JP2009148902A - レリーフ版及び高精度印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、高精細パターン印刷において、レリーフ表面にかかる印圧を分散し、印刷物の膜厚均一化を可能にすることである。
【解決手段】本発明に係る高精度印刷方法は、レリーフの頂面にインクを塗布し、該インクを基材へ転写する高精度印刷方法において、引っ張り強度が400N/mm2以上の剛直な支持体上に敷設され、かつ、前記レリーフの深度が300μm以下で前記レリーフの頂面に前記インクを充填するための微細な窪みが設けられた低深度のレリーフ版を使用することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る高精度印刷方法は、レリーフの頂面にインクを塗布し、該インクを基材へ転写する高精度印刷方法において、引っ張り強度が400N/mm2以上の剛直な支持体上に敷設され、かつ、前記レリーフの深度が300μm以下で前記レリーフの頂面に前記インクを充填するための微細な窪みが設けられた低深度のレリーフ版を使用することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂凸版印刷版とそれを用いた高精細な印刷方法に関するものであり、プリンタブルエレクトロニクス用途、特に配線材料や表示材料などの機能性材料インクを基板に転写し微細なパターンを形成するためのレリーフ版及び高精度な印刷方法に関する。
従来、表示パネルや配線回路等の微細パターン形成には高精細化が比較的容易なフォトリソグラフィー法が用いられているが、反面、製造工程が長く、設備が高価であり、プロセス廃棄物が多いなどの課題を残している。そんな中、近年、低コストで簡便な環境に優しい印刷法が注目され始めてきた。
印刷法の中で特にインクジェット法は所定の場所に所定量の機能性インクを描画することが可能であり、カラーフィルターなどで実用化が進みつつある(例えば特許文献1を参照。)。反面、高精細になると描画時間の増大、微細ノズルの詰りなどの問題がある。
これに対して凸版印刷法は、装置が単純で一括印刷による印刷時間の短縮、低コストが期待される製造方法である。しかし、高い膜厚均一性と高精細を同時に満足することが難しいとされてきた。この原因は高精細なレリーフの頂上面にインクを充填し、ガラス、フィルム、ガラスエポキシ基板などの印刷基板にインクを転移する際、ある程度の印圧(レリーフを印刷基板に押し込む量)が必要であり、この印圧によってインクがレリーフ面からはみ出し、印刷物のエッジ部が太ったり、ぎざぎざになったりするからである。
また、凸版印刷法の代表例として、レリーフに樹脂材料を使用した樹脂凸版印刷法(フレキソ印刷法)を挙げることができる。レリーフが樹脂であるため、微細加工が比較的容易にできること、レリーフに柔軟性があるため印刷基板へのダメージ、特に重ね刷りにおいて、先に形成されたパターンへ与えるダメージが低減されること、凸版印刷であるため非画像部にインクが付着しないことなどの特長があり、電子デバイスへの応用を想定した場合は、これらの特長は有利に働く。
しかしながら、微細パターンを印刷形成するための手段としてフレキソ印刷は殆ど使用されていなかった。その理由の一つとして従来使用されてきた印刷版の精度並びに印刷時の精度維持が難しかったからである。すなわち、フレキソ印刷法で高精細印刷を行なう場合、フレキソ印刷版のレリーフの厚み精度や印刷機の機械精度が十分でないと印圧が印刷パターン内で不均一になり、その結果、インクのレリーフ面からのはみ出しが不均一となり、精細なパターン印刷を行なうことができないのである。
これらの課題に対し、液晶パネルの配向膜印刷においてレリーフ頂上部に複数の微小突起や格子状パターンを設けることによって、配向膜インクを所定量レリーフ頂上部に保持することができ、また、印圧が均一にかかることによって膜厚均一性の高い塗布方法の技術が開示されている(例えば特許文献2又は3を参照。)。
また、レリーフパターンを二層構造にして、レリーフ上部層を高硬度の樹脂、レリーフ下部層を比較的低硬度の樹脂にすることによって、レリーフ下部層をクッション層として機能させ、印刷版のレリーフ厚みムラや印刷機の精度不足をこのクション層で吸収する技術が開示されている(例えば特許文献4を参照。)。
しかし、特許文献2又は3に開示された技術は、配向膜などの比較的大きなエリアに均一な膜厚で印刷する技術に対して開示された技術であり、高精細なパターン印刷に適応されるものではない。
また、特許文献4に開示された技術は、新聞や出版分野における印刷に対応したものであり、数μmから数10μmレベルの精細が要求されるプリンタブルエレクトロニクス用途の印刷版を作成することは困難である。
通常のフレキソ印刷では樹脂凸部にインクを充填した後、印刷用紙や段ボール紙へ数10μmから数100μm押し込むことによってインクを紙面へ転移し印刷を完了する。このため、インクが印圧によってレリーフ頂上部から押し出されるため外周部のインク厚みが大きくなる。プリンタブルエレクトロニクス分野ではパターンの膜厚精度が要求されるため、樹脂凸部に掛かる印圧を極力微小かつ均一することが要求され、理想的には印圧が殆どかからないキスタッチ印刷が理想である。近年、印刷機の開発が進み、機械精度としては10μmレベルのものが市販されるようになってきたが、印刷物の線幅や位置精度が数μm〜数10μmレベルの精度が要求されるエレクトロニクス用途ではまだ充分と言い難い状況である。
以上の観点から本発明は、高精細パターン印刷において、印刷版レリーフの厚み精度が十分でない場合、また印刷機の精度が十分得られない場合や印刷条件がばらついた場合においても印刷膜厚の均一性が低下することのないように、印刷版レリーフと印刷基板との接触圧力(印圧)が均一になる印刷版及びその印刷版を使用する印刷方法を開発することを目的とした。
本発明者らは、剛直な支持体に低いレリーフ深度かつ頂上面にインクを充填するための微細な窪みを有するレリーフ版を用いて印刷する高精度な印刷方法を見出した。すなわち、本発明に係る高精度印刷方法は、レリーフの頂面にインクを塗布し、該インクを基材へ転写する高精度印刷方法において、引っ張り強度が400N/mm2以上の剛直な支持体上に敷設され、かつ、前記レリーフの深度が300μm以下で前記レリーフの頂面に前記インクを充填するための微細な窪みが設けられた低深度のレリーフ版を使用することを特徴とする。
本発明に係る高精度印刷方法では、前記レリーフ版は、印刷機の版胴若しくは版ベッドに固定するための開口部が設けられており、かつ、該開口部を利用して前記レリーフ版を印刷機の版胴若しくは版ベッドに固定した状態で印刷を行なうことが好ましい。剛直な支持体を使用することで版胴や版ベッドへの装着も開口部を利用する簡便な方法で取り付けることができ、さらに印刷時のインク溶剤による版の膨潤、印刷中の印圧による版の寸法変化を最小限にすることができる。これによって、均一な印圧が得られる。
本発明に係る高精度印刷方法では、前記支持体の背面に弾性を有し、自身の形状を維持できるクッション層が設けられたレリーフ版を用いて印刷することが好ましい。剛直な支持体の裏面にクッション層を設けることでより均一な印圧が得られる。すなわち、印刷機の精度が十分ではない場合においては、剛直な支持体の背面に弾性の低いクッション層を設けることで印刷版に掛かる印圧がクッション層を介して剛直な支持体全面で受けることになり、その結果、低深度レリーフと印刷基板間の圧力も均一になり、極めて均一な印圧の下での印刷が可能になる。例えるなら、弾性を有するクッション層による静水圧下での支持体への印圧の加圧である。
本発明に係る高精度印刷方法では、前記クッション層の硬度がショアD硬度20以下であることが好ましい。
本発明に係る高精度印刷方法では、前記クッション層の厚みが0.05mm以上、2mm以下であるレリーフ版を用いて印刷することが好ましい。
また、本発明に係るレリーフ版は、レリーフの頂面にインクを塗布し、該インクを基材へ転写する高精度なレリーフ版において、引っ張り強度が400N/mm2以上の剛直な支持体上に敷設され、前記レリーフの深度が300μm以下で前記レリーフの頂面に前記インクを充填するための微細な窪みが設けられ、かつ、前記支持体の背面に弾性を有し、自身の形状を維持できるクッション層が設けられていることを特徴とする。先に述べたように、剛直な支持体の裏面にクッション層を設けることでより均一な印圧が得られる。
本発明に係るレリーフ版では、前記クッション層の硬度がショアD硬度20以下であることが好ましい。
本発明に係るレリーフ版では、前記クッション層の厚みが0.05mm以上、2mm以下であることが好ましい。
本発明の凸版印刷法は、剛直な支持体上に300μm以下のレリーフ深度と当該レリーフ頂上面にインクを補充するための微細な凹部が規則的に配列した印刷版を使用することでレリーフ版の厚みムラや印刷機の機械精度不足を吸収できる印刷方法であり、従来の凸版印刷の欠点であったインク端部が盛り上がるマージナル現象を低く抑えることができ、特に配線分野で問題となる配線エッジ部でのギザギザ、インク膜厚の不均一性を解決できるものである。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
先ず、本実施形態に係る高精度印刷方法で使用するレリーフ版について説明する。図1は、本発明で使用するレリーフ版の一形態を示す概略平面である。本実施形態に係る高精度印刷方法で使用するレリーフ版は、レリーフ2の深度が300μm以下で、レリーフ2の頂面2aにインクを充填するための微細な窪み4が設けられ、かつ、引っ張り強度が400N/mm2以上の剛直な支持体1上に敷設されている。なお、高精細印刷版における高精度とは、印刷されたインクの膜厚均一性が高く、印圧による線太りが極めて小さいことであり、プリンタブルエレクトロニクス用途の要求に応えるものである。
図1に示したレリーフ版は、例示であるが、長方形の支持体1の中央にライン&スペース印刷用レリーフ2が5本、印刷版取り付け用○型開口部3が両端に、片端あたり4箇所ずつ設けられている。さらに、図2は、本発明で使用するレリーフ版のレリーフ頂上部の窪みを説明するための凸部表面の部分拡大図(図1のCにおける部分拡大図)であり、レリーフ2の頂面2aにインク充填のための窪み4が形成されている。図3は図1におけるA−A’の断面図である。図3に示すように、このレリーフ版は支持体1上に低深度のレリーフ2を有し、支持体1の背面にクッション層5を配置した構成である。なお、図3ではレリーフ頂上部の窪みは略してある。
レリーフ版の構部材の一つである支持体1は剛直なものであり、引っ張り強度が400N/mm2以上のシート状のものである。例えば、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、ステンレス、タングステン、銅合金などの金属シートが使用できる。特にSUSなどの剛性の高い材料が、寸法変化が小さく好適である。引っ張り強度は400N/mm2以下のシートでは版の取り付け時に支持体1が伸びやすいこと、また印刷時のずれ応力により、印刷を重ねていくと次第にレリーフ版が伸びて精密なパターン印刷に支障がある。また、シート状の支持体について、レリーフ版の装着の容易さからシートの厚さは、2mm以下が好ましく、例えば0.05〜0.5mmがより好ましい。
レリーフ深度(レリーフの厚み又は高さである)は、フォトポリマー版材で生じるカッピング現象や、印刷時に版と被印刷物が接触する際に生じるレリーフの変形を抑制するため300μm以下とする。レリーフ深度は250μm以下とすることが好ましい。レリーフ深度が300μmを超えると、レリーフ変形を抑制しきれなくなる。また、レリーフ深度は、非画像部が被印刷物に接触しないこと並びに印刷機の精度上の観点からも10μm以上が好ましい。
また、本実施形態に係るレリーフ版では、細線の画素パターンを印刷する高精度凸版の要求を満たすために、レリーフの線幅が、300μm以下が好ましい。レリーフの線幅は250μm以下とすることが好ましい。凸部7の線幅が300μmを超えると、画素パターンが大きくなり、版材料樹脂の硬化時に生じる収縮の影響が現れるため、高精度凸版としての要求に応えられない。
レリーフ版の形成用樹脂は弾性を有する樹脂或いはゴム系材料である。いずれの樹脂についても使用するインク溶剤に耐性の有る樹脂を使用することが必要である。
次にレリーフ2の頂面2aに形成する窪み4について説明する。本実施形態で使用するレリーフ版では、レリーフの頂面に複数個の窪みを設けることが好ましい。窪みは規則的に配列することがより好ましい。窪み4にインクが一定量充填するため、印刷時のインク計量性が向上する。同時に窪み4や窪みの壁が印刷時のインクの流れ出しを阻止するように働くため、マージナルや線太りを抑制する効果がある。すなわち、従来の印刷版と異なり、凸部表面にインクを補充するための微細な凹部が規則的に配列しており、凸版印刷の欠点であったインク端部が盛り上がるマージナル現象を低く抑えることができ、特に配線分野で問題となる配線エッジ部でのギザギザ、インク膜厚の不均一性を解決できるものである。なお、窪み深さは印刷物の所望するインク厚みにより決定されるが、通常1〜50μmとすることが好ましい。さらに、窪みがレリーフの頂面の全域に渡って形成されており、かつ、窪みがレリーフの頂面のエッジ部にかかって形成されていないことが好ましい。窪みがエッジ部にかかっている場合、印刷時に窪みに充填されたインクがはみ出し易くなり、その結果、印刷物のエッジ部がギザギザな形状を呈する。
次に、レリーフ版を取り付けるための開口部3について説明する。開口部の形状は特に規定はないが、図1で示した○型、或いは不図示の□型、△型又は+型など、くずれにくい形状であれば良い。この開口部の型のくずれが生じると、パターンの位置精度の悪化につながるため、重要である。開口方法は、例えばエッチング、レーザー加工、ドリル加工、プレス加工など従来の方法が利用できる。
開口部3と固定ピンを利用してレリーフ版を版胴や版ベッドに仮留めし、その後、ボルトねじなどによって張力を加えて版を密着させる。剛直な支持体と型崩れし難い形状の開口部を用いることで、印刷時に起こる版のズレや伸びを抑制することができる。さらに厳密に版を固定するために、加えて従来より利用されている、真空チャック方式、マグネット方式などによって、レリーフ版と版胴若しくは版ヘッドとを固定してもよい。なお、真空チャック方式の場合、吸引を穴型で行なうとレリーフ版の変形が起こるため、平滑処理した多孔質焼結体による吸引が好ましい。
本実施形態で使用するレリーフ版では、支持体の背面に弾性を有し、自身の形状を維持できるクッション層を設けることが好ましい。クッション層は、低弾性で、印圧を分散して支持体へ加える機能を有すること、また自身で形状を維持できることが必要である。自身で形状を維持できるとは、応力を加えない状態で初期形状となることである。クッション層の硬度は、少なくともショアD硬度で20以下であることが好ましい。ここで、「ショアD硬度で20以下」という範囲には、ショアD硬度で測定困難な軟らかい範囲、例えばショアA硬度で50以下の範囲も含まれる。クッション層の硬度の下限は例えば自身の形状を維持できる硬度である。なお、ショアD硬度の準拠規格はJIS K 7215、ショアA硬度の準拠規格はJIS K 6253である。また、クッション層は、レリーフ材料の硬度より低い方が好ましく、ショアD硬度で10以上低いことが好ましい。クッション層の厚みは0.05mmから2mmが好ましい。0.05mmよりも薄すぎるとクッション効果が期待できず、逆に2mm以上では版を版胴や版ベッドに取り付ける時の応力や印刷時のずれ応力によって面方向の位置ずれが生じて、面方向の位置精度の維持が難しくなる。クッション層の材質としては、ゴム系、ウレタン系、エステル系などの高分子弾性体であり、発泡材料であってもよい。
次に本発明のレリーフ版の作製方法について述べる。レリーフ版の作製方法は通常のフレキソ印刷版の製造方法が使用でき、例えば、支持体上にレリーフ樹脂を塗布・硬化してレーザーにより彫刻する方法、感光性樹脂とフォトマスクを使用したフォトリソ法などである。また必要な印刷版の雌型に対応するモールドを作製しインプリント法により製造することも出来る。
レリーフの頂面に窪みを形成する方法としては、レーザー彫刻による作製方法、窪み部に対応したモールドを利用したインプリント法が同様に利用できる。インプリント法による製造例を以下に示す。モールドの作製では、紫外線遮光部分を有するフォトマスクを準備して、その上にポジ型感光性樹脂を被着、露光・現像により窪みに対応した突起をフォトマスク上に形成する。この時点でフォトマスクをベース材としたポジ型感光性樹脂によるモールドが得られる。次にネガ型感光性樹脂をこのモールドに充填し、モールド側から再度、露光・現像し、モールドから剥離することで凸部表面に窪みを有する印刷版を得ることが出来る。ネガ型感光性樹脂は、充填の容易さから液状樹脂が好適に使用されるが、固体樹脂であっても充填時に粘度が低く樹脂モールドに充填できるものであれば問題はない。露光処理ではマスクの遮光部直下の樹脂を光硬化する必要があるため、通常の露光量より多いオーバー露光の状態で露光することにより印刷版凸部全体を硬化することが出来る。
支持体背面に設置するクッション層は、レリーフを作製する前に予め支持体に作製しておいても、或いはレリーフ形成後に取り付けても良い。作製方法は低弾性樹脂をコーティング後硬化する方法、或いはシート状の低弾性樹脂フィルムをラミネートしても良い。接着性が必要な場合は接着層を用いて貼り合わせることも可能である。
本実施形態に係る高精度印刷方法は、このようにして準備したレリーフ版を印刷機の版胴若しくは版ベッドに固定し、レリーフの頂面にインクを塗布し、このインクを基材へ転写することによって行なう。
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
図1に示す印刷版の製造方法を以下に示す。先ず、厚さ3mmのガラスクロムマスク上に接着層として、テスク社製ハードコート材(A−1964、アクリレート系)、東京応化社製ポジ型感光性樹脂(PMER P−LA300PM)をスピンコーターによって乾燥後膜厚が10μmになるように塗布し、風乾後、110℃*6分間加熱処理を行なった。次にオーク社製平行光露光装置を用いてフォトマスク側から露光、ディップ現像を行なった。その結果、ガスクロムマスク上に、画像パターン部としては、L/S=200μm/400μmで、レジスト厚みが10μmで、ライン数5本、それぞれライン内に28μm角の凸部が10μmの間隔で幅方向に5個(図2は2個配列した場合を示した)、ライン方向に約1000個(4cm)並んだL/Sパターンの雌型に相当するモールドを作製した。なお、28μm角の突起は、レリーフの頂面に設ける窪みに相当する型である。この樹脂モールドに信越化学社製離型剤(溶剤型)をスプレー処理した後、旭化成社製ネガ型液状感光性樹脂(APR)を150μmの厚みになるように旭化成社製製版装置A−410装置を用いて塗布した後、上記表面に厚み0.15mmのSUSシート(引っ張り強度は、700N/mm2)を積層した。次に樹脂モールドのガラスマスク側から、オーク社製平行光光源で150mJの露光を行なった。現像は炭酸ナトリウム0.3%、40℃、シャワー現像を行った。その結果、支持体であるSUSシートの表面上にL/S=200μm/400μm、レリーフ深度(レリーフ厚み)150μmで、ライン数5本、長さ4cmで、レリーフの頂上面に28μm角の窪み(窪みの深さは10μm)が10μm間隔で並んだレリーフ版を作製した。得られたレリーフ版を日本電子精機社製精密印刷機に取り付け、インクテック社製UVインクをガラス基板に印圧100μmの押し込み量で設定して印刷し、紫外線ランプでUVインクを硬化させた。印刷物を光学顕微鏡で観察した結果、L/Sパターン部のライン長手方向の幅分布は204〜235μmの範囲であった。版胴の回転方向においてライン幅は一定方向に大きくなる傾向を示したが、ライン部のギザギザは小さかった。なお、レリーフの硬度はデュロメーター(テクロック社製、GS−710型、5mmt、デュロメータータイプD(GS‐702N))で測定した結果、ショアD硬度で35(60秒値)であった。
図1に示す印刷版の製造方法を以下に示す。先ず、厚さ3mmのガラスクロムマスク上に接着層として、テスク社製ハードコート材(A−1964、アクリレート系)、東京応化社製ポジ型感光性樹脂(PMER P−LA300PM)をスピンコーターによって乾燥後膜厚が10μmになるように塗布し、風乾後、110℃*6分間加熱処理を行なった。次にオーク社製平行光露光装置を用いてフォトマスク側から露光、ディップ現像を行なった。その結果、ガスクロムマスク上に、画像パターン部としては、L/S=200μm/400μmで、レジスト厚みが10μmで、ライン数5本、それぞれライン内に28μm角の凸部が10μmの間隔で幅方向に5個(図2は2個配列した場合を示した)、ライン方向に約1000個(4cm)並んだL/Sパターンの雌型に相当するモールドを作製した。なお、28μm角の突起は、レリーフの頂面に設ける窪みに相当する型である。この樹脂モールドに信越化学社製離型剤(溶剤型)をスプレー処理した後、旭化成社製ネガ型液状感光性樹脂(APR)を150μmの厚みになるように旭化成社製製版装置A−410装置を用いて塗布した後、上記表面に厚み0.15mmのSUSシート(引っ張り強度は、700N/mm2)を積層した。次に樹脂モールドのガラスマスク側から、オーク社製平行光光源で150mJの露光を行なった。現像は炭酸ナトリウム0.3%、40℃、シャワー現像を行った。その結果、支持体であるSUSシートの表面上にL/S=200μm/400μm、レリーフ深度(レリーフ厚み)150μmで、ライン数5本、長さ4cmで、レリーフの頂上面に28μm角の窪み(窪みの深さは10μm)が10μm間隔で並んだレリーフ版を作製した。得られたレリーフ版を日本電子精機社製精密印刷機に取り付け、インクテック社製UVインクをガラス基板に印圧100μmの押し込み量で設定して印刷し、紫外線ランプでUVインクを硬化させた。印刷物を光学顕微鏡で観察した結果、L/Sパターン部のライン長手方向の幅分布は204〜235μmの範囲であった。版胴の回転方向においてライン幅は一定方向に大きくなる傾向を示したが、ライン部のギザギザは小さかった。なお、レリーフの硬度はデュロメーター(テクロック社製、GS−710型、5mmt、デュロメータータイプD(GS‐702N))で測定した結果、ショアD硬度で35(60秒値)であった。
(実施例2)
実施例1と同様な方法、形状のレリーフ版を作製し、SUSシートの裏面にクッション層として厚み1.5mmのウレタンエラストマー製防振用クッションを貼り付けた。なお、このクッション材の硬度をデュロメーター(テクロック社製、GS−710型、5mmt、デュロメータータイプA(GS‐719G))で測定した結果、ショアA硬度で7(0秒値)であった。レリーフの硬度は実施例1と同様である。このレリーフ版を実施例1と同様に印刷機に取り付け、インクテック社製UVインクをガラス基板に印圧100μmの押し込み量で設定して印刷し、紫外線ランプでUVインクを硬化させた。印刷物を光学顕微鏡で観察した結果、L/Sパターン部のライン長手方向の幅分布は203〜212μmの範囲であり、版胴の回転方向におけるライン幅のばらつき、またライン部のギザギザは共に小さかった。
実施例1と同様な方法、形状のレリーフ版を作製し、SUSシートの裏面にクッション層として厚み1.5mmのウレタンエラストマー製防振用クッションを貼り付けた。なお、このクッション材の硬度をデュロメーター(テクロック社製、GS−710型、5mmt、デュロメータータイプA(GS‐719G))で測定した結果、ショアA硬度で7(0秒値)であった。レリーフの硬度は実施例1と同様である。このレリーフ版を実施例1と同様に印刷機に取り付け、インクテック社製UVインクをガラス基板に印圧100μmの押し込み量で設定して印刷し、紫外線ランプでUVインクを硬化させた。印刷物を光学顕微鏡で観察した結果、L/Sパターン部のライン長手方向の幅分布は203〜212μmの範囲であり、版胴の回転方向におけるライン幅のばらつき、またライン部のギザギザは共に小さかった。
本発明の印刷方法を用いることのより、印刷版であるレリーフ版のレリーフ深度にばらつきがある場合、印刷機の精度が充分確保できない場合や若干の印刷条件の変動があった場合でも、高精度なパターン印刷を容易に行なうことが可能であり、表示パネルやプリント配線板等の高精細化に大いに寄与することができる。
1 支持体
2 レリーフ
2a レリーフの頂面
3 開口部
4 窪み
5 クッション層
6 レリーフ版
2 レリーフ
2a レリーフの頂面
3 開口部
4 窪み
5 クッション層
6 レリーフ版
Claims (8)
- レリーフの頂面にインクを塗布し、該インクを基材へ転写する高精度印刷方法において、
引っ張り強度が400N/mm2以上の剛直な支持体上に敷設され、かつ、前記レリーフの深度が300μm以下で前記レリーフの頂面に前記インクを充填するための微細な窪みが設けられた低深度のレリーフ版を使用することを特徴とする高精度印刷方法。 - 前記レリーフ版は、印刷機の版胴若しくは版ベッドに固定するための開口部が設けられており、かつ、該開口部を利用して前記レリーフ版を印刷機の版胴若しくは版ベッドに固定した状態で印刷を行なうことを特徴とする請求項1に記載の高精度印刷方法。
- 前記支持体の背面に弾性を有し、自身の形状を維持できるクッション層が設けられたレリーフ版を用いて印刷することを特徴とする請求項1又は2に記載の高精度印刷方法。
- 前記クッション層の硬度がショアD硬度20以下であることを特徴とする請求項3に記載の高精度印刷方法。
- 前記クッション層の厚みが0.05mm以上、2mm以下であるレリーフ版を用いて印刷することを特徴とする請求項3又は4に記載の高精度印刷方法。
- レリーフの頂面にインクを塗布し、該インクを基材へ転写する高精度なレリーフ版において、
引っ張り強度が400N/mm2以上の剛直な支持体上に敷設され、前記レリーフの深度が300μm以下で前記レリーフの頂面に前記インクを充填するための微細な窪みが設けられ、かつ、前記支持体の背面に弾性を有し、自身の形状を維持できるクッション層が設けられていることを特徴とするレリーフ版。 - 前記クッション層の硬度がショアD硬度20以下であることを特徴とする請求項6に記載のレリーフ版。
- 前記クッション層の厚みが0.05mm以上、2mm以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載のレリーフ版。
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2007
- 2007-12-18 JP JP2007326178A patent/JP2009148902A/ja not_active Withdrawn
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