JP2009144181A - 光輝焼鈍炉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光輝焼鈍炉へ供給する還元性ガスを廃ガスとして取り出し、再生して再利用する。
【解決手段】水素、窒素ガスを主成分とする還元性ガス雰囲気中にて、ワークを焼鈍する光輝焼鈍炉1のワーク供給口11の近傍および/又はワーク排出口12の近傍から排出される廃ガスを回収し、回収した廃ガスを冷却してから、廃ガス中の酸素を廃ガス中の水素と反応させて水分に変換し、水分を吸着除去して廃ガスを再生する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光輝焼鈍炉から排出される廃ガスの再生方法、および該廃ガスの再生方法を実施する光輝焼鈍炉装置に関するものである。
周知の如く、ワークの焼鈍は、加工硬化によるワーク内部の応力を取り除き、金属組織を軟化させ、展延性を向上させるために行われる。
ワークを焼鈍するための炉の一種である光輝焼鈍炉は、内部が、水素と窒素の混合ガスよりなる還元性ガス雰囲気に保たれている。
ワークは、炉の一端のワーク供給口から他端のワーク排出口に搬送される間に、1000〜1200℃に加熱、焼鈍される。
炉内に供給された還元性ガスは炉内で左右に分かれて、ワーク供給口側およびワーク排出口側に流れ、両口の近傍に設けられた放出パイプを通じて炉外に排出されて、着火焼却される。
還元性ガスは、炉内を通過する間にワーク表面と接触し、該表面に生成している金属酸化物被膜を還元し、該被膜中の酸素は還元性ガス中の水素と反応して水分となる。還元性ガス雰囲気中の水分が多くなり過ぎると、ワーク表面の還元が十分に行われず、ワーク表面は着色する問題が生じる。
そこで、炉内へ還元性ガスを連続的に供給して、常時、炉内を新鮮な還元性ガスと置換している。このため、還元性ガス雰囲気中の水素ガスの内、前記したワーク表面の金属酸化物被膜との反応によって消費される水素ガスは僅かな量であり、大部分の水素は廃ガスの一部として炉外へ排出されて焼却されてしまう。
工業用ガスとしての水素ガスはかなり高価である。
上記した還元性ガスの使用方法では、水素ガスのほんの一部がワークとの反応に関与するに過ぎず、その大部分は無駄に焼却処理されている。
本発明は、光輝焼鈍炉からの廃ガスを回収し、焼鈍の過程で発生した、或いは混入した、水分等の不要成分を除去して再生する廃ガスの再生方法および、該ガスの再生方法を実施する光輝焼鈍炉装置を明らかにするものである。
請求項1の光輝焼鈍炉装置は、水素ガスを主成分とする還元性ガス雰囲気中にて、ワークを焼鈍する光輝焼鈍炉(1)と、該光輝焼鈍炉から排出される廃ガスを再生する廃ガス再生装置(2)とによって構成される光輝焼鈍炉装置であって、
廃ガス再生装置(2)は、光輝焼鈍炉(1)のワーク供給口(11)の近傍および/又はワーク排出口(12)の近傍から炉外に回収した廃ガス中の水素と酸素を反応させて水分に変える反応部(3)と、該反応部(3)から導いた廃ガスの水分を除去する水分除去部(6)とからなる。
請求項2は請求項1の光輝焼鈍炉装置において、反応部(3)と水分除去部(6)との間のガスの流路には、反応部(3)での反応によって昇温した廃ガスを冷却する冷却器(4)と、廃ガスを水分除去部(6)へ圧送するための送風機(5)が設けられている。
請求項3は請求項1又は2の光輝焼鈍炉装置において、水分除去部(6)は、廃ガスが通過する筒体(61)内に水分吸着剤を充填して構成されており、複数の水分除去部(6)(6a)が、任意の水分除去部に廃ガスを選択的に導入可能に配備され、又、水分除去部(6)(6a)には所望の水分除去部へ選択的に窒素ガスを供給可能に管路(17)が接続され、該管路には窒素ガスを加熱する加熱器(8)が設けられている。
請求項4は請求項1乃至3に記載の光輝焼鈍炉装置において、水分除去部(6)(6a)は管路で光輝焼鈍炉(1)と繋がっており、水分除去部(6)(6a)から排出される再生ガスは光輝焼鈍炉(1)へ戻される。
請求項5の光輝焼鈍炉装置の還元性ガスの再生方法は、水素ガスを主成分とする還元性ガス雰囲気中にて、ワークを焼鈍する光輝焼鈍炉(1)のワーク供給口(11)の近傍および/又はワーク排出口(12)の近傍から排出される廃ガスを回収し、回収した廃ガスを冷却してから、廃ガス中の水素を廃ガス中の酸素と反応させて水分に変換し、水分を除去して廃ガスを再生する。
請求項1の光輝焼鈍炉装置は、炉(1)外に回収した廃ガス中の水素と酸素を反応させて水分に変えて除去するものである。 炉内へ侵入する酸素は、ワークと共に持ち込まれる少量である。
従って、前述の如く、炉内の還元性ガスの内、炉内で消費される水素ガスの量は僅かであり、廃ガスには多量の水素ガスが含まれている。
このため、再生ガスを炉に戻すことによって、水素ガスの消費量を大幅に少なくできる。
又、一般的に還元性ガスには窒素ガスも相当量含まれており、当然に再生ガスには窒素ガスも多量に含まれているから、再生ガスを炉に戻すことにより、窒素ガスの消費量も大幅に少なくできる。
この様に、水素ガスと窒素ガスの消費量を少なくできるから、光輝焼鈍炉のランニングコストを低減でき、経済効果は大きい。
又、従来の様に、多量の廃ガスを焼却処理するものではないから、地球温暖化抑制に寄与できる。
請求項2の光輝焼鈍炉装置は、反応部(3)での反応によって昇温した廃ガスを冷却器によって冷却して、送風機(5)によって水分除去部(6)へ圧送するから、水分除去を能率的、且つ効果的に行なうことができる。
請求項3の光輝焼鈍炉装置は、1つの水分除去部(6)へ廃ガスを通して水分除去を行っている間に、他の水分除去部(6a)に加熱した窒素ガスを通して該水分除去部(6a)の水分吸着剤を乾燥できるから、光輝焼鈍炉の運転を止めることなく、廃ガスの再生を続行できる。
請求項4の光輝焼鈍炉装置は、再生ガスを光輝焼鈍炉(1)へ戻して再利用でき、光輝焼鈍炉(1)のランニングコストを低減できる。
請求項5の光輝焼鈍炉の還元性ガスの再生方法は、請求項1と同様の効果を奏する。
図1に示す如く、光輝焼鈍炉装置は、光輝焼鈍炉(1)(以下、単に「炉」と呼ぶ)と廃ガス再生装置(2)とによって構成される。
炉(1)は横長に形成され一端にワーク供給口(11)、他端にワーク排出口(12)を有している。
炉(1)内にて、ワーク供給口(11)とワーク排出口(12)との間は、ワーク(図示せず)を搬送するコンベア(図示)が配備されている。
炉(1)の略中央部に、還元性ガス供給管(15)を介して水素ガス供給装置(13)と、窒素ガス供給装置(14)が繋がっている。
水素ガス供給装置(13)としては、水素ボンベ(カードル)、アンモニア分解水素生成装置、メタノール分解水素生成装置等が用いられる。
窒素ガス供給装置(14)としては、窒素ボンベ(カードル)、蒸発器付きの液体窒素貯槽、圧力スイング式窒素生成装置、深冷式窒素発生装置等が用いられる。
還元性ガス供給管(15)には、比重分析計(20)等を用いて所定の濃度比率に自動調整できる機能が付与されている。
還元性ガスは、水素ガスを主成分とする様に、実施例では水素ガスと窒素ガスの比率が約3:1となる様に調整される。
炉(1)には、炉内の使用済み還元性ガスを炉外に排出する廃ガス放出管(16)が、ワーク供給口(11)とワーク排出口(12)の夫々の近傍に分岐して接続されている。
廃ガス放出管(16)は、再生ライン(9)へ繋がっている。
再生ライン(9)には、上流側から下流側に反応部(3)、冷却器(4)、送風機(5)、水分除去部(6)、バッファタンク(7)が配備され、該再生ライン(9)の末端である戻し管路(91)は前記還元性ガス供給管(91)に繋がっている。
反応部(3)は、反応筒(31)にパラジウム、ニッケルなど、廃ガス中の酸素と水素を水分に変える酸化反応を促進する金属を担持した触媒を充填して構成されている。
冷却部(3)の冷却源としては、水または空気が用いられる。
水分除去部(6)は、水分を含んだ廃ガスが通過する筒体(61)内に、活性ゼオライト、シリカゲル、アルミナゲル等の水分吸着剤を積層充填して構成されている。
実施例では2基の水分除去部(6)(6a)が、廃ガスの通過を選択可能に並列に配置されている。
前記窒素供給装置(14)に繋がる窒素供給管路(17)が、上記各水分除去部(6)(6a)の筒体(61)(61a)の何れか一方の筒体に選択的に繋がる様に、切替弁群(62)を具えた配管によって接続されている。
窒素供給管路(17)上に加熱器(15)および該加熱器を迂回するバイパス管(18)が設けられる。バイパス管(18)には開閉弁(19)が設けられている。
両水分除去部(6)(6a)には、窒素供給管路路(17)から筒体(61)(61a)内に供給した窒素を排出する排出管(63)(63a)が連繋されている。
窒素供給管路(17)からの窒素ガスは、各水分除去部(6)(6a)の筒体(61)(61a)の上端に供給され下端から排出される様に配管され、前記再生ライン(9)上の送風機(5)で圧送される廃ガスは、各水分除去部(6)(6a)の筒体(61)(61a)の下端から上端に抜ける様に配管される。
次に、光輝焼鈍炉装置による廃ガスの再生工程を説明する。
水素ガス供給装置(13)と窒素ガス供給装置(14)から供給され、水素と窒素が約3:1の割合に混合された還元性ガスは、還元性ガス供給管(15)から、炉(1)の中央部近傍に供給され、炉(1)の両端のワーク供給口(11)側と、ワーク排出口(12)側に向かって流れて行き、両口の近傍から排出される。
水素ガスと窒素ガスの供給は途切れることなく行われ、炉(1)内を常時新鮮な還元性ガス雰囲気に維持する。
炉(1)内は約1000〜1200℃に加熱されていて、ワーク供給口(11)から供給されコンベアによってワーク排出口(12)へ搬送されるワークは、炉(1)内で加熱、焼鈍される。
ワークの表面は還元されて金属的な光沢を発現し、結果として還元性ガス雰囲気中には少量の水分が生成する。また、ワークを炉(1)内に供給する際に、少量ではあるが周囲の外気を巻き込み、還元性ガス雰囲気中に外気が混入することは避けられない。特に、管状のワークを挿入する際にこれは顕著である。
上記混入外気中には酸素が含まれ、該酸素の大部分は、炉(1)内の高温雰囲気中で水素ガスと反応して水分となる。
炉(1)内の廃ガスを放出する廃ガス放出管(16)は、炉(1)のワーク供給口(11)、ワーク排出口(12)の近傍に接続されている。このため、ワーク供給口(11)及びワーク排出口(12)から炉内に混入した外気中の酸素は、水素と反応する温度までは加熱されないまま、酸素ガスの形態で廃ガスに混じって炉(1)から排出される。
従って、炉(1)から排出された廃ガス中には、水分のほかに少量の酸素が含有されている。
廃ガス放出管(16)を通じて炉外に放出された廃ガスは再生ライン(9)に導かれ、該ラインの管炉内を流れる間に自然放冷或いは冷却器(図示せず)等にて強制的に常温(約40℃)まで冷却されたのち、反応部(3)に入る。
反応部(3)にて、廃ガス中に含まれる酸素は、パラジウム、ニッケルなどの触媒層を通過する間に廃ガス中の水素と反応して水分となる。この酸化反応による発熱によって、廃ガス温度は上昇する。昇温した廃ガスは冷却器(4)に導かれ、常温(約40℃)まで冷却される。
ついで、廃ガスは送風機(12)によって2基の水分除去部(6)(6a)の内の、一方の筒体(61)に導かれ、ここを通過する間に、ガス中の水分は該筒体(61)に充填されている吸着剤に吸着され、除去される。
水分を除去され,精製された廃ガスは、バッファータンク(7)を経て、戻し官(91)を通じて、還元性ガス供給管(15)の比重分析計(20)の上流側に戻され、リサイクルされる。
上記の如く、比重分析計(20)の上流側に再生ガスが戻されるから、還元性ガス供給管(15)から輝焼鈍炉(1)に供給される還元性ガスの水素ガスと窒素ガスの比率は一定する。
水分除去部(6)(6a)は、廃ガスの通過を選択的に切替え可能に2基配備されているから、上記した筒体(61)内の吸着剤が水分で飽和状態となる直前に、他方の水分除去部(6a)の筒体(61a)に廃ガス流路を切り替えて、廃ガスの水分除去を続行する。
収容した吸着剤が飽和状態に近い状態となっている先の筒体(61)には、加熱器(8)によって100〜250°に加熱された窒素ガスを導入する。
高温に加熱された窒素ガスは、筒体(61)上部に入り、吸着剤を加熱しながら下方に流れ、大気放出される。この工程によって、筒体(61)内の吸着剤は加熱され、それによって吸着剤に吸着されていた水分は蒸発して、窒素ガスとともに下方に流れて大気放出される。
筒体(61)内の吸着剤が十分に加熱されて、排出される窒素ガスの温度が上昇を始めたら、加熱器(8)の熱源を遮断し、バイパス管路(18)の開閉弁(19)を開いて、常温の窒素ガスを筒体(61)に供給する。これによって、筒体(61)内の吸着剤は冷却される。
筒体(61)から排出される窒素ガスの温度が常温まで低下すると、吸着剤の再生は完了する。
2基の水分除去部(6)(6a)の筒体(61)(61a)について、上記操作を交互に繰り返すことによって、廃ガス中の水分は連続的に除去できる。
下記表1は、A、B2基の焼鈍炉の平成19年10月22日から11月22日までの、1か月の稼動実績と予想水素入荷量、実績入荷量を示している。
焼鈍炉のサイズ
長さ 内容量
A炉 15m 約0.30m3
B炉 15,2m 約0.39m3
Figure 2009144181
表1において、入荷はボンベ詰めで、毎日1〜2回行われており、これを毎週集計している。予想入荷量は過去の実績から推定である。
予想値と、実績値の差である3640m3が回収された水素量である。これは、予想入荷量の約36%となる。
水素価格224円/Nm3として、月に約816,000円の節約となる。
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば、実施例では、廃ガス放出管(16)を炉(1)のワーク供給口(11)とワーク排出口(12)の両方に接続したが、何れか一方だけに接続してもよい。
又、実施例では、水分除去部(6)を2基配備したが、3基以上の水分除去部(6)を、任意の水分除去部に廃ガスを選択的に導入可能に配備し、更に、各水分除去部(6)には所望の水分除去部へ選択的に窒素ガスを供給可能に管路(17)を接続しても、還元性ガスの再生を継続しながら、前記同様にして使用していない水分除去部(6)の吸着剤の再生ができる。
又、水分除去部(6)を1基だけとすることができ、この場合、光輝焼鈍炉(1)を稼動していない時間に、水分除去部(6)に加熱した窒素ガスを供給して、水分除去部の吸着剤を再生すればよい。
光輝焼鈍炉装置の廃ガス再生配管説明図である。
符号の説明
1 光輝焼鈍炉
13 水素ガス供給装置
14 窒素ガス供給装置
16 廃ガス放出管路
2 廃ガス再生装置
3 反応部
4 冷却器
5 送風機
6 水分除去部
9 再生ライン

Claims (5)

  1. 水素ガスを主成分とする還元性ガス雰囲気中にて、ワークを焼鈍する光輝焼鈍炉(1)と、該光輝焼鈍炉から排出される廃ガスを再生する廃ガス再生装置(2)とによって構成される光輝焼鈍炉装置であって、
    廃ガス再生装置(2)は、光輝焼鈍炉(1)のワーク供給口(11)の近傍および/又はワーク排出口(12)の近傍から炉外に回収した廃ガス中の水素と酸素を反応させて水分に変える反応部(3)と、該反応部(3)から導いた廃ガスの水分を除去する水分除去部(6)とからなる、光輝焼鈍炉装置。
  2. 反応部(3)と水分除去部(6)との間のガスの流路には、反応部(3)での反応によって昇温した廃ガスを冷却する冷却器(4)と、廃ガスを水分除去部(6)へ圧送するための送風機(5)が設けられている、請求項1に記載の光輝焼鈍炉装置。
  3. 水分除去部(6)は、廃ガスが通過する筒体(61)内に水分吸着剤を充填して構成されており、複数の水分除去部(6)(6a)が、任意の水分除去部に廃ガスを選択的に導入可能に配備され、又、水分除去部(6)(6a)には所望の水分除去部へ選択的に窒素ガスを供給可能に管路(17)が接続され、該管路には窒素ガスを加熱する加熱器(8)が設けられている、請求項1又は2に記載の光輝焼鈍炉装置。
  4. 水分除去部(6)(6a)は戻し管路(91)によって光輝焼鈍炉(1)と戻し管路(91)で繋がっており、水分除去部(6)(6a)から排出される再生ガスは光輝焼鈍炉(1)へ戻される、請求項1乃至3の何れかに記載の光輝焼鈍炉装置。
  5. 水素ガスを主成分とする還元性ガス雰囲気中にて、ワークを焼鈍する光輝焼鈍炉(1)のワーク供給口(11)の近傍および/又はワーク排出口(12)の近傍から排出される廃ガスを回収し、回収した廃ガスを冷却してから、廃ガス中の水素を廃ガス中の酸素と反応させて水分に変換し、水分を吸着除去して廃ガスを再生する、光輝焼鈍炉の廃ガスの再生方法。
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