従来のスイング式クランプ装置では、クランプロッドの先端部分にクランプアームを装着して固定する場合に、クランプロッドの先端部のネジ部に螺合された螺合部材(ナット部材やボルト部材)を、スパナやレンチ等の工具を用いて、クランプアームに直接当接させた状態で回動操作して非常に強力に締付けるため、その回動操作力が、螺合部材とクランプロッド間の摩擦、螺合部材とクランプアーム間の摩擦により、螺合部材から直接クランプロッドに、螺合部材からクランプアームを介してクランプロッドに伝達される。
故に、螺合部材を回動操作するだけでは、クランプロッド、クランプアームが不要に回動する場合があり、そうなると、クランプアームをクランプロッドに固定するクランプアーム固定作業が行いにくいという課題があるが、重大な課題として、回動操作力が回動駆動機構に負荷として過大に作用し、一般的な回動駆動機構ではカム溝が損傷する虞があり、そうなると、クランプアームをクランプ解除位置とクランプ位置とに亙って確実に円滑に切換えることができなくなる。
その対策として、特許文献1,2のように、螺合部材としてナット部材を適用したものでは、クランプロッドの先端部に形成された角穴にレンチを係合させて、クランプロッドを回り止めした状態で、6角のナット部材をスパナを用いて回動操作するようにしているが、2種類の工具を使用することになるので、クランプアーム固定作業が比較的面倒である。尚、特許文献3のように、螺合部材としてボルト部材を適用したものでは、クランプロッドをレンチ等の工具を用いて回り止めすることも困難である。
しかも、次に記す重大な課題がある。即ち、クランプロッドに装着して固定するクランプアームについては、サイズ・形状の異なる複数種類のクランプアームの中から、クランプ対象物を確実にクランプできる適当なものを選択する必要があり、その選択を確実に行うために、通常、クランプ対象物を固定するベース部材にクランプ本体を取付け、更に、クランプ対象物を固定位置にセットした状態で、そのクランプ対象物に合うクランプアームをクランプロッドに仮装着して確かめてから固定している。
しかし、クランプロッドは固定位置にセットされたクランプ対象物と近接しているため、そのクランプ対象物が、レンチ及びスパナを用いて、クランプロッドを回り止めした状態でナット部材を回動操作し、回動駆動機構に過大な負荷がかからないようにナット部材を強力に締付ける、クランプアーム固定作業の邪魔になり、つまり、クランプアーム固定作業を適切に容易に行うことができないという問題がある。
クランプロッドからクランプアームを取外すために、螺合部材を緩める場合にも、前記同様、螺合部材を回動操作するだけでは、その回動操作力が回動駆動機構に負荷として過大に作用し、一般的な回動駆動機構ではカム溝が損傷する虞がある。
また、特許文献1〜3のように、クランプアームとクランプロッドとをテーパ結合するものでは、クランプロッドからクランプアームを取外す場合に、螺合部材を緩めるだけでは、クランプアームがクランプロッドに強力に結合されたままであるので、クランプアームをクランプロッドから容易に固定解除することが難しい。
故に、螺合部材をクランプロッドから取外してから、ギャプーラー等の工具を用いて、クランプロッドからクランプアームを引抜いているが、このような比較的大型の工具が別途必要になり、その工具の使い勝手も良いものとはいい難く、依って、クランプアームをクランプロッドから容易に固定解除することが要望される。
尚、特許文献1のスイング式クランプ装置では、キャップ状の取外し工具が設けられ、この取外し工具をナット部材を取外した状態のクランプロッドの先端部に被せて、その開放端外周部をクランプアームに螺合させてセットし、この取外し工具の端壁に貫通状に螺合された押圧ボルトを回動操作してクランプロッドの先端を押すことで、取外し工具と共にクランプアームをクランプロッドから引抜いて固定解除する。
しかし、このアーム引抜き技術では、取外し工具が別途必要になり、その取外し工具をクランプロッドにナット部材を取外してからセットする必要があり、この場合、取外し工具の開放端外周部をクランプアームに螺合させ、また、そのために、クランプアームにネジ部を形成する必要があるので、構造が複雑化しコスト的に不利であり、クランプアームをクランプロッドから容易に固定解除できるものといい難い。
本発明の目的は、スイング式クランプ装置、クランプアーム固定部材、及び、スイング式クランプ装置のクランプアーム着脱方法において、スイング式クランプ装置の駆動手段に過大な負荷がかからないように、また、クランプロッドの近くにクランプ対象物が存在する場合でも、そのクランプ対象物が邪魔にならないように、クランプロッドの先端部分にクランプアームを確実に簡単な操作で固定すること、クランプアームをクランプロッドから確実に容易に固定解除すること、等々である。
[スイング式クランプ装置]
請求項1のスイング式クランプ装置の特徴は、クランプロッドに設けられた係合部であってクランプロッドに装着されたクランプアームがクランプロッドの基端側へ移動不能に係合する係合部、クランプアームが装着された状態のクランプロッドの先端部に着脱可能に装着されてクランプロッドに対して軸心方向先端側へ移動不能になり得るアーム固定部材、アーム固定部材がクランプロッドに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態でアーム固定部材に対してクランプアームを軸心方向基端側へクランプロッドの係合部に押圧して係合させるアーム押圧機構を備えたことである。
アーム押圧機構により、アーム固定部材がクランプロッドに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、クランプアームにアーム固定部材から離隔する方向へ押圧力が付与され、このとき、アーム固定部材により前記押圧力の反力が受止められるため、クランプアームがクランプロッドの係合部に確実に押圧されて係合し、故に、クランプアームがクランプロッドに確実に固定される。
請求項2のスイング式クランプ装置は、クランプロッドの先端部にネジ部が形成され、アーム固定部材がクランプロッドのネジ部に螺合されてクランプアームと対向するアーム対向部を有する螺合部材からなり、アーム押圧機構が、クランプアームのアーム対向部に貫通状に形成された複数のネジ孔と、これら複数のネジ孔に夫々螺合されてクランプロッドの先端側から回動操作可能に螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトであってクランプアームに当接する複数の固定ボルトとを有することを特徴とする。
クランプロッドのネジ部に螺合された螺合部材を回動させない状態で、螺合部材がクランプロッドに対して軸心方向へ移動不能になり、螺合部材のアーム対向部をクランプアームに対向させた状態で、螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトを夫々クランプロッドの先端側からクランプアームの方へねじ込むように回動操作すると、複数の固定ボルトがクランプアームに当接して押圧力を付与し、クランプアームがクランプロッドの係合部に確実に押圧されて係合する。
ここで、請求項2のスイング式クランプ装置において次の構成を採用可能である。
前記係合部はクランプロッドの先端部分に軸心方向先端側程小径化するように形成されたテーパ係合部からなり、前記クランプアームは前記テーパ係合部に係合可能に軸心方向先端側程小径化するように形成されたテーパ孔部を有する(請求項3)。或いは、前記係合部はクランプロッドの先端部分に軸心方向先端側程小径化するように形成されたテーパ係合部からなり、前記クランプアームは前記テーパ係合部よりも大径のストレート孔部を有し、前記ストレート孔部に装着されたテーパスリーブであって、前記テーパ係合部に係合可能に軸心方向先端側程小径化するテーパ内周部を有するテーパスリーブを備える(請求項4)。
前記螺合部材のアーム対向部に形成された複数のボルト挿通孔と、これら複数のボルト挿通孔に夫々回動自在に挿通保持されてクランプロッドの先端側から回動操作可能な複数の引抜きボルトと、これら複数の引抜きボルトが夫々螺合するようにクランプアームに形成された複数の引抜きネジ孔とを備え、前記螺合部材のアーム対向部をクランプアームから軸心方向先端側へ離隔させた状態で、複数の引抜きボルトを夫々前記複数のボルト挿通孔に挿通させ且つ複数の引抜きネジ孔に螺合させて回動操作することで、クランプアームを螺合部材の方へ引寄せてクランプロッドから固定解除するように構成される(請求項5)。
前記螺合部材及びクランプアームに夫々対応するピン穴が形成され、これら両ピン穴に装着されるピン部材を備える(請求項6)。前記螺合部材は、円板状の螺合部材本体と、この螺合部材本体からクランプアームの先端側へ延びてクランプアームを補強するアーム補強部とを有する(請求項7)。前記螺合部材のアーム対向部は、クランプアームに弾性力を付加可能な皿バネ形状に形成される(請求項8)。前記クランプロッドと螺合部材の両中心が一致した状態で、クランプロッドに対して螺合部材が傾かないように係合する傾き防止構造を備える(請求項9)。
前記ネジ部がクランプロッドの先端部の外周部に形成されて、クランプアームが前記係合部に係合した状態で、前記ネジ部がクランプアームから軸心方向先端側へ突出するように構成され、前記螺合部材がナット部材からなる(請求項10)。或いは、前記ネジ部がクランプロッドの先端部の中心部分に形成されたネジ孔からなり、クランプアームが前記係合部に係合した状態で、クランプロッドの先端部がクランプアームから軸心方向先端側へ突出しないように構成され、前記螺合部材が、前記アーム対向部から軸心方向基端側へ延びて前記ネジ孔に螺合されるネジ軸部を有するボルト部材からなる(請求項11)。
[クランプアーム固定部材]
請求項12のクランプアーム固定部材は、「請求項1の文頭から・・・おいて、」迄に記載のスイング式クランプ装置に使用されるものであり、その特徴は、クランプアームが装着された状態のクランプロッドの先端部に形成されたネジ部に螺合されてクランプアームと対向するアーム対向部を有する螺合部材、クランプアームのアーム対向部に貫通状に形成された複数のネジ孔、複数のネジ孔に夫々螺合されてクランプロッドの先端側から回動操作可能に螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトであって螺合部材に対してクランプアームを軸心方向基端側へクランプロッドに設けられた係合部に押圧して係合させる複数の固定ボルトを備えたことである。
このクランプアーム固定部材は、既存の(例えば、ユーザーが現に使用している)スイング式クランプ装置に、クランプロッドにクランプアームを固定する従来の螺合部材に変えて使用することもできる。このクランプアーム固定部材においては、請求項2と同様の作用を奏するが、更に、請求項3〜11の何れかと同様の構成を採用してもよい。
[スイング式クランプ装置のクランプアーム着脱方法]
請求項17のスイング式クランプ装置のクランプアーム着脱方法は、請求項2のスイング式クランプ装置におけるクランプロッドにクランプアームを着脱するスイング式クランプ装置のクランプアーム着脱方法であり、その特徴は、クランプアームをクランプロッドに装着する場合に、先ず、クランプアームをクランプロッドの係合部に係合させる第1の工程、次に、螺合部材をクランプロッドのネジ部に螺合させて螺合部材のアーム対向部をクランプアームに対向させる第2の工程、次に、螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトを夫々クランプロッドの先端側から回動操作してクランプアームに当接させ、螺合部材に対してクランプアームを軸心方向基端側へクランプロッドに設けられた係合部に押圧して係合させる第3の工程を備えたことである。
第1の工程において、クランプアームをクランプロッドの係合部に係合させた状態で、第2の工程において、螺合部材をクランプロッドのネジ部に螺合させ、その螺合部材を回動させない状態で、螺合部材がクランプロッドに対して軸心方向へ移動不能になり、螺合部材のアーム対向部をクランプアームに対向させた状態で、第3の工程において、螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトを夫々クランプロッドの先端側からクランプアームの方へねじ込むように回動操作すると、複数の固定ボルトがクランプアームに当接して押圧力を付与し、クランプアームがクランプロッドの係合部に確実に押圧されて係合する。
請求項18のスイング式クランプ装置のクランプアーム着脱方法は、螺合部材のアーム対向部には複数のボルト挿通孔が形成されており、クランプアームには複数のボルト挿通孔に夫々対応する複数の引抜きネジ孔が形成されており、クランプアームをクランプロッドから取外す場合に、先ず、螺合部材と螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトの少なくとも一方を回動操作して、螺合部材のアーム対向部及び複数の固定ボルトをクランプアームから軸心方向先端側へ離隔した状態にする第4の工程と、次に、予め準備された複数の引抜きボルトを夫々螺合部材の複数のボルト挿通孔に挿通させ且つクランプアームの複数の引抜きネジ孔に螺合させた状態にする第5の工程と、次に複数の引抜きボルトを夫々クランプロッドの先端側から回動操作してクランプアームを螺合部材の方へ引寄せてクランプロッドから固定解除する第6の工程とを備えたことを特徴とする。
第4の工程においては、先ず、複数の固定ボルトを回動操作して、クランプアームへの押圧を解除し、そこで、螺合部材のアーム対向部とクランプアームとの間に適正な隙間が空いていない場合には、更に、螺合部材を回動操作して、螺合部材のアーム対向部及び複数の固定ボルトをクランプアームから軸心方向先端側へ離隔した状態にすることが好ましい。尚、このスイング式クランプ装置のクランプアーム着脱方法においては、螺合部材及びそれに関連する構成として、請求項3〜11の何れかと同様の構成を採用してもよい。
請求項1のスイング式クランプ装置によれば、クランプロッドの先端部分にクランプアームが装着された状態で、クランプロッドの先端部にアーム固定部材を装着し、このアーム固定部材を、従来の螺合部材のように、クランプアームに直接当接させた状態で回動操作して非常に強力に締付ける必要もなく、アーム押圧機構により、アーム固定部材がクランプロッドに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、アーム固定部材に対してクランプアームを軸心方向基端側へクランプロッドの係合部に確実に押圧し係合させて、クランプアームをクランプロッドに確実に固定できる。つまり、クランプアームをクランプロッドに固定する場合に、クランプロッドを別途工具等を用いて回り止めしなくても、クランプロッド、クランプアームが不要に回動しないようにして、位置決めピン等でクランプロッドに対してクランプアームが位置決めされていないものでも、その位置決めを確実に行いつつ、また、駆動手段に負荷となる力が過大に作用しないようにして、駆動手段の損傷を確実に防止しつつ、クランプアーム固定作業を行うことができる。
請求項2のスイング式クランプ装置によれば、クランプロッドの先端部分にクランプアームが装着された状態で、アーム固定部材としての螺合部材をクランプロッドの先端部のネジ部に螺合させて容易に着脱可能に装着でき、その螺合部材を回動させない状態でクランプロッドに対して軸心方向へ移動不能になるので、螺合部材のアーム対向部をクランプアームに対向させた状態で、螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトを夫々クランプロッドの先端側からクランプアームの方へねじ込むように回動操作すると、複数の固定ボルトがクランプアームに当接して押圧力を付与し、クランプアームをクランプロッドの係合部に確実に押圧し係合させることができる。
従って、クランプロッドの近くにクランプ対象物が存在する場合でも、そのクランプ対象物が邪魔にならないように、クランプロッドの先端部分にクランプアームを確実に簡単な操作で固定できる。クランプロッドに装着して固定するクランプアームについては、サイズ・形状の異なる複数種類のクランプアームの中から、クランプ対象物を確実にクランプできる適当なものを選択する必要があり、その選択を確実に行うために、通常、クランプ対象物を固定するベース部材にクランプ本体を取付け、更に、クランプ対象物を固定位置にセットした状態で、そのクランプ対象物に合うクランプアームをクランプロッドに仮装着して確かめてから固定しているが、こうした作業を非常に簡単に行うことができる。
請求項3,4のスイング式クランプ装置によれば、クランプアームをクランプロッドにテーパ結合を介して強力に固定できる。
請求項5のスイング式クランプ装置によれば、螺合部材と螺合部材に組込まれた複数の固定ボルトの少なくとも一方を回動操作して、螺合部材のアーム対向部及び複数の固定ボルトをクランプアームから軸心方向先端側へ離隔させ、この状態で、複数の引抜きボルトを夫々螺合部材の複数のボルト挿通孔に挿通させ且つクランプアームの複数の引抜きネジ孔に螺合させて、クランプロッドの先端側から回動操作することで、クランプアームを螺合部材の方へ引寄せてクランプロッドから確実に簡単に固定解除でき、この場合も、クランプロッドを別途工具等を用いて回り止めしなくても、クランプロッド、クランプアームが不要に回動しないようにして、また、駆動手段に負荷となる力が過大に作用しないようにして、また、螺合部材をクランプロッドから取外すことなく、クランプアームの取外しに利用できるので、クランプアーム固定解除作業を簡単に行うことができ、クランプアーム固定解除用の構成を簡単化できてコスト的にも有利になる。
請求項6のスイング式クランプ装置によれば、クランプロッドとクランプアームが軸心回りに相対的に回動することを確実に防止できる。故に、特に位置決めピン等でクランプロッドに対してクランプアームが位置決めされているものでは、螺合部材が回動し軸心方向先端側へ移動して、前記押圧力が弱くなることを防止でき、位置決めピン等でクランプロッドに対してクランプアームが位置決めされていないものでも、クランプロッドに対するクランプアームの回動防止を期待できる。
請求項7のスイング式クランプ装置によれば、螺合部材のアーム補強部によりクランプアームを補強できるので、クランプアームの厚さを小さくして、クランプ動作に耐えうるものに構成でき、クランプアームを小型にできるのでコスト的にも有利になる。
請求項8のスイング式クランプ装置によれば、複数の固定ボルトがクランプアームに押圧力を付加した状態で、螺合部材の皿バネ形状のアーム対向部が弾性変形した状態になるようにして、螺合部材が多少回動し軸心方向先端側へ移動したとしても、クランプアームに略一定の押圧力を付加し続けることができる。
請求項9のスイング式クランプ装置によれば、クランプロッドと螺合部材の両中心が一致した状態で、クランプロッドに対して螺合部材が傾かないように係合する傾き防止構造を備えたので、特に、クランプロッドにクランプアームを固定するために、複数の固定ボルトを締め付ける際、複数の固定ボルトを順々に締め付けることになるが、傾き防止構造により、螺合部材が傾くことを防止して、複数の固定ボルトの押圧力をクランプアームに確実に伝達して、クランプロッドにクランプアームを確実に固定することができる。
請求項10のスイング式クランプ装置によれば、螺合部材をナット部材として、また、請求項11のスイング式クランプ装置によれば、螺合部材をボルト部材として、請求項2〜9と同様の効果が得られる。
請求項12のクランプアーム固定部材によれば、既存の(例えば、ユーザーが現に使用している)スイング式クランプ装置に、クランプロッドにクランプアームを固定する従来の螺合部材に変えて使用することもでき、その他、請求項2と同様の効果を奏する。
請求項13,14,15,16のクランプアーム固定部材によれば、夫々、請求項5,7,10,11と略同様の効果が得られる。請求項17,18のスイング式クランプ装置のクランプアーム着脱方法によれば、夫々、請求項2,5と略同様の効果が得られる。
図1、図2に示すように、スイング式クランプ装置1は、クランプ本体2、クランプロッド3、クランプアーム4、駆動機構5、クランプアーム固定部材6を備えている。但し、このスイング式クランプ装置1において、クランプアーム4については、予め備えておくことは必須ではなく、既存の(例えば、ユーザーが現に使用している)クランプアーム4を使用可能であり、また、クランプアーム固定部材6については、既存のスイング式クランプ装置1に従来の螺合部材に変えて使用可能である。尚、図2の矢印Zが軸心方向(上下方向)であり、適宜、図2の矢印Zuを上方として説明する。
クランプ本体2は、ワークや金型等のクランプ対象物Wを固定するワークパレットや金型固定盤等のベース部材Bに複数のボルト(図示略)等で固定されて、クランプ対象物Wの固定位置と近接する位置に取付けられている。
クランプ本体2は、シリンダ筒部11とシリンダ筒部11の上端壁を含むロッド挿通支持部12とを有する本体部材10と、シリンダ筒部11の下端部に内嵌螺合されて固定された下端壁部材13とを備えている。本体部材10は、例えば、シリンダ筒部11の上下長とロッド挿通支持部12の上下長が略同じになるように形成されている。
ロッド挿通支持部12には、ロッド挿通支持部12の上端側外部とシリンダ筒部11の内部とを連通するように、小径挿通孔12aと、小径挿通孔12aから下方へ連続する大径挿通孔12bとが形成されている。ロッド挿通支持部12の上面は、例えば、ワークの切粉等が溜まりにくいように、傘状の傾斜面に形成されている。
クランプロッド3は、クランプ本体2に軸心方向に進退可能に且つ軸心回りに回動可能に支持されている。クランプロッド3は、ナット取付軸部3a、アーム固定軸部3b、中間軸部3c、大径軸部3dを上側から下側へ順に連続的に形成して構成されている。中間軸部3cと大径軸部3dが夫々クランプ本体2の小径挿通孔12aと大径挿通孔12bに摺動自在に挿通され、ナット取付軸部3aとアーム固定軸部3bと中間軸部3cがクランプ本体2の上方へ突出している。
クランプアーム4は、クランプロッド3の先端部分のアーム固定軸部3bに着脱可能にクランプアーム固定部材6により固定される。アーム固定軸部3bに装着されたクランプアーム4がクランプロッド3に対して相対的にクランプロッド3の基端側へ移動不能に係合するように、クランプロッド3に設けられた係合部として、アーム固定軸部3bに軸心方向先端側程小径化するテーパ係合部3b1が形成されている。
クランプアーム4は、クランプロッド3と連結する為のアーム基部4aと、アーム基部4aから軸心直交方向へ延びるアーム部4bとを有し、クランプロッド3のテーパ係合部3b1に係合可能に軸心方向先端側程小径化するように、アーム基部4aに上下に貫通状に形成されたテーパ孔部4a1を有する。
アーム部4bの先端部分にはネジ孔4b1が上下に貫通状に形成され、ネジ孔4b1に押圧ボルト15がアーム部4bから上下両側に突出するように螺合され、この押圧ボルト15に螺合されたナット16がアーム部4bの上面に締結されて、押圧ボルト15が固定されている。押圧ボルト15の下端部がクランプ対象物Wを押圧する押圧部となり、この押圧部の高さ位置を、押圧ボルト15及びナット16を操作して調節することができる。
クランプロッド3の先端部のナット取付軸部3aの外周部にはネジ部3a1が形成され、クランプアーム4のテーパ孔部4a1がクランプロッド3のテーパ係合部3b1に係合した状態で、ネジ部3a1がクランプアーム4(アーム基部4a)から軸心方向先端側へ突出するように構成されている。
駆動機構5は、クランプアーム4を、実線で示すクランプ解除位置と、このクランプ解除位置に対して軸心方向退入側に移動させ且つ軸心回りに90度スイングさせた仮想線で示すクランプ位置とに亙って切換え可能に、クランプロッド3を進退駆動すると共に回動駆動するものであり、クランプロッド3を油圧(又はその他の流体圧)により進退させる進退駆動機構20と、進退駆動機構20の駆動力を利用してクランプロッド3の進退動作と同期させてクランプロッド3を回動させる回動駆動機構25とで構成されている。
進退駆動機構20は、復動型の油圧シリンダ21からなり、クランプロッド3の下端部に一体的に形成されたピストン22を有し、そのピストン22がクランプ本体2のシリンダ筒部11に軸心方向へ摺動自在に内嵌されている。ピストン22の外周部には、ピストン22とシリンダ筒部11との間をシールする環状シール33aが装着されている。
ここで、シリンダ本体2のロッド挿通支持部12とクランプロッド3との間、シリンダ本体2のシリンダ筒部11と下端壁部材13との間を夫々シールする環状シール33b,33cが設けられている。また、ロッド挿通支持部12の上端部において、小径挿通孔12aの外周側部分に形成され凹部12cに、環状のダストシール33が装着されている。
クランプ本体2の本体部材10には、上油圧作動室23と下油圧作動室24に夫々連通する油路23a,24aが形成され、油圧供給源(図示略)から油路23aを介して上油圧作動室23に油圧が供給されると、クランプロッド3が下降駆動され、油路24aを介して下油圧作動室24に油圧が供給されると、クランプロッド3が上昇駆動される。尚、クランプロッド3の大径軸部3dのうち中間軸部3cとの境界段部の上面も上油圧作動室23の油圧を受圧する受圧部になる。
回動駆動機構25は、クランプ本体2のロッド挿通支持部12に、大径挿通孔12bに臨むように保持された複数(例えば、3個)の鋼球26と、クランプロッド3の大径軸部3dの外周部に形成されて複数の鋼球26に夫々係合する複数(例えば、3本)のカム溝27とを有する。カム溝27は、軸心方向と平行方向に延びるストレート溝部と、このストレート溝部に繋がる螺旋溝部とからなり、螺旋溝部に鋼球26が係合した状態で、クランプロッド3が進退されるとクランプロッド3が回動する。
ここで、クランプロッド3を回動させる方向の外力が作用すると、回動駆動機構25に負荷が作用し、その外力が過大になると、特にカム溝27が損傷する虞があり、そうなると、クランプアーム4をクランプ解除位置とクランプ位置とに亙って確実に円滑に切換えることができなくなる。
クランプアーム固定部材6について説明する。
クランプアーム固定部材6は、クランプアーム4が装着された状態のクランプロッド3のネジ部3a1に螺合されてクランプアーム4と対向するアーム対向部30aを全体に有する螺合部材としてのナット部材30と、アーム対向部30aに上下に貫通状に形成された複数(例えば、5つ)のネジ孔31と、複数のネジ孔31に夫々螺合されてクランプロッド3の先端側から回動操作可能にナット部材30に組込まれた複数(例えば、5個)の固定ボルト32であってクランプアーム4に当接しナット部材30に対してクランプアーム4を軸心方向基端側へ押圧しクランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3のテーパ係合部3b1に押圧して係合させる複数の固定ボルト32とを備えている。
ナット部材30が、クランプアーム4が装着された状態のクランプロッド3の先端部に着脱可能に装着されてクランプロッド3に対して軸心方向先端側へ移動不能になり得るアーム固定部材に相当し、複数のネジ孔31及び複数の固定ボルト32が、ナット部材30(アーム固定部材)がクランプロッド3に対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、ナット部材30に対してクランプアーム4を軸心方向基端側へクランプロッド3のテーパ係合部3b1に押圧して係合させるアーム押圧機構に相当する。
ナット部材30(アーム対向部30a)は、その外周が平面視にて円形に形成され、その中央部分に形成されたネジ孔30bがクランプロッド3のネジ部3a1に螺合され、例えば、クランプロッド3のナット取付軸部3aの直径の2倍程度の直径を有し、全体的にクランプアーム4の上側に位置するように、また、固定ボルト32の長さよりも少し長い上下厚さを有するように構成されている。
複数のネジ孔31は、ナット部材30(アーム対向部30a)のうち、その外周とそのネジ孔30bの外周との中間位置部分に、周方向等間隔(例えば、72度間隔)おきに形成されている。複数の固定ボルト32は、ナット部材30の上下厚さよりも少し短い長さに形成され、各固定ボルト32には、固定ボルト32を回動操作するために使用する工具T(図5参照)が係合可能な角穴32aが形成されている。
次に、クランプアーム4の着脱方法において、クランプアーム4をクランプロッド3に装着する場合について、図3〜図5に基づいて説明する。
先ず、図3に示すように、第1の工程において、クランプアーム4をクランプロッド3の先端側から下方へ移動させて、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3のテーパ係合部3b1に係合させる。すると、クランプロッド3のネジ部3a1がクランプアーム4から軸心方向先端側へ突出する。
次に、図4に示すように、第2の工程において、複数の固定ボルト32を組込んだ状態のナット部材30をクランプロッド3のネジ部3a1に螺合させて、ナット部材30のアーム対向部30aをクランプアーム4に対向させる。この第2の工程では、複数の固定ボルト32をナット部材30から下方へ突出させない状態で行うことが好ましく、この場合、ナット部材30をクランプアーム4の上面に当接させるのが自然である。
但し、ナット部材30をクランプアーム4の上面に当接させなくてもよい。また、複数の固定ボルト32をナット部材30から下方へ少し突出させた状態で行ってもよく、この場合、固定ボルト32をクランプアーム4の上面に当接させるのが自然であるが、そうしなくてもよい。或いは、ナット部材30をクランプロッド3のネジ部3a1に螺合させた後に、複数の固定ボルト32をナット部材30に組込んでもよい。
次に、図5に示すように、第3の工程において、工具Tを用いて、ナット部材30に組込まれた複数の固定ボルト32を夫々クランプロッド3の先端側からクランプアーム4の方へねじ込むように回動操作してクランプアーム4に当接させ、これにより、クランプアーム4にナット部材30から離隔する方向へ押圧力を付与し、このとき、ナット部材30が前記押圧力の反力を受止めることで、ナット部材30に対してクランプアーム4を軸心方向基端側へ押圧して、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3のテーパ係合部3b1に押圧して係合させる。
こうして、クランプアーム4のテーパ孔部4a1がクランプロッド3のテーパ係合部3b1に密着状に係合して、クランプアーム4がクランプロッド3に強力に固定される。尚、第3の工程では、先ず、複数の固定ボルト32を順々に適当大きさの締付け力で仮止め状に締結した後、最終的に、複数の固定ボルト32を順々に強い大きさの締付け力で締結するようにすることが好ましい。
以上説明したスイング式クランプ装置1、クランプアーム固定部材6、スイング式クランプ装置1のクランプアーム着脱方法によれば、次の効果を奏する。
クランプロッド3の先端部分にクランプアーム4が装着された状態で、クランプロッド3の先端部にナット部材30を装着し、このナット部材30を、従来の螺合部材のように、クランプアーム4に直接当接させた状態で回動操作して非常に強力に締付ける必要もなく、複数のネジ孔31及び複数の固定ボルト32により、ナット部材30がクランプロッド3に対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、ナット部材30に対してクランプアーム4を軸心方向基端側へ押圧してクランプアーム4のテーパ係合部4a1をクランプロッド3のテーパ係合部3b1に確実に押圧し係合させて、クランプアーム4をクランプロッド3に確実に固定できる。
つまり、クランプアーム4をクランプロッド3に固定する場合に、クランプロッド3を別途工具等を用いて回り止めしなくても、クランプロッド3、クランプアーム4が不要に回動しないようにして、位置決めピン等でクランプロッド3に対してクランプアーム4が位置決めされていないものでも、その位置決めを確実に行いつつ、また、回動駆動機構25に負荷となる力が過大に作用しないようにして、回動駆動機構25の特にカム溝27の損傷を確実に防止しつつ、クランプアーム固定作業を行うことができる。
しかも、クランプロッド3の先端部分にクランプアーム4が装着された状態で、ナット部材30をクランプロッド3の先端部のネジ部3a1に螺合させて容易に着脱可能に装着でき、そのナット部材30を回動させない状態でクランプロッド3に対して軸心方向へ移動不能になるので、ナット部材30のアーム対向部30aをクランプアーム4に対向させた状態で、ナット部材30に組込まれた複数の固定ボルト32を夫々クランプロッド3の先端側からクランプアーム4の方へねじ込むように回動操作するだけで、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3のテーパ係合部3b1に確実に押圧し係合させることができる。
従って、クランプロッド3の近くにクランプ対象物Wが存在する場合でも、そのクランプ対象物Wが邪魔にならないように、クランプロッド3の先端部分にクランプアーム4を確実に簡単な操作で固定できる。クランプロッド3に装着して固定するクランプアーム4については、サイズ・形状の異なる複数種類のクランプアーム4の中から、クランプ対象物Wを確実にクランプできる適当なものを選択する必要があり、その選択を確実に行うために、通常、クランプ対象物Wを固定するベース部材Bにクランプ本体2を取付け、更に、クランプ対象物Wを固定位置にセットした状態で、そのクランプ対象物Wに合うクランプアーム4をクランプロッド3に仮装着して確かめてから固定しているが、こうした作業を非常に簡単に行うことができる。
次に、前記メイン実施例のスイング式クランプ装置1を部分的に変更したスイング式クランプ装置について説明する。但し、メイン実施例と同一又は類似する構成については、同一符号又は類似符号を付して説明して、適宜、詳細な説明を省略し、メイン実施例と基本的に同じ作用・効果については説明を省略する。
図6、図7に示すように、変形例1のスイング式クランプ装置1Aでは、クランプアーム固定部材6Aが、螺合部材としてのボルト部材30Aと、ボルト部材30Aのアーム対向部30Aaに上下に貫通状に形成された複数(例えば、5つ)のネジ孔31Aと、複数のネジ孔31Aに夫々螺合されてクランプロッド3Aの先端側から回動操作可能にボルト部材30Aに組込まれた複数(例えば、5個)の固定ボルト32Aであってクランプアーム4Aに当接しボルト部材31Aに対してクランプアーム4Aを軸心方向基端側へ押圧しクランプアーム4Aのテーパ孔部4Aa1をクランプロッド3Aのテーパ係合部3Ab1に押圧して係合させる複数の固定ボルト32Aとを備えている。
クランプロッド3Aにおいては、その先端部分のアーム固定軸部3Abにテーパ係合部3Ab1が形成されるとともに、前記実施例のようなナット取付軸部3aは省略され、アーム固定軸部3Abの中心部分にネジ部としてのネジ孔3Ab2が形成され、クランプアーム4Aのテーパ孔部4Aa1がクランプロッド3Aのテーパ係合部3Ab1に係合した状態で、クランプロッド3Aの先端部がクランプアーム4Aから軸心方向先端側へ突出しないように構成されている。
クランプアーム4Aにおいて、テーパ孔部4Aa1はクランプアーム4Aの上端部よりも下方に形成され、このテーパ孔部4Aa1の上側部分に軸心側に張出す内鍔4Aa2が形成され、その内鍔4Aa2の軸心側に貫通孔4Aa3が形成されている。ボルト部材30Aは、アーム対向部30Aaの中心部から軸心方向基端側へ延びるネジ軸部30Acを有し、そのネジ軸部30Acがクランプアーム4Aの貫通孔4Aa3を貫通して、クランプロッド30Aのネジ孔3Ab2に螺合される。
従来のスイング式クランプ装置において、クランプロッドにクランプアームを固定する螺合部材としてボルト部材を適用したものでは、クランプロッドをレンチ等の工具を用いて回り止めすることも困難であったが、このスイング式クランプ装置1Aでは、そうする必要がなくて、クランプロッド3Aに対しするクランプアーム4Aの位置決めを確実に行いつつ、また、回動駆動機構25の特にカム溝27の損傷を確実に防止しつつ、クランプアーム固定作業を行うことができる。
ここで、以下説明する変形例(変形例2以降)については、メイン実施例のようなナット部材30を含むクランプアーム固定部材6を備えたスイング式クランプ装置1に採用したものであるが、変形例1のようなボルト部材30Aを含むクランプアーム固定部材6Aを備えたスイング式クランプ装置1Aに採用することが可能である。
図8に示す変形例2のスイング式クランプ装置1Bでは、クランプアーム4Bはクランプロッド3のテーパ係合部3b1よりも大径のストレート孔部4Ba1を有し、このストレート孔部4Ba1にテーパスリーブ40が装着され、このテーパスリーブ40は、クランプロッド3のテーパ係合部3b1に係合可能に軸心方向先端側程小径化するテーパ内周部40aを有する。
クランプアーム4Bにおいて、ストレート孔部4Ba1はクランプアーム4Bの上端部よりも下方に形成され、このストレート孔部4Ba1の上側部分に軸心側に張出す内鍔4Ba2が形成され、その内鍔4Ba2にテーパスリーブ40の上端部が当接している。テーパスリーブ40は、その周方向の少なくとも1箇所にスリットを形成したものである。
図9、図10に示すように、変形例3のスイング式クランプ装置1Cは、クランプアーム固定部材6Cが、ナット部材30Cのアーム対向部3Caに形成された複数(例えば、3つ)のボルト挿通孔50と、複数のボルト挿通孔50に夫々回動自在に挿通保持されてクランプロッド3の先端側から回動操作可能な複数(例えば、3個)の引抜きボルト51とを備え、また、複数の引抜きボルト51が夫々螺合するようにクランプアーム4Cに形成された複数(例えば、3つ)の引抜きネジ孔52を備えている。
複数のボルト挿通孔50は、ナット部材30C(アーム対向部30Ca)のうち、その外周とそのネジ孔30Cbの外周との中間位置部分に、周方向に複数のネジ孔31からずれた位置となるように適当間隔おきに形成されている。この場合、複数の(3つの)ネジ孔31を頂点とする多角形(三角形)が正多角形(正三角形)に近い形状となるように、複数のネジ孔31を配置することが好ましい。
複数の引抜きネジ孔52は、複数のボルト挿通孔50の位置関係と同じ位置関係となるようにクランプアーム4Cに形成されている。但し、クランプロッド3にクランプアーム4Cを固定する場合、複数の固定ボルト32をクランプアーム4Cのうち複数の引抜きネジ孔52が形成されていない部分に当接させることが好ましく、その位置にナット部材30Cを位置決めするために、クランプアーム4Cやナット部材30Cに固定位置用の指標を設けておいてもよい。
複数の引抜きボルト51は、夫々、上端部に頭部51aを有し、ボルト挿通孔50に挿通されて、頭部が51aクランプアーム4Cの上面に当接した状態で回動自在に挿通保持され、更に、ナット部材30Cのアーム対向部30Caをクランプアーム4Cから少し離隔させた状態で、引抜きネジ孔52に螺合可能な長さに形成されている。各引抜きボルト51には、その頭部51aに、引抜きボルト51を回動操作するために使用する工具T(図11参照)が係合可能な角穴51bが形成されている。
複数の引抜きボルト51については、スイング式クランプ装置1Cを作動させる際には装着されておらず、クランプアーム4Cをクランプロッド3から固定解除する際に装着されるが、そのために、複数のボルト挿通孔50と複数の引抜きネジ孔52の位置を平面視にて一致させる必要があり、そうなる位置にナット部材30Cを位置決めするために、クランプアーム4Cやナット部材30Cに固定解除位置用の指標を設けておいてもよい。
次に、クランプアーム4Cの着脱方法において、クランプアーム4Cをクランプロッド3から取外す場合について、図11〜図13に基づいて説明する。
メイン実施例で説明したように、クランプロッド3にクランプアーム4Cが装着された状態で、複数の固定ボルト32により、クランプアーム4Cのテーパ穴部4a1がクランプロッド3のテーパ係合部3b1に押圧され係合している。
そこで、先ず、図11に示すように、第4の工程において、工具Tを用いて、ナット部材30Cに組込まれた複数の固定ボルト32を夫々クランプロッド3の先端側から軸心方向先端側へ移動させるように回動操作し、その後、ナット部材30Cを軸心方向先端側へ移動させるように回動操作して、ナット部材30Cのアーム対向部30Ca及び複数の固定ボルト32をクランプアーム4Cから軸心方向先端側へ離隔した状態にする。その隙間は、例えば、1mm以上となるように、また、引抜きボルト51がボルト挿通孔50に挿通した状態で引抜きネジ孔52に螺合可能に設定される。
この第4の工程においては、ナット部材30Cのアーム対向部30Ca及び複数の固定ボルト32をクランプアーム4Cから軸心方向先端側へ離隔した状態にするのに、ナット部材30Cと複数の固定ボルト32の一方のみを回動操作して実現してもよい。例えば、複数の固定ボルト32が、クランプアーム4Cのテーパ穴部4a1をクランプロッド3のテーパ係合部3b1に押圧し係合させた状態で、ナット部材30Cのアーム対向部30Caが既にクランプアーム4Cから軸心方向先端側へ離隔した状態になっている場合には、複数の固定ボルト32のみを回動操作すればよい。
次に、図12に示すように、第5の工程において、複数のボルト挿通孔50と複数の引抜きネジ孔51の位置を平面視にて一致させてから、予め準備された複数の引抜きボルト51を夫々ナット部材30Cの複数のボルト挿通孔50に挿通させ且つクランプアーム4Cの複数の引抜きネジ孔52に螺合させ、引抜きボルト51の頭部51aをクランプアーム4Cの上面に当接させた状態にする。
次に、図13に示すように、工具Tを用いて、複数の引抜きボルト51を夫々クランプロッド3の先端側から引抜きネジ孔52にねじ込むように回動操作して、クランプアーム4Cをナット部材30Cの方へ引寄せてクランプロッド3から固定解除する。このとき、複数引抜きボルト51を順々に少しずつ回動操作することで、クランプアーム4Cをクランプロッド3からスムーズに固定解除することができる。その後、複数の引抜きボルト51を夫々複数の引抜きネジ孔52及び複数のボルト挿通孔50から引抜いてから、ナット部材30Cをクランプロッド3から取外した状態で、クランプアーム4Cをクランプロッド3から取外すことができる。
このスイング式クランプ装置1C、クランプアーム固定部材6C、スイング式クランプ装置1Cのクランプアーム着脱方法によれば、クランプアーム4Cをナット部材30Cの方へ引寄せてクランプロッド3から確実に簡単に固定解除でき、この場合も、クランプロッド3を別途工具等を用いて回り止めしなくても、クランプロッド3、クランプアーム4Cが不要に回動しないようにして、また、回動駆動機構25に負荷となる力が過大に作用しないようにして、また、ナット部材30Cをクランプロッドから取外すことなく、クランプアーム4Cの取外しに利用できるので、クランプアーム固定解除作業を簡単に行うことができ、クランプアーム固定解除用の構成を簡単化できてコスト的にも有利になる。
図14、図15に示すように、変形例4のスイング式クランプ装置1Dでは、ナット部材30D及びクランプアーム4Dに夫々対応する複数組(例えば、2組)ピン穴60,61が形成され、これら両ピン穴60,61に装着される複数(例えば、2個)ピン部材62が備えられている。ピン部材62としては、中空のロールピンが採用されているが、中実のピンを採用してもよい。
つまり、クランプロッド3とクランプアーム4Dが軸心回りに相対的に回動することを確実に防止でき、故に、特に位置決めピン等でクランプロッド3に対してクランプアーム4Dが位置決めされているものでは、ナット部材30Dが回動し軸心方向先端側へ移動して、複数の固定ボルト32がクランプアーム4Dを押圧する力が弱くなることを防止でき、位置決めピン等でクランプロッド3に対してクランプアーム4Dが位置決めされていないものでも、クランプロッド3に対するクランプアーム4Dの回動防止を期待できる。
図16、図17に示すように、変形例5のスイング式クランプ装置1Eでは、ナット部材30Eが、円板状のナット本体30Ea(螺合部材本体)と、このナット本体30Eaからクランプアーム4Eの先端側へ延びてクランプアーム4Eを補強するアーム補強部30Ebとを有する。アーム補強部30Ebは、例えば、先細り状に形成されているが、これに限定する必要はなく、また、このアーム補強部30Ebにもネジ孔31Eが形成されて、そのネジ孔31Eに固定ボルト32が螺合されている。尚、ネジ孔31Eとそのネジ孔31Eに螺合される固定ボルト32を複数設けてもよい。
つまり、ナット部材30Eのアーム補強部30Ebによりクランプアーム4Eを補強できるので、クランプアーム4Eの厚さを小さくして、クランプ動作に耐えうるものに構成でき、クランプアーム4Eを小型にできるのでコスト的にも有利になる。
図18に示す変形例6のスイング式クランプ装置1Fでは、複数の固定ボルト32のうちの少なくとも1つの固定ボルト32Fが、その先端部に部分球面部を含むピン部32Faを有し、そのピン部32Faが係合する係合穴4Faがクランプアーム4Fに形成されている。変形例4のように、ピン部材62を設けてピン孔60,61を形成しなくても、この固定ボルト32Fが、クランプロッド3とクランプアーム4Dが軸心回りに相対的に回動することを防止することができる。
図19に示す変形例7のスイング式クランプ装置1Gでは、クランプロッド3Gのアーム固定軸部3Gaがストレート状に形成され、中間軸部3Gbの上端のアーム固定軸部3Gaとの境界部分に、クランプアーム4Gが上側から係合する係合段部3Gcに形成されている。クランプアーム4Gには、ストレート状のアーム固定軸部3Gaが挿通するストレート孔4Gaが形成されている。
図20に示す変形例8のスイング式クランプ装置1Hでは、ナット部材30Hの大部分の上面が傘状の傾斜面30Haに形成されている。このナット部材30Hの傾斜面30Haにはワークの切粉等が溜まりにくくなり、ワークの切粉等がナット部材30Hとクランプロッド3との間に侵入することを抑制することができる。
図21に示す変形例9のスイング式クランプ装置1Hでは、ナット部材30Iのアーム対向部30Iaは、クランプアーム4に弾性力を付加可能な皿バネ形状に形成されている。複数の固定ボルト32がクランプアーム4に押圧力を付加した状態で、ナット部材30Iの皿バネ形状のアーム対向部30Iaが弾性変形した状態になるようにして、ナット部材30Iが多少回動し軸心方向先端側へ移動したとしても、クランプアーム4に略一定の押圧力を付加し続けることができる。
図22に示す変形例10のスイング式クランプ装置1Jでは、ナット部材30Jに、複数のネジ孔31Jが下方程軸心側へ移行する傾斜状に形成され、これらナット部材30Jに複数の固定ボルト32が夫々傾斜状に螺合されている。クランプアーム4Jの上面には、複数の固定ボルト32が当接するように、固定ボルト32(ネジ孔31J)の方向と直交する環状の当接面4Jaが形成されている。
図23に示す変形例11のスイング式クランプ装置1Kでは、クランプアーム4とナット部材30との間に座金65が装着されている。
図24に示す変形例12のスイング式クランプ装置1Lでは、ナット部材30Lの外周部全周にアヤ目ローレット30Laが形成されている。ナット部材30Lの外周を円形にすることで、ナット部材30Lに組込む固定ボルト32の数や配置の自由度が高くなる(この効果はメイン実施例等においても奏する効果である)が、それで以て、アヤ目ローレット30Laにより、ナット部材30Lを手回しで回動操作し易くすることができる。
図25に示す変形例13のスイング式クランプ装置1Mでは、ナット部材30Mが六角形状に形成され、図26に示す変形例14のスイング式クランプ装置1Nでは、ナット部材30Nが、その外周部に専用のスパナ等の工具が係合可能に形成された複数(例えば、4つ)の切欠部30Naを有する。
図27、図28に示すように、変形例15のスイング式クランプ装置1Pでは、クランプロッド3Pにおいて、テーパ係合部3b1の上側に、テーパ係合部3b1(の上端部)よりも小径のストレート状の取付軸部3Paが形成され、取付軸部3Paの上側に、取付軸部3Paよりも大径で且つクランプアーム4のテーパ孔部4a1(の上端部)よりも小径の係止部3Pbが形成され、テーパ孔部4a1がテーパ係合部3b1に係合した状態で、取付軸部3Pa及び係止部3Pbがクランプアーム4よりも上方へ突出する。
前記ナット部材30の代わりにアーム固定部材70が設けられ、このアーム固定部材70は、前記ナット部材30の一部を切欠いたような形状で、U字カット部70aを有し、そのU字カット部70aを取付軸部3Paに軸心直交方向から係合してクランプロッド3Pに着脱可能に装着され且つ装着状態で係止部3Pbに当接可能に形成されている。
アーム固定部材70がクランプロッド3Pに装着されて、係止部3Pbに係止された状態で、アーム固定部材70がクランプロッド3Pに対して軸心方向先端側へ移動不能になり、この状態で、前記と同様に、複数の固定ボルト32が夫々クランプアーム4の方へ移動するように回動操作されて、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3Pのテーパ係合部3b1に押圧して係合させることができる。
このスイング式クランプ装置1Pによれば、前記のような螺合部材が不要になるので、部品点数を低減でき、また、クランプロッド3Pへのクランプアーム4の着脱工程数が少なくなるので、その点で、クランプアーム4の着脱作業を簡単化できる。
図29、図30に示すように、変形例16のスイング式クランプ装置1Qでは、変形例15と同様にクランプロッド3Qにおいて、テーパ係合部3b1の上側に、テーパ係合部3b1よりも小径のストレート状の取付軸部3Qaが形成され、取付軸部3Qaの上側に、取付軸部3Qaよりも大径で且つクランプアーム4のテーパ孔部4a1よりも小径の係止部3Qbが形成され、テーパ孔部4a1がテーパ係合部3b1に係合した状態で、取付軸部3Qa及び係止部3Qbがクランプアーム4よりも上方へ突出する。
前記ナット部材30の代わりにアーム固定部材80が設けられ、このアーム固定部材80に、アーム固定部材80がクランプロッド3Qに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、アーム固定部材80に対してクランプアーム4を軸心方向基端側へ押圧して、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3Qのテーパ係合部3b1に押圧して係合させるアーム押圧機構に相当する楔機構85が組込まれている。
アーム固定部材80は、平面視にて凹形形状で、U字カット部80aを有し、そのU字カット部80aを取付軸部3Qaに軸心直交方向から係合してクランプロッド3Qに着脱可能に装着され且つ装着状態で係止部3Qbに当接可能に形成されている。アーム固定部材80がクランプロッド3Qに装着されて、係止軸部3Qbに係止された状態で、アーム固定部材80がクランプロッド3Qに対して軸心方向先端側へ移動不能になり、この状態で楔機構85が機能する。
楔機構85は、アーム固定部材80に側方外及び下方外へ臨むように形成されて傾斜上壁面を夫々有する複数(例えば、4つ)の楔取付凹部86と、複数の楔取付凹部86に夫々可動に装着されて楔取付凹部86の傾斜上壁面に摺動自在に当接する傾斜上面を夫々有する複数の(例えば、4つ)楔部材87と、複数の楔部材87を夫々アーム固定部材80に対して水平方向へ移動駆動するために、楔部材87に回動自在に水平方向に挿通されてアーム固定部材80に螺合された複数(例えば、4本)のボルト部材88とを有する。
楔部材87は、楔取付凹部86に装着された状態で、アーム固定部材80から水平方向へ張出されないように、また、アーム固定部材80よりも下方へ突出可能に構成され、楔部材87の下面はクランプアーム4の上面に面接触可能な平滑面に形成されている。ボルト部材88の頭部には、レンチ等の工具が係合可能な角穴(図示略)が形成され、そのボルト部材88の頭部は楔部材87の凹部に収容されアーム固定部材80から水平方向へ突出しないように構成されている。
アーム固定部材80がクランプロッド3Qに装着され係止部3Qbに係止されて、アーム固定部材80がクランプロッド3Qに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、複数のボルト部材88を夫々回動操作することで、複数の楔部材87が夫々クランプアーム4から下方へ突出する方向へ駆動され、その駆動力が楔部材87による増力機能により増力されてクランプアーム4に伝達され、クランプアーム4を下方へ押圧し、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3Pのテーパ係合部3b1に押圧して係合させることができる。
図31〜図33に示すように、変形例17のスイング式クランプ装置1Rでは、クランプロッド3Rが、変形例16のクランプロッド3Qと同様の構成の、取付軸部3Raと係止部3Rbとを有するものであり、前記ナット部材30の代わりに、変形例16のアーム固定部材80と同様の構成のU字カット部90aを有するアーム固定部材90であって、但し、前記複数の楔取付凹部86ではなくて次に説明する複数のカム取付凹部96が形成されたアーム固定部材90が設けられている。
そして、アーム固定部材90に、アーム固定部材90がクランプロッド3Rに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、アーム固定部材90に対してクランプアーム4を軸心方向基端側へ押圧して、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3Rのテーパ係合部3b1に押圧して係合させるアーム押圧機構に相当するカム機構95が組込まれている。
カム機構95は、アーム固定部材90に側方外及び下方外へ臨むように形成されてた複数(例えば、4つ)カム取付凹部96と、複数のカム取付凹部96に夫々可動に収容されたカム部97aを夫々有し、且つ、夫々回動操作可能にアーム固定部材90に水平方向に螺合された又は挿入された複数(例えば、4つ)のカム部材97とを有する。尚、カム部材97をアーム固定部材90に挿入する場合、カム部材97が抜け落ちないように、カム部材97をアーム固定部材90に回動可能に圧入することが好ましい。カム部97aはカム部材98の中心に対して偏心した偏心カムからなり、そのカム部97aには、レンチ等の工具が係合可能な角穴97bが形成されている。
アーム固定部材90がクランプロッド3Rに装着され係止部3Rbに係止されて、アーム固定部材90がクランプロッド3Rに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、複数のカム部材97を夫々回動操作することで、複数のカム部97aが夫々クランプアーム4から下方へ突出する方向へ駆動され、その駆動力がカム部97aによる増力機能により増力されてクランプアーム4に伝達され、クランプアーム4を下方へ押圧し、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3Pのテーパ係合部3b1に押圧して係合させることができる。
図34〜図36に示すように、変形例18のスイング式クランプ装置1Sでは、クランプロッド3Sが、変形例16,17のクランプロッド3Q,3Rと同様の構成の、取付軸部3Saと係止部3Sbとを有するものであり、前記ナット部材30の代わりに、アーム固定部材100が設けられ、このアーム固定部材100に、アーム固定部材100がクランプロッド3Sに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、アーム固定部材100に対してクランプアーム4を軸心方向基端側へ押圧して、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3Sのテーパ係合部3b1に押圧して係合させるアーム押圧機構に相当する楔機構105が組込まれている。
アーム固定部材100は、平面視にて凹形形状で、U字カット部100aを有し、そのU字カット部100aを取付軸部3Saに軸心直交方向から係合してクランプロッド3Sに着脱可能に装着され、クランプロッド3Sの先端とこのクランプロッド3Sに装着されたクランプアーム4の上面との間の距離と略同じ上下方向厚さを有する。
アーム固定部材100には、U字カット部100aに連なり且つU字カット部100aよりも大きなU字カット状の凹部100bが上側から形成され、アーム固定部材100がクランプロッド3Sに装着された状態で、その凹部100bの底部100cをクランプロッド3Sの係止部3Sbが係止可能になる。そして、この底部100cが係止部3Sbに係止された状態で、アーム固定部材100がクランプロッド3Sに対して軸心方向先端側へ移動不能になり、この状態で楔機構105が機能する。
楔機構105は、アーム固定部材100に側方外及び下方外へ臨むように形成されて傾斜上壁面106aを有する楔取付凹部106と、楔取付凹部106に可動に装着されて楔取付凹部106の傾斜上壁面106aに摺動自在に当接する傾斜上面107aを有する楔部材107と、楔部材107をアーム固定部材100に対して水平方向へ移動駆動するために、楔部材107に回動自在に水平方向に挿通されてアーム固定部材100に螺合されたボルト部材108とを有する。
楔取付凹部106は、アーム固定部材100の基端側部分(U字カット部100aの開放端と反対側の端部分)に、その傾斜上壁面106aがアーム固定部材100の幅方向に向いて傾斜するように形成され、楔取付凹部106及び楔部材107はアーム固定部材100の幅方向に比較的長く細く形成されている。
楔部材107は、楔取付凹部106に装着された状態で、アーム固定部材100から水平方向へ張出されないように、また、アーム固定部材100よりも下方へ突出可能に構成され、楔部材107の下面はクランプアーム4の上面に面接触可能な平滑面に形成されている。ボルト部材108の頭部108aには、レンチ等の工具が係合可能な角穴108bが形成され、その頭部108aはアーム固定部材100から水平方向へ突出しないように構成されている。
尚、楔機構105においては、アーム固定部材100に、傾斜上壁面106aを有する楔取付凹部106ではなくて、アーム固定部材100の幅方向に同じ上下深さで延びる楔取付凹部を形成し、また、前記傾斜上壁面106aに対応する傾斜下面を有する上部楔部材を設け、この上部楔部材と楔部材107とを、それらの傾斜下面と傾斜上面107aとが当接した状態でボルト部材108で連結するように、ボルト部材108を楔部材107(又は上部楔部材)に回動自在に水平方向に挿通して上部楔部材(又は楔部材107)に螺合し、この上部楔部材と楔部材107とを前記楔取付凹部に装着してもよい。
アーム固定部材100がクランプロッド3Sに装着され係止部3Sbに係止されて、アーム固定部材100がクランプロッド3Sに対して軸心方向先端側へ移動不能になった状態で、ボルト部材108を回動操作することで、楔部材107がクランプアーム4から下方へ突出する方向へ駆動され、その駆動力が楔部材107による増力機能により増力されて、アーム固定部材100から楔部材107を介してクランプアーム4に、更に、アーム固定部材100の二股先端部分の押圧部100eからクランプアーム4に伝達され、クランプアーム4を下方へ押圧し、クランプアーム4のテーパ孔部4a1をクランプロッド3Pのテーパ係合部3b1に押圧して係合させることができる。
図37に示すように、変形例19のスイング式クランプ装置1Tでは、クランプアーム4がクランプロッド3Tに装着され、そのクランプロッド3Tの先端部にナット部材30Tが装着され、クランプロッド3Tとナット部材30Tの両中心が一致した状態で、クランプロッド3Tに対してナット部材30Tが傾かないように係合する傾き防止構造110を備えている。
傾き防止構造110は、クランプロッド3Tのナット取付軸部3Taにおいて、ネジ部3Ta1よりも先端側部分に形成されたガイド軸部111と、ナット部材30Tのネジ孔30Tbよりも先端側部分に形成されたガイド孔112とを有し、ネジ部3Ta1にネジ孔30Tbが螺合された状態で、ガイド軸部111にガイド孔112が摺動自在に当接状に嵌合されている。尚、クランプロッド3Tのナット取付軸部3Ta、ナット部材30T、複数の固定ボルト32Tの上下長は実施例1のものよりも長めに形成されている。
このスイング式クランプ装置1Tによれば、特に、クランプロッド3Tにクランプアーム4を固定するために、複数の固定ボルト32Tを締め付ける際、複数の固定ボルト32Tを順々に締め付けることになるが、傾き防止構造110により、ナット部材30Tが傾くことを防止して、複数の固定ボルト32Tの押圧力をクランプアーム4に確実に伝達して、クランプロッド3Tにクランプアーム4を確実に固定することができる。
ここで、このスイング式クランプ装置1Tの傾き防止構造110の変形例として、図38に示すように、クランプロッド3Tのナット取付軸部3Taにおいて、ネジ部3Ta1よりも基端側部分に形成されたガイド軸部111Tと、ナット部材30Tのネジ孔30Tbよりも基端側部分に形成されたガイド孔112Tとを有するものに構成してもよい。
尚、ガイド軸部111,111Tとガイド孔112,112Tを、下方程大径化するテーパ状に形成してもよい。この場合、ナット部材30Tがクランプアーム4に邪魔されずに、ガイド軸部111,111Tにガイド孔112,112Tが密着状に係合するように構成されるものとする。尚、図7のように螺合部材としてボルト部材を採用した場合でも、クランプロッドとボルト部材の両中心が一致した状態で、クランプロッドに対してボルト部材が傾かないように係合する傾き防止構造を設けることが可能である。
図39、図40に示すように、変形例20のスイング式クランプ装置1Uは、変形例19と同様に、クランプアーム4がクランプロッド3Uに装着され、そのクランプロッド3Uの先端部にナット部材30Uが装着され、クランプロッド3Uとナット部材30Uの両中心が一致した状態で、クランプロッド3Uに対してナット部材30Uが傾かないように係合する傾き防止構造115を備えている。
ここで、ナット部材30U、複数の固定ボルト32Uの上下長は実施例1のものよりも長めに形成され、ナット部材30Uには下方へのみ開放するネジ孔30Ubが形成され、クランプロッド3Uのネジ部3Ua1にネジ孔30Ubが螺合された状態で、クランプロッド3Uの先端とネジ孔30Ubの上端との間には多少隙間が空くようになしている。
傾き防止構造115は、クランプロッド3Uのナット取付軸部3Uaに上方開放状に形成されたガイド穴116と、ナット部材30Uにその上壁部分から下方突出状に形成されたガイド軸部117とを有し、ネジ部3Ua1にネジ孔30Ubが螺合された状態で、ガイド軸部117がガイド孔116が摺動自在に当接状に嵌合されている。変形例20のスイング式クランプ装置1Uによれば、変形例19と同様の効果を奏する。
尚、ガイド穴116とガイド軸部117を、下方程小径化するテーパ状に形成してもよい。この場合、ナット部材30Uがクランプアーム4に邪魔されずに、ガイド穴116にガイド軸部117が密着状に係合するように構成されるものとする。
メイン実施例の各構成と変形例1〜20の各構成とを可能であれば組合わせて、スイング式クランプ装置やクランプアーム固定部材を構成してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の構成を付加して実施可能であり、また、本発明については、実施例に開示のスイング式クランプ装置に限らず、種々のスイング式クランプ装置に適用可能である。
また、例えば、駆動機構5の進退駆動機構20については、復動型の油圧シリンダに変えて単動型の油圧シリンダを採用し、その単動型油圧シリンダを、クランプアームをクランプ退避位置からクランプ位置へ切換える際のクランプロッド退入駆動用とし、クランプアームをクランプ位置からクランプ退避位置へ復帰させる復帰バネを備えてもよい。