JP2009149486A - 防火安全ガラスと、その製造方法、防火安全ガラス接合体、防火安全ガラス窓構造及び防火安全ガラス窓の施工方法 - Google Patents

防火安全ガラスと、その製造方法、防火安全ガラス接合体、防火安全ガラス窓構造及び防火安全ガラス窓の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも大開口で連続的外観の防火窓を形成可能で、火災時に樹脂フィルムのガス抜け不全で爆裂しない防火安全ガラス、その製造方法、防火安全ガラス接合体及び防火窓の施工方法を提供する。
【解決手段】本発明の防火安全ガラス10は、板ガラス11、12が樹脂フィルム13を介して接着した合わせガラス部10aと、合わせガラス部10aから板ガラス11の1辺が10〜600mm突出する突出部11cとを有する。また本発明の製造方法は板ガラス11の透光面にフィルム13を配置し、板ガラス11の1辺を10〜600mmの帯状部位を残して板ガラス12を配置し、帯状部位を剥離材付き板材で覆って積層体を形成し、それに真空用パッキンを装着してオートクレーブで内部を減圧しつつ加熱、加圧して板ガラス11、12を熱圧着する。本発明の防火安全ガラス接合体及び防火窓の施工方法は2枚の防火安全ガラス10の互いの突出部11cを相欠き接ぎで接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、火災時に防火戸として機能し、また平常時には安全ガラスとして機能する防火安全ガラスと、その製造方法、防火安全ガラス接合体、防火安全ガラス窓構造及び防火安全ガラス窓の施工方法に関するものである。
近年、事務所ビル、デパート等の大型建築物が増加するにつれて、火災時に火炎や煙を遮断して延焼を最大限に食い止める防火戸の機能と、平常時に破損しても破片が飛散せず、貫通孔を生じない安全ガラスの機能の両方を有する防火安全ガラスに対する需要が増大してきている。この防火安全ガラスは、国土交通省から特定防火設備として認定され、市販されている。
この特定防火設備とは、建築基準法施行令第112条第1項に規定されており、通常の火災による火炎が加えられた場合に、加熱開始後1時間、加熱面以外の面に火炎を出さない性能のものであり、国土交通省から指定された評価試験機関による試験に合格した防火設備である。
例えば、特許文献1、2には、複数枚の防火性ガラス板の片面あるいは両面に、鎖状の分子構造のみからなるフッ素樹脂フィルムが接着されてなる防火安全ガラスが開示されている。また特許文献3には、特許文献2に記載の防火安全ガラスの製造方法が開示されている。さらに特許文献4、5には、合わせガラスの接合技術が開示されている。
特開平4−224938号公報 特開平8−132560号公報 特開平9−2847号公報 特開2005−320214号公報 特開2006−250345号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の防火安全ガラスは、耐熱結晶化ガラスの板サイズの最大寸法の製造限界、及びフッ素樹脂フィルムの最大寸法の製造限界により、現在のところ1200×3000mmが最大寸法となるので、この寸法よりも大きい開口部に連続的な透明窓を形成することができない。
また、防火安全ガラスのサイズが1200×2400mmよりも大きい寸法になると、火災等の加熱時に、板ガラスの間に配されたフッ素樹脂フィルムから生じるガスの総量が多くなり、板ガラス間からガスが抜けない場合には、板ガラスが爆裂を起こして破損する確率が高くなる等の問題点がある。
特許文献4、5に記載のような合わせガラスの接合技術では、連結板材やボルト・ナットを使用するので、施工が煩雑でありコスト高である。また、このような接合形態では、合わせガラスの突き合わせ部にシール材等を配置する必要があり、窓部としての外観が不連続になる問題点がある。
本発明は、従来にない大きい開口部に対して連続的な外観の窓部を形成することができ、火災時に樹脂フィルムのガス抜け不全によるガラス板の爆裂を起こすことのない防火安全ガラスと、その製造方法、防火安全ガラス接合体及び防火安全ガラス窓の施工方法を提供することを技術課題とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る防火安全ガラスは、矩形状の2枚の透明板ガラスが、双方の対向する2辺が揃えられて互いの透光平面の間に樹脂フィルムを介して接着された合わせガラス部と、該合わせガラス部から一方の透明板ガラスの少なくとも1辺が他方の透明板ガラスよりも10〜600mm平行に突出している突出部とを有することを特徴とする。
本発明で突出部とは、矩形状の合わせガラス部から一方の透明板ガラスの1辺が、他方の透明板ガラスの1辺よりも10〜600mm平行に突出している帯状の部分である。言い換えると、一方の透明板ガラスの1辺よりも他方の透明板ガラスの1辺が10〜600mm平行に後退しており、合わせガラスの少なくとも1辺に帯状の切り欠き部が形成されていることになる。この突出部の突出寸法が10mm未満であると、加熱時の防火安全ガラスを支持する枠材等の変形により、突出部の重ね合せ部分に隙間が生じる可能性が高くなり、遮炎性に劣る。一方、突出する寸法が600mmを超えると、ガラス同士が接着する部分が相対的に小さくなることから防火安全ガラスの製品精度が出しにくくなり、現場で施工する時の精度調整が困難になる。また、2枚の透明板ガラスが同じ形状寸法の場合には、図1(A)、(B)に示すように、防火安全ガラス10の一方の透明板ガラス11の対向する2辺11a、11bと、他方の透明板ガラス12の対向する2辺12a、12bとが揃えられ、樹脂フィルム13を介して重ねられて合わせガラス部10aが形成されており、これら2辺以外のそれぞれの辺が合わせガラス部10aから突出して突出部11c、12cが形成されることになる。この突出部は、後に重ね合わせて開口部の大きい防火安全ガラス窓を施工することを目的としているので、同時に施工する他の防火安全ガラスの突出部と同様な寸法形状を有するものである。また、突出部の樹脂フィルム13側の表面には、樹脂フィルム13が付いている防火安全ガラスと、付いていない防火安全ガラスとを組み合わせると、互いの突出部を重ね合わせた時には、突出部以外の防火安全ガラスの部分と同様の厚さになるので重ね合わせ部位が目立たなくなるので外観上好ましい。
また、本発明の防火安全ガラスは、一方の透明板ガラスが、他方の透明板ガラスよりも突出部の突出方向に長いものであることを特徴とする。
本発明で、一方の透明板ガラスが、他方の透明板ガラスよりも突出部の突出方向に長いものであるとは、図1(C)、(D)に示すように、防火安全ガラス10の合わせガラス部10aから一方の透明板ガラス11の1辺が10〜600mm突出している突出部11cのみを有する場合と、図1(E)、(F)に示すように、合わせガラス部10aから一方の透明板ガラス11の対向する2辺11a、11b以外の対向する2辺が10〜600mm突出している突出部11c、11dが形成される場合とがある。
本発明で防火安全ガラスとは、JIS R 3205 「合せガラス」による外力の作用によって破損しても破片の大部分が飛び散らない安全性と、建築基準法施行令第112条第1項で規定されている特定防火設備の基準を満たす防火性能を合わせ持つ板ガラス又はISO834の標準加熱曲線に基づく加熱試験により、割れや、脱落が生じず、合格したものを意味している。
本発明の防火安全ガラスは、2枚の透明板ガラスのうち少なくとも1枚が、−10〜10×10-7/Kの線膨張係数を有する耐熱結晶化ガラスよりなるものであることが、建築基準法施行令第112条第1項で規定されている特定防火設備の遮炎性能の基準を満たす上で好ましい。また、2枚の透明板ガラスが、耐熱結晶化ガラスよりなるものであることが、高い耐火性を実現する上でさらに好ましい。例えば、網入りガラス以外の防火ガラス板を規定している国内規格では、(社)カーテンウォール・防火開口部協会、板硝子協会、ガラスブロック工業会の《耐熱板ガラス品質規格》、制定:平成7年9月1日、改定:平成19年4月1日がある。
また、本発明で使用する樹脂フィルムとしては、鎖状の分子構造を有するフッ素樹脂フィルムであり、さらに、鎖状の分子構造のみを有するフッ素樹脂からなるものであると、難燃性で空気中では燃え難い特性があり好ましい。また、使用するフッ素樹脂フィルムの厚みが0.2〜2mmであると、平常時の破損に対してガラスの飛散防止や耐貫通性に効果がある。
また、本発明の防火安全ガラスは、樹脂フィルムが、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなることを特徴とする。
本発明で、樹脂フィルムが、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなるとは、着色フィルムや模様着きフィルムを樹脂層として用いることを意味している。これにより、防火安全ガラスの意匠設計の自由度を大きく広げることが可能となり、商業施設等への施工が好適である。更に、紫外線の遮蔽性能を有すると共に中赤外線を大幅に遮蔽し、日射熱を低減する遮熱樹脂フィルムや、意匠性を高める装飾用樹脂フィルムを使用することにより、本発明の防火安全ガラスに遮熱性能や意匠性を付与することができる。
本発明に係る防火安全ガラスの製造方法は、矩形状の2枚の透明板ガラスが、双方の対向する2辺が揃えられて互いの透光平面の間に樹脂フィルムを介して接着された合わせガラス部と、該合わせガラス部から一方の透明板ガラスの少なくとも1辺が他方の透明板ガラスよりも10〜600mm平行に突出している突出部とを有する防火安全ガラスの製造方法であって、前記一方の透明板ガラスの透光平面の少なくとも前記合わせガラス部を形成する表面の全面に亘って樹脂フィルムを配置し、前記一方の透明板ガラスの前記1辺から幅が10〜600mmの帯状部位を残した状態で、前記樹脂フィルム上に、前記双方の対向する2辺を揃えて他方の透明板ガラスを配置し、該帯状部位を剥離材付き板材により覆うことで積層体を形成し、該積層体の周囲に真空用パッキンを装着するとともに該積層体の剥離材付き板材と他方の透明板ガラスとの境目を気密シールし、オートクレーブ装置を使用して積層体内を減圧に維持しつつ加熱・加圧することで、第一及び他方の透明板ガラス同士を熱圧着することを特徴とする。
本発明の防火安全ガラスの製造方法は、上記突出部を形成するように一方の透明板ガラスの対向する2辺11a、11bと他方の透明板ガラスの対向する2辺12a、12bとを揃えて樹脂フィルム13を介して重ねることで積層体を形成するものである。この2枚の透明板ガラスが同じ形状寸法の場合には、図1(A)、(B)に示すように、防火安全ガラス10の一方の透明板ガラス11の対向する2辺11a、11bと、これらと重なっている他方の透明板ガラス12の対向する2辺12a、12b以外の2枚の透明板ガラス11、12のそれぞれの1辺が合わせガラス部10aから突出する突出部11c、12cを有するものになる。
本発明の製造方法で使用する剥離材付き板材としては、オートクレーブ装置による加圧・加熱処理に対して、耐久性を有する材料よりなるものであれば使用可能である。板材としては、透明板ガラスと同じガラスや耐熱結晶化ガラス、錆が剥落しない耐食性金属、セラミックス等が使用可能である。剥離材としては、シリコーン溶液を付着乾燥したもの、ポリテトラフルオロエチレン製のシート等が使用可能である。また、剥離材付き板材の形状寸法としては、突出部の形状寸法に相当する形状寸法のもの、複数枚で突出部の形状寸法に相当するもの等が使用可能である。
また、本発明の製造方法で積層体の周囲に装着する真空用パッキンとしては、材質がシリコーン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等であり、形状は板状、溝状等が使用可能である。この真空用パッキンには、積層体の内部を減圧するための排気用接続パイプが設けられており、オートクレーブ装置内に設けた排気口に接続して真空ポンプ等を用いた排気装置により減圧するようになっている。
また、本発明の製造方法で積層体を処理するオートクレーブ装置の加熱・加圧条件としては、180℃以下、15kgf/cm2以下であればよい。
また、本発明の防火安全ガラスの製造方法は、他方の透明板ガラスよりも突出部の突出方向に長い寸法を有する一方の透明板ガラスを使用することを特徴とする。
他方の透明板ガラスよりも突出部の突出方向に長い寸法を有する一方の透明板ガラスを使用する場合には、図1(C)、(D)に示すような防火安全ガラス10の一方の透明板ガラス11に合わせガラス部10aから突出させた突出部11cのみを形成する場合と、図1(E)、(F)に示すように、透明板ガラス11の対向するそれぞれの2辺を合わせガラス部10aから突出させて突出部11c、11dを形成するように樹脂フィルム13を介して他方の透明板ガラス12を重ねる場合とがある。
本発明に係る防火安全ガラス接合体は、上記本発明の第一防火安全ガラスの突出部と、前記突出部と実質的に同じ寸法形状の突出部を有する上記本発明の第二防火安全ガラスの突出部とが樹脂フィルムを介して重ね合わせられ、相欠き接ぎの形態で接合されてなることを特徴とする。
本発明の防火安全ガラス接合体は、建築、木工等で用いられる手法の一つであって、第一防火安全ガラスの突出部と、第二防火安全ガラスの突出部とを樹脂フィルムを介して重ね合わせることで、互いの切り欠き部を重ねて他の部位と同じ厚さとして連続性を維持する相欠き接ぎの形態で接合されているものである。
本発明の防火安全ガラス窓構造は、上記本発明の防火ガラス接合体が固定されてなることを特徴とする。
本発明に係る防火安全ガラス窓の施工方法は、上記本発明の第一防火安全ガラスの突出部と、前記突出部と実質的に同じ寸法形状の突出部を有する上記本発明の第二防火安全ガラスの突出部とを樹脂フィルムを介して重ね合わせて相欠き接ぎの形態で接合することにより、防火安全ガラス窓を施工することを特徴とする。また、本発明では、枠体に、第一及び第二防火安全ガラスを固定することが好ましい。
本発明の防火安全ガラス窓の施工方法では、透明板ガラスよりなる第一防火安全ガラスの突出部と第二防火安全ガラスの突出部とを樹脂フィルムを介して重ね合わせて相欠き接ぎの形態で接合することが、接合部と積層部との光透過率差を少なくすることができ、透明板ガラスの突き合わせ位置も表裏でずれているので境目が目立つこともなく連続的な外観の窓部を形成する上で重要である。
本発明の防火安全ガラス窓の施工方法で、枠体に、第一及び第二防火安全ガラスを固定するとは、第一防火安全ガラスの突出部と第二防火安全ガラスの突出部とを樹脂フィルムを介して重ね合わせて相欠き接ぎの形態で接合した状態を、窓枠等の枠体を使用して保持することを意味している。本発明で使用する枠体としては、特定防火設備の遮炎性能の基準を満たすスチール製やステンレス製の板材を曲げ加工したものが使用可能であり、火災時の変形が小さいものが好ましい。
本発明の防火安全ガラスは、矩形状の2枚の透明板ガラスが、双方の対向する2辺が揃えられて互いの透光平面の間に樹脂フィルムを介して接着された合わせガラス部と、該合わせガラス部から一方の透明板ガラスの少なくとも1辺が他方の透明板ガラスよりも10〜600mm平行に突出している突出部とを有するので、従来では防火安全ガラスを施工するスチール製等の枠に最大で1200×3000mmの防火安全ガラスを1枚施工するものであったが、このような構成の防火安全ガラスによれば、突出部を重ね合わせて施工することにより施工する枠内に複数の防火安全ガラスを施工することが可能となり、従来にない大きな開口部に対して連続的な外観を有して視界が良好な窓部を提供することができる。
また、一方の透明板ガラスが、他方の透明板ガラスよりも突出部の突出方向に長いものである本発明の防火安全ガラスによれば、2枚の透明板ガラスの揃っている対向する2辺以外の1辺が突出している突出部を有する防火安全ガラスの2枚の透明板ガラスの強固な積層部の端部を枠体等に保持することが可能になる。また、一方の透明板ガラスの対向する2辺が突出する突出部を有する防火安全ガラスでは、中央に使用した場合に接合部を左右対称に配置することが可能になり、デザイン上好ましいものである。
また、本発明の防火安全ガラスは、樹脂フィルムが、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなるので、多様な意匠表現が可能となる。
本発明の防火安全ガラスの製造方法は、矩形状の2枚の透明板ガラスが、双方の対向する2辺が揃えられて互いの透光平面の間に樹脂フィルムを介して接着された合わせガラス部と、該合わせガラス部から一方の透明板ガラスの少なくとも1辺が他方の透明板ガラスよりも10〜600mm平行に突出している突出部とを有する防火安全ガラスの製造方法であって、前記一方の透明板ガラスの透光平面の少なくとも前記合わせガラス部を形成する表面の全面に亘って樹脂フィルムを配置し、前記一方の透明板ガラスの前記1辺から幅が10〜600mmの帯状部位を残した状態で、前記樹脂フィルム上に、前記双方の対向する2辺を揃えて他方の透明板ガラスを配置し、該帯状部位を剥離材付き板材により覆うことで積層体を形成し、該積層体の周囲に真空用パッキンを装着するとともに該積層体の剥離材付き板材と他方の透明板ガラスとの境目を気密シールし、オートクレーブ装置を使用して積層体内を減圧に維持しつつ加熱・加圧することで、第一及び他方の透明板ガラス同士を熱圧着するので、上記本発明の防火安全ガラスを効率よく、かつ容易に製造することが可能となる。
本発明の防火安全ガラス接合体は、上記本発明の第一防火安全ガラスの突出部と、前記突出部と実質的に同じ寸法形状の突出部を有する上記本発明の第二防火安全ガラスの突出部とが樹脂フィルムを介して重ね合わせられ、相欠き接ぎの形態で接合されてなるので、接合部と積層部との光透過率差が少なくなり、透明板ガラスの突き合わせ位置も表裏でずれているので境目が目立つこともなく連続的な外観の窓部を形成することができる。
本発明の防火安全ガラス窓構造は、枠体に、上記本発明の防火ガラス接合体が固定されてなるので、従来にない大きな開口部に対して境目が目立つこともなく連続的な外観を有して視界が良好であり、強度的に優れた窓部を容易に形成することができる。
本発明に係る防火安全ガラス窓の施工方法は、上記本発明の第一防火安全ガラスの突出部と、前記突出部と実質的に同じ寸法形状の突出部を有する上記本発明の第二防火安全ガラスの突出部とを樹脂フィルムを介して重ね合わせて相欠き接ぎの形態で接合することにより、防火安全ガラス窓を施工するので、従来の施工方法と異なり、全ての防火安全板ガラスの少なくとも1辺がスチール製等の枠にのみ込まれていない為、火災時に端面部分の温度上昇が透明板ガラスの中央部に近いものとなり、フッ素樹脂等の樹脂フィルムから発生するガスが容易に抜けるので、2枚の透明板ガラス間にガスが溜まらないために爆裂による透明板ガラスの破損が無くなる。これに対して従来の施工では、防火安全ガラスの全ての端面がスチール枠内にのみ込まれているため、端面部分の温度上昇が中央部に比べて遅くなり、中央部でガスが発生し溜まっているにも係わらず、端面部分の透明板ガラスが密着状態にある時間があり透明板ガラスが爆裂する危険性があった。このように、透明板ガラスのサイズが適切であると、端面と中央部の温度上昇に差が少なくなり、強度的にも有利になって透明板ガラスが爆裂する可能性は低くなる。
以下、本発明の防火安全ガラス、その製造方法、防火安全ガラス接合体、防火安全ガラス窓構造及び防火安全ガラス窓の施工方法の実施形態について、図を参照して説明する。
図1(C)、(D)及び図2(D)に示す本実施例1の防火安全ガラス10を作製するには、まず、テトラフルオロエチレン(TFE)40重量%、ヘキサフルオロプロピレン(HEP)20重量%、ビニリデンフルオライド(VDF)40重量%の共重合体からなり、厚さ0.5mmの鎖状の分子構造のみからなるフッ素樹脂フィルム13と1200×2400×4mmと1180×2400×4mmの寸法を有し、線膨張係数が−2×10-7/Kの耐熱性透明結晶化ガラス製の2枚の透明板ガラス(日本電気硝子株式会社製商品名:ファイアライト)11、12を準備した。
次に、図2(A)に示すように、1200×2400×4mmの一方の透明板ガラス11の透光面の全面に亘ってフッ素樹脂フィルム13を配置した後に、突出部11aを形成するために、図2(B)に示すように、一方の透明板ガラス11のフッ素樹脂フィルム13上に、20×2400mmの帯状部位を残した状態で1180×2400×4mmの耐熱性透明結晶化ガラス製の他方の透明板ガラス12を、先の図1(A)に示したように、透明板ガラス11の対向する2辺11a、11bに12a、12bを揃えて載置し、帯状部位に、剥離材付き板材として20×2400mm、厚み4mmの耐熱性透明結晶化ガラス製の透明板ガラスの片面に剥離材14のシリコーン溶液を付着乾燥したスペーサー15を載置して覆うことで図2(C)に示すような積層体16とした。この積層体16の周囲に真空用パッキン17を装着して端面を真空用パッキン17の溝部に嵌め込み、また積層体16のスペーサー15と透明板ガラス12との境目を気密シール材18で気密シールし、この積層体16をオートクレーブ装置19に入れ、真空用パッキン17の図示しない接続パイプを減圧ポンプにつながれたオートクレーブ装置19内の図示しない接続部に接続し、減圧して板ガラス11、12の端部に発生する気泡を取り除きつつ、140℃、12kgf/cm2の環境下で15分保持して熱圧着処理を行った。その後、オートクレーブ装置18から積層体16を取り出してスペーサー15を取り除き、図2(D)に示すような防火安全ガラス10を得た。防火安全ガラス10の製品寸法は、合わせガラス部10aの幅が1180mm、突出部11cの幅が20mm、高さが2400mmである。
次に、本実施例の防火安全ガラスを用いた防火安全ガラス接合体と防火安全ガラス窓について説明する。
図3に示すように、上記寸法の第一防火安全ガラス20の透明板ガラス21がフッ素樹脂フィルム23で被覆された突出部21aと、上記寸法の第二防火安全ガラス30のフッ素樹脂フィルム33で覆われていない透明板ガラス31の突出部31aとを重ね合わせて相欠き接ぎの形態で接着処理を行って接合部40aを形成することで防火安全ガラス接合体40を作製した。この防火安全ガラス接合体40をスチール枠41にセットし、防火安全ガラス窓50の施工を行った。スチール枠41の見付寸法は、幅2360mm、高さ2380mm(のみ込み寸法:左右10mm、上下10mm)。なお、スチール枠41に第一防火安全ガラス20セットし、次いで突出部21aに第二防火安全ガラス30の突出部31aをフッ素樹脂フィルム23を介して重ね合わせて第二防火安全ガラス30をスチール枠41にセットして防火安全ガラス接合体40を作製してもよい。
この防火安全ガラス窓50を用いて特定防火設備の評価試験と同様の加熱試験を実施した。加熱試験の加熱条件は、加熱温度T(平均炉内温度)が以下に示す数1に従う。本加熱試験では加熱時間t(試験の経過時間)は60分とした。
Figure 2009149486
試験状況は、加熱開始11分20秒で、防火安全ガラス窓50の防火安全ガラス接合体40の接合部40a部分の高さ方向のほぼ中央部から煙が発生し、第一及び第二防火安全ガラス20、30の透明板ガラス21、22間及び31、32間にフッ素樹脂フィルム23、33のガスが溜まることなく計画通りにガス抜きが完了した。その後、加熱開始20分で透明板ガラス21、22間及び31、32間に留まった樹脂フィルム23、33が黒く変色し、その状態で加熱して60分まで経過した。その結果、透明板ガラス21、22、31、32の破損、火炎の貫通、有害な変形など発生せず、試験判定は合格となった。
図3に示す防火安全ガラス窓50と同様な構成で、第一及び第二防火安全ガラスの透明板ガラスの間に、薄い白色の和紙模様が施された模様付きフッ素樹脂フィルムを配置したものとし、模様付きフッ素樹脂フィルムで覆われていない第一及び第二防火安全ガラスの互いの突出部を重ね合わせて相欠き接ぎの形態で接着処理を行って接合部を形成することで、防火安全ガラス接合体を作製した。この防火安全ガラス接合体を使用して施工した防火安全ガラス窓は過去にはなかった薄い白色の和紙模様を有し、和風建具を想起させる新しい外観を呈するものとなった。
本発明では、施工する枠内に複数の複層ガラスを施工することが可能となり、従来にない大きな開口部に対して連続的な外観の視界が良好な窓部を提供することができる。
本発明の防火安全ガラスの説明図であって、(A)は2枚の透明板ガラスが同じ形状寸法の場合の側面図、(B)はその平面図、(C)は一方の透明板ガラスに一つの突出部を有する場合の側面図、(D)はその平面図、(E)は一方の透明板ガラスに二つの突出部を有する場合の側面図、(F)はその平面図。 本発明の防火安全ガラスの製造方法の説明図であって、(A)は一方の透明板ガラスの上に素樹脂フィルムを配置する説明図(B)は樹脂フィルム付透明板ガラス上に、他方の透明板ガラスと剥離材付き板材とを配置する説明図、(C)は2枚の透明板ガラスの積層体の周囲に真空用パッキンを装着し、オートクレーブ装置で熱圧着処理を行う説明図、(D)は完成した防火安全ガラスの断面図。 本発明の第一及び第二防火安全ガラスを使用した防火安全ガラス窓の説明図。
符号の説明
10 防火安全ガラス
10a 合わせガラス部
11 一方の透明板ガラス
11a、11b、12a、12b 互いに揃えられる対向する辺
11c、11d、12c、21a、31a 突出部
12 他方の透明板ガラス
13、23、33 樹脂フィルム
14 剥離材
15 スペーサー(剥離材付き板材)
16 積層体
17 真空用パッキン
18 気密シール材
19 オートクレーブ装置
20 第一防火安全ガラス
30 第二防火安全ガラス
40 防火安全ガラス接合体
40a 接合部
41 スチール枠
50 防火安全ガラス窓

Claims (11)

  1. 矩形状の2枚の透明板ガラスが、双方の対向する2辺が揃えられて互いの透光平面の間に樹脂フィルムを介して接着された合わせガラス部と、該合わせガラス部から一方の透明板ガラスの少なくとも1辺が他方の透明板ガラスよりも10〜600mm平行に突出している突出部とを有することを特徴とする防火安全ガラス。
  2. 一方の透明板ガラスが、他方の透明板ガラスよりも突出部の突出方向に長いものであることを特徴とする請求項1に記載の防火安全ガラス。
  3. 2枚の透明板ガラスのうち少なくとも1枚が、−10〜10×10-7/Kの線膨張係数を有する耐熱結晶化ガラスよりなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防火安全ガラス。
  4. 樹脂フィルムが、鎖状の分子構造を有するフッ素樹脂フィルムであり、該樹脂フィルムの厚みが0.2〜2mmであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の防火安全ガラス。
  5. 樹脂フィルムが、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の防火安全ガラス。
  6. 矩形状の2枚の透明板ガラスが、双方の対向する2辺が揃えられて互いの透光平面の間に樹脂フィルムを介して接着された合わせガラス部と、該合わせガラス部から一方の透明板ガラスの少なくとも1辺が他方の透明板ガラスよりも10〜600mm平行に突出している突出部とを有する防火安全ガラスの製造方法であって、
    前記一方の透明板ガラスの透光平面の少なくとも前記合わせガラス部を形成する表面の全面に亘って樹脂フィルムを配置し、前記一方の透明板ガラスの前記1辺から幅が10〜600mmの帯状部位を残した状態で、前記樹脂フィルム上に、前記双方の対向する2辺を揃えて他方の透明板ガラスを配置し、該帯状部位を剥離材付き板材により覆うことで積層体を形成し、該積層体の周囲に真空用パッキンを装着するとともに該積層体の剥離材付き板材と他方の透明板ガラスとの境目を気密シールし、オートクレーブ装置を使用して積層体内を減圧に維持しつつ加熱・加圧することで、第一及び他方の透明板ガラス同士を熱圧着することを特徴とする防火安全ガラスの製造方法。
  7. 他方の透明板ガラスよりも突出部の突出方向に長い寸法を有する一方の透明板ガラスを使用することを特徴とする請求項6に記載の防火安全ガラスの製造方法。
  8. 請求項1から請求項5の何れかに記載の第一防火安全ガラスの突出部と、前記突出部と実質的に同じ寸法形状の突出部を有する請求項1から請求項5の何れかに記載の第二防火安全ガラスの突出部とが樹脂フィルムを介して重ね合わせられ、相欠き接ぎの形態で接合されてなることを特徴とする防火安全ガラス接合体。
  9. 枠体に、請求項8に記載の防火ガラス接合体が固定されてなることを特徴とする防火安全ガラス窓構造。
  10. 請求項1から請求項5の何れかに記載の第一防火安全ガラスの突出部と、前記突出部と実質的に同じ寸法形状の突出部を有する請求項1から請求項5の何れかに記載の第二防火安全ガラスの突出部とを樹脂フィルムを介して重ね合わせて相欠き接ぎの形態で接合することにより、防火安全ガラス窓を施工することを特徴とする防火安全ガラス窓の施工方法。
  11. 枠体に、第一及び第二防火安全ガラスを固定することを特徴とする請求項10に記載の防火安全ガラス窓の施工方法。
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