JP2009150481A - 船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置 - Google Patents

船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009150481A
JP2009150481A JP2007328868A JP2007328868A JP2009150481A JP 2009150481 A JP2009150481 A JP 2009150481A JP 2007328868 A JP2007328868 A JP 2007328868A JP 2007328868 A JP2007328868 A JP 2007328868A JP 2009150481 A JP2009150481 A JP 2009150481A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
planetary gear
oil
case
power transmission
lubricating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007328868A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiko Okabe
吉彦 岡部
Keiju Yamauchi
啓寿 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Motor Co Ltd filed Critical Yamaha Motor Co Ltd
Priority to JP2007328868A priority Critical patent/JP2009150481A/ja
Publication of JP2009150481A publication Critical patent/JP2009150481A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • General Details Of Gearings (AREA)

Abstract

【課題】船舶推進機の動力伝達装置によるエンジンからプロペラへの動力伝達時に、上記動力伝達装置が備える遊星歯車装置の各回転体に従って潤滑用の油が無用に連れ回りすることを防止して、エンジンにおける動力損失の発生や燃費の低下を防止する。
【解決手段】船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置は、船体3に支持されるケース11と、このケース11の下部に支持されるプロペラ14と、ケース11に収容されて上下に配置され、エンジン15からの出力を入力し、この入力を変速してプロペラ14に向けて出力する上遊星歯車装置51及び下遊星歯車装置52と、上、下遊星歯車装置51,52の下方に配置され、上、下遊星歯車装置51,52の潤滑用の油97を貯留するオイルパン110とを備える。上遊星歯車装置51を潤滑した後の油97を下遊星歯車装置52を迂回させて、オイルパン110に戻す油戻し通路117を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、エンジンからの出力を入力し、この入力を変速してプロペラに向け出力する遊星歯車装置を備えた船舶推進機の動力伝達装置に関し、より詳しくは、上記遊星歯車装置を潤滑するための潤滑装置に関するものである。
上記船舶推進機には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、船舶推進機は、船体の後方近傍に配置されて、この船体の後部に支持されるケースと、このケースの下部に支持されるプロペラと、上記ケースに収容されて上下に配置され、エンジンからの出力を入力し、この入力を変速して上記プロペラに向けて出力する上遊星歯車装置及び下遊星歯車装置と、これら上、下遊星歯車装置の下方に配置され、これら上、下遊星歯車装置の潤滑用の油を貯留するオイルパンとを備えている。
船舶を推進させようとするに際し、上記動力伝達装置の上、下遊星歯車装置にエンジンからの出力を入力させれば、この入力は、上記各遊星歯車装置で順次変速されて上記プロペラに出力される。そして、このプロペラの回転数に応じた推進速度で船舶が推進させられる。
上記各遊星歯車装置による変速作動時には、これら遊星歯車装置の各回転体は、上記油により潤滑されて、円滑な作動が確保される。また、これら潤滑後の油は、上記オイルパンに集められ、その後、再び上記潤滑に供される。
上記の場合、通常、上、下遊星歯車装置には、それぞれに適正量の潤滑用の油がそれぞれ個別に供給されて潤滑がなされる。また、これら各潤滑後の油は、その自重によりそれぞれ流下して上記オイルパンに集められる。そして、このオイルパン内の油は、オイルポンプにより吸い上げられて、このオイルポンプから上記したように上、下遊星歯車装置に対し再び個別に供給されるようになっている。
国際公開番号WO2007/007707
ところで、上記したように、上、下遊星歯車装置にそれぞれ油を供給した場合、これらのうち、上遊星歯車装置に供給された油は、この上遊星歯車装置を潤滑した後、下方に流下して、この上遊星歯車装置の下方に位置する上記下遊星歯車装置に向かうこととなる。
このため、上記上遊星歯車装置から流下した油の一部は、上記下遊星歯車装置のサンギヤやリングギヤなどの回転体に供給され、これら回転体に従って無用に連れ回りするおそれを生じる。そして、この連れ回りは、上記船舶推進機の動力伝達装置の作動における無用な抵抗となって、エンジンにおける動力損失の発生や燃費の低下を招くおそれがある。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、船舶推進機の動力伝達装置によるエンジンからプロペラへの動力伝達時に、上記動力伝達装置が備える遊星歯車装置の各回転体に従って潤滑用の油が無用に連れ回りする、ということを防止して、エンジンにおける動力損失の発生や燃費の低下を防止することである。
請求項1の発明は、船体3に支持されるケース11と、このケース11の下部に支持されるプロペラ14と、上記ケース11に収容されて上下に配置され、エンジン15からの出力を入力し、この入力を変速して上記プロペラ14に向けて出力する上遊星歯車装置51及び下遊星歯車装置52と、これら上、下遊星歯車装置51,52の下方に配置され、これら上、下遊星歯車装置51,52の潤滑用の油97を貯留するオイルパン110とを備えた船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置において、
上記上遊星歯車装置51を潤滑した後の油97を上記下遊星歯車装置52を迂回させて、上記オイルパン110に戻す油戻し通路117を設けたことを特徴とする船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置である。
請求項2の発明は、上記ケース11に収容され、上記下遊星歯車装置52を覆う変速ケース34を設け、この変速ケース34の側部に上記油戻し通路117を形成したことを特徴とする請求項1に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置である。
請求項3の発明は、上下方向に延びる同一軸心上に上記上遊星歯車装置51及び下遊星歯車装置52を配置し、上記上遊星歯車装置51の軸心28上に位置する動力伝達軸49を設け、この動力伝達軸49にその軸方向に沿って延びる油供給通路120を形成し、この油供給通路120を通し上記下遊星歯車装置52に潤滑用の油97を供給するようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置である。
請求項4の発明は、上下方向に延びて上記変速ケース34の前部を上記ケース11に締結させる左右一対の前ボルト35と、上下方向に延びて上記変速ケース34の後部を上記ケース11に締結させる左右一対の後ボルト36とを備え、船体3の幅方向における上記左右前ボルト35,35同士の幅寸法W1を、上記左右後ボルト36,36同士の幅寸法W2よりも大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置である。
請求項5の発明は、上記変速ケース34の側部に形成されて冷却水126を流動させる冷却水通路130aを上記油戻し通路117の外側方に配置したことを特徴とする請求項2、もしくは4に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置である。
請求項6の発明は、上記変速ケース34の平面断面視で、上記冷却水通路130の面積を上記油戻し通路117の面積よりも大きくしたことを特徴とする請求項5に記載の船舶推進機の動力伝達装置である。
請求項7の発明は、上記冷却水通路130及び上記油戻し通路117を変速ケース34の側壁に沿った円弧状に形成し、上記変速ケース34と上記下遊星歯車装置52とが上下方向に延びる共通の軸心28を有し、上記変速ケース34の平面断面視で、上記軸心28回りにおける上記冷却水通路130の円弧長さを上記油戻し通路117の円弧長さよりも大きくしたことを特徴とする請求項6に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置である。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、船体に支持されるケースと、このケースの下部に支持されるプロペラと、上記ケースに収容されて上下に配置され、エンジンからの出力を入力し、この入力を変速して上記プロペラに向けて出力する上遊星歯車装置及び下遊星歯車装置と、これら上、下遊星歯車装置の下方に配置され、これら上、下遊星歯車装置の潤滑用の油を貯留するオイルパンとを備えた船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置において、
上記上遊星歯車装置を潤滑した後の油を上記下遊星歯車装置を迂回させて、上記オイルパンに戻す油戻し通路を設けている。
このため、上記上遊星歯車装置を潤滑した後の油が、この上遊星歯車装置の下方に位置する上記下遊星歯車装置に供給されることは防止される。よって、上記上遊星歯車装置を潤滑した後の油が上記下遊星歯車装置のサンギヤやリングギヤなどの回転体に供給されて、これら回転体に従って無用に連れ回りする、ということが防止されることから、この連れ回りに基づくエンジンにおける動力損失の発生や燃費の低下が防止される。
請求項2の発明は、上記ケースに収容され、上記下遊星歯車装置を覆う変速ケースを設け、この変速ケースの側部に上記油戻し通路を形成している。
ここで、上記変速ケースは上記下遊星歯車装置を覆うものであって形状が大きいものであるため、上記変速ケースに形成される上記油戻し通路の断面積は大きくできる。よって、上記上遊星歯車装置を潤滑した後の油は、上記油戻し通路を通して上記オイルパンに円滑に回収することができる。
また、上記したように、変速ケースの側部に上記油戻し通路を形成している。
このため、上記変速ケースの平面断面視で、この変速ケースの側部に上記油戻し通路を形成したことにより上記変速ケースの前部外面が前方に拡張してしまうことを抑制することができる。また、これに伴い、上記変速ケースを収容するケースの前部外面が前方に拡張してしまうことも抑制することができる。
よって、上記船体の後部とケースの前部外面との接触を避けつつ、船舶推進機の重心を上記船体の後部に、より接近させることができる。この結果、上記船体の後部が上記船舶推進機を支持する際の支持モーメントを小さくでき、このため、上記船体の後部における強度上の負担を軽減させることができる。
即ち、上記変速ケースの平面断面視で、上記油戻し通路の断面積を大きくすることにより、この油戻し通路を通してのオイルパンへの油の回収を円滑にさせるようにした場合でも、上記したように、船舶推進を支持する船体の後部における強度上の負担を軽減させることができる。
請求項3の発明は、上下方向に延びる同一軸上に上記上遊星歯車装置及び下遊星歯車装置を配置し、上記上遊星歯車装置の軸心上に位置する動力伝達軸を設け、この動力伝達軸にその軸方向に沿って延びる油供給通路を形成し、この油供給通路を通し上記下遊星歯車装置に潤滑用の油を供給するようにしている。
このため、上記油供給通路を通しての下遊星歯車装置への油の供給は、上記上遊星歯車装置から干渉を受けることなく達成され、かつ、上記油は下遊星歯車装置の回転中心側に供給される。よって、上記下遊星歯車装置には適正量の油が供給されると共に、上記下遊星歯車装置の回転中心側に供給される油は、その後、遠心力により径方向の外部側に供給される。この結果、上記下遊星歯車装置の潤滑が均一に良好に達成される。
請求項4の発明は、上下方向に延びて上記変速ケースの前部を上記ケースに締結させる左右一対の前ボルトと、上下方向に延びて上記変速ケースの後部を上記ケースに締結させる左右一対の後ボルトとを備え、船体の幅方向における上記左右前ボルト同士の幅寸法を、上記左右後ボルト同士の幅寸法よりも大きくしている。
このため、上記左右前ボルトは、上記変速ケースの左右各側部がわに位置させることができることから、上記各前ボルトの配置のために、上記変速ケースの前部外面が前方に拡張してしまうことを抑制することができる。また、これに伴い、上記変速ユニットを収容するケースの前部外面が前方に拡張してしまうことも抑制することができる。
よって、前記請求項2の効果と同様の理由により、上記船体の後部における強度上の負担を軽減させることができる。
請求項5の発明は、上記変速ケースの側部に形成されて冷却水を流動させる冷却水通路を上記油戻し通路の外側方に配置している。
このため、上記油戻し通路における油は、上記冷却水通路を流動する冷却水により、より直接的に効率よく冷却される。よって、上記油の劣化が、より確実に防止される。
また、上記したように変速ケース34の側部に形成された上記冷却水通路を油戻し通路の外側方に配置している。
このため、上記冷却水通路は、上記油戻し通路よりも上記変速ケースの外面側に位置することから、この冷却水通路の長さを、より大きくできる。よって、その分、この冷却水通路を流動する冷却水の量をより多くできて、上記油戻し通路における油をより十分に冷却させることができる。
請求項6の発明は、上記変速ケースの平面断面視で、上記冷却水通路の面積を上記油戻し通路の面積よりも大きくしている。
このため、上記冷却水通路を流動する冷却水の量を多くすることができて、この冷却水により上記油戻し通路を流動する油をより十分に冷却させることができる。
請求項7の発明は、上記冷却水通路及び上記油戻し通路を変速ケースの側壁に沿った円弧状に形成し、上記変速ケースと上記下遊星歯車装置とが上下方向に延びる共通の軸心を有し、上記変速ケースの平面断面視で、上記軸心回りにおける上記冷却水通路の円弧長さを上記油戻し通路の円弧長さよりも大きくしている。
このため、上記冷却水通路の断面積を更に大きくできる。よって、この冷却水通路を流動する冷却水の量をより多くできて、この冷却水により上記油戻し通路における油を更にに十分に冷却させることができる。
本発明の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置に関し、船舶推進機の動力伝達装置によるエンジンからプロペラへの動力伝達時に、上記動力伝達装置が備える遊星歯車装置の各回転体に従って潤滑用の油が無用に連れ回りする、ということを防止して、エンジンにおける動力損失の発生や燃費の低下を防止する、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
即ち、船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置は、船体に支持されるケースと、このケースの下部に支持されるプロペラと、上記ケースに収容されて上下に配置され、エンジンからの出力を入力し、この入力を変速して上記プロペラに向けて出力する上遊星歯車装置及び下遊星歯車装置と、これら上、下遊星歯車装置の下方に配置され、これら上、下遊星歯車装置の潤滑用の油を貯留するオイルパンとを備えている。上記上遊星歯車装置を潤滑した後の油を上記下遊星歯車装置を迂回させて、上記オイルパンに戻す油戻し通路を設けている。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
図1,2において、符号1は船舶で、矢印Frは、この船舶1の推進方向の前方を示している。また、下記する左右とは、上記前方に向かっての船舶1の幅方向をいうものとする。
上記船舶1は、水2に浮かべられる船体3と、この船体3の後部に着脱可能に支持されて、この船舶1を推進可能とする船舶推進機4とを備えている。なお、図1,2中二点鎖線で示した水2の表面は、船舶1が前進中のものを示しており、停船したとき、上記水2の表面は少し上昇する。
上記船舶推進機4は、上記船体3の後部に着脱可能に支持されるクランプブラケット5と、後上方に向かって往、復回動可能となるようこのクランプブラケット5に枢支されるスイベルブラケット6と、このスイベルブラケット6に支持される推進ユニット7と、上記クランプブラケット5とスイベルブラケット6とに架設され、上記スイベルブラケット6と共に推進ユニット7をトリムさせたり、チルトさせたりするよう回動駆動させる油圧シリンダ8とを備えている。
上記推進ユニット7は、上記スイベルブラケット6に支持され、上下方向に延びて、その下端部側が水2面下に没入するケース11と、前後方向に延びる軸心12回りに回転するよう上記ケース11の下端部にプロペラ軸13を介し支持されるプロペラ14と、上記ケース11の上面に支持されるエンジン15と、上記ケース11に収容され、上記エンジン15のクランク軸16からの出力を入力し、この入力を変速し、また、この変速の一態様として正転A又は逆転Bのいずれかに切り換えて上記プロペラ14に向けて出力する動力伝達装置17と、上記エンジン15を開閉可能に覆うカウリング18とを備えている。上記ケース11は船体3の後方近傍に配置されている。
上記プロペラ軸13とプロペラ14とは、上記軸心12上でそれぞれ一対設けられ、これら一対のプロペラ14,14の螺旋の方向は互いに逆向きとされている。上記動力伝達装置17から各プロペラ14に向かって出力される出力が正転Aのとき、これらプロペラ14,14は互いに逆回転して船舶1を前進させる。一方、上記動力伝達装置17からの出力が逆転Bのとき、上記各プロペラ14,14は上記とはそれぞれ逆向きに回転して船舶1を後進させる。上記ケース11内の一部(後部)空間には、上記エンジン15から排出される排気19を水2面下にまで案内して、排出させる排気通路20が形成されている。
図1〜12において、上記ケース11は、このケース11の上部側を構成するアッパケース21と、このアッパケース21とは別体に形成されて、上記ケース11の下部側を構成するロアケース22と、上記アッパケース21にロアケース22を着脱可能に固着させる締結具23とを備えている。また、上記ロアケース22は、その上面部を構成する上面板24と、この上面板24とは別体に形成されて、この上面板24よりも下方側を構成し、この上面板24と不図示の締結具により着脱可能に固着されるロアケース本体25とを備えている。
上記動力伝達装置17は、上記ケース11内の他部(前部)空間に収容されて軸心28が上下方向に延び、上記エンジン15からの出力を入力し、この入力を変速して出力する変速ユニット29と、この変速ユニット29側からの出力を入力し、ここで、この入力を上記プロペラ14に向け、方向を変えて出力する連動装置30と、上記変速ユニット29と連動装置30との間に介設され、上記変速ユニット29からの出力を入力し、この入力を、大きい減速比で減速して上記連動装置30に出力する減速装置31とを備えている。
上記変速ユニット29は、その外殻を構成し上記軸心28上に配置される円筒形状の変速ケース34と、上記軸心28と平行に上下方向に延び、上記変速ケース34の前部を上記ケース11に締結させる左右一対の前ボルト35と、上記軸心28と平行に上下方向に延び、上記変速ケース34の後部を上記ケース11に締結させる左右一対の後ボルト36と、上記変速ケース34に収容され、上記エンジン15からの出力を入力し、この入力を変速して上記減速装置31と連動装置30とを順次介しプロペラ14に向けて出力する変速装置37とを備えている。
上記変速ケース34は、その上端から下端に向かって順次配置される互いに別体の第1〜第3ケース40〜42と、この第3ケース42の下端開口を閉じる板形状のケース底部43とを備えている。また、このケース底部43は、互いに別体とされて互いに重ね合わされる上、下底部板44,45を備えている。上記変速ケース34を構成する各部材40〜45は、上記前ボルト35及び後ボルト36により互いに一体的に固着されている。
上記変速装置37は、上記軸心28上で、下方に向かって順次配置される第1〜第3動力伝達軸48〜50を備えている。これら48〜50は、それぞれ個別に上記軸心28回りに回転可能となるよう上記変速ケース34に支持されている。上記第2動力伝達軸49は、上記軸心28上に位置する互いに別体の複数(2本)の回転軸を備えているが、これら各回転軸では互いにスプライン嵌合し、一体的に回転する。
上記変速装置37は、上遊星歯車装置51及び下遊星歯車装置52を備えている。このうち、上遊星歯車装置51は、上記軸心28回りに回転可能とされるサンギヤ54と、上記第1動力伝達軸48と共に回転するリングギヤ55と、上記第2動力伝達軸49と共に回転するキャリア56に軸支されて上記サンギヤ54及びリングギヤ55に噛合するプラネタリギヤ57とを備えている。一方、上記下遊星歯車装置52は、上記第3動力伝達軸50と共に回転するサンギヤ59と、上記軸心28回りに回転可能とされるリングギヤ60と、上記第2動力伝達軸49と共に回転するキャリア61に軸支されて上記サンギヤ59に噛合するプラネタリギヤ62と、上記キャリア61に軸支されて上記リングギヤ60及びプラネタリギヤ62に噛合する他のプラネタリギヤ63とを備えている。
また、上記変速装置37は、湿式多板クラッチである第1〜第3クラッチ66〜68を備え、これら66〜68は上記軸心28上に配置されている。これら各クラッチ66〜68は、通常、それぞればねの作用により切断状態とされ、一方、油圧式の第1〜第3ピストン70〜72のクラッチ板73に対する押圧作用により、それぞれ接続状態とされる。このクラッチ板73は軸方向に複数枚設けられ、それぞれ円環形状をなしている。
上記第1クラッチ66を接続状態にすれば、上記上遊星歯車装置51のサンギヤ54、リングギヤ55、及びキャリア56が一体的に上記軸心28回りに回転する。ここで、上記上遊星歯車装置51のサンギヤ54の正転Aを許容し、逆転Bを阻止するようこのサンギヤ54と変速ケース34との間にワンウェイクラッチ75が設けられている。また、上記第2クラッチ67を接続状態にすれば、上記下遊星歯車装置52のリングギヤ60が上記変速ケース34に固定されるようになっている。また、上記第3クラッチ68を接続状態にすれば、上記下遊星歯車装置52のキャリア61と第3動力伝達軸50とが一体的に上記軸心28回りに回転することとされている。
図1〜3,6において、上記連動装置30は、上記軸心28回りに回転するよう上記ロアケース22に支持される第4動力伝達軸78と、この第4動力伝達軸78の下端部に対し前記両プロペラ軸13,13の各前端部を連動連結させる一対のベベルギヤ組79,79とを備えている。上記第4動力伝達軸78から上記各ベベルギヤ組79を介し、方向を変えて上記各プロペラ軸13に動力伝達がなされるとき、これら各プロペラ軸13は減速され、かつ、互いに逆回転することとされる。
図4,6,9において、前記減速装置31は、上下方向で、上記ケース11のアッパケース21及びロアケース22の互いの対向面の近傍部における内部に設けられている。具体的には、上記減速装置31は、上記アッパケース21の下端部の内部に配置され、上記ロアケース22の上面に支持されている。なお、上記減速装置31は、上記アッパケース21とロアケース22との互いの対向面と同じ高さに位置するケース11の内部に設けてもよく、上記ロアケース22の上端部の内部に設けてもよい。
上記減速装置31は、その外殻を構成して上記ロアケース22の上面板24に締結具82により着脱可能に固着される減速ケース83と、上記軸心28上で、上記減速ケース83に収容され、上記変速装置37の第3動力伝達軸50からの出力を入力し、これを、大きい減速比で減速して上記連動装置30の第4動力伝達軸78に出力する遊星歯車装置84とを備えている。
上記遊星歯車装置84は、上記ロアケース22の上面板24に締結具86により固着され、上記ロアケース22に一体的に設けられるサンギヤ87と、上記軸心28回りに回転可能となるよう上記減速ケース83に支持され、上記変速装置37の第3動力伝達軸50の下端部に嵌脱可能にスプライン嵌合されるリングギヤ88と、上記連動装置30の第4動力伝達軸78と共に回転するキャリア89に軸支されて上記サンギヤ87及びリングギヤ88に噛合するプラネタリギヤ90とを備えている。上記変速ユニット29と減速装置31とを組み付ける場合には、この減速装置31をロアケース22に固着した状態で、上記変速ユニット29の第3動力伝達軸50の下端部と減速装置31のリングギヤ88とをスプライン嵌合させる。すると、上記組み付けが達成される。
上記変速ユニット29の変速装置37における上遊星歯車装置51、第1クラッチ66、及びワンウェイクラッチ75は、動力伝達装置17の出力を低速又は高速のいずれかに変速させるための速度変速部93を構成する。また、上記変速装置37における下遊星歯車装置52、及び第2、第3クラッチ67,68は、動力伝達装置17の出力の回転方向を正転A又は逆転Bのいずれかに切り換えるための回転方向切換部94を構成する。
図3〜12において、上記船舶推進機4の上記第1〜第3クラッチ66〜68の第1〜第3ピストン70〜72の作動用や、各部の潤滑用として、油97が供給されるべき被供給部98に対し、上記油97を供給する油供給装置99が設けられている。
上記油供給装置99は、上記第1〜第3クラッチ66〜68に対応するようソレノイド弁である第1〜第3油圧制御弁101〜103が設けられ、これら101〜103は上記変速ケース34の一側部(左側部)の外面に取り付けられている。上記第1〜第3油圧制御弁101〜103から上記第1〜第3ピストン70〜72にそれぞれ対応する各油圧室に向けて延びる第1〜第3圧油路105〜107が上記変速ケース34に形成されている。上記各油圧制御弁101〜103を通し上記各油圧室に加圧された油97が供給されて、上記第1〜第3ピストン70〜72によるクラッチ板73への押接作用がそれぞれ可能とされる。
また、上記油供給装置99は、上記変速ケース34の底部内に形成されるオイルパン110と、入口部がこのオイルパン110内の前部に配置され、出口部が上記変速ケース34の一側部(左側部)に向けて斜め上方に延びるパイプ形状の吸込み口111と、この吸込み口111の入口部に取り付けられる金網製のオイルフィルタ112と、上記変速ケース34の第1ケース40内に設けられ、上記エンジン15により、上記第1動力伝達軸48を介し駆動されるオイルポンプ113とを備えている。上記変速ケース34の第3ケース42からケース底部43を離脱させた状態では、上記第3ケース42の下端開口は下方に向かって開放される。そして、この下端開口を通し、上記吸込み口111は、上記第3ケース42の下面に締結具により着脱可能に固着される。
また、上記油供給装置99は、上記吸込み口111の出口部を上記オイルポンプ113の吸入部に連通させるよう上記変速ケース34に形成される油吸入通路115と、上記オイルポンプ113の吐出部を上記被供給部98である第1〜第3油圧制御弁101〜103に連通させるよう上記変速ケース34に形成される第1油供給通路116と、上記第1〜第3ピストン70〜72に対応する圧油室に供給された後、排出された油97を上記オイルパン110に戻す油戻し通路117とを備えている。
上記変速ケース34の左右側部のうち、一側部(左側部)に上記油吸入通路115と第1油供給通路116とが形成されている。また、上記油戻し通路117は上記変速ケース34の他側部(右側部)に形成されている。また、この場合、変速ケース34の下部は、上記下遊星歯車装置52をその径方向外方から全体的に覆っており、上記変速ケース34の下部の他側部(右側部)に上記油戻し通路117が形成されている。
また、上記油供給装置99は、上記第1、第2動力伝達軸48,49の軸心28上に形成される第2油供給通路120と、上記オイルポンプ113の吐出部を上記第2油供給通路120に連通させるよう変速ケース34に形成される第3油供給通路121と、上記第2油供給通路120の上部を上記上遊星歯車装置51と第1クラッチ66とに向けて連通させるよう上記第2動力伝達軸49に形成される第4油供給通路122と、上記第2油供給通路120の下部を上記下遊星歯車装置52と第2、第3クラッチ67,68とに向けて連通させるよう上記第2動力伝達軸49と変速ケース34とに形成される第5油供給通路123とを備えている。
上記油供給装置99による油97の供給作用につき説明する。
上記エンジン15に連動してオイルポンプ113が作動すれば、上記オイルパン110内の油97が上記オイルフィルタ112、吸込み口111を順次通して上記オイルポンプ113に吸入される。
一方、上記オイルポンプ113にて加圧され、これから吐出された油97の一部はエンジン15に対し潤滑用として供給される。また、上記吐出された油97の他部は上記第1油供給通路116を通して、上記第1〜第3油圧制御弁101〜103に供給される。不図示の変速操作装置に対する乗員の操作により、これら各油圧制御弁101〜103がそれぞれ作動して、上記第1〜第3圧油路105〜107を通し油97が上記第1〜第3ピストン70〜72に対応する圧油室に供給され、所定の作動が行われる。また、この作動後に上記各圧油室から排出された油97は上記油戻し通路117を通し、もしくはオイルパン110に直接戻される。
また、上記オイルポンプ113から吐出された油97の更に他部は、上記第3油供給通路121、第2油供給通路120、及び第4油供給通路122を通って上遊星歯車装置51と第1クラッチ66とを潤滑する。この潤滑後の油97は、上記下遊星歯車装置52を迂回するよう上記油戻し通路117を通ってオイルパン110に戻される。また、上記油97の更に他部は、上記第2油供給通路120から第5油供給通路123を通って下遊星歯車装置52と第2、第3クラッチ67,68とを潤滑する。この潤滑後の油97は上記油戻し通路117を通ることなく、上記オイルパン110に直接戻される。
図3,4,6〜8,10〜12において、上記船舶推進機4において、各部を冷却水126により冷却させる水冷却装置127が設けられている。
上記水冷却装置127は、上記変速ケース34の第1ケース40の他側部(右側部)外面に支持され、エンジン15に第1動力伝達軸48を介し連動連結される水ポンプ128と、水2が流入可能な上記ロアケース22の前部内を上記水ポンプ128の吸入部に連通させるよう上記変速ケース34に形成される水吸入通路129と、上記変速ケース34に形成され、上記水ポンプ128の吐出部側から上記変速ケース34の底部にまで延びる冷却水通路130とを備えている。
上記冷却水通路130は、上記変速ユニット29の軸方向の中途部における平面断面視(特に、図11)で、その一部の冷却水通路130aが上記変速ケース34の他側部(右側部)に形成され、他部の冷却水通路130bが上記変速ケース34の後部に形成されている。また、上記冷却水通路130の下端部は、上記変速ユニット29のケース底部43の平面断面視(図12)でU字形状とされ、このケース底部43のほぼ全体にわたり広く形成されている。このようにU字形状とされた上記冷却水通路130の一端部は、上記変速ケース34の底部に形成された排出孔131により、上記変速ケース34の下方に連通させられている。
上記エンジン15の駆動に連動して上記水ポンプ128が駆動すると、上記ロアケース22の前部内と水吸入通路129とを通して水2が上記水ポンプ128に吸入される。その一方、この水ポンプ128に吸入された水2は上記冷却水通路130に供給され、これにより、上記変速ユニット29が水冷却される。この変速ユニット29の冷却後の水2は、この変速ユニット29における上記冷却水通路130の下端部の排出孔131を通り、その下方外部に排出される。
上記変速ユニット29の軸方向中途部の平面断面視(特に、図11)で、上記変速ケース34の他側部(右側部)に上記冷却水通路130の一部の冷却水通路130aが形成され、上記変速ケース34の後部に他部の冷却水通路130bが形成されている。この場合、冷却水通路130は、上記変速ケース34の一側部(左側部)に形成してもよく、この変速ケース34の各側部と後部とのうち、いずれか一方にのみ形成してもよい。そして、上記変速ケース34の軸心28よりも前側における上記冷却水通路130の断面積の合計S1は、上記軸心28よりも後側における上記冷却水通路130の断面積の合計S2よりも小さくされている(S1<S2)。
また、上記変速ユニット29の平面断面視(特に、図11)で、上記変速ケース34の他側部(右側部)において、上記軸心28を中心とした第1半径R1を有する第1円弧線134上に上記冷却水通路130aが形成され、上記軸心28を中心とした第2半径R2を有する第2円弧線135上に上記前ボルト35の軸心が配置され、上記第1半径R1よりも第2半径R2が小さくされている。
図3,13において、上記動力伝達装置17の変速ユニット29の速度変速部93と回転方向切換部94とによる変速作用につき、説明する。
第1に、上記第1クラッチ66と第2クラッチ67とを切断状態にし、第3クラッチ68を接続状態にする。すると、動力伝達装置17に「低速前進」の変速状態が得られる。
即ち、上記第1クラッチ66の切断状態において、エンジン15からの入力により、上記第1動力伝達軸48と共に上遊星歯車装置51のリングギヤ55が正転Aすると、上記プラネタリギヤ57を介しサンギヤ54は逆転Bしようとする。しかし、このサンギヤ54の逆転Bは上記ワンウェイクラッチ75により阻止される。このため、上記リングギヤ55の正転Aが上記プラネタリギヤ57とキャリア56とを介し減速されて第2動力伝達軸49に伝達され、この第2動力伝達軸49は低速で正転Aする。
すると、上記第2動力伝達軸49と共に下遊星歯車装置52のキャリア61が低速で正転Aする。また、上記した第3クラッチ68の接続状態により上記キャリア61と一体化されている第3動力伝達軸50が低速で正転Aする。これにより、動力伝達装置17が「低速前進」の変速状態とされる。そして、上記第3動力伝達軸50の正転Aは、上記減速装置31、連動装置30、及び各プロペラ軸13を順次介して各プロペラ14に伝達され、船舶1は「低速前進」させられる。
第2に、上記第1クラッチ66と第3クラッチ68とを接続状態にし、第2クラッチ67を切断状態にする。すると、動力伝達装置17に「高速前進」の変速状態が得られる。
即ち、上記したように、第1クラッチ66を接続状態にすると、上記上遊星歯車装置51の各構成部品54〜57は一体的に正転Aする。このため、エンジン15に第1動力伝達軸48を介し第2動力伝達軸49が直結した状態となり、この第2動力伝達軸49は高速で正転Aする。
すると、上記第2動力伝達軸49と共に下遊星歯車装置52のキャリア61が高速で正転Aする。また、上記した第3クラッチ68の接続状態により上記キャリア61と一体化されている第3動力伝達軸50が高速で正転Aする。これにより、動力伝達装置17が「高速前進」の変速状態とされる。そして、上記第3動力伝達軸50の正転Aは、上記減速装置31、連動装置30、及び各プロペラ軸13を順次介して各プロペラ14に伝達され、船舶1は「高速前進」させられる。
第3に、上記第1クラッチ66、第2クラッチ67、及び第3クラッチ68を全て切断状態にする。すると、上記上遊星歯車装置51は低速正転Aの状態であるが、下遊星歯車装置52は空転状態となるため、動力伝達装置17に「中立」の変速状態が得られ、上記プロペラ14は自由回転状態となる。なお、上記第2クラッチ67と第3クラッチ68とを切断状態にさえすれば、第1クラッチ66は接続状態であるとしても、上記「中立」の変速状態が得られる。
第4に、上記第1クラッチ66と第3クラッチ68とを切断状態にし、第2クラッチ67を接続状態にする。すると、動力伝達装置17に「低速後進」の変速状態が得られる。
即ち、上記第1クラッチ66の切断状態により、前記「低速前進」の変速状態と同様に、第2動力伝達軸49は低速で正転Aする。
すると、上記第2動力伝達軸49と共に下遊星歯車装置52のキャリア61が低速で正転Aする。この際、前記した第2クラッチ67の接続状態により、下遊星歯車装置52のリングギヤ60は変速ケース34に固定されている。その一方、上記第3クラッチ68の切断状態により、上記キャリア61の正転Aは、上記他のプラネタリギヤ63とプラネタリギヤ62とを順次介し逆転されて第3動力伝達軸50が低速で逆転Bする。これにより、動力伝達装置17が「低速後進」の変速状態とされる。そして、上記第3動力伝達軸50の逆転Bは、上記減速装置31、連動装置30、及び各プロペラ軸13を順次介して各プロペラ14に伝達され、船舶1は「低速後進」させられる。
第5に、上記第1クラッチ66と第2クラッチ67とを接続状態にし、第3クラッチ68を切断状態にする。すると、動力伝達装置17に「高速後進」の変速状態が得られる。
即ち、上記第1クラッチ66の接続状態により、前記「高速前進」の変速状態と同様に、第2動力伝達軸49は高速で正転Aする。
すると、上記第2動力伝達軸49と共に下遊星歯車装置52のキャリア61が高速で正転Aする。この際、前記した第2クラッチ67の接続状態により、下遊星歯車装置52のリングギヤ60は変速ケース34に固定されており、その一方、上記第3クラッチ68の切断状態により、上記キャリア61の正転Aは、上記他のプラネタリギヤ63とプラネタリギヤ62とを順次介し逆転されて第3動力伝達軸50が高速で逆転Bする。これにより、動力伝達装置17が「高速後進」の変速状態とされる。そして、上記第3動力伝達軸50の正転Aは、上記減速装置31、連動装置30、及び各プロペラ軸13を順次介して各プロペラ14に伝達され、船舶1は「高速後進」させられる。
上記構成によれば、上遊星歯車装置51を潤滑した後の油97を上記下遊星歯車装置52を迂回させて、上記オイルパン110に戻す油戻し通路117を設けている。
このため、上記上遊星歯車装置51を潤滑した後の油97が、この上遊星歯車装置51の下方に位置する上記下遊星歯車装置52に供給されることは防止される。よって、上記上遊星歯車装置51を潤滑した後の油97が上記下遊星歯車装置52のサンギヤ59やリングギヤ60などの回転体に供給されて、これら回転体に従って無用に連れ回りする、ということが防止されることから、この連れ回りに基づくエンジン15における動力損失の発生や燃費の低下が防止される。
また、前記したように、ケース11に収容され、上記下遊星歯車装置52を覆う変速ケース34を設け、この変速ケース34の側部に上記油戻し通路117を形成している。
ここで、上記変速ケース34は上記下遊星歯車装置52を覆うものであって形状が大きいものであるため、上記変速ケース34に形成される上記油戻し通路117の断面積は大きくできる。よって、上記上遊星歯車装置51を潤滑した後の油97は、上記油戻し通路117を通して上記オイルパン110に円滑に回収することができる。
また、上記したように、変速ケース34の側部に上記油戻し通路117を形成している。
このため、上記変速ケース34の平面断面視で、この変速ケース34の側部に上記油戻し通路117を形成したことにより上記変速ケース34の前部外面が前方に拡張してしまうことを抑制することができる。また、これに伴い、上記変速ケース34を収容するケース11の前部外面が前方に拡張してしまうことも抑制することができる。
よって、上記船体3の後部とケース11の前部外面との接触を避けつつ、船舶推進機4の重心を上記船体3の後部により接近させることができる。この結果、上記船体3の後部が上記船舶推進機4を支持する際の支持モーメントを小さくでき、このため、上記船体3の後部における強度上の負担を軽減させることができる。
即ち、上記変速ケース34の平面断面視で、上記油戻し通路117の断面積を大きくすることにより、この油戻し通路117を通してのオイルパン110への油97の回収を円滑にさせるようにした場合でも、上記したように、船舶推進機4を支持する船体3の後部における強度上の負担を軽減させることができる。
また、前記したように、上下方向に延びる軸心28と同一軸上に上記上遊星歯車装置51及び下遊星歯車装置52を配置し、上記上遊星歯車装置51の軸心28上に位置する第2動力伝達軸49を設け、この第2動力伝達軸49にその軸方向に沿って延びる第2油供給通路120を形成し、この第2油供給通路120を通し上記下遊星歯車装置52に潤滑用の油97を供給するようにしている。
このため、上記第2油供給通路120を通しての下遊星歯車装置52への油97の供給は、上記上遊星歯車装置51から干渉を受けることなく達成され、かつ、上記油97は下遊星歯車装置52の回転中心側に供給される。よって、上記下遊星歯車装置52には適正量の油97が供給されると共に、上記下遊星歯車装置52の回転中心側に供給される油97は、その後、遠心力により径方向の外部側に供給される。この結果、上記下遊星歯車装置52の潤滑が均一に良好に達成される。
また、上下方向に延びて上記変速ケース34の前部を上記ケース11に締結させる左右一対の前ボルト35と、上下方向に延びて上記変速ケース34の後部を上記ケース11に締結させる左右一対の後ボルト36とを備え、船体3の幅方向における上記左右前ボルト35,35同士の幅寸法W1を、上記左右後ボルト36,36同士の幅寸法W2よりも大きくしている。
このため、上記左右前ボルト35,35は、上記変速ケース34の左右各側部がわに位置させることができることから、上記各前ボルト35の配置のために、上記変速ケース34の前部外面が前方に拡張してしまうことを抑制することができる。また、これに伴い、上記変速ユニット29を収容するケース11の前部外面が前方に拡張してしまうことも抑制することができる。
よって、前記と同様の理由により、上記船体3の後部における強度上の負担を軽減させることができる。
また、前記変速ケース34の側部に形成されて冷却水126を流動させる冷却水通路130aを上記油戻し通路117の外側方に配置している。
このため、上記油戻し通路117における油97は、上記冷却水通路130aを流動する冷却水126により、より直接的に効率よく冷却される。よって、上記油97の劣化が、より確実に防止される。
また、上記したように変速ケース34の側部に形成された上記冷却水通路130aを油戻し通路117の外側方に配置している。
このため、第1に、上記冷却水通路130aは、上記油戻し通路117よりも上記変速ケース34の外面側に位置することから、この冷却水通路130aの長さを、より大きくできる。よって、その分、この冷却水通路130aを流動する冷却水126の量をより多くできて、上記油戻し通路117における油97をより十分に冷却させることができる。
また、第2に、上記ケース11内において、上記変速ケース34の外方の近傍域には、排気通路20が形成されており、この排気通路20を排気19が流動するが、上記したように、冷却水通路130aは油戻し通路117よりも外側方に位置しているため、この油戻し通路117を流動する油97が上記排気19の排気熱により加熱される、ということは、上記冷却水通路130aを流動する冷却水126によって防止される。
また、上記変速ケース34の平面断面視で、上記冷却水通路130の面積を上記油戻し通路117の面積よりも大きくしている。
このため、上記冷却水通路130を流動する冷却水126の量を多くすることができて、この冷却水126により上記油戻し通路117を流動する油97をより十分に冷却させることができる。
また、前記したように、上記冷却水通路130及び上記油戻し通路117を変速ケース34の側壁に沿った円弧状に形成し、変速ケース34と上記下遊星歯車装置52とが上下方向に延びる共通の軸心28を有し、上記変速ケース34の平面断面視で、上記軸心28回りにおける上記冷却水通路130の円弧長さを上記油戻し通路117の円弧長さよりも大きくしている。
このため、上記冷却水通路130の断面積を更に大きくできる。よって、この冷却水通路130を流動する冷却水126の量をより多くできて、この冷却水126により上記油戻し通路117における油97を更に十分に冷却させることができる。
なお、以上は図示の例によるが、上記エンジン15は船体3に支持させてもよい。また、上記ケース11に対し上記変速ケース34は一体的に形成してもよい。また、上記ロアケース22の上面板24とロアケース本体25とは互いに一体的に形成してもよい。また、上記ワンウェイクラッチ75に代えて、多板クラッチを設けてもよい。また、上記変速ユニット29の平面断面視で、上記各冷却水通路130a,130bは互いに連続させてもよい。
また、上記上遊星歯車装置51を潤滑した後の油97を上記油戻し通路117により下遊星歯車装置52を迂回させて上記オイルパン110に戻す場合、上記油戻し通路117により下遊星歯車装置52の上部を迂回させて、この下遊星歯車装置52の下部内に上記油97を流入させるようにし、この油97を下遊星歯車装置52の下部内を通して上記オイルパン110に戻すようにしてもよい。また、上記油戻し通路117は、上記変速ケース34の内面に縦溝を形成し、この縦溝の開口を蓋板により閉じることにより形成してもよく、パイプ材により形成してもよい。
変速ユニットを断面で示した船舶推進機の側面断面図である。 変速ユニットを外形で示した船舶推進機の側面断面図である。 船舶推進機の簡略線図である。 変速ユニットの拡大背面断面図である。 図4の一部分の拡大断面図である。 図4の他部分の拡大断面図である。 図4のVII−VII線矢視断面図である。 図4のVIII−VIII線矢視断面図である。 図4のIX−IX線矢視断面図である。 図4のX−X線矢視断面図である。 図4のXI−XI線矢視断面図である。 図4のXII−XII線矢視断面図である。 変速ユニットの作用を示す図である。
符号の説明
1 船舶
2 水
3 船体
4 船舶推進機
7 推進ユニット
11 ケース
14 プロペラ
15 エンジン
17 動力伝達装置
28 軸心
34 変速ケース
35 前ボルト
36 後ボルト
37 変速装置
49 第2動力伝達軸
51 上遊星歯車装置
52 下遊星歯車装置
97 油
98 被供給部
99 油供給装置
110 オイルパン
117 油戻し通路
120 第2油供給通路
126 冷却水
127 水冷却装置
128 水ポンプ
129 水吸入通路
130 冷却水通路
130a 冷却水通路
130b 冷却水通路
131 排出孔
134 第1円弧線
135 第2円弧線
R1 第1半径
R2 第2半径
W1 幅寸法
W2 幅寸法

Claims (7)

  1. 船体に支持されるケースと、このケースの下部に支持されるプロペラと、上記ケースに収容されて上下に配置され、エンジンからの出力を入力し、この入力を変速して上記プロペラに向けて出力する上遊星歯車装置及び下遊星歯車装置と、これら上、下遊星歯車装置の下方に配置され、これら上、下遊星歯車装置の潤滑用の油を貯留するオイルパンとを備えた船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置において、
    上記上遊星歯車装置を潤滑した後の油を上記下遊星歯車装置を迂回させて、上記オイルパンに戻す油戻し通路を設けたことを特徴とする船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置。
  2. 上記ケースに収容され、上記下遊星歯車装置を覆う変速ケースを設け、この変速ケースの側部に上記油戻し通路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置。
  3. 上下方向に延びる同一軸上に上記上遊星歯車装置及び下遊星歯車装置を配置し、上記上遊星歯車装置の軸心に沿って延びる油供給通路を形成し、この油供給通路を通し上記下遊星歯車装置に潤滑用の油を供給するようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置。
  4. 上下方向に延びて上記変速ケースの前部を上記ケースに締結させる左右一対の前ボルトと、上下方向に延びて上記変速ケースの後部を上記ケースに締結させる左右一対の後ボルトとを備え、船体の幅方向における上記左右前ボルト同士の幅寸法を、上記左右後ボルト同士の幅寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置。
  5. 上記変速ケースの側部に形成されて冷却水を流動させる冷却水通路を上記油戻し通路の外側方に配置したことを特徴とする請求項2、もしくは4に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置。
  6. 上記変速ケースの平面断面視で、上記冷却水通路の面積を上記油戻し通路の面積よりも大きくしたことを特徴とする請求項5に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置。
  7. 上記冷却水通路及び上記油戻し通路を変速ケースの側壁に沿った円弧状に形成し、上記変速ケースと上記下遊星歯車装置とが上下方向に延びる共通の軸心を有し、上記変速ケースの平面断面視で、上記軸心回りにおける上記冷却水通路の円弧長さを上記油戻し通路の円弧長さよりも大きくしたことを特徴とする請求項6に記載の船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置。
JP2007328868A 2007-12-20 2007-12-20 船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置 Pending JP2009150481A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007328868A JP2009150481A (ja) 2007-12-20 2007-12-20 船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007328868A JP2009150481A (ja) 2007-12-20 2007-12-20 船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009150481A true JP2009150481A (ja) 2009-07-09

Family

ID=40919820

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007328868A Pending JP2009150481A (ja) 2007-12-20 2007-12-20 船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009150481A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102384227A (zh) * 2011-07-13 2012-03-21 杭州发达齿轮箱集团有限公司 一种双速比船用齿轮箱
WO2022270101A1 (ja) * 2021-06-24 2022-12-29 ジヤトコ株式会社 ユニット

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102384227A (zh) * 2011-07-13 2012-03-21 杭州发达齿轮箱集团有限公司 一种双速比船用齿轮箱
WO2022270101A1 (ja) * 2021-06-24 2022-12-29 ジヤトコ株式会社 ユニット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009161123A (ja) 船舶推進機の動力伝達装置における水冷却装置
US20180118318A1 (en) Cooling System for an Outboard Motor Having a Hydraulic Shift Mechanism
CA2718097C (en) Outboard motor
US9964210B1 (en) Transmission actuator for an outboard motor having a planetary transmission
JP6186967B2 (ja) 船外機の変速機
US10502312B1 (en) Transmission lubricant system for an outboard motor
JP2009185972A (ja) 船外機
JP2009184605A (ja) 船外機
TWI321622B (en) Outboard engine system
JP2009196444A (ja) 船舶推進ユニット
JP2009161054A (ja) 船外機
US20090203272A1 (en) Outboard motor
JP2010221754A (ja) 船外機
JP4969165B2 (ja) 船外機の推進装置
JP2009150481A (ja) 船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置
JP2008018867A (ja) 船外機の推進装置
JP2011058519A (ja) 自動変速機
JP2012122579A (ja) ギヤ装置における軸受の潤滑構造
US20140174397A1 (en) Casing structure for an internal combustion engine
EP3354870B1 (en) An outboard motor
US8337354B2 (en) Lubricator in power transmission system of marine propulsion unit
WO2012046570A1 (ja) 船舶用減速逆転装置
JP2009149202A (ja) 船舶推進機の動力伝達装置における潤滑装置
JP2009154628A (ja) 船舶推進機の動力伝達装置における油供給装置
JP2015147540A (ja) 船舶推進機