JP2009144266A - ポリウレタン弾性糸およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 主構成成分がポリマージオール、及びジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸を製造する際に、スルホン酸基を含む重合体およびN,N−ジアルキルセミカルバジド化合物を含有させる。
【選択図】 なし
Description
このポリエーテル系ジオール化合物としては、具体的には、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)および3−メチル−THFの共重合体である変性PTMG、THFおよび2,3−ジメチル−THFの共重合体である変性PTMG、THF及びネオペンチルグリコールの共重合体である変性PTMG、THFとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が挙げられる。これらポリエーテル系グリコール類の1種を使用してもよいし、また2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。その中でもPTMGまたは変性PTMGが好ましい。
[セット性、応力緩和、強度、伸度]
インストロン4502型引張試験機を用い、ポリウレタン弾性糸を引張テストすることにより、セット性、応力緩和、破断強度、破断伸度を測定した。
応力緩和(%)=100×((G1)−(G2))/(G1)
セット性(%)=100×((L2)−(L1))/(L1)
破断伸度(%)=100×((L3)−(L1))/(L1)
[耐薬品性]
糸を100%伸長状態で固定し、次の3種の暴露処理を実施した。まず、オレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に1時間浸積処理し、次に調整した次亜塩素酸溶液(塩素濃度500ppm)に2時間浸積処理し、次に2時間UV暴露を行う。UV暴露処理は、機器としてスガ試験機社製のカーボンアーク型フェードメーターを用い、63℃、60%RHの温湿度で実施した。この暴露処理を合計2回実施した後、糸をフリーで24時間、室温で放置し、前記と同じ方法で破断強度(G4)を測定した。未処理糸の破断強度(G3)に対する、処理後の破断強度(G4)の割合(保持率)を耐薬品性とした。
[耐アルカリ性1]
ポリウレタン糸の耐アルカリ性の指標として、ポリエステル繊維の減量加工時を想定した処理を行い、糸の破断強度保持率を評価する。
[耐アルカリ性2]
ポリウレタン糸の耐アルカリ性の指標として、ポリエステル繊維の抜喰加工時を想定した処理を行い、糸の破断強度保持率を評価する。
[熱軟化点]
ポリウレタン糸の耐熱性の指標の一つとして熱軟化点を測定した。ポリウレタン糸について、レオメトリック社製動的弾性率測定機RSAIIを用い、昇温速度10℃/分で、動的貯蔵弾性率E’の温度分散を測定した。熱軟化点は、E’曲線が80℃以上130℃以下のプラト領域での接線と、160℃以上にてE’が熱軟化により降下するE’曲線の接線との交点から求めた。なお、E’は対数軸、温度は線形軸を用いた。
多くは褐色系の着色のため、b値を基準に判定する。紡糸後24時間経過した後の糸を5×5cmの試料板に、試料板の色の影響が現れない程度に緻密に最小の荷重(ドラフト率で言えば1.05)で巻き取り、試料とした。試料及び常用標準白色面(JIS Z 8722:2000の5.3.4)の前面を均質平たんで透明な約1mmのガラス板で密着させて覆った。b値の測定は、JIS L 1013:1999のC法(ハンターの方法)に準じ、ハンター形色差計を用い、下記式に基づき算出した。測定回数は、5回とし、その平均値を採用した。
b=7.0(Y−0.847Z)/Y1/2
(但し、X、Y、ZはJIS Z 8701:1999により算出した)
判定はbが1未満を◎、1以上3未満を○、3以上5未満を△、5以上を×と表記する。
分子量2900のPTMG、MDIおよびエチレングリコールからなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P1とした。
N,N−ジアルキルセミカルバジド化合物として、化学式IIIに示すTBDEAとPICMとの6〜8の繰り返し数を持つ付加物で、末端にUDMHを反応させて末端にジメチルセミカルバジドを形成させた重合体を用い、そのDMAc溶液を調製し、DMAc溶液B2(35重量%)とした。
分子量1800のPTMG、MDI、エチレンジアミン、および末端封鎖剤としてジエチルアミンからなるポリウレタンウレア重合体(P2)のDMAc溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P2とした。
次に、このDMAc溶液P2、実施例1で調整したスルホン酸基を有する化合物の共重合体溶液A1、N,N−ジアルキルセミカルバジド化合物の溶液B1及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ、91重量%、3.0重量%、3.0重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液D3とした。この紡糸溶液D3をゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメント、スルホン酸基を有する化合物の共重合体の含有量が3重量%、N,N−ジアルキルセミカルバジド化合物の含有量が3重量%であるポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
実施例3で調整したポリマ溶液P2、実施例1で調製したスルホン酸基を有する化合物の共重合体溶液A1、実施例2で調製したN,N−ジアルキルセミカルバジド化合物の溶液B2及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ91.0重量%、3.0重量%、3.0重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液D4とした。この紡糸溶液D4をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメント、スルホン酸基を有する化合物の共重合体の含有量が3重量%、N,N−ジアルキルセミカルバジド化合物の含有量が3重量%であるポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
スルホン酸基を含む化合物として、日本合成化学社製ポリビニルアルコールスルホン酸変性物 (ゴーセラン(R)) a2のDMAc溶液A2(35重量%)を調整した。
実施例1で調整したポリマ溶液P1、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液添加剤溶液C1を、それぞれ、97重量%、3重量%の割合で均一混合し、紡糸溶液E1とした。この紡糸溶液E1をゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸を作製した。
実施例3で調整したポリマ溶液P2、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液添加剤溶液C1を、それぞれ、97重量%、3重量%の割合で均一混合し、紡糸溶液E2とした。この紡糸溶液E2をゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
クレハ化学工業(株)製ポリフッ化ビニリデン(数平均分子量48,000、f1)のDMAc溶液F1(35重量%)を調整した。
実施例3で調整したポリマ溶液P2、上記のポリフッ化ビニリデン溶液F1、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ92重量%、5重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液E3とした。この紡糸溶液E3をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
日本合成化学社製ポリビニルアルコールスルホン酸変性物(ゴーセラン(R)、スルホン酸基を有するモノマーの含有モル濃度が1.5%、a2)のDMAc溶液A2(35重量%)を調整した。
実施例3で調整したポリマ溶液P2、上記のポリビニルアルコールスルホン酸変性物溶液A2、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ82重量%、15重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液E4とした。この紡糸溶液E4をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
実施例3で調整したポリマ溶液P2、実施例2で調製したN,N−ジアルキルセミカルバジド化合物の溶液B2、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ94重量%、3.0重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液E5とした。この紡糸溶液E5をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
Claims (6)
- 主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸であって、スルホン酸基を含む重合体(a)およびN,N−ジアルキルセミカルバジド化合物(b)を含有することを特徴とするポリウレタン弾性糸。
- 前記重合体(a)が、スルホン酸基を持つ化合物およびスルホニル基を持つ化合物の重合体(c)であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン弾性糸。
- 前記重合体(c)がフェノールスルホン酸および4,4‘−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン弾性糸。
- 前記化合物(b)が、第3級窒素含有ジオールと有機ジイソシアネートとから得られたポリウレタンまたは第3級窒素含有ジアミンと有機ジイソシアネートとから得られたポリウレタンウレアに、N,N−ジアルキルセミカルバジド末端基を持たせた重合体であることを特徴とする請求項1〜3に記載のポリウレタン弾性糸。
- 前記化合物(b)が、有機ジイソシアネートにヒドラジンを反応させたものであることを特徴とする請求項1〜3に記載のポリウレタン弾性糸。
- 主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸を製造する際に、スルホン酸基を含む重合体(a)およびN,N−ジアルキルセミカルバジド化合物(b)を含有させることを特徴とするポリウレタン弾性糸の製造方法。
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