JP2009150932A - 吸音体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造により薄型化や軽量化を図ることができ、施工性、吸音性能を向上することができるようにすること。
【解決手段】吸音体10は、多孔質材11と、この多孔質材11の外周面側に形成された表層12とからなり、枠体や箱体を省略した構成となっている。表層12は、多孔質材11の外周面を加熱したり、多孔質材11の外周面側を溶媒により溶解したりする工程を行って多孔質材11部分的に溶融することにより形成される。
【選択図】図1
【解決手段】吸音体10は、多孔質材11と、この多孔質材11の外周面側に形成された表層12とからなり、枠体や箱体を省略した構成となっている。表層12は、多孔質材11の外周面を加熱したり、多孔質材11の外周面側を溶媒により溶解したりする工程を行って多孔質材11部分的に溶融することにより形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、吸音体及びその製造方法に係り、更に詳しくは、薄型化や軽量化を図ることができる吸音体及びその製造方法に関する。
従来より、種々の室内空間等において吸音体が利用されており、かかる吸音体としては、特許文献1〜3に開示されているものが知られている。同文献の吸音体は、枠体を介して薄膜を張設することにより構成され、当該薄膜を振動させることで吸音作用を得られるようになっている。
しかしながら、前記吸音体にあっては、枠体を用いるために吸音体全体の重量が増大する傾向がある他、音源に対向する枠体の面積分、薄膜による吸音作用が得られなくなるという不都合がある。また、枠体を組み立てたり、薄膜を張設する作業負担を強いられるという不都合も生じる。しかも、枠体が剛体からなるので、曲面部分や入り組んだ場所、狭い場所に吸音体を設置する場合、当該設置が困難或いは不可能となったり、現場毎に吸音体を特注設計することが必要になるという不都合を招来する。
ところで、前記吸音体の他の構成として、有底容器状の箱体の開口部に前記枠体を取り付け、薄膜と箱体底部との間に空気層を形成する構成が知られている。この構成によれば、空気層を設けない構成に比べ、低域の吸音性能を高めることが可能となる。
ところが、同構成では、箱体の厚みを一定以上に設定しないと、空気層の厚みが薄くなって低域での吸音作用が得られ難くなるため、箱体の厚みが大きくなり、ひいては、吸音体全体の厚みが増大する、という不都合を招来する。
ところが、同構成では、箱体の厚みを一定以上に設定しないと、空気層の厚みが薄くなって低域での吸音作用が得られ難くなるため、箱体の厚みが大きくなり、ひいては、吸音体全体の厚みが増大する、という不都合を招来する。
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、簡単な構造により薄型化や軽量化を図ることができる他、施工性、吸音性能を向上することができる吸音体及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡単に製造することができる吸音体及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、簡単な構造により薄型化や軽量化を図ることができる他、施工性、吸音性能を向上することができる吸音体及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡単に製造することができる吸音体及びその製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の吸音体は、多孔質材と、この多孔質材の外周面側を溶融して形成された閉じた領域を形成する非通気性の表層とからなる、という構成を採っている。
本発明において、前記多孔質材は、閉じた領域を形成する非通気性の表層により被覆された領域と、被覆されていない領域とを備える、という構成を採ることが好ましい。
また、前記表層は、所定方向に延びる凹み部を介して複数の前記閉じた領域を形成する、という構成を採用してもよい。
更に、前記多孔質材は、熱可塑性高分子を用いて構成することが好ましい。
また、本発明の吸音体の製造方法は、多孔質材を部分的に溶融又は溶解し、当該多孔質材の外周面側に閉じた領域を形成する非通気性の表層を形成する形成工程を行う、という方法を採っている。
更に、前記形成工程は、前記多孔質材の外周面を加熱溶融する工程、或いは、前記多孔質材の外周面を溶媒により溶解する工程を含むことが好ましい。
また、前記形成工程は、シート状の多孔質材の一部の外周面領域に対して行い、その他の領域に対して行わないようにしてもよい。
本発明によれば、多孔質材の外周面側を溶融して表層が形成されるので、前述した枠体を省略した構成とすることができ、且つ、表層の振動により吸音作用を奏することが可能となる。これにより、従来構造に比べ、枠体を設けない分、軽量化を図ることができる他、表層の面積を拡大して吸音作用を向上させることができる。しかも、吸音体全体を容易に変形させることができ、曲面部分等への施工性を高めることが可能となる。
更に、多孔質材による吸音作用と、表層による吸音作用とが得られるようになるので、従来の箱体を用いなくても、良好な吸音性能を奏する音域を拡大でき、且つ、吸音体全体の薄型化を図ることが可能となる。
更に、多孔質材による吸音作用と、表層による吸音作用とが得られるようになるので、従来の箱体を用いなくても、良好な吸音性能を奏する音域を拡大でき、且つ、吸音体全体の薄型化を図ることが可能となる。
また、表層により被覆された領域と、被覆されていない領域とを多孔質材が備えているので、表層及びこれに被覆された多孔質材による吸音性能だけでなく、多孔質材のみによる吸音性能も同時に簡単に得ることができる。
更に、表層により所定方向に延びる凹み部が形成されるので、当該凹み部を介して吸音体全体をより一層容易に変形させることができ、これにより、吸音体を設置する領域の自由度を高めることが可能となる。
また、表層を形成する工程は、多孔質材の外周面側を溶融すればよいので、吸音体全体の構造の簡略化を図ることができ、従来のような煩雑な組み立て作業をなくすことが可能となる。具体的には、多孔質材の外周面を加熱したり、溶媒により溶解したりする工程を行うだけで簡単に表層を形成し、吸音体を製造することが可能となる。
更に、多孔質材の溶融を行う領域を部分的とすることで、表層により被覆されていない領域を簡単に設けることができる。
また、熱可塑性高分子を用いて多孔質材を構成することで、加熱処理や溶媒を浸透させる処理による溶融を行い易くすることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図が示されている。この図において、吸音体10は、多孔質材11と、この多孔質材11の外周面側に形成された表層12とを備え、同図の紙面直交方向に延びる面に沿うシート状に形成されている。吸音体10の平面形状としては、正方形、長方形、円形、楕円形、多角形等が例示できる。また、吸音体10の横断面形状は、本実施形態では、同図中上下両面が円弧状をなし、外縁に向かって次第に厚みが小さくなる形状に設けられている。
図1には、第1実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図が示されている。この図において、吸音体10は、多孔質材11と、この多孔質材11の外周面側に形成された表層12とを備え、同図の紙面直交方向に延びる面に沿うシート状に形成されている。吸音体10の平面形状としては、正方形、長方形、円形、楕円形、多角形等が例示できる。また、吸音体10の横断面形状は、本実施形態では、同図中上下両面が円弧状をなし、外縁に向かって次第に厚みが小さくなる形状に設けられている。
前記多孔質材11は、不織布等の繊維類のように毛細管を持つ材料や、発泡体等の連続気泡を持つ材料からなり、音が入射したときに、その細孔中で音波が周壁との摩擦や粘性抵抗及び材料小繊維の振動などによって、音のエネルギの一部を熱エネルギとして消費可能に設けられている。多孔質材11は、熱可塑性高分子を用いて後述のように溶融可能に構成され、必要に応じて有機低分子等の可塑剤や、内部損失向上のための無機材からなる充填材を入れた複合素材としてもよい。
前記熱可塑性高分子としては、TPO(オレフィン系エラストマー)、CPE(塩素化PE)、PVC(塩ビ)、PET、ポリエステル、合成ゴム(イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、その他)、シリコンゴム、PEが例示できる。
前記可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、DBSなど架橋促進剤、老化・酸化防止剤、充填材としては、炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、雲母(マイカ)、カーボンブラック、PZT、シリカが例示できる。
前記熱可塑性高分子としては、TPO(オレフィン系エラストマー)、CPE(塩素化PE)、PVC(塩ビ)、PET、ポリエステル、合成ゴム(イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、その他)、シリコンゴム、PEが例示できる。
前記可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、DBSなど架橋促進剤、老化・酸化防止剤、充填材としては、炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、雲母(マイカ)、カーボンブラック、PZT、シリカが例示できる。
前記表層12は、多孔質材11の外周面側を後述するように溶融又は溶解することにより形成され、当該多孔質材11と一体に連なる非通気性の薄膜状に設けられている。表層12は、多孔質材11の表裏両面と端面とを含む全ての外周面を被覆しており、当該多孔質材11が内部に位置する閉じた領域を形成するようになっている。表層12の厚みは、0.3〜3mmに設定され、音が入射したときに、その内部損失により音のエネルギを消費可能に設けられている。
前記吸音体10は、図2(A)に示されるような型装置20を用いて作製される。型装置20は、吸音体10の外形に対応する成形空間21を有する上型22及び下型23からなる。
この型装置20により吸音体10を作製する場合、先ず、型装置20を開いた状態で、上型22及び下型23の間に、シート状の100mm厚程度となる多孔質材11を配置する。その後、図2(B)に示されるように、閉型し、上型22及び下型23を介して多孔質材11を加熱しつつ厚み方向に加圧して圧縮する表層12の形成工程を行う。これにより、多孔質材11の外周面側が部分的に加熱溶融して薄膜状の表層12が形成され、当該表層12により多孔質材11が被覆された状態となる。所定のキープ時間を経過後、型装置20を開くことにより、厚みが10〜50mmとなる吸音体10の作製が完了する。このとき、吸音体10の外縁に表層12の一部がはみ出して形成された場合、当該表層12の一部を切断する処理を行うことが好ましい。
この型装置20により吸音体10を作製する場合、先ず、型装置20を開いた状態で、上型22及び下型23の間に、シート状の100mm厚程度となる多孔質材11を配置する。その後、図2(B)に示されるように、閉型し、上型22及び下型23を介して多孔質材11を加熱しつつ厚み方向に加圧して圧縮する表層12の形成工程を行う。これにより、多孔質材11の外周面側が部分的に加熱溶融して薄膜状の表層12が形成され、当該表層12により多孔質材11が被覆された状態となる。所定のキープ時間を経過後、型装置20を開くことにより、厚みが10〜50mmとなる吸音体10の作製が完了する。このとき、吸音体10の外縁に表層12の一部がはみ出して形成された場合、当該表層12の一部を切断する処理を行うことが好ましい。
なお、前記多孔質材11の形成は、当該多孔質材11の外周面側を溶媒により溶解する工程により行ってもよい。この工程の後の上型22及び下型23による圧縮時において、当該上型22及び下型23の加熱は行わなくてもよい。また、溶媒による溶解方法は、多孔質材11に溶媒をスプレー等で噴霧する方法とすることが好ましいが、溶媒が入った槽の中に多孔質材11を直接浸漬してもよい。
従って、このような第1実施形態によれば、枠体等を設けることなく、吸音体10の略全領域において、多孔質材11による吸音と表層12による膜振動型吸音とを行うことが可能となる。また、吸音体10全体を薄型、軽量としつつ、簡単に変形させることが可能となる。これにより、比較的狭い場所や入り組んだ場所にも容易に設置可能として設置箇所の制約を緩和でき、防音や遮音が要求される様々な設備や装置に広く適用することができる。
次に、本発明の第1実施形態以外の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については必要に応じて同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
[第2実施形態]
図3には、本発明の第2実施形態が示されている。この第2実施形態では、表層12により被覆されていない領域を多孔質材11が備えている。すなわち、吸音体10を平面視した場合、その中央領域の多孔質材11が表層12により被覆された状態となり、外周領域の多孔質材11が露出することとなる。
図3には、本発明の第2実施形態が示されている。この第2実施形態では、表層12により被覆されていない領域を多孔質材11が備えている。すなわち、吸音体10を平面視した場合、その中央領域の多孔質材11が表層12により被覆された状態となり、外周領域の多孔質材11が露出することとなる。
本実施形態の吸音体10を製造する場合、図4(A)に示されるように、前記型装置20の成形空間21より大きい平面形状をなすシート状の多孔質材11を下型23の上に載置する。その後、図4(B)に示されるように、多孔質材11の一部の外周面領域に対し、第1実施形態と同様に溶融しつつ圧縮して表層12を形成し、それ他の領域に対しては表層12を形成する工程を行わない。これにより、第1実施形態の吸音体10の外縁に、圧縮されずに露出する多孔質材11が一体に連なるように形成された吸音体10が作製される。
このような第2実施形態によれば、第1実施形態の吸音体10による吸音性能だけでなく、多孔質材11のみによる吸音性能も得られるようになる。
[第3実施形態]
図5には、本発明の第3実施形態が示されている。この第3実施形態では、表層12により複数の閉じた領域を形成するよう、同図中紙面直交方向に延びる凹み部25を形成している。つまり、第3実施形態の吸音体10は、複数の第1実施形態の吸音体10が、外縁で相互に連なるように設けられている。
図5には、本発明の第3実施形態が示されている。この第3実施形態では、表層12により複数の閉じた領域を形成するよう、同図中紙面直交方向に延びる凹み部25を形成している。つまり、第3実施形態の吸音体10は、複数の第1実施形態の吸音体10が、外縁で相互に連なるように設けられている。
このような第3実施形態によれば、凹み部25において折り曲げるように変形させ易くなり、施工性をより向上させることが可能となる。
以下に本発明の実施例を比較例とともに説明する。各実施例及び比較例では、後述する評価を行うための試験体を作製した。
[実施例1]
実施例1では、前記第1実施形態と同じ形態の吸音体10を36個作製した。各吸音体10の平面形状を150mm×150mmの方形とし、表層12の厚み1mm、吸音体10全体の厚み30mm、多孔質材11はPVCを用いた不織布とした。吸音体10を平面視で縦横に6列ずつ並べ、試験体全体の平面形状を900mm×900mmの方形とした。
実施例1では、前記第1実施形態と同じ形態の吸音体10を36個作製した。各吸音体10の平面形状を150mm×150mmの方形とし、表層12の厚み1mm、吸音体10全体の厚み30mm、多孔質材11はPVCを用いた不織布とした。吸音体10を平面視で縦横に6列ずつ並べ、試験体全体の平面形状を900mm×900mmの方形とした。
[実施例2]
実施例2では、前記第2実施形態と同様の形態の吸音体10を作製して試験体とした。図6に示されるように、表層12により被覆する方形の領域Sを縦横に5列ずつ並べて合計25箇所形成し、当該領域Sのサイズを150mm×150mmとした。各領域Sの周りに多孔質材11が露出するように、前記領域Sの縦及び横方向のピッチ間隔を200mm、試験体全体の平面形状を1000mm×1000mmの方形とした。それ以外は、実施例1と同じ条件とした。
実施例2では、前記第2実施形態と同様の形態の吸音体10を作製して試験体とした。図6に示されるように、表層12により被覆する方形の領域Sを縦横に5列ずつ並べて合計25箇所形成し、当該領域Sのサイズを150mm×150mmとした。各領域Sの周りに多孔質材11が露出するように、前記領域Sの縦及び横方向のピッチ間隔を200mm、試験体全体の平面形状を1000mm×1000mmの方形とした。それ以外は、実施例1と同じ条件とした。
[比較例1及び2]
比較例1では、略直方体型の有底容器状をなす箱体の開口に、厚さ1mmの薄膜を張設した吸音体を36個作製した。前記箱体は、厚み40mm、板厚4.5mm、平面形状を150mm×150mmの方形とし、グラスウールを収容して当該グラスウールにより箱体内部が略満たされるようにした。(貴社「原稿チェック」ではグラスウール収容に関する記載がないので、ご確認お願いします)
実施例1と同様に、吸音体を平面視で縦横に6列ずつ並べ、試験体全体の平面形状を900mm×900mmの方形とした。
比較例2の試験体は、厚さ30mm、平面形状が1000mm×1000mmの方形のグラスウールとした。
比較例1では、略直方体型の有底容器状をなす箱体の開口に、厚さ1mmの薄膜を張設した吸音体を36個作製した。前記箱体は、厚み40mm、板厚4.5mm、平面形状を150mm×150mmの方形とし、グラスウールを収容して当該グラスウールにより箱体内部が略満たされるようにした。(貴社「原稿チェック」ではグラスウール収容に関する記載がないので、ご確認お願いします)
実施例1と同様に、吸音体を平面視で縦横に6列ずつ並べ、試験体全体の平面形状を900mm×900mmの方形とした。
比較例2の試験体は、厚さ30mm、平面形状が1000mm×1000mmの方形のグラスウールとした。
実施例1及び2、比較例1及び2の試験体を評価するにあたって、ランダム入射吸音率を評価指標として用いた。ランダム入射吸音率は、残響室吸音率と呼ばれるもので、JIS A 1409に準じた方法により、残響室内で音を出して急に止めた際の、残響室の減衰時間から算出したものである。
各実施例及び各比較例ではさらに、湾曲した残響減衰波形に理論式をフィットさせて完全拡散下の残響時間を推定計算するPLD(Power law decay)補正法(J.Acous.Soc.Jpn.(E)19,5(1998)315−326)、及び材料周囲にアクリル板囲い(Deep well)を設置することにより面積効果を抑制するDeep−well法(J.Acous.Soc.Jpn.(E)19,5(1998)327−338)を用いて吸音率を測定した。
各実施例及び各比較例では、図7に示されるように、容積(V)64m3、表面積(S)100m2、V/S=0.64の残響室30の床面30aのほぼ中央に、各実施例及び各比較例の試験体Tを設置し、試験体Tの周囲には厚さ20mmのアクリル板からなる高さ800mmの拡散枠板32を設置した。そして、音源33を、試験体Tから離れた位置に配置した。このようにして、試験体Tの表面Taに対して、ランダムな方向から音(音による空気振動)が入射するようにした。
各実施例及び各比較例の吸音率の結果を図8のグラフに示す。
各実施例及び各比較例ではさらに、湾曲した残響減衰波形に理論式をフィットさせて完全拡散下の残響時間を推定計算するPLD(Power law decay)補正法(J.Acous.Soc.Jpn.(E)19,5(1998)315−326)、及び材料周囲にアクリル板囲い(Deep well)を設置することにより面積効果を抑制するDeep−well法(J.Acous.Soc.Jpn.(E)19,5(1998)327−338)を用いて吸音率を測定した。
各実施例及び各比較例では、図7に示されるように、容積(V)64m3、表面積(S)100m2、V/S=0.64の残響室30の床面30aのほぼ中央に、各実施例及び各比較例の試験体Tを設置し、試験体Tの周囲には厚さ20mmのアクリル板からなる高さ800mmの拡散枠板32を設置した。そして、音源33を、試験体Tから離れた位置に配置した。このようにして、試験体Tの表面Taに対して、ランダムな方向から音(音による空気振動)が入射するようにした。
各実施例及び各比較例の吸音率の結果を図8のグラフに示す。
吸音率は大きくなる程、吸音性能は良好となるが、実際の健常者の体感では、吸音率が0.40以上となれば、殆ど相違がないものとされている。
ここで、図7のグラフにおいて、各実施例及び各比較例の吸音率が0.40以上となる中心周波数を見ると、実施例2が最も広く、次いで、実施例1となり、比較例1,2が各実施例より狭くなるので、実施例2、実施例1、比較例1及び2の順に吸音性能が良好となることが理解できる。具体的には、吸音率が0.40以上となるのは、比較例1が315Hz〜500Hzであり、これに対し、実施例1は、250Hz〜1600Hzであるため、主に、中音域の吸音性能を高くなっている。また、実施例2は、250Hz〜5000Hzであるため、中音域だけでなく高音域も吸音性能が良好となる。
ここで、図7のグラフにおいて、各実施例及び各比較例の吸音率が0.40以上となる中心周波数を見ると、実施例2が最も広く、次いで、実施例1となり、比較例1,2が各実施例より狭くなるので、実施例2、実施例1、比較例1及び2の順に吸音性能が良好となることが理解できる。具体的には、吸音率が0.40以上となるのは、比較例1が315Hz〜500Hzであり、これに対し、実施例1は、250Hz〜1600Hzであるため、主に、中音域の吸音性能を高くなっている。また、実施例2は、250Hz〜5000Hzであるため、中音域だけでなく高音域も吸音性能が良好となる。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態、実施例に対し、形状、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態、実施例に対し、形状、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
例えば、吸音体10の横断面形状は、種々の設計変更が可能であり、図9(A)〜(D)に示される形状としてもよい。図9(A)では、上下両面を平行としつつ端面を上下両面と直交するように形成している。図9(B)では、図9(A)の端面の上下両側を面取りして端部の厚み方向中間部が尖った形状とし、図9(C)では、図9(A)の端面の上側を面取りし、端部の下部が尖った形状に形成されている。図9(D)では、上面を円弧状とし、下面をフラットに形成している。
10・・・吸音体、11・・・多孔質材、12・・・表層、25・・・凹み部
Claims (8)
- 多孔質材と、この多孔質材の外周面側を溶融して形成された閉じた領域を形成する非通気性の表層とからなることを特徴とする吸音体。
- 前記多孔質材は、閉じた領域を形成する非通気性の表層により被覆された領域と、被覆されていない領域とを備えていることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
- 前記表層は、所定方向に延びる凹み部を介して複数の前記閉じた領域を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の吸音体。
- 前記多孔質材は、熱可塑性高分子を用いて構成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の吸音体。
- 多孔質材を部分的に溶融又は溶解し、当該多孔質材の外周面側に閉じた領域を形成する非通気性の表層を形成する形成工程を行うことを特徴とする吸音体の製造方法。
- 前記形成工程は、前記多孔質材の外周面を加熱溶融する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の吸音体の製造方法。
- 前記形成工程は、前記多孔質材の外周面を溶媒により溶解する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の吸音体の製造方法。
- 前記形成工程は、シート状の多孔質材の一部の外周面領域に対して行い、その他の領域に対して行わないことを特徴とする請求項5,6又は7記載の吸音体の製造方法。
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JP2019066720A (ja) * | 2017-10-03 | 2019-04-25 | 栗田煙草苗育布製造株式会社 | 吸音材 |
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Cited By (6)
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