JP2009144949A - 熱交換器用アルミニウムフィン材及びそれを用いた熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウムよりなる基板2と、基板2の表面に形成した親水性塗膜3とからなる熱交換器用アルミニウムフィン材1である。親水性塗膜3は、抗菌性を有する物質(以下、抗菌剤31という)を含有すると共に、膜厚が0.5〜2μmである。抗菌剤31の含有量は、親水性塗膜3全体の重量を100重量部とすると、1〜15重量部である。抗菌剤31は、銀を含有すると共に、平均粒径が上記親水性塗膜3の膜厚以下である。抗菌剤31は、銀イオンもしくは銀化合物を含有するアパタイト系担持体を主成分とすることが好ましい。
【選択図】図1
Description
従来、上記プレートフィンには、軽量で熱伝導性及び加工性に優れていることからアルミニウムが使用されている。上記プレートフィンは、アルミニウム板よりなる熱交換器用フィン材に、上記チューブを挿通して固定するための1〜4mm程度の高さのフィンカラー部をプレス加工して作製する。このクロスフィンチューブ熱交換器を構成するクロスフィンチューブは、空気側のアルミニウムからなるフィン材と、冷媒側の銅または銅合金からなる冷媒配管とから構成されている。
そのため、エアコンの運転に伴い、細菌のコロニー等が空気中に飛散し、また、部屋に不快臭がすることもあり、衛生面において問題が生じてきた。それ故、熱交換器用フィン材には抗菌性が必要となった。
このような問題を解決するために、熱交換器用のフィン材について、有機系の抗菌性を有する物質を塗膜中に含有させた発明(特許文献1〜8)が多く報告されているが、有機系抗菌剤は熱に弱いことから、焼き付けや熱交換器作製時の加熱によって一部が変質するおそれがある。
上記親水性塗膜は、抗菌性を有する物質(以下、抗菌剤という)を含有すると共に、膜厚が0.5〜2μmであり、
上記抗菌剤の含有量は、親水性塗膜全体の重量を100重量部とすると、1〜15重量部であり、
上記抗菌剤は、銀を含有すると共に、平均粒径が上記親水性塗膜の膜厚以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材にある(請求項1)。
また、上記銀自身の耐熱性が高いため、有機系抗菌剤のように200℃前後で分解する恐れがなく、焼き付けや熱交換器作製時の加熱によって抗菌性を失う心配がない。
このように、本発明によれば、焼き付けや熱交換器作製時の加熱によって変質することなく、優れた親水性及び抗菌性を発揮する熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することができる。
上記フィンは、第1の発明の熱交換器用アルミニウムフィン材を用いて形成されていることを特徴とする熱交換器にある(請求項10)。
なお、上記「銅合金」は、銅を主体とする金属及び合金の総称であり、純銅、及び銅合金を含む概念である。
上記親水性塗膜は、例えば、上記抗菌剤と、親水性樹脂と、溶媒とを混合した塗料を、上記基板の表面に塗布し焼き付けることにより形成することができる。
また、上記親水性塗膜は、水分散性シリカ(コロイダルシリカ)、アルカリケイ酸塩(水ガラス)等を含んでも良い。
上記抗菌剤の含有量が1重量部未満の場合には、抗菌剤による抗菌効果、特に、抗菌性の持続性を得ることができない。上記抗菌剤の含有量が多いほど抗菌性の持続性が向上するが、含有量が15重量部を超える場合には、親水性塗膜の親水性を阻害するおそれがある。
銀を含有する抗菌剤としては、例えば、銀イオンもしくは酸化銀(AgO)等の銀化合物を含有する担持体等が挙げられる。
また、上記担持体としては、アパタイト(リン酸亜鉛カルシウム)系、ゼオライト系、リン酸ジルコニウム、ガラス系等の担持体より選択することができる。
また、上記担持体自身の耐熱性も高いため、焼き付けや熱交換器作製時の加熱によって抗菌性を失う心配がない。
上記抗菌剤の上記平均粒径が上記親水性塗膜の膜厚を超える場合には、抗菌剤が親水性塗膜から脱落し、抗菌効果の速効性を得難いという問題や、親水性塗膜を形成することが困難になるという問題がある。また、上記抗菌剤が上記親水性塗膜より突出することを防止できず、プレス成型時に金型を磨耗させるおそれがある。
上記熱交換器用アルミニウムフィン材を、実際にクロスフィンチューブ型熱交換器に組み付ける際には、フィン材に対して円筒状カラー部をプレス成形する。そのプレス成形に用いられるSKD11に代表される工具鋼等のプレス金型の材質と比較すると、上記アパタイト系担持体は硬度が低い。そのため、繰り返しプレス成形によって金型を磨耗させることが少ないという利点がある。
この場合には、親水性塗膜中の上記抗菌剤を均一に分散させることができ、凝集を防止することができるため、さらに優れた親水性、抗菌性の持続性効果を得ることができる。
上記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙げられる。
また、上記ワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン分散体、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
この場合には、上記熱交換器用アルミニウムフィン材を、フィンにプレス加工する際に、優れたプレス加工性を有することができる。
上記銀を含有する抗菌剤は、使用条件によってはアルミニウムフィンの腐食を促進する場合がある。そのため、上記基板と上記親水性塗膜との間に耐食性塗膜を形成することによって、アルミニウムフィンの耐食性を向上させることができる。
そして、上記耐食性塗膜は、上記基板との密着性及び耐アルカリ性に優れるウレタン系樹脂からなると共に、膜厚が0.5〜10μmであることが好ましい(請求項6)。
この場合には、さらに抗菌性の持続性を向上させることができる。
この場合には、上記耐食性塗膜が抗菌剤を含有している場合には、該抗菌剤を均一に分散させることができ、凝集を防止することができるため、さらに優れた抗菌性の持続性効果を得ることができる。
上記界面活性剤としては、上述の界面活性剤と同様のものを用いることができる。
上記架橋剤及びワックスとしては、上述した架橋剤及びワックスと同様のものを用いることができる。
この場合にも、上記熱交換器用アルミニウムフィン材を、フィンにプレス加工する際に、優れたプレス加工性を有することができる。
この場合には、上記基板と、上記親水性塗膜又は耐食性塗膜との密着性を向上することができる。
本例は、本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材にかかる実施例について、図1を用いて説明する。
本例では、本発明の実施例として、表1に示す4種類の熱交換器用アルミニウムフィン材1(試料E1〜試料E4)を作製し、比較例として、表2に示す2種類の熱交換器用アルミニウムフィン材(試料C1、試料C2)を作製し、各種性能の比較試験を行った。
上記親水性塗膜3は、抗菌剤31を含有すると共に、膜厚が0.5〜2μmである。また、上記抗菌剤31の含有量は、親水性塗膜3全体の重量を100重量部とすると、1〜15重量部であり、上記抗菌剤31は、銀を含有すると共に、平均粒径が上記親水性塗膜3の膜厚以下である。
以下、これを詳説する。
また、親水性塗膜3を構成する樹脂として、ポリビニルアルコールを準備した。
また、抗菌剤31として、銀を含有するアパタイト系担持体である、新東Vセラックス株式会社製のモース硬度5の抗菌セラ・コートC13(抗菌剤の平均粒径が0.4μm)、及び抗菌セラ・コートC81(抗菌剤の平均粒径が1.0μm)の2種類を用意した。
その後、形成される親水性塗膜3の膜厚が表1に示す値となるように、上記親水性塗膜用塗料をバーコーターを用いて上記化成被膜4の表面に塗布し、200〜250℃で10秒程度焼付けて、親水性塗膜3を形成し、熱交換器用アルミニウムフィン材1を作製した。
流水開始から24時間後及び96時間後の試料に対しては、抗菌性の持続性を評価するために抗菌性試験を行った。
流水開始から96時間後の試料に対しては、親水性を評価するために親水性試験を行った。
抗菌性試験は、JIS Z 2801:2000(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に準拠して行った。
まず、菌として、大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)及び黄色状ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)を準備した。
抗菌活性値は、以下の式に基づいて算出した。
抗菌活性値=Log(Y/X)・・・(I)
(上記式中、Xは、抗菌加工試験片の生菌個数平均値を、Yは、比較対照用の抗菌剤無添加の無加工試験片の生菌個数平均値を表す)
親水性試験は、接触角計を用いて液滴法により測定した。親水性試験は、上述したように、流水開始から96時間後の試料について行った。
接触角が20°以下の場合は評価を◎とし、接触角が20°超え40°以下の場合は評価を○とし、接触角が40°超えの場合は評価を×とした。親水性は、評価が◎及び○の場合を合格とし、評価が×の場合を不合格とした。
これにより、本発明によれば、焼き付けや熱交換器作製時の加熱によって変質することなく、優れた親水性及び抗菌性を発揮する熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することができることがわかる。
また、比較例としての試料C2は、親水性塗膜における抗菌剤の含有量が本発明の下限を下回るため、流水開始から96時間後の試料の大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する抗菌性(抗菌性の持続性)が十分でなく、不合格であった。
本例は、図2に示すように、上述の実施例1の構成において、さらに、基板2と親水性塗膜3の間に耐食性塗膜5を設けた熱交換器用アルミニウムフィン材12(試料E5)を作製した例である。その他は実施例1と同様にして行った。
耐食性塗膜5を構成するための樹脂として、ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社性の芳香族イソシアネート系エステル系ウレタン樹脂スーパーフレックス150)を準備した。
その後、上記耐食性塗膜5の表面に、実施例1と同様の方法で親水性塗膜3を形成することにより、熱交換器用アルミニウムフィン材12を作製した。
表2に、耐食性塗膜の膜厚、親水性塗膜中の抗菌剤の平均粒径、含有量、親水性塗膜の膜厚、及び評価結果を示す。
そして、試料E5は、流水開始から1時間後、24時間後、96時間後の抗菌性、及び親水性の全ての項目において良好な結果を示した。
本例は、図3及び図4に示すごとく、銅合金からなる冷媒配管7を、アルミニウムからなるフィン11に設けられた円筒状のカラー部13内に挿入配設することにより上記冷媒配管7と上記フィン11とを一体的に組み付けてなるクロスフィンチューブ61からなる熱交換器6である。
上記フィン11は、本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材を用いて形成されている。
熱交換器用アルミウムフィン材としては、上記実施例1の試料E1を用いた。冷媒配管7に用いる銅合金としては、φ6.35mmの内面溝付き管を用いた。
2 基板
3 親水性塗膜
31 抗菌剤
Claims (10)
- アルミニウムよりなる基板と、該基板の表面に形成した親水性塗膜とからなる熱交換器用アルミニウムフィン材であって、
上記親水性塗膜は、抗菌性を有する物質(以下、抗菌剤という)を含有すると共に、膜厚が0.5〜2μmであり、
上記抗菌剤の含有量は、親水性塗膜全体の重量を100重量部とすると、1〜15重量部であり、
上記抗菌剤は、銀を含有すると共に、平均粒径が上記親水性塗膜の膜厚以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。 - 請求項1において、上記抗菌剤は、銀イオンもしくは銀化合物を含有するアパタイト系担持体を主成分とすることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 請求項1又は請求項2において、上記親水性塗膜は、さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記親水性塗膜は、さらに、ポリエチレングリコールを含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記基板と上記親水性塗膜の間に、さらに、耐食性塗膜を形成することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 請求項5において、上記耐食性塗膜は、ウレタン系樹脂からなると共に、膜厚が0.5〜10μmであることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 請求項5又は請求項6において、上記耐食性塗膜は、界面活性剤を含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 請求項1〜7のいずれか1項において、上記親水性塗膜の表面に、ポリエチレングリコールからなる第3塗膜が形成されていることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 請求項1〜8のいずれか1項において、上記基板の表面には、下地処理層が形成されていることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
- 銅合金からなる冷媒配管を、アルミニウムからなるフィンに設けられた円筒状のカラー部内に挿入配設することにより上記冷媒配管と上記フィンとを一体的に組み付けてなるクロスフィンチューブからなる熱交換器であって、
上記フィンは、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材を用いて形成されていることを特徴とする熱交換器。
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