JP2009153367A - 回転電機の固定子および回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】体格の粗大化が抑えられ、かつ回転電機に用いられたときに性能の低下を生じさせない固定子を提供すること。
【解決手段】固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子コアと、周方向で波状をなす複数の各相巻線が巻回されて形成されるコイルとを備える。各相巻線は、スロット収容部、ターン部、折り返し部46とを有し、第一の巻線部と第二の巻線部とが直列に接続される。折り返し部46の一方の端部に接続したターン部がスロットの深さ方向での位置が同じ位置にあるスロット収容部を接続し、その他のターン部はスロットの深さ方向での位置が異なる位置にあるスロット収容部を接続する。折り返し部46の一方の端部に接続したターン部が位置する周方向位置と周方向での位置が同じ位置にある各ターン部がスロット収容部の位置する径方向位置よりも回転子から離反する径方向位置を経由している。
【選択図】図10

Description

本発明は、回転電機の固定子および回転電機に関する。
近年、電動機若しくは発電機として使用される回転電機において、小型高出力が求められている。
例えば、車両に搭載される回転電機においては、回転電機を搭載するためのスペースが小さくなってきている一方で、出力の向上が求められている。
従来の回転電機は、たとえば、特許文献1〜2に開示されている。
特許文献1〜2には、連続した固定子巻線でコイルが形成された回転電機の固定子が開示されている。
しかしながら、これらの回転電機は、12本の素線により三相固定子巻線を形成しており、24箇所の素線端部が固定子の軸方向に突出する構造となっている。そして、これらの素線端部を結線する場合に、固定子の軸方向のスペースが必要となり、固定子の軸方向寸法が大きくなるという課題があった。
特開2002−176752号公報 特開2004−320886号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、体格の粗大化が抑えられ、かつ回転電機に用いられたときに性能の低下を生じさせない回転電機の固定子を提供することおよびこの固定子を用いた回転電機を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は回転電機の固定子について検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の回転電機の固定子は、周方向に交互に異なる複数の磁極を形成している回転子と内周側または外周側で向き合う、深さ方向が径方向に一致するスロットを周方向に複数有する固定子コアと、スロットに設置されている周方向で波状をなす複数の各相巻線が巻回されて形成されるコイルと、を備えた回転電機の固定子であって、各相巻線は、周方向の異なるスロットに設置されているスロット収容部と、スロットの外部でスロット収容部同士を接続しているターン部と、一方の端部と他方の端部との間に位置し巻装方向が反転するスロット収容部よりなる折り返し部と、を有し、かつ各相巻線が、所定のスロット数毎の、スロットの深さ方向で交互にスロット収容部が位置するように設置された第一の巻線部と第二の巻線部とが直列に接続されてなり、折り返し部の一方の端部に接続したターン部がスロットの深さ方向での位置が同じ位置にあるスロット収容部を接続し、その他のターン部はスロットの深さ方向での位置が異なる位置にあるスロット収容部を接続しており、折り返し部の一方の端部に接続したターン部が位置する周方向位置と周方向での位置が同じ位置にある各該ターン部が、スロット収容部の位置する径方向位置よりも該回転子から離反する径方向位置を経由していることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明の回転電機の固定子は、請求項1に記載の固定子において、各相巻線は、金属よりなる断面が略矩形形状の導体と、導体を被覆した絶縁性の樹脂皮膜と、から構成されることを特徴とする。
請求項3に記載の本発明の回転電機の固定子は、請求項1〜2のいずれかにおいて、ターン部は、周方向でクランク形状に曲成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明の回転電機の固定子は、請求項1〜3のいずれかにおいて、ターン部は、中央部が軸方向で固定子コアの端面からの突出高さが最も高い階段状に曲成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の本発明の回転電機の固定子は、請求項4において、ターン部の階段状の一段の高さは、各相巻線の太さであることを特徴とする。
請求項6に記載の本発明の回転電機の固定子は、請求項1〜5のいずれかにおいて、スロットは、各相巻線のスロット収容部が深さ方向に並んで設置されることを特徴とする。
請求項7に記載の本発明の回転電機の固定子は、請求項1〜6のいずれかにおいて、折り返し部は、径方向の最内周側に位置することを特徴とする。
請求項8に記載の本発明の回転電機の固定子は、請求項1〜7のいずれかにおいて、各相巻線の両端部は、径方向の最外周側に位置し、両端部は、ターン部の固定子コアの端面から突出した突出高さよりも低い位置にもうけられていることを特徴とする。
また、請求項9に記載の本発明の回転電機は、請求項1〜8のいずれかに記載の回転電機の固定子の内周側または外周側に、周方向に交互に異なる磁極を形成している回転子を備えたことを特徴とする。
請求項1に記載の本発明の回転電機の固定子によると、コイルを構成する巻線の折り返し部につながるターン部のうち一方のターン部と同じ周方向位置にあるターン部が、回転子から離反する位置を経由してスロット収容部を接続しており、ターン部同士が干渉しなくなっている。この結果、コイルが回転子と干渉しなくなり、固定子を用いた回転電機の性能の低下が抑えられる。
また、本発明の回転電機の固定子は、折り返し部を備えた巻線を波巻きしてコイルを形成しており、コイルの軸方向の端面から突出する巻線の端部の数が減少している。つまり、コイルの外部で各相巻線が接続される部位が巻線の一方の端部のみとなり、接続に要するコストを低減できる。
また、巻線の一方の端部が固定子コアの回転子と背向した背向面側にもうけられており、巻線がコイルの軸方向の端部(コイルエンド)をまたぐことなく外部回路と接続できる。
請求項2に記載の本発明の回転電機の固定子によると、各相巻線を略矩形状の導体と樹脂皮膜とから構成したことで、安価にコイルを形成できる。
請求項3に記載の本発明の回転電機の固定子によると、ターン部がクランク状に成形されたことで、隣接するスロットに別の固定子巻線が設置されても、ターン部の径方向での位置がずれてターン部同士の干渉を抑えることができる。この結果、コイルの体格の粗大化が抑えられる。
請求項4に記載の本発明の回転電機の固定子によると、ターン部が階段状に成形されたことで、隣接するスロットに別の固定子巻線が設置されても、ターン部の軸方向での位置がずれてターン部同士の干渉を抑えることができる。この結果、コイルの体格の粗大化が抑えられる。
請求項5に記載の本発明の回転電機の固定子によると、一段の高さが各相巻線の太さの階段状にターン部が成形されたことで、隣接するスロットに別の固定子巻線が設置されても、ターン部同士が軸方向で重なり合うこととなり、ターン部同士の干渉を抑えることができる。この結果、コイルの体格の粗大化が抑えられる。
請求項6に記載の本発明の回転電機の固定子によると、スロット内に各相巻線のスロット収容部が深さ方向に一列に並んでおり、各相巻線において生じる磁力特性が高くなる。
請求項7に記載の本発明の回転電機の固定子によると、折り返し部が最内周側に位置することで、各相巻線を構成する二本の巻線の端部がコイルの内周側に位置しなくなり、この端部がコイルの軸方向の端部をまたがなくなり、コイルの体格の粗大化が抑えられる。
請求項8に記載の本発明の回転電機の固定子によると、各相巻線の両端部がコイルの軸方向の端部を超えなくなり、コイルの体格の粗大化が抑えられる。
請求項9に記載の本発明の回転電機によると、コイルの体格の粗大化が抑えられた固定子を用いており、回転電機の体格の粗大化が抑えられたものとなっている。
以下に本発明の回転電機の固定子および回転電機を、実施の形態を用いてより具体的に説明する。
(実施形態例)
本実施形態の回転電機の構成を図1に示した。本実施形態の回転電機1は、略有底筒状の一対のハウジング部材100,101とが開口部同士で接合されてなるハウジング10と、ハウジング10に軸受け110,111を介して回転自在に支承される回転軸20に固定された回転子2と、ハウジング10の内部で回転子2を包囲する位置でハウジング10に固定された固定子3と、を備えている。
回転子2は、永久磁石により周方向に交互に異なる磁極を、固定子3の内周側と向き合う外周側に複数形成している。回転子2の磁極の数は、回転電機により異なるため限定されるものではない。本実施形態においては、8極(N極:4、S極:4)の回転子が用いられている。
固定子3は、図2に示したように、固定子コア30と、複数の各相巻線から形成される三相のコイル4と、固定子コア30とコイル4との間に配された絶縁紙5と、を備えた構成を有している。
固定子コア30は、図3に示したように、内周に複数のスロット31が形成された円環状を有している。複数のスロット31は、その深さ方向が径方向と一致するように形成されている。固定子コア30に形成されたスロット31の数は、回転子2の磁極数に対し、コイル4の一相あたり2個の割合で形成されている。すなわち、8×3×2=48個のスロット31が形成されている。
固定子コア30は、図4に示した分割コア32を24個、周方向に配設して形成されている。分割コア32は、ひとつのスロット31を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア32との間でひとつのスロットを区画する形状(径方向内方に伸びるティース部320と、ティース部320が形成されるバックコア部321)に形成されている。
固定子コア30(を構成する分割コア32)は、0.3mmの厚さの電磁鋼板410枚を積層させて形成されている。なお、積層された電磁鋼板の間には、絶縁薄膜が配置されている。なお、固定子コア30は、この電磁鋼板の積層体からだけでなく、従来公知の金属薄板および絶縁薄膜を用いて形成してもよい。
コイル4は、複数の巻線40を所定の巻回方法で巻回してなる。コイル4を構成する巻線40は、図5(A)に示したように、銅製の導体41と、導体41の外周を覆い導体41を絶縁する内層420及び外層421からなる絶縁皮膜42とから形成されている。内層420および外層421を合わせた絶縁皮膜42の厚みは、100μm〜200μmの間に設定されている。このように、内層420および外層421からなる絶縁皮膜42の厚みが厚いので、巻線40同士を絶縁するために巻線40同士の間に絶縁紙等を挟み込んで絶縁する必要がなくなっているが、線材同士を絶縁するために絶縁紙5を配してもよい。
コイル4の巻線40は、図5(B)に示したように、内層420および外層421からなる絶縁皮膜42の外周をエポキシ樹脂等からなる融着材48で被覆してもよい。これにより、回転電機に発生する熱により融着材48は絶縁皮膜42よりも早く溶融するので、同じスロット31に設置されている複数の巻線40同士が融着材48同士により熱接着する。その結果、同じスロット31に設置されている複数の巻線40が一体化し巻線40同士が鋼体化することで、スロット31の巻線40の機械的強度が向上する。
コイル4は、図6に示したように、三相巻線(U1,U2,V1,V2,W1,W2)により形成されている。より具体的には、U1相を形成する巻線440aとU2相を形成する巻線440bが直列接続され、U2相を形成する巻線440cとU1相を形成する巻線440dが直列接続され、巻線440a、440b、と巻線440c、440dとが並列接続されてU相巻線が形成されている。V相およびW相も同様に巻線が形成されている。
コイル4は、図7に示したように、複数の巻線40を所定の形状に巻回してなる。コイル4を構成する巻線40は、固定子コア30の内周側で周方向にそって波巻きされている。そして、固定子コア30に形成されたスロット31に収容される直線状のスロット収容部43と、隣り合ったスロット収容部43同士を接続するターン部44と、を備えている。スロット収容部43は、所定のスロット数(本実施形態では3相×2個=6個)毎のスロット31に収容されている。ターン部44は、固定子コア30の軸方向の端面から突出して形成されている。
そして、コイル4は、複数の巻線40を一方の端部が固定子コア30の軸方向の端面から突出した状態で、周方向に沿って波状に巻装して形成されている。コイル4のU相は、周方向に沿って波状に巻装されたU1相を形成する巻線440aとU2相を形成する巻線440bを他方の端部同士で接続し、U2相を形成する巻線440cとU1相を形成する440dを他方の端部同士で接続して形成されている。巻線440aと巻線440dは、同一スロット31にスロット収容部43が収容され、巻線440bと巻線440cは他の同一スロット31にスロット収容部43が収容される。このとき、巻線440aのスロット収容部43と、巻線440dのスロット収容部43は、スロット31の深さ方向で交互にスロット収容部43が位置するように設置されている。巻線440bのスロット収容部43と巻線440cのスロット収容部43は、スロット深さ方向で交互にスロット収容部43が位置するように設置されている。そして、巻線440aと巻線440bの接合部45は、巻線40の巻装される方向が反転するスロット収容部43よりなる折り返し部46に形成されている。
コイル4においては、巻線440aと巻線440bを接続して形成された接続体と、巻線440cと巻線440dを接続して形成された接続体と、の2個を並列につないで1相をなしている。この2本の巻線40を接続して形成された接続体を6組用いて3相(U,V,W)×2個(倍スロット)のコイル4を形成している。つまり、コイル4は、2本の巻線40a,40b×3相(U,V,W)×2個(倍スロット)=12本の巻線40を用いて形成されている。
本実施形態においては、2本の巻線40が接続された接続体は、周方向で4周巻回してコイル4を形成している。すなわち、コイル4は、2本の巻線40を接続して形成された接続体が径方向で4層重なった構成となっている。つまり、ひとつのスロット31内に4層×2本=8本のスロット収容部43が配置されている。2本の巻線40を接続して形成された接続体を巻回したコイル4は、接続体の端部が最外周層側に位置し、二本の巻線40の接続部が最内周層側に位置するように、接続体を巻回している。
コイル4において、ターン部44は固定子コア30の軸方向両側にそれぞれ形成されている。ターン部44の略中央部は、ねじりを伴わないクランク状をなすように成形されている。ターン部44のクランク形状は、固定子コア30の周方向でクランク形状をなすように形成されている。このターン部44のクランク形状によるずれ量は、巻線40の略幅分である。これにより、径方向に隣接している巻線40のターン部44同士が干渉しなくなり、ターン部44を密に巻回できる。その結果、コイル4の固定子コア30の端面から突出したコイルエンドの径方向の幅が小さくなるので、コイル4を形成した巻線40が径方向外側に張り出すことが防止できる。
また、スロット31から固定子コア30の外に突出するターン部44は、固定子コア30の軸方向の端面から階段状に形成されている。ターン部44が階段状に形成されたことで、巻線40の階段状のターン部44が周方向に隣り合うスロットから突出する巻線40と干渉することを防止できる。これにより、周方向に隣接するスロットから突出する巻線40同士が互いに干渉することを避けるために、コイル4の固定子コア30の端面から突出したコイルエンドの高さが高くなったり、あるいはコイルエンドの径方向の幅が大きくなることを防止できる。その結果、コイルエンドの高さが低くなる。さらに、コイルエンドの径方向の幅が小さくなるので、コイル4が径方向外側に張り出すことを防止できる。
階段状のターン部44は、4段の階段状に形成されている。そして、4段の階段状のターン部44の一段の高さは、巻線40の略幅(高さ)分である。これにより、軸方向でターン部44が重なり合ったときに、すき間を生じることなくターン部44同士を重ね合わせることができ、ターン部44を密に巻回しできる。
階段状のターン部44は、その最も高い部分(階段状の頂上部)が、クランク状に形成されている。したがって、巻線40のターン部44は、クランク部を挟んで両側を階段状に形成している。
コイル4は、ターン部44が固定子コア30から突出したコイルエンドの高さの範囲内で、コイル4を構成する各巻線40の接続体の端部が径方向外方に向かって突出している。そして、各巻線40の接続体の端部であって、中性点側の端部は、他方の端部よりも高い位置で径方向外方に突出している。
次に、本実施形態におけるコイル4を構成する巻線40の巻回状態を図8〜13を用いてより具体的に説明する。
本実施形態のコイル4は、それぞれ2組の三相巻線(U1,U2,V1,V2,W1,W2)により形成されている。図8に、三相巻線のそれぞれの結線の状態を示した。図8におけるスロット番号は、U1相をなす巻線40の中性点側の端部に最も近接したスロット収容部43が収容されるスロット31を1番とし、以後、巻線40が巻回される周方向にそって2番、3番‥と便宜的につけた番号である。また、図9に、図8のU相(U1,U2)をなす巻線40のみの結線の状態を示した。なお、図8〜9において、上下方向に直線状に形成された部分がスロット収容部43に相当し、上方側および下方側の傾斜した部分がターン部44に相当する。
本実施形態のコイル4の展開図を図10に示した。図10に示したように、コイル4は、巻線440aと440cの端部を接続して中性点側とするとともに、巻線440bと巻線440dの端部を接続して相端子側としている。コイル4は、2組の巻線40a,40bを端部同士で接続された接続を各相(U1,U2,V1,V2,W1,W2)毎に、6組用いて形成されている。2本の巻線40a,40bのそれぞれは、中性点側の端部および相端子側の端部とは反対の端部がつながった1本の銅線である。また2本の巻線40a,40bのそれぞれは、中性点側の端部および相端子側の端部とは反対の端部同士を溶接して接合してもよい。
各相の結線方法は同様であり、コイル4の巻線40の巻回の仕方をU相を用いて結線方法を説明する。U相における巻線40の結線の状態を図11に示した。図11−1は440a、440bの結線状態、図11−2は440c、440dの結線状態を示す。また、各巻線440a、440bのスロット31内の深さ方向での位置とターン部44の位置との関係を図12−1に示し、巻線440c、440dのスロット31内の深さ方向での位置とターン部44の位置との関係を12−2に示した。
巻線440a、440bの結線状態を図11−1及び図12−1を用いて説明する。U相をなす巻線40が収容されるスロット31は、回転子2が8極であり、固定子コア30に16個(440a−1、440a−2、・・・、440a−8、440b−1、440b−2、・・・、440b−8)が形成されている。スロット31には8本のスロット収容部43が深さ方向に重なって収容される。スロット31の深さ方向でスロット収容部43が収容される位置を、開口部から深さ方向に進むにつれて、8番、7番、6、…1番と呼ぶ。
巻線440a、440bは直列接続されており、巻線440a−1の端部が中性点に接続され、巻線440b−1の端部が巻線440dと接続されてU相端子に接続される。
巻線440aは、中性点に最も近いスロット収容部43となる、スロット440a−1の1番に収容される。巻線440bは、巻線440bの端部に最も近いスロット収容部43となる、スロット440b−1の1番に収容される。
巻線440aのスロット440a−1に収容されたスロット収容部43にターン部44を介して接続されたスロット収容部43(次のスロット収容部43)は、固定子コア30の軸方向で中性点に接続される端部が突出した側(以下、上方側)に背向した端部側(以下、下方側)のターン部44I(下)を介して接続され、スロット440a−2の2番に収容される。このように、ターン部44I(下)は、スロット440a−1の1番とスロット440a−2の2番とを固定子コア30の下方側で接続する。スロット440a−2に収容された巻線440aの次のスロット収容部43は、ターン部44II(上)を介して接続され、スロット440a−3の1番に収容される。このようにターン部44II(上)は、スロット440a−2の2番とスロット440a−3の1番とを固定子コア30の上方側で接続する。スロット440a−3に収容された巻線440aの次のスロット収容部43はターン部44III(下)を介して接続され、スロット440a−4の2番に収容される。
このように、ターン部44III(下)は、スロット440a−3の1番とスロット440a−4の2番とを固定子コア30の下方側で接続する。
巻線440bのスロット440b−1に収容されたスロット収容部43にターン部44を介して接続されたスロット収容部43(次のスロット収容部43)は、固定子コア30の軸方向でU相に接続される端部が突出した側(以下、上方側)に背向した端部側(以下、下方側)のターン部44II(下)を介して接続され、スロット440b−2の2番に収容される。このように、ターン部44II(下)は、スロット440b−1の1番とスロット440b−2の2番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440b−2に収容された巻線440bの次のスロット収容部43はターン部44III(上)を介して接続され、スロット440b−3の1番に収容される。このように、ターン部44III(上)は、スロット440b−2の2番とスロット440b−3の1番とを固定子コア30の上方側で接続する。
スロット440b−3に収容された巻線440bの次のスロット収容部43は、ターン部44IV(下)を介して接続され、スロット440b−4の2番に収容される。このように、ターン部44IV(下)は、スロット440b−3の1番とスロット440b−4の2番とを固定子コア30の下方側で接続する。
このように、2本の巻線440a、440bは、固定子コア30の上方側に位置するターン部44II(上)〜44VII(上)が隣接するスロット収容部43の2番と1番とを、下方側に位置するターン部44I(下)〜44VIII(下)が隣接するスロット収容部43の1番と2番とを、接続する。この接続方法で周方向に1周して、スロット440a−1からスロット440a−8、スロット440b−1からスロット440b−8まで2本の巻線440a、440bのスロット収容部43が設置される。スロット440a−8、440b−8では、2番目に巻線440aのスロット収容部43が収容される。
そして、スロット440a−8、440b−8の2番目にスロット収容部43が収容された巻線440a、440bの次のスロット収容部43は、スロット440a−1、440b−1の3番に収容される。このように、ターン部44VIII(上)、44I(上)は、スロット440a−8、440b−8の2番とスロット440a−1、440b−1の3番とを固定子コア30の上方側で接続する。つまり、周方向で1周したら、径内方向に、接合体が巻回して1層分内径側にずれている。
スロット440a−1の3番に接続された巻線440aはターン部44I(下)を介して接続され、スロット440a−2の4番に収容される。このように、ターン部44I(下)は、スロット440a−1の3番とスロット440a−2の4番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440a−2に収容された巻線440aの次のスロット収容部43は、ターン部44II(上)を介して接続され、スロット440a−3の3番に収容される。このように、ターン部44II(上)は、スロット440a−2の4番とスロット440a−3の3番とを固定子コア30の上方側で接続する。
スロット440a−3に収容された巻線440aの次のスロット収容部43は、ターン部44III(下)を介して接続され、スロット440a−4の4番に収容される。このように、ターン部44III(下)は、スロット440a−3の3番とスロット440a−4の4番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440b−1の3番に接続された巻線440bはターン部44II(下)を介して接続され、スロット440b−2の4番に収容される。このように、ターン部44II(下)は、スロット440b−1の3番とスロット440b−2の4番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440b−2に収容された巻線440bの次のスロット収容部43は、ターン部44III(上)を介して接続され、スロット440b−3の3番に収容される。このように、ターン部44III(上)は、スロット440b−2の4番とスロット440b−3の3番とを固定子コア30の上方側で接続する。
スロット440b−3に収容された巻線440bの次のスロット収容部43は、ターン部44IV(下)を介して接続され、スロット440b−4の4番に収容される。このように、ターン部44IV(下)は、スロット440b−3の3番とスロット440b−4の2番とを固定子コア30の下方側で接続する。
このように、2本の巻線440a、440bは、固定子コア30の上方側に位置するターン部44II(上)〜44VII(上)が隣接するスロット収容部43の3番と4番とを、下方側に位置するターン部44I(下)〜44VIII(下)が隣接するスロット収容部43の3番と4番とを、接続する。この接続方法で周方向に1周して、スロット440a−1からスロット440a−8、スロット440b−1からスロット440b−8まで2本の巻線440a、440bのスロット収容部43が設置される。スロット440a−8、440b−8では、4番目に巻線440aのスロット収容部43が収容される。
そして、スロット440a−8、440b−8の4番目にスロット収容部43が収容された巻線440a、440bの次のスロット収容部43は、スロット440a−1、440b−1の5番に収容される。このように、ターン部44VIII(上)、44I(上)は、スロット440a−8、440b−8の4番とスロット440a−1、440b−1の5番とを固定子コア30の上方側で接続する。つまり、周方向で1周したら、径内方向に、接合体が巻回して1層分内径側にずれている。
スロット440a−1の5番に接続された巻線440aはターン部44I(下)を介して接続され、スロット440a−2の6番に収容される。このように、ターン部44I(下)は、スロット440a−1の5番とスロット440a−2の6番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440a−2に収容された巻線440aの次のスロット収容部43は、ターン部44II(上)を介して接続され、スロット440a−3の5番に収容される。このように、ターン部44II(上)は、スロット440a−2の6番とスロット440a−3の5番とを固定子コア30の上方側で接続する。
スロット440a−3に収容された巻線440aの次のスロット収容部43は、ターン部44III(下)を介して接続され、スロット440a−4の6番に収容される。このように、ターン部44III(下)は、スロット440a−3の5番とスロット440a−4の6番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440b−1の5番に接続された巻線440bはターン部44II(下)を介して接続され、スロット440b−2の6番に収容される。このように、ターン部44II(下)は、スロット440b−1の5番とスロット440b−2の6番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440b−2に収容された巻線440bの次のスロット収容部43は、ターン部44III(上)を介して接続され、スロット440b−3の5番に収容される。このように、ターン部44III(上)は、スロット440b−2の6番とスロット440b−3の5番とを固定子コア30の上方側で接続する。
スロット440b−3に収容された巻線440bの次のスロット収容部43は、ターン部44IV(下)を介して接続され、スロット440b−4の6番に収容される。このように、ターン部44IV(下)は、スロット440b−3の5番とスロット440b−4の6番とを固定子コア30の下方側で接続する。
このように、2本の巻線440a、440bは、固定子コア30の上方側に位置するターン部44II(上)〜44VII(上)が隣接するスロット収容部43の5番と6番とを、下方側に位置するターン部44I(下)〜44VIII(下)が隣接するスロット収容部43の5番と6番とを接続する。この接続方法で周方向に1周して、スロット440a−1からスロット440a−8、スロット440b−1からスロット440b−8まで2本の巻線440a、440bのスロット収容部43が設置される。スロット440a−8、440b−8では、6番目に巻線440aのスロット収容部43が収容される。
そして、スロット440a−8、440b−8の6番目にスロット収容部43が収容された巻線440a、440bの次のスロット収容部43は、スロット440a−1、440b−1の7番に収容される。このように、ターン部44VIII(上)、44I(上)は、スロット440a−8、440b−8の6番とスロット440a−1、440b−1の7番とを固定子コア30の上方側で接続する。つまり、周方向で1周したら、径内方向に、接合体が巻回して1層分内径側にずれている。
スロット440a−1の7番に接続された巻線440aはターン部44I(下)を介して接続され、スロット440a−2の8番に収容される。このように、ターン部44I(下)は、スロット440a−1の7番とスロット440a−2の8番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440a−2に収容された巻線440aの次のスロット収容部43は、ターン部44II(上)を介して接続され、スロット440a−3の7番に収容される。このように、ターン部44II(上)は、スロット440a−2の8番とスロット440a−3の7番とを固定子コア30の上方側で接続する。
スロット440a−3に収容された巻440aの次のスロット収容部43は、ターン部44III(下)を介して接続され、スロット440a−4の8番に収容される。このように、ターン部44III(下)は、スロット440a−3の7番とスロット440a−4の8番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440b−1の7番に接続された巻線440bはターン部44II(下)を介して接続され、スロット440b−2の8番に収容される。このように、ターン部44II(下)は、スロット440b−1の7番とスロット440b−2の8番とを固定子コア30の下方側で接続する。
スロット440b−2に収容された巻線440bの次のスロット収容部43は、ターン部44III(上)を介して接続され、スロット440b−3の7番に収容される。このように、ターン部44III(上)は、スロット440b−2の8番とスロット440b−3の7番とを固定子コア30の上方側で接続する。
スロット440b−3に収容された巻線440bの次のスロット収容部43は、ターン部44IV(下)を介して接続され、スロット440b−4の8番に収容される。このように、ターン部44IV(下)は、スロット440b−3の7番とスロット440b−4の8番とを固定子コア30の下方側で接続する。
このように、2本の巻線440a、440bは、固定子コア30の上方側に位置するターン部44II(上)〜44VII(上)が隣接するスロット収容部43の7番と8番とを、下方側に位置するターン部44I(下)〜44VIII(下)が隣接するスロット収容部43の7番と8番とを接続する。この接続方法で周方向に1周して、スロット440a−1からスロット440a−8、スロット440b−1からスロット440b−8まで2本の巻線440a、440bのスロット収容部43が設置される。スロット440a−8、440b−8では、8番目に巻線440aのスロット収容部43が収容される。
そして、このスロット440a−8、440b−8の8番目に収容されたスロット収容部43が接続される。
このスロット440a−8、440b−8の8番目に収容されたスロット収容部43が折り返し部46を形成している。このように、二本の巻線40a,40bの接続体が固定子コア30に巻装される。
次に、巻線440c、440dの結線状態は、図11−2及び図12−2に示したとおりであり、巻線440a、440bと同様に結線しているため詳細な説明は省略する。
コイル4は、このU1相と同様にして、6組の接続体がU1,U2,V1,V2,W1,W2の各相をなすように巻回されている。
なお、図13〜14に示したように、ターン部44VIII(上)−4層目は、スロット440a−8とスロット440b−8とを固定子コア30の上方側で接続していることから、このターン部44VIII(上)−4層目と周方向での位置が同じ位置にある各層のターン部44VIII(上)は、径方向外方に向かってコイルエンドがずれた形状に変形されている。これにより、スロット440a−8とスロット440b−8とを接続するターン部VIII(上)−4層目が、他のターン部VIII(上)と干渉を生じなくなり、コイルエンドが粗大化しなくなっている。また、図14に示したように、コイル4の回転子2と対向する内周面から径方向内方に巻線40が突出しなくなった。
(比較の形態例)
上記の実施の形態においては同一相に配された接続体を構成する二本の巻線が40a,40bが接続されていたが、本比較の形態は、この二本が接続されていない状態で形成されたコイル4を備えている。本比較の形態の巻線の巻回方法を図15〜17に示した。
図15に展開図で示したように、コイル4の内周面側と外周面側の両面側に、コイル4を構成する巻線40の両端部(巻き始め端部および巻き終わり端部)のそれぞれが位置している。このようなコイル4では、最内周面側の巻線40の端部(巻き終わり端部)を接続するためには、コイルエンドの外方に巻線40の端部(巻き終わり端部)を取り回ししなければならない。
本形態のように、巻線40の数が多くなると、巻き終わり端部の取り回しが煩雑となり、コイル4の製造に多大なコストが要求されるようになる。この巻き終わり端部の取り回しの一例を図16に示した。図16は、図8と同様な手法で巻線の結線を示した図である。
さらに、図17に示したように、巻き終わり端部がコイル4の最内層側(スロットの8番目)から突出することで、巻き終わり端部を結線するためにはコイルエンドを乗り越えて結線する必要がある。この端部の取り回しの結果、コイルエンドの体格が粗大化し、コイル全体が粗大化している。
これに対し、本実施形態の回転電機1の固定子3では、コイル4を構成する二本の巻線40a、40bが折り返し部46で接続されたことで、二本の巻線40a、40bの接続体の端部がコイルエンドから突出しない構成となっている。すなわち、本実施形態の回転電機1の固定子3は、コイル4の体格の粗大化が抑えられている。
(他の比較の形態例)
本形態は、上記の実施の形態において、ターン部44VIII(上)−4層目と周方向での位置が同じ位置にある各層のターン部44VIII(上)が、径方向外方に向かってコイルエンドがずれた形状に変形していない例である。
図18に、本形態の固定子3の上面図を示した。本形態は、ターン部44VIII(上)がそれぞれの径方向位置よりも径方向外方を経由していないため、最内周側に位置するターン部44VIII(上)−4層目がコイル4の内周面から突出している。このような構成の固定子では、回転子2の組み付けが困難となる。
これに対し、上記の実施の形態では、コイル4の回転子2と対向する内周面から径方向内方に巻線40が突出しておらず、コイル4が回転子2に干渉しない構成となっている。
このように、本実施形態の回転電機の固定子1は、小型化を達成できるものとなっており、性能の優れた回転電機を提供できる効果を発揮する。
実施形態の回転電機の構成を示した図である。 実施形態の回転電機の固定子の斜視図である。 実施形態の回転電機の固定子のコアを示した図である。 実施形態の回転電機の固定子のコアを構成するコア分割体を示した図である。 実施形態の回転電機のコイルを構成する各相巻線の構成を示す断面図である。 実施形態の回転電機のコイルの結線を示した図である。 実施形態の回転電機のコイルの斜視図である。 実施形態の回転電機のコイルの結線を示した図である。 実施形態の回転電機のコイルのU相の結線を示した図である。 実施形態の回転電機のコイルを形成する固定子巻線の成形体を示した図である。 実施形態の回転電機のコイルにおけるU1相の結線状態を示した図である。 実施形態の回転電機のコイルにおけるU1相の結線状態を示した図である。 実施形態の回転電機のU1相の巻線のスロットへの収容位置を示した図である。 実施形態の回転電機のU1相の巻線のスロットへの収容位置を示した図である。 実施形態の回転電機の固定子の径方向外方を通るターン部を示した図である。 実施形態の回転電機のコイルの上面図である。 比較の形態の回転電機のコイルを形成する固定子巻線の成形体を示した図である。 比較の形態の回転電機のコイルの各相巻線の結線を示した図である。 比較の形態の回転電機の固定子の側面図である。 他の比較の形態の回転電機の固定子の上面図である。
符号の説明
1:回転電機 10:ハウジング
110,111:軸受け
2:回転子 20:回転軸
3:固定子 30:固定子コア
31:スロット 32:分割コア
4:コイル 40:巻線
41:導体 42:絶縁皮膜
43:スロット収容部 44:ターン部
440a−1〜440a−8:スロット
440b−1〜440b−8:スロット
440c−1〜440c−8:スロット
440d−1〜440d−8:スロット
45:接続部 46:折り返し部
48:融着材
5:絶縁紙

Claims (9)

  1. 周方向に複数のスロットを有する固定子コアと、
    該スロットに設置されている周方向で波状をなす複数の各相巻線が巻回されて形成されるコイルと、
    を備えた回転電機の固定子であって、
    該各相巻線は、周方向の異なる該スロットに設置されているスロット収容部と、該スロットの外部で該スロット収容部同士を接続しているターン部と、一方の端部と他方の端部との間に位置し巻装方向が反転する該スロット収容部よりなる折り返し部と、を有し、
    かつ該各相巻線が、所定のスロット数毎の、該スロットの深さ方向で交互に該スロット収容部が位置するように設置された第一の巻線部と第二の巻線部とが直列に接続されてなり、
    該折り返し部の一方の端部に接続した該ターン部が該スロットの深さ方向での位置が同じ位置にある該スロット収容部を接続し、その他の該ターン部は該スロットの深さ方向での位置が異なる位置にある該スロット収容部を接続しており、
    該折り返し部の一方の端部に接続した該ターン部が位置する周方向位置と周方向での位置が同じ位置にある各該ターン部が、該スロット収容部の位置する径方向位置よりも該回転子から離反する径方向位置を経由していることを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記各相巻線は、金属よりなる断面が矩形形状の導体と、該導体を被覆した絶縁性の樹脂皮膜と、から構成される請求項1記載の回転電機の固定子。
  3. 前記ターン部は、周方向でクランク形状に曲成されている請求項1〜2のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  4. 前記ターン部は、中央部が軸方向で前記固定子コアの端面からの突出高さが最も高い階段状に曲成されている請求項1〜3のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  5. 前記ターン部の前記階段状の一段の高さは、前記各相巻線の太さである請求項4記載の回転電機の固定子。
  6. 前記スロットは、前記各相巻線の前記スロット収容部が深さ方向に並んで設置される請求項1〜5のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  7. 前記折り返し部は、径方向の最内周側に位置する請求項1〜6のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  8. 前記各相巻線の両端部は、径方向の最外周側に位置し、
    該両端部は、前記ターン部の前記固定子コアの端面から突出した突出高さよりも低い位置にもうけられている請求項1〜7のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の回転電機の固定子の内周側または外周側に、周方向に交互に異なる磁極を形成している回転子を備えたことを特徴とする回転電機。
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