JP2009149764A - 接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法及び金属張積層板の製造方法 - Google Patents

接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法及び金属張積層板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な処理によってポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与し、且つポリイミドエッチング特性の優れたポリイミド樹脂層及び金属張積層板を提供する。
【解決手段】接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法であって、a)基材上に熱線膨張係数が1×10-6 〜30×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥してポリアミド酸層を形成する工程と、b)ポリアミド酸層の表面側の層に、芳香族アミノ化合物又は脂肪族アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸・乾燥してアミノ化合物含有層を形成する工程と、c)アミノ化合物含有層が形成されたポリアミド酸層を熱処理して、ポリアミド酸をイミド化すると共に芳香族アミノ化合物と反応させることによりポリイミド樹脂層と接着性層を形成する工程を備える接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着性層が改良された接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法及びその表面に金属層が積層する金属張積層板の製造方法に関し、より詳しくは、プリント配線板用に適した金属張積層板の製造方法に関する。
電子機器の電子回路には、絶縁材と導電材からなる積層板を回路加工したプリント配線板が使用されている。プリント配線板は、絶縁基板の表面(及び内部)に、電気設計に基づく導体パターンを、導電性材料で形成固着したものであり、基材となる絶縁樹脂の種類によって、板状のリジットプリント配線板と、柔軟性に富んだフレキシブルプリント配線板とに大別される。フレキシブルプリント配線板は、可撓性を持つことが特徴であり、常時屈曲を繰り返すような可動部では接続用必需部品となっている。また、フレキシブルプリント配線板は、電子機器内で折り曲げた状態で収納することも可能であるために、省スペース配線材料としても用いられる。フレキシブルプリント配線板の材料となるフレキシブル基板は、基材となる絶縁樹脂にはポリイミドエステルやポリイミド樹脂が多く用いられているが、使用量としては耐熱性のあるポリイミド樹脂が圧倒的に多い。一方、導電材には導電性の点から一般に銅箔が用いられている。
フレキシブル基板は、その構造から3層フレキシブル基板と、2層フレキシブル基板があり、銅箔層等の導電材層とポリイミド樹脂層等の絶縁材層を有する金属張積層板である。3層フレキシブル基板は、ポリイミドなどのベースフィルムと銅箔をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの接着剤で貼り合わせて、ベースフィルム層(絶縁樹脂層の主層)、接着剤層、銅箔層の3層で構成される。一方、2層フレキシブル基板は特殊工法を採用して、接着剤を使用せずに、ベースフィルム層、銅箔層の2層で構成される積層板である。2層フレキシブル基板は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの耐熱性の低い接着剤層を含まないので、信頼性が高く、回路全体の薄膜化が可能でありその使用量が増加している。一方、別の観点からすると、フレキシブル基板のベースフィルム層は、熱膨張係数が低いことがカールの発生を防止するために望まれているが、熱膨張係数が低いポリイミド樹脂は接着性が劣るため、接着剤を使用せずに全部をポリイミド樹脂とする場合は、良接着性のポリイミド樹脂層を接着面側に接着性付与層として設けることが必要であった。また、両面に銅箔層を有するフレキシブル基板も知られており、片面に銅箔層を有する片面フレキシブル基板を製造したのち、2枚のフレキシブル基板を重ね合わせて積層する方法又は片面フレキシブル基板に銅箔を重ね合わせて積層する方法などが知られている。
近年、電子機器における高性能化、高機能化の要求が高まっており、それに伴って電子デバイスに使用される回路基板材料であるプリント配線板の高密度化が望まれている。プリント配線版を高密度化するためには、回路配線の幅と間隔を小さくする、すなわちファインピッチ化する必要があり、併せて回路加工時の寸法安定性も要求される。また、ポリイミド樹脂層のエッチング加工時におけるエッチング精度に関しても例外ではなく、エッチング後の加工形状等に関してもその要求は厳しい。一般的に、接着性層として使用される熱可塑性ポリイミドは、ポリイミド樹脂層のベースとなる低熱膨張性ポリイミドとはアルカリ処理液等による溶解速度(エッチング速度)が異なるため、エッチング加工時にアンダーカットを生じたり、接着性層が庇状に残存したりする問題が生じた。
そこで、ポリイミド樹脂層のエッチング加工時のエッチング形状を向上させるために、接着性層である熱可塑性ポリイミド層の厚みを薄くした材料が提案されている。例えば、特開2006−190824号公報(特許文献1)では、COF(チップオンフィルム)の製造工程におけるICチップ実装時の配線沈み込みを防止するために導体と接するポリイミド層の厚みを2.0μm以下の積層板が提案されている。しかしながら、このような積層板は、非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドのエッチング速度の違いを考慮しておらず、ポリイミド樹脂層のエッチング加工後の形状不良を生じやすい傾向にあった。一方、非熱可塑性ポリイミドの最外層にある熱可塑性ポリイミドの厚み比率を規定し、ウェットエッチング時のオーバーエッチングやアンダーカットを制御する手法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法では非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドのエッチング速度に充分に注意を払ったとしても、オーバーエッチングやアンダーカット含めたエッチング形状を精度よく制御することは困難であった。また、ポリイミド樹脂層のエッチング加工時のエッチング形状を向上させるために、ポリイミド樹脂層を単一層とした材料が提案されている(特許文献3)。しかしながら、このようなポリイミド樹脂層は熱可塑性ポリイミドをベース層としたものであり、その熱膨張係数は金属と比べて大きいため、材料の寸法安定性を制御することは困難であった。
特開2006−190824号公報 特開2005−111858号公報 特開2004−276413号公報
また、接着性層を有するポリイミド樹脂層の形成方法としては、基材上に非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体溶液を塗布、乾燥し、その上に熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体溶液を塗布、乾燥し、硬化させる方法が従来知られており、例えば、特許文献1にも開示されている。この場合、熱可塑性ポリイミド樹脂層が接着性層となるが、この方法は、ポリイミド接着剤層を設ける必要があり、絶縁樹脂層が厚くなるという問題があった。
本発明は、ポリイミド樹脂層に特定の接着性層を形成することで、金属層との高い接着性を付与し、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りを発生させない接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法を提供すると共に、プリント基板のファインピッチ化にも応える十分な接着強度を担保しつつ、絶縁樹脂層の極薄化にも対応できる金属張積層板を提供することを目的とする。他の目的は、両面金属張積層板の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者等が検討を行ったところ、ポリイミド樹脂層の形成工程を適切に改良することにより、これを用いたポリイミド樹脂層は、金属層との接着強度も高く、ポリイミドエッチング時の形状を制御することが容易となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法であって、
a)基材上に熱線膨張係数が1×10-6 〜30×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥してポリアミド酸層を形成する工程と、
b)ポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸・乾燥してアミノ化合物含有層を形成する工程と、
c)アミノ化合物含有層が形成されたポリアミド酸層を熱処理して、ポリアミド酸をイミド化すると共にアミノ化合物と反応させることによりポリイミド樹脂層と接着性層を形成する工程
を備えることを特徴とする接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法である。
また、本発明は、金属張積層板の製造方法であって、
I)ポリイミド樹脂層の片面に接着性層を形成する接着性層形成工程と、
II)該接着性層の表面に金属層を形成する工程
を備え、工程I)が、上記工程a)と工程b)と工程c)を備えること特徴とする金属張積層板の製造方法である。
ここで、上記アミノ化合物としては、第1級若しくは第2級のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物又は少なくとも3つの第1級のアミノ基を官能基として有する脂肪族アミノ化合物の群より選択される少なくとも1種のアミノ化合物が適する。また、工程II)が、d)接着性層の表面に金属箔を重ね合わせて熱圧着する工程、又はe)接着性層の表面に金属薄膜層を蒸着する工程を有することが適する。
以下、接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法に関する本発明を説明し、次に金属張積層板の製造方法に関する本発明の説明をするが、共通する部分は同時に説明する。
本発明の製造方法で得られる接着性層を有するポリイミド樹脂層は、ポリイミド樹脂層とその片面又は両面に接着性層を有するものであり、接着性層もポリイミド樹脂層からなるが、改質されたポリイミド樹脂層となっている。そして、接着性層はポリイミド樹脂層より接着性が高い。なお、接着性層を有するポリイミド樹脂層は、有利にはポリイミド樹脂層を有する積層体の表面ポリイミド樹脂層又は単離のポリイミド樹脂フィルムである。
以下、接着性層である改質されたポリイミド樹脂層と未改質のポリイミド樹脂層と区別するため、前者を接着性層といい、後者をポリイミド樹脂層という。また、ポリイミド樹脂層を形成するポリイミド樹脂とその前駆体であるポリアミド酸は、前駆体と製品の関係にあるため、いずれか一方を説明することにより他方の構造が理解される。
接着性層を有するポリイミド樹脂層の態様は特に限定されるものではなく、フィルム(シート)であってもよく、金属箔、ガラス板、樹脂フィルム等の基材に積層した状態のものでもよい。なお、ここでいう基材とはポリイミド樹脂層が積層されるシート状の樹脂又は金属箔等をいう。しかし、ポリイミド樹脂層の片面又は両面に積層する接着性層は表面層として存在する。また、接着性層を有するポリイミド樹脂層の全体厚みは、3〜100μm、好ましくは3〜50μmの範囲にある。
ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を硬化(イミド化)することによって形成することができるが、硬化の詳細については後述する。
ポリイミド樹脂層として適用できるポリイミド樹脂としては、いわゆるポリイミド樹脂を含めて、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有する耐熱性樹脂がある。
本発明の接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法においては、ポリイミド樹脂層としては、低接着性であって、低熱膨張性のポリイミド樹脂層が適する。具体的には、熱線膨張係数が1×10-6 〜30×10-6(1/K)、好ましくは1×10-6 〜25×10-6(1/K)、より好ましくは15×10-6 〜25×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂層に適用すると大きな効果が得られる。したがって、ポリアミド酸層としては、これをイミド化することにより上記ポリイミド樹脂層を与えるものが使用される。
上記ポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂としては、一般式(1)で現される構造単位を有するポリイミド樹脂が好ましい。
Figure 2009149764
但し、Ar1は式(2)又は式(3)で表される4価の芳香族基を示し、Ar3は式(4)又は式(5)で表される2価の芳香族基を示し、R1は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、X及びYは独立に単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、O、S、CO、SO、SO2若しくはCONHから選ばれる2価の基を示しnは独立に0〜4の整数を示し、qは構成単位の存在モル比を示し、0.1〜1.0の範囲である。
Figure 2009149764
上記構造単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構造単位として存在してもよい。構造単位を複数有する共重合体である場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在してもよい。このような構造単位を有するポリイミド樹脂の中で、好適に利用できるポリイミド樹脂は非熱可塑性のポリイミド樹脂である。
ポリイミド樹脂は、一般に、ジアミンと酸無水物とを反応させて製造されるので、ジアミンと酸無水物を説明することにより、ポリイミド樹脂の具体例が理解される。上記一般式(1)において、Ar3はジアミンの残基ということができ、Ar1は酸無水物の残基ということができるので、好ましいポリイミド樹脂をジアミンと酸無水物により説明する。しかし、この方法によって得られるポリイミド樹脂に限定されない。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物が好ましく挙げられる。
また、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等が好ましく挙げられる。また、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物等が好ましく挙げられる。
その他の酸無水物として、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノベンズアニリド等が好ましく挙げられる。
また、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン等が好ましく挙げられる。
その他のジアミンとして、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等が挙げられる。
酸無水物、ジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。また、上記一般式(1)に含まれないその他の酸無水物又はジアミンを上記の酸無水物又はジアミンと共に使用することもでき、この場合、その他の酸無水物又はジアミンの使用割合は90モル%以下、好ましくは50モル%以下とすることがよい。酸無水物又はジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移点(Tg)等を制御することができる。
ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の合成は、ほぼ等モルの酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させることにより行うことができる。使用する溶媒については、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
合成されたポリアミド酸は溶液とされて使用される。通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。
ポリアミド酸層を形成する方法は特に限定されず、例えば、ポリアミド酸の溶液を基材上に塗布した後に乾燥することで形成できるが、塗布する方法も特に制限されず、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。その後、乾燥させてポリアミド酸層とする。
乾燥させる方法としては、特に制限されず、例えば、60〜200℃の温度条件で1〜60分行うことがよい。この乾燥工程においては、接着性層を形成する側において、ポリアミド酸の脱水閉環の進行によるイミド化を完結させないように温度を制御する。このためには、60〜150℃の温度条件で乾燥を行うことが好ましい。接着性層を形成する側にポリアミド酸の状態を残すことは、アミノ化合物を含浸させるために必要である。乾燥後のポリアミド酸層は上記のようにポリアミド酸構造の一部がイミド化していても差し支えないが、イミド化率は50%以下、より好ましくは20%以下としてポリアミド酸構造を50%以上残すことがよい。なお、ポリアミド酸のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、透過法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1,000cm-1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1,720cm-1のイミド基由来の吸光度から算出される。
ポリアミド酸層は、単層のみから形成されるものでも、複数層からなるものでもよい。ポリアミド酸層を複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリアミド酸層の上に他のポリアミド酸を順次塗布して形成することができる。ポリアミド酸層が3層以上からなる場合、同一の構成のポリアミド酸を2回以上使用してもよい。層構造が簡単である2層又は単層、特に単層は、工業的に有利に得ることができる。例えば、複数層からなる場合はエッチング速度を揃えるなど制限があるので、単層が有利である。なお、複数層の場合は、接着性層に接する側のポリアミド酸層は、上記低熱膨張性のポリイミド樹脂層の前駆体であるポリアミド酸層とする。また、ポリアミド酸層の厚み(乾燥後)は、3〜100μm、好ましくは3〜50μmの範囲にあることがよい。
本発明の接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法では、工程a)、b)及びc)を備える。工程a)は、基材上に熱線膨張係数が1×10-6 〜30×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥してポリアミド酸層を形成する工程である。これは、上記した方法で行うことができる。工程b)は、ポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸・乾燥してアミノ化合物含有層を形成する工程である。ここで、上記ポリアミド酸層はポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥させて得られたものであり、工程b)の前にはアルカリ処理、プラズマ処理等の改質処理はなされない。有利には、工程a)に引き続いて工程b)に付すことがよい。しかし、基材からの剥離など表面改質に関係ない処理はなされてもよい。
アミノ化合物としては、ポリアミド酸のカルボキシ基と反応性のアミノ基を有する化合物を使用することができる。好ましくは、第1級若しくは第2級のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物(以下、芳香族アミノ化合物と略する)又は少なくとも3つの第1級のアミノ基を官能基として有する脂肪族アミノ化合物(以下、脂肪族アミノ化合物と略する)の群から選択される少なくとも1種のアミノ化合物である。
芳香族アミノ化合物としては、第1級のアミノ基又は第2級のアミノ基が芳香族環に置換した芳香族アミンが使用される。特に、第1級のアミノ基が芳香族環に置換した芳香族アミンがよい。アミノ基の数は1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは2である。芳香族アミノ化合物の分子量は、90〜1000、好ましくは100〜600、より好ましくは110〜500であることがよい。また、芳香族アミノ化合物としては例えば、少なくとも1個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜4個の芳香族環を有する化合物が挙げられ、芳香族環はアミノ基以外の置換基で置換されていても、いなくてもよい。アミノ基以外の置換基としては、ポリアミド酸層に存在する末端カルボキシル基と縮合重合を可能とする官能基、例えば水酸基、メルカプト基等を有するものが好ましい。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の縮合環がある。複数個の芳香族環を有する化合物としては、ビフェニル環等の他に、Ar-X-Ar、Ar-Y-Ar-X-Ar-Y-Ar(ただし、Arはベンゼン環等の芳香族環、X及びYは独立にCO、O、S、SO、SO2、CONH、CnH2n等の2価の基)にアミノ基が置換した化合物がある。アミノ基以外の置換基としては、例えば分枝鎖でも直鎖でもよい炭素原子数1〜18のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)、炭素原子数6〜13の芳香族基(例えば、フェニル)、炭素原子数7〜12のアリールアルキル基(例えば、ベンジル)等が挙げられる。ヒドロキシル基も芳香族環の置換基として利用できる。芳香族環をヒドロキシル基で置換した化合物の1例はアミノフェノールである。更に、炭素原子数10〜20の縮合環系も本発明の芳香族アミン基含有化合物として利用できる。本発明に利用可能な縮合環系の1例はジアミノナフタレンである。
芳香族アミノ化合物の具体例を次に示すが、これには限られない。また、芳香族アミノ化合物は1種類以上を使用することができる。
アニリン、トルイジン、アミノナフタレン、アミノビフェニル、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等を挙げることができる。
脂肪族アミノ化合物としては、少なくとも3つの第1級のアミノ基を有する化合物が有利に使用される。中でも、炭素原子、水素原子及び窒素原子のみで構成されるものが好ましく挙げられるが、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、フッ素原子、燐原子を有していてもよい。具体例として、トリス(2−アミノエチル)アミンがある。第1級のアミノ基が1つ又は2つである場合には、高い反応性を持つ脂肪族アミンによってポリイミドの低分子量化が著しく進行し、ポリイミド樹脂層が脆くなるため、接着強度を発現しにくい。
これらのアミノ化合物は1種類以上を使用することができる他、芳香族アミノ化合物及び脂肪族アミノ化合物から選ばれる2種類以上を使用することができる。
これらのアミノ化合物は、極性溶媒の溶液として使用する。極性溶媒としては、アミノ化合物を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、水又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、もしくはアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、あるいはN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の3級アミン類、ジメチルスルホキサイド等が挙げられ、これらは、単独で用いても、数種を混合させて用いてもよく、水と混合してもよい。好ましくは、メタノールである。
これらのアミノ化合物を含む極性溶媒の溶液の濃度は、アミノ化合物の濃度として、0.0001〜1M(0.0001〜1モル/L)、好ましくは0.0001〜0.1M、より好ましくは0.0005〜0.1M、更に好ましくは0.001〜0.05Mの範囲にあることが適当である。
アミノ化合物の濃度が高いと、アミノ化合物溶液がポリアミド酸層に含浸するにとどまらず、ポリアミド酸層面上に付着する量が多くなるので、高濃度は望ましくない。
含浸方法は、ポリアミド酸層面にアミノ化合物を含む極性溶媒の溶液が接触することができる方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。温度は0〜100℃、好ましくは10〜40℃付近の常温でよい。また、含浸時間は、浸漬法を適用する場合、30秒〜1時間、好ましくは1〜15分間処理することが有効である。
塗布法を適用する場合、その塗布厚み(以下、ウェット厚みということもある)を1.0μm以上とし、後の接着性層形成工程で形成される接着性層の厚みが3.0μm未満、好ましくは0.05〜2.0μm、より好ましくは0.1〜1.0μmの範囲にあるようにすることがよい。アミノ化合物の極性溶媒溶液のウェット厚みは、好ましくは1〜70μm、より好ましくは3〜50μmがよく、このような範囲に制御することで、接着性層形成工程で形成される接着性層の厚みを上記範囲内とすることが可能となる。また、アミノ化合物の極性溶媒溶液を塗布する方法は特に制限されず、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターもしくはグラビア印刷法にて塗布することができ、塗布は数回に分けて行っても差し支えないが、1回の塗布で上記ウェット厚みにすることが工業的にも有利である。所望のウェット厚みが30μm以上であり、1回のみの塗布によって所望のウェット厚みとする場合には、例えば、ウェット厚みと同等の吐出口高さを有するダイコーターを使用することや、樹脂層面とのギャップ間距離をウェット厚みとするリップコーターを使用することが好ましい。また、含浸方法は、特段の操作を必要とせず、上記の塗布及び後述する乾燥による操作の過程で、含浸を行うことができる。たとえば、乾燥温度を低めに設定することで含浸時間を長くとることが可能である。
乾燥後、ポリアミド酸層面上に余分に付着したアミノ化合物がある場合は、水又は有機溶剤で洗浄することが好ましい。この洗浄に用いる有機溶剤は、炭素数1〜8の炭化水素系アルコール類、炭素数3〜6の炭化水素系ケトン類、炭素数4〜12の炭化水素系エーテル類、炭素数3〜7の炭化水素系エステル類、炭素数3〜6のアミド類、炭素数4〜8の炭化水素化合物等を用いることができるが、これに限定されるものではない。経済的観点から、安価なメタノールが好適に用いられる。また、エアガンにより余分に付着した芳香族アミノ化合物を吹き飛ばすことも有効である。
また、乾燥の方法も特に制限されず、自然乾燥、エアガンによる吹きつけ乾燥、あるいはオーブンによる乾燥等を用いることができる。乾燥条件は、極性溶媒の種類にもよるが、10〜150℃で5秒〜60分間、好ましくは25〜150℃で10秒〜30分間、更に好ましくは30〜120℃で、1分〜10分間である。
この含浸・乾燥処理では、アミノ化合物を含む極性溶媒の溶液がポリアミド酸層面からその内部に浸透して、アミノ化合物含有層が形成される。浸透する厚み、すなわちアミノ化合物含有層の厚みは、ポリアミド酸層厚みの1/200〜1/2の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1/100〜1/5の範囲がよい。また、別の観点からは0.01〜3.0μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.0μm、更に好ましくは0.1〜1.0μmがよい。このような厚みの範囲とすることで、金属箔の熱圧着に有利となる。また、別の観点からは0.005〜0.1μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1μm、更に好ましくは0.05〜0.1μmがよい。このような厚みの範囲とすることで、金属薄膜形成に有利となる。このようにして得られたポリアミド酸層は、表面が改質され、その後のイミド化処理によって接着性が向上した表面処理ポリイミド樹脂層となる。基材上にポリイミド樹脂層を形成させたポリイミド樹脂層はそのまま使用してもよく、剥がすなどして使用してもよい。
次いで、工程c)に付す。工程c)はアミノ化合物含有層が形成されたポリアミド酸層を熱処理して、ポリアミド酸をイミド化すると共にアミノ化合物と反応させることによりポリイミド樹脂層と接着性層を形成する工程である。上記工程b)では、アミノ化合物を含有しないポリアミド酸層の上に、アミノ化合物を含有するアミノ化合物含有層が形成されるので、これを熱処理することにより、ポリアミド酸がイミド化してポリイミド樹脂となる。更に、アミノ化合物含有層では、ポリアミド酸がイミド化する反応と、アミノ化合物のアミノ基とポリアミド酸のカルボキシ基との反応が生じる。
工程c)においては、上記アミノ化合物含有層を有するポリアミド酸層をイミド化処理して接着性層を形成する。イミド化は、加熱によるイミド化又は触媒を利用した化学的イミド化のどちらでも可能であり、限定されないが、例えば、加熱によるイミド化を行う場合は、100〜400℃、好ましくは150〜400℃の温度で完全にイミド化を行うことがよく、イミド化が不十分である場合には、触媒による化学的イミド化を併用してもよい。このイミド化処理では、ポリアミド酸のイミド化が主として生じるが、アミノ化合物とポリイミド樹脂、特にポリアミド酸に存在する末端カルボキシル基又は主鎖中に存在するカルボキシル基が反応してイミド化又はアミド化する反応が同時に生じると考えられる。したがって、工程c)においては、ポリアミド酸層の表面側にあるアミノ化合物含有層が低分子量化された状態でイミド化され、末端が安定化され、その結果、接着性が向上したポリイミド樹脂層、すなわち接着層になると考えられる。
次に、本発明の金属張積層板の製造方法について詳細を説明する。工程I)のポリイミド樹脂層の片面に接着性層を形成する接着性層形成工程は、接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法と同様に行うことができる。この方法で得られた接着性層を有するポリイミド樹脂層を工程II)に付す。すなわち、上記工程a)、工程b)及び工程c)に付したのち、工程II)に付す。工程II)では該接着性層の表面に金属層を形成するが、この形成方法としては、熱圧着法と蒸着法により金属層を形成する方法が適する。熱圧着により金属層を形成する方法を工程d)といい、蒸着等により金属薄膜を形成する方法を工程e)という。
工程d)において、金属箔を熱圧着する方法は特に制限されず、適宜公知の方法を採用することができる。金属箔を張り合わせる方法としては、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、連続式熱ラミネータ等を挙げることができる。金属箔を張り合わせる方法の中でも、十分なプレス圧力が得られ、残存揮発分の除去も容易に行え、更に金属箔の酸化を防止することができるという観点から真空ハイドロプレス、連続式熱ラミネータを用いることが好ましい。
また、熱圧着は、150〜450℃の範囲内に加熱しながら金属箔をプレスすることが好ましい。より好ましくは150〜400℃の範囲内である。更に、好ましくは150〜380℃の範囲内である。別の観点からはポリイミド樹脂層又は改質イミド化層のガラス転移温度以上の温度であることがよい。また、プレス圧力については、使用するプレス機器の種類にもよるが、通常、1〜50MPa程度が適当である。
金属箔としては、鉄箔、ニッケル箔、ベリリウム箔、アルミニウム箔、亜鉛箔、インジウム箔、銀箔、金箔、スズ箔、ジルコニウム箔、ステンレス箔、タンタル箔、チタン箔、銅箔、鉛箔、マグネシウム箔、マンガン箔及びこれらの合金箔が挙げられる。このなかでも、銅箔(銅合金箔)又はステンレス箔が適する。ここでいう銅箔とは、銅又は銅を主成分とする銅合金の箔を言う。好ましくは銅含有率が90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上の銅箔である。銅箔が含有している金属としては、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等を挙げることができる。また、これらの金属が2種類以上含有される合金箔であっても良い。また、ステンレス箔は、材質に制限はないが、例えばSUS304のようなステンレス箔が好ましい。
金属箔は、ポリイミド樹脂層が積層する面にシランカップリング剤処理が施されていてもよい。シランカップリング剤は、アミノ基又はメルカプト基等の官能基を有するシランカップリング剤が好ましく、より好ましくはアミノ基を有するシランカップリング剤がよい。具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。この中でも、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン及びN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランから選択される少なくとも1種であることがよい。特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン又は/及び3-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤は極性溶媒の溶液として使用する。極性溶媒としては、水又は水を含有する極性有機溶媒が適する。極性有機溶媒としては、水との親和性を有する極性の液体であれば、特に限定されない。このような極性有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。シランカップリング剤溶液は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%濃度の溶液がよい。
シランカップリング剤処理は、シランカップリング剤を含む極性溶媒の溶液が接触する方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。温度は0〜100℃、好ましくは10〜40℃付近の常温でよい。また、浸漬時間は、浸漬法を適用する場合、10秒〜1時間、好ましくは30秒〜15分間処理することが有効である。処理後、乾燥する。乾燥方法は、特に限定されず、自然乾燥、エアガンによる吹きつけ乾燥、あるいはオーブンによる乾燥等を用いることができる。乾燥条件は、極性溶媒の種類にもよるが、10〜150℃で5秒〜60分間、好ましくは25〜150℃で10秒〜30分間、更に好ましくは30〜120℃で1分〜10分間である。
金属箔が銅箔である例としては、フレキシブル基板用途に用いる場合が挙げられる。この用途として用いられる場合の銅箔の好ましい厚みは3〜50μmの範囲であり、より好ましくは5〜30μmの範囲であるが、ファインピッチの要求される用途で用いられる銅張積層板には、薄い銅箔が好適に用いられ、この場合、5〜20μmの範囲が適している。また、本発明は表面粗度が小さい銅箔を用いても樹脂層に対する優れた接着性が得られることから、特に、表面粗度が小さい銅箔を用いる場合に適している。好ましい銅箔の表面粗度は、十点平均粗さで0.1〜3μmの範囲が適している。特にファインピッチの要求される用途で用いられる銅箔については、表面粗度は十点平均粗さで0.1〜1.0μmが適している。
金属箔がステンレス箔である例としては、ハードディスクドライブに搭載されているサスペンション(以下、HDDサスペンション)用途に用いる場合が挙げられる。この用途として用いられる場合のステンレス箔の好ましい厚みは10〜100μmの範囲がよく、より好ましくは15〜70μmの範囲がよく、更に好ましくは15〜50μmの範囲がよい。
この金属張積層板の製造方法によって得られる積層板は、ポリイミド樹脂層の片面又は両面に金属箔を有する積層板である。片面に金属箔を有する積層板は、本発明の接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法によって得られた接着性層に金属箔を積層することにより得られる。接着性層を有するポリイミド樹脂層がガラス、樹脂フィルム等の基材に積層されている場合は、これを必要により基材から剥離する。接着性層を有するポリイミド樹脂層が銅箔等の金属箔に積層されている場合は、このポリイミド樹脂層側に金属箔を積層することにより両面金属張積層板とすることができる。また、両面に金属箔を有する金属張積層板は、上記の方法の他、ポリイミド樹脂層がその両面に接着性層を有する場合は、この両面に金属箔を積層することにより得られる。
次に、工程e)を備える本発明の金属張積層板の製造方法について説明する。
工程e)において、金属薄膜層は蒸着法により形成する。蒸着法は、特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等を使用でき、特に、スパッタリング法が好ましい。このスパッタリング法はDCスパッタ、RFスパッタ、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、ECスパッタ、レーザービームスパッタ等各種手法があるが、特に制限されず、適宜採用することができる。スパッタリング法による金属薄膜層の形成条件については、例えば、アルゴンガスをスパッタガスとして使用し、圧力は好ましくは1×10-2〜1Pa、より好ましくは5×10-2〜5×10-1Paであり、スパッタ電力密度は、好ましくは1〜100Wcm-2、より好ましくは1〜50Wcm-2の条件で行う方法がよい。この場合、金属薄膜層からなる金属層は十分に薄いものとすることができる。このようにして形成した金属薄膜層の上に、適宜、無電解めっき又は電解めっきによって厚膜の導体金属層としてもよい。
蒸着で設ける金属薄膜層に適した金属としては、銅、ニッケル、クロムやこれらの合金がある。蒸着法においては、金属の薄膜を形成できるという利点があるが、厚膜を形成するには不向きである。そこで、金属薄膜層を厚くして電気抵抗を下げたり、強度を高める場合は、その上に比較的厚い銅薄膜層を設けてもよい。
蒸着法による金属薄膜の形成は、銅を薄膜層として用いることが好ましい。この際、接着性をより向上させる下地金属薄膜層を表面処理ポリイミド樹脂層に設け、その上に銅薄膜層を設けてもよい。下地金属薄膜層としては、ニッケル、クロムやこれらの合金層がある。下地金属薄膜層を設ける場合、その厚みは銅薄膜層厚みの1/2以下、好ましくは1/5以下で、1〜50nm程度の厚みとすることがよい。この下地金属薄膜層もスパッタリング法により形成することが好ましい。
ここで用いられる銅は一部に他の金属を含有する合金銅でも良い。スパッタリング法により形成させる銅又は銅合金は好ましくは銅含有率が90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上のものである。銅が含有し得る金属としては、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等を挙げることができる。また、これらの金属が2種類以上含有される銅合金であってもよい。
工程e)において形成される金属薄膜層の厚みは、0.01〜1.0μmの範囲であることがよく、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。薄膜層を更に厚くする場合には、無電解めっき又は電解めっきによって、厚膜にしてもよい。このようにして形成される金属層は、サブトラクティブ法ないしはセミアディティブ法で回路形成を行うこともできる。
本発明によれば、簡便な処理によってポリイミド樹脂層に金属層との高い接着性を付与し、且つポリイミドエッチング時にアンダーカットや庇状のエッチング残りを発生させないので、優れた金属張積層板を提供することが可能となる。また、本発明で得られる接着性層は、高温加熱下における発泡の発生による不具合を抑制することができるので、その工業的価値は高いものである。
以下、本発明を実施例により具体例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[接着強度の測定]
接着強度は、ストログラフVES05D(東洋精機製作所社製)を用いて、幅1mmの短冊状に切断したサンプルについて、室温で90°、1mmピール強度を測定することにより評価した。
[熱線膨張係数の測定]
線熱膨張係数は、サーモメカニカルアナライザー(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、サンプルを250℃まで昇温し、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、240℃から100℃までの平均線熱膨張係数(CTE)を求めることにより評価した。
[接着性層の厚み測定]
接着性層の厚みは、走査型透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、透過モードに設定し、サンプルの断面を観察し、改質層の厚みを確認することにより評価した。
[ポリイミドエッチング形状の測定]
まず100mm角の金属張積層板を用い、金属層側をエッチングし、100μm径のビア
を形成して試験片とした。その後、金属層をエッチングマスクとして、水酸化カリウム33.5wt%、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%からなる水溶液をエッチング液として用い、80℃のエッチング液に、試験片を10〜60秒間浸漬した。浸漬後に試験片を断面研磨し、ポリイミドのサイドエッチング形状を観察した。
本実施例に用いた略号は以下の化合物を示す。その他の略号は上記されているとおりである。
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
DAPE:3,4'−ジアミノジフェニルエーテル
HAB:4,4'−(3,3'−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル
TAPM:トリス(4−アミノフェニル)メタノール
ASD:4,4'−ジアミノビフェニルスルファイド
DABA:4,4'−ジアミノベンズアニリド
TAEA:トリス(2−アミノエチル)アミン
作製例1
500mlのセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら20.7gの2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド(0.08モル)を343gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液を窒素気流中で28.5gのPMDA(0.13モル)及び10.3gのDAPE44(0.05モル)を加えた。その後、約3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸溶液Sを得た。
得られたポリアミド酸溶液Sを、ステンレス基材の上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムをステンレス基材から剥離し、25μmの厚みのポリイミドフィルムSを得た。このフィルムSの線熱膨張係数は、14.6×10-6(1/K)であった。
作製例2
5gの3-アミノプロピルトリメトキシシラン、500gのメタノール及び2.5gの水を混合し、2時間撹拌することで、シランカップリング剤溶液を調整した。予め水洗したステンレス箔1(新日本製鐵株式会社製 SUS304 H-TA、厚み20μm)をシランカップリング剤溶液(液温約20℃)へ30秒間浸漬した後、一旦大気中に引き上げ、余分な液を落とした。次いで圧縮空気を約15秒間吹き付けて乾燥した。その後、110℃で30分間加熱処理を行い、シランカップリング剤処理のステンレス箔2を得た。
実施例1
作製例1で得られたポリアミド酸溶液Sを基材上にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、イミド化後の厚みが25μmとなるようにポリアミド酸層を作製した。
上記のポリアミド酸層の上に、スロットダイコーターを用いて0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)をウェット厚み50μmで塗布した後、130℃で2分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、接着性層を有するポリイミド樹脂層を作製した。得られた樹脂層を基材から剥離することで、接着性層を有するポリイミドフィルム1を得た。このフィルムの接着性層の厚みは0.7μmであった。
得られたフィルム1の接着性層面に、作製例2のステンレス箔2のシランカップリング剤処理面を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機にて20MPa、温度370℃、プレス時間1分の条件で加熱圧着して、金属張積層板1を作製した。フィルムと金属の接着強度及び絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。得られた金属張積層板は接着強度、エッチング後の絶縁樹脂層の形状も特に問題はなかった。なお、接着強度は、0.5kN/m以上を問題なしとした。
実施例2
実施例1における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのDAPEのメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着性層を有するポリイミドフィルム2及び金属張積層板2を作製した。接着性層の厚みは0.8μmであった。
実施例3
実施例1における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのHABのメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着性層を有するポリイミドフィルム3及び金属張積層板3を作製した。接着性層の厚みは0.6μmであった。
実施例4
実施例1における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのTAPMのメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着性層を有するポリイミドフィルム4及び金属張積層板4を作製した。接着性層の厚みは0.5μmであった。
実施例5
作製例1で得られたポリアミド酸溶液Sを基材上にアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、イミド化後の厚みが25μmとなるようにポリアミド酸層を作製した。
上記のポリアミド酸層の上に、グラビアロールを用いて0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)をウェット厚み5μmで塗布した後、130℃で2分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、接着性層を有するポリイミド樹脂層を作製した。得られた樹脂層を基材から剥離することで、接着性層を有するポリイミドフィルム5を得た。このフィルムの接着性層の厚みは約0.05μmであった。
このフィルムに金属原料が成膜されるように、RFマグネトロンスパッタリング装置(ANELVA;SPF-332HS)にセットし、槽内を3×10-4Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入し真空度を2×10-1Paとし、RF電源にてプラズマを発生した。このプラズマにてニッケル:クロムの合金層[比率8:2、99.9重量%、以下、ニクロム層(第一スパッタリング層5a)]が膜厚30nmとなるようにポリイミドフィルムへ成膜した。ニクロム層を成膜した後、同一雰囲気にて、このニクロム層上にさらにスパッタリングにより銅(99.99重量%)を0.2μm成膜して第二スパッタリング層5bを得た。
次いで、上記スパッタ膜(第二スパッタリング層5b)を電極として電解めっき浴にて8μm厚の銅めっき層(めっき層5c)を形成した。電解めっき浴としては、硫酸銅浴(硫酸銅100g/L、硫酸220g/L、塩素40mg/L、アノードは含りん銅)を使用し、電流密度2.0A/dm2にてめっき膜を形成した。めっき後には十分な蒸留水で洗浄し乾燥を行った。このようにして、ポリイミドフィルム/ニクロム層5a/銅スパッタ層5b/電解めっき銅層5cから構成される金属張積層板5を作製した。フィルムと金属の接着強度及び絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した。結果を表1に示す。
実施例6
実施例5における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのHABのメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例5と同様にして、接着性層を有するポリイミドフィルム6及び金属張積層板6を作製した。接着性層の厚みは約0.04μmであった。
実施例7
実施例5における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのASDのメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例5と同様にして、接着性層を有するポリイミドフィルム7及び金属張積層板7を作製した。接着性層の厚みは約0.04μmであった。
実施例8
実施例5における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのDABAのメタノール溶液(25℃)を使用した以外は、実施例5と同様にして、接着性層を有するポリイミドフィルム8及び金属張積層板8を作製した。接着性層の厚みは約0.04μmであった。
実施例9
実施例1における0.02M濃度のBAPPのメタノール溶液(25℃)の代わりに、0.02MのTAEAのメタノール溶液(25℃)の1分浸漬した以外は、実施例1と同様にして、接着性層を有するポリイミドフィルム9及び金属張積層板9を作製した。接着性層の厚みは約0.4μmであった。
比較例1
作製例1のポリイミドフィルムに、作製例2のステンレス箔2のシランカップリング剤処理面を重ね合わせ、高性能高温真空プレス機にて20MPa、温度370℃、プレス時間1分の条件で加熱圧着して、金属張積層板を作製した。フィルムと金属の接着強度は0.1kN/m未満であった。
比較例2
作製例1のポリイミドフィルムに、金属原料が成膜されるように、RFマグネトロンスパッタリング装置にセットし、槽内を3×10-4Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入し真空度を2×10-1Paとし、RF電源にてプラズマを発生した。このプラズマにてニッケル:クロムの合金層[比率8:2、99.9重量%、以下、ニクロム層(第一スパッタリング層11a)]が膜厚30nmとなるようにポリイミドフィルムへ成膜した。ニクロム層を成膜した後、同一雰囲気にて、このニクロム層上にさらにスパッタリングにより銅(99.99重量%)を0.2μm成膜して第二スパッタリング層11bを得た。
次いで、上記スパッタ膜(第二スパッタリング層11b)を電極として電解めっき浴にて8μm厚の銅めっき層(めっき層11c)を形成した。電解めっき浴としては、硫酸銅浴(硫酸銅100g/L、硫酸220g/L、塩素40mg/L、アノードは含りん銅)を使用し、電流密度2.0A/dm2にてめっき膜を形成した。めっき後には十分な蒸留水で洗浄し乾燥を行った。このようにして、ポリイミドフィルム/ニクロム層11a/銅スパッタ層11b/電解めっき銅層11cから構成される金属張積層板を得た。ポリイミドフィルムと銅箔の接着強度は、0.1kN/mであった。
以上の条件、及びフィルムと金属の接着強度及び絶縁樹脂層のエッチング形状を評価した結果をまとめて表1に示す。
Figure 2009149764

Claims (5)

  1. 接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法であって、
    a)基材上に熱線膨張係数が1×10-6 〜30×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥してポリアミド酸層を形成する工程と、
    b)ポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸・乾燥してアミノ化合物含有層を形成する工程と、
    c)アミノ化合物含有層が形成されたポリアミド酸層を熱処理して、ポリアミド酸をイミド化すると共にアミノ化合物と反応させることによりポリイミド樹脂層と接着性層を形成する工程
    を備えることを特徴とする接着性層を有するポリイミド樹脂層の製造方法。
  2. アミノ化合物が、第1級若しくは第2級のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物である請求項1に記載のポリイミド樹脂層の製造方法。
  3. アミノ化合物が、3つの第1級のアミノ基を官能基として有する脂肪族アミノ化合物である請求項1に記載のポリイミド樹脂層の製造方法。
  4. 金属張積層板の製造方法であって、
    I)ポリイミド樹脂層の片面に接着性層を形成する接着性層形成工程と、
    II)該接着性層の表面に金属層を形成する工程
    を備え、工程I)が、
    a)基材上に熱線膨張係数が1×10-6 〜30×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥してポリアミド酸層を形成する工程と、
    b)ポリアミド酸層の表面側の層に、アミノ化合物を含む極性溶媒溶液を含浸・乾燥してアミノ化合物含有層を形成する工程と、
    c)アミノ化合物含有層が形成されたポリアミド酸層を熱処理して、ポリアミド酸をイミド化すると共にアミノ化合物と反応させることによりポリイミド樹脂層と接着性層を形成する工程
    を備えること特徴とする金属張積層板の製造方法。
  5. 工程II)が、
    d)接着性層の表面に金属箔を重ね合わせて熱圧着する工程、又はe)接着性層の表面に金属薄膜層を蒸着する工程を含む請求項4記載の金属張積層板の製造方法。
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