接着強度は、金属張積層板について、回路加工により1/8インチ配線幅の測定用試験片を作製し、この試験片を固定板に金属層側を貼り付け、引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ-M1)を用いて、金属箔を90°方向に引き剥がし強さを測定した。
また、接着性層を介した金属層とポリイミド樹脂層との接着強度についても同様にして測定した。
また、支持体銅箔と極薄銅箔との剥離強度については、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製)を使用して、幅1mmのサンプルの極薄銅箔側を両面テープによりステンレス板に固定し、支持体銅箔を90°方向に50mm/分の速度で剥離して求めた。
[寸法変化率の測定]
寸法変化率の測定は、まず300mm角の金属張積層板を用い、位置測定用ターゲットを
200mm間隔にてドライフィルムレジストを露光、現像することによって試験片1を形成
する。温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中にてエッチング前(常態)の寸法を測定した後に試験片1のターゲット以外の銅をエッチング(液温40#C以下、時間10分以内)により除去することによって試験片2を形成する。温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中に24±4時間静置後、常態の場合と同様にエッチング後の寸法を測定する。縦方向及び横方向の各3箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後の寸法変化率とする。
[ポリイミドエッチング形状の測定]
まず100mm角の金属張積層板を用い、銅箔側をエッチングし、100μm径のビアを形成して試験片とした。その後、銅箔をエッチングマスクとして、水酸化カリウム33.5wt%、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%からなる水溶液をエッチング液として用い、80℃のエッチング液に、試験片を10〜60秒間浸漬した。浸漬後に試験片を断面研磨し、ポリイミドのサイドエッチング形状を観察した。
[線熱膨張係数の測定]
線熱膨張係数の測定は、サーモメカニカルアナライザー(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて255℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で10分間保持した後、更に5℃/分の一定速度で冷却した。冷却時の240℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を算出した。
[接着性層の厚み測定]
走査型透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、透過モードに設定し、金属張積層板の断面を観察し、接着性層の厚みを確認することにより評価した。
[重量平均分子量(Mw)の測定]
東ソー株式会社製のHLC−8220GPCを用い、東ソー株式会社製のTSK−GEL SUPER HM−Mを4本連結したカラムを使用して測定した。重量平均分子量を求めるための検量線は、標準物質としてポリスチレンを用いて作成した。展開溶媒として、臭化リチウムとリン酸をそれぞれ0.03mol/LとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドへ混合した溶液を用いた。
次に、以下の実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。本発明はこれに限定されないことはもちろんである。なお、本実施例に用いた化合物の略号は上記されているとおりである。
作製例1
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら15.77gのm-TB(0.074モル)及び2.41gのTPE-R(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.82gのPMDA(0.082モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液1aを得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液1aの粘度は29,200cPであった。なお、粘度の測定は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計(トキメック社製)にて、25℃で測定した。また、樹脂溶液1a中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、210,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液1aを基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、基板を除去して、厚み12μmのポリイミド樹脂フィルム1bを得た。得られたポリイミド樹脂フィルム1bの熱線膨張係数を測定したところ、12×10-6/Kであった。
作製例2
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.76gのm-TB(0.06モル)及び5.49gのNBOA(0.024モル)を268gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で18.31gのPMDA(0.084モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液2aを得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液2aの粘度は30,000cPであった。また、樹脂溶液2a中の重量平均分子量(Mw)は、180,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液2aを基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、基板を除去して、厚み12μmのポリイミド樹脂フィルム2bを得た。得られたポリイミド樹脂フィルム2bの熱線膨張係数を測定したところ、16×10-6/Kであった。
作製例3
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.08gのm-TB(0.057モル)、4.75gのTPE-R(0.016モル)及び1.63gのDAPE34(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.55gのPMDA(0.08モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液3aを得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液3aの粘度は13,200cPであった。また、樹脂溶液3a中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、219,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液3aを基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、基板を除去して、厚み12μmのポリイミド樹脂フィルム3bを得た。得られたポリイミド樹脂フィルム3bの熱線膨張係数を測定したところ、22×10-6/Kであった。
作製例4
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.08gのm-TB(0.057モル)、4.75gのTPE-R(0.016モル)及び1.63gのDAPE44(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.55gのPMDA(0.08モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液4aを得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液4aの粘度は19,200cPであった。また、樹脂溶液4a中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、235,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液4aを基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、基板を除去して、厚み12μmのポリイミド樹脂フィルム4bを得た。得られたポリイミド樹脂フィルム4bの熱線膨張係数を測定したところ、17×10-6/Kであった。
作製例5
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら12.08gのm-TB(0.057モル)、4.75gのNBOA(0.016モル)及び1.63gのDAPE34(0.008モル)を264gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で17.55gのPMDA(0.08モル)を加えた。その後、4時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液5aを得た。25℃でのポリアミド酸の樹脂溶液5aの粘度は3,400cPであった。また、樹脂溶液5a中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、150,000であった。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液5aを基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、基板を除去して、厚み12μmのポリイミド樹脂フィルム5bを得た。得られたポリイミド樹脂フィルム5bの熱線膨張係数を測定したところ、19×10-6/Kであった。
作製例6
500mlセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら30.3gの1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)(0.057モル)を352gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流下で9.3gのPMDA(0.04モル)及び20.5gのBTDA(0.06モル)を加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸の樹脂溶液6aを得た。
得られたポリアミド酸の樹脂溶液6aを基板上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、基板を除去して、厚み12μmのポリイミド樹脂フィルム6bを得た。得られたポリイミド樹脂フィルム6bの熱線膨張係数を測定したところ、35×10-6/Kであった。
作製例7
5gの3-アミノプロピルトリメトキシシラン、500gのメタノール及び2.5gの水を混合し、2時間撹拌することで、シランカップリング剤溶液を調整した。予め水洗したステンレス箔1(新日本製鐵株式会社製 SUS304 H-TA、厚み20μm)をシランカップリング剤溶液(液温約20℃)へ30秒間浸漬した後、一旦大気中に引き上げ、余分な液を落とした。次いで圧縮空気を約15秒間吹き付けて乾燥した。その後、110℃で30分間加熱処理を行い、シランカップリング剤処理のステンレス箔2を得た。
作製例1で得られた樹脂溶液1aをステンレス箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を作製した。
上記のポリアミド酸層の上に、スロットダイコーターを用いて、0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)をウェット厚み50μmで塗布した後、130℃で2分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L1を作製した。この積層板の接着性層の厚みは0.7μmであった。
得られた積層板の接着性層の面に、電解銅箔1(三井金属株式会社製、NS-VLP箔、銅箔厚み9μm)を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機にて20MPa、温度370℃、プレス時間1分の条件で加熱圧着して、ステンレス層、絶縁樹脂層及び銅箔層から構成される金属張積層体1を得た。ステンレス側及び銅箔側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体1は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も特に問題はなかった。なお、接着強度は。0.5kN/m以上を問題なしとした。
作製例2で得られた樹脂溶液2aを電解銅箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を作製した。
上記のポリアミド酸層の上に、スロットダイコーターを用いて、0.02M濃度のDAPE34のメタノール溶液(25℃)をウェット厚み50μmで塗布した後、130℃で2分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、銅箔層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L2を作製した。この積層板の接着性層の厚みは0.8μmであった。
得られた積層板の接着性層の面に、ステンレス箔1を重ね合わせ、実施例1と同様にして、加熱圧着して、銅箔層、絶縁樹脂層及びステンレス層から構成される金属張積層体2を得た。ステンレス側及び銅側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体2は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も特に問題はなかった。
作製例3で得られた樹脂溶液3aを、支持体銅箔付き極薄銅箔1(日本電解株式会社製、YSNAP-3B、支持体銅箔厚み18μm、極薄銅箔厚み1μm、無機系剥離層)の極薄銅箔上にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を作製した。
上記のポリアミド酸層の上に、スロットダイコーターを用いて、0.02M濃度の4,4'−(3,3'−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル(HAB)のメタノール溶液(25℃)をウェット厚み50μmで塗布した後、130℃で2分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、銅箔層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L3を作製した。この積層板の接着性層の厚みは0.6μmであった。
得られた積層板の接着性層の面に、ステンレス箔2を重ね合わせ、実施例1と同様にして、加熱圧着して、銅箔層、絶縁樹脂層及びステンレス層から構成される支持体付きの金属張積層体を得、支持体銅箔を剥離して金属張積層体3を得た。ステンレス側及び銅側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体3は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も特に問題はなかった。なお、支持体銅箔と極薄銅箔との剥離強度は10N/mであり、支持体銅箔剥離後の積層体は、しわ、反りがなく、外観も良好であった。
作製例4で得られた樹脂溶液4aをステンレス箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を作製した。
上記のポリアミド酸層の上に、スロットダイコーターを用いて、0.02M濃度のトリス(4−アミノフェニル)メタノール(TAPM)のメタノール溶液(25℃)をウェット厚み50μmで塗布した後、130℃で2分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L4を作製した。この積層板の接着性層の厚みは0.5μmであった。
得られた積層板の接着性層の面に、電解銅箔1を重ね合わせ、実施例1と同様にして、加熱圧着して、ステンレス層、絶縁樹脂層及び銅箔層から構成される金属張積層体4を得た。ステンレス側及び銅箔側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体4は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング液の絶縁樹脂層の形状も特に問題はなかった。
作製例5で得られた樹脂溶液5aをステンレス箔2にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、硬化後の厚みが12μmとなるようにポリアミド酸層を作製した。
上記のポリアミド酸層の上に、グラビアロールを用いて、0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)をウェット厚み5μmで塗布した後、130℃で2分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス層、ポリイミド樹脂層及び接着性層から構成される積層板L5を作製した。この積層板の接着性層の厚みは約0.05μmであった。
得られた積層板の樹脂層側の面に、金属原料が成膜されるように、RFマグネトロンスパッタリング装置(ANELVA;SPF-332HS)にセットし、槽内を3×10-4Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入し真空度を2×10-1Paとし、RF電源にてプラズマを発生した。このプラズマにてニッケル:クロムの合金層[比率8:2、99.9wt%、以下、ニクロム層(第一スパッタリング層)]が膜厚30nmとなるようにポリイミドフィルムへ成膜した。ニクロム層を成膜した後、同一雰囲気にて、このニクロム層上にさらにスパッタリングにより銅(99.99wt%)を0.2μm成膜して第二スパッタリング層を得た。
次いで、上記スパッタ膜(第二スパッタリング層)を電極として電解めっき浴にて8μm厚の銅めっき層を形成した。電解めっき浴としては、硫酸銅浴(硫酸銅100g/L、硫酸220g/L、塩素40mg/L、アノードは含りん銅)を使用し、電流密度2.0A/dm2にてめっき膜を形成した。めっき後には十分な蒸留水で洗浄し乾燥を行った。このようにして、ステンレス層、絶縁樹脂層、ニクロム層、銅スパッタ層、電解めっき銅層から構成される金属張積層体5を得た。ステンレス側及び銅側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体5は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例5における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのHABのメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例5と同様にして、接着性層を有する積層板L6及び金属張積層体6を作製した。接着性層の厚みは約0.04μmであった。ステンレス側及び銅側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体6は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例5における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02Mの4,4'−ジアミノビフェニルスルファイド(ASD)のメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例5と同様にして、接着性層を有する積層板L7及び金属張積層体7を作製した。接着性層の厚みは約0.04μmであった。ステンレス側及び銅側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体7は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例5における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02Mの4,4'−ジアミノベンズアニリド(DABA)のメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例5と同様にして、接着性層を有する積層板L8及び金属張積層体8を作製した。接着性層の厚みは約0.04μmであった。ステンレス側及び銅側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体8は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
実施例1における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02Mのトリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)のメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着性層を有する積層板L9及び金属張積層体9を作製した。接着性層の厚みは約0.4μmであった。ステンレス側及び銅側の接着強度、絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層体9は接着強度、寸法安定性に優れており、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も良好であった。
比較例1
作製例1の樹脂溶液1aをステンレス箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス層の上に厚さ12μmのポリイミド樹脂層が積層した積層板を作製した。得られた積層板の樹脂層側の面に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機にて20MPa、温度370℃、プレス時間1分の条件で加熱圧着して、金属張積層体10を得た。銅側の接着強度は0.1kN/m以下であった。
比較例2
作製例6で得られた樹脂溶液6aをステンレス箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス層の上に厚さ12μmのポリイミド樹脂層が積層した積層板を作製した。得られた積層板の樹脂層側の面に、電解銅箔1を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機にて20MPa、温度370℃、プレス時間1分の条件で加熱圧着して、金属張積層体11を得た。銅側の接着強度は問題なかったが、寸法変化率が−0.80%となり、積層体の反りが生じた。
比較例3
作製例1で得られた樹脂溶液1aをステンレス箔1にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥し、その後、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス層の上に厚さ12μmのポリイミド樹脂層が積層した積層板を作製した。得られた積層板の樹脂層側の面に、金属原料が成膜されるように、RFマグネトロンスパッタ装置にセットし、実施例5と同様にして、スパッタリング及び電解めっきを行い、金属張積層体12を得た。銅側の接着強度は0.2kN/mであった。
以上の結果をまとめて、表1に示す。なお、表1において、樹脂層(μm)とは、得られた金属張積層体のポリイミド樹脂層及び接着性層の合計厚み(μm)を示し、接着層(μm)とは、接着性層又は接着層の厚み(μm)を示し、CTE(ppm/K)とは、ポリイミド樹脂層の熱線膨張係数(×10-6/K)を示し、接着強度のA側とは、金属層Aとポリイミド樹脂層の接着強度を示し、接着強度のD側とは、金属層Dと改質層の接着強度を示し、寸法変化率(%)とは、エッチング後の寸法変化率(%)を示し、形状とは、エッチング後の絶縁樹脂層の形状を示す。
Figure 2009154447

Claims (8)

  1. 金属層A、ポリイミド樹脂層B、接着性層C及び金属層Dの順で構成される金属張積層体であって、ポリイミド樹脂層Bの熱線膨張係数が10×10-6〜30×10-6(1/K)であり、接着性層Cがポリイミド樹脂層Bの前駆体であるポリアミド酸の溶液を金属層Aに直接塗布、乾燥して形成した単一層のポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸し、乾燥及び熱処理することによって形成された改質ポリイミド樹脂層であり、接着性層Cの厚みが0.001μm以上、1.0μm以下であることを特徴とする金属張積層体。
  2. アミノ化合物が、第1級若しくは第2級のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物である請求項1に記載の金属張積層体。
  3. アミノ化合物が、少なくとも3つの第1級のアミノ基を官能基として有する脂肪族アミノ化合物である請求項1に記載の金属張積層体。
  4. ポリイミド樹脂層B及び接着性層Cの厚みの合計が5〜50μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属張積層体。
  5. 金属層Aが0.1〜50μmの厚みの導体金属層であり、金属層Dが10〜50μmの厚みのステンレス層である請求項4に記載の金属張積層体。
  6. 金属層Aが10〜50μmの厚みのステンレス層であり、金属層Dが0.01〜50μmの厚みの導体金属層である請求項4に記載の金属張積層体。
  7. 請求項5又は6に記載の金属張積層体からなること特徴とするHDDサスペンション用金属張積層体。
  8. 請求項7に記載のHDDサスペンション用金属張積層体を加工して得られること特徴とするHDDサスペンション。
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